■ 組み合わせ抽選会が終了ロンドン五輪のグループリーグの組み合わせ抽選会が終了し、日本は、スペイン・モロッコ・ホンジュラスと同じグループとなった。今回は、タレントが豊富なアルゼンチンやドイツやオランダといったサッカー大国が出場できず、ナイジェリアやカメルーンといった若年層の世界大会で結果を残してきたアフリカのチームも、予選を突破できなかった。したがって、小粒な感じもするが、それでも、地元開催の英国、スペイン、ブラジル、スイスなど、力のあるチームは集まっている。
予選突破が大きな目標となる関塚ジャパンも、グループリーグの対戦相手が決定して、ここから、五輪代表入りを巡る争いも激しくなってくる。大会まで、あと100日を切っているので、怪我等で離脱するようなことがあると、相当に苦しくなるだろう。また、メンバー入りできるのは18人なので、アジア予選のときよりも枠は少ない。メンバーに残るのは、かなり大変といえる。
ただ、ベースとなるメンバーはすでに決まっている。怪我等がなければ、GK権田・DF酒井宏・DF鈴木・MF山口螢・MF扇原・MF清武・FW大迫といった選手たちは、「当確」といえるレベルで、GK安藤・DF濱田・MF原口・MF東・FW永井らも、メンバーに入ってくる可能性は高い。数えてみると、これだけで12名となるので、残りの枠はわずかである。
■ 熾烈な2列目のポジション特に、2列目の争いは激しい。18名のうち、2名はGKとなるので、フィールドプレーヤーは16名となるが、フォワードが2枠 or 3枠で、センターバックが3枠 or 4枠で、ボランチが2枠 or 3枠で、サイドバックが2枠 or 3枠程度になることが予想されるので、2列目の枠は、4枠 or 5枠 or 6枠になるだろう。
五輪の場合、登録枠が少ないので、複数のポジションをこなす選手の重要性は高くなる。FW永井は、2列目でもプレーできる選手で、MF大津は1トップでもプレーできることをバーレーン戦(H)で証明した。さらには、ボランチのMF山本康も2列目でプレー可能である。勝つためには、攻撃のタレントも必要となるが、現実的には、勝ち進んでいくと、ディフェンス陣に怪我人や出場停止が出てくる可能性が高くなる。リスクを減らすためにも、最終的には、守備的なポジションの選手を多く招聘することになるだろう。
ということで、ボランチとセンターバックをこなす選手や、センターバックとサイドバックをこなす選手や、左右両方のサイドバックをこなす選手は、生き残る可能性は高い。そうなると、千葉のDF大岩、東京VのDF高橋、鹿島のMF山村、横浜FMのDF比嘉、清水のDF吉田といった選手たちは、本大会で出番があるかどうかは分からないが、18人枠に残る可能性はあるだろうし、OAで、ユーティリティーな選手を選ぶ可能性も高い。
■ MF香川の招集はあるのか?「OAは誰になるのか?」も世間の関心を集めているが、「ドルトムントのMF香川が招聘されるかどうか?」が、今のところ、もっとも、注目されている。FIFAから、「所属クラブは、招集を拒否することはできない。」という通達が出ているので、追い風が吹いているが、「これまで、一度もメンバーに入っていないこと」と、「MF香川がすでに北京五輪を経験していること」の2つがネックとなる。
また、今オフ、移籍するかどうかも、ポイントになる。ロンドン五輪に出場すると、チームのキャンプに参加することが難しくなる。もし、移籍するとなると、10億円を超える移籍金が発生するので、メガクラブへの移籍が確実といえるが、大金をはたいて獲得した選手が、年齢制限のある大会に出場することを好ましく思わないフロントは多い。移籍するとなると、五輪に出場する可能性は低くなる。
逆に、ドルトムントに残るようだと、五輪には参加しやすくなる。FWロイスの加入が決定しており、CLがスタートするまでに、MFゲッツェ、MF香川、FWロイスの3人でコンビネーションを高める必要があるが、すでに、ドルトムントでは地位を確立しているので、ロンドン五輪に出場する間、チームを離れていても、MF香川のポジションがなくなることは考えにくい。
また、過去2年間の実績があるので、クラブに対して、強気に出ることもできるだろう。6月からW杯予選もスタートするので、フル代表とも絡みもあるので、何とも言えないところもあるが、残留となると、障害は少なくなる。
■ デリケートな問題当然、関塚監督としては、当然、「呼べるものなら、呼びたい。」と考えているだろう。これまで、飛び級で五輪に出場した選手というと、MF中田英、DF松田、FW平山、MF香川がいるが、印象的なのは、シドニー五輪のときのMF中田英で、すでにイタリアのセリエAで実績を残していたMF中田英が五輪代表に加わったことで、チームは刺激を受けて、一段、上のレベルに到達した。
MF中田英自身は、本大会のときは、それほど調子は良くなかったが、それでも、初戦の南アフリカ戦で決勝ゴールをアシストし、2戦目のスロバキア戦では、先制ゴールを決めるなど、ゴールに絡む活躍を見せた。早生まれの選手であること、フル代表でも中心となっていること、2度目の五輪出場となることなど、そのときのMF中田英との共通点は多い。さらには、スペイン代表ならば、MF香川の名前でビビることはないだろうが、モロッコやホンジュラスには、プレッシャーとなるだろう。
サッカーの場合、五輪はあくまでも、年齢制限のある大会で、W杯が最終的な目標となる。したがって、「五輪にベストメンバーを送るべき。」という考えは一理あるが、単純にそれがいつも正しいとは限らない。MF香川が加わることで、MF東だったり、MF原口だったり、MF大津だったり、MF齋藤学であったり、予選で活躍した選手が外れる可能性も出てくるし、MF香川が入ることで、MF香川頼みになってしまって、「チームとして、個人として、経験値を上げられない。」というマイナス面が生じる可能性もある。
したがって、フル代表・クラブ・本人の意思・コンディションなどなど、いろいろな要素が絡んでくるデリケートな話である。目先のことに全力を注ぐことは悪いことではないが、将来的にはマイナスになることも考えられる。かなり複雑な問題で、簡単に結論を出せる話ではないと思うが、最善の選択をしてほしいところである。
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