1993年生まれということ以外、詳細なプロフィールを明らかにしていない覆面作家。SNS等もやっていないが、全く表に出ないわけではなく、インタビューやエッセイなどはある。性別も不明だが、「FRaU」での呉勝浩との対談についたオリタシュンスケのイラストでは口髭の男性になっている(ちなみに顔写真を出している呉勝浩のイラストはちゃんと本人に似ている)。
『サーカスから来た執達吏』刊行時のエッセイによると、やや特殊な家庭環境で育ったようなので、覆面作家をしているのはそのあたりの事情もあるのかもしれない。
2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年に受賞作を改題・改稿した『絞首商會』でデビュー。インタビューによると、有栖川有栖の小説教室で前日譚にあたる短編連作(おそらく2023年に刊行された『時計泥棒と悪人たち』のこと)を書いたところ、「この探偵を使って長編を書いてください」という話になり、書き上げて応募したのが受賞作とのこと。
デビュー作は「2020本格ミステリ・ベスト10」で23位と、好事家の間で少し評価された、ぐらいの感じだったが、2021年の第2作『サーカスから来た執達吏』はエンタメ性の向上もあってか、「2022本格ミステリ・ベスト10」で14位と評価を高める。
そして2022年の第3作にして初の現代ものである『方舟』が、その衝撃的な結末のインパクトもあり大ヒット。「週刊文春ミステリー・ベスト10」1位、「2023本格ミステリ・ベスト10」2位、「このミステリーがすごい!2023年版」4位、「ミステリが読みたい!」6位と各種ミステリーランキングを席巻、大ブレイクを果たした。翌年の本格ミステリ大賞と本屋大賞にもノミネート。なんで推協賞は候補にならなかったんだろう?
作品は2024年現在、『絞首商會』『時計泥棒と悪人たち』『サロメの断頭台』の井口&蓮野シリーズに2作目の『サーカスから来た執達吏』の大正時代ミステリ4作と、『方舟』『十戒』の現代もののクローズド・サークル2作。全て本格ミステリだが、それほどマニアックな作風ではなく、『方舟』が大ヒットしたのも(同年に本格ミステリ界の話題を席巻した白井智之の『名探偵のいけにえ』と比べて)シンプルでミステリファンならずともわかりやすくとっつきやすい作り故だろう。
大正時代ものを書いているのは、大正ミステリがあまり無いからとのこと。(90年代生まれの本格作家としては珍しく)ミステリ入門は江戸川乱歩で、最も影響を受けた作家に山田風太郎を挙げているので、そのあたりの影響も強いのかもしれない。
初めて読む人には素直に出世作の『方舟』か、大正時代ものでは少女バディもののジュヴナイル冒険小説で一番とっつきやすい『サーカスから来た執達吏』がオススメである。『方舟』は読了後、公式の読者専用ネタバレ解説ページで有栖川有栖の解説を読むのもオススメ。
作品名 | このミス | 週刊文春 | 本格ベスト10 | ミス読み |
---|---|---|---|---|
絞首商會 | 圏外 | 圏外 | 2017年版23位 | 圏外 |
サーカスから来た執達吏 | 圏外 | 圏外 | 2020年版14位 | 圏外 |
方舟 | 2023年版4位 | 2022年1位 | 2023年版2位 | 2023年版6位 |
時計泥棒と悪人たち | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 圏外 |
十戒 | 2024年版13位 | 2023年6位 | 2024年版7位 | 2024年版11位 |
サロメの断頭台 | 圏外 | 圏外 | 2025年版6位 | 圏外 |
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最終更新:2025/01/09(木) 07:00
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