風とは、大気の動きのことである。
概要
気圧差や物体の移動、プロペラなどによって自然的・人工的に発生する。地下鉄やトンネル構内などを車両が移動することで出入口まで風が噴き出してくることがある。
風向・風速が天気予報の一要素とされる場合も多い。
- 風車など、回転運動に変換して機械を駆動させたり風力発電することが可能。
- 風があれば夏は涼しく、風見鶏が風上を向き、こいのぼりが元気に泳ぐ。
- 身近においても人工的に発生させることもできる。
- 息を吹いて出るものも一種の風であるし、膨らんだ風船の口を開けば噴き出す。
基本的に無色透明な空気の移動のため視認はできない。
煙や土埃・吹き流しによって視覚化することもでき、動きの表現にも用いられる。
ただし冬は寒いし、強すぎれば物が吹っ飛ぶ台風や竜巻など災害や事故の原因ともなりうる。
詳しい特性などは後述。
用語
人名・キャラクター名
風を知る
空気自体が無色透明であるため、何もない空間においては情報を得られない。
実際に風が吹いていても目印が無ければ遠くからでは分かりづらく、方向も分からない。
空港などの離発着施設、工事現場、高速道路などに設置される。
- 風見鶏 …風向きに対して顔を向けるもの、屋根などについている。
- 吹き流しで代用・兼用できるため、最近はあまり見られないかもしれない。
- 帆船の場合、風向きによって船の速度や到着時間が大きく変わるため良い目安となる。(→船舶)
- 風速計
- 吹き流し(右図)
- こいのぼりのような形状で、風速によって真横に向くアレである。
- 真横を向いているとかなり強い。(風速10~14m以上)
- 強風注意として道路標識にも用いられている。
- アナログだが、直感的に風力・風向きを同時に知ることができる。
- 蛍光色・照明を受けるなど夜間の視認性を上げるものも多い。
- その他
吹き流しはこどもの日など、期間限定でこいのぼりに換装される場合もある。
風速の活用
作品における活用・表現
風速の弊害
強風・横風・突風、移動によって受ける風圧など様々。
特に横風+強風といった組み合わせが最悪な場合も多々ある。
- 軽量物が飛ばされ/煽られやすく、散乱や紛失の原因になる。
- 固定・縛着の甘い物品は吹っ飛びやすいため、念入りな固定・点検が必要。
- 高速道路など、車速がそのまま風速になり、積み荷が落下する事故も起きている。
- 風の影響を面で受けやすいトラックやキャンピングカーなど、強い横風は脅威。
- 強風時においては航空機の離発着が制限/禁止される、難易度が向上する。
- 離着陸中の大型旅客機が大きく横に流される、機首方向が大きくズレることも。
- 向かい風は最適だが、横風+強風などは最悪。
- 横風でも運航できるよう、方角の異なる複数の滑走路を用意する場合もある。
- 無色透明であるため、いきなり高度を下げられる下降気流(ダウンバースト等)は脅威。
- 強風によって、ヘリコプターのホバリングによる救助活動等が大幅に妨害される。
- ホバリング位置から大幅にズレることで近隣の木々や電線・障害物等に激突する危険もある。
- その他、発射した銃弾・砲弾の弾道・弾着がズレる。
- 煙の本数を用いる狼煙などは高く立ち昇らない/混ざってしまうなど、通信に支障が出る。
- 茂みや草木が騒がしく音を立て、戦場などは音の情報が遮断される。
- 体感温度が下がる。(悪い意味で)
- 体力・体温を消耗する。低体温症になるなど遭難・サバイバルにおいては危険。
- 登山など、気温・標高・風速のトリプルパンチで寒くなる。
- 雨などで体が濡れていれば体温低下がさらに加速する。
- 富士山など、無策の軽装備で弾丸登山をしてはいけない理由のひとつである。(→登山)
- 家庭用扇風機であっても首も振らず直接風を浴び続けると風邪を引く可能性がある。
- 雨などは強風によって激しく身体に吹き付けられ、びしょ濡れになる。
- 特に強い風速においては災害級の威力がある。
- 悪い意味で風がニオイを運んでしまい、悪臭や害虫を寄せ付ける場合もある。
- 毒ガス・化学兵器などが広範囲に飛散する。
- スポーツカーや航空機の開発においては空気力学・航空力学を考慮しなくてはいけない。
- 流線形が基本となるためカッコイイが内部空間が狭い、拡張性が狭まるといった欠点もある。
- 形状最優先の場合、箱型と比較して製造・整備の手間やコストも上がってしまう。
- 航空機など、設計が甘いと高速化どころか操縦困難、操縦不能に陥る場合もある。
- トランプタワーなど、繊細な構造のものは僅かな風でも致命的。
- 風車など、回転する大型の羽根に鳥などが激突して死ぬ場合もある。(→バードストライク)
風車の欠点
「台風の日だったら、風車がぐるんぐるん回るじゃん?
…つまり、風力発電の発電効率上がりまくりで超ラッキーじゃん!」
と思うじゃん?
