ハーモニー/伊藤計劃
「僕らはきっと、とっとと個人であることをやめなくてはいけないのかもしれません」
そんなことを、僕は1つ前のエントリー「「個人」という古い発明品」で書きました。
そして、そんな一言が、僕をこの故・伊藤計劃さんの『ハーモニー』を読むことに誘ってくれました。
<theorem:number>
<i:こどもがおとなになると、言葉になる>
<i:おとながしびとになると、泡になる>
</theorem>
いや、それは正確じゃない。より正しく言うのなら、
<rule:number>
<i:こどものからだは、おとなになるまで言葉にしてはならない>
<i:おとばは死んだら、泡になるまで分解されなくてはならない>
</rule>
という禁止で語られるべき。」
伊藤計劃『ハーモニー』
そう。これはETML 1.2というマークアップ言語で書かれた本。
この”E”が何かはここでは明かしません。実際に読んでみて、自分で見つけて欲しいと思うから。
とはいえ、このETML 1.2でマークアップされているってことに、僕はそれほど興味がひかれたわけではありません。
僕はもうすこし違うところに興味をひかれて、この本を読み進めたのでした。