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BRICSは、いまや民主主義の砦となっている

<記事原文 寺島先生推薦>
BRICS: a bastion of democratic power
筆者:マシボンゲ・シララ (Masibongwe SIHLAHLA)
出典:Strategic Culture 2024年10月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月31日


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編集部特選記事―民主主義の砦となるBRICS


米国の他国に対する対応は、国連の非民主的な本質を如実に示すものである。米国は、自国のやり方を押し通すために、軍事力、経済力、文化的な影響力を駆使して、他国をいじめたり、強制的に服従させたりすることで知られている。例えば、米国はドイツが米国に保有する金準備を引き出すことを阻止し、欧州の大国であるドイツをまるで年下のパートナーであるかのように扱っている。

また、米国がSWIFTシステム*を利用してロシアを罰し、ロシア産石油の購入を検討したインドをまるでいたずらっ子のように叱責したことも世界は目撃している。さらに、米国は、テロ行為を非難されることの多い国であるイスラエルに、国連安全保障理事会(UNSC)において外交特権を与えるために、一貫して拒否権を行使してきた。
SWIFTシステム*・・・Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略。国際銀行間通信協会とも呼ばれる。1973年に世界の金融機関が出資して設立された非営利法人で、本部はベルギーにある。

それゆえ、多くの国々がインド、ドイツ、ブラジル、日本、南アフリカを常任理事国として加えることを求め、国連安保理の改革を訴えているのは当然である。これにより、世界的な意思決定において、より大きな代表性と多様性がもたらされることになり、より民主的で包括的なシステムへの一歩となるだろう。しかし、米国は自国の権力を維持することを好み、このような動きをほとんど歓迎していない。

国連の失敗の核心には、拒否権を他の国々に対するダモクレスの剣のごとく振りかざす国連安保理の常任理事国5か国の不公平な体制がある。少数の者たちに権力が集中した結果、説明責任が欠如し、国連は強者が弱者の犠牲のもとに自らの利益を追求するための舞台と化している。

国連安保理の常任理事国は、国際社会を代表するものではなく、国家や文化の多様性を反映しているわけでもない。この非民主的な体制により、これらの強力な国々は、議題を決定し、反対意見を封じ、他国の利益を顧みずに自国の利益を追求することが可能となっている。

さらに、協力の促進、紛争の防止、人権の保護を目的とするはずの国連の法に基づく秩序は、民主主義と平和をもたらすことに失敗している。むしろ、国連は「人道的介入」や「民主主義の促進」という名目で、強国が自国の意思を弱小国に押し付けるための道具となっている。

米国が覇権を握る、「ルールに基づく秩序」のシステムは、軍事力、経済力、金融力を組み合わせることでその優位性を維持しようとするものであり、米国が他国の犠牲のもとに利益を得る不公平な競争環境を作り出している。ドルが世界準備通貨としての地位を維持していること、SWIFTシステム、そして米国が他国を説得または強制できるということは、すべて米国の権力と影響力の地位を確たるものにすることにつながっている。米国はすでにその本性を明らかにしている。ロシアとの戦争の資金調達としてウクライナに渡すために米国の銀行にあるロシアの資産を差し押さえているからだ。また、イランの資産のうちたった60億ドルを食料や医薬品の購入に充てることを許可したが、その資金は米国が完全に管理し、実際にはイランには渡らない。

これに対し、BRICSが構想するような複数の強力な影響力センターが存在する多極体制は、よりバランスの取れた権力分配を実現し、グローバルな意思決定における多様性と代表性も高めることができるだろう。しかし、現在の国連の構造は、常任理事国の拒否権に重点が置かれているため、より民主的で包括的な体制を実現することは困難だ。

国連は民主主義と平和を実現するという使命を悲惨なまでに果たせずにいる。その非民主的な構造と少数の人間に権力が集中していることが、説明責任の欠如と現状の永続化につながっている。今こそ国連の抜本的な改革が必要であり、より大きな代表制、包括性、説明責任を促進し、より民主的で平和な世界秩序を可能にするような改革である。BRICSのドアを叩いて参加を求める国々があとを絶たないのは当然である。ロシアや中国のような、強大な軍事力と経済力を備えた国々が、他国を支配する覇権主義のない多極的な世界において、他国を尊重し、尊厳をもって平等に扱うパートナーとなることを期待しているからだ。

すでにBRICSは、世界銀行やIMFの融資条件を受け入れられない国々を支援するために、新開発銀行を立ち上げた。また、BRICS銀行間決済システムにより、各国はドルを使用せざるを得ない状況に追い込まれることなく、自国通貨で互いに支払いをすることが可能になる。ドルで支払いがなされるたびに、米国のみが他国からの赤字補填による恩恵を受けているため、これは米国のみに利益をもたらすのである。

この記事を執筆している時点で、191カ国中159カ国がすでにBRICS決済システムへの参加を表明している。ドルを準備通貨として使用したくない国々に対して、トランプが制裁をちらつかせるのも当然だ。

2024年のBRICSサミットは、2024年10月22日から24日にかけて、ロシアのモスクワ東部に位置する美しい都市カザンで開催される予定だ。すでに、加盟申請を提出した多くの国がサミットへの参加を希望している。

BRICSはまた、イランがボーイング機を飛ばし続けるために海賊版部品を購入しなければならないといった米国の懲罰的かつ幼稚な制裁から各国を解放するだろう。また、トルコなどに、部品を代わりに購入してもらい、それをこっそりとイランに密輸してもらっていることからも解放するだろう。

ロシア、中国、ブラジルなどからBRICS諸国が利用できる素晴らしい長距離旅客機が存在する今こそ、世界はボーイングやエアバスから解放されるべき時である。世界は米国の覇権から解放される必要がある。

* マシボンゲ・シララは、独立系ライター、政治評論家、社会正義活動家。
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カザンで開催されるBRICSサミット:新たな世界的課題は何か?

<記事原文 寺島先生推薦>
BRICS Summit in Kazan: A New Global Agenda?
筆者:ミカテキソ・クバイ (Mikatekiso Kubayi)
出典:valdaiclub 2024年10月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月30日


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世界は重大な地政学上の変化に直面している。また、IMFが確認しているように、地政学上の同盟関係を反映した資金調達の流れの変化にも直面している。世界的な統治機構の制度設計の欠陥を是正するためにどのような世界的な改革が必要かについては、多くの議論がなされてきた。広範な研究により、多国間主義が国連憲章の目的を達成することだけでなく、その権限を履行することにも失敗していることが確認されている。本稿では、改革と発展に向けた議論と機運を、BRICS諸国などの取り組みと照らし合わせようとする。また、BRICS諸国がその目標を達成しようとする際に直面する世界的な状況を概説し、同諸国が新たな世界的課題を推進しているかどうかを考察する

BRICSと現代の世界の課題

2024年10月22日から24日にかけて、BRICSは国家元首および政府首脳によるサミットを開催する。このサミットは、国連総会(UNGA)による「未来のための協定(PFTF)」の採択に示されるように、多国間主義とその制度を改革しようという機運が急速に高まっている中で行なわれる。この協定は、世界的な改革と開発議題の正当性が認められたことを物語っている。たとえば国連改革などのように、改革がいつ、何を、どのように行なうべきかについては明確に規定されてはいない。しかし、議論と合意に基づく協力の場であり、G20の重要な構成要素でもあるBRICS諸国には、必要な改革を交渉し推進する責任と機会が与えられている。BRICS諸国は2009年、G20について「われわれは、金融危機への対応においてG20サミットが果たす中心的役割を強調する。G20は、国際経済および金融問題に関する協力、政策調整、政治対話を促進してきたのだ(2009年BRICS首脳会議声明)」と述べた。

金融危機の影響はまだ続く可能性がある;地球は依然として回復の途上だ。COVID-19のパンデミックも収束し、世界、特に発展途上国には過酷な遺産が残された。COVID-19の経済的影響は今後も続くのだろうか(21世紀のパンデミックからの予後。国際通貨基金)。 南部アフリカをはじめとする世界中の地域に対する気候変動の厳しい影響は、引き続き不穏な傾向を示している。世界は、世界的な課題を解決するために必要な世界的な連帯を維持するために戦っており、不平等などの問題を解決する国家の(非)能力はますます市民の信頼を失っている。「多発危機」は、世界的な議論の語彙の定期的な特徴であり続けている。変化する情勢の中での地政学的緊張もまた、今日の世界と多国間主義の複雑さを増しており、IMFは地政学的同盟に応じた資金の流れの動きの変化を確認している。

BRICSと多国間主義

ロシアはカザンでBRICSサミットも主催するが、そこにおいて多極化は国際関係(IR)の議論において常に焦点となり、新たな世界的な現実となるだろう。BRICS+の拡大に示されるように、BRICS諸国の改革と発展の課題に対する関心は高まっており、少なくとも40カ国が潜在的な新メンバーとして関心を示しており、23カ国が加盟を申請している。BRICSおよび新開発銀行への参加要件のひとつは、まず加盟することである。「加盟は、新開発銀行協定の規定に従い、国際連合加盟国に開放される。借入加盟国および非借入加盟国に開放されるだろう(新開発銀行協定、第2条)」。

BRICS諸国は、あらゆる種類の多国間主義において国連の中心性を基本的なものと位置づけている。BRICS諸国は、課題はあるものの、人類の利益のための行動において大きな連帯を達成する潜在的可能性を秘めた、世界的な協力のための主要な機関や手段を明確にしてきた。2009年のエカテリンブルク・サミットにおける首脳の共同声明では、国連について次のように述べている:

「われわれは、世界的な課題や脅威に対処するにあたり、国連が中心的な役割を果たす多国間外交に強い関与を表明する。この観点から、われわれは、今日の世界的課題にもっと効果的に対処できるよう、国連をさらに効率的なものにすることを目的とした国連の包括的改革の必要性を再確認する。われわれは、国際問題におけるインドとブラジルの地位を重視することを改めて表明し、国連においてもっと大きな役割を果たしたいという両国の希望を理解し、支持する(2009年BRICSサミット共同声明)」。

