■ 開幕戦張外龍監督となって2年目を迎えた大宮アルディージャと2006年以来のJ1に復帰したセレッソ大阪が対戦した開幕戦。日本代表としては国際Aマッチに13試合出場しているが、C大阪のMF香川にとってはJ1デビュー戦となる。
ホームの大宮は<4-2-2-2>。GK北野。DF杉山、深谷、マト、村上。金澤、アン・ヨンハ、藤本、橋本。FW石原、ラファエル。大宮の最終ラインはDFマトを除くと、全て新加入選手で構成。新潟から加入したGK北野がスタメン。2005年以来のJリーグ復帰となったMFアン・ヨンハがボランチでスタメン。
対するC大阪は<3-6-1>。GK松井。DF茂庭、羽田、上本。MFアマラウ、マルチネス、高橋、尾亦、乾、香川。FWアドリアーノ。GKキム・ジンヒョンは開幕から2試合の出場停止でGK松井がスタメン。MF石神はベンチスタートで、MF尾亦がスタメン出場。昨シーズンのレギュラーメンバーでスタメンに入ったのは、DF羽田、MFマルチネス、MF乾、MF香川の4人のみで、11人中で6人が新加入選手。MF家長、FW播戸はベンチスタート。
■ 大宮が圧倒試合はホームの大宮が立ち上がりから圧倒する。
前半14分には右コーナーキックを獲得。MF橋本が得意の左足で蹴ったボールが、そのままファーサイドのネットに吸い込まれて先制に成功する。さらに、前半終了間際にも、右サイドでボールを持ったFWラファエルがDF上本を鮮やかなタッチかわして、中央にクロス。走り込んだFW石原が合わせて追加点を挙げる。
2点ビハインドのC大阪は、後半22分にFW播戸を投入し<4-2-2-2>に変更するが、後半37分にFWラファエルに追加点を決められて万事休す。結局、大宮が3対0で勝利。開幕戦で好スタートを切った。一方のC大阪は4年ぶりのJ1で完敗スタートとなった。
■ 完成度の差キャンプから好調が伝えられていた大宮だったが、昇格組のC大阪を3対0というスコアで下して、好スタートを切った。両チームともにオフに積極的な補強を行ったが、プレシーズンで新加入選手の融合に成功した大宮と、ぶっつけ本番のような形になったC大阪。準備の差がはっきりとスコアに現れた。
大宮はDF杉山、DF深谷、DF村上と最終ラインの4人のうちの3人が新加入選手だったが、DFマトとの連携もよく、C大阪の攻撃陣に余裕を与えなかった。大きかったのは前半14分の先制ゴールで、いい時間帯に先制ゴールが奪えたことで、「しっかり守ってFWラファエルを中心としたカウンターで追加点を狙う。」という得意のパターンに持っていくことが出来た。
幸いにして、攻撃陣は全て昨シーズンからのメンバーであり、ほとんどの選手が攻撃でやるべきことを理解しており、熟成されていた。FWラファエルのキープ力は圧倒的で、彼がしっかりと前線でタメを作って、攻撃をつかさどった。
■ 守護神の不在対するC大阪は、完全なる負けパターンで、自分たちのサッカーを全く見せられずに終わった。昨シーズンも、雨の中での試合は、ボールが回らなくなる傾向があって、MF香川やMF乾が無理にドリブルで仕掛けて自滅するという試合があったが、開幕の大宮戦は典型的な駄目パターンだった。
やはり、痛かったのは先制ゴール。立ち上がりから大宮が仕掛けてきて、そろそろ落ち着きたい時間帯にコーナーキックから失点。しかも、コーナーキックを直接に決められるという失態で、試合の主導権を大宮に握られ続けることになった。
試合前から、GKキム・ジンヒョンが正GKの出場停止で不在の影響が心配されたが、いきなり、その不安材料が表れてしまった。大宮には、DFマトにFWラファエルと高さのある選手が揃っているのに対して、C大阪のディフェンスラインは平均的な高さしか持っていない。
空中戦に抜群の強さを見せるGKキム・ジンヒョンの高さがあれば、防ぐことの出来た失点だったはず。また、攻撃面に目を移しても、高精度のキックと正確な判断でカウンター攻撃の起点になるGKキム・ジンヒョンの不在は痛かった。
■ アドリアーノとアマラウC大阪で、注目されるのが、新外国人のFWアドリアーノとMFアマラウの2人。「ブラジル人大好き」のクルピ監督がスタメンで起用してくることは事前に予想されていたが、FWアドリアーノは1トップ、MFアマラウはダブルボランチの一角でスタメン。周囲との連携は悪く、局面で良さを見せただだったが、両者ともにポテンシャルは高そうで、戦力になる事は間違いないだろう。
