アメリカの制裁は転換点に! 脱ドル化とアメリカに対する結託
US Sanctions Reach a Turning Point. De-Dollarization and Collusion against the U.S.
カルステン・リーゼ
グローバル・リサーチ 2018年9月20日
(翻訳:新見明 2018年10月10日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-sanctions-reach-a-turning-point-de-dollarization-and-collusion-against-the-u-s/5654643
アメリカ制裁体制の決定的瞬間
毎年、アメリカは制裁する新しい国を見つける。毎年、アメリカは約100人を膨大な制裁リストに加える。今アメリカの制裁は転換点に来ている。
これまでEUは、アメリカとほぼ同じ比率で世界経済を担ってきた。そしてEUは、アメリカが以前より異様な比率で制裁体制を増大させのに従ってきた。アメリカとEUはともに世界経済のほぼ半分を構成してきて、アメリカの制裁は以前は世界経済の他の半分を標的にしてきた「だけ」だった。これまでEUはアメリカの制裁に影響されることはないので、アメリカとの関係を無理に変える理由がなかった。
しかし今は、イランに関して「二次的制裁」がEUの戦略的会社や金融機関にもかなり打撃を与えた。そしてペルシャ湾からのエネルギーも、EUの世界戦略利害に否定的影響を与えている。要するにアメリカの制裁は、最大の仲間であるEUの自由や安保や主権を攻撃しているのだ。
それ故、いまや我々はアメリカが行う制裁体制のために決定的瞬間に至っているのだ。
アメリカ経済は、すでにUSドルで世界のGDPの4分の1以下である。そして2023年には、世界の約5分の1に落ちるだろう(IMF資料)。アメリカ以外が、世界経済の5分の4(今はEUや中国を含む)を占め、はますます先進国グループになっている。そして彼らはアメリカ制裁体制に対して陰で手をつなごうとしている。この結託は共通の利害の結果である。しかしEUは実際は(又は少なくとも)他の主要勢力の反制裁に協調しないかもしれない。
私達はここで、根本的変化に向かっている世界最強の複雑な政治経済構造のことを話している。
だから私達は より大きな構図を分析する必要がある。現在のそして将来あり得るアメリカの制裁に対して、反制裁の完全な体制が、世界の協力な勢力によってどのように計画されていて、実行されるのかという構図を分析する必要がある。それは全てアメリカに対して向けられたものである(しかし時々アメリカと共謀するかもしれないが)。これらの対抗戦略体制は次のことを含むが、それに限定されたものではない。
金融
振替システムはアメリカの銀行を回避するようになり、アメリカの主要「成長産業」の世界的位置を傷つけるだろう。それはEU、中国、日本、インド、その他全てにとって、アメリカの銀行を捨てて、国際的システムの「自国の」銀行を国際的に展開するチャンスとなる。
長期的傾向を見ると、アメリカの金融業は、アメリカ経済を押し上げている実に「唯一」の巨大成長産業になった。アメリカ経済の他のどの部門も、規模や成長率で金融業に並ぶものはない(武器は少し似ているが、金融は規模において飛び抜けているのだ)。だからこれはアメリカにとってとても厳しいことになるだろう。
アメリカの銀行はこれまで全世界の振替の便宜に中心的な役割を果たしてきた。そして第3国間の多くの振替は、どういうわけか技術的にアメリカを経由して行われている。このシステム構造はもう終わるだろう。中国によってだけでなく、EUや恐らくインドによっても。
アメリカ以外の誰もが、自分たちのお金をアメリカ金融機関によって触れられるのを嫌がるだろう。もしくは彼らのお金がほんの少しでもアメリカに上陸するのを嫌がるだろう。そしてもちろん、EUと中国はこれに対して合法的で技術的な解決策を知っている。
アメリカのクレジット・カード・システムの成長は妨げられるだろう。その代わり中国やEUのカードが、この儲かる急成長の世界市場に割り込むだろう。ロシアはこの傾向に最初に気づいた国で、アメリカのクレジット・カード会社を全て追い出し、中国のクレジット・カード・システムを導入したのだ。EUは、EUのクレジット・カードの役割を強めて、「偶然」(おおっと!?)、EU市場におけるアメリカのクレジット・カードに損害を与えることもありうる。金融センターであるイギリスのロンドンはBrexitの後、EUとアメリカの間の板挟みにあった。もしイギリスがEUの反制裁運動に対抗して、アメリカに味方すれば、EUはイギリスのクレジットカード・ビジネスをEU司法に訴える強い道具を作り出すかもしれない。
