小野不由美(おの ふゆみ)とは、人の目には光として感知される神日本の小説家である。
代表作に『悪霊シリーズ』(ゴーストハント)『十二国記』『屍鬼』など。
概要
1960年大分県生まれ。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属し、1988年に『バースデイ・イブは眠れない』で講談社X文庫ティーンズハートからデビュー。第2作『メフィストとワルツ!』はのちに講談社が創刊した雑誌「メフィスト」の誌名の由来。1989年からスタートした『悪霊がいっぱい!?』に始まる悪霊シリーズがヒットして人気作家になる。
1992年から講談社X文庫ホワイトハートで『十二国記』シリーズを開始(当初はシリーズとは銘打たれておらず、世界観の共通する単発作品という扱いだった)。のちにアニメ化も果たし大ベストセラーとなり、日本を代表するファンタジー作品となる。
1994年には日本ファンタジーノベル大賞の最終選考作になった『東亰異聞』が新潮社から刊行。この頃からSF方面で注目を集め始める。1998年に発表した大作ホラー『屍鬼』がベストセラーとなったことで一般文芸方面でも広く名前が知られるようになり、『十二国記』がホワイトハートから講談社文庫入りするなど幅広い人気を獲得した。
2003年に『くらのかみ』を刊行してからはぱったり本が出なくなり、長年ファンをやきもきさせた。2010年、悪霊シリーズのリライト版『ゴーストハント』の刊行が開始して復活。2012年には新刊を2冊刊行、『十二国記』の新潮文庫移籍に伴い新刊の予定が告知と、待ちくたびれたファンを喜ばせる。
2013年、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。2019年にはついに『十二国記』の新作長編が18年ぶりに刊行され、各地でフィーバーを巻き起こした。
少女小説で活動していた頃には同人活動も並行して行っており、「中村青司」等のペンネームで『鎧伝サムライトルーパー』の同人誌を作っていたことは一部で有名。
自身のファンクラブが発行する会報には、悪霊シリーズや十二国記の短編を寄稿していた。それがまとめられた同人誌『中庭同盟』は今となってはもはや伝説のレア本で、たまにネットオークションなどに出回ると6桁の値がついている(十二国記の短編は、後に短編集『華胥の幽夢』に収録)。
『ゴーストハント』の漫画版を描いているいなだ詩穂は、いなだの同人誌を読んだ小野が直々に指名したそうな。
ファンからは崇拝の念を込めて「主上」「小野主上」(※しゅじょう、と読み、「十二国記」において神に等しい存在である天帝や王への尊称)と呼ばれることが多い。
夫は推理作家の綾辻行人。京都大学推理小説研究会で知り合い86年に結婚、その後続けてデビューしている。現在は基本的にメディアに顔出しはせず、SNS等もやっていないが、夫の綾辻のTwitterやメディア出演を介して日常の様子や近況を伺うことができたりできなかったりする。2020年にはFF14を延々とプレイしていることをバラされたり、2021年には夫婦で『PUI PUI モルカー』にハマって羊毛フェルトでモルカーを手作りしている。
また学生時代に建築を学んだことがあるため、綾辻の館シリーズなどの見取り図を手がけており、綾辻が新作の構想を練る際には夫婦で「こういう構造の館にしたいんだけど」「それは建築的にちょっと無理」「そこをなんとか」みたいな相談をしているらしい。
作品リスト(刊行順)
- バースデイ・イブは眠れない (1988年、講談社X文庫ティーンズハート)
- メフィストとワルツ! (1988年、講談社X文庫ティーンズハート)
- 悪霊なんかこわくない (1989年、講談社X文庫ティーンズハート) ※悪霊シリーズではない
- 悪霊がいっぱい!? (1989年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント1 旧校舎怪談 (2010年、メディアファクトリー→2020年、角川文庫)
- 悪霊がホントにいっぱい! (1989年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント2 人形の檻 (2011年、メディアファクトリー→2020年、角川文庫)
- 悪霊がいっぱいで眠れない (1990年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (2011年、メディアファクトリー→2020年、角川文庫)
- 呪われた十七歳 (1990年、パンプキン文庫)
→ 過ぎる十七の春 (1995年、講談社X文庫ホワイトハート→2016年、講談社X文庫ホワイトハート[新装版]→2023年、角川文庫)
- 悪霊はひとりぼっち (1990年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント4 死霊遊戯 (2011年、メディアファクトリー→2020年、角川文庫)
- グリーンホームの亡霊たち (1990年、パンプキン文庫)
→ 緑の我が家 Home, Green Home (1997年、講談社X文庫ホワイトハート→2015年、講談社X文庫ホワイトハート[新装版]→2022年、角川文庫)
- 悪霊になりたくない! (1991年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (2011年、メディアファクトリー→2021年、角川文庫)
- 魔性の子 (1991年、新潮文庫ファンタジーノベル・シリーズ→2012年、新潮文庫[完全版])
- 悪霊とよばないで (1991年、講談社X文庫ティーンズハート)
→ ゴーストハント6 海からくるもの (2011年、メディアファクトリー)
- 月の影 影の海 十二国記 (1992年、講談社X文庫ホワイトハート[上下巻]→2000年、講談社文庫[上下巻]→2012年、新潮文庫[上下巻])
- 悪霊だってヘイキ! (1992年、講談社X文庫ティーンズハート[上下巻])
→ ゴーストハント7 扉を開けて (2011年、メディアファクトリー→2021年、角川文庫)
- 風の海 迷宮の岸 十二国記 (1993年、講談社X文庫ホワイトハート[上下巻]→2000年、講談社文庫→2012年、新潮文庫)
- 悪夢の棲む家 ゴースト・ハント (1994年、講談社X文庫ホワイトハート[上下巻])
- 東亰異聞 (1994年、新潮社→1999年、新潮文庫)
- 東の海神 西の滄海 十二国記 (1994年、講談社X文庫ホワイトハート→2000年、講談社文庫→2013年、新潮文庫)
- 風の万里 黎明の空 十二国記 (1994年、講談社X文庫ホワイトハート[上下巻]→2000年、講談社文庫[上下巻]→2013年、新潮文庫)
- 図南の翼 十二国記 (1996年、講談社X文庫ホワイトハート→2001年、講談社文庫→2013年、新潮文庫)
- 屍鬼 (1998年、新潮社[上下巻]→2002年、新潮文庫[全5巻])
- 黒祠の島 (2001年、ノン・ノベル→2004年、祥伝社文庫→2007年、新潮文庫)
- 黄昏の岸 暁の天 十二国記 (2001年、講談社文庫→2001年、講談社X文庫ホワイトハート[上下巻]→2014年、新潮文庫)
- 華胥の幽夢 十二国記 (2001年、講談社文庫→2001年、講談社X文庫ホワイトハート→2013年、新潮文庫)
- くらのかみ (2003年、講談社ミステリーランド)
- 鬼談百景 (2012年、メディアファクトリー→2015年、角川文庫)
- 残穢 (2012年、新潮社→2015年、新潮文庫)
- 丕緒の鳥 十二国記 (2013年、新潮文庫)
- 営繕かるかや怪異譚 (2014年、KADOKAWA→2018年、角川文庫)
- はこ (2015年、岩崎書店) ※絵本
- 営繕かるかや怪異譚 その弐 (2019年、KADOKAWA→2022年、角川文庫)
- 白銀の墟 玄の月 十二国記 (2019年、新潮文庫[全4巻])
- 営繕かるかや怪異譚 その参 (2022年、KADOKAWA)
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関連項目