■ キッカーの評価チーム史上初のCLでのベスト4入りに大きく貢献したシャルケのDF内田篤人。彼がドイツでどんな評価をされているのか気になるところなので、おなじみのキッカーの採点で確認してみる。ちなみに、ドイツの採点というと「キッカー」と「ビルト」が有名で、ともに、
・「1.0」が最高点で「6.0」が最低点。
・「数字」が低い方が優秀。
となっている。
キッカーの採点が絶対的に正しいという訳ではないが、ビルド等の採点と比べると「正確さ」に定評があって、1つの目安にはなる。イタリアのガゼッタ等の採点は「10点満点」で、こちらの方式の方が日本ではなじみがあるが、ガゼッタ方式の場合、最高点が「10.0」で最低点が「1.0」となる。
また、ドイツ式の場合、目覚ましいプレーを見せた選手に最高点「1.0」が付くこともあるし、最低のプレーだった選手には「6.0」がつけられることもある。ブンデスリーガの第4節のシャルケとのダービーマッチで2ゴールを決めたMF香川は、この試合で1.0の採点が与えられている。対して、ガゼッタ方式では、「1.0」や「10.0」が付くことは普通では考えられず、ほとんどの場合「5.0」~「7.0」の間に落ち着く。
■ キッカーのトップ10はじめに、キッカーの平均採点のトップ10を書き出してみる。首位を走っているドルトムントの選手が10人中で6人も入っていて、高く評価されていることが分かる。トップ10以外にも、DFシュメルツァー(12位)、DFスボティッチ(18位)、DFピズチェク(33位)、FWバリオス(34位)、MFグロスクロイツ(43位)と入っており、ドルトムント勢の活躍が目覚ましいことがよく分かる。(※ 以下、全て29節終了時点での数字となる。)
① DF マッツ・フメルス (ドルトムント ドイツ代表) 2.59
② MF 香川真司 (ドルトムント 日本代表) 2.62
③ MF ヌリ・サヒン (ドルトムント トルコ代表) 2.64
④ MF スヴェン・ベンダー (ドルトムント ドイツ代表) 2.66
⑤ GK マヌエル・ノイアー (シャルケ04 ドイツ代表) 2.71
⑥ MF マリオ・ゲッツェ (ドルトムント ドイツ代表) 2.72
⑦ GK ロマン・ヴァイデンフェラー (ドルトムント) 2.73
⑧ GK オリヴァー・バウマン (フライブルク) 2.78
⑨ MF アルトゥロ・ビダル (レバークーゼン チリ代表) 2.82
⑩ GK ラファエル・シェファー (ニュルンベルク) 2.90
トップ10にランクされていない選手で気になる選手を確認してみると、 オランダ代表のMFロッベンが「2.65」、フランス代表のMFリベリが「2.97」、ドイツ代表のMFシュバインシュタイガーが「3.37」、FWトーマス・ミュラーが「3.41」、元スペイン代表のFWラウールが「3.52」となっている。なお、MFロッベンは11試合で9ゴールを挙げているが、怪我のため、出場時間は863分だけなので、ランク外になっている。
■ 内田の評価は?ということで、DF内田についての評価を確認してみると、ここまでのところ、22試合に出場して平均が「3.80」。最高点がアシストを記録した11節のザンクトパウリ戦の「2.0」で、最低点は「5.0」。最初の5試合は、「5.0、5.0、3.5、5.0、4.0」とよくなかったが、ここ最近は数字も安定している。
規定に達している選手は、ブンデスリーガ全体で218名いるが、DF内田は平均では152位タイ。DF登録の選手に限定すると、77名中で53位。CLの9試合では「3.67」と少し良くなるが、採点だけで見ると、それほど高い評価を受けているわけではないようである。
シャルケのリーグ戦の成績が、11勝12敗6分けで9位と不本意なことも影響しているが、キッカーの採点が、MF登録やGK登録の選手が高めとなる傾向もあって、「ポジション」や「プレースタイル」がキッカーの基準では有利に働いていないのかもしれない。