2023年のBRICSサミット宣言では、ブラジル、インド、南アフリカの名前を挙げ、国連安保理の常任理事国にすることを支持している。多国間主義における国連の中心性は、BRICSが16年にわたって存在してきた中で繰り返し確認されており、その加盟要件を通じて示されてきた。しかし、改革と発展の議題には国連組織も含まれており、多国間主義のために改革され、目的にかなった国連を求める意向が表明されている。現在も将来も同様である。

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関連記事:BRICS After Expansion by Dmitry Suslov

BRICSと経済協力

2023年の、効果的な多国間主義に関するハイレベル諮問委員会(HLAB)[実効的多国間主義に関するハイレベル諮問委員会 (HLAB)]。2023年。「人類と地球のための突破口:今日と未来のための効果的かつ包括的な世界統治」。国連大学。ニューヨーク] は、その多くの提言が2009年のBRICS設立の動機の中心となっており、世界経済発展が直面する課題を詳述している (HLAB、2023年) 。それは6つの変革を詳述しており、その中で世界的な金融構造の変化が重要な特徴となっている。BRICS諸国は、世界統治における改革と開発、民主化、代表性、公平性を追求する旅に、2009年、出立した。この目的のために、必要とされている改革を説得するために、他の世界が奮闘するとともにその勢いは加速されている。BRICSは第15回首脳会議で、財務相と中央銀行総裁に対し、追加的な決済システム(2023年BRICSヨハネスブルグ2宣言)の実現可能性を調査するよう指示した。

そのため、2024年のサミットには多くのことが期待されており、新たな決済システム、その規模、再開時期の発表の可能性に大きな期待が寄せられている。これは、ドル安、BRICS域内の貿易と協力の拡大、BRICS+拡大の利点に関する議論を考えると、その期待もうなずける。BRICSは、2008年の世界金融危機の際に浮上した多国間問題を中心に協力するとの見方もある。例えば、PradoやPrado and Hoffman (Prado, M。M.&Hoffman, S。J. (2019年)。『国際的な制度的迂回の約束と危険:新しい概念の定義と世界的統治へのその政策的含意』https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/20414005.2019.1686866
。Transnational Legal Theory, 10(3-4), 275-294.)は、BRICSなどの同盟を生み出した課題への対応策として、国際制度迂回(バイパス)の利用について調査している。クバイは、世界統治の目的に適った制度設計への改革を達成し、それを共同所有する受動的革命を達成するための、マルクス主義/グラムシ主義的な「陣地争奪戦」の概念を特定している。BRICS諸国を検証する際にどのような視点を用いるにせよ、発足から16年を経て、BRICS諸国は新開発銀行(NDB)という形で多国間開発銀行(MDB)を実現し、公式には新たな世界的決済システムの開発を進めている。

金融面でのこの2つの展開は、BRICSの介入の中でも最も顕著なものだ。BRICSシンクタンク評議会による長期的なステップと計画を提案する提言の発表など、「BRICS長期目標:ロードマップと経路(2017年)」の実現に向けた進展については、まだわからないことが多い。しかし、G20や国連、より広範な社会改革や開発に関する議論における活動も考慮すると、その総体的な取り組みはそれをはるかに超えるものとなる。特にグローバル・サウスにおける発展途上国に対する責任は常に注目されており、開発や貧困、不平等、その他の苦しみからの救済の緊急性を踏まえ、強い期待を持ってその動向が注視されている。

BRICS諸国は「新たな世界秩序」を追求しているのか

Zondiらは、BRICSの目的を達成するために、集団的な利点と強みを活用するために、BRICS内の協力を深めることを主張している。これは、特に人口と経済成長を利用しているZhongxiu や Qingxにも反映されている。これらの文書はいずれも、BRICSの強みを活用することを示唆している。BRICSの強みは、多国間主義(Stuekel、2013)において、特に開発途上国の利益のために大きな価値を持ち得る。より大きな世界的状況はよく知られており、集中的かつ広範に文書化されている。この状況に対する世界的な対応が注目を集め始めている。このことは、未来サミットに向けた機運やPFTF.99の採択後にも明らかである。

世界的な改革と発展の課題は昔から存在し、さまざまな場面でさまざまな形で現れてきた。例えば、1974年5月1日に国連で採択された宣言「新国際経済秩序」などである(www.unctad.org)。この取り組みは、他の取り組みと同様に、登場したかと思うとすぐに勢いを喪失した。しかし、70年代には、BRICS諸国の経済は現在ほど発展しておらず、先進的でもなく、冷戦とその後の時代において現在のような影響力も有していなかった。今日では、あたかもジム・オニールがBRICSの存在に責任を負っているかのように、2001年の論文「より良い経済的BRICsの構築」に関する論評が存在する。また、グローバル・サウスの台頭を語る人もいる。BRICS諸国を含む多くの人々は、それが新たな現実であり、世界的な統治の目的にかなった改革された制度構造に反映されるべきだと主張している。

すでに議論された内容を超えて、新たな世界的課題を定義する必要があるかもれない。しかし、確実に明らかなのは、多極化への移行であり、その基盤となるのは、現在の国際システムの不備と、発展途上国、不平等、その他の問題に苦しんできた世界人口の大多数が経験してきた苦悩の歴史である。おそらく多極化ともっと公平な世界統治システムへの移行こそが、2009年よりBRICSが主張してきた「新たな世界的課題」なのだろう。新たな決済システムの採用、NDBの拡大、その他のBRICS構想の成果は、新たな世界的課題、少なくともBRICS改革開発課題が何であるかを最も明確に示すものとなるだろう。

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関連記事: Russia’s BRICS Presidency: Life on the Eve of the Kazan Summit 15.10.2024
Viktoria Panova
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イベルメクチンをめぐる医療エリートたちの醜態

<記事原文 寺島先生推薦>
Medical Elites’ Disgrace Over Ivermectin
出典:BROWNSONE INTSITUTE 2024年5月11日
筆者:デイヴィッド・ゴートラー(David Gortler)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月29日


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FDA(U.S. Food and Drug Administration米国食品医薬品局)がイベルメクチンをむやみに攻撃的な中傷をしたとして起こされた訴訟の和解を受け、FDAはそれらの投稿を削除した。それは良いことだが、FDAがこの薬をいかに不当に表現し、その薬に有利な大量の証拠を無視し、その薬の支持者を危険な狂人として描いたかを忘れてはならない。

約30か月前、アメリカのFDAは、「COVIDの治療にイベルメクチンを服用すべきか? 答え:いいえ。」というような見出しの記事を掲載していた。また、FDAはアメリカ国民に、コロナウイルス感染症の予防にイベルメクチンを使用しないよう指示していた。さらに、悪名高い「馬のツイート」として知られるようになったツイートで、FDAはアメリカ国民に恩着せがましくこう告げた。「真面目な話、みんな。やめて」。

イベルメクチンやヒドロキシクロロキンのような代替治療を支持した処方医は、アメリカの「信頼できるジャーナリスト」によってオンラインで嘲笑され、「右派の陰謀」の一部としてレッテル貼りされ、「詐欺師」と呼ばれた。COVIDのmRNAやその他のビッグファーマ治療の話に黙って従わなかった人々は、発言を封じられ、解雇され、世界中で厳しく批判され、その示し合わせたような情報発信は成層圏まで深々と届いた。

多くの臨床医は、せいぜい職を失う程度で済んだ。最悪の場合は、評判、診療、財政、キャリアが台無しになった。それだけでも十分ひどいのに、職を失った後、州の医療関係および薬事関係の委員会は、他の適応外治療が薬局や医療行為のほぼ普遍的な要素となっているにもかかわらず、彼らの「適応外」コロナ治療を理由に、免許取り消しの法的措置に踏み切った。

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FDAが上記の通知を最初に投稿してから数日後、米国薬剤師協会(APhA)、米国医療システム薬剤師協会(ASHP)、米国医師会(AMA)の3団体が共同で、イベルメクチンをコロナ治療に処方した医師を非難する共同プレスリリースを発表した。しかし、これらの組織は一次文献データの独自分析を実際にやったわけではなく、FDA、CDC、NIH、その他の政府機関や大手製薬会社の「イベルメクチン使用に強く反対する」という主張を盲目的に繰り返しただけのようなのだ。

何世代にもわたって、特にCOVIDのパンデミックの間は、医療従事者はこれらの「エリート」医療グループに依存していた。中には、170年ほど前から存在し、1億5000万ドルから12億ドルの資産を持っている組織もあり、公表されたデータを客観的に検証するための歴史と人材、資金があったことは明らかだ。さらに、AMAはシカゴの超高層ビルを何階も所有しており、APhAのコンスティチューション通り*の「ランドマーク本部」は、結婚式場として宣伝され利用されるほど豪華だ。
*Constitution Avenueは、アメリカ合衆国のワシントンD.C.にある、主要な東西の通り。市の北西および北東の区画を通っている。

もちろん、その贅沢は、これらの組織がチェック機関として機能し、優れた臨床実践基準を確保することを期待する何百万人もの薬剤師、医師、支援者によって賄われていた。これらの「エリート」医療グループには、検証済みの科学的根拠を通じて人類の状態を改善するために、その歴史、責任、倫理的義務を尊重する義務がある。しかし、彼らは尊敬、快適さ、資金、権力という高い地位から、その義務を無視しているようだったのだ。

APhA、ASHP、AMAの臨床宣言は今や擁護できない:

3月22日、FDAは、1)訴訟が提起されたこと、2)処方箋による医療上の推奨だけでなく、COVID-19への使用を裏付ける公表データ(例えば下記参照)にさえも異議を唱える膨大な量のデータを前にして、自分たちを弁明しなければならないという不可能な任務を負うことになったため、やむなく、反イベルメクチンに関する投稿を削除することに同意した。

それがなくなると、APhA、ASHP、AMAの主張は突然、拠り所を失う。

プレスリリースに掲載されていたFDA(米国食品医薬品局)以外のリンクも(驚くことではないが)説明もなくひっそりと消えている。NIH(アメリカ国立衛生研究所)への参照サイトは、すでに機能していない複数のFDAおよびCDC(疾病予防管理センター)リンクに加えて、閉鎖される予定である。

イベルメクチンの作用機序、その歴史および証拠:

