■ 上位対決首位のコンサドーレ札幌と3位の東京ヴェルディの対戦。首位の札幌は、前節の山形戦で、MF藤田征也の1ゴール2アシストの活躍で3対0と大勝。ひとまず連敗をストップさせて、2位の京都との差を6に広げた。
一方、3位につける東京Vは、前節、2位の京都サンガに2対1で勝利し、3位にまで浮上した。昨日の試合で京都が引き分けたこともあって、この試合に勝てば自動昇格圏内の2位に上がることができる大切な試合である。
ホームの東京Vは、<4-5-1>。GK高木。DF海本・萩村・土屋・服部。MF大野・菅原・ディエゴ・シルバ・飯尾。1トップでフッキ。
アウェ-の札幌は、<4-4-2>。GK高木。DF西澤・曽田・ブルーノ・池内。MF芳賀・鄭容臺・藤田・西谷。2トップは、中山とダヴィ。左サイドバックは、西嶋ではなく池内を起用してきた。
■ 一方的な展開試合は、前半1分にセットプレーから東京Vが先制。DF萩村が折り返して中央のMFディエゴが押し込んで先制する。さらに、前半14分にも、服部のFKからMFディエゴが頭で合わせて2点目を挙げる。
対する札幌は、全くパスがつながらずに、防戦一方の展開。
後半6分にも、左サイドを崩したFWフッキのクロスを、中央でドフリーのMF大野が頭で決めて3点目。さらに、後半31分に、FWフッキが6試合連続ゴールとなる4点目のゴールを決めて、4対0と突き放した。
札幌は、後半42分にDF池内のゴールで1点を返すが、そのあと、東京VのMFディエゴがこの試合3点目のゴールをマークして、結局5対1で東京Vが快勝。2位に浮上した。
■ 完璧な試合運びを見せた東京V東京Vは、完全に試合をコントロールし、勢いの差を示した。結果、内容とも、完璧に近い勝利で、最後に許した1失点は余計だったが、この大勝によって得失点差でも札幌を上回った。札幌との勝ち点差は、「4」に迫り、J2制覇の可能性も見えてきた。
雨でスリッピーだったこともあって、東京Vはショーパスをつながずに、奪ったボールを縦一本で展開していく作戦を取ったが、これが成功した。この点では、184cmのMFディエゴの存在が大きく、1トップのFWフッキが空中戦に強い選手ではないので、代わりにMFディエゴがロングボールに対して相手DFと競りあって、高い確率で競り負けることがなく、次の攻撃につなげることに成功した。
守備陣でも、DF土屋とDF萩村が中央を制して、札幌にセットプレー以外でのチャンスをほとんど作らせなかった。
■ シンプルになった東京Vのサッカー東京Vは、地獄の7連敗を経てから、サッカーがシンプルになった。理想を追い求めることをやめて、現実に即したサッカーで結果を残している。もともと能力の高い選手がそろっていたとはいえ、ここまでシーズン中にモデルチェンジすることは容易ではなかったと思う。これは、ラモス監督を評価してもいい部分である。
若手と呼べる選手は、23歳のMFディエゴと22歳のFWフッキのみであり、それ以外は、経験豊富な選手がそろっている。将来的な展望が明るいかというと「NO」ではあるが、どん底の状態から何とかここまで持ち直してきたのは、見事である。
連敗中のチームの雰囲気は最悪だったと聞くが、ここ最近は、勝利が続いていることもあってベンチの雰囲気もよさそうであり、チーム一丸となって戦っている様子が見て取れる。勢いという意味では、今のJ2では、№1である。
■ フッキの存在攻撃陣では、本調子ではなかったとはいえ、FWフッキが1ゴール2アシストの活躍。チームを勝利に導いた。
現状では、攻撃陣はフッキの能力に頼る部分が多い。開幕当初は、より高いレベルを目指して、チーム戦術の中にフッキを組み込もうとしていたが7連敗をあって断念し、それ以後は、フッキの能力をシンプルに、そして最大限に生かせるような戦術に変更した。これが、功を奏して、結果が出ている。
問題は、フッキのイエローカードによる出場停止にリーチがかかっていることである。次にイエローカードを提示されると、フッキは、また2試合の出場停止となる。おおよそ、3試合に1枚の頻度でイエローカードを受けるフッキだけに、残り試合で、また警告を受けるだろう。フッキの出場停止がいつになるのか、そして、フッキなしでどう乗り切るのかが、大きな問題である。
■ ボールをつなぐことが出来なかった札幌札幌は、またしても完敗に終わった。前節の山形戦での快勝劇が吹っ飛ぶようなショッキングな敗戦だった。
札幌はどちらかというと受身のスタイルなので、勝ち続けているときも相手に主導権を握られることが多かったが、苦しい時間帯に耐えて失点することなく試合を進めていくことで、自分たちのペースに持っていくことが出来たが、ここ最近は、耐えなければならない時間帯で先制点を奪われることが多く、結局、そのまま、相手に押し込まれる試合が増えている。
この試合でも、前半1分に先制点を奪われて、プランが完全に狂った。FWフッキというカウンターに最適なプレーヤーがいるチームを相手にしては、苦しくなるのは必然だった。
■ どのようにビルドアップを行うのか?札幌の攻撃は、ロングボールを前線の2人(ダヴィと中山)にロングボールを当ててから攻撃が展開される。いつもであれば、もっと2トップが競り勝ってセカンドチャンスにつなげることが出来るのだが、東京Vの土屋と萩村が素晴らしいパフォーマンスを見せてハイボールをすべて跳ね返して、札幌に攻撃の基点を作らせなかった。
札幌としては、苦しい展開になったときに別の攻撃のオプションがあれば対処もできたが、ダブルボランチに展開力がないこともあって、形式どおりに、安易にロングボールを放り込んではボールを失うという悪循環を繰り返すしかなかった。
J2は、同じチームと4度ずつ対戦を行うが、すでに札幌の攻撃スタイルは完全に相手に読まれている。ここ数試合、ビルドアップの段階で同じような問題を抱えていながら、あまり有効な解決策を見出せていない。
■ 自信を失っている札幌守備陣攻撃以上に深刻なのが守備の崩壊である。1ヶ月前までは、鉄壁の守備を誇ており、「隙はない。」と思われていたが、サッカーとは難しいもので、いったん歯車が狂うとどうしようもない状態になってしまうようで、完全に自信を失っているように見える。
4バックについては、西澤・曽田・ブルーノ・西嶋(池内)とマンマークに強い選手がそろっており、簡単には1対1で負けないというメンバーであるが、この試合では簡単に東京Vのアタッカー陣にかわされるシーンが多かった。
勝ち点3が必要な時期に入って、攻撃陣だけではなかなか得点が奪えなくなったことが原因で、DFラインの選手にも攻撃能力が求められるようになって攻撃参加する機会が増えたために、攻守のバランスを失って、失点が急激に増えていると考えることができる。ともかく、攻撃がうまくいっていないことが守備にも影響を与えているし、反対に、守備がうまくいかなくなったから攻撃もさえなくなったとも言える。どちらにしても攻守のバランスは良くない。
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