■ PKのジャッジは正しかったか?3月23日(日)に万博競技場で行われたJ1の第4節のG大阪と広島の試合は前半25分にG大阪が日本代表のMF遠藤のシュートで先制するが、後半17分に広島のFW佐藤寿がPKを決めて1対1の同点に追いついた。その後、G大阪は途中出場のMF二川に絶好機が訪れるがシュートはクリーンヒットせず。結局、試合は1対1の引き分けに終わったが、上位候補同士の対戦らしく非常に質の高い試合だったと言える。
話題になったのは、広島が得たPKのシーンである。「ペナルティエリア内でMF石原がファールを受けた。」という判定でPKが与えられたが、ダイブにも見える微妙なシーンだった。対応していたDF丹羽が大きく足を振り上げたところで接触があったとして笛を吹いたのか、その後のDF丹羽の後ろ足に引っ掛かったところがファールだったのか、定かではないが、ノーファールでもおかしくない場面だった。
最初に観たときは両者が勢いよくぶつかっているように見えたが、何度も繰り返してリプレーを見ていくと、最初のシーンでは両者は全く接触しておらず、次のシーンでDF丹羽の足に引っ掛かっているのかどうかもかなり怪しいところである。MF石原のこけ方もファールを貰いに行ったように見えるほど不自然だったので、「誤審ではないか?」という意見が出てくるのは当たり前である。
近くで観ていた主審がPKを宣告するほどの場面なので、「100%ダイブである。」とは言い切れないが、PKが宣告された直後のMF石原の表情やしぐさを見ると、かなり後ろめたさを感じているように思える。G大阪のDF丹羽やDF岩下も抗議をしていたが、PKを貰った側の広島のサポーターもモヤモヤする気持ちがあったのではないか?と推測する。すっきりした形の同点ゴールではなかった。
■ PKを宣告した中村太主審ジャッジを下したのは中村太主審だった。このジャッジに関しては、間違っているのではないか?と思うが、中村太主審はここ2年ほどでレフェリングの技術が大きく向上したレフェリーである。ちょっと前までは非常に不安定だったので、「J1のレフェリーの中でもっとも信頼できないのは誰か?」を考えるとき、真っ先に名前が名前が挙がるような主審だったが、最近はそういう感じは無くなって来た。
最近の試合では、ゲームを壊すことはほとんど無くて、試合前や試合中に両チームの選手としっかりコミュニケーションを取れるようになっている。「ここ2年ほどでもっとも成長したレフェリーの1人」に挙げることができるが、こういう感じで注目されてしまって、過去のあまり良くなかった時期の不安定なジャッジを元に批判されてしまうのは、非常に残念に思う。
とは言っても、G大阪のサポーターでも、広島のサポーターでも、どちらでもない中立なサポーターがリプレーを観ると、「シミュレーションだ。」と感じる人が多いと思うので、中村太主審が責められるのは仕方がない。ポジショニングに関しては、特段の問題は無かったと思うが、両者が接触したことを確認できていたのか、雰囲気でPKを宣告してしまったのか、疑問に感じるところもある。
ただ、ペナルティエリア内は密集地帯になることが普通なので、肝心なところがG大阪あるいは広島の選手の身体によって主審の位置から見えなくなることも普通にあり得る。前もってどんなにいいポジショニングを取っていても、その瞬間に誰が主審の目の前を横切るだけで死角になるので、「誤審の疑いあり!!!」というシーンであっても、中村太主審だけを責めるのは酷である。
■ 「やったもん勝ち」なのか?個人的には、ダイブの可能性が高いシーンでPKが宣告されたとき、半分は主審に責任があると思うが、もう半分はダイブをしたのではないか?と疑われる選手に責任があると思う。攻撃側の選手は嘘だと見破られた場合、シミュレーションでイエローカードが提示されるときがあるが、2枚目のカードで退場にならない限り、表面上は大したダメージは受けないので、一か八かでダイブをする選手は必ず出てくる。
ダイブというと、マンチェスターUでMF香川とポジションを争っているMFアシュリー・ヤングが常習犯のようになっていて、アウェー戦では相手チームのサポーターから(何もしていなくても)ブーイングを浴びている。そういうブーイングに関しては「やり過ぎだ。」と思うときもあるが、「ダイブでPKを得るのは良くないこと。」という空気をリーグ全体で作り上げることは大事なことなのかもしれない。
ただ、ダイブでPKをゲットすることができた選手が何も代償を払わずに「やったもん勝ち」の状態かというと、決してそうではない。Jリーグの試合でPKや退場に関わる微妙なシーンがあったときは、Jリーグの主審や副審はそのジャッジが正しかったのか、間違っていたのか、(その試合に関わった人だけでなく、)全員がチェックしていると思うが、「限りなくダイブに近い。」となると印象は悪くなる。
選手と審判は信頼関係を築くことが大事であるが、「この選手はペナルティエリア内でダイブをする可能性のある選手。」とインプットされて、ブラックリストに載ることになると、かなり不利である。そういった悪いイメージというのはなかなか消えないので、ダイブをしてPKを得て喜んでいるような選手を観ると、「先のことをあまり考えられないあまり頭の良くない選手だな・・・。」と思ってしまう。
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