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【J1】クラブ別の補強ポイントについて考える。(2017年夏の移籍市場) (横浜Fマリノス編) | | |　

横浜Fマリノス

オフ期間中はクラブ内部のゴタゴタ劇が話題になった。MF中村俊(磐田)、MF兵藤(札幌)、GK榎本哲(浦和)、DFファビオ(G大阪)、DF小林祐(鳥栖)など主力数名がチームを離れた一方でFWウーゴ・ヴィエイラ、MFバブンスキー、DF松原健、MF扇原、DF山中などを獲得。大改革を行った横浜FMを下位に予想する人は多かったが、14節を終えた時点で7勝5敗2分けで勝ち点「23」。7位と好位置に付けている。

(ACLの関係で1試合消化が少ないが)6位の浦和と同じ勝ち点を稼いでおり、同県のライバルである川崎Fよりも順位は上。「予想以上の好成績を残している。」と言えるが、今シーズンも好不調の波は激しい。開幕2連勝スタートを切ったが8節から3試合連続で完封負け。ここがどん底だった。3連敗で迎えた11節の甲府戦(H)は内容的には不十分だったが1対0で勝利。ここで連敗を止めることが出来たのは大きかった。

11節以降は4試合で3勝1分け。一気に勝ち点を積み上げた。モンバエルツ監督が就任して今シーズンが3年目となるが過去2シーズンも好不調の波が激しくて「良い時期」と「悪い時期」が交互に訪れる。どちらの時期も結構長く続くのは不思議なところ。少し前までは二進も三進もいかない状態だったが一気に盛り返した。7月～8月上旬にかけて「下位との5連戦」が待っているので上位争いに顔を出す可能性もある。

14試合で17得点/13失点となるが、得点数は7位タイ、失点数は3位タイとなる。オフにDF小林祐とDFファビオとGK榎本哲が抜けたが、GK飯倉とDF松原健とDFミロシュ・デゲネクがカバーしている。39才になったDF中澤は今シーズンも守備の要として奮闘している。これだけメンバーが大きく入れ替わっても「伝統の堅守」は健在。ただし、1試合平均の被シュート数は11.14本。大宮に次いでリーグで2番目に多くなる。

なので失点数は少ないが被シュート数は非常に多くなっている。セットプレーは横浜FMの大きな武器だったが今シーズンは5得点/3失点。リーグ平均は5.33なので、得点数に関しては平均程度で、失点数は平均よりも下となる。MF中村俊という稀代のプレイスキッカーが抜けた影響もあって例年と比べると「セットプレーからの得点数」は減っているが何とかリーグの平均程度の得点力は維持できている。

どちらかというと先行逃げ切り型のチームで「先制した試合の数」は9試合でリーグ3位タイ。9試合で7勝2分けと高い勝率を残している。逆に言うと「先制された試合」は5戦全敗なので反発力は高くない。MFマルティノスとMF齋藤学の突破が最大の売りとなるが、1試合平均のCK獲得本数は3.71回。これは3.43回の甲府に次いでリーグで2番目に少ない。「セットプレーを獲得する回数はあまり多くない。」と言える。

注目すべきは平均年齢。表1のとおり、2015年は28.28才で12番目、2016年は28.58才で15番目だったが、積極的に若返りを進めた甲斐があって26.65才となった。これは柏→新潟→清水に次いで4番目の若さとなる。安定した戦いが出来ているわけではないが、それでも7位と好位置に付けており、積年の課題だった「世代交代」や「若返り」に成功しつつある。紆余曲折あったが全体の流れは決して悪くない。

つい先日までは「攻撃がMFマルティノスとMF齋藤学の仕掛けばかり」、「中央をドリブルやパスワークで崩すシーンがほぼ無い。」という大きな問題を抱えていたが、レフティのMF天野純をボランチからトップ下にコンバートして、MF扇原をボランチのスタメンで起用するようになってから改善された。期待のストライカーのFWウーゴ・ヴィエイラの状態が上がってきてゴールを量産し始めているのも心強い。

いい流れになって来たので今夏の移籍市場で積極的な動きを見せる可能性は低い。ほんの数試合前までは「ストライカーが必要なのでは？」という印象だったがここに来てFWウーゴ・ヴィエイラが本来の力を発揮できるようになってきた。両サイドハーフ、ボランチ、左右のSBは控えにも優秀な選手を揃えている。MF天野純のトップ下がまずまず機能しているので、トップ下系の選手を補強する必要性も低くなった。

明確な補強ポイントは無くなりつつあるが、先のとおり、モンバエルツ体制の横浜FMは好不調の波が激しいのが特徴なので油断はできない。モンバエルツ監督に対する評価は決して高くないので、再び、「悪い時期」に突入して途中解任となる可能性は無いとは言えない。「まあまあ結果が出ている。」、「チーム状態はそこそこ良い。」という時期がほぼ無いのでモンバエルツ体制の横浜FMは評価が難しいチームである。

表1. J1の18クラブの平均年齢について (2015年～2017年)

クラブ名	ランク	平均順位	2015年		2016年		2017年
クラブ名	ランク	平均順位	(才)	順位	(才)	順位	(才)	順位
アルビレックス新潟	1	2.00	25.94	1	26.22	3	25.99	2
柏レイソル	2	2.33	26.71	5	24.81	1	24.81	1
清水エスパルス	3	3.00	26.30	4	25.98	2	26.26	3
コンサドーレ札幌	4	4.33	25.97	2	27.18	4	26.93	7
鹿島アントラーズ	5	6.67	26.11	3	27.31	5	27.83	12
サガン鳥栖	6	7.33	27.38	7	27.45	6	27.29	9
ヴィッセル神戸	7	7.67	26.98	6	28.11	11	26.84	6
セレッソ大阪	8	8.67	28.39	13	27.85	8	26.82	5
ガンバ大阪	8	8.67	28.09	8	28.05	10	27.13	8
川崎フロンターレ	10	9.00	28.09	8	28.03	9	27.44	10
横浜Fマリノス	11	10.33	28.28	12	28.58	15	26.65	4
FC東京	12	11.33	28.24	11	27.68	7	28.69	16
ジュビロ磐田	13	12.00	28.10	10	28.24	12	28.49	14
大宮アルディージャ	14	13.33	28.74	16	28.54	13	27.59	11
ベガルタ仙台	15	14.33	28.48	14	28.82	16	28.47	13
浦和レッズ	16	14.67	28.57	15	28.55	14	28.54	15
サンフレッチェ広島	17	17.33	29.70	17	29.94	18	29.02	17
ヴァンフォーレ甲府	18	17.67	30.36	18	29.87	17	30.00	18
平均年齢・・・ (各選手の年齢*出場時間(分))の和/(チームトータルの出場時間(分))