■ 第29節6勝12敗10分けで勝ち点「28」のFC東京と、14勝7敗7分けで勝ち点「49」のガンバ大阪の対戦。FC東京は15位で、16位のヴィッセル神戸との差は「2」のみ。28節は清水エスパルスに2対1で勝利している。対するG大阪は28節で神戸に2対4で敗北。ホームで痛い星を落とした。
ホームのFC東京は<4-2-2-2>。GK権田。DF椋原、森重、今野、中村北。MF徳永、米本、石川、羽生。FW大黒、平山。MF梶山が出場停止。28節の清水戦でスタメン復帰したMF米本は2試合連続スタメン。
一方のG大阪は<4-2-2-2>。GK藤ヶ谷。DF加地、高木、中澤、安田。MF明神、遠藤、橋本、二川。FW平井、イ・グノ。FW宇佐美はベンチスタート。MF明神が21節以来となる久々のスタメン。DF加地は古巣のFC東京との対戦となった。
■ 痛み分けのドロー試合の序盤はFC東京ペース。MF石川がスピードに乗ったドリブルから再三、チャンスを作る。先制したのはFC東京。前半20分に左サイドからMF羽生がクロスを入れるとFW大黒がうまく合わせてゴール。FW大黒は今シーズン6ゴール目。ここ5試合で4ゴール目。前半は1対0のFC東京リードで折り返す。
後半開始からG大阪はFW平井に代えてFW宇佐美を投入。FW宇佐美の投入で流れが変わり始めて、G大阪ペースとなる。しかし、同点ゴールは生まれず時間だけが進んでいくが、後半37分にコーナーキックを獲得すると、MF遠藤の上げたボールをDF中澤がヘディングで決めて1対1に追いつく。DF中澤は4ゴール目。ここ7試合で3ゴールとセットプレーで威力を発揮している。
その後、FC東京はFW平山がシュートチャンスを迎えるがゴールならず。結局、1対1のドロー。神戸が仙台に勝利したため、FC東京は神戸に勝ち点で並ばれてしまった。一方のG大阪が2試合連続で勝利ならず。逆転でのリーグ制覇は絶望的となった。
■ 終盤に追いつかれる後半はピンチのシーンもあったが、試合全体を見ると内容も良くて、1点リードで終盤を迎えたので勝ち点「3」を取りたかったが、セットプレーで失点。勝ち点「2」を失う形となった。
DF今野とDF森重のセンターバックコンビで、高さの無いFC東京はセットプレーではFW平山が戻ってきてハイボールを跳ね返す役割を担っているが、FW平山の届かないファーサイドに蹴って高さ勝負に持ち込んだMF遠藤のキックが見事だった。
相変わらず残留争いは大混戦であるが、ここに来て、FC東京だけでなく、大宮、神戸も白星を挙げるようになってきていて、17位の京都と18位の湘南の残留は絶望的であるが、16位を避けるための激しい戦いが続いている。前節、FC東京はアウェーで清水に勝利したが、神戸もアウェーでG大阪に勝利。なかなか両チームは離れずにいる。
■ 熾烈な争い残留争いは、大宮は順延になった湘南戦を残していて消化試合が少ないが、29節で勝ち点を伸ばせなかった山形、仙台、大宮、FC東京、神戸の5チームで争う状況になっている。
山形は「35」、仙台は「34」なので、あと1勝すれば、残留の目安となる「37」に到達するが、あと5試合でプレッシャーのかかる試合が続くので、1つも勝ち点を積み重ねられないということも考えられる。残留までのにリーチがかかっているとはいえ、この5チームで争っていると考えるのが妥当だろう。苦しいのは、FC東京と神戸であるが、調子自体は上がってきており、先は全く読めない。最後までもつれるだろう。
■ 米本拓司の復帰FC東京は2009年のナビスコカップのMVPでロンドン五輪代表の中心の一人として期待されているMF米本がようやく28節から復帰。シーズン前の2月25日の練習中に負傷し長期離脱していて、FC東京が低迷する一番の要因となっていたMF米本が復帰したことで、FC東京はチーム力が大幅にアップした。
MF米本不在の間、いろいろな選手をボランチで試したが、なかなかフィットせず、その存在の大きさを感じさせたが、復帰2試合目となったG大阪戦でも、攻守に渡ってアグレッシブにプレーし、ブランクを感じさせない働きだった。一人のボランチでここまで変わるというのが、サッカーの面白いところであり、難しいところである。
そのプレーの特徴は「手足の長さ」を生かしたダイナミックな守備。登録では176㎝ということで標準的なサイズであるが、ピッチ上ではもっと大きく見える。相手とのコンタクトのときに、手足がスッと伸びてくるようなプレーは、インド出身の僧侶の「ダルシム」を思い起こさせる。2008年、2010年と2大会連続でU-19代表が世界大会出場を逃したが、ボランチの人材不足が大きかった。1990年生まれでロンドン世代のボランチでは飛び抜けた実力を備えるMF米本の完全復活はFC東京のみならず、日本サッカー界全体にとっても明るい話題である。
■ 宇佐美投入で流れを変えるも・・・一方のG大阪は後半開始からFW宇佐美を投入して流れを変えるが、チーム全体としては今一つのプレーに終始。疲れもあったのか、動きの鈍い選手が多かった。G大阪はFWイ・グノの加入や、FW平井、FW宇佐美の成長で前線の層は厚くなったが、まだ最適な組み合わせを見つけられないままである。
いろいろな事情があったにせよ、18歳とはいえ、攻撃の軸となっているFW宇佐美をスタメンから外したことも不可解であり、アタッキングサードからのFW宇佐美の仕掛けから後半に何度もチャンスを作っていただけに、彼が45分しかプレーできなかったことはマイナスに働いた。
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