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【Jリーグ】全盛期の小野伸二(FC琉球)を観ている気分になった贅沢な45分間 | | |　

■　台風の影響で延期になった試合

9月21日(土)に行われる予定だったFC琉球 vs 山形の試合は台風17号の影響で延期になった。「前節終了時点で2位と自動昇格圏に付ける山形の試合がいつ行われるのか？」は自動昇格争いの行方を大きく左右する可能性があったが2日後の9月23日(月)に行われた。山形の選手ならびにスタッフならびにサポーターが沖縄まで遠征するのは大変なことを考えると「ベターな選択と言えたのではないか？」と思われる。

当然、いきなり「延期分の試合は明後日に行います。」と言われると準備は大変である。「3連休明けの9月24日(火)には仕事があるので泣く泣く山形に戻って月曜日の試合を観ることはできなかった。」というサポーターも少なくなかっただろう。連休中とはいっても試合会場を確保してスタッフも集めて試合に向けた準備を行うのはエネルギーを使ったと思うが大きなトラブルもなく無事に試合を開催できたのは良かった。

短い準備期間しかない中で試合開催に向けて奔走した関係者の頑張りは称賛に値するが残留争いに巻き込まれているFC琉球と自動昇格争いに絡んでいる山形の対戦ということで注目度は高かった。9月23日(月)に行われたJリーグの試合はFC琉球 vs 山形のみ。大きな注目が集まる中で試合が開催されたが熱戦になった。両チームともコンディション作りは相当に難しかったと思うが最後まで目の離せない展開になった。

■　ライバルクラブの期待を一身に集めたFC琉球

先制したのはホームのFC琉球だった。前半30分にC大阪から加入した19才のFW山田寛が裏に抜け出してから左足で決めて先制に成功する。FW山田寛は3試合目の出場でJ2初ゴールとなった。1点を追う山形は後半11分に大卒ルーキーのMF坂元のミドルシュートで1対1の同点に追いつくと後半32分には途中出場したFWジェフェルソン・バイアーノが相手のハンドで得たPKを確実に決めて2対1と逆転に成功する。

さらに後半36分にはMF柳のグラウンダーのクロスが相手のオウンゴールを誘って山形が3点目を奪った。「勝負あり」と思われたが後半40分に途中出場したMF風間宏希のPKでFC琉球が1点差に迫ると後半46分にはFW山田寛のパスを受けた途中出場のFW上原慎がミドルシュートを決めて土壇場で3対3の同点に追いついた。終盤に2ゴールを奪ったFC琉球は「J2残留」に大きく前進する貴重な勝ち点「1」を獲得した。

昇格争いに絡んでいる柏や横浜FCや水戸や大宮や京都や岡山や甲府のサポーターはFC琉球に肩入れしながら試合を観戦しただろう。前節終了時点で2位の山形でここで勝ち点を取りこぼしてくれるとライバルチームにとってはラッキーなことである。逆に残留争いに絡んでいるFC岐阜や栃木SCや鹿児島や町田や福岡や千葉などのサポーターは(そこまでではないが)山形に肩入れしながら試合を観戦しただろう。

■　1ゴール1アシストの山田寛人はJ2初ゴール

FC琉球は自動昇格争いをしている他所のクラブのサポーターの期待も受けて試合に臨んだが「いい試合を見せた。」と言える。特に前半の出来は素晴らしかった。同じ日に自分が応援するチームの試合があると他のチームの試合までカバーしにくくなるので「FC琉球の試合を観る機会はこれまでほとんどなかった。」という人も多かったと思うが注目が集まる試合でいい試合ができるとクラブのイメージは良くなる。

8月末にJ1のC大阪から育成型期限付き移籍でFC琉球に加入したFW山田寛は3試合目の出場だった。3試合連続のスタメン出場だったが1ゴール1アシスト。見事な活躍を見せた。今夏、エースのFW鈴木孝がJ1のC大阪に引き抜かれたのでFC琉球は「CF不足」で苦しんだ時期もあったがJ3でゴールを量産していた若手の有望株を借りることが出来たのは大きかった。FC琉球のフォワードの軸になりつつある。

181センチとサイズに恵まれた選手になるがスピードがあってテクニックもある。ターゲット系の選手ではなくて、自らドリブルで仕掛けたり、裏のスペースに飛び出してシュートチャンスを作るタイプのCFになるが前線でのボールのおさまり具合も抜群だった。ボールを受ける回数は多かったがほとんどミスするなくボールをキープしてたくさん起点になった。ここまでJ2でやれるとは思っていなかったので驚きである。

■　「セクシーなスルーパス」だった。

前任のFW鈴木孝もC大阪に加入して3試合目でJ1初ゴールを奪っている。FW鈴木孝が試合に絡むようになってからリーグ戦は4連勝なのでFW鈴木孝も初のJ1で頑張っているが負けじとFW山田寛もFC琉球でいいプレーを続けている。「どちらの選手にとってもいい移籍」になりつつあるがこの試合で目立ったのはボランチの位置でスタメン出場した元・日本代表のMF小野伸になる。別格の存在感を発揮した。

「黄金世代の旗手」であるMF小野伸は1979年9月27日生まれになる。今週の金曜日で40才の大台に突入する。次節は9月29日(日)の町田戦(A)なので「この日の山形戦が30代最後の試合」だったが前半の出来はほぼパーフェクトだった。前半の山形の動きがやや重かったことも関係しているが自由自在に試合とボールをコントロールしつつ、要所ではキラーパスを供給。相手にとって脅威となるプレーを続けた。

圧巻だったのは前半40分の「このプレー」になる。「左サイドにいるFW山田寛にパスを出す。」と誰しもが思う中、右足アウトサイドでスペースに走ったMF富所にパーフェクトなパスを送って決定機を演出した。MF富所の左足のシュートはポストに直撃してゴールとはならなかったが「これぞ、小野伸二」というプレーを見せた。鳥肌ものだった。ゴールにはならなかったがエキサイティングなシーンだった。

札幌時代は怪我が多くて出場機会に恵まれなかった。間もなく40才になる選手である。移籍が決まったときは「素晴らしい人間性を持っているのでチームメイトならびにクラブにいい影響を与えるのは間違いないがピッチ上で存在感を発揮するのは難しいのでは？」と記述しているが前半の45分間は「全盛期の小野伸二」を観ているような気分になった。流行りの言葉を用いると「セクシーなスルーパス」だった。

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