新たな世界IT振替体制は、SWIFT(国際銀行間通信協会)に対するアメリカの影響を妨害し、アメリカの政治的影響力を減じるだろう。SWIFTシステムはブリュッセルに基盤をおいているが、アメリカの強い影響下にある。ロシアはすでにその代替機関を作った。EUはもはや、アメリカがSWIFT振替を通じてEU企業を傷つけるのを受け入れられない。EUはそれ故、SWIFTをアメリカ支配から解放するか、別のEUシステムを作り出すかどちらかの行動を取らなければならない。
ウォール街を避けよ
中国かEUからでさえ将来制裁の危険のない同じローンを借りられるなら、どうしてアメリカでローンを借りる必要があるのか。
サウジARAMCO石油会社のIPO(新規株式公開)は引き延ばされた。未確認情報では、9・11後、アメリカ司法がサウジ資産をねらった恐れが原因の一部であるということだ。すでにその傾向は、世界で最大のIPO(新規株式公開)がアジアに移動いているということに現れている。
脱ドル化
EUは今エネルギー貿易をドルからユーロに換えようとしている。この傾向は他の国際貿易においてもドルを減少させるだろう。国際貿易における何兆ドルもが、アメリカに戻ってきて、インフレの危機や、経済危機を起こすかもしれない。未確認情報によれば、金はロシア政府や中国政府によってばかりでなく、トルコ政府によってさえ、急いで買い上げられている。
戦略的供給
エアバスがイランに飛行機を届けることができないのは、とりわけ重要な部品をアメリカから仕入れるからである。これは変化するだろう。戦略的供給チェーンは変化し、アメリカの下請け供給業者や輸送媒体(船、飛行機、IT)や技術、サービスパートナーなどを避けるだろう。それは根本的にアメリカの世界的地位を傷つけることになる。私達はここで中古車のことを話しているのではなく、戦略的ビジネス部門のことを話しているのだ。EUと中国はこの反アメリカ調達を、公式の政策として公然と述べてはいないかもしれないが、彼らは「きわめて」効果的に戦略部門においてそうなるように仕向けるだろう。
また食料のような他の戦略部門(アメリカ農業の穀物や大豆)におけるアメリカの出荷やアメリカのエネルギーは、反制裁によって影響を受けるだろう。中国はアメリカ大豆を減らし、その価格を下げる。そのときEUは(これにあまり依存していないので)、アメリカからの寄せ集めの安い余剰大豆を安売りとして使うかもしれない。液化天然ガスをアメリカがEUに大量に送るという考えは、恐らくほとんど言葉だけで、アメリカからEUへの液化天然ガスの総量はかろうじて増加するに過ぎないかもしれない。EUは冷めた計算さえしていて、ガス部門におけるEUは、アメリカよりロシアというもっと運用しやすいパートナーを持つことができる。EUは様々な面で、アメリカよりロシアに、規模の面でも実質的に有利な関係を持っている。そしてロシアが中国と良好な関係を保っているにもかかわらず、ロシアはバランスを保つことに関心があるようだ。
観光と教育
観光は世界で最も急速に成長する産業の一つである。そしてアメリカは文化的影響力を訪問する観光客全てに売る。大学教育は国家研究に財政支援する戦略的ビジネスであるだけでなく、大学はまたアメリカが世界中の世代に将来影響を及ぼす土台でもある。観光客や学生をアメリカ以外の他の場所に送ったらどうか。中国人観光客と学生はアメリカにとってかなり重要であるが、中国は観光客や学生をアメリカ以外にもたくさん送っている。
ビジネスを保護するために国を使うこと
反制裁として、いまEUは中央銀行や国有企業を、資金調達、ビジネス・パートナー、仲介パートナーの面で、イランの扱いをめぐって騒ぎに巻き込んでいる。EUの国有企業統一体に対するアメリカの制裁は、そのときアメリカの(経済)戦争宣言となり、それはEU私企業に対してだけでなく、直接EU国家にたいする戦争宣言となる。
アメリカの武器以外を買うこと