イベルメクチンの広範な抗ウイルス作用機序は複雑であり、部分的にはウイルスタンパク質の取り込みを阻害することが関与している可能性があるが、結論としては、COVID-19に関する様々な公表された結果では、良好な結果が得られることが示されている。もしAPhA、ASHP、AMAの薬剤師および医師が、現在は削除されている他者の話を単にオウム返しにするのではなく、(派手な本部を持たない、一介の薬物安全アナリストである私がやったように) 独立してデータを調査していれば、イベルメクチンが抗ウイルス薬として作用することを学んだであろう。

それは単に安全であるだけでなく、様々なウイルス性疾患に対して驚くほど安全であることが広く証明された実績がある。これは破壊的な科学でも末端の科学でもない、何年も前から知られていたものだ。イベルメクチンは、2015年に60年ぶりにノーベル賞を受賞した感染症治療薬となったほど、安全で有効な薬だ。

私の手元には、使い古されて、食べ物や飲み物で汚れた電子ファイルや印刷物が山のようにある。一方、頭脳明晰でウェブに精通した科学者たちが設計した、非常に格調高く紹介されたメタ分析ウェブサイトもある。そこには、1000人以上の科学者による100件以上の研究が詳述されており、29カ国の14万人以上の患者を対象に、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 治療におけるイベルメクチンの有用性と安全性が説明されている。実際には、コクランの古いイベルメクチンのレビュー(https://archive.md/tR6kt)よりも広範囲に及ぶようである。コクランのレビューは14件の試験のみを調査し、そのうち7件を検討対象から除外している。
*医療上の意思決定に必要な良質なエビデンスの提供をめざす国際的なプロジェクトであるコクラン(Cochrane) が提供するデータベース。Evidence-Based Medicine(EBM:科学的な根拠に基づく医療)という考え方に基づき,治療や予防のエビデンスとなる情報を探すデータベースとして提供されている。コクランレビューは随時更新。(群馬大学総合情報メディアセンター)

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これらのデータは、臨床現場での知見と小規模な観察研究を含む小規模な国際的発表で構成されており、上の画像に詳述されているように、イベルメクチンはCOVID-19リスクを統計的に有意に低下させることを示している。

治療が遅れた場合/ウイルス除去/入院といったデータ群に関連するあまり好ましい結果が出なかったものは、投与が遅れたことと関連している。 それは、口唇ヘルペス、インフルエンザ、エイズ、コロナウイルス感染症(COVID-19)のいずれであっても、何億回ものウイルス複製が起こった後の抗ウイルス薬の使用は、どんな場合でも効果が期待できない傾向にあるためである。

ASHP、APhA、AMAのプレスリリースは利用可能なデータと臨床診療基準に矛盾する:

2021年4月25日にFDAがCOVID-19に対してイベルメクチンを使用しないように米国人に警告したとき、その潜在効果を示す43の論文が発表されていた。それから約3カ月後の8月21日、FDAは、イベルメクチンが人間ではなく動物用であることをほのめかす、悪名高い「馬/牛ツイート」を公開した。この「倍返し」は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のさらなる効果を詳述した20件の研究がその後に書かれたときに起こった。以下のタイムラインを参照のこと。

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上の図では、青い円はイベルメクチンの試験結果が陽性であった研究、赤い円は陰性であった研究を示している。陰性データも存在するが、メタ分析データによると、イベルメクチンの陽性結果は、研究および研究規模(円の大きさで示す)の両方において、陰性結果を上回っている。c19ivm.org.

複数のAPhA/ASHP/AMA声明は、公表された科学的および臨床的証拠を無視した。具体的には、「COVID-19の予防と治療のためのイベルメクチンの使用は患者に有害であることが証明されている」と宣言する記述は客観的に不正確である。私はその発言がどのような根拠でなされたのか知らない。「・・・COVID-19の治療薬としてイベルメクチンを使用しないよう患者に助言する。イベルメクチンに潜在的な毒性作用があること強調しなければならない」という医療従事者への勧告は、薬剤師および医師の業務基準からの逸脱を意味する。

後者の主張の不合理性は、まったくもって言語道断だ。薬剤師や医師は、すべての薬には「潜在的な毒性」があることを知っている。そのため、処方されたあらゆる薬について議論する際に「潜在的な毒性を強調する」という基準を適用した場合、患者の誰もが薬を一切服用しなくなるだろう。イベルメクチンに対する APhA/ASHP/AMA の差別的敵意は、臨床的に正当化できない無責任なものであっただけでなく、私の知る限り前例のないものであった。

これらの反イベルメクチンの論点は、パキロビド*とレムデシビル**のように、新しい大手製薬会社の製品の進歩にも利益をもたらした。それらは、再復活し、高価格で、税金で賄われた多大な無駄遣いであった。このような 「安全で効果的な」 薬のために、病院は、看護師、医師、および病院管理者に、連邦政府が支払う全病院費の20%という驚異的な 「ボーナス」を使って使用を促進するように、強力な報奨金 (つまり賄賂) を与えなければならなかった。レムデシビルは、その臨床的有用性に深刻な疑問があることから、米国の最前線の看護師などから「死が近い」という皮肉なあだ名をつけられた。
*Paxlovid(パキロビッド)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に使用される飲み薬。主に高齢者や持病を持つ人など、重症化リスクが高い軽症患者に処方される。
**レムデシビルは、エボラウイルスやマールブルグウイルス、MERSウイルス、SARSウイルスを含むいくつかのウイルスに対して用いられる抗ウイルス薬で、主にCOVID-19の重症患者に対しても使用されている。


イベルメクチンに反対する連邦政府機関や専門機関の主張が、独立した独自のAPhA/ASHP/AMAデータ調査によって裏付けられなかったのはなぜか。この問題は、これらのグループ内の潜在的な規制の虜*に関して徹底的に調査される必要がある。
*規制の虜とは、規制機関が被規制側の勢力に実質的に支配されてしまうような状況。

当時も今も、FDAのウェブページ、投稿、ツイートは偏っているだけではない。彼らは無責任にイベルメクチンを承認外の治療薬として中傷したので、今では消されてしまった。

問題は、どちらがより悪質だったかということだ。FDAが医療に関する勧告を出すだけでなく、データを無視した勧告を出したことは、FDA全体会の承認を得ていないことの問題なのか、それとも、その説を熱狂的に繰り返す卑屈な「独立した」エリート専門機関がより悪質なのか?

先見の明があるかどうかは別として、以下はCOVID特別下院監視委員会に対する専門家パネル議会証言の抜粋である。そこでは、自動車のたとえを用いたFDAのイベルメクチンへの中傷とmRNA注射の促進について説明している。それは、FDAがイベルメクチンを中傷する投稿の削除を求めた医師の訴訟に屈する、わずか1日前のことだった。



FDAとの和解と豊富なデータにもかかわらず、マスコミは依然としてイベルメクチンに反対している

FDAの方針転換の後でさえ、2024年3月26日にLos Angeles Timesのあるジャーナリストはコラムを掲載し、FDAによるツイートの削除を「根拠がない」と呼び、イベルメクチンは依然として「COVID-19に対して役に立たないことが最終的に示されている」と一方的に宣言した。イベルメクチンを「蛇の油」になぞらえ、イベルメクチンを支持する人々を「役に立たないが儲かる鼻薬の提供者」と表現した・・・それが何を意味するかはわからないが。(「儲かる」という主張に関しては、イベルメクチンはジェネリックで安価に入手できるため、誰にとっても「儲かる」わけではないことは押さえておかなければならない) 。また、上記の引用データが十分に確認しているにもかかわらず、イベルメクチンには「科学的確証」がないとこのLos Angeles Timesのジャーナリストは書いている。

イベルメクチンを中傷する訴訟の和解というFDAの選択について、FDAの医薬品評価研究センターの指導層は、Los Angeles Timesが言うように「自らの足を撃つ(墓穴を掘る)」ことはしていない。FDAは間接的に、さらなる恥をかかないようにしようとしているように思われる。それは、FDAが今になって、イベルメクチンについて自分たちが主張してきたことは、間違いであり時代遅れであることに、日を重ねるに従って、気づいたからだろう。しかし、これらのプレスリリースで削除されたFDAのリンクを大きく頼りにしていたAPhA、ASHP、AMAは、どうなるのだろうか?

FDAのプレスリリース掲載削除に対するAPhA、ASHP、AMAの対応は? 恥ずかしい沈黙:

それから1カ月以上が経ち、この記事が公開された時点で、これらの組織はいずれも、今は削除されたFDAの記事やツイートを引用した以前のプレスリリースについて一言も述べていない。実際、何も述べないことで、逆に、彼らが何を心配しているかを語っているのだ。FDAがイベルメクチンに関する掲示を削除することを黙認してから1週間後、APhAの新たに選出された議長で薬剤師のメアリー・クラインは、ミッキーマウスの耳をつけて「ハッピーダンス」をして、公式の議長受任スピーチをしている。ASHP (A/K/A“#MedicationExperts”) の公式ページには、パンデミックが1年以上前に終息したにもかかわらず、効果のない不必要なサージカルマスク(医療従事者用のマスク)を着用している臨床医が掲載されており、コクレインのレビューでは、この種のマスクはほぼ確実に効果がないことが示されている。AMAの関係者は、トランスジェンダーの問題について複数の投稿を行い、気候変動を公衆衛生上の危機と宣言しているが、イベルメクチンに関する影響力のある、正しくない、不適切な発言については完全に無視だ。

以下の画像参照:
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APhA、ASHP、AMAは、この話題については一切沈黙を貫いており、その一方で、それ以外のニュースには注目している。今日に至るまで、彼らのプレスリリースはオンライン上に残っており、政府機関へのリンクの多くが機能していない。削除されたウェブページを指し示す誤った主張を盲目的に支持した結果、彼らは今、イベルメクチンの宣言において孤立無援の状態にある。

結論:イベルメクチンは過去も現在も安全であり、医療監督下で適切なタイミング用量で投与された場合、コロナウイルスに高い効果を発揮する可能性が高い。実際、イベルメクチンの一般的な抗ウイルス作用は、動物や人間における鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ)にも役立つ可能性がある。新手の、ブースター接種を延々と繰り返す、有害事象の多い「超特急」mRNA「ワクチン」の出番はない。

イベルメクチンに関する過去および現在の記録を正す必要がある。私たちは、公表データの誤った表現について責任を負うべき人物の重要な(しかし不透明な)リストがあることを知っているが、誰かが説明責任を負うことになるのだろうか?