ただ、シャルケのDFラインの選手では、DFヘヴェデスが「3.42」、DFメツェルダーが「3.80」、DFパパドプロスが「3.81」、DFマティプが「4.09」、DFシュミッツが「4.25」なので、シャルケのDFラインの選手の中では上位で、GKノイアーの「2.71」、MFファルファンの「3.10」はチーム内でも別格であるが、12ゴールを挙げているFWラウールでも「3.52」なので、DF内田の評価も「まずまず」と言える。
■ 長谷部の評価は?ほかの日本人の評価も見ていくと、ヴォルフスブルクのMF長谷部誠は、ここまでは、18試合に出場して「4.09」。全体では、218名中で192位。MF登録の中では85名中74位と、こちらは、かなり低い評価となっている。ボランチで起用されたり、サイドで起用されたりと、起用方法が定まらないことも、いいパフォーマンスが見せられていない要因と思われる。
ただ、ヴォルフスブルクが6勝13敗10分けで16位と低迷しており、ヴォルフスブルクは、ほとんどの選手が低評価なので、仕方がない気もする。MF長谷部と同じくらいの評価となっているのは、シャルケのDFマティプ「4.09」、MFフラド「4.11」といった選手である。
■ 岡崎の評価は?次は、2月にシュツットガルトに加入したMF岡崎慎司。日本人でランキングに入っているのは、MF香川、DF内田、MF長谷部の3人だけで、それ以外の選手は、規定に達していないのでランク外である。
ここまでの試合は、7試合全てに先発出場して、「4.0、4.0、3.5、3.5、4.0、5.0、4.0」という採点で平均では「4.0」。まだ、初ゴールが生まれておらず、攻撃的なポジションなので、わかりやすい結果を出すことが望まれる。
気の毒に思うのが、左サイドバックに入っているイタリア人のDFモリナロの存在。MF岡崎が左サイドハーフで、DFモリナロが左サイドバックに入ることが多いが、DFモリナロは攻守ともに不満足なプレーが続いており、25試合に出場して採点が「4.43」。これは、全218選手中でワースト2位。守備面でDFモリナロがいいプレーを見せてくれるようになると、MF岡崎がもっと攻撃に専念できるようになるのだが・・・。
■ 矢野貴章・槙野智章の評価は?続いて、フライブルクのFW矢野貴章。ここまで14試合に出場して1アシストを記録しているが、スタメンは2試合だけ。トータル出場時間も341分ということで、出場機会に恵まれていない。したがって、「採点なし」に終わることも多く、「点数」が付いたのは4試合だけであるが、「3.0、4.0、5.0、2.5」。平均を出すと、「3.67」と悪くない数字である。
最後はケルンのDF槙野智章。今年の1月に広島からケルンに移籍し、ここまで4試合に出場。スタメンは20節のザンクトパウリ戦の1試合だけで、そのときの採点は「5.0」。点数が付いたのは、この試合だけである。サイドバックやボランチでも試されているということで、今後、出場時間が増えていくことを期待したいところである。
■ アジア人の評価は?最後に、ほかのアジア人もチェックしてみる。シャルケには、DF内田のほかに、中国代表のMFハオ・ジュミン、元イラン代表のFWアリ・カリミがいるが、MFハオ・ジュミンは5試合に出場して平均は「3.75」。トータルでも180分の出場にとどまっており、なかなかチャンスに恵まれていない。一方、FWカリミは1月に加入してきたばかりで、リーグ戦では、まだ出場機会は与えられていない。
MF長谷部のチームメイトには、韓国代表でアジアカップの得点王のMFク・ジャチョルがいるが、彼も、冬の移籍でヴォルフスブルクに加入してきた。途中出場がほとんどであるが、ここまで8試合に出場している。点数が付いた3試合では「3.5、4.0、4.5」。まだ、持ち味を発揮しきれていない。
ラストは、同じくアジアカップの韓国代表で準決勝の日本戦にも出場したFWソン・フンミン。これまでのところ、10試合に出場して3ゴール。まだ18歳であることを考えると立派である。平均採点は「3.86」となっている。ブンデスリーガには、多くのアジア人プレーヤーが参戦しており、日本人だけでなく、彼らのパフォーマンスにも期待したいところである。
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