■ 26節3月12日の土曜日に行われたシャルケ04とフランクフルトの試合。水曜日にスペインのバレンシアを下してCLでベスト8に進出したシャルケであるが、リーグ戦は8勝11敗6分けで勝ち点「30」。降格圏の17位のシュツットガルトの勝ち点が「25」なので「5」ポイントしか差がない。
ホームのシャルケは<4-2-2-2>。GKノイアー。DF内田篤人、パパドプロス、メツェルダー、エスクデロ。MFクルゲ、アナン、ファルファン、フラド。FWラウール、ガフラノヴィッチ。DFヘヴェデスは出場停止。左サイドバックのDFシュミッツはベンチスタート。オランダ代表のFWフンテラールは怪我で欠場中。FWガフラノヴィッチがスタメン。
■ シャルケが勝利試合は序盤からシャルケがペースを握る。右サイドのペルー代表のMFファルファンとDF内田のコンビで崩していく。先制したのは前半のロスタイム。フランクフルトのGKフェーマンがボールを保持して、バウンドさせてからロングキックをしようとした瞬間に裏からFWラウールがボールをかっさらうと、たまらずGKフェーマンがFWラウールを倒してPKをゲット。MFフラドが決めてシャルケが先制する。MFフラドは2ゴール目。前半は1対0で終了する。
後半も、シャルケが次々とチャンスを作っていく。しかし、前半に大チョンボしたフランクフルトのGKフェーマンが奮起し、MFファルファン、DF内田、FWガフラノヴィッチとの1対1をことごとく防ぐ。
前半戦の最後のドルトムント戦で1対0の勝利を飾って以降、0勝6敗2分け。ウインターブレーク明けは8試合でまだゴールがないフランクフルトは、後半18分にギリシャ代表経験のあるFWゲカスを投入。すると後半25分に待望の同点ゴールが生まれる。DFチャヴェレスが自陣の深くから前線にロングキックを送ると、FWゲカスが相手DFの裏を取ってビッグチャンスを迎える。シャルケはGKノイアーが飛び出してくるが、うまくDFとの連携が取れずにそのままゴールに吸い込まれてしまう。結果的にはDFチャヴェレスの超ロングシュートと記録されて、1対1の同点となる。
しかし、シャルケは後半39分にGKノイアーが右サイドからロングキックからチャンスを作る。フランクフルトのDFは頭でクリアしようとするが失敗。ボールを拾った途中出場のFWカリスティースがGKとの1対1を落ち着いて決めて勝ち越しに成功する。冬の移籍でチームに加入したFWカリスティースは初ゴール。結局、2対1でシャルケが勝利。今シーズン9勝目を飾った。
■ 大混戦の残留争いシャルケはCLでベスト8に入ったが、リーグ戦では不振。26節を終えて勝ち点「33」の10位であるが、12位のブレーメンが勝ち点「29」で、その下は勝ち点「28」でシュツットガルト(13位)、カイザースラウテルン(14位)、フランクフルト(15位)、ザンクト・パウリ(16位)で並んでいて、17位のヴォルフスブルクも勝ち点「26」。ブンデスリーガは「下位2チーム」が降格となるが、超大混戦となっている。
シャルケは、開幕前にFWフンテラール、MFフラドを大金をかけて獲得。移籍金は、FWフンテラールが1400万ユーロ、MFフラドが1300万ユーロと言われており、費用対効果を考えると「10位」という順位は物足りない気もするが、ブンデスリーガでもいい監督は少なく、マガト監督が退任してヴォルフスブルクが苦しんでいることを見ても、ここでマガト監督を手放すのはあまりにも惜しい。
まだまだ「残留争い」から抜け出したとは言い難いが、シャルケの将来を考えても、少しでも順位を上げて「いい判断」ができる状況までもっていってほしいところである。
■ 内田のメッセージ①「東北地方太平洋沖地震」が発生して30時間ほどしか経っていない状況で、DF内田にとっては難しい中での試合となったが、ドイツに移籍してから「最高」と思えるパフォーマンスを見せた。惜しくも「初ゴール」とはならなかったが、FWラウールのパスを受けてGKと1対1になるシーンなど、多くの見せ場を作った。バレンシア戦から中2日であり疲労もあったと思うが、「気持ち」が入っていた。
特に右サイドハーフのMFファルファンとのコンビネーションが抜群で、目に見えてよくなってきている。開幕当初はMFファルファンからほとんどパスが回ってこなかったが、完全に信頼を勝ち取っており、シャルケにとって「右サイド」は最大の武器になっている。DF内田は鹿島からシャルケに移籍したときの移籍金が1億5000万程度だったと言われているが、市場価値も大きく上がっているだろう。
■ 内田のメッセージ②2対1でチームの勝利に大きく貢献したDF内田であるが、試合後に、チームメイトが勝利に沸いてダンスを踊る中、その輪に入ることが出来ずに、横で見守るしかなかった。静岡県出身の選手であるが、古巣の鹿島アントラーズを含めて多くの被害が生じており「素直に喜ぶことができない。」という心情は痛いほど伝わってくる。
ただ、シャルケのチームメイトは温かかった。GKノイアーはDF内田のシャツに書かれていた「日本の皆へ。少しでも多くの命が救われますように。共に生きよう!」というメッセージを「サポーター」や「テレビ」に向かってアピールできるように促し、FWラウールもDF内田の気持ちを察してDF内田をハグをして包み込んだ。
■ サッカーができることDF内田だけでなく、他にも、DF槙野も、FW宮市も、MF岡崎も、試合後にメッセージ付きのシャツを着て、日本の人にメッセージを送った。ライフラインも復旧していない中で、被災者の方にこれらのメッセージが伝わるかどうかは分からないが、海外で活躍している彼らがメッセージを送ることは大きな意味がある。
今回の地震で多くの犠牲者が出ている。個人的な話をすると、関西地方はほとんど被害が出ておらず、表面上は今までと変わらない生活ができており、電気も止まっていないし、店に行っても普通に商品が並んでいる。ただ、テレビ画面から伝わってくるものは、想像を絶するものがある。16年前には阪神大震災があったが、あのときと同じで、胸が痛くなってしまう。
この状況では「サッカーが二の次」となるのは仕方がない。Jリーグの第2節と日本開催のACLは延期が発表されたが、きわめて「妥当な判断」であり、生死を賭けた状況で「サッカーができること」は限られてしまう。「週末に普通にサッカーの試合が行われること」がどれだけ素晴らしいものであったかを改めて感じさせられた。ただ、「復興していく過程」では「娯楽」は欠かせないものであり、「サッカー」にはそのパワーがあると思う。
<終わりに・・・>・今回の地震で被害を受けられた方々には、心からお見舞い申し上げます。しばらくは何もする気はおこりませんでしたが、これからは、できるだけ通常運転したいと考えています。大変な状況だと思いますが、このサイトが、少しでも被災者の方に「生きるエネルギー」を分けられるとしたら幸いです。早く、スタジアムに、日本に、笑顔が戻るといいですね。
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