免責事項:薬の服用を中止したり、新たに薬を飲み始めたりする場合は、必ず、信頼のおける薬剤師または医師に相談してください。
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ジェフリー・サックス「米国は世界平和への脅威だ」(アンドリュー・P・ナポリターノによるインタビュー) 映像と文字起こし

<記事原文 寺島先生推薦>
The Biden Regime Has Just Issued a Very Suspicious Directive Permitting Military Intervention in US Domestic Affairs
筆者:ジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)そしてアンドリュー・P・ナポリターノ(Andrew P. Napolitano)
出典:PEARLS AND IRRITATIONS 2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月26日


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ジェフリー・サックスは、米国こそが平和の最大の障害であると述べています。国連でのインタビューで、彼は次のように語りました。「今日、この場所には多くの苛立ちがあります。世界の指導者たちがここに集まっているのに、誰もが平和を訴えているのに、平和が訪れず、外交が成功しないからです。(バイデン)政権は戦争マシーンをどう抑制すればよいのか分かっていません。ゼレンスキーは米国を第三次世界大戦に引きずり込むために米国を訪れるのです」。




<映像と文字起こし>

アンドリュー・ナポリターノ(以下ナポリターノ):皆さんこんにちは、アンドリュー・ナポリターノです。今日は2024年9月24日火曜日です。私たちの親愛なる友人であるジェフリー・サックス教授にお越しいただいています。サックス教授、いつもありがとうございます。あなたは国連から参加しています。あなたのキャリアを通していつもそうなのですが、あなたは現在重大な出来事の岐路にいます。米国大統領は今朝国連総会に出席していました。ゼレンスキー大統領はニューヨーク市内にいます。ネタニヤフ首相が木曜日か金曜日に現れるか現れないかはわかりません。いろいろな情報が飛び交っています。国連は世界の平和のための効果的な手段なのか、それともアメリカの覇権と強硬姿勢、それへのイギリスの服従、そして安全保障理事会での拒否権によって国連は効果的な組織ではなくなっているのですか?

ジェフリー・サックス(以下サックス):そうですね、拒否権がここで重要なポイントとなります。ここは世界の集まる場所です。私は首脳たちの討論の初日、ここにいます。バイデン大統領が演説し、エルドアン大統領が演説し、ヨルダンの国王が演説し、ルーラ大統領が演説しました。世界のリーダーたちがここに集まり、会議を行なっているのです。ここ数日でいくつかの重要な決議がなされました。その一つは、国際司法裁判所の決定に従い、イスラエルのパレスチナ占領は違法であるという決議が下され、その後、総会はイスラエルがそれらの土地から撤退しなければならないという具体的な措置を採択しました。しかし、もちろんこれは、米国やその他の大国が反対すれば強制力はありません。ですから、今日この場には世界の指導者が集まっているにもかかわらず、誰もが平和を求めているのに平和が訪れず、外交が成功していないことに、多くの苛立ちがあります。これが現実です。残念ながら、米国は中東の平和にとって大きな障害となってきました。例えば、今日もバイデン大統領をはじめ誰もが、イスラエルとパレスチナ国家の二国家共存が必要だと述べていますが、パレスチナ国家が国連に194番目の加盟国として加盟しようとした際には、米国だけが拒否権を行使しました。米国が平和の障害となっているのです。それが今の厳しい現実であり、とても恐ろしい時代になっています。イスラエルによるベイルートを含むレバノンへの大規模な爆撃、これまで爆撃されたことのない沿岸地域への爆撃、レバノンの数千人の人々やイスラエルの爆弾から命からがら逃げてきた民間人を含む今日のさらなる爆撃により、中東での戦争は明らかにこの二日間で著しく拡大しました。差し迫った地上侵攻の可能性は存在するが、それは確実ではなく、またウクライナでの戦争はさらなるエスカレートの脅威につながり続けています。ゼレンスキーは米国を第三次世界大戦に引きずり込もうとしています。それ以外の何物でもないと思うし、それは彼がどんな悲劇的理由、不条理な理由をこじつけでもやろうとしていることです。それは通常の意味での理由にはなっていません。そこが私たちに突きつけられた真の問題です。指導者たちはここにいます。誰もが平和について語ります。それでいて平和は起こりません。

ナポリターノ:バイデン大統領は、欧米やNATOの対ロシア戦争を擁護したり、イスラエルとパレスチナの二国家解決の必要性を主張したりしましたが、どのように受け止められましたか?

サックス:彼が二国家解決策と言ったとき、議場全体から拍手が起こりました。基本的にその点については意見が一致していますが、実際にはイスラエルが拒否しています。これは国際法上、イスラエルに認められた権利ではなく、パレスチナ人の権利を拒否する権利はイスラエルにはありません。これはICJも言ったことです。ですから、これは基本的に満場一致で拍手が起こりましたが、実際には米国はイスラエルを単に武装させ、二国家解決策の実現を妨げています。これが最も基本的な点です。イスラエル政府は、極端で暴力的な政府であり、二国家解決策を望んでいません。米国は、「お望みなら何でも言ってみなさい、ただ請求書を送り続けてください、私たちはお金と爆弾を送り続けます」とイスラエルに言っています。それが真相です。バイデンが基本的に役に立たない言葉でウクライナの防衛について話したのは、戦争の継続やエスカレーションを言っているだけでした。それに対して議場の半分は拍手を送ったと思います。拍手はありました。しかし、それは全く違うものでした。それに関して世界は分断されており、何が起こっているのかについての視点はてんでんばらばらです。もちろん、私自身の見解では、バイデンが言わなかったこと、つまりNATOは拡大しない、米国はロシアの安全保障上の利益を尊重する、したがってロシアはウクライナの安全保障上の利益を尊重しなければならない、ということをもし彼が口にすれば、この戦争は今日にでも終わります。この戦争は、私や、ジョン・ミアシャイマー、そしてあなたの対談者やゲストの多くの見解では、大筋としては米国がロシアを転覆させるだけだと考えて非常に浅はかに選んだ戦争です。米国はロシア国境を含む世界中に軍事同盟を拡大し続けることを望んだが、ロシアがノーと言ったので、そうならない、ということです。

ナポリターノ:バイデン大統領が国防省から現実を突きつけられ、どうやら先入観からの決断を変更し、ウクライナに英米の長距離ミサイルを使用してロシアの奥深くを攻撃する許可を与えるという決定に言及したことに驚きましたか?プーチン大統領とラブロフ外相の明瞭かつ明確な声明が真剣に受け止められたようです。国防省は、ネオコンや国務省との対立が一定程度あり、「大統領閣下、我々はまだ準備ができていません」と述べたようです。そして、キア・スターマー英首相を困惑させたものの、バイデンはしぶしぶ考えを変えたようです。ジェフ、これについて何か驚くようなことはありましたか?

サックス: まあ、それは非常に大きな安心材料でした。なぜなら、ロシアの声明は非常に明確で、真剣に受け止められるべきものであり、それはつまり、核戦争への拡大を回避しなければならないということです。これは地球上で最も重要な事実であり、ロシアや中国、あるいはその他の国々が、それが私たちにとってのレッドラインであると述べた場合には、それを無視せず、耳を傾けなければなりません。なぜなら、それは私たちの安全保障を脅かすからです。そして、わが国のCIA長官のような人物たちが、恥ずべきことに、「ああ、心配いらない」と言います。CIA長官にはだれよりも情報が多く集まります。それは絶対にそうなのです。つまり、少なくとも現時点では、米国は、ウクライナがロシアの奥深くまでミサイル攻撃を行なうことを可能にする、本質的には米国の技術である追跡システムなどの使用には同意しないと表明しているようです。私たちは皆、安堵のため息をつき、バイデンやその周辺にいる人物、あるいは実際にこれらの決定を下す人物が、私たちがポーカーゲームでハッタリを言って遊んでいるのではなく、世界の存亡について語っていることを理解してくれるようただ祈るしかありません。そして、相手国(ロシア)が核超大国であり、完全に理解できる理由で、「わが国の領土の奥深くまで攻撃してはならない。なぜなら、それは劇的な拡大であり、米国とロシアの直接的な戦争になるし、その相手国は米国しかない」と主張している場合、私たちはそれをほんとうに真剣に考えてみるべきです。

ナポリターノ:同時に、サックス教授、米国はフィリピンと台湾に軍事装備を送り込んでいます。まずフィリピンについてお聞きします。一体なぜ、中国を挑発する以外の理由で、アメリカはフィリピンにミサイルを送っているのでしょうか?

サックス:米国が中国との戦争に向けてどれほど本気で軍備増強を行なっているのか、押さえておきましょう。2027年までに中国と戦争するという文書がありました。このような話は、まったく信じられないほど危険です。外交努力をすべきであり、南シナ海の問題を解決すべきです。中国は、自国の食料やエネルギーを運ぶ海上交通路に米国が封鎖線を敷くことを望んでいません。そして、私たちは、ここに「狭隘路」があること、米海軍が中国を締め出すことができること、そして2027年までに戦争に備えていることを話題にします。これは一種の狂気です。ええ、将軍や提督たちが戦争ゲームを行なうのは彼らの仕事ですから、それは理解できます。しかし、米国政府がこんな話を許してもらっては困るのです。なぜなら、私たちの仕事は、アメリカ国民と世界のために平和と安全を確保し、核戦争を回避することだからです。そして、私たちは、現時点で、やるべきことをやっていません。もちろん、この点において、私たちは常に及び腰の政権を持っています。戦争マシーンをどう抑制すればいいのかわからない政権です。大統領自身は政治キャリアの終わりにあり、政権の終わりにいます。大統領自身から話を聞くことはまれです。今日、演壇上のテレプロンプターから読み上げた彼のスピーチを聞きました。が、それを除くと戦争に関する話題ばかりです。まったく無謀で危険です。そして「心配するな、私たちは脅しには屈しない」などという言葉を耳にするたびに、それがいかに無責任な発言であるかを理解してください。ポーカーゲームでもリスクゲームでもないのです。私たちは、お互いの直接的な近隣地域に踏み込まないようにして、偶発的、意図的、先制的な核戦争を誘発しないようにしなければならないのです。

ナポリターノ:なぜアメリカは南シナ海に艦隊を置いているのでしょうか? もし中国がカリブ海やニュージャージー沖に艦隊を配置したらどうなるでしょうか?

