■ ベラルーシ戦26日(木)に五輪の初戦を迎える関塚ジャパンがノッティンガムでベラルーシと対戦した。欧州予選を勝ち抜いて来たベラルーシはグループCに入っていて、ブラジル・エジプト・ニュージーランドと対戦する。一方の日本はグループDで、スペイン・モロッコ・ホンジュラスと対戦する。
壮行試合のニュージーランド戦は、終了間際にミスから失点を喫して1対1のドローに終わった関塚ジャパンは、この日も「4-2-3-1」を採用し、GK権田、DF酒井宏、DF鈴木、DF吉田、DF酒井高、MF山口蛍、MF扇原、MF清武、MF宇佐美、MF永井、FW大津というスタメンで、オーバーエイジのDF吉田が初出場となった。
本大会の登録メンバーでベンチスタートになったのは、GK安藤、DF徳永、DF山村、MF村松、MF東、MF齋藤学、FW杉本で、バックアップメンバーのGK林、DF大岩、MF米本、MF山崎もベンチに入った。交代は11人まで可能ということで、全ての選手を試すこともできる。
■ 日本が勝利試合の前半は静かな展開となる。日本は1トップのFW大津のところにボールが渡らず、ニュージーランド戦で見せた前の4人の絡みが見られず、ほとんどチャンスを作れない。一方、欧州予選を3位で通過してきたベラルーシは、高さのある選手が多くて、堅実な守備を見せるが、攻撃力は乏しく、こちらもチャンスを作れない。前半は見どころの少ないまま、0対0で終了する。
後半開始から日本は、DF鈴木、MF山口螢、MF扇原、MF清武、FW永井、FW大津に代えて、DF徳永、MF山村、MF村松、MF齋藤学、MF東、FW杉本を投入し、メンバーを大幅に入れ替えると、途中出場のMF齋藤学がアクセントになって、ゴール前のシーンを作るようになる。後半13分には、ゴール前のこぼれ球に反応したMF東が決定機を迎えるが、キーパーに阻まれてゴールを奪えない。
なかなかチャンスに決められなかった日本だったが、後半36分にMF米本のチェックから高い位置でボールを奪うと、最後は、MF東のパスからFW杉本が右足で決めて先制ゴールを奪う。FW杉本はニュージーランド戦に続いて、2試合連続ゴールとなった。結局、試合は1対0で日本が勝利した。
■ サイドチェンジの意識国内組が日本を発ったのは、日曜日の夜で、イギリスに到着したのは、月曜日ということで、試合まで中1日というハードな日程となった。しかも、Jリーグに所属する選手は、土曜日と日曜日に試合を行ってから、出発しているので、コンディションが悪いことは試合前から十分に予想できたが、そのとおりで、選手たちの動きは重かった。
フル代表の試合でも、対戦相手が、前日や前々日に来日して、時差ボケのままで、試合をすることがあるが、それと似たような感じで、非常にタフな日程となったので、試合内容について、あれこれ言っても、仕方がないところもある。
当然、この試合の目的は、「ベラルーシを相手にいい試合をすること。」ではなくて、「全員が集まって、試合をこなすこと。」であったり、「試合をすることで初戦のスペイン戦にピークを持っていくこと。」なので、細かいところを指摘してもあまり意味が無いが、前半の45分間は、選手たちの動きが悪くて、チャンスも作れなかった。
前述のように、コンディションについては、スペインまで1週間あるので、ここから上げていく段階なので、大きな問題ではないが、動きが少ない中、サイドチェンジのボールが多くて、トレーニングのとき、意識付けを行っている様子は感じられた。
ダブルボランチを組むMF扇原とMF山口螢は、もともとミドルパスの精度の高い選手であるが、アジア最終予選では、ショートパスが主体で、大きなボールを蹴ることは少なかったので、チームとしての変化を感じた。この日は、両SBの運動量も少なかったので、サイドチェンジから数的優位を作って、サイドで2対1の形を作ることはできなかったが、本大会では、サイドチェンジからサイドアタックという形が、武器になるだろう。
■ 見事な守備からゴール一方、後半はチャンスを作りながら決められなかったが、後半36分にFW杉本が右足でゴールを決めて均衡を破った。このシーンは、ボールの奪い方が見事で、最初にMF米本が相手にプレッシャーをかけてパスミスを誘うと、その後、MF東とMF村松が絡んでいいところでボールを奪い返すと、FW杉本→MF東→FW杉本というパスワークからゴールが生まれた。
「守」→「攻」への切り替えも見事で、狙っていた形からのゴールとなったが、欲を言うと、FW杉本のパスを受けたMF東が前向きのプレーを選択して、自らシュートを狙う必要があったが、その前に、決定機を外したことが頭に残っていたのか、消極的なプレーを選択し、切りかえしを行ったが、これがプラスに作用して、FW杉本がフリーになった。
ボールを受けたFW杉本は、落ち着いたコントロールから右足でゴールを決めたが、ニュージーランド戦から3試合連続ゴールとなって、波に乗っている。FW杉本は、先日まで、J2の東京Vに所属していたので、15日(日)の夜に試合を行ったあと、そのまま、飛行機に乗ってイギリスに旅立っているので、全選手の中で、もっとも、タフなスケジュールとなったが、それを感じさせないプレーを見せた。
■ 1トップはFW杉本がベターか?五輪代表は、今後は、21日(土)にメキシコと対戦し、26日(木)に本番のスペイン戦が予定されている。したがって、あと1週間の準備期間があるので、コンビネーションを合わせる時間は残っているが、1トップで起用されているFW大津が、ゴール前で力を発揮できていないので、FW杉本の先発の可能性も高まってきたように思う。
FW大津の持ち味は、スピードとテクニックであるが、中盤まで下がってくることが多いので、トップの位置で起点になることができず、2列目の3人と役割が重なっている部分もある。対して、FW杉本は、中央でプレーしたとき、持ち味を発揮する選手なので、真ん中で構えていることが多いので、2列目の選手が利用するスペースをつぶすこともなく、オーソドックスな攻撃が可能となる。
もちろん、ベラルーシ戦については、FW大津だけが持ち味を出せなかったわけではなくて、チーム全体の運動量が乏しかったので、FW大津だけをやり玉に挙げるのは、フェアではないが、せっかく、サイドを崩しても、高さで勝負できる選手がいないと、シュートにもつながらないし、簡単にクリアされてしまうと、相手にカウンターのチャンスを与えることになる。途中出場とはいえ、結果も残しているので、現状では、「1トップは、FW杉本がベター」と言えるかもしれない。
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