声の文化と文字の文化/ウォルター・J・オング
ウォルター・J・オングの『声の文化と文字の文化』。原題は"Orality and Literacy"。
当ブログではここ最近何度も取り上げてきたこの1冊を今日はあらためて紹介してみようと思います。
著者自身が「序文」で書いているように、この本の主題はオラリティー(声の文化)とリテラシー(文字の文化)の違いを明らかにすることです。
あるいは、すでに文字があることやそれを使って生きるということに親しみすぎてしまって、もはや文字がない生活や思考がどういうものなのか想像もできなくなっている僕ら現代人にも、文字のない声の文化における思考や言語表現がどのようなものであるかを知れるようにすることが本書の主題だともいえます。
実際、文字を使って思考し生きることに親しみすぎてしまっている僕らは、文字をもたない人びとがどれほど自分たちとは異なるかを想像することもできません。
例えば、こうやってブログを書くことに関してもそうです。文字がなければブログが書けないのは当然としても、実は文字がなければ文章でそれを表現できないどころか、同じような内容で考えることさえできないことを僕らは見過ごしています。
僕自身、実際、文字をたよりにせずに、いつも書いているように長文のブログと同じ内容を話せるかといわれると絶対無理だと思います。似たような事柄を含む話はできると思いますが、ブログで書いているような文体で話をすることはまず不可能です。よく実際に会ってみるとブログを読んでいる印象と違うと言われること…