サックス: ええ、そうですね。かつて、ロシア(正確に言えば、1962年のソビエト連邦ですが)がキューバにそのような基地を建設すると決定した際には、非常に鮮明な形でこの問題を経験しました。米国はこれを決して受け入れないと表明し、それを阻止するための世界大戦に備えたのですから、これは世界史上最も緊迫した日々でした。もしあなたが説明したように、私たちのやり方に沿って物事が進められた場合、私たちがどう反応するかを10秒間でも考えられないとは、今のアメリカの指導者たちの精神状態はどうなっているのか、私にはわかりません。中国やロシアが「リオ・グランデ川にメキシコと軍事基地を置くか、あるいはキューバに軍事基地を置くという考えを復活させる」と言ったらどうでしょうか。アメリカ人は「いいだろう、それで結構だ」と言うでしょうか? あるいは、私たちがそれを好ましくないと述べ、中国が「それは開かれた世界だ。あなたには関係ない」と言った場合、私たちは「いいか、それは根本的に私たちの問題になる」と言うでしょう。さて、ナポリターノさん、ロシアがウクライナとの2,100キロの国境にミサイルと軍事基地を置かないでほしいと言ったら、アメリカが何と言うかわかりますか?「あなたには関係のないことだ。ウクライナと私たちだけの問題だ」と真顔で言うのです。つまり、彼らは物事を、徹頭徹尾、斜に構えて考える人間たちであり、核戦争のリスクを覚悟しているか、あるいは、相手側の気持ちについて少し考えることすらできないのです。そして、彼らは私たちを守ることができていません。これは最も基本的な点であり、世界で最も重要な点は、核超大国間に少しの余裕があることです(それがあるべきです)。米国は台湾防衛や台湾への武器供与に熱狂しています。台湾向けに新たに数億ドル規模のパッケージが用意され、今まさに数十億ドルが投入されようとしています。そして、これはすべて正常なことだと受け止められています。私が言ったように、中国がメキシコに武器供与を始めたらどうなるか、想像もできないのです。カリブ海のある国の上級外交官は、中国がこの島に病院を建設するのを支援したいと言っていたのに、米国がそれを拒否したので、非常に動揺し、懸念していると私に言いました。そして、この国は私の意見を聞き、「病院を誘致するのは安全ですか、そんなことをするのは賢明なのでしょうか?」と私に言っただけです。今の私たちの話題は、中国の周縁部、中国のシーレーンの至る所にある軍事基地についてであり、それについてなぜ中国は憤慨するのか?と私たちは言うのです。話題は台湾に大規模な軍備を送ることについてです。それについてなぜ中国は憤慨するのか、と私たちは考えるのです。私たちの国と政府が何の理由もなく私たちを危険に陥れていることは信じられないほどです。

ナポリターノ:中国が望んでいるのは米国との商業パートナーになることだけであるのに、なぜバイデン政権は中国が米国史上最大の脅威であると考えるのでしょうか?

サックス:そうですね、なぜなら、米国には誰もが認めるナンバーワンでなければならないという一種の強迫観念があるからです。それがこの問題の要点です。

ナポリターノ:どこでも、中国の裏庭でさえ、覇権を握らなければならない、ということですね。

サックス: 国防省の用語を借りれば、世界のあらゆる地域で優位に立つこと、つまり完全な支配力を握らなければならないというのが、文字どおり米国の教義なのです。東アジア、南アジア、中央アジア、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、カリブ海地域など、あらゆる地域です。それが米国の教義であり、世界で文句のつけようのない強国でなければ安全を確保できないかのようなのです。そして、世界の他の国々は、他国を支配することなく生活しているのに、米国だけは「他国を支配しなければ安全を確保できない」というのです。しかし、明らかにこれは矛盾しています。もし私たちが「われわれはどこでも優勢だ」と言うのであれば、私たちがしていることは、世界中の国々を脅かすことになります。米国が「君たちは大きすぎる。君たちはわれわれの脅威であり、敵だ」と言うほどに大きくなった国を、私たちは脅かしているのです。そして、これが私たちの行動様式なのです。実際には平和を受け入れることはできず、他国の従属を受け入れることしかできません。まるで、ナンバーワンで、誰にも負けない存在であり、ナンバーワンとして認められることが目標であるかのように。ちなみに、これはまさにイスラエルの状況を縮図で表しています。イスラエルは近隣諸国と平和的に共存しようとしているのではなく、近隣諸国を叩き潰そうとしているのです。「われわれは地域大国であり、核兵器も持っている。われわれはあなた方を打ち負かすことも、爆撃することも、指導者を暗殺することもできる。われわれはやりたい放題だ。あなた方はわれわれを恐れるべきなのだ」。そして、イスラエルをこれほどまでにいらだたせるのは、相手がイスラエルを恐れていないことです。相手はイスラエルに戦いを挑んでいます。イスラエルが望んでいるのは平和ではなく、支配であり、恐れられることです。そして、米国は世界規模でそのように行動しています。私たちの軍事ネットワークを見てください。世界で、これほど多くの国々に海外軍事基地を持つ国が他にありますか? 何千億ドルもの資金を、他にやるべきことがないかのように費やしているのです。それに近いのは、私たちの師であり、指導者であり、世界覇権の野望の先駆者であった大英帝国だけです。それが彼らにもたらしたものを見てください。安全への最善の方法ではなかったのです。

ナポリターノ:国防省は、さらに4,000人の兵士を中東に移動させるよう命じました。サックス教授は、ヒズボラとイスラエルの間で、米国が関与することについて、どのような展開を予想されますか?

サックス:アメリカ大統領の主な仕事は、戦争マシーンを止めることです。どんな将軍に聞いても、「戦火の拡大です。大統領閣下、アメリカは勝てます、支配できます」という答えが返ってくるのです。それが彼らの仕事ですが、私たちにはまったく異なる仕事をする外交官がいるはずです。残念ながら、私たちは今、外交的側面が非常に弱く、ほとんど存在しません。戦争マシーンが支配しています。米国の大統領は、これを制御するのに十分な強さを持っていません。そのため、2つの地域で激しい戦争が起こっています。おそらく、可能性が高いとは言いませんが、第3の地域では、私たちは張り切っています。そう、私たちはより多くの軍隊を送り、戦争は拡大しています。イスラエルは私たちを手玉に取り、特に選挙前にはネタニヤフにノーと言えないようです。誰もが恐れているか、お金を求めているか、イスラエルがいま犯している略奪が何であれ、(百パーセントどころか)千パーセントそれに賛成している、と見られないことを恐れています。これがこの政権の弱点なんですね。

ナポリターノ: ここにバイデンが国連総会で演説をしている動画があります。そこでバイデン大統領は、だれもが同意するようなことを言っています。ウクライナとロシアの情勢について、そんなことはとんでもない意見だと言っているのですよね。この動画を見る前に、あなたは、国連へ何回も往復していますが、ネタニヤフが戦争犯罪で正式に起訴されるかどうかについて、何かヒントや噂、信頼できる情報を得ましたか?

サックス:言葉としてはなにもありません。しかし、パレスチナ国家が本当に平和への道となるための動きを私は多く見聞きしています。なぜなら、米国を差し置いて、多くの外交的動きがあるからです。今こそ平和への道が必要とされているのです。誰もが、全世界が解決策を明確に理解し、米国が最終的に戦争を推進することを止め、実際に平和の側に立つことを期待し、そうなるだろうと推測しています。

ナポリターノ:モサド(イスラエル政府情報機関)が、レバノンの人々のトランシーバーやポケベルに爆発物を使用し、3,000人の負傷者と数百人の死者を出した戦争犯罪を犯したのでしょうか?

サックス:それに疑う余地はありません。このようなケースを想定した国連の不発弾禁止条約があります。これはテロ攻撃です。どうやら、主にこのポケベルを使用しているヒズボラの民間人職員に対する攻撃だったようで、これまで言われてきたような軍部に対する攻撃ではなかったようです。それが事実かどうかはわかりませんが、私が聞いたところではそういうことです。ところで、その負傷がどのように起こったのか、人々は理解しておくべきでしょう。ポケットベルが鳴り、人々はポケットベルを覗き込み、そして目玉が吹き飛ばされたのです。これが主な負傷原因のひとつです。人々がポケットベルを覗き込んだために、ポケットベルが爆発し、視力を失いました。被害者は女性、子供、市場の人々、医療従事者、仕事をしている人々などです。これはテロ攻撃であり、その方法から考えて、CIAが直接関与していたか、あるいは、すべてを知っていたことはほぼ確実です。これは国際法違反であるだけでなく、仕掛け爆弾に関する明確な国際法に違反しており、紛れもないテロ攻撃でした。また、これは、私たちのサプライチェーンが西側の諜報機関によって完全に買収されていることを示すものです。イスラエルがやっていること、アメリカがやっていること、私たちは中国を非難していますが、このような不正行為を行なっているのは私たちであり、イスラエルは責任を問われるべきです。

ナポリターノ:私たちはイスラエル国防軍に資金援助していることを知っているのでしょうか? モサドにも資金援助しているのでしょうか? そして、アメリカのCIAや、これらの資金を調達する者が、罪のない民間人の目を潰すというこのジェノサイド的行為に関与しているという主張はあるのでしょうか?