EUはアメリカに依存せず独自の兵器産業を増大させる壮大で野心的な戦略を実行している。EUの兵器製造業の力を増大させるために、EUはアメリカからの兵器輸入を最小限にする必要がある。EUは自分のものを作り、アメリカからの輸入はできる限り少なくしなければならない。サウジアラビアはこれまで世界最大の武器購入国の一つであり、ほとんど全てアメリカから購入している。しかしサウジアラビアとアメリカの指導者間の兄弟愛は冷めてきて、サウジアラビアは兵器購入先の多様性も求められるだろう。そしてサウジアラビアはすでにEUのユーロ・ファイター[戦闘機]さえもっていて、ロシアと萌芽的な武器購入関係にあり、拡大している。
アメリカに対抗する共謀
アメリカの貿易戦争は、アメリカの利害に対抗するEU、中国、インド、世界のその他(イギリスさえ)を結束させている。アメリカによって始められた侵略的で一方的な貿易戦争で、世界のその他の国々は全て、アメリカの制裁体制に対して対抗戦略に共謀するさらなる動機さえ今やもつだろう。
EUはゆっくり反応しているように思われるかもしれない。そしてこれは自信過剰のアメリカの政治家が、EUはできないだろうとか、しないだろうと思いがちかもしれない。しかし私を信じてください、EUは反応するだろう。なぜならこれは戦略的に必須事項なのだからです。EUはアメリカ制裁に災いの前兆を見てきた。彼らは、アメリカ支配からEUの主権を取り戻すためにこれを十分考慮し、計画し、じっくり準備するだろう。EU委員会大統領ジャン・クロード・ユンカーの最近のEUでのスピーチの文章を読んでください。EUがアメリカに対抗する制裁手段を展開するとき、それは大きく、包括的で、「きわめて」効果的になるだろう。
アメリカにとって否定的な変化は続くだろう
アメリカの銀行、金融、米ドルなどに対する代替システムがいったん開発され、成熟したら、それらは決して消えることはないだろう。
アメリカは自信過剰で、自身の世界的な経済的ヘゲモニーの資格を打ち壊そうとしている。そしてそれは結構なことだ。
*
カルステン・リーゼはコペンハーゲン・ビジネス・スクールの科学(経済)修士である。そしてコペンハーゲン大学からスペイン文化やスペイン語の学位を得ている。10億米ドル職責で、デンマークとスエーデンのメルセデスベンツの元副会長で主任財政委員(CEO)であった。着任当時、メルセデスベンツの世界販売組織内で最も若く、ドイツ人以外で最初の最高の地位にあった。
カルステン・リーゼ
グローバル・リサーチ 2018年9月20日
(翻訳:新見明 2018年10月10日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-sanctions-reach-a-turning-point-de-dollarization-and-collusion-against-the-u-s/5654643
アメリカ制裁体制の決定的瞬間
毎年、アメリカは制裁する新しい国を見つける。毎年、アメリカは約100人を膨大な制裁リストに加える。今アメリカの制裁は転換点に来ている。
これまでEUは、アメリカとほぼ同じ比率で世界経済を担ってきた。そしてEUは、アメリカが以前より異様な比率で制裁体制を増大させのに従ってきた。アメリカとEUはともに世界経済のほぼ半分を構成してきて、アメリカの制裁は以前は世界経済の他の半分を標的にしてきた「だけ」だった。これまでEUはアメリカの制裁に影響されることはないので、アメリカとの関係を無理に変える理由がなかった。
しかし今は、イランに関して「二次的制裁」がEUの戦略的会社や金融機関にもかなり打撃を与えた。そしてペルシャ湾からのエネルギーも、EUの世界戦略利害に否定的影響を与えている。要するにアメリカの制裁は、最大の仲間であるEUの自由や安保や主権を攻撃しているのだ。
それ故、いまや我々はアメリカが行う制裁体制のために決定的瞬間に至っているのだ。
アメリカ経済は、すでにUSドルで世界のGDPの4分の1以下である。そして2023年には、世界の約5分の1に落ちるだろう(IMF資料)。アメリカ以外が、世界経済の5分の4(今はEUや中国を含む)を占め、はますます先進国グループになっている。そして彼らはアメリカ制裁体制に対して陰で手をつなごうとしている。この結託は共通の利害の結果である。しかしEUは実際は(又は少なくとも)他の主要勢力の反制裁に協調しないかもしれない。
私達はここで、根本的変化に向かっている世界最強の複雑な政治経済構造のことを話している。
