■ DF森脇はレッズ入りJ1の浦和レッズが日本代表経験のあるサンフレッチェ広島のDF森脇良太を獲得した。浦和には、MF柏木、DF槙野といった選手が在籍しており、さらに、恩師のペトロヴィッチ監督もいる。同じシステムで、よく似たサッカーをしているチームなので、馴染むのは、難しくないだろう。
浦和にとっては、大きな補強となった。今シーズン、右WBはMF平川、右ストッパーはDF坪井が起用されることが多かったが、ともに33歳のベテランで、今オフは、この2つのポジションが補強ポイントになっていた。DF森脇は26歳と若くて、左右WBと右ストッパーでプレーできる選手なので、ドンピシャの補強と言える。
DF森脇は、右ストッパーのレギュラーで起用される可能性が高いが、DF坪井と比べると、攻撃力は、はるかに上である。もちろん、守備力に関しては、DF坪井の方が上と言えるが、浦和は3バックを採用しており、両ストッパーの攻め上がりは重要なので、これ以上ないほど、効果的な補強と言える。
■ MF柏木、DF槙野、DF森脇・・・一方の広島は、主力を引き抜かれたが、DFファン・ソッコが穴を埋めると思われる。182センチと高さがあって、韓国の五輪代表では、CBでプレーしていた選手なので、守備においては、DF森脇以上である。ただ、攻撃に関しては、DF森脇の方が上だと思われるので、トータルで考えると、戦力ダウンと言えるだろう。
広島から浦和への移籍というと、MF柏木のケースが真っ先に思い浮かんでくる。また、ケルンを経由しているが、DF槙野も、似たようなパターンである。ユース育ちで、しかも、日本代表クラスの選手を、短期間に3人も持っていくというのは、珍しいことなので、両チームの間に遺恨が生まれてもおかしくはない。
今シーズン、広島と浦和は開幕戦をビッグアーチで戦ったが、このときのDF槙野に対する反応は尋常ではなかった。「恨」という部分が強くなりすぎると、暴力的なことにもつながってくるので、好ましくは無いと思うが、2013年は、同カードが、さらに注目を集めるのは間違いない。
■ フリー移籍か?ところで、この移籍も「フリー移籍」だと報道されている。DF森脇は、ここ数年、毎年のように、「他クラブに移籍するのでは?」という話があった。移籍を視野に入れていたのは間違いないことで、「クラブ側が提示した契約延長のオファーを受け入れなかった。」と推測できる。そして、こうなると、広島のフロントはどうしようもない。
欧州の裕福なクラブになると、「契約延長にサインしないのであれば、試合に使わない。」と脅しをかけて、実際に干してしまうこともある。これもフェアなやり方には思えないので、賛否両論あると思うが、是非はともかく、Jリーグのクラブで、そういったことができるほどの余裕があるクラブは、無いと思うので、解決策にはなりえない。
DF森脇の場合は、広島で高額な年俸をもらっていたわけではないと考えられるので、DF森脇という選手に投資してきた分以上のものを、すでに回収できていると思われる。よって、「まだマシ」と言えるが、ジュニアユースやユースの頃から手塩にかけて育ててきた逸材が、19歳や20歳あたりの年齢でフリー移籍(あるいは微々たる額の移籍金で移籍)することがあると、クラブは大ダメージを受ける。
■ 公表されない現状(1)個人的な意見になるが、移籍あるいは契約に関して、1つ問題だと思うのは、各選手の年俸であったり、契約年数であったり、移籍金の額が、全くオープンになっていないことである。サポーターは、マスコミの報道を信じるしかないが、これも、正しいとは限らない。
欧州の大きなリーグになると、誰がどのくらいの年俸をもらっていて、契約年数はどのくらい残っていて、移籍があったときは、移籍金はどのくらいなのか、きちんと報道されていると思うが、日本の場合は、そういった部分はすべて伏せられている。
移籍の制度が変わってからは、フリー移籍が多くなっていると言われているが、フリー移籍なのか、移籍金を払っているのかは、大きな違いがあるし、移籍金の額というのも、大きな話である。Jリーグの場合、各クラブの収支に関する情報は、比較的、クリアにされているので、常識を超えたお金が飛び交うことはないと思うが、モヤモヤ感はぬぐえない。
サッカーの場合、契約が切れるとフリーで移籍できるので、有力な選手に対しては、契約延長のオファーをするのが常識になっているが、現状では、「契約延長」が成されたとしても、公になるケースは稀なので、フロントがしっかりと対応していたとしても、伝わってこない。
■ 公表されない現状(2)DF森脇の移籍についても、広島時代の年俸がどのくらいだったのか、また、浦和はどういう条件を提示したのか、さらには、広島が契約延長のオファーをしていたならば、何年契約でどのくらいの額だったのかなどなど、知りたいところが全く明らかになっていない。
もし、浦和が破格のオファーを出していたのであれば、この移籍に関する印象も変わってくるし、逆に、広島が提示した延長契約のオファーの額が、DF森脇という選手の価値に見合ったものではないということが分かれば、DF森脇に対して、同情的な声も出てくると思うが、今の段階では、何も情報はないため、憶測の部分が多くなって、どういう反応が正しいのか、判断に迷う。
スポーツ選手の寿命は短いので、より条件のいいオファーがあれば、「移籍を選択する」というのもアリだと思うが、現状は、条件を含めて、すべてを伏せているので、すっきりしない。年俸であったり、移籍金というのは、選手にとっては、ステータスの1つだと思うので、どうにかならないかと思う。
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