サックス:いいですか、イスラエルが何をするにしても、私たちは関与しています。直接的か、すべての段階に関与しているか、は別として、私たちはすべての活動の資金調達に関与していますし、毎日すべての活動の遂行に関与しています。私たちが提供した武器が使われ、資金は私たちが提供し、情報は共有され、CIAとモサドの関係はとても緊密です。そして過去においては、両国の関係は密だったので、有能なアメリカ大統領が、時に「ダメだ、やめろ、そんなことはできない」と言った時代もありました。1956年にイスラエル、イギリス、フランスがスエズ運河を軍事的に占領することを決定した際には、アイゼンハワーが彼らに「絶対にダメだ、やめろ」と言いました。また、他にも強い大統領がイスラエルに「やめろ」と言った例があります。実際、そうすることがアメリカ大統領の仕事なのです。なぜなら、戦争マシーンに1兆ドルも投資していると、信じてください、それは常に動いており、将軍たち、そしてアメリカの同盟国は常にすばらしいアイデアを持っています。理由としては「そんなことは私のためにならないし、私たちの安全に役立ない」です。しかしウクライナやイスラエルなどはその1兆ドルの戦争マシーンを利用したいと思っています。そして私たちには、「第三次世界大戦なんか心配しなくていい」と言います。それは本当に信じられないことです。」

ナポリターノ:ロシア・ウクライナとイスラエル対近隣諸国のどちらが先に爆発すると思いますか?「先に爆発する」というのは、どちらが先にアメリカを引きずり込むか、ということです。


サックス:もちろん、どちらも完全に壊滅的な結果をもたらすでしょう。イスラエルは、私たちがイランと戦争することを望んでいます。イランは、もちろん、ロシアと非常に緊密な安全保障協定を結んでいます。それは第三次世界大戦への道です。ゼレンスキーはそれを隠そうともしません。彼はNATOが直接戦争に関与することを望んでいます。それは第三次世界大戦です。お好きな方を選んでください。そして、イスラエルもウクライナも無責任です。なぜなら、両国とも米国の戦争マシーンを手中に収めていると考えているからです。繰り返しになりますが、米国大統領には、「申し訳ないが、そうはさせない、私たちには安全保障上の利害があり、第三次世界大戦に巻き込まれたくない」と言うべき立場にあります。ところで、バイデン大統領が弱々しくもそう言おうとしていることが感じられます。そうなんです。「われわれのミサイルシステムと技術を使ってロシアの深部を攻撃するな! 原子力発電所を攻撃するな!」と彼は言っているのでしょう。また、最近の報道で言われているように、イスラエルに対しては、「ヒズボラとの戦争に巻き込まれるな!」と言っているのかもしれません。しかし、それはうまくいっているのでしょうか? うまくいっていません。アメリカの大統領職の有効性が問題なのです。対ロビー活動、あるいは軍事産業複合体やイスラエルロビー、さらにはどこまでも愚かで無知なアメリカ議会の議員との関係です。議員たちは軍産複合体やイスラエルから賄賂をもらっています。どこだっていいのです。戦争マシーンを自分たちの目先の利益のために使おうとするロビーでもかまいません。信じてください、今こそ大人たちが行動する時です。神が助けてくれることを願います。そしてどこかにそういう大人がいることを切に願っています。

ナポリターノ:ここに動画があります。あなたもお聴きになっていると思います。国連総会でバイデン大統領が述べた内容の一部です。(ここで動画が映される)「バイデン:私の指示により、アメリカは大量の安全保障と経済・人道支援に一歩足を踏み出しました。また、NATOの同盟国やパートナー、50カ国以上も支援に立ち上がりましたが、何よりも重要なのは、ウクライナ国民が立ち上がったことです。私はこの議場の皆さんに、彼らのために立ち上がるようお願いします。よいニュースは、プーチンの戦争が失敗し、彼の主な目的も達成されなかったということです。彼はウクライナを破壊しようとしましたが、ウクライナは依然として自由です。」 プーチンが失敗したという主張を今も続けているのは、少しおかしいと思いませんか?

サックス:まあ、それはただの嘘、虚偽の陳述、歴史の誤った表現の束です。バイデン大統領は、副大統領だった2014年にウクライナ政府の転覆に関与し、それが戦争の始まりでした。もちろん、彼らはその話をしたがらない。プーチンの戦争が失敗したという考えや、プーチンがウクライナを乗っ取ろうとしたという考えは、米国政府のプロパガンダ以上のものに耳を傾ける人にとっては絶対にばかげたものです。プーチンが望んだのは、NATOが拡大してウクライナを認めないことと、ウクライナが、民族的にロシアの地域の自治のためにウクライナとウクライナ東部の地域との間で交渉されたミンスク2合意を尊重することです。これらはプーチンの二つの要求であり、2022年3月に合意され、その後米国は合意をとりやめました。バイデン大統領が言ったことは真実ではありません。それは、私たちを核戦争に近づけている戦争を可能にした誤った表現です。私たちは真実を知り、歴史を理解し、安全のためにはこの戦争をどのように終わらせる必要があるのかを理解する必要があります。

ナポリターノ:ゼレンスキー大統領の発言は聞かれますか?

サックス:私は議場にいて、代表団と会っています。ですから、もし彼が発言する機会があれば、彼の意見を聞くことになるでしょう。

ナポリターノ:サックス教授、たいへんありがとうございます。教授のスケジュールは非常に多忙であることは存じておりますが、今週は特に忙しい週です。唯一の救いは、教授が夜には家に帰れることです。ほんとうにありがとうございました。

サックス:そうですね、毎週皆さんとお会いできるのは素晴らしいことですし、こういったことを話し合うのに、今日のような時宜を得た日にお会いできるのはとてもありがたいことです。
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ギルバード・ドクトロウ:現在のイスラエルを牽引しているのは米国であり、その逆ではない。米国は自分の手を汚さず中東支配を目論んでいるのだ。

<記事原文 寺島先生推薦>
A debate with John Mearsheimer about the US-Israeli relationship via ‘Judging Freedom’
出典:ギルバート・ドクトロウ氏自身のブログ 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月24日


昨日の午後、2週間の休暇を終えて「仕事に復帰」した最初の日に、私はここ数か月間招待される栄誉に浴してきた、視聴率の高いインタビュー番組2本に出演しました。ニマ・アルコルシッド氏司会の「Dialogue Works」とアンドリュー・ナポリターノ判事司会の「Judging Freedom」です。

アルコルシッド氏との議論は一時間にわたり、さまざまな問題を取り上げました。しかし、重要な問題は、西アジアで展開している地域戦争において、ジョー・バイデン大統領の米国とベンヤミン・ネタニヤフ首相のイスラエルの関係をどう理解するかでした。昨日このページでこの番組の関連情報を紹介した記事で私が注目したのは、まさにこの点です。

米国の政策はイスラエルの圧力団体によって導かれ、ネタニヤフがバイデンを操っているというのはよく言われることです。ただし私はそれと反する主張に従っていて、真実はその逆であり、これは両国の個性による恣意的な要因の結果でも、イスラエルのAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)が米国の外交政策を支配しているという主張の結果でもない、と考えています。私たちが目撃しているのは、米国が、その過程で破壊されつつある名目上の同盟国の助けを借りて、主要な敵国に対する代理戦争を挑発し煽ることで、世界的な覇権を維持しようとしている2つ目の例なのです。

こうした代理戦争の1つ目の例は、過去2年間、現在ロシアの手中にあるクリミアとドンバスの再征服戦争という妄想的なウクライナ当局の戦争に対する米国による支援です。この戦争は、米国側がクレムリンに屈辱的な戦略的敗北を与え、できればロシア国内の不満をかき立てて「プーチン政権」を倒すために煽動したものです。これまでのところ、この戦争はロシアを強化するばかりで、ロシア軍は戦闘で鍛えられて勝利を収め、ロシアがウクライナ軍とその貢献者NATO顧問に与えた犠牲者の5分の1から10分の1程度の犠牲しか出していません。この戦争で米国はウクライナ側への資金と軍事装備の供給に1000億ドルを優に超える費用を費やしてきました。良い面をあげれば、代理戦争という手段をとることにより、米国側は事実上、米国の世界覇権に対抗する南半球を牽引する国(ロシア)に対する直接戦争から距離を置くことができた点にあります。

今、米国政府が西アジア/中東で同じ戦略を遂行しているのがわかります。それは、この地域における米国の支配にとって最大の脅威であるイランとその抵抗枢軸同盟諸国を攻撃し、過去20年間にこの地域で米国側が経験した一連の屈辱に報復することです。先週レバノンのヒズボラ本部への攻撃が成功した後、イスラエルは中東全体の地政学的地図を再構築する50年に一度の好機が来たと主張しているが、これはまさに、2003年のイラク侵攻の責任者であるディック・チェイニーやジョージ・ブッシュ、その他の人々の妄想的な考えを反映したものです。

現在、中東における米国の代理国はイスラエルであり、米国はイスラエルに最先端の防衛(ミサイル防衛システム)と攻撃(巨大爆弾)兵器に加え、不可欠なリアルタイム衛星とAWACS偵察データを提供しており、イスラエルによるガザでの大量虐殺とレバノンでの暗殺爆撃を可能にしています。現在、米国はイスラエルによるイランへのある種の激化する攻撃を可能にしようとしており、これは全面的な地域戦争につながる可能性があります。

昨日の数時間後に私が出演した「Judging Freedom」でも、今日のイスラエルと米国の関係を描写する際に犬が尻尾を振っているのか、それとも尻尾が犬を振っているのかという問題に多くの注目が集まりました。
https://www.youtube.com/watch?v=pKIaI3CTpVI&t=1392s をご覧ください。

ナポリターノ判事は、ネタニヤフとバイデンは主従関係にある、という通常の解釈を私が覆したことに驚き、懐疑的でした。彼は番組の終了前に、この件について、彼のチャンネルで後ほど出演予定の客人、シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授と話し合うことをほのめかしました。ミアシャイマー教授は、2007年にスティーブン・ウォルト教授と「イスラエル圧力団体と米国の外交政策」と題する画期的な論文を発表し、この論文は全国的に有名になりました。この主題は当時禁忌とされていたため、彼らが名声を得たのは自然なことで、お二方の論文は激しい論争を引き起こし、一時は二人の学者としての経歴を脅かすことにもなりましたが、その後沈静化しました。もちろん、今ではお二方のこの論文は、この主題を調べる人には主流の捉え方である、とみなされています。

