■ 第15節J2の第15節。5勝2敗1分けで勝ち点「16」で2位と好位置に付けるサガン鳥栖がホームで徳島ヴォルティスと対戦。徳島も、同じ5勝2敗1分けで勝ち点「16」。得失点差の関係で徳島ヴォルティスは4位となっている。J2は勝ち点「19」のジェフ千葉が首位で、その下は、5勝2敗1分けで鳥栖、栃木SC、徳島の3チームが並んでいる。鳥栖はホームのベストアメニティスタジアムで3戦全勝と負けていない。
ホームの鳥栖は「4-2-2-2」。GK室。DF田中輝、木谷、呂成海、磯崎。MF岡本、永田、早坂、金民友。FW池田、豊田。MF早坂はリーグトップの5ゴールを挙げている。FW新居、MF藤田らは怪我で欠場中。FW豊田は4ゴールを挙げている。
対するアウェーの徳島は「4-2-1-3」。GKオ・ スンフン。DF平島、ペ・スンジン、三木、西嶋。MFディビッドソン・純マーカス、倉貫、衛藤。FW島田、ドウグラス、柿谷。FWドウグラスは初スタメン。FW津田、FW佐藤はベンチスタート。昨シーズンまで鳥栖でプレーしていたMF衛藤は古巣との対決となる。
■ 徳島が終盤に追い付く試合の前半は鳥栖ペース。大きな展開で徳島のDFを揺さぶって、サイド攻撃でチャンスを作っていく。なかなか、先制ゴールは奪えなかったが、前半42分に左サイドのコーナーキックを獲得。MF金民友がショートコーナーで素早くつなぐと、MF岡本が強烈なシュートを決めて鳥栖が先制する。MF岡本はJリーグ初ゴール。前半は1対0で鳥栖がリードして折り返す。
後半も鳥栖ペース。得点ランキングでトップのMF早坂が積極的にゴール前に進出してきてチャンスに絡んでいく。しかし、何度かチャンスがありながらも決められない。
ビハインドの徳島は、FW津田、FW杉本を投入し、前掛かりになると、後半40分にFWドウグラスが中央でボールを受けて左サイドに展開。FW津田が相手DFの裏を取って左足でクロスを上げると、ゴール前でFWドウグラスとGK室が競り合う。鳥栖のGK室はキャッチングに行くが失敗。こぼれたボールをMF衛藤が押し込んで徳島が1対1の同点に追いつく。MF衛藤は移籍後初ゴールとなった。
結局、試合は1対1で終了。両チームともに5勝2敗2分け。同じ勝敗だった栃木SCも引き分けたため、この3チームが全く同じ勝ち点で並び、湘南が勝ったため、湘南が2位に浮上。得失点差で鳥栖が3位、栃木SCが4位、徳島が5位となった。
■ GK室の判断ミス試合の主導権を握っていたのはホームの鳥栖で、追加点を挙げるチャンスが何度かあっただけに、鳥栖にとっては悔やまれる試合となった。同点ゴールを許したシーンも、GK室がパンチングで逃れていれば、問題なかったプレーで、勝ち点「2」を取りこぼす形になった。
失点シーンの少し前の時間帯から、鳥栖の運動量が落ちてきて、セカンドボールが拾えなくなっていたので、キャッチして試合を落ち着かせたいという気持ちも理解できるが、GK室は181㎝で空中戦に強いタイプではない。開幕戦のFC東京戦でも、同じような感じで空中戦の処理がうまくいかずに決勝ゴールを奪われたが、このときと同様にプレーが軽率だった。
もちろん、見方によってはファールとも思えるシーンだが、この試合の井上知大レフェリーは90分を通して不安定で、基準もはっきりしなかった。レフェリーの事も含めて考えると、キャッチに行ったのは明らかな判断ミスといえた。
■ FW豊田のパートナーは?鳥栖は、2点目を奪えなかったことも響いたが、先発で起用されたFW池田、後半途中から登場したFW野田の二人がブレーキになった。3年目のFW池田は、中断明けは8試合連続でスタメン出場を果たしているが、ここ7試合ゴールなし。昇格を目指すチームには、弱さを感じるポジションであり、もうワンランク上にパワーアップしたいところである。
鳥栖は、FW豊田がいるので、そのパートナーを誰にするかが問題となるが、フォワード陣は、FW池田、FW野田、FW岡田がいて、さらに、1トップ気味の布陣にした場合、MF永田、MF早坂、MF山瀬幸、MF國吉、MF藤田あたりも候補になってくる。
