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モダンデザインの歴史をざっと概観する1

「モダンデザインの歴史をざっと概観する」<1・2・3> 膨大な視覚表現資料をもとにこの18世紀を中心としたアーリーモダン研究を広範かつ精緻に行い、イメージング・サイエンスという新しい研究分野を牽引しているバーバラ・スタフォードという人がいます。彼女はこの時代の視覚中心の文化に、現代の分析的思考によって様々な分野がバラバラの状態で孤立した閉塞感を突き破る力を見てとります。 スタフォードが書いた本に『ヴィジュアル・アナロジー』という一冊がありますが、タイトルが想起させる通り、視覚表現がもたらすアナロジーの力に着目した本です。その本の中でスタフォードはこう書いている。 アナロジー化の良いところは、遠くの人々、他の時代、あるいは、現代のさまざまなコンテクストさえ、我々の世界の一部にしてくれる点である。 バーバラ・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』 アナロジーは領域横断、トランスディシプリナリーな思考や活動を可能にしてくれるんですね。これは現代において非常に重要なことだと思います。近代化の歩みが作り上げた社会のシステム、あるいはモダンデザインが用意した社会のしくみやライフスタイルが様々なところで破綻してきているからです。 数回のエントリーに分けて、現在のシステム破綻を考えるにあたっての前提である近代のデザインが歩んできた歴史をざっと概観しておくことにします。

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20世紀はどのようにデザインされたか/柏木博

最初に柏木博さんの書かれたものを読んだのは『デザイン12の扉―内田繁+松岡正剛が開く』でした。それ以来、すでに何冊か柏木さんの本を読んでいます。もちろん、何冊も読みたいと思うのは、柏木さんのデザインを見つめる視点がそれだけ魅力的だからです。ただ、その魅力というのはデザインあるいはデザイン史というものに1つ確固とした視点を明らかにしているからというよりも、その視点が万華鏡のように様々な形で披露されるところにあります。 「柏木博の本はみんなとりあげないと、そのデザイン思想はわからない。」と松岡正剛さんは言います。確かにそのとおりで、これまでこのブログでも何冊か柏木さんの本は紹介してきましたが、『玩物草子―スプーンから薪ストーブまで、心地良いデザインに囲まれた暮らし』と『「しきり」の文化論』を読むのとでは同じではありません。似たようなことが書かれている『近代デザイン史』と今回紹介する『20世紀はどのようにデザインされたか』でも、両方読んでみないとわからないことがあります。 fine artとapplied artとしての美術とデザインそれは柏木さん自身が、『近代デザイン史』の冒頭で書いている次のような感覚からくるものだろうと思います。 たとえば、日常的な言説として、デザインはますます美術との境界が曖昧になってきているということが語られてすでに久しい。こうした言説に対して同意を求められると、デザイン史を含めてさまざまなデザインの領域からは、即答できずに何かしら複雑な思いと揺らぎを感じるに…

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