■ 降格すると危機的な状況を迎えることになると思われる栃木SC栃木SCは2013年の終盤にクラブが深刻な経営危機にあることが表面化した。FWクリスティアーノやMFパウリーニョなど能力の高い外国籍選手を保有する余裕はなくなって「育成型クラブ」へシフトチェンジしたが、2014年はラスト3試合で3連勝。12位とまずまずの順位でシーズンを締めくくった。しかし、今シーズンは絶対的なエースがいない攻撃陣が足枷となって思うような成績を残せていない。
阪倉監督はチーム作りの上手な監督である。攻守両面で組織的なサッカーはできていた。悪い戦いぶりではなかったが、いいサッカーができたとしても勝利につながらないと自信を手にすることはできない。結局、24節で群馬(A)に敗れた後、阪倉監督は辞任。急遽、倉田監督が就任したが、経営的に苦しいクラブなので、栃木SCにとって「J3降格」はクラブ存続の危機に直面することを意味する。
J2から降格した3クラブの中では鳥取が経営的に厳しい状況に置かれている。今年4月の段階で2016年度のJ2ライセンス申請を断念することを発表しており、すでにJ2昇格の可能性が消滅しているが、J3に降格すると入場料収入などが減少するのは間違いないところで、クラブとしての露出度も極めて低くなる。体力的に厳しい栃木SCはクラブを守るためにも何としてでもJ2に残留しなければならない。
■ ラモス体制の2年目は飛躍のシーズンになるかと思われたが・・・。ラモス監督になって2年目となるFC岐阜は開幕直前に行われたJ1の名古屋とのPSMで非常にいい戦いを見せた。主力のほとんどが交代した後に同点・逆転を許したが、攻守両面でアグレッシブなサッカーを見せて「ラモス体制2年目の躍進」を予感させたが、開幕戦で岡山にアウェイで0対3で大敗したことで出鼻をくじかれた。早々にスタイルを変えて現実的なサッカーで勝ち点を積み上げようとした。
ただ、早い時期にモデルチェンジを決断したラモス監督の判断が正しかったとは言えず。内容的に厳しい試合が続いて、かつ、結果も伴わなかった。強豪の磐田を連破するなどチーム力は決して低くはないが、新加入選手が多いのでまとまりという点では今一つ。過去に何度もJ2の残留争いを経験してきたクラブであるが、残留争いのライバルが強力な分、恐怖心を抱いているサポーターは多いと思われる。
FC岐阜が「危ういチームの1つ」と言えるのは確かであるが、冷静に考えるとFC岐阜もメンバー的にはかなり揃っている。エースストライカーのFW難波は得点王争いをしており、大黒柱のMF高地はアシスト数でリーグ上位。MFヘニキのボール奪取力はJ2の中では有数で、CBのDF高木和は日本代表でプレーした経験がある。大分や京都などと比べても総合力で大きく見劣りするわけではない。
ベテランはよく頑張っているので、後半戦は若手の奮起が期待される。「金満クラブになって他クラブで活躍した中堅からベテラン選手を大量に引き抜いたチーム」というイメージを持つ人は多いが、FW遠藤純、MF清本、MF小野悠、MF水野泰など魅力的な若手は少なくない。ラモス監督が期待を寄せている20代前半の彼らが活躍できるとチームは乗っていくことができるはず。彼らの頑張りに期待したい。