特に、FWアドリアーノの強さとスピードは、これまでのC大阪には無かったものであり、1人でも持ちこんでシュートにまで持っていくことが出来る。昇格の立役者の1人で、MF香川やMF乾との相性もよくて、彼らの多くのゴールをアシストしていたFWカイオが退団し、どんなタイプの選手を連れてくるのか注目されたが、なかなかポテンシャルの高い選手を連れてくることに成功した。
FWカイオの後釜で1トップ候補と考えると、175cmのFWアドリアーノではなく別の選択肢がベターだったかとも思われるが、フロントがFWアドリアーノに惹かれた気持ちは良く分かる。得点力は高くなかったが、FWカイオの守備力や高さ、献身性が2シャドーの持ち味を増幅していた部分はある。FWアドリアーノにFWカイオと同じようなことを求めるのは難しく、前の3人でうまくバランスを取るのは難しいが、噛み合ったら、破壊力は、昨シーズンのトライアングル以上のものになるだろう。
■ 新加入組の融合力のある新加入選手を多く加えたとき、いっぺんに入れ替えをするのか、徐々に入れ替えていくのかは、監督によってそれぞれである。同じように大型補強を行った名古屋は、DF闘莉王とFW金崎はスタメンだったが、DF千代反田とMFダニルソンはベンチスタートだった。
昨シーズンまでのメンバーをベースにして、それから何人かを加えていくことがベターであるが、クルピ監督は思い切って、新加入のFWアドリアーノ、MFアマラウ、MF高橋、DF茂庭、DF上本をスタメンで起用してきた。昨シーズンまでのメンバー(FW小松、MF黒木、MF酒本、DF藤本、DF前田ら)と比べると、新加入選手の経験値や実績が上っているので、間違いとはいえないが、準備不足は明らかだった。
それでも、このメンバーに加えて、FW播戸、MF清武、MF家長というタレントが控えているいうのは、やはり魅力的といえる。今後は、G大阪、FC東京、浦和と厳しい相手が続くので、勝ち点を積み上げるのは、なかなか難しいかもしれないが、噛み合ったら、魅力的なサッカーになるのは間違いないところ。問題は「いつ」噛み合うかである。
大宮アルディージャ:採点 GK:北野貴之 6.0
→ 落ち着いたプレーで完封勝利。
DF:杉山新 6.0
→ 積極的なプレーで攻撃を活性化。
DF:深谷友基 5.5
→ デビュー戦も周囲との連携は良かった。
DF:マト 6.5
→ 圧倒的な高さと強さ。
DF:村上和弘 5.5
→ 思い切りのいいミドルシュートは大宮の新たな武器。
MF:金澤慎 6.0
→ 落ち着いてプレー。
MF:アン・ヨンハ 5.0
→ 激しくプレーしたが、ラフプレーと紙一重でイエローやレッドの危険が高かった。
MF:藤本主税 6.0
→ 惜しいシュートもあった。質の高いプレー。
MF:橋本早十 6.5
→ 素晴らしいキックで先制ゴール。精度の高いキックは脅威。
FW:石原直樹 6.0
→ 鋭いゴール前の動きで追加点。ラファエルとのコンビは成熟されている。
FW:ラファエル 7.5
→ 素晴らしい働きを見せたが、怪我の具合が心配される。
途中出場:内田智也 5.5
→ 後半29分から出場。
途中出場:青木拓矢 なし
→ 逃げ切り要因として登場。
途中出場:市川雅彦 なし
→ 後半44分から出場。
セレッソ大阪:採点 GK:松井謙弥 4.5
→ さすがにCKを、「直」で決められるのは大きなマイナス。
DF:茂庭照幸 5.5
→ ところどころで強さを見せた。
DF:羽田憲司 5.0
→ 周囲は新加入組ばかり。さすがに統率は取れなかった。
DF:上本大海 5.0
→ ラファエルに翻弄されてしまった。
MF:アマラウ 5.5
→ 周囲との連携は悪かったが、強さを感じさせるプレーもあった。
MF:マルチネス 5.0
→ ボールを落ち着かせることが出来ず。らしくないプレーに終始した。
MF:高橋大輔 6.0
→ 序盤は苦しんだが、慣れてくると、精度の高いクロスを何本もゴール前に送った。
MF:尾亦弘友希 4.0
→ スタメン抜擢だったが、積極性もなく、ブレーキになった。
MF:乾貴士 5.0
→ キレはあったが、シュートチャンスを生み出せず。
MF:香川真司 4.5
→ J1デビュー戦も空回り。
FW:アドリアーノ 5.5
→ 強さとスピードを見せたが、周囲との連携はどうか?
途中出場:播戸竜二 5.5
→ なかなかチャンスは無かったが、惜しいヘディングシュートがあった。
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