■ ヒアリングの対象は60人ほど8月中旬に問題が発覚した湘南のチョウ・キジェ監督のパワハラ問題は10月4日(金)に大きく進展した。「パワハラとは断定できないがパワハラと言われても仕方がない言動はあった。」という風な『白でも黒でもないグレー判定になるのでは?』と考える人が多かったが調査報告チームはパワハラがあったことを認定。Jリーグはチョウ・キジェ監督に対して公式戦5試合の出場資格停止処分とけん責処分を科した。
「JFAからチョウ・キジェ監督に処分が下されるのか?」が今後の焦点になるが「
報告書」を読むと「さすがに酷すぎる。」と感じる。8月中旬の時点でチョウ・キジェ監督のパワハラ行為の具体的な例が報道されていたがにわかには信じられない内容だったので「ガセネタも混じっているのでは?」と訝しく思っていたところもあるが報告書を見ると概ね事実だったようだ。「グレーどころか真っ黒」と言わざる得ない。
「ヒアリングをした人はチョウ・キジェ監督などクラブ関係者を含めて約60名」という趣旨のことが書かれている。今、湘南でJリーグの選手として登録されているのは2種登録でユース所属の高校生や特別指定選手の大学生を含めると35名ほど。現・所属選手に話を聞かないのは考えにくいこと、ならびに、それなりの数のスタッフを抱えていることなどを考えると「広範囲にヒアリングを行った。」とは言えない。
60人という人数から「過去に湘南でプレーしていて、すでに、チームを離れている選手にはあまり話を聞けていない。」と推測できるがパワハラの具体例として出てくる話は2018年や2019年の出来事が多い。中には「2015年または2016年の出来事」も出てくるが『元からチョウ・キジェ監督のパワハラ体質が酷かったのではなくてどこかのタイミングでスイッチが入ってしまったのでは?」と個人的には考える。
■ メディカルスタッフへのパワハラは衝撃的もっと多くの選手やスタッフに話を聞くことが出来たら「それ以前の時期のパワハラ話」がたくさん出てくる可能性はあるが「2017年や2018年あたりに何かきっかけになるようなことがあって重度のパワハラ体質になってしまったのではないか?」と個人的には考える。なかなかJ1の舞台では結果を出せずにJ1とJ2を行ったり来たりした時期が長かったが「長期政権の弊害という見方」は間違いではなさそうだ。
具体的なパワハラの事例がたくさん書かれているので報告書を読むだけでも辛くなってしまうが『2019年7月の合宿での練習中、足に違和感を覚えた様子の選手に近寄ったメディカルスタッフに対し「ほっとけ」などと叫び、確認させなかった。選手はその後も練習を継続し、直後に全治8カ月の怪我をした。』という話はさすがに酷い。今年の夏に加入したMF澤田恒の話だと思うがあまりにもクレージーである。
「メディカルスタッフがチョウ・キジェ監督に逆らえない状態になっていた。」というのはショッキングな話である。勝手な印象かもしれないがメディカルスタッフの言うことは絶対である。彼らがNO(=選手がプレーすることは無理)と言ったら監督などは従うしかないというのが普通だと思うがメディカルスタッフに対しても高圧的な態度をとってチョウ・キジェ監督の言うことを聞くしかない状態になっていたようだ。
これほど「どう考えても真っ黒」と思われるエピソードが盛り沢山でありながら今年の8月になるまでチョウ・キジェ監督のパワハラ問題が明るみに出なかったというのもショッキングである。Jリーグはこういう問題に対して積極的に動いていた印象もあるが認識を改めざる得ない。湘南やチョウ・キジェ監督はかなり特殊だとは思うが今の時点では発覚していない似たような話を抱えているクラブがあっても不思議はない。
■ 筆頭株主の三栄建築設計のコメント少なくともメディアでパワハラ問題が大きく報道された直後にはクラブ側はパワハラ問題ならびにチョウ・キジェ監督に対して毅然とした態度を取るべきだった。問題が発覚した直後にクラブ側は「大きな問題があったこと」を否定するような態度を取ったので「であるならばちょっとした誤解が生んだグレーゾーンのパワハラだったのだろう。」と多くの人は推測したと思うが現実は弁解の余地のないほど真っ黒だった。
報告書を読んで引っかかったのは「チョウ・キジェ監督はこのことを否定しているが調査チームは関係者の供述等を総合して判断して前記事実を認定できると考える。」という趣旨の記述が多い点である。「やり過ぎた。」、「至らぬところがあった。」とチョウ・キジェ監督が反省をしている様子が書かれている箇所もあるが「そういう意図はなかった。」などとチョウ・キジェ監督がパワハラを否定する箇所が目立つ。
感覚がマヒしてしまっているのか、本人も、周囲の人間も、正常な判断が出来ていないように見えるのはかなり問題である。筆頭株主の1つである三栄建築設計も
「プロスポーツという独特の厳しい世界の中で、全ての責任が監督にあるということはなく、一部行き過ぎた行為はあったにせよ、指導者のパワハラの線引きは非常に難しいものと認識しており、スポーツ界全体で明確なルール作りが急務であると考えております」とコメント。「チーム及び曹監督はすでに長い時間の中で反省していることも踏まえ、さらに皆様から愛されるプロサッカーチームとして改善し、再び指揮を執っていただくことを当社は期待しております」とした。とコメントしているが唖然とするコメントである。「パワハラに関しての線引きは難しい。」、「明確なルール作りが必要である。」というのは間違いないと思うが今回の件は線引きとは無関係である。数多あるチョウ・キジェ監督のパワハラに関するエピソードの中のいくつかは「線の引き方によっては白もしくはグレーになる可能性がある。」とは思うがトータルで考えると真っ黒であり、矮小化するのは適当ではない。
また、「全ての責任が監督にあるということはない。」というのも正しいと思う。この箇所も賛同できる。監督だけでなくクラブにも大きな責任があるし、眞壁会長の責任は重大である。他には主要なスポンサーや一部の選手や一部もしくは多数のサポーターにも責任があると個人的には思う。本件の詳細が報じられるに連れて「(能天気に見える)チョウ・キジェ監督の周りにいる人たち」に言いようのない恐怖心を覚える。
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