だから私達は より大きな構図を分析する必要がある。現在のそして将来あり得るアメリカの制裁に対して、反制裁の完全な体制が、世界の協力な勢力によってどのように計画されていて、実行されるのかという構図を分析する必要がある。それは全てアメリカに対して向けられたものである(しかし時々アメリカと共謀するかもしれないが)。これらの対抗戦略体制は次のことを含むが、それに限定されたものではない。
金融
振替システムはアメリカの銀行を回避するようになり、アメリカの主要「成長産業」の世界的位置を傷つけるだろう。それはEU、中国、日本、インド、その他全てにとって、アメリカの銀行を捨てて、国際的システムの「自国の」銀行を国際的に展開するチャンスとなる。
長期的傾向を見ると、アメリカの金融業は、アメリカ経済を押し上げている実に「唯一」の巨大成長産業になった。アメリカ経済の他のどの部門も、規模や成長率で金融業に並ぶものはない(武器は少し似ているが、金融は規模において飛び抜けているのだ)。だからこれはアメリカにとってとても厳しいことになるだろう。
アメリカの銀行はこれまで全世界の振替の便宜に中心的な役割を果たしてきた。そして第3国間の多くの振替は、どういうわけか技術的にアメリカを経由して行われている。このシステム構造はもう終わるだろう。中国によってだけでなく、EUや恐らくインドによっても。
アメリカ以外の誰もが、自分たちのお金をアメリカ金融機関によって触れられるのを嫌がるだろう。もしくは彼らのお金がほんの少しでもアメリカに上陸するのを嫌がるだろう。そしてもちろん、EUと中国はこれに対して合法的で技術的な解決策を知っている。
アメリカのクレジット・カード・システムの成長は妨げられるだろう。その代わり中国やEUのカードが、この儲かる急成長の世界市場に割り込むだろう。ロシアはこの傾向に最初に気づいた国で、アメリカのクレジット・カード会社を全て追い出し、中国のクレジット・カード・システムを導入したのだ。EUは、EUのクレジット・カードの役割を強めて、「偶然」(おおっと!?)、EU市場におけるアメリカのクレジット・カードに損害を与えることもありうる。金融センターであるイギリスのロンドンはBrexitの後、EUとアメリカの間の板挟みにあった。もしイギリスがEUの反制裁運動に対抗して、アメリカに味方すれば、EUはイギリスのクレジットカード・ビジネスをEU司法に訴える強い道具を作り出すかもしれない。
READ MORE:Dollar Hegemony in the Empire of the Damned 「呪われた帝国におけるドルの支配力」 |
新たな世界IT振替体制は、SWIFT(国際銀行間通信協会)に対するアメリカの影響を妨害し、アメリカの政治的影響力を減じるだろう。SWIFTシステムはブリュッセルに基盤をおいているが、アメリカの強い影響下にある。ロシアはすでにその代替機関を作った。EUはもはや、アメリカがSWIFT振替を通じてEU企業を傷つけるのを受け入れられない。EUはそれ故、SWIFTをアメリカ支配から解放するか、別のEUシステムを作り出すかどちらかの行動を取らなければならない。
ウォール街を避けよ
中国かEUからでさえ将来制裁の危険のない同じローンを借りられるなら、どうしてアメリカでローンを借りる必要があるのか。
サウジARAMCO石油会社のIPO(新規株式公開)は引き延ばされた。未確認情報では、9・11後、アメリカ司法がサウジ資産をねらった恐れが原因の一部であるということだ。すでにその傾向は、世界で最大のIPO(新規株式公開)がアジアに移動いているということに現れている。
脱ドル化
EUは今エネルギー貿易をドルからユーロに換えようとしている。この傾向は他の国際貿易においてもドルを減少させるだろう。国際貿易における何兆ドルもが、アメリカに戻ってきて、インフレの危機や、経済危機を起こすかもしれない。未確認情報によれば、金はロシア政府や中国政府によってばかりでなく、トルコ政府によってさえ、急いで買い上げられている。
戦略的供給
エアバスがイランに飛行機を届けることができないのは、とりわけ重要な部品をアメリカから仕入れるからである。これは変化するだろう。戦略的供給チェーンは変化し、アメリカの下請け供給業者や輸送媒体(船、飛行機、IT)や技術、サービスパートナーなどを避けるだろう。それは根本的にアメリカの世界的地位を傷つけることになる。私達はここで中古車のことを話しているのではなく、戦略的ビジネス部門のことを話しているのだ。EUと中国はこの反アメリカ調達を、公式の政策として公然と述べてはいないかもしれないが、彼らは「きわめて」効果的に戦略部門においてそうなるように仕向けるだろう。
