原書房(はらしょぼう)とは、日本の出版社。神田神保町に同名の古書店があるが無関係。
1949年、元帝国海軍大佐の原道男によって創業。『国際連合世界統計年鑑』の日本語版や、朝日新聞の『天声人語』の英訳版などの英語関連書籍、戦史・外交関係の書籍、法令全書、そして『明治百年史叢書』など明治~昭和の史料などを取り扱う出版社として成長した。60年代後半あたりからは太平洋戦争の戦史・戦記などの軍事関係書籍がメインとなる。
そんなわけで基本的にお堅い出版社であり、初めてのベストセラーはスイス連邦政府が家庭に配ったハンドブックを翻訳した『民間防衛』(1970年)である。その一方、1975年には「地球の大量の水は氷惑星の接近によってもたらされた」という説を提唱した『灼熱の氷惑星』という(今でならいわゆるトンデモ本とされるだろう)本が出てそこそこ売れていたりする。1980年代からは世界史系の図説・図鑑に力を入れるようになる。
そんな真面目な出版社だった原書房の様子がなんだかおかしくなったのが90年代後半のこと。1997年から新本格ミステリのガイドブック『ニューウェイヴ・ミステリ読本』や、ミステリ作家・島田荘司のガイドブック『島田荘司読本』、島田荘司『異邦の騎士』の愛蔵版などを出し、海外の古典本格ミステリの未訳作品を出す叢書《ヴィンテージ・ミステリ》の刊行を開始、とミステリ方面に手を広げた。
それだけなら単に文芸出版に進出しただけだが、翌1998年、島田荘司本人の後押しで御手洗潔シリーズの同人を商業出版し始めてしまう(この島荘の同人作家後押し路線は、後に南雲堂の『御手洗パロディ・サイト事件』や『パロサイ・ホテル』にも引き継がれることに……)。このあたりから『アニメ声優読本』や『図説テレビアニメ全書』など、それまでとはだいぶ毛色の違う本も出すようになった。
ともかく、これで島田荘司との繋がりが強くなった原書房は、その後島田荘司の新作などの本格ミステリの刊行を経て、2001年に日本人作家による本格ミステリの新作を出す単行本叢書《ミステリー・リーグ》を創刊。以降、講談社や東京創元社よりも良くも悪くもマニアックな作品を出す叢書として、本格ミステリ出版に現在も重要な位置を占めている。また2001年から、本格ミステリの年間ランキング本『本格ミステリ・ベスト10』を東京創元社から引き取って現在まで刊行を続けている。
翻訳小説では、2005年にロマンス小説を出す文庫レーベル《ライムブックス》、2012年にコージー・ミステリを出す文庫レーベル《コージーブックス》を創刊。どちらも現在まで現役で刊行を続けている。
もちろん現在も統計年鑑や法令全書などのお堅い本の出版も続けているが、一般的にはミステリーと翻訳ロマンス・コージー小説の出版社というイメージかもしれない。
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最終更新:2024/12/23(月) 16:00
最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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