湘南ベルマーレ ・・・ 「D+」 → 大黒柱のMFアジエルが退団して、チームは新しい時代に入った。確かに、2011年は怪我上がりだったこともあって、彼らしいプレーはほとんど見せられなかったが、MFアジエルのキープ力は攻撃を形成する上で大きな助けになっていたので、どのようにして穴を埋めていくのか。MF菊池の独り立ちや、新加入のMF宮崎(大宮)のブレークに期待したいが、オフの補強では埋められておらず、早い時期に解決策を見つけたい。また、新しい得点源と期待してFWマセナを獲得したが、FW田原、FWルーカス、FW巻、FW佐々木が抜けたので、フォワードの層は極端に薄くなっている。FWマセナが期待通りの活躍を見せることができれば問題はないが・・・。
一方、最終ラインは、DF臼井、DF大井、DF石神が抜けて、DF古林(草津)、DF島村(徳島)がレンタル先から復帰し、DF大野(愛媛FC)を獲得した。復帰組は、レンタル先で大きく飛躍したので期待大で、サイドバックはパワーアップするだろうが、センターバックの補強も進んでいない。リオ世代のDF遠藤が中心となるが、相当に不安なポジションである。また、GK西部とGK野澤が抜けたゴールキーパーも不安いっぱいである。MF永木、MFハン・グギョン、MF菊池、DF古林、FW高山とノビシロの若手選手が多いので、彼らの成長に期待したいが、不安に感じるポジションが多くて、開幕して1・2ヶ月は苦労するかもしれない。
ヴァンフォーレ甲府 ・・・ 「C+」 → FWハーフナー・マイク、FWパウリーニョ、DFダニエルという軸の選手が抜けたため、戦力ダウンは確実である。特に、17ゴールのFWハーフナー・マイクと、10ゴールのFWパウリーニョの穴を埋めるのは容易ではないだろう。さらに、ロンドン五輪代表にも選ばれているDF吉田も退団しているので、中心選手は様変わりする。
したがって、非常に厳しいオフになっているが、補強はまずまず進んでいる。日本人では、エース候補としてJ2で実績のあるFW高崎(浦和)を獲得し、FW青木孝(千葉)、MF永里(FC東京)という才能のあるアタッカーも獲得している。また、外国籍選手も、DFドウグラス、MF崔誠根、FWレナト、MFピンバと4人を獲得した。いずれの選手も日本では初めてプレーすることになるので計算は立ちにくいが、外国人枠をフルに活用し、補充はできている。抜けた穴が非常に大きいので穴を埋めるのは大変で、城福監督も苦労すると思うが、積極的な補強を見せたことは評価できる。
松本山雅 ・・・ 「C+」 → まず、J1でも、J2でも実績を残したGK野澤(湘南)を獲得できたことは大きい。安定感に欠けるところはあるが、はまったときのスーパーセーブは、観るものを惹きつけるものがある。反町監督とは、新潟でも、湘南でもコンビを組んでいたが、試合をエキサイティングにすることができるGKなので、どういうプレーを見せるのか、楽しみである。
一方、フィールドプレーヤーでは、「即戦力」と言える選手の補強は無かった。MF久木田(岡山)にしても、FW喜山(讃岐)にしても、MF楠瀬(神戸)にしても、現有選手と競争をしてチャンスをつかむ必要がある。ただ、ポテンシャルは評価されている選手なので、チャンスをつかんで出場機会を得ることができれば、貴重な戦力になる可能性はある。町田ゼルビアと同じく、昇格1年目でJFL降格の可能性があるので、厳しいシーズンとなることは確実といえるが、熱狂的なサポーターをバックに「20位以内」に入りたいところである。
カターレ富山 ・・・ 「B+」 → 獲得した人数は少ないが、効果的な補強ができている。中盤でもプレーできて運動量のあるFW西川(FC岐阜)は、安間監督のサッカーには適した人材で、MF加藤(京都)もボランチのレギュラー候補である。安間監督のサッカーでは、ボランチも重要なポジションであるが、レンタル期間を延長したMF平出とMF加藤の若手コンビで組むことが可能となったので、さらなる成長も期待できる。攻撃にアクセントを付けられるMF山瀬幸(鳥栖)を獲得しているのもプラスに働くだろう。
