■ 2018年のJ3でMVP級の活躍2018年のJ3を制して初のJ2昇格を決めたFC琉球はオフに金鍾成監督が退任。主力だったMF富樫、MF枝本、DF瀧澤、GK朴一圭が流出したので「どういうチームになるのか?」の予想が難しかったが開幕戦はホームで福岡に3対1で勝利。J2での初勝利を手にすると2節はアウェイで大宮に4対3で勝利した。終盤に連続失点して最終的なスコアは1点差だったが一時は4対1と大量リードを奪った。大きなインパクトを残した。
3節はホームで愛媛FCと対戦したがMF上門とFW鈴木孝がゴールを決めて2対0で勝利。開幕3連勝を達成して首位に浮上した。ホームではずっと負けておらず23試合負けなし。圧倒的な強さを誇る。中心になっているのは3試合で5ゴールを挙げているエースのFW鈴木孝と3試合で4アシストを記録しているトップ下のMF中川風の2人になる。MF富樫やMF枝本が抜けた影響を全く感じさせない戦いを見せている。
昇格チームのFC琉球がJ2の序盤の主役になっているが3月15日(金)に激震が走った。攻撃の中心だったMF中川風がJ1の横浜FMに完全移籍することが発表された。2018年はJ3で32試合に出場して16ゴール10アシストを記録。J3で年間MVP級の活躍を見せた「新しいチームの顔」が開幕直後にステップアップの移籍を決断した。攻撃の中心として替えの利かない選手になっていたのでダメージは相当に大きい。
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■ 自分の中でチャレンジしたいという気持ち2019年のJリーグの第1登録期間(ウインドー)は2019年1月4日(金)~3月29日(金)と設定されている。例年、新シーズンが開幕してから新しい選手の獲得に動くチームはいくつかあるが対象となるのは海外のクラブでプレーする外国人選手とチームの構想から外れた選手が大半である。神戸はMFセルジ・サンペール、徳島はFWウリンボエフ、鳥栖はDF岩下、福岡はFWヤン・ドンヒョンを獲得している。
C大阪から福岡に移籍したFWヤン・ドンヒョンを例に出すと彼はロティーナ監督の戦力構想から外れて余剰戦力になりつつあった選手である。「こういう立ち位置の選手が移籍を決断する。」というのは決して珍しくないがMF中川風のようなチームの主力として活躍していた選手が(カテゴリーが上のクラブとは言っても)この時期に移籍を決断するというのは極めて珍しい話である。かなりのレアケースと言える。
夏の移籍市場で主力として活躍していた選手がステップアップを目指してより上のクラブやより上のカテゴリーのクラブへの移籍を決断することは少なくないが「新シーズンが始まったばかりのこの時期のステップアップの移籍」は最近のJリーグではほとんど聞かない話である。本人は公式サイトで「いろいろ考えることもありましたが自分の中でチャレンジしたいという気持ちが強かった。」とコメントしている。
■ どのようにして穴を埋めるのか?に注目イレギュラーな時期の移籍なので、当然、横浜FMからFC琉球に対してそれなりの額の移籍金が支払われることになると思うが、先のとおり、第1登録期間(ウインドー)が閉まるまではあとちょうど2週間である。「FC琉球がどのようにしてMF中川風の穴を埋めようとするのか?」は注目ポイントの1つになる。2週間あるので代役候補を探す作業はそこまで難しくないだろう。FC琉球の次の動きに注目が集まる。
もちろん、「新たな補強は行わずに既存の選手で穴を埋めようとする。」というのも十分に考えられる。昨シーズンの主力だったMF小松駿をスタメンで起用してMF風間宏希をトップ下で起用するというのも1つの方法である。ここ2試合はMF富所に代わって21才のMF上門がスタメンで起用されてゴールを決めているがMF上門とMF富所とMF田中恵で2列目トリオを形成するというのも考えられる対応策の1つである。
最高のスタートを切ったFC琉球がどのように対処するのか?は興味深いがMF中川風にとっては大きなチャレンジになる。2017年の途中にFC琉球に加入しているが「当初はアマチュア契約だった。」と報じられている。不安定な立ち位置だったが実力で認められてFC琉球で主力に定着。2018年の活躍ならびに今シーズンのここまでの活躍が評価されてついにJ1の舞台でプレーするチャンスを得た。
■ J1を代表するクラブへの移籍2017年に加入した時はアマチュア契約だった選手がわずか1年半ほどでJ1でプレーするチャンスを得た。しかも、所属するのはJ1を代表するクラブの1つである横浜FMである。異例の大出世と言えるだろう。Jリーグのアマチュア契約に対する印象はあまり良くないがこういう制度がなかったらMF中川風はJリーガーにはなれなかった可能性もある。埋もれる可能性があった選手が大出世を果たした。
攻撃的なサッカーを志向する横浜FMは「4-1-4-1」 or 「4-1-2-3」を採用しているがこれは昨シーズンのFC琉球と同じである。今シーズンはトップ下でプレーしていたが昨シーズンはインサイドハーフがほとんど。新天地の横浜FMではインサイドハーフでテストされると思うが慣れたポジションなので違和感はないだろう。2018年のJ3の主役になったアタッカーがJ1でどこまで存在感を発揮できるか?は興味深い。
テクニックに関してはJ2の中でもトップクラスである。フィニッシュの精度も高くて判断の正確さにも定評がある。同ポジションにはMF天野純とMF三好がいるのでいきなりポジションを確保するのは相当に難しいと思うがMF三好は五輪代表の活動があるので今シーズンは頻繁にチームを離れるはず。MF大津祐やMF山田康やMFイッペイ・シノヅカなどもライバルになると思うがサッカー選手としては恵まれた環境である。
主力として計算していた選手の突然の退団なのでFC琉球のサポーターの中には「なぜ、このタイミングで・・・。」と思う人は多いと思うが、樋口監督を筆頭に横浜FMとつながりの深い人物がFC琉球には何人もいるのでそういう人のアドバイスを受けた上でMF中川風は移籍を決断したと推測できる。MF小松駿は横浜FMユースの出身で、オフに横浜FMに移籍したGK朴一圭は昨シーズンまでのチームメイトになる。
昨夏の移籍市場はMF小野瀬やFW古橋やFW山崎凌などJ2で活躍していた選手がJ1のクラブに引き抜かれるケースが非常に多かったが「優秀な選手がより高いレベルでのプレーを求めてシーズン途中に移籍を決断するケース」が一気に増えてきた。ただ、先のとおり、開幕直後のこの時期に主力がステップアップの移籍を決断することは近年のJリーグではほとんどなかった。衝撃度の大きい移籍になった。
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