■ チャンピオンズリーグUEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦。ドイツのシャルケと、スペインのバレンシアの対戦。シャルケはリーグ戦は10位と不調で、マガト監督の解任の噂も出ているが、CLは好調。グループリーグを首位で通過している。決勝トーナメント1回戦の第1戦はバレンシアのホームのメスタージャで行われて1対1のドロー。後半19分にFWラウールのゴールでシャルケが追い付いてドローに持ち込んだ。
ホームのシャルケは<4-2-2-2>。GKノイアー。DF内田篤人、ヘヴェデス、メツェルダー、エスクデロ。MFクルゲ、マティプ、ファルファン、フラド。FWラウール、ガフラノヴィッチ。 左サイドバックのDFシュミッツは出場停止。FWフンテラールは怪我で欠場となった。
■ シャルケがベスト8入り試合は前半17分にアウェーのバレンシアが先制する。左サイドを崩して最後はDFリカルド・コスタが胸で押し込んで先制。これでバレンシアがトータルスコアで2対1とリードする。一方のシャルケは、前半40分にゴール正面の絶好の位置でフリーキックを獲得すると、ペルー代表のMFファルファンが右足で直接決めて同点に追いつく。前半は1対1で終了する。
「このまま終わると延長戦」となる状況になったが、後半7分にシャルケが勝ち越しに成功する。左サイドを上がったMFクルゲのクロスからMFファルファンがシュート。これはGKに防がれるが、こぼれ球をFWガフラノヴィッチが押し込んで2対1と勝ち越しに成功する。
アウェーゴールの関係で「2対2」に持ち込めば勝ち抜けになるバレンシアは追いつくために前掛かりになるが、GKノイアーのビッグセーブもあって同点ゴールは許さず。結局、ロスタイムにはカウンターからMFファルファンが決めて3点目を挙げたシャルケが3対1で勝利。見事にベスト8進出を果たした。DF内田は昨シーズンのMF本田圭に続いて、日本人では2人目のベスト8に進出した。
■ 守護神のノイアーリーグ戦では「さっぱり」のシャルケであるが、チャンピオンズリーグでは強さを見せており、これでベスト8進出が決定。これはクラブ史上最高の成績であり「快挙」といえる。昨シーズンはリーグ戦は「2位」だったが、今シーズンは「10位」。チグハグな試合が多いリーグ戦とは打って変わってCLでは手堅いサッカーを見せる。
その原動力はドイツ代表のGKノイアー。この日も後半に1対1を防ぐビッグプレーがあったが、今シーズンのGKノイアーの活躍は神がかっている。南アフリカ大会のドイツ代表の正GKでその活躍も印象的だが、「世界最高のGK」といっても過言ではない。お世辞にも「鉄壁」と言えないシャルケのDFラインが崩壊しないのは、GKノイアーによるところが大きい。
■ 内田はフル出場DF内田は先発フル出場。前後半を通して、MFファルファンとのコンビで右サイドを駆け上がってクロスを上げるシーンが多かった。残念ながら、シャルケはゴール前に背の高い選手がいないこともあって、クロスがシュートにつながることはほとんどなかったが「クロスの質」は悪くなかった。
CLのベスト8はMF本田圭に次ぐ日本人では最高峰の位置であるが、MF本田圭はシーズン途中の移籍だったので、グループリーグ突破には貢献していない。決勝トーナメントのセビージャ戦の活躍はセンセーショナルだったが、グループリーグからほとんどの試合でスタメン出場を続けているDF内田の方がトータルでの貢献度が高いのは間違いない。
それにしても「ベスト8」である。CLでベスト8に入るというのは、並大抵のことではなく、メガクラブでも決勝トーナメントを勝ちあがるのは簡単ではないことは、近年のレアル・マドリーが証明している。そのチームでレギュラーで活躍しているというのは、思っている以上に凄いことである。
■ 内田の良さは?その内田選手については「どこがいいのか分からない。」という声もあるが、個人的には「適応力の高さ」が最大の長所であると思う。鹿島アントラーズでは高卒1年目からレギュラーポジションを獲得し、日本代表でも岡田監督に呼ばれるようになって、すぐに右サイドバックのポジションを確保した。
シャルケでも同様にすぐにポジションを確保したが、特に鹿島で高卒ルーキーが開幕からポジションを確保するというは、FW柳沢、MF小笠原、MF中田浩、MF本山、FW大迫といった超高校級の選手でも出来なかったことであり、ちょうど世代交代の時期であったということを考えても、普通ではないことである。
昨シーズン、G大阪のMF宇佐美が高校3年生でレギュラーを獲得し、7ゴールを挙げてチームの中心として働いたが、18歳の選手がチーム内で不動の地位を確保したケースは、近年でいうと、セレッソ大阪のMF香川、FC東京のMF米本くらいで、「DF内田があれだけできるのであれば、他の日本人選手ももっと出来るのでは?」という声も聞こえてくるが、DF内田という選手は、日本人では「エリート中のエリート」である。
むしろ、
・18歳で鹿島アントラーズのレギュラー
・20歳で日本代表のレギュラー
・20歳で北京五輪代表
・21歳でJ1リーグ3連覇達成
・22歳でワールドカップメンバー入り
・22歳でシャルケ移籍
・CLでベスト8
という経歴を考えると、日本サッカー史上、DF内田以上のエリートを見つけるのは難しいほどである。どうしても、日本代表では反対サイドのインテル所属の選手と比べられるので「物足りなさ」を感じてしまうが、内田は内田で「凄い選手」である。
■ 次は準々決勝昨シーズンのMF本田圭はインテルと対戦して敗れているが、DF内田にはベスト4入りの期待がかかる。ただ、このレベルになると、どこが来ても難しい戦いになるのは間違いなく、シャフタール、マルセイユ、コペンハーゲンあたりとの対戦となると、シャルケも堂々と戦えるだろうが、バルセロナとか、マンチェスター・ユナイテッドとか、バイエルンといったクラブとの対戦となると難しくなる。
ここまで来たら、シャルケは失うものがないので、アグレッシブに戦ってほしいところである。フンテラールが不振で、得点源がFWラウールくらいしかいないのが痛いところであるが、FWラウールがいれば、何とかしてくれそうな気もする。
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