■ 後半戦の開幕ドイツのブンデスリーガの後半戦が開幕。7勝6敗4分けで勝ち点「25」。7位でウインターブレークを迎えたシャルケがホームのヴェルティンス・アレーナでハノーファー96と対戦した。ハノーファー96は7勝8敗2分けで勝ち点「23」。シャルケはケラー新監督の初戦となる。
ホームのシャルケは「4-2-3-1」。GKヒルデブラント。DF内田篤人、ヘーヴェデス、マティプ、フクス。MFヘーガー、ノイステッター、ファルファン、ホルトビー、ドラクスラー。FWマリカ。怪我が治ったDF内田は右SBで先発出場となった。17試合で5ゴールを挙げているFWフンテラールは出場停止で、ルーマニア代表のFWマリカがスタメンで起用された。
対するアウェーのハノーファー96は「4-2-2-2」。GKツィーラー。DFシャヘド、エギマン、ジュル、ラウシュ。MFシュミデバッハ、セルジオ・ピント、シュラウドラフ、フシュティ。FWソビエフ、ディウフ。アメリカ代表のDFチェルンドロが怪我で離脱しているため、スタメン出場の噂もあった日本代表のDF酒井宏だったが、ベンチスタートとなった。今シーズンは6試合に出場している。
■ シャルケが5対4で制する試合の立ち上がりは、シャルケが圧倒的にボールを支配してゴール前のシーンを作っていく。しかしながら、最後のところでアイディアを欠いて、攻めきれない。0対0で試合は進んでいくが、前半44分にシャルケは左サイドでスローインを得ると、DFフクスのロングスローから、最後はファーサイドで待っていたMFファルファンが右足で決めてシャルケが先制。1対0とリードしてハーフタイムに突入する。
さらに、後半4分にシャルケは右サイドのDF内田のスローインを起点にMFホルトビーが抜け出すと、最後は、左サイドを駆け上がってきたMFドラクスラーに絶妙のパスを送って、MFドラクスラーが右足で決めて2対0とリードを広げる。これで、完全にシャルケのペースになると思われたが、後半10分にハノーファー96は、MFセルジオ・ピントのミドルシュートで1点を返すと、さらに、後半14分にもMFフシュティが左足で決めて2対2の同点に追いつく。
すかさずシャルケも、後半19分にMFホルトビーの絶妙のパスを受けたMFヘーガーが決めて3対2とすると、さらに、後半22分にもカウンターからFWマリカが決めて4対2とリードを広げる。しかし、ハノーファー96も後半23分にMFフシュティのゴールで1点差に迫ると、その後も、ハノーファー96が何度かチャンスを作ってシャルケのゴールを脅かす。
シャルケにとっては、厳しい試合となったが、後半43分にカウンターからMFファルファンのパスを受けたMFホルトビーが決めて5対3と突き放す。ハノーファー96も後半ロスタイムにFWディウフが素晴らしいオーバーヘッドシュートを決めて、またしても1点差に迫るが、反撃はここまで。シャルケが5対4の乱打戦を制して、11節以来となる勝ち点「3」を獲得した。
■ 攻撃陣が爆発したシャルケ前半戦のラスト6試合を0勝4敗2分けで終えたシャルケは、12月16日にステフェンス監督を解任して、ケラー氏が新監督に就任して、その初戦だったが、激しい試合を制して、白星で2013年のスタートを飾った。守備を含めて、課題が噴出した試合だったが、こういう試合で勝ち点「3」を獲り逃すようなことがあると、大変なことになるので、とにかく、勝ち点「3」が獲れたことは、良かったと言える。
オランダ代表のFWフンテラールが出場停止のため、攻撃力ダウンが心配されたが、全く問題はなかった。特に良かったのは、トップ下でプレーしたMFホルトビーで、1ゴール2アシストと文句なしの結果を残した。2点目のアシストも、3点目のアシストも、おしゃれなパスを出してゴールを演出しており、創造力が光った。
FWフンテラールの代わりにCFに入ったルーマニア代表のFWマリカは、それほどボールを触ることはできず、存在感は発揮できなかったが、チャンスを確実に決めて、4点目のゴールをマークした。右サイドのMFファルファンも1ゴール1アシストで、左サイドのMFドラクスラーも1ゴールを決めており、前の4人がみんな結果を残したので、ポジション争いは、さらに熾烈になった。
■ 直接対決は実現せず・・・この試合は、日本代表で右SBのポジションを争っているDF内田とDF酒井宏の直接対決が実現するのではないか?と期待されたが、結局、DF酒井宏に出場機会は巡って来なくて、直接対決はお預けとなった。レギュラーのDFチェルンドロが不在なので、大きなチャンスだと思ったが、チュニジア代表のDFシャヘドがスタメンで起用されて、DF酒井宏にとっては、残念な試合となった。
一方のDF内田は、スローインで2点目のゴールの起点となったが、相手の1点目はDF内田のクリアボールを直接、決められており、相手の2点目も、マッチアップしていた選手に決められてしまった。後半のシャルケは、中盤の運動量が少なくなって、さらには、集中が切れることが何度もあった。そのため、相手の攻撃を最終ラインだけで受け止める形になって、4つのゴールを許した。
当然のことながら、1点目も、2点目も、DF内田だけの責任ではない。チーム全体の問題、特に、ベンチワークの問題が大きくて、明らかに中盤のバランスが悪くなっていたので、もっと早い段階でフレッシュな選手をピッチに送り出す必要があったが、後手後手に回った。ケラー監督は就任して最初の試合だったので、情状酌量の余地はあるが、交代のタイミングがまずかったように思う。
■ DF酒井宏に不足しているものということで、勝ったとはいえ、シャルケも4失点しているので、DF内田にとっても、反省の多い試合となったが、攻撃に関しては、なかなか良かった。サイドを駆け上がってクロスを送るシーンというのは、2回程度だったが、つなぎのパスは正確で、かつ、チャレンジすべき瞬間は、判断力よくリスクをすプレーを選択して、難しいパスもきちんと通すことができていた。
この試合は、DF酒井宏の当面のライバルであるハノーファー96の右SBのDFシャヘドにも注目して、試合を観ていたが、同じように、DFシャヘドもサイドからクロスを上げる機会はほとんどなかったが、つなぎのパスは正確で、イージーなミスというのは、ほとんどなかったと思う。
ビルドアップもできて、正確なクロスを上げることができて、なおかつ、守備もできる選手がSBの理想と言えるが、そういう選手というのは、バイエルンのDFラームなど、世界でも数人しかおらず、そこまでのことを求められるのは、稀だと思う。DF酒井宏は点につながるクロスをゴール前に供給できることが、最大の魅力であるが、ビルドアップが得意ではないことが、試合に出場できない要因の1つになっているのではないかと思う。
先のとおり、DFシャヘドが右サイドを駆け上がってクロスを上げるシーンというのは、ほとんどない。したがって、現状のハノーファー96の右SBに求められるのは、クロスというよりは、きっちりとボールをつなぐことであり、その点では、DFチェルンドロやDFシャヘドと比べて、「劣っている。」と判断されているのでは?と考えられる。
対して、DF内田はそういうプレーを得意としており、この試合もシャルケの攻撃は右サイドから始まることが多かった。DF酒井宏は、高さや強さなど、DF内田には無い武器をいくつか持っており、全くタイプは異なるが、ベンチから試合を観ていて、DF内田のいいところはどこなのか、感じることができたと思うので、少しずつでいいので、レベルアップしてほしいところである。
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