■ ロンドン五輪が開幕ロンドン五輪が開幕。関塚ジャパンは優勝候補の一角のスペインと対戦した。日本の入っているグループDは、スペイン・日本・モロッコ・ホンジュラスの4ヵ国で構成されており、日本代表は7月26日(木)にスペイン、7月29日(日)にモロッコ、8月1日(水)にホンジュラスと対戦する。
日本は「4-2-3-1」。GK権田。DF酒井宏、鈴木、吉田、徳永。MF山口螢、扇原、清武、東、大津。FW永井。先日のメキシコ戦に続いてFW永井が1トップの位置に入って、MF大津が左サイドハーフでスタメンとなった。GK安藤、DF酒井高、DF山村、MF村松、MF宇佐美、MF齋藤学、FW杉本の7人がベンチスタートとなった。
■ 1点を守り切る試合は、スペインがボールを支配して、日本がカウンターで攻め込む展開となる。立ち上がり早々に右サイドのMF清武のクロスをFW永井が合わせるが、GKデ・ヘアの正面でゴールならず。前半10分あたりを過ぎると、スペインがずっとボールを支配するようになるが、シュートチャンスまで持っていけない。
試合が膠着し始めた前半34分に日本は右サイドのコーナーキックを獲得すると、MF扇原の左足のキックをファーに飛び込んで来たMF大津が合わせて、日本が先制ゴールを挙げる。MF大津はメキシコ戦に続いて、2試合連続ゴールとなった。
前半41分には、カウンターからFW永井が相手と1対1になると、突破しようとしたところを倒されて、スペインのDFイニゴ・マルティネスにレッドカードが出されて、スペインは10人となる。ここで得たフリーキックは、MF扇原が決められず、追加点はならなかったが、前半は1対0と日本がリードして折り返す。
後半開始から、MF大津に代えてMF齋藤学を投入。基本的には、一人少ないスペインがボールを持って攻め込むが、スペインは前掛かりになったので、日本はカウンターから何度も決定機を作るようになる。しかしながら、GKデ・ヘアの好セーブもあって、追加点を奪うことができない。
ラストの20分ほどは、日本も疲れが出てきて、防戦一方となるが、DF吉田、DF徳永らを中心に守り切って1対0で勝利。モロッコとホンジュラスの試合は2対2のドローに終わったので、グループDは日本が勝ち点「3」で首位、モロッコとホンジュラスが勝ち点「1」、スペインが勝ち点「0」で最下位という波乱の幕開けとなった。
■ MF大津が値千金のゴールフル代表は、2008年のユーロ、2010年の南アフリカW杯、2012年のユーロを制覇し、「絶対王者」として君臨するスペインを相手に、関塚ジャパンが見事な戦いを見せて、勝ち点「3」を獲得した。前半にスペインに退場者が出て、数的優位だったという事情もあるが、決定機の数でも日本が圧倒し、「幾多の決定機を外したこと。」を除くと、文句の付けようのない試合だった。
一番、良かったのは、前半から、ボールを奪ってからカウンターで形を作ることが出来た点で、先制ゴールにつながったコーナーキックも、ボールを奪ったあと、しっかりとボールをつないで、相手ゴール前まで運んで、コーナーキックを獲得した。
ゴールシーンは、MF扇原のキックが素晴らしくて、一番、いいところにボールが入ってきたが、MF大津も落ち着いて合わせて、値千金のゴールを決めた。序盤は、MF大津が波に乗り切れておらず、ボールを失うシーンが目立ったが、ここ一番で、最高の仕事をした。
■ スピードが生きたFW永井攻撃陣で目立ったのは、やはり、FW永井で抜群のスピードで相手をかき回した。試合のターニングポイントになったDFイニゴ・マルティネスの退場シーンも、FW永井のスピードが生きたシーンで、世界でもトップレベルのスピードを大舞台で見せつけた。
もちろん、3度ほどあった決定機を決められなかったことは、マイナスポイントであるが、存在感は抜群で、「日本に永井あり」を世界に印象付けたといえる。本大会終了後、欧州の大きなクラブからいいオファーが舞い込んで来て、「グランパスに戻って来ない。」ということも十分に考えられる。
MF大津、DF酒井宏の二人が負傷退場したので、モロッコ戦がどういうスタメンになるのか、分からないが、FW永井の1トップというのは、FW永井にかかる負担が大きいので、できれば、75分くらいで交代させたいところである。前半から飛ばしていくタイプなので、後半の終了間際になると、動きも落ちてくるので、大事に使いたい。
■ 「奇跡」ではない一方の守備陣も素晴らしかった。スペインに退場者が出たので、数的優位となったが、GK権田がビッグセーブを見せたシーンというと、前半25分のMFマタのミドルシュートくらいで、後半もボールを回されたが、本当の意味で危ない場面というのはなかった。
もちろん、DF鈴木、DF酒井宏、MF扇原あたりも、献身的な守備で貢献したが、特に目立ったのは、DF徳永、DF吉田、MF山口螢の3人である。この3人は、最後まで集中してスペインの選手に食らい付いた。DF徳永とMF山口螢に関しては、ボールを奪った後は、積極的に前線に駆け上がってチャンスに絡んでおり、素晴らしい出来だった。
この勝利は、1996年のアトランタ五輪のブラジル戦になぞられて、「奇跡」という表現をされるかもしれないが、個人的には「奇跡」という表現を使うのは、選手やスタッフに対して失礼だと思うし、立派に戦って、勝ち点「3」を得たので、そういった形容詞は、必要ない思う。
■ まずはGL突破幸いにして、モロッコとホンジュラスが引き分けに終わったので、グループDは、日本が圧倒的に有利な立場に立った。1996年のアトランタ五輪では、ブラジルとハンガリーに勝利しながら、得失点差で及ばず、グループリーグ突破はならなかったが、今回は、大きなチャンスである。
グループDを首位で通過すると、グループCを首位で通過する可能性の高いブラジル代表との対戦を避ける事が出来ると、できれば首位で通過したいが、とにかく、大事なのは、「グループリーグを突破する」ことで、準々決勝でFWネイマールを擁するブラジルと対戦するのも、悪くない。
今後、スペインには、ホンジュラスとモロッコに連勝してもらって、日本は、モロッコ戦か、ホンジュラス戦のどちらで、確実に勝ち点「3」を獲得して、突破を決めたい。ニュージーランドとの壮行試合は、終了間際に失点して、雰囲気が悪くなっていたが、本番で立派な戦いを見せたと思う。
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