過度な回転によって風車や装置自体が損壊しては本末転倒なため
意図的に回転しないようロックされる場合もあるなど世知辛い部分がある。
フィクションにおける影響
目安
- 記載によって若干の差異がある。
- 高速道路・離着陸時など、進む方角によって相対的に風速が合算される場合もある。
- 台風においては…
- 33m/秒以上「強い」、44m/秒以上「非常に強い」、54m/秒以上「猛烈な」+台風。
- 台風中心付近の最大風速を用いる。台風の大きさは風速15m/秒以上の強風域の半径。
- ちなみに通常の呼吸においても10~20m/秒ほどはある。
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風速 |
様子 |
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0~5m/秒 |
- 顔に風を感じる
- 木の葉が動く。
- 家庭用扇風機は0.8~3.3m/秒程度。(毎分50~200m)。
- 吹き流しは風速3~5m/秒において45゜の角度。
- 時速18km未満
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5~10m/秒 |
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やや強い風 |
10~15m/秒 |
- 風に向かって歩きにくい、傘を差せない。
- 樹木や電線が揺れる。
- 航空機の離着陸は危険。
- 吹き流しは風速10~14m/秒以上において83゜以上の角度。
- 時速36~54km
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強い風 |
15~20m/秒 |
- 風に向かって歩けない、転倒する。
- 外出た瞬間に終わる。
- 高所作業は極めて危険。
- 高速道路では横風に流される感覚となる。
- 15m/秒以上の強風域半径が台風の大きさとなる。
- 時速54~72km
- 時速60kmにおける風圧(16.6/秒)は
おっぱいの感触に等しい…らしい。
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非常に強い風 |
20~30m/秒 |
- 立っていることすら困難。
- 看板が落下したり吹っ飛ぶ。
- 通常速度での運転は困難。
- 細い木の幹が折れる。
- 台風においては25m/秒以上が暴風域となる。
- 33m/秒以上から台風となる。
- 時速72~108km
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猛烈な風 |
30~35m/秒 |
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猛烈な台風 |
54m/秒以上 |
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日本記録
(山岳) |
72.5m/秒 |
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日本記録
(平地) |
85.3m/秒 |
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世界記録
(固定観測) |
113m/秒 |
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世界記録
(移動観測) |
134m/秒 |
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余談だが、くしゃみの速度は44.4~88.8m/秒(160~320km)くらいある。
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漢字として
小篆体
- 意味
- 大気の動き、風が吹く、風にあたる、病気、習わし、すがた、体裁、地方の歌、うわさ、様子、教える、景色、勢い、気違い(瘋と通用)、オスメスがさかる、風刺する(諷と通用)。
- 字形
- 形声で声符は凡。
- 甲骨文では鳳の字を用いる。鳳の鳥の部分が虫に変じたものが風の字になったが、いつごろからかは定かではない。白川静は風は四方の方位神の使いで鳥形の神であり、それゆえに鳳形の字で風を表しているのだとした。
- 〔説文解字・巻十三〕には「八風なり」とあり、「東方を明庶風と曰ひ、東南を清明風と曰ひ、南方を景風と曰ひ、西南を涼風と曰ひ、西方を閶闔風と曰ひ、西北を不周風と曰ひ、北方を廣莫風と曰ひ、東北を融風と曰ふ」と八方の風の名前を挙げる。また「風動いて蟲生ず。ゆえに蟲は八日にして化す。虫に從ひ凡聲」と、虫に従う理由を説明しようとしている。
- 音訓
- 音読みはフウ(漢音)、フ(呉音)、訓読みは、かぜ、かざ、ふり。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校2年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 風は部首、風部を作る。風に関する字が属する。
- 声符
- 風を声符として持つ漢字に、楓、瘋、諷、颿などがある。
- 語彙
- 風圧・風雨・風化・風格・風紀・風教・風景・風光・風向・風采・風刺・風疾・風車・風邪・風趣・風習・風疹・風神・風水・風説・風船・風騒・風速・風俗・風俗壊乱・風体・風致・風潮・風土・風馬牛・風評・風聞・風味・風喩・風流・風力
異体字
- 𠙊は、〔説文〕に「古文の風」、〔集韻〕に「古、𠙊と作(な)す」とある異体字。
- 凬は、〔玉篇〕に「古文」とある異体字。JIS X 0213第三水準。
- 𠙈は、〔玉篇〕に「古文」、〔集韻〕に「古、𠙈と作す」とある異体字。
- 飌は、〔玉篇〕・〔広韻〕に「古文」、〔集韻〕に「或(ある)ひは雚に从ふ」とある異体字。JIS X 0212補助漢字。
- 檒は、〔玉篇〕に「古文の風」とある異体字。〔集韻〕には楓の異体字として載っている。〔類篇〕には林の上を風が行く意味とあり、檒の異体字として梵が載っている。
- 凮は、JIS X 0213に風の異体字として挙げられている。菓子屋の「凮月堂」に使われ、JIS X 0213にも例として凮月堂が載っている。〔金石文字弁異〕に凮は〔漢綏民校尉熊君碑〕に見えるとある。〔康煕字典〕の凬の項には〔字彙〕は「(凬を)凮と作す」とある。JIS X 0213第三水準。
- 凨は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。
- 𠙗は、〔字彙補〕が載せる異体字で、〔夏承碑〕に見えるという。
- 𠂡は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。宋の羅泌の〔路史〕に見え、風の俗字であろうとある。
- 风は簡体字。
互換文字
関連項目