■ 第3節UEFAチャンピオンズンリーグのグループリーグの第3節。グループBのシャルケがホームでイスラエルのハポエル・テルアビブと対戦。グループBは、フランスのリヨン、ドイツのシャルケ、ポルトガルのベンフィカ、イスラエルのハポエル・テルアビブの4チームで構成されていて、シャルケは1勝1敗。2連敗中のハポエル・テルアビブにホームで確実に勝利したい。
ホームのシャルケは<4-4-2>。GKノイアー。DF内田篤人、ヘヴェデス、メツェルダー、シュミッツ。MFジョーンズ、ファルファン、モリッツ、フラド。FWラウル・ゴンサレス、ヤン・フンテラール。中盤はダイヤモンド型でアメリカ代表のMFジョーンズがアンカーの位置。トップ下にスペイン人のMFフラド。
■ シャルケが2勝目試合はホームのシャルケがいきなり先制。左サイド寄りからMFフラドがゴール前にグラウンダーのクロスを入れると、FWフンテラールがスルーし、その裏にいたFWラウルが得意の左足でシュート。これが鮮やかに決まってシャルケが先制する。しかし、その後は、アウェーのハポエル・テルアビブがポゼッション力で上回る。結局、前半は1対0のシャルケリードのままで終了する。
後半8分にシャルケはMFモリッツに代えてMFラキティッチを投入すると、後半13分にそのFWラキティッチがFWフンテラールとのワンツーで左サイドを突破し、中央にクロス。これをFWラウルが右足で合わせて2点目を挙げる。さらに、後半23分にもMFフラドのシュートで追加点。
終了間際にセットプレーからゴールを許したが、そのまま3対1でシャルケが勝利。これで3試合を終えて2勝1敗。リヨンが3連勝、シャルケが2勝1敗、ベンフィカが1勝2敗、ハポエル・テルアビブが3連敗となっている。
■ 久々の完勝ナイジェリア代表として南アフリカ大会でハイパフォーマンスを見せたGKビンセンテ・エニアマを擁するハポエル・テルアビブを相手にシャルケが力の差を見せつけて完勝。今シーズンはブンデスリーガでは1勝5敗2分けで16位と低迷していて、低調な試合が続いていたが、今シーズン初めてといっていいほどスッキリする試合を見せた。ベンチで沈んでいることが多かったマガト監督にもようやく笑顔が戻ってきた。
前半は格下といえるハポエル・テルアビブの攻めに苦しむシーンもあったが、後半に投入したMFラキティッチが流れを代えて、その後はたくさんのチャンスを作って、相手を圧倒した。終了間際の失点は余計だったが、グループリーグ突破に向けて大きな勝ち点「3」を奪ったといえる。
■ ラウルが2ゴール2ゴールを決めたFWラウルは欧州の大会で通算69ゴール目。西ドイツ代表のFWゲルト・ミューラーが持っていた記録と並んだ。1点目、2点目ともに、右足でも左足でもシュートが打てそうな体勢に持っていって、1点目は得意の「左足」、2点目は実はFWラウルの利き足という「右足」で決めた、テクニカルならしいゴールだった。
今シーズン、FWフンテラール、FWラウルを獲得し、昨シーズンのブンデスリーガ2位からさらにステップアップを目指したシャルケだったが、予想以上にかみ合わずに大苦戦。コンスタントにゴールを重ねているFWフンテラールに対して、FWラウルはリーグ戦、CLで合わせて1ゴールのみ。低迷するシャルケの象徴的な存在となっていたが、大きな舞台で自身にとっても、チームにとっても貴重なゴールを奪った。
中盤に問題を抱えるシャルケの中で、献身的なプレーも出来るFWラウルの存在は貴重ではあるが、やはり、彼の仕事場は「ゴール前」。「ゴール前」で仕事ができるからこそ、若い頃から「ワールドクラスのストライカー」といわれるレアル・マドリーのレジェンドとなった。確かに、中盤に下がってつなぎに貢献したり、豊富な運動量でかき回したりするプレーも必要ではあるが、肝心のゴール前でパスやシュートの精度を欠くようだと、価値はなくなる。
そういう状況であれば、FWラウルである必要性はなくなるが、献身的なプレーをこなしつつゴールに絡むプレーを見せるようだと、FWラウルの存在が必要になってくる。ずっとレアル・マドリーでプレーしてきて、この年齢になってドイツに住んでプレーするというのは大変なことであるが、この2ゴールで乗っていけるかどうか?
■ ハオ・ジュミンの日中コンビ2節のベンフィカ戦は先発出場したものの、後半13分で交代。チームは後半28分と後半40分にゴールを決めて2対0の勝利をおさめたが、不本意な途中交代となったDF内田であるが、この日はフル出場を果たし、チームの勝利に貢献した。相手が格下のチームであり、シャルケが後半に押し込んだ中が、中国人のMFハオ・ジュミンがペルー代表のMFファルファンに代わって投入されてから、よくボールも回ってくるようになって、クロスを何度か上げることができた。
爆発的なスピードを持つMFファルファンはサイドでボールを持ったら、一人でも突き進むことができる。DF内田のオーバーラップを待つシーンもあるが、基本的には「囮役」としてしか見られておらず、いいタイミングで上がって行ってもMFファルファンに使われるケースは少ない。が、MFハオ・ジュミンの場合は、DF内田の良さも理解していて、タイミング良く使ってくれるので、DF内田にもクロスを上げるチャンスが巡ってくる。
先日のシュツットガルト戦は右サイドハーフにMFエドゥが起用されていて、ここ2試合でもいろいろな選手が使われているが、MFハオ・ジュミンとのコンビがもっとも成熟している。MFハオ・ジュミンは1987年生まれでDF内田とは1歳違い。日本と中国の間には、政治的にも経済的にもいろいろと問題が多いが、シャルケの日中コンビだけは良好な関係を築きつつある。
■ アシストが欲しいこれでリーグ戦から2試合連続スタメンフル出場。シャルケの中盤には落ち着いてゲームを作れる選手が少ない中で、DF内田が右サイドでボールを持つと、チームの中で数少ない落ち着きが生まれる。軽率なミスで相手に奪われてしまうシーンもあるので、その辺りは注意しなければならないが、近くにいるセンターバックやボランチを飛び越して、センターフォワードに楔のパスを供給できる点はやはり魅力であり、ビルドアップでの貢献はかなり高いといえる。
アタッキングエリアに入ったときは少し消極的な感じはするが、とにかく、1つアシストを決めて「内田のサイド攻撃はゴールにつながる。」ということをチームメイトやサポーターに印象付けたいところ。そうなると、もっとサイドでボールが回ってくるはずで、リズムも取りやすいだろう。
注文を付けたいのはクロスのバリエーションに関して。相手を抜き去った後に見せるグラウンダーの折り返しが得意な形であるが、それ以外ではアーリー気味に早いタイミングでクロスを上げることが多いが、中央で空中戦で勝負できそうなのがFWフンテラールくらいであり、FWフンテラールにピタリと合わせない限り、ゴールに結びつかない。クロスの精度を上げることも課題ではあるが、クロスを上げるタイミングやクロスのスピードが一本調子になって、あっさりクリアされることが多く、もったいないように感じる。
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