麻耶雄嵩 単語

5件

マヤユタカ

3.1千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

麻耶雄嵩(まや ゆたか)とは、日本推理小説

概要

1969年三重県生まれ。京大ミステリ研出身。先輩である綾辻行人法月綸太郎ペンネームの命名者である島田荘司推薦で、京大在学中の1991年に『ある闇 メルカトル最後の事件』でデビュー。代表作は『ある闇』『夏と冬の奏鳴曲』『』『』『神様ゲーム』『隻眼少女』『さよなら神様』など。

作品内に散りばめられる小ネタパロディ論理的で端正な謎解きと色んな意味で超弩級トンデモトリック然と同居する作、独特の世界観と強キャラクター、そして最後の最後に作品世界を丸ごと崩壊させる結末でカルト人気を誇る新本格の異才。既存のミステリ組みに対して、最大限の敬意を示しつつそれをぶち壊す挑戦的な問題作を書き続けている。そのため高く評価する人も多いが、受け付けない人も多く、初期作品のトンデモ部分は今でもに揶揄する文脈で)ネタにされることがある。『ある闇』のアレとか。

シリーズキャラクターには不可謬の探偵にして鬼畜探偵メルカトルとその相方である売れない推理作家の美袋三条モラトリアム青年如月有、私立探偵木更津也とその相棒の推理作家香月がいる。5人とも同じ世界観上に存在する人物で、主人公だったり脇役だったり、共演したりしなかったり。その他のキャラクターでは、全知全なので犯人を最初に教えてくれる神様小学生)や、自分では推理さえしない貴族探偵などがいる。近年は特に、推理小説における「探偵」とはそもそも何なのか、という問題を追及するような作品が多い。

作品で展開される試みが偏執的にマニアックな作なので、ミステリマニアの間では本格マニアだけが読んでいる作家と思われがちだが、その作や登場キャラクターの強いインパクトから、いわゆる狭義の本格ミステリマニアではない麻耶ファンも多い。特に一部のメルカトル木更津ファンの間では、諸の『ある闇』論(『現代本格ミステリ研究』に収録)が「諸論文(M論文)」と呼ばれてミステリ研究論文としてではなく)キャラ読解テキストとして扱われているとかなんとか

2005年の『神様ゲーム』以降なかなか新刊が出ずファンをやきもきさせたが、2010年久々の新刊『貴族探偵』と『隻眼少女』を続けて刊行。『隻眼少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞を受賞した。

それ以降はわりとコンスタントに新刊を出しており、「このミステリーがすごい!」等の年末のミステリランキングでは近年は上位の常連になっている。2015年、『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を2度の受賞。2017年には『貴族探偵』がなんと9でドラマされ、視聴率的にはパッとしなかったものの、秀逸な原作改変により麻耶ファン本格ミステリファンからは好評を得た。
2022年から本格ミステリ作家クラブの第6代会長に就任。

著作は長編が多いが、本人は長編より短編の方が好きらしい。そのためか、近年は短編連作が中心。短編の代表作は「遠くでの啼くが聞こえる」(『メルカトルと美袋のための殺人』収録)、「こうもり(『貴族探偵』収録)、「答えのない絵本(『メルカトルかく語りき』収録)、「バレンタイン昔語り」(『さよなら神様』収録)あたりだろう。

京大ミステリ研の後輩にあたる清涼院流水大学時代、たいへんな麻耶雄嵩オタクとして有名だったそうである。綾辻行人有栖川有栖法月綸太郎新本格第一世代がオールスタイル本格ミステリルネッサンスしたのに対し、「ミステリお約束を意識しつつそれを壊していく」麻耶雄嵩が、清院に限らず後続のメフィスト賞系などの作家に与えたは非常に大きく、メフィスト賞以降の新本格イメージができあがるきっかけになった作家と言えるだろう。

作品リスト

  1. ある闇 メルカトル最後の事件1991年講談社1993年講談社ノベルス1996年講談社文庫2012年講談社ノベルス[新装版])
  2. 夏と冬の奏鳴曲1993年講談社ノベルス1998年講談社文庫2021年講談社文庫[新装改訂版])
  3. 1995年講談社ノベルス1999年講談社文庫
  4. あいにくの1996年講談社ノベルス1999年講談社文庫2014年集英社文庫
  5. メルカトルと美袋のための殺人1997年講談社ノベルス2000年講談社文庫2011年集英社文庫
  6. 1997年幻冬舎1999年幻冬舎ノベルス2000年幻冬舎文庫
  7. 木製の王子2000年講談社ノベルス2003年講談社文庫
  8. まほろ殺人 ―闇A子憂鬱刑事2002年祥伝社文庫
  9. 名探偵 木更津2004年カッパノベルス2007年光文社文庫
  10. 2004年幻冬舎2006年幻冬舎ノベルス2007年幻冬舎文庫
  11. 神様ゲーム2005年講談社ミステリーランド2012年講談社ノベルス2015年講談社文庫
  12. 貴族探偵2010年集英社2013年集英社文庫2017年集英社みらい文庫
  13. 隻眼少女2010年文藝春秋2013年、文文庫
  14. メルカトルかく語りき2011年講談社ノベルス2014年講談社文庫
  15. 貴族探偵対女探偵2013年集英社2016年集英社文庫2017年集英社みらい文庫
  16. さよなら神様2014年文藝春秋2017年、文文庫
  17. 化石少女2014年徳間書店2017年、徳間文庫
  18. あぶない叔父さん2015年新潮社2018年新潮文庫
  19. 友達以上探偵未満2018年KADOKAWA2020年角川文庫
  20. メルカトル悪人狩り2021年講談社ノベルス2023年講談社文庫
  21. 化石少女と七つの冒険2023年徳間書店

作品別の各種ミステリーランキング順位(判明分)

1位ベスト5。---はランキング開始前。

作品名 このミス 週刊文春 本格ベスト10 ミス読み
ある闇 メルカトル最後の事件 1992年12位 圏外 --- ---
夏と冬の奏鳴曲 1994年17位 圏外 --- ---
圏外 圏外 --- ---
あいにくの 圏外 圏外 圏外 ---
メルカトルと美袋のための殺人 圏外 圏外 1998年5位 ---
1998年16位 圏外 1998年1位 ---
木製の王子 2001年12位 圏外 2001年4位 ---
名探偵 木更津 圏外 圏外 2005年16位 ---
2005年11位 圏外 2005年3位 ---
神様ゲーム 2006年5位 圏外 2006年5位 ---
貴族探偵 2011年20位 2010年13位 2011年6位 2011年13位
隻眼少女 2011年4位 2010年4位 2011年1位 2011年7位
メルカトルかく語りき 2012年7位 2011年8位 2012年2位 2012年2位
貴族探偵対女探偵 2014年13位 圏外 2014年1位 圏外
さよなら神様 2015年2位 2014年3位 2015年1位 2015年2位
化石少女 圏外 圏外 2016年16位 圏外
あぶない叔父さん 圏外 圏外 2016年版25位 2016年14位
友達以上探偵未満 圏外 圏外 2019年11位 2019年13位
メルカトル悪人狩り 2022年20位 圏外 2022年19位 2022年19位
化石少女と七つの冒険 圏外 圏外 2024年6位 2024年12位

関連動画 

関連項目

この記事を編集する
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
ニコニ広告[単語]

提供: E.A.Crowley

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/12/23(月) 10:00

ほめられた記事

最終更新:2024/12/23(月) 10:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP