■ 第10節J1の第10節。他の8試合は「5月7日」に開催されたが、ACLの関係で鹿島アントラーズとガンバ大阪のカードだけ未消化になっていて、この日に組み込まれた。鹿島は5勝7敗4分けで勝ち点「19」の14位。対するG大阪は9勝4敗3分けで勝ち点「30」の5位。両チームとも2試合消化が少ない状況である。G大阪はMF宇佐美が移籍してから0勝1敗1分けと勝利がない。
ホームの鹿島は「4-2-2-2」。GK曽ヶ端。DF西、岩政、中田浩、アレックス。MF増田、小笠原、野沢、フェリペ・ガブリエル。FW大迫、田代。日本代表経験のあるFW興梠は怪我のため欠場。右腓腹筋の肉離れで全治3~4週間と発表されている。
対するアウェーのG大阪は「4-2-2-2」。GK藤ヶ谷。DF加地、中澤、山口、下平。MF明神、遠藤、武井、二川。FWイ・グノ、キム・スンヨン 。ザスパ草津から獲得したFWラフィーニャが初のベンチ入り。韓国代表のFWイ・グノは4試合連続ゴール中で、リーグ戦では6ゴールを挙げている。
■ FWイ・グノが決勝ゴール試合は前半7分にアウェーのG大阪が先制する。高い位置で相手のボールを奪ったFWキム・スンヨンがドリブルで仕掛けてから絶妙のパスを右サイドのMF武井に送ると、MF武井が強烈なシュートを決めてG大阪が先制する。MF武井はリーグ戦では今シーズン初ゴールとなった。
先制された鹿島は、前半19分にセットプレーからMF野沢のボールをFW大迫がヘディングシュート。G大阪のGK藤ヶ谷がキャッチしきれずにこぼれたボールをMF増田が押し込んで1対1の同点に追いつく。MF増田は今シーズン3ゴール目となった。前半は1対1で終了する。
後半は鹿島のどちらかというとペースで進むが、G大阪は後半20分にFWキム・スンヨンとMF二川に代えて、FWラフィーニャとMF佐々木を投入。G大阪でのデビュー戦となるFWラフィーニャを起用して勝ち越しを狙うと、これが大成功する。
まず後半35分に右サイドからクロス入れると、相手のクリアが不十分になったところをペナルティエリアでFWラフィーニャがうまくコントロールしてから左足でシュート。GK曽ヶ端がキャッチできずこぼれたボールをゴール前のFWイ・グノがつめて2対1と勝ち越しに成功する。FWイ・グノは5試合連続ゴールとなった。
さらに後半38分には、カウンターからMF佐々木のスルーパスを受けたFWラフィーニャが裏に飛び出して、GKもかわしてから無人のゴールに流し込んで3対1とリードを広げる。FWラフィーニャは移籍後初ゴール。G大阪は後半43分にも、左サイドに流れたFWラフィーニャのパスからFWイ・グノが決めて4対1とリードを広げる。FWイ・グノは2ゴールの活躍。結局、4対1でG大阪が圧勝。3試合ぶりの勝利で4位に浮上。対する鹿島は2連敗となった。
■ FWラフィーニャが鮮烈デビュー非常に暑い中での試合となったので、両チームとも攻撃のテンポを上げられないままで、ゆったりとした試合展開となったが、G大阪はデビュー戦となったFWラフィーニャが、後半の3ゴール全てに絡む活躍を見せてチームを勝利に導いた。
G大阪への移籍が発表されたのは、ちょうど2週間前だったので、まだ、完全にチームになじんでいるとは言えない状況で、どこまでできるかと思われたが、いきなり、個人能力の高さを見せつけた。FWキム・スンヨンと交代でピッチに入ったので、FWイ・グノと2トップを組むことになったが、初めてとは思えないほどの連携を見せた。
2人とも、高さは無いが、「運動量」も「スピード」も「テクニック」もあって、これまでのG大阪の外国人ストライカーほどセルフィッシュなタイプでもないので、いいコンビとなりそうで、さらに連携が高まっていけば、ゴールを量産しそうだ。
■ FWイ・グノは2ゴールそのFWラフィーニャと2トップを組むことになりそうなFWイ・グノは、これで5試合連続ゴールで、リーグ戦は8ゴール目。得点ランキングでも4位タイとなった。2009年にジュビロ磐田で鮮烈なデビューを果たした頃にはさすがに及ばないが「キレ」が出てきて、FWアドリアーノ退団後は、フォワードの軸におさまっている。
先発2トップを組んだFWキム・スンヨンとは、小学校・中学校・高校とチームメイトで一緒にプレーしていたということで、相性も良くて、互いのことを良く見ている。FWキム・スンヨンはいろいろなポジションでプレーしているので、どこが本職なのか、分からないところがあるが、FWイ・グノの近くでプレーしているときが、一番、輝いているように見える。
■ 4位に浮上これでG大阪は4位に浮上。勝ち点は「33」となって、首位の横浜Fマリノスとの差は「4」となったが、ACLの関係で1試合消化が少ないので、首位争いに加わってきたといえる。原動力となっているのは圧倒的な「攻撃力」で、17試合で42ゴールはリーグでダントツ1位。2位の柏が18試合で34ゴールなので、2位以下を大きく引き離している。
不思議なのは、FWアドリアーノ、MF宇佐美と攻撃の中心になっていた選手が抜けても得点力が全く落ちていないことで、MF宇佐美が抜けてからは3試合で1勝1敗1分けという成績であるが、それでも、3試合で9ゴールを挙げているので「得点力」は落ちていない。これで「17試合で34失点」という脆弱な守備陣が失点を減らすことができたら、首位に浮上してもおかしくないほどである。
■ 鹿島は2連敗一方の鹿島は、悪くない試合展開だったが、ラスト10分で失点を重ねて1対4の完敗し、順位は14位のまま。浮上のきっかけをつかめないままで、ちょうど半分の17試合を終えたことになる。
悩ましいのは、極端に悪い内容の試合が続いているわけではないということである。誰かひとりのせいで勝ち点を取り逃がしているわけでもない。スタメンで出場している11人のうちの多くの選手が「いい状態」とは言えないコンディションで、一人・二人を代えただけで、問題が解決しそうな雰囲気はない。
鹿島という名門のチームが、シーズンを折り返すところで、ここまで苦しんでいるのは記憶にない。こういう状況になって、常勝チームがどう立て直してくるのかに注目したい。
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