秘密の動物誌/ジョアン・フォンクベルタ&ペレ・フォルミゲーラ
「存在する」とはどういうことを指すのだろう?
何が確かに存在していて、何が存在していないと言えるのか?
神は存在するのか? 幽霊は? 宇宙人は? ドラえもんは? 聖徳太子は?
ネッシーは? つちのこは? 龍は? 一角獣は? ピカチューは?
知っているけど、存在しているか(いたか)、よくわからないものはたくさんある。
では、どんな証拠があれば、それらは存在している(いた)と言えるのか。
16世紀のボローニャの博物学者ウリッセ・アルドロヴァンディは、植物・動物の膨大な標本を残し、それらの標本を整理、分類した博物学の書物を複数書いている。医学博士でもあったアルドロヴァンディは、イタリア各地を植物の採集にまわり、集めた植物を育てる植物園も作っている。科学という言葉はまだなく、大まかに博物学という言葉でまとめられてた。
その弟子が、アルドロヴァンディの残した多量の図譜を元に編んだ『怪物誌』という本がある。そこには下の図版の人面鳥をはじめとする奇妙な生き物たちが描かれている。
ウリッセ・アルドロヴァンディ『怪物誌(Monstrorum historia)』より、"Harpyje"
それらがすべて怪物かというとそうではなく、海の象だとか、海の司祭などの形で描かれたセイウチも含まれる。ようするに、この『怪物誌』に描かれた怪物らしく描かれたとても居そうにない生物たちが本当に存在しないか、セイウチのように実は存在しているかはよくわからない。
科学や技術が発達して、いろん…