■ ホンジュラス戦グループリーグの最終戦。2連勝でグループリーグ突破を決めている日本はホンジュラスと対戦した。ホンジュラスは1勝1分けで勝ち点「4」。初戦はモロッコと2対2のドローで、2戦目はスペインに1対0で勝利している。ホンジュラスは「引き分け以上」でグループリーグ突破が決定する。
日本は「4-2-3-1」。GK権田。DF村松、鈴木、吉田、酒井高。MF山口螢、山村、宇佐美、大津、齋藤学。FW杉本。過密日程ということもあって、DF徳永、MF扇原、MF東、MF清武、FW永井はベンチスタートで、怪我のDF酒井宏もスタメンから外れた。
■ スコアレスドロー試合の序盤はホンジュラスのペースとなる。スタメンを大きく入れ替えた日本は、中盤でミスが多くてリズムをつかめない。前半16分には、MF大津が左足でシュートを放つが、GKの正面に飛んで先制ならず。前半は0対0で折り返す。
後半になると、ホンジュラスのプレッシャーが緩くなってきて、日本がボールを支配する展開になる。後半22分にFW杉本に代えてMF清武を投入すると、攻撃の流れが良くなって、ゴール前のシーンを作るようになる。しかしながら、決定機を作ることはできず。
終盤になると、日本も、ホンジュラスも、「ドローでOK」という感じで、最終ラインでボールを回すシーンが増えていく。結局、試合はスコアレスドローで終了。勝ち点「7」となった日本が首位でグループリーグを突破し、準々決勝でエジプトと対戦することになった。一方のホンジュラスは、グループ2位となって、優勝候補のブラジルと準々決勝で対戦することになった。
■ グループ首位で通過準々決勝を見据えて、メンバーを大幅に入れ替えてきた日本は、前半はコンビネーション不足でミスが目立ったが、時間が経つにつれて、攻撃でも、守備でも、組織的に戦えるようになってきた。3連勝で突破できると、勢いも出たと思うが、「引き分け以上」というミッションはクリアした。
2002年の日韓W杯も、2010年の南アフリカW杯も、グループリーグ突破を決めたのは、3戦目だったので、「突破を決めて一安心」というムードがあったが、今回は、余裕を持って突破を決めることができた。準々決勝で対戦するエジプトは、トゥーロン国際大会では2対3で敗れているが、力の差はほとんどない。ベスト4入りの大きなチャンスが巡ってきたと言えるだろう。
見せ場は少なかったが、したたかに戦えたことは、評価できる。後半のロスタイムになると、日本が最終ラインとボランチのところでボールを回して、時間稼ぎを始めたので、観客からはブーイングが起こったが、ブーイングにも動じずに、淡々とパスを回し続けた選手たちには、頼もしさも感じた。
■ アピールに成功したMF山村スタメン起用された選手にとっては、大きなアピールの場となったが、関塚監督にアピールできたのは、右SBで起用されたDF村松とボランチのMF山村の二人だろう。今回のチームは、右SBを得意とする選手が多くて、DF酒井宏とDF徳永とDF酒井高がいるので、DF村松がサイドバックで起用されるとは思わなかったが、守備の強さを見せて、サイドバックでも問題ないことを示した。
DF村松は、本職はCBで、湘南のときは、DFジャーンと組んでJ1昇格に大きく貢献したが、清水では、昨シーズンは右SBで試されて、今シーズンは、アンカーでポジションを確保している。攻撃的なセンスは乏しいので、オーバーラップしてチャンスを作るシーンはほとんどなかったが、持ち味のスピードを駆使して、守備で穴を作らなかった。
また、ボランチのMF山村もまずまずだった。序盤は、MF山口螢との連携がまずくて、不安定だったが、後半になると落ち着いてきて、積極的な飛び出しで、攻撃に厚みを加えた。前半のように、相手にプレッシャーをかけられたときのプレー精度が課題と言えるが、ゴール前でボールを受けても、慌てないメンタリティーは、1つの武器である。
■ アピールできなかったFW杉本一方で、CFで起用されたFW杉本は、持ち味を発揮できなかった。味方のサポートが少なかったので、気の毒なところもあるが、なかなか、ボールが収まらず、決定機にも絡めなかった。決勝トーナメントは総力戦になるので、ホンジュラス戦でアピールできれば、どこかの段階でスタメン起用されるチャンスが巡ってきたと思うが、アピールはできなかった。
また、MF宇佐美も、ボールを持ったときは、何度か光るプレーを見せたが、決定機を演出することはできず、序列を崩すことはできなかった。FW杉本も、MF宇佐美も、相手にリードされたときに、ピッチに送り出して、ゴールに絡むプレーが期待されるので、ホンジュラス戦で仕事をして、いいイメージをつかんでほしかったが、残念な結果に終わった。
同様に、MF齋藤学も、チャンスに絡めなかった。MF齋藤学はスペイン戦でイエローカードを受けているので、温存されるかと思ったが、関塚監督は、リスク覚悟でMF齋藤学を先発で起用し、MF東やMF清武を休ませることを優先した。よって、MF齋藤学は、長い時間、プレーするチャンスを得たので、いいところを見せたかったが、持ち味のドリブルを披露することはできなかった。
■ 次はエジプト戦ということで、関塚ジャパンは2勝1分けでグループDを突破したが、今大会は、スペイン・ウルグアイといったメダル候補の国がGLで敗退し、準々決勝の組み合わせは、イギリス vs 韓国、ブラジル vs ホンジュラス、メキシコ vs セネガル、日本 vs エジプトという組み合わせになった。
もちろん、ここまで来ると、油断できるような相手はないが、エジプトについては、トゥーロン国際大会で対戦しており、どういう相手なのか、分かっているチームである。また、勝ち進むと準決勝で対戦する可能性が高いメキシコは、先日のテストマッチで2対1で勝利している。FWネイマール、FWフッキ、MFオスカーらのいるブラジルの実力が、頭一つ、抜けているように感じるが、その他のチームは、大きな差はない。十分にメダル獲得のチャンスがあるといえる。
とにかく、大事なのは、エジプトとの準々決勝である。エジプトは、最終節でベラルーシに勝利して突破を決めたが、危うい立場にあったので、力を温存することはできなかった。したがって、日本の方が、コンディションに関しては、圧倒的に有利である。下馬評を覆して、ここまで来たのだから、悔いのない試合をして、勝ち進んでほしいところである。
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