■ 11年ぶりのチャンピオンシップ11年ぶりに復活したチャンピオンシップの準決勝。1stステージ王者で年間2位の浦和レッズがホームの埼玉スタジアムで年間3位のガンバ大阪と対戦した。チャンピオンシップに出場する権利を得たのは広島・浦和・G大阪の3チームだったため、11月25日(水)に行われる予定だったチャンピオンシップの1回戦は開催されず。準決勝の勝者は年間1位の広島とホーム&アウェイで戦う予定になっている。
ホームの浦和は「3-4-2-1」。GK西川。DF森脇、那須、槙野。MF柏木、阿部勇、関根貴、宇賀神、梅崎、武藤雄。FW李忠成。26試合で12ゴールを挙げたFW興梠は首を痛めているため欠場。2ndステージの最終節の神戸戦(H)で1ゴール2アシストの大活躍を見せたFW李忠成が1トップでスタメンとなった。元日本代表のFW李忠成は今シーズンは24試合で2ゴールのみ。スタメンはわずか7回と出番に恵まれなかった。
対するアウェイのG大阪は「4-2-3-1」。GK東口。DFオ・ジェソク、西野、丹羽大、藤春。MF遠藤、今野、阿部浩、宇佐美、大森。FWパトリック。8月上旬の東アジアカップのときに日本代表デビューを果たしたMF倉田はベンチスタートでMF宇佐美はトップ下でスタメンとなった。MF宇佐美は34試合で19ゴールを挙げて得点ランキングは3位だった。DF米倉、FWリンス、FW長沢駿などがベンチスタートとなった。
■ 延長戦の末にG大阪が3対1で勝利前半はほぼ互角の展開となる。浦和がボールを保持してG大阪がカウンターで攻め込む展開になるかと思われたが、ボール支配率は同じくらい。前半13分に浦和のMF阿部勇が惜しいヘディングシュートを放つと、前半18分にG大阪はFWパトリックのパスを受けたMF阿部浩が右足で強烈なシュートを放つがポスト直撃で先制ならず。このシーンがG大阪にとっては前半で最大のチャンスだった。前半は0対0で折り返す。
迎えた後半2分にG大阪は高い位置でMF大森がボールをカット。キーパーのGK西川にプレッシャーをかけたためゴール前に残っていたMF今野が右足で落ち着いて決めてG大阪が先制に成功する。浦和は後半18分にDF那須とMF梅崎を下げてMF青木拓とFWズラタンを投入。すると後半27分にMF柏木のCKからDF森脇のヘディングがバーに当たって跳ね返ったボールをFWズラタンが押し込んで1対1の同点に追いつく。
1対1になった後は浦和ペースで進んでいく。後半終了間際にはDF森脇のクロスからMF武藤雄がヘディングシュートを放つがGK東口とバーが防いで逆転ならず。試合は15分ハーフの延長戦に突入。延長の後半13分にG大阪はGK東口の素晴らしいフィードからサイドを完全に崩すと途中出場のMF米倉のクロスから左SBのDF藤春が利き足ではない右足で合わせて土壇場で2対1とG大阪が勝ち越しに成功する。
さらに延長戦の後半16分にはMF遠藤のパスからFWパトリックが決めて試合を決定付ける。結局、3対1でアウェイのG大阪が勝利。下剋上を果たしたG大阪はチャンピオンシップの決勝戦で広島と対戦することが決まった。第1戦は12月2日(水)に万博競技場で行われて、第2戦は12月5日(土)にエディオンスタジアムで開催されることが決まった。敗れた浦和は2006年以来のリーグ制覇ならず。悔しい敗戦となった。
■ まさかのバックパスのミスが・・・。00年代中盤から後半にかけて何度もタイトル争いを繰り広げて「新・黄金カード」と呼ばれていた浦和 vs G大阪はなかなかの激闘となった。1対1のままで120分の戦いが終了するとPKを行う決まりになっていた。日本代表でレギュラー争いを繰り広げているGK西川とGK東口がいるPK戦もかなりの熱戦になっただろうことは容易に想像できるが、試合終了間際に2ゴールを奪ったG大阪が3対1で競り勝った。