ナポリターノ判事はミアシャイマー教授にこの質問を正式に提起しました。その様子は、お二方の会話の14分からご覧になれます。



イスラエルが米国の中東政策を導いているという見方が、今までは軽蔑された反体制派の考えとされてきたのですが、いまや主流派の一般的な見方に移行したという事実は興味深いものです。いつものことですが、主流派は国家間の関係に関する容認されていない新しい視点を認めません。ミアシャイマー教授が「AIPAC が米国の中東政策を牛耳っている」と確信していることが、まさにこのことを表しています。このインタビューでミアシャイマー教授は、私の解釈は何も新しいものではなく、10年以上前にノーム・チョムスキー氏が提示したものであり、ただの間違いに過ぎない、と述べています。

ミアシャイマー氏は、世界は静止しているものではない、ということを理解しておられないようです。17年前の状況から世界は前進しています。新たな人物が舞台に登場し、関係が逆転することもあります。ミアシャイマー氏は、昨日の夕方に私がこのページで発表した論文の詳細な論点は言うまでもなく、あの放送中の私の主張も聞いていないのではないのでしょうか。彼が聞いてくれていたのであれば、私の言っていることを否定するには、手首をひねるだけでは十分でないことがお分かりいただけたはずです。

私は、今日の中東で何が起きているかを理解するために必要な分析手段として、「米国による代理戦争」という私の概念をいつでも擁護できる状態にあります。

©ギルバート・ドクトロウ教授、2024
視聴者による書き起こしとドイツ語への翻訳(翻訳はAndreas Mylaeus氏)

以下は読者による番組音声の書き起こし。


ナポリターノ判事:0:30
皆さん、こんにちは。私は「ジャッジング・フリーダム」のアンドリュー・ナポリターノ判事です。今日は2024年10月3日木曜日です。ギルバート・ドクトロウ教授にご出演いただきます。親愛なる友人のドクトロウ教授、いつも楽しい時間を提供くださり、ありがとうございます。何よりも、いつも私にあなたの考えを聞かせてくださってありがとうございます。

ウクライナ戦争に関する軍事的、政治的情勢といういつもの話題に入る前に、中東の問題について触れなければなりません。そのきっかけとなった出来事が2つありました。1つは、クレムリンがタス通信を通して伝えたことなのですが、イスラエルのネタニヤフ首相に対するレバノン侵攻を控えるようクレムリンが警告したことです。もう1つは、ロシアのテルアビブ大使が、イスラエル在住のロシア国民に帰国してイスラエルを離れるよう促す警告をしたことです。この2つの出来事について、何かお話いただけますか?

ドクトロウ教授:1:40
2番目の方が扱いやすい問題です。ロシア大使がロシアのパスポート所持者に帰国を告げたことです。私は、この件でロシアの対イスラエル政策が変わった、とは見ていません。これは、英国が今日、パスポート所持者にレバノンから最初の飛行機で撤退するよう告げたことと同じことのように思います。この地域は今、戦争、しかも熱戦に突入しており、誰の安全も保証されていないからです。

ロシアが邦人を帰国させた事実については、率直に認めましょう。あの地域にいるロシア人の中には、高位のロシア人、つまり純資産が多いという意味での高位のロシア人や、かなり明確な犯罪歴を持つ人々がかなり多く、ロシアに到着したら逮捕されるだろうから大使の呼びかけに応じない、と思います。ネヴズリン氏のことを見ればよく分かるでしょう。彼のように何十億ドルもの資産を持ち、財産を持ってイスラエルに逃げたこうした人々はたくさんいます。ロシア国内にいる問題のある人々が皆、国内で自由に行動することができてきたのは、国家の福祉に貢献できるだけのお金を持っていたからです。ですから、この問に対する最も正解に近い答えは「ノー」です。ロシアの政策の変更を示すものではありません。

2:58
しかし、ロシアのイスラエルに対する政策は確実に変わりました。ロシアは立場を変えました。そして、ネタニヤフ首相にレバノン侵攻について警告したことは、その兆候です。事実は、まあ、事実とは言いきれない推測の域のところもありますが、ここ数日スコット・リッター氏が述べてきたことですが、イランに提供されたロシアのジェット機、空軍力の不足を補うための高度なジェット機は、おそらくロシア人が操縦しています。なぜなら、それらの飛行機の操縦には十分な訓練が必要ですが、そのための時間がなかったからです。イランに提供され、さらにこの先も提供されるであろうロシアのS-400防空システムには、大量に操縦士が必要であるため、おそらくロシア人が操縦することになるでしょう。ウクライナ側のパトリオットシステムが米国民または製造業者から提供された他の技術者によって操縦されているのと同じです。ウクライナには訓練をおこなう時間も有能な人材もいないのですから。

4:09
ですから、イスラエルがイランにジェット戦闘機を送り込んでさまざまな目標を攻撃した場合、ロシア人が搭乗するより高性能なロシアのジェット戦闘機によって撃墜されるということは、予測不可能なことではありません。

ナポリターノ判事:
タイムズ・オブ・インディア紙は、地中海のロシア海軍のロシア艦艇がイスラエルのミサイルで攻撃されたと報じていますが、これは明らかに誤報だと思われますので、訂正していただけますでしょうか。私が明白な事実だと思う状況は、ロシアが反撃し、ミサイル13発を撃墜した、というものです。この推測は当たっていますか、教授も同じように考えておられますか?

ドクトロウ教授:4:57
いいえ、私がいつも利用している情報源では、この質問に対する答えは出ません。ご存知のとおり、私は主にロシアの国営ニュースとロシアのトークショーを利用しています。ロシアの国営ニュースは、最近はウクライナ戦争と、ロシア側がこの被占領地やあの被占領地を抑え、西に移動させている様子などについてしか報じていません。中東についてはほとんど報道していません。ましてや、あなたが今説明したような出来事については報道していません。ロシアのトークショーは発言内容にそれほど制限がありませんが、私が知る限り、あなたが今おっしゃったことは、ロシア国営テレビのニュースサービスでもトークショーでもまだ取り上げられていません。ですから、私には発言できません。私は…

ナポリターノ判事:
あなたは、今朝のネタニヤフ首相が「必死に」プーチン大統領との電話会談を求めたが、プーチン大統領が拒否したという報道を信用できますか?

ドクトロウ教授:
それは完全に信じられる話だと思います。しかし、私はこのことについての詳細に触れることは避けたいと思っています。詳細を述べることは大事なのですが。私はこの話の否定はしません。

ナポリターノ判事:ぜひ詳細を明かしてください。

ドクトロウ教授:
この事件の全体像から見えることは、ロシアの核兵器政策の変更、核兵器使用に踏み込む条件の引き下げ、より具体的には、核保有国がロシアへの攻撃を支援している非核保有国に対して核兵器を使用する用意があるという考え方と完全に一致している、ということです。私のいまの説明の前半部分(核保有国による非核保有国への核攻撃)は、核保有国による核兵器の使用に関する条約に相容れない内容です。これはロシアが、米国が打ち出している核兵器政策と米国が主張している核戦略政策の理解を完全に変えたことを表すものです。具体的には、米国は米国戦略核戦力の3本柱(大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射ミサイル、戦略爆撃機)を使用して、ロシアのような敵国を完膚なきまでに世界規模で攻撃するという戦略に変えた、という認識をもった、ということです。

プーチン大統領がそのことを見抜いたからこそ、ロシアはこれまでの核兵器政策を放棄したのです。放棄した理由の1つには、ロシアが現在、米国よりもはるかに優れた攻撃兵器を持っているため、米国がロシアに対して激しい攻撃をおこなえば、米国は完全な破滅から逃れられなくなる、という状況があります。米国側にその認識があるからこそ、米国が代理戦争を用いた政策に変えたのです。そうです、代理戦争です。中東で私たちが目にしているのは、私の知る限りまだ誰もそうは言っていませんが、米国の命令を実行するためにイスラエルを利用する米国の代理戦争なのです。マクレガー大佐が少し前に言ったように、米国は海戦で敗れているわけでも、自動操縦で動いているわけでもありません。いいえ、そんなことはありません。米国は自動操縦で動いていません。米国はイスラエルの戦争を指揮し、イスラエルが戦争をおこなうことを可能にしています。それが米国の望みなのです。

ナポリターノ判事:8:15
なぜ米国はガザで大量虐殺を犯し、南レバノンを壊滅させたいのでしょうか? そうすることで、米国に利益はあるのでしょうか?

ドクトロウ教授:
米国が味わったここ数年間の屈辱を埋め合わせることです。米国が起こした戦争や参戦したすべての戦争に、米国は敗北しました。しかもそのほとんどが、アフガニスタンで見られたような最も屈辱的な形での敗北でした。今のご質問に対する答えは、昨日のカマラ・ハリスの発言の中にあります。ハリスだけではなく、民主党政権の他の人たちも同じことを言っていました。つまり、「30年間ヒズボラの指導者であったあの人物がイスラエルに殺されたのは良いことでした。なぜなら彼の手には米国の血がついていたからです」というものです。それが答えではないのでしょうか?

ナポリターノ判事:
いいえ、それは政治的な答えです。現実的な答えではありません。

ドクトロウ教授:
しかし、現実主義は米国の外交政策には含まれていません。あるのは政治です。だからこそ、政治は「イスラエルよ、イランの石油精製所を爆破してはいけない。核施設に手を出せば、カマラ・ハリスの選挙活動に悪影響を与えるから」と言っているのです。これは現実よりも政治が優先されていることを表す発言ではないでしょうか?

