■ 厳しいシーズンになっている湘南ベルマーレ2014年のJ2を31勝3敗8分けという記録的な強さで制した湘南ベルマーレはその勢いを持って2015年のJ1に挑んだが13勝12敗9分けで年間成績は8位。残留争いに巻き込まれることなく「J1残留」を果たした。久しぶりのJ1だった2010年は18位。チョウ・キジェ監督になって2年目の2013年は16位。どちらも「1年でのJ2降格」を余儀なくされたので8位で残留を果たしたことはクラブにとって大きな前進と言えた。
迎えた昇格2年目の2016年だったが一転して苦しいシーズンになっている。2ndステージの12節が終了した時点で5勝20敗4分け。2ndステージの3節の鳥栖戦(H)から10連敗中。同じように下位に低迷しており、リーグ戦は5連敗中だった福岡との直接対決もホームで0対2の敗戦。ついに最下位の18位に転落した。15位の新潟との差は「8」。10連敗中のチームが残り5試合で「8差」を逆転するのはかなり大変である。
昨オフは選手の入れ替えが激しかったが他クラブへの流出が噂されたチョウ・キジェ監督はチームに残った。「チョウ・キジェ監督の留任が一番の補強」と言われたが、攻守の要だったMF永木(鹿島)とDF遠藤航(浦和)が揃って流出した影響は大きかった。GK村山やMF下田やMFパウリーニョやMF端戸などを獲得したが大きな穴を埋めきることはできなかった。開幕後の補強も劇的なプラスの効果は生まれなかった。
■ 10連敗となった福岡戦の試合終了後の出来事幸いにして2ndステージの12節はターゲットとなる新潟も敗れたので残留圏のチームとの差は「8」で変わらなかったが残り5試合を全勝したとしても勝ち点「34」止まり。15節の大宮戦(A)で「J2降格」が決まる可能性が出てきた。普通であればここまで連敗が続くと監督の責任問題が浮上してくるが全幅の信頼が寄せられているチョウ・キジェ監督を解任するのはクラブの今後のことを考えても得策とは言えない。
監督交代というのは劇薬なので監督が交代した直後は成績が上向くチームは多い。一方、「監督交代の効果は限定的」と思われることが多いが過去の例を調べてみると8試合程度は持続する。連敗中のチームにとって監督交代は有効な策であり、監督交代が実を結んで成績が良くなった例はたくさんあるがチョウ・キジェ監督を辞めさせるのは難しい。「湘南は監督交代というカードを持っていない。」と言える。
福岡との直接対決で敗れたショックは大きくて試合後にゴール裏に挨拶に行った監督や選手がずっとその場にとどまってゴール裏のサポーターと話し込んでいる様子がスカパー中継の中で全国に届けられた。サポーターからはブーイングも出ており、警備員の方も集まってきていたので不穏な空気が流れていた。どちらかというと穏やかなサポーターが多い湘南のホームゲームでは極めて珍しい光景と言えるだろう。