したがって、選択肢は豊富であるが、今のところは、怪我で戦列を離れている選手もいて、答えを探している状況である。そして、もちろん、コンディション次第であるが、今後は、FW新居という選択肢も出てくる。もし、FW新居が以前のようなプレーができて、2トップの一角におさまるようだと、面白くなるが・・・。
■ MF岡本知剛 プロ初ゴール先制ゴールを決めたMF岡本は、これがプロ初ゴールとなった。ショートコーナーから、相手の隙を突いた見事なミドルシュートだったが、このゴールシーン以外でも、攻守ともに目立った動きを見せており、移籍して1年目にも関わらず、質の高いプレーを続けている。
先日の札幌戦は「4-1-4-1」システムで、アンカーのポジションでプレーしたが、ダブルボランチでも、1ボランチでも、同じように高いレベルのプレーができる。キックの精度が高くて、視野も広いので、常に落ち着いてプレーできるのが魅力で、U-17日本代表に、「ファンタスティック4」と称された徳島のMF柿谷との対決も注目されたが、この日は、MF岡本のプレーが目立った。
ロンドン五輪代表チームは、ボランチのところで苦労しているが、こうなってくると、MF岡本も試したくなる選手の一人である。U-22日本代表のボランチは、FC東京のMF米本が負傷したため、大学生のMF山村とC大阪のMF山口蛍がファーストチョイスになっているが、攻撃でも、守備でも、MF岡本は決して二人に劣っていない。
今月に行われるクウェート戦は難しいが、この世代のボランチは、J1でも、J2でも、所属クラブで、レギュラーでプレーしている選手自体が少ない。最終予選に進むようだと、MF岡本も、有力な候補に上がってくるのではないだろうか?
■ MF衛藤が同点ゴール徳島は、MF衛藤が同点ゴールをマーク。古巣に恩返しをした。後半13分にFW島田に代えてFW津田を投入し、さらに後半22分にFW柿谷に代えてFW杉本を投入。どちらの交代のときも、MF衛藤を交代させてくるものと思ったが、MF衛藤を最後までピッチに残した美濃部監督の決断が、同点ゴールにつながった。
鳥栖時代は、もう少し下がり目の位置でプレーしており、そこからタイミングよく攻撃に参加するのが持ち味だったが、徳島ではトップ下におさまっている。個人技も要求される難しいポジションであるが、十分にこなしており、突破する力などは、鳥栖のときは見せなかったプレーもあって、新天地で、新たな一面を見せている。
徳島は、開幕から「4-2-1-3」で戦っているが、FW佐藤に加えて、FW津田、FWドウグラスが復帰してきたので、センターフォワードタイプが余ってきている。彼らをうまく共存させようとすると、2トップにするのが現実的で、そうなるとMF衛藤の立場が微妙になってくるが、MF衛藤もいいプレーを見せている。美濃部監督も悩ましいところである。
■ 混戦のJ2第15節は、湘南を除くと、上位陣が勝てなかったため、J2はさらに混戦となった。FC東京、京都、横浜FCがスタートダッシュに失敗し、首位の千葉もすっきりした勝利は少なく、抜け出しそうなチームは見当たらない。鳥栖も、徳島も、まだJ1昇格の経験はないが、今シーズンは、チャンスのシーズンである。
ポイントになるのは、夏場の戦い方になるだろう。この日は、暑さの影響で後半に運動量が落ちてしまったが、今年は、震災の影響で、さらに日程が過密になっており、選手層の厚さが最終的に明暗を分けそうな状況になってきている。
関連エントリー 2008/01/07
いまさらながら日韓W杯の思い出を語る。 2008/04/13
【千葉×大宮】 きっと新居辰基が救世主になる!!! (生観戦記 #4) 2008/06/03
【鳥栖×福岡】 いつかの夢に向かって・・・ (生観戦記 #7) 2011/05/12
【J2】 クラブ別 ここまでの雑感 (上) 2011/05/14
【J2】 クラブ別 ここまでの雑感 (下) 2011/05/12
【徳島×京都】 リオ世代 FW久保裕也の衝撃 2011/05/22
【鳥栖×札幌】 厳しい石崎信弘監督 2011/05/24
【FC岐阜×徳島】 ヴォルティス 2位に浮上
- 関連記事
-