サガン鳥栖→ すったもんだの末、前FC東京のフィッカデンティ監督が就任した鳥栖の1stステージは4勝8敗5分け。残留圏ギリギリとなる15位という成績だった。2節から7試合勝ちなしで、10節から5試合勝ちなしと苦しい戦いが続いたが15節はアウェイで名古屋に1対0で勝利すると16位はホームでG大阪に2対1で逆転勝利。今シーズン初となる連勝を飾ったが17節は残留争いのライバルの新潟にアウェイで0対1で敗れた。
17試合で10得点/15失点。無得点に終わった試合が10試合もある。1得点だったのは4試合で、2得点だったのは3試合。逆に無失点だったのは5試合で、1失点は10試合で、2失点が1試合で、3失点が1試合。僅差の試合がほとんどであるが0対1で敗れた試合が早くも6試合ある。6節の川崎F戦(A)や17節の新潟戦(A)など0対0で迎えた後半の終盤に相手チームに決勝ゴールを奪われて0対1で敗れる試合が目立っている。
降格圏となるチームとの差はわずか。シビアな戦いが続くのは間違いないがここに来てチーム状態は良くなってきている。ラスト7試合は2勝2敗3分けという成績だったが7試合で3失点のみ。FC東京時代から一番のウリにしていた「堅守」が鳥栖でも発揮されるようになってきた。17節の新潟戦(A)は力を出し切れなかったが『ようやくフィッカデンティ監督のやりたいサッカーが出来るようになってきた。』と言える。
定期的に日本代表に召集されているGK林彰洋は存在感を発揮しており、左SBのDF吉田豊もまずまずのプレーを見せている。昨シーズンはいろいろな騒動に巻き込まれて精彩を欠いたDFキム・ミンヒョクが復調してきたのも守備陣にとっては大きなことだった。1stステージでの失点数はリーグで2番目の少なさだったが2ndステージはさらにフィッカデンティ監督の戦術がチームに浸透して熟成されていくだろう。
課題は攻撃に尽きる。17試合で10得点というのはリーグ最少。FC東京のときから攻撃に関してはFW武藤嘉やDF太田宏などの「個の力」に頼るやり方だった。攻撃に関しては引き出しの多いタイプの監督ではないがFW豊田がいることを考えると信じられないような得点力の低さである。FW豊田は17試合で5ゴール。Jリーグ史上初の「5年連続となる15ゴール以上」を達成するためにはゴールを量産する必要がある。
FC東京のときはFW武藤嘉がいたこともあってカウンター主体の攻撃だったが鳥栖では丁寧にボールをつなぐサッカーを志向するようになった。パス本数やボール支配率などはJ1の中で真ん中付近になっているので「ロングボール中心」というサッカーから「ショートパス主体」というサッカーにややシフトチェンジしているが、結果としてFW豊田の高さや強さを十分には生かせずにいるのはもどかしいところである。