■ 開幕カード その5昨シーズン5位に終わりJ1昇格を逃したセレッソ大阪が、12位でシーズンを終えた水戸ホーリーホックと対戦。
アウェーのC大阪は、エースFW古橋を怪我で欠く状況。<4-4-2>でGK相澤。DF柳沢・前田・羽田・尾亦。MFジェルマーノ・アレー・濱田・香川。FWカレカと小松。
迎え撃つホームの水戸も同じく<4-4-2>。GK本間。DF金澤・平松・大和田・鈴木和。MF赤星・ビジュ・菊岡・堀。FW西野と荒田。浦和から加入したMF赤星と専修大学から獲得したFW荒田とJFLの佐川急便から獲得したMF堀がスタメン出場を果たした。
■ 試合を決めた2ゴール試合は予想に反してホームの水戸が優勢。前半から、期待の新人FW荒田が何度もシュートチャンスを迎える。しかしながら、前半42分に、MF濱田のパスで裏のスペースに飛び出した、C大阪のMF香川にGKと1対1から冷静に流し込まれて先制ゴールを許す。
MF香川のゴールで1点リードを奪ったC大阪だったが、その直後に、MFジェルマーノが2枚目のイエローカードを受けて退場。10人での戦いを余儀なくされる。
後半も変わらずに水戸がボールを支配し、サイド攻撃を起点に攻め込むが、どうしてもゴールを奪えない。すると、後半40分に、またしてもC大阪のMF香川が左足でゴールを決めて2点リードを奪う。結局、香川の2ゴールを守ったC大阪が2対0で勝利し、勝ち点3を獲得した。
■ 勝ち取った勝ち点3勝利したC大阪だったが、試合内容はいま一つだった。核となるFW古橋が欠場した影響が大きく、なかなか前線までボールを運べず、苦戦を強いられた。守備陣は、GK相澤のスーパーセーブもあって何とか無失点に抑えたが、数的不利な時間が長かったとはいえ、いつゴールを許してもおかしくなかった。
ただ、そんな中でも、開幕戦で勝利できたことは大きい。昨シーズンはスタートから4連敗を喫してスタートダッシュに失敗したことを考えると、雲泥の差である。苦しい試合をものにしたことは、チームの結束を高める上でも効果的である。
■ 試合を決定付ける2ゴール18歳のMF香川は2ゴール。いずれもチームが劣勢を強いられている時間帯のゴールであり、価値のあるものだった。1点目は裏のスペースに飛び出してからのゴールで、昨シーズンもGKと1対1になるケースは多かったが、なかなかシュートが決められずに苦しんだが、この試合では落ち着いてゴールに流し込んだ。
香川がより完成された選手になるためには、『決定力』が残された数少ない課題であるが、その決定力(得点力)に改善の兆しを見せたことは、今後に向けて明るい話題である。今シーズンの自身の目標は「10ゴール」ということであるが、それは最低ラインの数字であり、もっと上の数字を目指せる選手である。
C大阪としては、あまりにも香川に頼りすぎる状況はよくないので、攻守ともに整備を行って、組織力を高めたいところである。
■ 前線の組み合わせについてC大阪は、昨シーズンは<4-2-2-2>のスタイルだったが、今シーズンは、キャンプから<4-1-2-3>に近い布陣を試している。この試合は、昨シーズンまでのフォーメーションでスタートしたが、もともとFW古橋、FW森島康、FWカレカ、FW小松、FW柿谷、MF森島寛、MF香川、MF酒本、MF濱田と攻撃のタレントが集まっており、いろいろな組み合わせが考えられる。
実績を考えると、FW古橋とMF香川は安泰で、それ以外の選手で残りの枠を争う形になると思われるが、前線に高い選手(小松+森島康)を並べる布陣はあまり機能しておらず、この試合の2トップも、カレカ+小松とツインタワーに近い形だったが、コンビネーションはイマイチだった。
FW古橋が帰ってくれば古橋と小松 or 森島康 or カレカという2トップ(あるいは香川を加えた3トップ)で問題ないが、FW古橋がいないときにどうするかも課題である。となると注目されるのは、国見高校出身の新人FW白谷。いきなりこの試合で途中出場を果たし、2点目のMF香川のゴールをお膳立てするなど、ルーキーとは思えないプレーを見せた。
この日はFWカレカとの交代でピッチに入ったが、次節の山形戦はもしかしたら、そのカレカと組んで2トップの一角で先発出場という可能性があるかもしれない。シュートまで持ち込む強引さと身体能力の高さは、同じ国見高校の先輩FW大久保を彷彿とさせる。
■ 攻撃力アップの兆しが見えた水戸水戸は試合内容でいうと、明らかにC大阪を上回った。C大阪は決定機と呼べるものは5回程度しかなかったが、水戸は7・8回の決定機を作った。相手GKの奮闘もあってノーゴールに終わったが、得点力アップの兆しが見えたことは収穫である。
特に期待できるのはFW荒田。背番号「9」を背負う期待の新人ストライカーは、少なくとも5度の決定機をつかんだ。いずれもゴールにつなげることはできなかったが、チャンスの場面でゴール前にポジション取りができる点と、シュートまでもっていくことができる点は、高く評価できる。
彼が、今後、どの程度の結果を残すことができるかは分からないが、ストライカーらしいストライカーを手に入れたことで、水戸の今シーズンは期待を持たせるものになった。
■ まだフィットしていない堀と赤星一方、MF堀とMF赤星は、ややブレーキとなった。
堀はサイドアタッカータイプで、この試合は左の攻撃的MFでプレーしたが、得意の突破を阻まれるシーンが多く、チャンスをつぶすことが多かった。JFLのベスト11であり、能力的には問題ないが、J2のレベルにやや戸惑っていたのかもしれない。
また、ボランチに入ったMF赤星も、水戸のサッカーにまだ馴染んでおらず、得意のパスセンスを生かすことはできなかった。赤星のポジションでいうと、前任者は横浜Fマリノスに移籍したMF小椋となるが、小椋と比較すると運動量や守備力では見劣りするのは否めないが、小椋に無い攻撃的な部分での良さを持つ選手であり、その部分を試合で発揮できれば、水戸にとって大きな力となるだろう。
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