■ J1の第3節J1の第3節。ともに2連勝と好スタートを切ったサンフレッチェ広島と浦和レッズがエディオンスタジアムで対戦した。広島は開幕戦はホームで甲府に2対0で快勝して、2節はアウェイで松本山雅に2対1で勝利した。ベテランのMF森崎浩が好調でここまで1ゴール1アシストとゴールに絡んでいる。一方の浦和はACLは3連敗と期待を大きく裏切る結果になっているが、リーグ戦は湘南と山形に勝利して連勝スタートを切った。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、柏、森崎浩、茶島。FW佐藤寿。2試合連続スタメンだった五輪代表のMF浅野拓が不在で、大卒2年目のMF茶島がスタメンに抜擢された。広島ユース出身で東京学芸大を経由して広島に戻ってきた。徳島のMF大崎、熊本のMF中山雄などがユース時代の同期となる。MF青山敏とDF水本が日本代表に選出されている。
対するアウェイの浦和は「3-4-2-1」。GK西川。DF森脇、那須、槙野。MF柏木、阿部勇、梅崎、橋本和、李忠成、石原直。FW興梠。近年は浦和から広島に移籍する選手が目立っているが、スタメン11人の中ではGK西川・DF森脇・MF柏木・MF石原直の4人が広島から浦和に移籍した選手で、DF槙野とMF李忠成も広島でプレーした経験がある。浦和ではGK西川とDF槙野とFW興梠の3人が日本代表に召集されている。
■ 0対0のドロー前半は見どころの多い試合となる。両チームは同じようなシステムで、同じようなスタイルのサッカーなので、2012年にペトロヴィッチ監督が浦和の監督に就任してからは直接対決では睨み合いのような試合になることが多かった。ミラーゲームになって、エキサイティングな試合になることは少なかったが、過去の試合とは違って前半からゴール前のチャンスシーンの多いなかなか面白い試合になる。
広島は今シーズン初スタメンのMF茶島が躍動。思い切りのいいプレーを見せて自身で2度惜しいシュートを放つなど存在感を発揮する。一方の浦和もDF森脇のミドルシュートや新加入のMF橋本和の攻撃参加から際どいシーンを作る。前半はどちらのチームにも3・4度ほど決定機があった。決まってもおかしくないシーンがたくさんあったが、シュートが枠に飛ばないケースが多くてどちらのチームにもゴールは生まれず。
0対0で迎えた後半はどちらかというと浦和ペースとなる。浦和はACLの中国遠征から中4日。広島はミッドウイークのナビスコカップはお休みだったので、コンディション面では圧倒的に広島が有利だったが、広島はそのアドバンテージを生かせず。浦和は途中出場のFWズラタンのシュートなどで相手ゴールを脅かす。しかしながら、最後までゴールは奪えず。試合は0対0の引き分けに終わった。
■ スタメン抜擢のMF茶島雄介が存在感を発揮広島と浦和の2チームには数々の因縁がある。ペトロヴィッチ監督が就任した2012年の開幕戦はDF槙野、同じく2013年の開幕戦はDF森脇がボールを持つたびにエディオンスタジアムに集まった広島のサポーターからは大ブーイングが起こるなど異様な雰囲気の中で試合が行われた。(※ 昨シーズンは第3節で対戦したが、いわゆる、横断幕騒動が起こった後の最初の試合だったのでこのときの雰囲気も異質だった。)
昨オフもMF石原直が広島から浦和に移籍したので、どういう雰囲気になるか?と思われたが、不穏なムードにはならなかった。この日の浦和のスタメンは半分以上が元広島の選手で、しかも、広島時代にチームの中心として大活躍した選手ばかりであるが、相手チームに元広島の選手がいることにサポーターも慣れてきたのか、過剰な敵対心もなくて、ナーバスな反応はほぼ無かったと言える。
広島で目立ったのは何といっても大卒2年目のMF茶島である。2試合連続スタメンのMF浅野拓が五輪代表に召集されているので、「誰をシャドーの位置に起用するのか?」が注目されたが、MFドウグラスでも、MF柴崎晃でも、MF工藤浩でもなくて、J1で通算2試合目の出場となるMF茶島を起用してきた。森保監督の大抜擢だったが、期待以上のパフォーマンスを見せたと言える。この試合の大きな収穫と言えるだろう。
「ボランチの位置でボールを捌くプレーを得意とする選手」というイメージが強かったが、この日は2列目で起用されて積極的な仕掛けが目立った。ボールを失うシーンもいくつかあったが、小気味いいプレーが攻撃のアクセントになった。FW佐藤寿に出したスルーパスなどパスセンスも見せたが、自らのドリブルで打開しようとする思い切ったチャレンジが良かった。この試合の中でもっとも目立った選手と言える。
今シーズンの広島はMF石原直とMF高萩が抜けたので、「シャドーの位置をどうするのか?」が最大の注目ポイントになっている。ここまではMF森崎浩とMF浅野拓のコンビがスタメンで起用されており、京都から加入したMFドウグラスがシャドーの位置でプレーすることもある。MF野津田やMF工藤浩やMF柴崎晃なども控えているが、MF茶島は他のどの選手ともプレースタイルが異なるので面白い存在になりそうだ。
■ リーグ戦は2勝1分けの好スタート一方の浦和は中4日という相手と比べると不利な状況であるにも関わらず、後半は優勢だった。後半になっても動きが落ちなかったことは収穫の1つで、J1の柏から加入した新戦力の左WBのMF橋本和がまずまず存在感を発揮した点も収穫と言える。近年の相性は非常に良いが、『アウェイの広島戦で引き分け』という結果は悪くない。終盤はホームの広島が引き分け狙いにシフトチェンジするほどだった。
浦和はこれでリーグ戦は2勝1分け。ACLとリーグ戦の日程が重なる3月・4月の時期というのはACL組はいくつかの点でJリーグから配慮される。浦和も1節が湘南(A)で、2節が山形(H)ということで、どちらかというと戦いやすいと思われる昇格組との対戦が続くという有利な部分もあったが、きっちりと2連勝。アウェイで広島とも引き分けたので、2勝1分けとリーグ戦に限定するといいスタートを切ったと言える。
「これだけの補強をしたのでACLでも勝ってほしい。」と思う人が多くなるのは当たり前である。3連敗スタートとなったACLの結果は「ふがいない。」と言わざる得ないが、肯定的に表現するとACLの不振を引きずっていないように見える。同じようにACLで結果が出ていない鹿島はACLの不振がリーグ戦の方まで影響しているように思えるが、浦和についてはうまく気持ちを切り替えて戦えているように思える。
G大阪も同様と言えるが、戦力が充実していて、アジア制覇も期待されていたチームがACLで結果を出せないと精神的に落ち込んできて、リーグ戦の方にも影響してくることが多い。肉体的な負担だけでなく、精神的な負担が大きいのもACLであるが、浦和はうまく切り替えて戦っている。悪いムードを引きずっても何も得はしないので、この点に関しては「経験の豊富な選手は多い浦和はさすがだ。」と言える。
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