文庫 単語

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ブンコ

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文庫(ぶんこ)とは、

  1. 文書を収めておく倉庫。ふみぐら。転じて本を収める施設、およびそこにまとめられた蔵書のこと。
  2. 書籍の判。基本的にA6サイズのものをす。文庫本。また、その判で刊行される書。

本項では1に軽く触れつつ2をメインに記述する。

1の概要

もともと「文庫」とは読んで字のごとく、「『文』書を収める倉『庫』」のことであり、そうした書籍を収めた施設、およびその蔵書のことをした。鎌倉時代から存在する金沢文庫、徳将軍紅葉山文庫などがよく知られ、現在金沢文庫、東洋文庫、大宅壮一文庫といった施設名としてこの意味での「文庫」という言葉が使われている。

またそこから転じて、特定の利用者に供するために集められた小規模な本のコレクションのことも「文庫」と呼ぶ。小学校教室にある「学級文庫」はその典的な例である。

著作権の切れた作品をネット無料開している「青空文庫」も、この意味での文庫の用例にあたる。

2の概要

文庫本と呼ばれる書籍のこと。書籍の判としては「文庫判」のことをし、書籍の種類としては文庫判で刊行される書のことをす。基本的にA6判並製(105×148mm)だが、出版社により微妙サイズは異なる。

海外で言うところのペーパーバックに相当する、書籍の廉価版・普及版であり、ポケットに入るコンパクトサイズ携帯性に優れる。値段も基本的に数百円(最近は特殊な少部数文庫でなくても1000円しくなくなってきたが……)と手頃で、本は文庫でしか買わないという人も多い。

基本的には一度四六判(128×188mm)のハードカバー単行本などで刊行された書籍を数年後(おおよそ3年が安だが、1年で文庫化する会社もあれば、何十年も前の本が文庫化されることもある)に普及版として再刊するための判だが、最初から文庫の形で出る本も多く、特に年少読者ターゲットライトノベル等は文庫書き下ろしが基本。

文芸出版を手掛ける大手出版社は基本的に自社の文庫レーベルを持っており、統一された背表デザインで刊行する。また、扱うジャンルごとに複数の文庫レーベルを持つ出版社もしくない。
小説エッセイ・ノンフィクションなどを総合的に扱う大きな文庫から、推理小説SFなど特定ジャンルを専門にした文庫、ライトノベル少女小説を扱う文庫、翻訳書籍専門の文庫、実用書が中心の文庫など、ひとくちに文庫レーベルといっても種類は多岐に渡る。
児童文学の文庫レーベルは、「文庫」とついていても判新書判(105×173mm)かそれより大きいことが多い。
また、漫画を文庫サイズで刊行する漫画文庫も存在する。

現在まで続く文庫レーベルとして最も古いのは1914年創刊の新潮文庫、次いで1927年創刊の岩波文庫。最初は「評価の定まった古典名作の廉価な普及版」として刊行されていったが、1970年代角川書店角川文庫が、推理小説SFといった大衆小説を大量に収録して角川映画タイアップするメディアミックス戦略を打ち、大成功を収める。これによって各社が続々と文庫に参入、古典名作だけでなく現代の作品が刊行から数年で文庫化されるという現在の出版サイクルが形成されることになった。

ただしどんな本でも文庫化されるわけではない。文庫は基本的に薄利多売の判であるため、単行本で売れなかった本は文庫化しても採算の取れるだけの売り上げの見込みが立たないと判断され、文庫化されないまま放置されることもしくない。そのため作者は「文庫で買います!」という読者に対して「単行本が売れないと文庫化されないから単行本で買って!」と呼びかける羽になる。
採算が取れないとは思えない人気作家の本が長期間文庫化されない場合は、単行本で継続的に売れ続けているため文庫化する必要がないと判断されているか(わかりやすい例でいうと、西尾維新の本がなかなか文庫にならないのはこのためと思われる)、シリーズが続刊中のため完結まで文庫化が保留されているか、もしくは内容に不満がある等の理由で著者が文庫化の許可を出していない等の可性がある。
また薄利多売であるため、小規模な出版社では文庫レーベルを持つことは難しく、自社の文庫レーベルを持たず最初から自社での文庫化を考えていない出版社も数多い。そういった出版社から出た本は、売れる見込みがあると判断されれば文庫レーベルを持つ大手出版社から文庫化されることもある。
一方、売れそうにない本でも文庫で採算を取るため、ハードカバー並の少部数高定価の文庫も存在する。

単行本などを経ずに最初から文庫で出る本には「文庫書き下ろし」や「文庫オリジナル」といった表現が本のどこかに書いてあることが多い。「文庫書き下ろし」は本文の内容が事前にどこにも発表されず、いきなり本の形で出版された本。「文庫オリジナル」は雑誌などに先に掲載されたものを本にする際に最初から文庫の形で出したものをす。

なお、文庫本の巻末には著者以外の人物による解説文がついていることが多い。これについては「文庫解説」の記事を参照。

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