また食料のような他の戦略部門(アメリカ農業の穀物や大豆)におけるアメリカの出荷やアメリカのエネルギーは、反制裁によって影響を受けるだろう。中国はアメリカ大豆を減らし、その価格を下げる。そのときEUは(これにあまり依存していないので)、アメリカからの寄せ集めの安い余剰大豆を安売りとして使うかもしれない。液化天然ガスをアメリカがEUに大量に送るという考えは、恐らくほとんど言葉だけで、アメリカからEUへの液化天然ガスの総量はかろうじて増加するに過ぎないかもしれない。EUは冷めた計算さえしていて、ガス部門におけるEUは、アメリカよりロシアというもっと運用しやすいパートナーを持つことができる。EUは様々な面で、アメリカよりロシアに、規模の面でも実質的に有利な関係を持っている。そしてロシアが中国と良好な関係を保っているにもかかわらず、ロシアはバランスを保つことに関心があるようだ。
観光と教育
観光は世界で最も急速に成長する産業の一つである。そしてアメリカは文化的影響力を訪問する観光客全てに売る。大学教育は国家研究に財政支援する戦略的ビジネスであるだけでなく、大学はまたアメリカが世界中の世代に将来影響を及ぼす土台でもある。観光客や学生をアメリカ以外の他の場所に送ったらどうか。中国人観光客と学生はアメリカにとってかなり重要であるが、中国は観光客や学生をアメリカ以外にもたくさん送っている。
ビジネスを保護するために国を使うこと
反制裁として、いまEUは中央銀行や国有企業を、資金調達、ビジネス・パートナー、仲介パートナーの面で、イランの扱いをめぐって騒ぎに巻き込んでいる。EUの国有企業統一体に対するアメリカの制裁は、そのときアメリカの(経済)戦争宣言となり、それはEU私企業に対してだけでなく、直接EU国家にたいする戦争宣言となる。
アメリカの武器以外を買うこと
EUはアメリカに依存せず独自の兵器産業を増大させる壮大で野心的な戦略を実行している。EUの兵器製造業の力を増大させるために、EUはアメリカからの兵器輸入を最小限にする必要がある。EUは自分のものを作り、アメリカからの輸入はできる限り少なくしなければならない。サウジアラビアはこれまで世界最大の武器購入国の一つであり、ほとんど全てアメリカから購入している。しかしサウジアラビアとアメリカの指導者間の兄弟愛は冷めてきて、サウジアラビアは兵器購入先の多様性も求められるだろう。そしてサウジアラビアはすでにEUのユーロ・ファイター[戦闘機]さえもっていて、ロシアと萌芽的な武器購入関係にあり、拡大している。
アメリカに対抗する共謀
アメリカの貿易戦争は、アメリカの利害に対抗するEU、中国、インド、世界のその他(イギリスさえ)を結束させている。アメリカによって始められた侵略的で一方的な貿易戦争で、世界のその他の国々は全て、アメリカの制裁体制に対して対抗戦略に共謀するさらなる動機さえ今やもつだろう。
EUはゆっくり反応しているように思われるかもしれない。そしてこれは自信過剰のアメリカの政治家が、EUはできないだろうとか、しないだろうと思いがちかもしれない。しかし私を信じてください、EUは反応するだろう。なぜならこれは戦略的に必須事項なのだからです。EUはアメリカ制裁に災いの前兆を見てきた。彼らは、アメリカ支配からEUの主権を取り戻すためにこれを十分考慮し、計画し、じっくり準備するだろう。EU委員会大統領ジャン・クロード・ユンカーの最近のEUでのスピーチの文章を読んでください。EUがアメリカに対抗する制裁手段を展開するとき、それは大きく、包括的で、「きわめて」効果的になるだろう。
アメリカにとって否定的な変化は続くだろう
アメリカの銀行、金融、米ドルなどに対する代替システムがいったん開発され、成熟したら、それらは決して消えることはないだろう。
アメリカは自信過剰で、自身の世界的な経済的ヘゲモニーの資格を打ち壊そうとしている。そしてそれは結構なことだ。
*
カルステン・リーゼはコペンハーゲン・ビジネス・スクールの科学(経済)修士である。そしてコペンハーゲン大学からスペイン文化やスペイン語の学位を得ている。10億米ドル職責で、デンマークとスエーデンのメルセデスベンツの元副会長で主任財政委員(CEO)であった。着任当時、メルセデスベンツの世界販売組織内で最も若く、ドイツ人以外で最初の最高の地位にあった。
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