■ 佐藤峰樹さんの騒動今年のお正月に起きた佐藤峰樹さんの騒動に関しては、そのときに、思うことをエントリーとしてまとめたが、あれから、3週間ほどが経過して、その話をする人というのは、ほとんどいなくなった。一応のおさまりを見せたと言えるだろう。
ブログやツイッターなどで失言があって、その後、本人や会社が謝罪せざる得なくなることは、最近、よく見られる。鮮やかな切り返しを見せて、逆に、ポジティブなイメージを植え付けることに成功したケースというのも、ゼロではないと思うが、失言に加えて、そのあとの事後処理でも不手際が生じて、「失言とその後の対応がセットになって批判される」というのが、一番、多いように感じられる。
エルゴラッソはどうなのかというと、正直なところ、「適切な対応ができた。」とは、言いがたい。できるだけ、沈黙期間を長くして、時が過ぎるのを待つことを選択したように見受けられるが、本人からも、会社からも、発言に対するきちんとした説明はされておらず、不快感をもったままという人が大半だと思う。
こういうことが起こると、面白半分に囃し立てる人も出てくる。もちろん、こういう人たちを相手にする必要はないと思うが、エルゴラッソを購読していた人に対しては、何かしらの対応は必要であり、失った信用を回復させないことには、事後処理が終わったとは言えないだろう。そう考えると、「時間が過ぎるのを待つ」という作戦は、あまり適当ではないと思う。
■ 騒動から感じること結末がどうなるのかは、分からないが、いろいろなことを考えさせられる出来事だった。まず感じたのは、たった1つの発言が致命傷になりうるということである。佐藤峰樹さんは、サッカーファンの間では、有名な人だったというので、一般人とは言いきれないが、一般人に近い立場の人でも、不適切な発言があると、一気に窮地に陥ってしまう。このことは、きちんと認識しておかなければならない。
もう1つ感じたのは、サッカーメディアに不信感を持っている人が多いということである。佐藤峰樹さんがエルゴラッソやフットボリスタとは無関係で、単なるサイト運営者の1人という立場であったならば、ここまで、騒ぎが大きくなることは無かったと思うし、また、エルゴラッソとは関わりが無くて、フットボリスタだけであったならば、ボヤ騒ぎ程度で済んだのではないか?と思う。
もちろん、メディア側と読者(or 視聴者)の間に隔たりがあるのは、日本に限った話ではない。また、昔からあったことだと思うので、現代に限った話ではないと思うが、今回の件については、サッカーダイジェストやサッカーマガジンや普通のスポーツ新聞やエルゴラッソなど、身近にあるサッカーメディアに対する根強い不信感というのも、騒動を大きくした原因の1つではないかと思う。
■ 根強い不信感すべてをチェックしているわけではないが、現状は、知識が十分ではないと感じる記事やコラムは少なくない。そして、なぜか、自分たちの勉強不足や取材力不足や文章力の無さを棚に上げて、選手やクラブやサポーターを批判したり、苦言をすることが多い。率直に言うと、サッカーの魅力を十分に伝えきれていないにもかかわらず、エラそうにしている記者やライターが多すぎると思う。
今回、佐藤峰樹さんの騒動が起こったとき、一緒に仕事をした経験がある人や面識のある人は、失言を擁護する側に回ったが、これは逆効果で、むしろ、火に油を注ぐ結果となった。佐藤峰樹さん自身にも問題はあったが、その裏には、サッカーメディアに対する不信感もあったと思うので、関係者が火消しに回っても、意味は無い。当然の結果と言える。
勉強不足の記事、取材力不足の記事、言葉遊びや数字遊びで終わっている記事に対しては、読者がきちんと「No」と意思表示をすることは大事だと思うが、その中で、エルゴラッソは、旧来型のメディアとは違っており、「日本のサッカーメディアのダメな体質を変えてくれるのかもしれない。」と期待していた人が多かったと思うので、失望の度合いも大きい。
騒動が起きた後、売り上げが減っているのは、間違いないと思うが、上層部が、「このまま静観しよう。そして、時間が経てば、売り上げは、回復していくだろう。」と考えているのであれば、甘いと思う。まだ騒動は終わっておらず、個人としても、会社としても、きちんとした対応を取らないと、取り返しのつかないことになると感じる。
関連エントリー 2011/01/28
「信頼できるライター」と「信頼できないライター」 2012/06/05
テレビ朝日とサッカー中継の進化 2012/06/11
バレーボール中継とサッカー中継で感じること 2012/06/20
気を付けたいサッカー協会への批評 2012/10/12
マグネット式システム論の無意味さ 2012/12/26
サッカーダイジェストとサッカーマガジン 2013/01/04
エル・ゴラッソの佐藤峰樹さんの騒動 2013/01/06
(続) エル・ゴラッソの佐藤峰樹さんの騒動
- 関連記事
-