■ 決勝トーナメント1回戦チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦。4勝1敗1分けという好成績でグループリーグを首位通過したドイツのシャルケ04が、スペインのバレンシアと対戦。バレンシアは3勝1敗2分けという成績を残してグループリーグを2位で通過した。国内リーグはシャルケは8勝9敗5分けで10位。一方のバレンシアは14勝4敗5分けで3位につけている。
アウェーのシャルケは<4-2-2-2>。GKノイアー。DF内田篤人、ヘヴェデス、メツェルダー、シュミッツ。MFマティプ、クルゲ、ファルファン、フラド。FWラウル・ゴンサレス、ヤン・フンテラール。元スペイン代表のFWラウルは移籍してから初めて母国のスペインでプレーすることになった。
■ 1対1のドロー試合は立ち上がりにシャルケがセットプレーの流れからゴール前でFWフンテラールがドフリーでシュートチャンスを作るが、まさかの空振りで決定機を逃す。ホームのバレンシアは前半17分に左サイドを崩してDFジェレミ・マシューのクロスをニアサイドでFWソルダードが合わせて先制する。前半は1対0でバレンシアがリードして折り返す。
1点ビハインドのシャルケは後半19分にMFフラドが左サイドを抜け出して中央に折り返すと、FWラウルが巧みなボールコントロールから得意の左足で決めて1対1の同点に追いつく。FWラウルはチャンピオンズリーグで歴代最多記録を更新する70ゴール目。
勝ち越したいバレンシアは、MFホアキン、MFビセンテという元スペイン代表コンビを投入するも、ドリブルが増えて単調な攻撃になってしまってビッグチャンスにつなげられず。終盤にシャルケのDFシュミッツが2枚目のイエローカードで退場となるが、試合はそのまま1対1の引き分けに終わった。
■ バレンシアは逃げ切れずホームで先制ゴールを奪ったバレンシアであったが、後半に追いつかれてドロー。シャルケにアウェーゴールを許すという、やや不利な状況でドイツの地に乗り込むことになった。
前半からバレンシアがホームの地の利を生かして優勢に攻め込んでいて、いい時間帯に先制ゴールを奪ったが、その後は、攻撃に迫力を欠いてしまった。アウェーということでシャルケは慎重な試合運びで、1点ビハインドの状況でもあまり前に出てこずに、有効に使えそうなスペースもあまりなかった。
■ 大きなドロー一方のシャルケは、FWラウルが貴重なアウェーゴールを決めてドローに持ち込んだ。次戦は0対0でもシャルケの勝ち抜けが決定するので、シャルケ優位な状況で試合が行われることになった。
貴重なゴールを決めたのはFWラウル。左サイドからのクロスに対して、見事なトラップで相手DFをブロックしてシュートコースを作ると得意の左足でネットを揺らした。オランダ代表のFWフンテラールが不調で精彩を欠いている中、見事な技巧でワンチャンスをものにした。
レアル・マドリーでは限界説も出ていたFWラウルであるが、国内リーグでも得点ランキング6位の10ゴールを挙げており、限界説を吹き飛ばす勢いである。キレは全盛期と比べると明らかに落ちているが、得点感覚には衰えはみられない。シャルケは中盤にタレントが少ない不利な状況であるが、しっかりとチームを支えている。
■ 内田はフル出場すっかりレギュラーに定着したDF内田はこの日も先発フル出場。序盤はミスパスが目立ったが、時間が進むにつれて落ち着きを取り戻し、前半26分にはあわや同点ゴールというMFクルゲのヘディングシュートをお膳立てした。
右サイドハーフのMFファルファンとのコンビは開幕当初と比べると見違えるようによくなっており、味方からも信頼されていることが伺える。シャルケは冬の移籍でノルウェーのローゼンボリからアナン前国連事務総長の甥にあたるガーナ代表のMFアナンを獲得。しかし、チャンピオンズリーグには出場できず、そのこともあって、中盤は脆弱である。
チャンピオンズリーグのレベルでは他チームに大きく見劣りし、中盤から前線に効果的なボールを配給できないという悩みがあるが、DF内田は何度か右サイドからいいチャンスメークを行った。鹿島時代からビルドアップ能力に定評があったが、ドイツに渡ってさらにレベルアップしている。
■ 守備でも奮闘また、守備面でも活躍も光った。1失点目はDF内田のサイドを破られてしまったが、MFファルファンの戻りが遅くてサイドで2対1の状況を作られたことが一番の原因であり、あの状況で二人を相手にするのは困難で、DF内田の責任とするのは酷である。
ということで、失点にかかわったとはいえ、その後は、ハイボールも無難に処理し、追加点を許さなかった。スピードのある選手なので、サイドでの1対1という状況になるとあまり危険性を感じないが、ハイボール勝負になるとまだ少し不安は残るが、この日は全く問題なかった。
シャルケというチーム自体があまり守備の整ったチームではなく、相手に崩されるシーンもあるが、なんとか踏ん張っている。それには、GKノイアーはもちろんのこと、DF内田の貢献度も非常に高いといえる。次のホームゲームでバレンシアを無失点に抑えるとベスト8が決まるが、期待したいところである。
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