延長戦の後半13分に生まれたDF藤春のゴールはドラマチックだった。その前にDF丹羽大のバックパスがミスになって「あわやオウンゴール」という場面だったが、GK東口が何とか体に当ててバーに救われると、そこからのカウンターで決勝ゴールを奪った。バーに跳ね返ったボールを素早く処理して右サイドのDFオ・ジェソクに正確なミドルパスを送ったGK東口の一連のプレーは見事というしかないプレーだった。
仮にDF丹羽大のバックパスがそのままゴールに吸い込まれて浦和が勝利していたらDF丹羽大は「伝説」になっただろう。誰しもが「ええっ!?」となるようなプレーだったが、このプレーが起こった後、浦和の選手は集中力がやや切れてしまった。GK東口のフィードから始まったG大阪のスムーズな攻撃は鮮やかで、DF藤春の決勝ゴールは(大チョンボ未遂の)DF丹羽大のプレーとの対比でより一層輝いて見えた。
■ 勝負強いチームになりつつあるG大阪G大阪はアウェイで浦和を下して決勝進出を果たしたが勝負強さが光った。決定機の数では浦和の方がかなり上回っており、ゴール前を脅かすシーンも浦和の方が多かった。もちろん、GK東口の好セーブに救われた部分も大きかったが、長谷川監督になってからのG大阪は大事な試合で勝ち切る勝負強さを持っている。ペトロヴィッチ監督になってからは「勝負弱さ」が目立ってしまう浦和とは対照的である。
G大阪は西野監督が率いていた時もいくつものタイトルを獲得しているが「勝負強いチームである。」という印象はあまりない。大事な試合で勝てないことも少なくなかったが、長谷川監督になってからは内容的に相手を下回っている試合であっても何とかして勝利まで持っていくケースが増えている。Jリーグのクラブの中で「勝負強い」と感じるのは鹿島くらいだったが、G大阪もその仲間に入ろうとしている。
MOMは文句なしで好セーブを連発したGK東口で、ゴールを決めたMF今野、DF藤春、FWパトリックの3人の活躍も目立ったが、右SBのDFオ・ジェソク、左SHのMF大森あたりの活躍も目立った。DFオ・ジェソクは先の山形戦(H)はさっぱりの出来。後半早々に交代となったが、この日は攻守両面で安定していた。逆に山形戦(H)でもっとも目立っていたMF大森は好調を持続。ここ最近の充実ぶりは素晴らしい。
■ 大事な試合で勝てないことが多い浦和レッズ敗れた浦和はリーグ制覇の可能性が消滅した。1stステージを制覇していち早くチャンピオンシップの出場権を獲得したが、一番早く敗退するチームになってしまった。後半終了間際のMF武藤雄のヘディングシュートがバーに当たったシーンなど決定機の数は浦和の方がはるかに多かったが、「大事な試合になると決定力を欠くことが多い。」という近年の浦和の弱点を露呈するような試合展開になってしまった。
普段のリーグ戦とは違って延長戦があるので「120分の戦い」も想定しなければならない試合だったが、先を見据えた選手起用が出来ていたのはG大阪の長谷川監督だった。もちろん、後半2分にG大阪が先制ゴールを奪ったので浦和は「とにかく同点に追い付かなければならない。」という状況。選手交代に関して違いが生じるのは当たり前であるが、浦和の方は延長戦に入ると足の止まる選手が目立つようになった。
結局、G大阪の交代は全て2列目。一方の浦和の交代でベンチに下がったのはシャドーのMF梅崎と左WBのMF宇賀神と3バックの中央のDF那須。「体力的に厳しくなった選手を代える。」という選択だった長谷川監督に対して、浦和は攻めに出るための交代をせざる得なかった。浦和の今シーズンは3位で終了。ブッフバルト監督のときは嫌らしいほどの勝負強さを発揮したが、近年は大事な試合で勝てないケースが多い。
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