モダンデザインの歴史をざっと概観する1
「モダンデザインの歴史をざっと概観する」<1・2・3>
膨大な視覚表現資料をもとにこの18世紀を中心としたアーリーモダン研究を広範かつ精緻に行い、イメージング・サイエンスという新しい研究分野を牽引しているバーバラ・スタフォードという人がいます。彼女はこの時代の視覚中心の文化に、現代の分析的思考によって様々な分野がバラバラの状態で孤立した閉塞感を突き破る力を見てとります。
スタフォードが書いた本に『ヴィジュアル・アナロジー』という一冊がありますが、タイトルが想起させる通り、視覚表現がもたらすアナロジーの力に着目した本です。その本の中でスタフォードはこう書いている。
アナロジー化の良いところは、遠くの人々、他の時代、あるいは、現代のさまざまなコンテクストさえ、我々の世界の一部にしてくれる点である。
バーバラ・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』
アナロジーは領域横断、トランスディシプリナリーな思考や活動を可能にしてくれるんですね。これは現代において非常に重要なことだと思います。近代化の歩みが作り上げた社会のシステム、あるいはモダンデザインが用意した社会のしくみやライフスタイルが様々なところで破綻してきているからです。
数回のエントリーに分けて、現在のシステム破綻を考えるにあたっての前提である近代のデザインが歩んできた歴史をざっと概観しておくことにします。