その一方で、チームの柱になりつつあったMF舩津がレンタル移籍することになったのはマイナスで、MF舩津のタイミングのいい攻撃参加が多くのビッグチャンスを作ってきたので、彼の穴をどう埋めるか。運動量が多くて、普通の選手の感性とは異なるプレーを選択できる選手であり、試合を動かす上で重要な事な選手になってきたので、大きなダメージとなりうるが、生え抜きの選手がJ1のクラブからオファーを受けるまで成長したという事実は、クラブにとっては自信につながるだろう。MF舩津だけは誤算だったが、限られた資金力であることを考えると、申し分ない補強ができている。
FC岐阜 ・・・ 「B-」 → 2011年は最下位に終わった岐阜は、精神的な支柱になれる元日本代表のMF服部を獲得した。大ベテランとなったが、攻守両面で活躍できる選手で、チームリーダーとしても期待できるので、立て直しが急務の岐阜にとっては、これ以上ないほどのビッグな補強と言える。また、リーグワーストだった失点数を減らすため、DF池田(愛媛FC)、GK多田(鳥取)を獲得し、2列目も得点センスのあるMF井上平(東京V)を獲得した。FC岐阜の資金力を考えると、十分すぎる補強ができている。
マイナス点は、FW西川、MF菅という大卒で獲得して、手塩にかけて育ててきた選手を引き抜かれたことで、「大卒路線」で一定の成果をおさめてきたが、2011年に最下位になったこともあって、路線変更を余儀なくされた。2009年と2010年は、大卒選手を中心にまずまずの結果が出ていたので、長期的な視点で見るとダメージとなるかもしれない。彼ら以外では、MF嶋田とFW押谷も退団しており、アタッカーが不足している。ブレークが期待されるスピードスターのMF染矢が控えているが、攻撃力不足に陥ることは必至で、結果を残すには、エースのFW佐藤の復活は不可欠といえる。
京都サンガ ・・・ 「A+」 → 充実したユースチームから、今年も、ストライカーのFW久保を含めて6名がトップチーム昇格を果たした。昨年も、4名がトップチームに昇格し、MF伊藤、MF駒井が貴重な戦力となったが、今年の5名(※ FW久保は除く)も高く評価されているので、彼らにも、1年目からトップチームでプレーするチャンスはあるだろう。したがって、ここ2年間で10人もユースからトップチーム昇格を果たしている。経験の少ない選手が多くなってきたが、中途半端な即戦力を獲得して、若手のチャンスを奪っては意味が無いので、補強は最低限に抑えているが、正しい判断といえる。
新加入組で即戦力といえるのは、MF倉貫(徳島)、DFバヤリッツァ(陝西宝栄)、FW原(浦和)、FW長沢(熊本)となるが、いずれもツボを押さえた補強といえる。中でも、期待されるのはDFバヤリッツァとMF倉貫の二人で、大きなプラス効果をもたらす可能性がある。また、FW久保は、ユース代表などで数試合程度、チームを離れることが確実ちえるが、FW長沢を獲得して、カバーしている。もちろん、FW長沢も得点力のある選手なので、FW久保のプレーが低調ならば、ポジションを奪う可能性もある。あとは、コストパフォーマンスが非常に悪くて、クラブの負担になっているMFディエゴとMFドゥトラの二人を、適度な値段で売却することができれば、万々歳といえる。
ガイナーレ鳥取 ・・・ 「C-」 → コスタリカ代表経験のあるDFロイ・スミス、FWケニー・クニンガムを獲得して、周囲を驚かせた。これまで、コスタリカ代表経験のあるJリーガーと言うと、2007年にFC東京でプレーしたFWワンチョペがいるが、12試合に出場して2ゴールに終わった。コスタリカ代表というと、世界レベルで見ると、決してサッカーの強豪国とはいえないレベルなので、「肩書き」がどこまで信用できるかは分からないが、面白い補強となったので、注目したいところである。
今オフの補強ポイントになっていたのは、2011年に泣き所となっていたセンターフォワードだったが、FWケニー・クニンガムは174センチなので、センターフォワードでプレーできるかどうかは微妙なところで、FW阿部が引退し、FW梅田も移籍しているので、前線の層は薄くなっている。FWハメドもいるので、センターフォワードを必要としないサッカースタイルに変更する可能性もあるが、高さのあるフォワードを1枚・2枚は加えておきたいところである。そのほかでは、大黒柱のMF服部が抜けた穴も大きく、現状では、ボランチの補強もできていない。コスタリカ・コンビがどの程度できるかで、チーム力は大きく変わってくるが、ウイークポイントを補う補強はできていないように感じる。
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