都筑道夫(つづき みちお)とは、日本の推理作家、SF作家、編集者、評論家である。本名は松岡巖(まつおか いわお)。
1929年7月6日生まれ、東京都出身。実兄に落語家の鶯春亭梅橋がいる。
終戦後、10代の頃から読物雑誌に様々なペンネームで小説を発表。読物雑誌が軒並み潰れてしまうと独学で英語を学んで翻訳家に転身。
1956年、早川書房から半ば強引に招聘されて「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の実質的な編集長となる。早川書房の編集者としてハヤカワ・ポケット・ミステリの作品セレクトと多数の解説を担当したり、「ハヤカワ・ファンタジイ」(後の「ハヤカワ・SF・シリーズ」、いわゆる銀背)を立ち上げたりして、日本に翻訳ミステリ、翻訳SFをジャンルとして定着させることに多大な貢献を果たした。
1959年に早川書房を退社して執筆活動に軸足を移し、1961年の『猫の舌に釘をうて』で本格的に作家デビュー。『やぶにらみの時計』『三重露出』『誘拐作戦』といった実験的なミステリや、岡本喜八の映画『殺人狂時代』の原作となった『なめくじに聞いてみろ』などのトリッキーな単発作品を発表、当時からこれらの初期作品が最も評価が高かった。
60年代後半からはシリーズ探偵を多数作りだし、《なめくじ長屋捕物さわぎ》《心霊探偵・物部太郎》《キリオン・スレイ》《退職刑事》など多数のミステリシリーズを手掛けた。アニメ『PSYCHO-PASS』の元ネタ(?)の『未来警察殺人課』などのSF作品も少なからずある。またショートショートも多数手掛け、日本のショートショートを代表する作家のひとりでもある。
しかし、現代により強く影響を与えているのはむしろ評論家としての活動かもしれない。特に江戸川乱歩以降、いかに斬新なトリックを考案するかというトリック中心主義が支配していた日本のミステリーに対して「トリック無用論」を唱え、推理(ロジック)の面白さ(論理のアクロバット)がミステリの魅力である、という「モダーン・ディテクティヴ・ストーリイ」、すなわちロジック中心主義を打ち立てた評論集『黄色い部屋はいかに改装されたか?』は、乱歩の『幻影城』と並んで日本の本格ミステリ史において極めて重要な位置を占める名著である。
佐野洋の連載評論『推理日記』の中で繰り広げられた、ミステリにおける名探偵の必要性をめぐる「名探偵論争」も有名。
初期作品や《なめくじ長屋》《退職刑事》といったシリーズもの、また『黄色い部屋~』や「名探偵論争」のイメージから本格ミステリの人というイメージが強いが、編集者としてポケミスで多数のハードボイルドを日本に紹介したようにハードボイルドの分野における功績も大きく、国産ハードボイルド黎明期に発表されたハードボイルド論「彼らは殴りあうだけではない」は、現在でもハードボイルドを語る上では絶対に目を通しておくべき評論とされている。
ちなみに自著の文庫版においては、「自分の作品の文庫解説を、別名義を使って自分で書く」ということをしばしばやっていた。都筑が現役の時期に出た都筑作品の文庫でなんか見覚えのない名前の解説者が文庫解説を書いていたら、都筑本人である可能性が高い。
2001年、『推理作家の出来るまで』で第54回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞。2002年、日本ミステリー文学大賞を受賞、2003年11月27日に死去、74歳没。
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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