■ 準々決勝天皇杯の準々決勝。3連覇を目指すガンバ大阪と、ACL出場を目指す浦和レッズの対戦。浦和はリーグ戦は10位だったので、天皇杯で優勝すればACL出場権を獲得できる。G大阪はリーグ戦で2位だったので、すでにACL出場権は獲得している。
ホームの万博で戦うことになったG大阪は<4-2-2-2>。GK藤ヶ谷。DF安田、高木、中澤、下平。MF武井、明神、遠藤、橋本。FWルーカス、イ・グノ。FW平井、MF宇佐美らはベンチスタート。DF加地が怪我のため欠場。DF安田が右サイドバックに回ってDF下平がスタメン出場。
対する浦和は<4-2-3-1>。GK山岸。DF岡本、坪井、山田暢、宇賀神。MF細貝、堀之内、ポンテ、柏木、高橋。FWエジミウソン。MFポンテは今シーズン限りでの退団が決定している。
■ ガンバがベスト4Jリーグの最終節から中3週間とインターバルがあって、両チームともに難しい条件だったが、両チームともに動きは悪くない。前半は双方が均等にシュートチャンスを作るが、DF安田のシュートがクロスバーを直撃するなど、決めきれずに0対0で終了する。
後半になると、G大阪がペースを握り始めると、後半途中にベンチスタートだったMF宇佐美を投入し、先制ゴールを狙いに行くと、後半25分すぎにカウンターからビッグチャンスを作る。数的優位な状況で絶好のチャンスを作ると、通ればビッグチャンスのパスを浦和のDF山田暢が手で止めて直接フリーキックを得る。一発レッドでもおかしくはないプレーだったが、判定はイエロー。浦和は救われるが、このフリーキックをMF遠藤が見事に右足で直接決めて先制する。
しかし、浦和は後半36分に波状攻撃を仕掛けて、DF宇賀神が左45度の位置からミドルシュート。これが決まって1対1の同点に追いつく。試合は延長戦に突入する。15分ハーフの延長戦の前半13分にG大阪はDF下平のパスからFWルーカスが前線でキープし、ゴール前に走り込んできたMF宇佐美が右足でシュート。これが決まって2対1と勝ち越しに成功する。結局、2対1でG大阪が勝利。ベスト4に進出し、準決勝で清水エスパルスと対戦することになった。
■ 宇佐美が決勝ゴールG大阪は延長戦を制してベスト4に進出。天皇杯の3連覇に向けてまた一歩近づいた。いい形で先制したが、DF宇賀神のミドルで追いつかれて、FW田中達やFWエスクデロといった浦和の途中出場の選手にかき回されるシーンもあったが、途中出場のMF宇佐美が値千金のゴールを決めてチームを勝利に導いた。
アジアカップの日本代表からは外れてしまったが、今シーズンのMF宇佐美は決定的な仕事のできる選手にグレードアップしており、選手層の厚いチームなので常時スタメンとはいかないが、チームへの貢献は非常に高い。今シーズンは7ゴールを挙げており、高校3年生としては立派な数字であるが、簡単なシュートを外していて、難しいシュートを決めている印象が強い。
シュート本数は日本人ではトップであり、シュートまで持ち込むことは出来ているので、あとはいかに確実に決められるかである。それが出来れば二桁ゴールは確実であり、日本代表入りも見えてくる。準決勝はMF遠藤が出場停止のため、MF宇佐美にスタメンの座が回ってくる可能性もある。MF宇佐美にとっても、いいシーズンだったので、最後の一仕事にも期待したいところである。
■ デンマーク戦のようなゴール本人は否定していたが、この日のフリーキックからのゴールは位置といい、シュートの軌道といい、6月の南アフリカ大会のデンマーク戦のフリーキックを思い起こさせる見事なゴールだった。右足で蹴ったボールは、上手く壁を巻いて、鮮やかにネットの隅に突き刺さった。
アジアカップを控えており過密日程が心配されるが、この日のプレーを見る限り、コンディションはよさそうで、MF中村憲が代表から外れており、ゲームメーカータイプはMF遠藤くらいであるので、彼にかかる期待は大きい。元日の決勝まで進出すると、ほとんど休みなしでアジアカップに臨むことになるので、このスケジュールは疑問であるが、どうしようもないので、とにかくパンクせずに頑張ってほしいところである。
■ 両サイドバックの活躍この試合は、両チームともにサイドバックの活躍が目立った。G大阪は右がDF安田、左がDF下平という配置だったが、特に右サイドのDF安田はドリブルでサイドをきり崩しシーンも多く、たくさんのチャンスを作った。
もともと右利きであるが、得意とするのは左サイドで、左サイドの方がしっくりくるが、右サイドも出来ないこともない。日本代表のサイドバックは激戦区であるが、両サイドをこなすことができるとメンバー入りの可能性も高まる。今シーズンは、調子は良かったが、右サイドのDF加地が衰えを見せ始めているので、DF安田が右も水準以上にこなすようになると、チームの戦略の幅は広がる。
一方の浦和は右がDF岡本、左がDF宇賀神という配置。左のDF宇賀神は得意のミドルシュートでゴールを生み出したが、右サイドのDF岡本のプレーも悪くなかった。この選手もプラチナ世代であり、まだ高校3年生であるが、終盤はレギュラーを確保しており、将来が期待されており、定評のある守備力だけでなく、うまくゴール前に侵入してきてシュートチャンスに絡んでくる。センスを感じさせる選手である。
■ フィンケ監督のラストゲーム1対2で敗れた浦和は今シーズンが終了。ACL出場はならず、今シーズンも無冠に終わった。この試合をもって、フィンケ監督、MFポンテ、MF細貝らがチームを離れることになって、チームは新たな道を進むことになる。
この試合はフィンケ監督の2年間を象徴するような展開となった。それなりにボールをキープしチャンスを作ってたが、爆発力はなく、得点が欲しい時間帯で奪えないもどかしいものであった。この2年間でフィンケ監督が作り上げたものや、育て上げたものはいくつかあって、それらは浦和にとっては財産といえるものであるが、新しい監督になって、どれだけその遺産を生かせるかどうかで、浦和というチームが今後、成功できるか、出来ないかにかかわってくるだろう。タイトルは獲れなかったが、冷静に2年間を振り返って、積み上げたものを生かしてほしいところである。
人気エントリー ガンバ大阪編 (ベスト10)第01位 0684 2007/08/11
【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記#12) 第02位 0802 2007/11/04
【ナビスコ決勝戦:川崎F×G大阪】 決勝戦・体験記 (生観戦記 #20) 第03位 1101 2008/06/19
DF水本裕貴の退団とカンテーラについて第04位 1272 2008/12/15
【クラブW杯:G大阪×アデレード】 世界の舞台 デビュー戦 (生観戦記 #20)第05位 0649 2007/07/14
【ナビスコ:G大阪×浦和】 飛翔する家長 第06位 1069 2008/05/19
さいたまスタジアムの騒動に関して第07位 1918 2009/12/21
クラブとしてのビジョンを失いつつあるガンバ大阪第08位 0998 2008/04/04
【G大阪×東京V】 遠藤ヤットの存在 (生観戦記 #2)第09位 0637 2007/07/07
【ナビスコ:浦和×G大阪】 現れた超新星 第10位 1912 2009/12/19
MF佐々木勇人(G大阪)が全Jリーガーの中で№1だったある数値 (J1編)
- 関連記事
-