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 「宮床宝蔵」のすぐ近くには、「原阿佐緒(はらあさお)記念館」があった。
 「大正の三閏秀歌人」の一人として活躍した歌人の生家なのだそうだが、浅学菲才のためその人物を知らなない。1888年生まれで短歌を与謝野晶子に師事し、のちアララギ派の斎藤茂吉、島木赤彦の指導を受けた人物であるとのこと。
 ここはその原阿佐緒の擬洋風建築の復元生家であり、帰郷した48歳から20年ほど、この家で暮らしたそうだ。中は資料の展示室になっているらしいが、開いているか閉まっているのか……。

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(原阿佐緒記念館)

 どーれ、まだ明るいけれども、そろそろ風呂に入りたくなってきたな。
 このあたりには半公営の日帰り温泉施設がわりかしあちこちにあって、利用するならこの辺かなと2つの施設を念頭に置いていた。
 一つは加美郡色麻町の色麻町平沢交流センター「かっぱのゆ」、もう一つは加美郡加美町の「やくらい薬師の湯」で、現在地の宮床から近い「かっぱのゆ」をまずチェックして、すごくよければそこで入浴することにし、判断に迷う場合は「やくらい薬師の湯」まで走ってこちらで入ることにする。選択肢が広いって、スバラシイ。でもまあ、時間からいえば後者になる可能性が高いかな。

 「かっぱのゆ」は、館内を見せてほしいと窓口に申し出ると、「見学者」の名札を出してきて、どうぞご覧くださいとにっこり。おおっ、対応いいぞ。
 本館にあるメインの浴室は、ジェットバス・打たせ湯・サウナ・歩行浴など各種タイプの温泉浴が楽しめ、露天風呂は別棟の別館にある。これら2か所の間は裸でうろつくわけにはいかず、いったん服を着て移動しなければならないところがネックかもしれない。まだ15時半だし、入浴は次でとしようか。
 「色麻町平沢穀菜センター(産直所)」が隣接して建っており、地元産の農産物や加工品を揃えているが、夕刻のこの時間では商品が少なくなっていて、ちょっぴりさえないのだった。

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(色麻町平沢交流センター「かっぱのゆ」)

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(色麻町平沢穀菜センター)

 「かっぱのゆ」から15分ほど走って、「やくらい薬師の湯」。旧加美町のシンボルの薬莱山の麓に湧き、男女各100名が一度に入浴できる大浴場、大露天風呂等がある。よし、ここで入ろう。
 その前に、ここでも「やくらい土産センター・山の幸センター」が隣接していたので入ってみる。やくらいわさびがウリのようだが、ここも終業時間か近く、品物が少ない。
 さあ、風呂。入浴料800円と聞いていたが、16時以降は500円で入れるようでラッキー。広い大浴場は湯温がほどよく、その外にある露天風呂も大きくてゆったりできる。ここの風呂は他と比較してもかなりいいのではないか。

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(やくらい土産センター・山の幸センター)

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(やくらい薬師の湯)

 風呂から上がり、無料で休憩できる大広間を一人で占領する形となり、ごろりと横になって文庫本を読む。ああ、サイコーだ。日帰り温泉の醍醐味はむろん風呂にあるのだが、この時間も大事なのだ。
 ところが、山間地にある施設のためスマホの電波が届いていないらしく、ウェブが使えない。ということは地図も見られず情報も取れずで、こうなるとここでゆっくりしている理由のひとつがなくなるのだった。ここの食事処で絶品だというわさビフ丼1,000円を食べて行ってもいいかなと思っていたが、残念ながらこれでは省略になっちゃうな。

 「薬師の湯」を出て17時半過ぎ。こうなると、明日のルートを考えれば今夜の泊地は「道の駅三本木やまなみ」となりそうだが、その前にもう1か所、「加美町中新田交流センター」に立ち寄ってみよう。
 加美郡加美町の、コロニアルスタイルの旧鳴瀬小学校校舎を保存活用した社会教育施設。木造校舎の懐かしさを残しつつ、モダンな内装の館内は研修室、体育館、宿泊施設が整っている。ここでは教育、芸術、文化、スポーツなどをテーマとして今も多くの交流が行われているという。
 18時半の夕暮れ時で、落陽の光を浴びたいい表情の建物を見ることができた。

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(加美町中新田交流センター)

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(夕日を浴びて威風堂々)

 途中コンビニで弁当と缶チューハイを買い込み、19時過ぎの暗くなりかけた頃に、大崎市三本木、国道4号のすぐ脇にある「道の駅三本木やまなみ」着。今夜はここでステイだ。
 道の駅はもう閉まって鍵がかかっているのでやることはなく、あとは車内で静かに食べて飲んで、眠くなったら寝るばかりだ。
 暗い車内でカーナビの小さいテレビ画面を見ながら、今日はもう運転はしないんだもんねとばかりに呷る缶チューハイがうまい。もそもそと一人でつつく弁当も、連日だとウンザリするものだが、たまにこうやって食べればそれもまた楽しく、それなりに味わい深いものがある。ああ今夜、俺は一人ぼっちで、世の中からは全く隔絶したところで妙な寛ぎ方をしているのだなぁ、と。
 いい感じで眠くなってきた21時前、歯を磨き、小用を足して、ベッドとなるトランク+リアシートに移動。これまでいつも、リアシートの背もたれ下に当たる部分の出っ張りが痛くて安眠を阻害されていたので、今回は倒したシートの下に厚みのある座布団を噛ませてみた。するとこれが大正解。背骨に当たる硬いところがあまり気にならない上に、頭の位置が少し高くなって、とても眠りやすかった。したがって、横になるやほぼすぐに眠りへ。

 5月9日の走行距離は、166kmだった。

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