■ 準決勝の1stレグUEFAチャンピオンズリーグの準決勝。初のベスト4入りとなったドイツのシャルケが、ホームのヴェルティンス・アレーナでイングランドのマンチェスターUと対戦。
ホームのシャルケは、GKノイアー。DF内田篤人、マティプ、メツェルダー、サルパイ。MFパパドプロス、フラド、ファルファン、バウムヨハン。FWラウール、エドゥ。FWラウールは今年のCLで10試合で5ゴール。キャリア通算でも141試合で70ゴールを挙げている。リーグ戦は温存されたDF内田も先発出場。
対するマンチェスターUは<4-2-2-2>。GKファン・デル・サール。DFファビオ、ファーディナンド、ヴィディッチ、エブラ。MFキャリック、ギグス、バレンシア、朴智星。FWルーニー、ハビエル・エルナンデス。 メキシコ代表のFWハビエル・エルナンデスが7試合で4ゴールを挙げている。準々決勝のチェルシー戦との2ndレグで決勝ゴールを決めた元韓国代表のMF朴智星もスタメン出場。
■ マンUが2対0で勝利試合の前半はマンチェスターUの一方的な展開となる、シャルケは中盤の守備が甘くて、マンチェスターUにプレッシャーをかけられない。DF内田もほとんど攻撃に参加できずに、守備に労力を費やす展開になる。マンチェスターUは前半だけで、7・8回の決定機を作るが、そのほとんどをGKノイアーに防がれて失点を許さない。前半はマンチェスターUのシュートが11本。支配率も64%と圧倒して終了する。
後半も同じような展開。シャルケは、後半8分に全く機能していなかったMFバウムヨハンに代えてMFクルゲを投入。少し守備が安定してくるが、思うような攻撃にはつなげられず。すると、後半22分にマンチェスターUはFWルーニーの絶妙のスルーパスから裏に飛び出したボランチのMFギグスが流し込んで、ようやく先制する。さらに、その2分後にも、MFハビエル・エルナンデスのスルーパスからルーニーが決めて2点目を挙げる。
その後、シャルケも人数をかけて攻め込むようになるが、GKファン・デル・サールからゴールは奪えず。結局、マンチェスターUがシャルケを圧倒して2対0で勝利。アウェーゴールも2つ奪って、決勝進出の可能性はかなり高くなた。
■ FWルーニーが1ゴール1アシストマンチェスターUはアウェーで完勝。今シーズンのマンチェスターUは、アウェーで滅法強くて、1対0(vs バレンシア)、3対0(vs ブルサルスポル)、1対0(vs レンジャーズ)、0対0(vs マルセイユ)、1対0(vs チェルシー)、2対0(vs シャルケ)の成績で、6試合で5勝1分け。アウェーで失点ゼロとほぼ完ぺきな戦いを見せている。
前半は、シャルケのGKノイアーがスーパーセーブを連発したためゴールを奪えずに、嫌な流れになっていたが、イングランド代表のFWルーニーが1ゴール1アシスト。さすが活躍を見せてシャルケのゴールをこじ開けた。最後は、5月1日の日曜日にアーセナル戦を控えていることもあって、ルーニーを下げる余裕の展開で危なげなく試合を終えた。
■ MFギグスが先制ゴール先制ゴールは37歳のMFギグス。その前にも決定機を迎えていたが、得意でない右足のシュートになったのでシュートは枠を大きく外してしまったが、2度目のチャンスで確実にゴールに流し込んでチームを勝利に導いた。このゴールで、ACミランのFWインザーギを抜いて、CLの最年長ゴール記録を更新。偉大なプレーヤーが、また一つ、勲章を手に入れたことになる。
MFギグスというと、「カンプ・ノウの奇跡」が印象的な1998-1999年シーズンのトリプルのときもチームの主力だったが、それからずっとチームを支えており、息の長い選手となった。世界トップレベルの左サイドアタッカーとして活躍してきたが、この試合はボランチ。それでも、質の高いプレーは変わらず、37歳とはとても思えないプレーぶりだった。
■ シャルケは完敗一方のシャルケは「完敗」としか言いようのない展開となった。ベスト4に勝ち上がってきた勢いを、この試合も見せたかったが、思った以上にコンディションが悪くて、動けなかった。
前半は<4-1-4-1>のようなシステムで、MFパパドプロスの1ボランチのような形になったが、その前の4人の守備の貢献が低く、いいようにボールを回された。失点こそなかったが、何度もチャンスを作られていたので、早い時間帯に修正したかったが、あまり持ち駒もないので、手の施しようもなかった。
力の差は明らかなので、シャルケとしては、ホームということもあって、もっと立ち上がりから激しく行きたかったが、立ち上がりから受け身になってしまって、「辛抱するだけ」という時間が長く続いた。ラングニック監督になって、好プレーを見せていたMFフラドがこの試合はさっぱりだったことも誤算で、彼のところで安易にボールを失うシーンが多く、中盤のフィルターもかかっていなかったので、最終ラインの負担は相当なものになった。
■ 別格のGKノイアーベテランのFWラウールを含めてほとんど選手が持ち味を出せなかった中で、ドイツ代表のGKノイアーだけは別で、1対1のシーンを何度もスーパーセーブで防いだ。ホームで0対2という敗戦というのも厳しい結果ではあるが、GKノイアーの活躍がなければ、もっと絶望的な点差になっていたはずで、シャルケの中では、唯一、輝いていた。
GKノイアーは、シャルケと2012-2013シーズン以降の契約をしないことが発表されており、2011-2012シーズン後にフリーとなることが決定したので、シャルケが移籍金を得るために、まず間違いなく今オフにシャルケを去ることになるだろう。
移籍先は、ドイツのバイエルン・ミュンヘンやマンチェスターUが噂されていたが、バイエルン・ミュンヘン移籍の可能性が高まっているという。ただ、マンチェスターUは守護神のGKファン・デル・サールが今シーズン限りでの引退を表明しており、正GKを探している最中である。この試合のプレーを見て、ファーガソン監督がどのように感じたのか。GKノイアーの移籍先も注目される。
■ DF内田はフル出場日本人としては初めてCLの準決勝の舞台に立った内田はフル出場。チームは0対2で敗れたため決勝進出は厳しくなったが、個人としては悪くなかった。前半から守備に追われることになって、持ち味の攻撃参加は少なかったが、守備ではMF朴智星の決定的なシュートをブロックするなど、体を張った守備で奮闘した。
注目を集めたMF朴智星とのマッチアップは、マンチェスターUの左サイドバックのDFエブラがあまり上がってこなかったので、MF朴智星とDF内田が絡むシーンが多かったが、無難な対応を見せて、MF朴智星を自由にさせなかった。MF朴智星のプレーも悪くなかったが、日韓対決は「内田の優勢勝ち」だったといえる。
第2戦はオールドトラフォードでの試合となる。シャルケは最低でも2ゴールが必要な苦しい状況になったので、リスク覚悟で攻めるしかない状況である。第1戦は、スタメン表を見ると攻撃的に行きたかったのか?と思うが、全くシャルケの良さが出せずに悔しい展開となったので、第2戦は思い切って攻め込んでほしいところ。相当に厳しい展開であるが、早い時間にシャルケが先制するようだと、面白くなる。
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