■ 開幕から10戦負けなしIスペイン出身のロティーナ監督が就任して2年目の東京Vは10節を終えた時点で4勝6分けで勝ち点「18」。J2の22クラブの中では唯一となる無敗をキープしている。10試合で12得点/3失点。守備の堅さが光っているが、3失点というのはJ2最少タイ。6勝1敗3分けで2位の岡山と同じ失点数になる。6節から5試合連続クリーンシート達成中。得失点差「+9」というのは首位の大分の「+10」に次いでJ2で2番目となる。
2008年以来のJ1復帰に向けて大きなチャンスがやって来たが面白いのは10節を終えた時点で早くもスコアレスドローの試合が5つもある点である。2節の甲府戦(A)、4節の大分戦(A)、6節の山形戦(H)、8節のFC岐阜戦(H)、9節の熊本戦(A)がスコアレスドローだった。アウェイ戦は4試合を戦っているが4得点/0失点。ということでアウェイ戦ではまだ失点をしていない。手堅いサッカーで勝ち点を積み上げている。
11節が大宮戦(A)、12節が町田戦(H)、13節が金沢戦(H)、14節が山口戦(A)、15節が岡山戦(A)になる。現時点で3位の山口戦(A)、現時点で2位の岡山戦(A)と続く「アウェイの上位2連戦」は激しい試合になるだろう。6引き分けとドローゲームが多くなっているので勝ち点は「18」。4位に位置するがJ2の22クラブの中で最も安定した戦いを続けているチームである。開幕からの無敗記録がどこまで続くのか?は興味深い。
■ 枠内シュート率の低さが課題表1は10節終了時点の各種スタッツを示している。パス数は5位、ボール支配率は6位。アンカーのMF内田達を中心としたパスワークからチャンスを作っている。30mライン進入回数は42.56回でJ2で2位。ボールを動かしながら相手のエリアに攻め込むシーンは多い。ドリブル数は6位、クロス数は8位。オフに「ダブル・あんざい」が流出した影響が心配されていたが心配されたほどの大きな穴にはなっていない。
気になる点を挙げると「枠内シュート数の少なさ」ならびに「枠内シュート率の低さ」になる。シュート数は13.44本。J2で7位となるが枠内シュート数は2.89本。J2で20位となる。枠内シュート率に至っては21.5%でJ2ワースト。J2平均は31.1%なので大きく下回っている。シュート精度の低さは6引き分けと勝ちきれない試合が多くなっている主要因の1つに挙げられる。現時点での数少ない改善ポイントと言える。
FWドウグラス・ヴィエイラが10試合で5ゴールを記録しており、FWアラン・ピニェイロも8試合で3ゴールを記録しているが、総得点が「12」なので助っ人2人に得点者が偏っている。CBのDF畠中が2ゴールで、MF渡辺皓とFWカルロス・マルティネスが1ゴールを挙げているが、前目の位置でプレーする日本人の得点が少ない。MF梶川、MF井上潮、MF藤本寛、MF高井あたりには今以上にゴールに絡む活躍を期待したい。
■ 余計なファールをしないこと開幕から10試合負けなしの理由は、やはり、強固な守備になる。目立つのは被枠内シュート数である。2.67本というのはJ2最少となる。被シュート数は13.00本でJ2で14位。決して少なくないが枠内にシュートを飛ばせない守備が出来ている。被枠内シュート率は20.5%で当然のことながらJ2最低。2位の水戸は25.7%なので東京Vが断トツに低い数字になる。10試合で3失点という大きな理由に挙げられる。
また、相手チームの30mライン進入回数は44.56回でJ2で19位。多い方から数えて4番目なので30mラインに進入される回数は非常に多いがペナルティエリア進入回数は12.56回でJ2で6位。ペナエ侵入率(=ペナルティエリア進入回数/30mライン進入回数)は28.2%でJ2で最低。30mラインへの進入は許しているがペナルティエリアへの進入は許さない。この点もここまでJ2で最少失点タイとなる大きな理由と言える。
失点が少ないもう1つの理由は「余計なファールをしない点」である。反則の数は11.2回でJ2最少。相手チームに与えた直接FKの数も8.22回で同様にJ2最少となる。ロティーナ監督が口を酸っぱくして選手に指導している「余計なファールをして相手にセットプレーの機会を与えない。」という点がしっかりと実行できている。ここまでクロスから2失点、ドリブルから1失点。セットプレーでの失点はまだ1つも無い。
CK献上回数は5.00回。これはJ2で14位タイとなる。多い方から数えて8番目なのでこちらは決して少なくないが「全員で守備を頑張ってセットプレーを獲得。セットプレーで点を取って勝ち点をもぎ取ろうとするチーム」が非常に多いJ2では「余計なファールをして相手にセットプレーの機会を与えない。」というのは極めて大事なことである。「激しく行き過ぎないクレバーな守備」が東京Vの大きな特徴と言える。
表1. 東京ヴェルディの各種スタッツ (10節終了時点)
項目 | 自チーム | 相手チーム |
シュート | 13.44 | 13.00 |
7 | 14 |
枠内シュート | 2.89 | 2.67 |
20 | 1 |
パス | 508.00 | 527.56 |
5 | 20 |
クロス | 15.89 | 16.89 |
8 | 18 |
直接FK | 11.67 | 8.22 |
20 | 1 |
間接FK | 1.56 | 2.22 |
18 | 10 |
CK | 3.78 | 5.00 |
20 | 14 |
スローイン | 20.89 | 20.11 |
21 | 1 |
ドリブル | 13.33 | 15.33 |
6 | 21 |
タックル | 18.33 | 23.44 |
22 | 11 |
クリア | 23.56 | 21.56 |
19 | 21 |
インターセプト | 3.00 | 2.22 |
5 | 11 |
オフサイド | 1.89 | 1.56 |
14 | 17 |
30mライン進入 | 42.56 | 44.56 |
2 | 19 |
ペナルティエリア進入 | 14.00 | 12.56 |
8 | 6 |
ペナエ侵入率 | 32.9% | 28.2% |
18 | 1 |
ボール支配率 | 51.3% | 48.7% |
6 | 6 |
枠内シュート率 | 21.5% | 20.5% |
22 | 1 |
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