深水黎一郎 単語

フカミレイイチロウ

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深水黎一郎(ふかみ れいいちろう)とは、日本推理小説同人作家名取旦那である。1963年生まれ、山形県出身。

2007年に『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』で第36回メフィスト賞を受賞しデビュー
フランスへの留学歴があり、大学教員との兼業をしている。

概要

デビュー文庫版は『最後のトリック』に改題)タイトルにもあるとおり「読者犯人」に挑戦した意欲作であり、その試みはある程度成功しているもののアイデアとしては単発で、いわゆる「一発屋」だと思われていた。しかし、2作の『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ』から、芸術論と推理を融合した小説として評価は高まることになる。

メインは密室で発見された画商の死体だが、随所に『パリ』と呼ばれる画の評論がはさまれ、やがて解決部にはいると意外な形で相に関わってくる。融合の試みは3作トスカ接吻 オペラミステリオーザ』にも続き、こちらはオペラ舞台中に観客の前ですりかえられた本物のナイフ俳優刺殺される事件を追う話だが、捜中に自然オペラ概要や裏話、歴史を知ることになる。名探偵・神一郎が活躍するこの《芸術探偵シリーズは、その後『シャガールの黙示』文庫版で『天使たちの殺意』に改題)ジークフリート』、世界でひとつだけの殺し方』、『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』文庫版で『最高の盗難』に改題)、『虚像のアラベスク』と続いている。

2011年、短編「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

2014年、『ウルチモ・トルッコ』が『最後のトリック』と改題されて河出文庫から文庫化されると、「読者全員犯人」という趣向が改めて話題を呼び、20万部をえるベストセラーとなる。

2015年多重解決ミステリの極北と評された『ミステリーアリーナ』で本格ミステリ・ベスト101位く。他のランキングでも「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位、「ミステリ読みたい!」3位と上位に入り、本格ミステリ大賞は逃したが、名実ともに代表作となった。

芸術探偵シリーズでは端正な本格ミステリを書く一方、『ジークフリート』や『美人薄命』などでは普通小説スタイルミステリを書くという試みに挑み、『大癋見警部の事件簿』や『ミステリーアリーナ』では恐ろしくマニアックな趣向を追及することでジャンル批評・マニア批評をも展開するなど、様々な方向性で挑戦的な作品を送り出している。

……と書くと新進気鋭のインテリ本格ミステリ作家のように見えるが、実はこのオッサン、かなり重度のオタクである。山形新聞に「ヤワネタ!」という隔連載コラムを持っているのだが、そこでは初音ミクアニメについてやたら楽しそうに書いている。特に2013年12月のそのコラムで「艦隊これくしょん~艦これ~」を取り上げ「要するに何が言いたいかというと、軽巡名取は私のということだ。」と堂々と書いたのは話題を呼んだ艦これについは翌2014年4月にもケッコンカッコカリについて書いている)

まあ、そこまでなら今の時代ではさほどしくもない話だが(元々マニアが高じて作家すことが多いジャンルなので、特に本格ミステリ作家SF作家オタクが多い)コラムで語るだけに留まらず、2014年冬コミで『名探偵名取、最初で最後の事件』という艦これ同人誌を発行してしまった。同人サークルとしての今後の活動にも期待がかかる(?)。

作品リスト(刊行順)

  1. ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ! (2007年講談社ノベルス
    → 最後のトリック2014年、河出文庫[改題])
  2. エコール・ド・パリ殺人事件2008年講談社ノベルス2011年講談社文庫
  3. トスカ接吻2008年講談社ノベルス2012年講談社文庫
  4. シャガールの黙示 (2009年講談社ノベルス
    → 天使たちの殺意2015年、河出文庫[改題])
  5. のリチェルカーレ2010年、創元推理文庫
  6. ジークフリート2010年講談社2013年講談社文庫
  7. 人間の尊厳と八〇〇メートル2011年東京創元社2014年、創元推理文庫
  8. 言霊たちの2012年講談社
    → 言霊たちの反乱2015年講談社文庫[改題])
  9. 美人薄命2013年双葉社2016年双葉文庫
  10. 世界で一つだけの殺し方2013年南雲堂→2017年講談社文庫
  11. テンペスタ -天然がぶり寄り正義の七日間- (2014年幻冬舎
    → テンペスタ 最後の七日間2016年幻冬舎文庫[改題])
  12. 大癋見警部の事件簿2014年光文社2016年光文社文庫
  13. 名探偵名取、最初で最後の事件2014年同人誌
  14. ミステリーアリーナ2015年原書房2018年講談社文庫
  15. 倒叙四季 破られたトリック2016年講談社ノベルス
    → 倒叙四季 破られた犯罪2019年講談社文庫[改題])
  16. 大癋見警部の事件簿リターンズ 大癋見vs.芸術探偵2016年光文社2020年光文社文庫
  17. 少年時代2017年ハル文庫
  18. 午前三時のサヨナラゲーム2017年ポプラ社
  19. トラディヴァリウスを上手に盗む方法 (2017年河出書房新社
    → 最高の盗難 音楽ミステリー2020年、河出文庫[改題])
  20. 虚像のアラベス2018年KADOKAWA2021年角川文庫
  21. 第四の暴力2019年光文社2023年光文社文庫
  22. 犯人選挙2019年講談社
    → マルチエンディングミステリー2023年講談社文庫[改題])
  23. 詩人2020年KADOKAWA
  24. 名画小説2021年河出書房新社
  25. 2024年星海社FICTIONS)

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