■ ライスダービー札幌と新潟という米どころをホームタウンとする両チームの対戦。
ホームのコンサドーレ札幌は、ここまで2勝1分4敗の勝ち点「7」と悪くない結果を残している。システムは<4-4-2>で、GK高木。DF平岡・吉弘・柴田・坪内。MF芳賀・マーカス・砂川・西。FWはダヴィとクライトンの2トップ。
対するアルビレックス新潟は、ここまで1勝2分4敗の勝ち点「5」。開幕から思うようなスタートが切れず苦戦を強いられているが、前節の京都戦で今シーズン初勝利を飾った。しかしながら、相手が8人になった後にも攻め込まれるなど、しっくりこない内容だった。
新潟はこの試合も<4-4-2>。GK北野。DF内田・千葉・千代反田・松尾。MF小暮・寺川・リシャルデス・ダヴィ。FW矢野・アレッサンドロ。MFマルシオ・リシャルデスがスタメンに復帰し、今シーズン初めて外国人トリオがスタメンにそろった。
■ 大きなダヴィの退場立ち上がりは札幌がいい形で試合に入ることに成功した。表記上はFW登録だが、自由自在にフィールド上を動くFWクライトンが攻撃の起点になって、チャンスを作る。前節の神戸戦では存在の薄かった左MF西が効果的にゴール前に絡んで、主導権を握りかけた。
しかしながら、前半34分にFWダヴィが相手DF千代反田への頭突きが原因でレッドカードで退場。カウンター攻撃の切り札を失うことになった。前半はそのまま0対0で終了した。
数的優位となった新潟は、徐々に外国人トリオとFW矢野がいい連携を築いて、ゴールに迫っていく。すると、後半18分に左サイドバックのDF松尾の左足のクロスが直接ネットに吸い込まれるややラッキーなゴールで新潟が先制する。札幌はFW石井らを投入し同点を狙うが、ゴールは奪えずに0対1で終了。札幌としては悔しい試合となった。
■ 悔やまれるラフプレー札幌にとってはホームゲームであり、さらには調子の出ない新潟相手で立ち上がりから優位に立っていただけに、非常にもったいない試合を落とした。戦力的にはJ1の中では不利な立場なので、勝てそうな試合を確実に勝っていくことは残留のためには絶対に必要である。FWダヴィのプレーは全くもって不用意なプレーであり、レッドカードが出ても仕方が無いプレーであった。
ただ、FWダヴィが退場になるまでの時間帯のサッカーは悪くなかった。特にFWクライトンが起点となって、ボランチのMF芳賀やMFデビッドソン・純マーカスが飛び出していくプレーは、これまではあまり見られなかったプレーであり、チャンスにはつながらなかったが徐々にチームが成熟していることの証明だろう。
また、FWダヴィの退場が痛かったのは事実だが、その後の時間帯も決して押されていたのではなく、10人対11人ということを忘れさせる内容であり、チャンスを作ったのも事実である。
■ スーパーなクライトンそれにしてもFWクライトンのプレーはスーパーだった。これだけ運動量があって、これだけフィジカルが強くて、これだけ攻撃の起点になって、なおかつ決定的なパスが出せる選手は、Jリーグ全体を見渡してもほとんどいない。
昨シーズンはFWダヴィとFW中山の2トップが基本であったが、FWクライトンが加入してFWダヴィ&FWクライトンの2トップになったことで、攻撃のバリエーションは飛躍的にアップした。率直な話をすれば、FWクライトンがいないときの札幌はJ1でも最低レベルの戦力であるが、FWクライトンがいると彼が周囲の選手の能力をうまく引き出してくれるので相乗効果が生まれて、最低レベルの戦力とは言えなくなる。
札幌としては、残留を考えると、FWクライトンがいなくなったらThe・Endである。頑丈な選手なので少しのことでは壊れないとは思うが、大事に使っていきたい。
■ 強さが光るDF柴田慎吾他にはDF柴田慎吾の強さと高さが目に付いた。浜松大学出身の新人で187cmという圧倒的な高さが武器のセンターバックである。第3節の柏戦でリーグ戦デビューを果たすと、以後、6試合連続先発フル出場。第6節の磐田戦ではプロ初ゴールを決めるなど、ノリに乗っている。
高さに加えて強さも魅力で、キック力も抜群。ロングレンジでは直接FKも任されるなど、注目の存在となっている。荒削りな部分は残るが、三浦監督の指導を受けて大化けする可能性を秘める。
■ なんとか2連勝新潟はこれで2連勝となって、ひとまず嫌なムードは払しょくされたといえる。ただ、京都戦に続いて前半で相手が退場となり数的優位になりながら、なかなか攻め込むことが出来ずに試合を決められなかった部分は大きな不安材料である。札幌がFWクライトンを中心によく頑張ったという理由もあったが、数的優位を生かしきれなかった。
昨シーズンの好調時と比べると、FWエジミウソンがいなくなったことと、MFマルシオ・リシャルデスが本調子ではないという2つの大きな要素があるが、攻撃にスピード感が無くなった点が気になる。攻撃が一本調子で、FWエジミウソンというスピードのある選手がいなくなったことで単純なスプリント力のある選手が見当たらないことはもちろんのこと、緩急をつけてスピード感を演出するようなプレーも少ない。
■ 外国人トライアングル攻撃においてスピード感は乏しかったが、FWアレッサンドロ、MFダヴィ、MFマルシオ・リシャルデスのブラジル人トリオが初めての実戦の割にはいい形で連携が取れていたことは収穫である。ワンツーやショートパスを駆使して中央から打開を図るプレーは昨シーズンまではあまり見られなかったプレーである。
新外国人のFWアレッサンドロはここまでリーグ戦は3ゴールであるが、非常にシュートセンスのある選手であり、ストライカーらしいストライカーである。シュート以外のセンスがあるかどうかはまだ未知数ではあるが、少なくともいい形で彼にボールが供給されれば、それなりの確率でネットに沈めるだろう。
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