ナポリターノ判事:9:38
そうです。そうです、現実より政治が優先されます。ジョン・ボルトンが昨日語った映像をお見せしましょう。彼は言うまでもなく、ジョージ・W・ブッシュ政権下で元米国国連大使であり、ドナルド・トランプ政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官を約1年間務めた後、トランプは彼をクビにしました。私は彼の解職に関わったわけではありませんが、トランプによる見解においても、私の見解においても、解職の理由は明らかです。ジョン・ボルトンは好戦的過ぎたのです。彼は昨日の日付のこの動画において、イスラエルはイランの核開発計画を攻撃すべきだと示唆しています。彼の発言と理論的根拠を聞いて、それからどう思うかお聞きします。クリス、6番の映像を流してください。

ボルトン元大統領補佐官:
イランの核開発計画が標的になる可能性は、いくつかの理由から非常に高いです。まず、これはネタニヤフ首相が他のどのイスラエル政治家よりも、イスラエルにとっての存亡の脅威であると認識しているものだからです。さらに、4月以来イスラエルに向けて発射された弾道ミサイルは300発以上にのぼり、次に自分たちに向けられた弾道ミサイルには、先端に核兵器が備えられているかもしれないことをイスラエル国民は心配しなければならないという現状を理解すべきだと思います。いま核問題を解決する動機は、この点にあります。

ナポリターノ判事:11:00
まず、イランが弾道ミサイルに核物質を使用する可能性があると思われますか? イランにその能力があるかどうかさえ分からないことです。第二に、イスラエルがイランの核施設を攻撃したらどうなるでしょうか? 私の理解では、これまで核施設が兵器化されたことはありませんが、この件に関して、教授がより優れた理解をお持ちなら訂正してください。

ドクトロウ教授:
そうですね、米国側がゼレンスキーにロシア中心地を攻撃するために長距離ミサイルを使うことはできないと指示しているのとまったく同じように、再考する必要があると思います。西側の全ての報道機関によると、バイデン米政権はネタニヤフ首相に核施設を攻撃することはできないし、石油掘削装置や製油所を攻撃することもできないと伝えている、とのことです。このことは、ウクライナについて耳にする内容とほとんど同じ内容に聞こえませんか? その理由は、どちらも同じ米国政府がとっている政策だからです。

米国政府は、米国の敵対国の米国の同盟国による破壊から距離を取りたい、と考えています。ウクライナの場合、その同盟国はウクライナです。中東の場合、その同盟国はイスラエルです。そうやって米国は両国ができることを決定しているのです。しかし、イスラエルの場合、ネタニヤフ首相は、「イランが核爆弾を手に入れたら、その核は脅威になる」という主張に15年から20年間も固執してきました。

そのことが一つあります。ただし、炭化水素生産を破壊して経済を破壊するというイスラエルの利益は、イスラエルにとって非常に利益となるでしょう。しかし米国側は「ノー」と言っています。米国が「ノー」と言うのは、イスラエルが得るであろう利益を妬んでいるからです。そしてイスラエルは利用されているのです。はっきりさせておきましょう。ネタニヤフ氏がジョー・バイデンを鼻先で操っているのではありません。米政権がネタニヤフを鼻先で操り、イスラエル国家を破壊しようとしているのです。

ナポリターノ判事:13:30
イスラエルがイランを意味ある形で攻撃したら、ロシアはどうするでしょうか。ロシアとイランは相互防衛協定に署名するつもりなのでしょうか?

ドクトロウ教授:
署名はしています。期限は、カザンで開催されるBRICS諸国の首脳会談の10月24日、26日です。それにより、ロシアの防衛システムのさらなる出荷が始まることは間違いありません。主に防空システムであり、おそらく米国のジェット機はもはや無能で、ロシアの第5世代ジェット機よりも能力が低い可能性があり、ロシアがイランに提供できるジェット機もさらに増えるでしょう。つまり、空中戦において、ロシアのジェット機がイスラエルのジェット機を撃墜することになるのです。そうなると….

ナポリターノ判事:14:25
ロシアのジェット機は明らかにロシアの操縦士によって操縦されています。

ドクトロウ教授:
そうです。しかし、それは新しいことではありません。ロシアはベトナム戦争でも同じことをしていました。ですから、それ自体はロシアの姿勢が変わったということではなく、国民を同盟国のために戦争に参加させている、ということです。

ナポリターノ判事:
ネタニヤフ首相が最も望んでいないのは、ロシアを敵国、軍事的敵国にすることではないでしょうか?

ドクトロウ教授:14:57
彼が理性的な人間なら、それは確かにそのとおりです。しかし彼が理性的な人間ではないことを示す兆候はたくさんあります。ですから、彼がロシアについて本当はどう思っているか、彼は10年、15年前に旧ソ連の多くの人たちから言われていたことをいまだに信じているのかもしれません。つまり「ロシアの軍事開発はすべてポチョムキン村(見せかけ)のようなもので、効果がないから心配する必要はない」というような説明です。彼がそのような助言を受けている可能性はあります。しかし、もし彼が人々から真剣な助言を受けているなら、きっとネタニヤフはロシアについて心配しているはずです。しかし、ネタニヤフの味方をしているのは米国ですから、ネタニヤフはロシアのことを甘く見ている可能性はあります。

ナポリターノ判事:15:36
イスラエルにイラン攻撃を勧めることに関しては、米国議会で最も好戦的で、私の見解では最も信用できない議員がいます。それは、サウスカロライナ州選出のリンジー・グラハム上院議員です。よく馬鹿げた発言をするため、彼はこの番組でよく笑いものにされていますが、その1つがカット4です。

グラハム議員:
イスラエルでは一発のミサイルで民間人が殺されており、イスラエルはイランを攻撃せざるを得なくなるかもしれません。ブリンケン国務長官は、イランの核開発計画が数週間以内に核兵器を持つ可能性がある、と発言しました。このような状況から、イランはどんなことを感じ取っていると思いますか? それは「核兵器を持っていないよりは持っていた方が良い」ということです。

ナポリターノ判事:
彼は米国にイラン攻撃を勧めています。私にはそれは考えられません。どう思われますか?

ドクトロウ教授:
政権の対応の仕方からすると、米国当局が紛争に巻き込まれることになるかもしれませんが、米国側は必死に、「我が国は共同交戦国ではない」と主張するでしょう。いっぽう、ロシアはおそらくイランと共同交戦国になるでしょう。ロシア側はイランと包括的防衛協定または一般協力協定を締結しようとしており、そこには詳細な防衛条項が含まれています。もしロシアが実際にそうするのであれば、米国をイスラエル側の共同交戦国と宣言できるでしょう。なぜなら、イランの核施設に対するこの指令は、米国の技術支援なしには実現できないからです。そして皆さん、

ナポリターノ判事:17:15
もう一度言ってください。イランの核兵器開発は、米国の技術支援なしには実現できなかったのですか?

ドクトロウ教授:
いいえ、いいえ。わかりにくい言い方になっていたようです。私が言っているのは、米国はイスラエルに、核開発計画に使用されているイランの施設への攻撃に必要な支援を提供できる、ということです。米国の支援がなければ、そんなことは起こりません。

ナポリターノ判事:
先ほどのあなたの発言に戻りたいと思います。「ネタニヤフがバイデンを牽引しているわけではなく、バイデンがネタニヤフを牽引しており、イスラエルは米国の代理人だ」というお話でした。それは、ウクライナは米国の代理人であると主張してきたのと同じです。イランは米国にとってどのような国家安全保障上の脅威となり得るのでしょうか。そして、米国がイランを直接または代理人を通じて攻撃する道徳的または実際的な理由は何でしょうか?

ドクトロウ教授:18:26
台頭するイランは、中東全体における米国の利益にとって脅威です。過去40年間ずっとそうでした。イランは大きな国で、人口も多く、大きな産業基盤があり、国内では親欧米派と反欧米派の間で揺れ動いています。私にとっては、米国がベイルートのヒズボラ本部へのイスラエルの攻撃を許したことで、イランと和解する最後の好機を台無しにしてしまったことは驚くべきことです。イランの新首相は 2週間前、西側記者に対する声明で、イランの核兵器取得を抑制または阻止し、イランに対する経済制裁を撤回することを目的とした包括的一般協定の署名国との交渉を開始したいと明言していました。

イランの新首相は西側諸国に対して新たな方策をとりたいと考えていました。しかし、ベイルートのヒズボラ最高指導者に対する今回の爆撃で、イランの首相は踵を返してイスラエルに対して180発の弾道ミサイルというかなり印象的な攻撃をし、さらに多くの攻撃に備えることを余儀なくされました。彼はロシアの後ろ盾があるため、さらに多くの攻撃に備えようとします。はっきりいいます。これは、ロシア国内からあがるより大きな疑問につながります。なぜプーチン氏はこんなにも後手後手の対応なのか? ロシアが平手打ちされたときに、なぜ彼は怒りの頬で返さなかったのか? なぜプーチン氏が強硬路線を展開し、新たな核兵器政策を宣言するのに今までかかったのか?

ナポリターノ判事:
どれも良い問いです。

ドクトロウ教授:
その答えは、プーチン氏はインドや中国と協力して行動していたからです。中国やインド、その他の南半球の国々の協力がなければ、ロシアは2022年に米国の制裁を生き延びることは決してできなかったでしょう。これらの国々は皆、足並みを揃えて動いています。皆、米国の支配と米国が支援するテロリズムにうんざりしているのです。

ナポリターノ判事:21:00
プーチン大統領がこれからもっと攻撃的になるということですか?

ドクトロウ教授:
そうです、彼はすでにより攻撃的になっています。これは、2分前にあなたが私に尋ねたことと一致します。プーチンはネタニヤフからの電話に出ましたか? 彼は出なかったと言いました。ネタニヤフは絶望を感じてプーチンに連絡を取りたいと思ったのですか? 彼はそうしました。なぜなら、どういうわけか、ロシアが寝返ったという伝言を受け取ったからです。

ナポリターノ判事:21:29
ドクトロウ教授、クルスクの情勢は今どうなっていますか?

ドクトロウ教授:
そうですね、この1か月にわたるロシア連邦への侵攻または侵入以来、クルスクでは1万6000人以上のウクライナ人が犠牲になっています。これは大きな数字です。ロシア軍は国境に集中したままです。となると、ウクライナ側はクルスク内で残存する軍の活動を維持するために必要な人員と物資を大幅に増強することは不可能です。つまり、クルスクに残されたのは、実際にはみすぼらしい集団だけなのです。

ロシアは、この残党の掃討を急いではいません。なぜなら、劇的で良いニュースになるような行動を取ろうとすれば、兵士の多くの命を犠牲にすることになるからです。このことは、ウクライナ侵略者と戦うために現在クルスクで活動しているチェチェン軍の司令官、アラウドゥノフ将軍が2週間前に述べたことです。ロシアはドンバス戦線で勝利しています。ロシア軍は、ウクライナがドネツク地域で戦線を維持するために不可欠な兵站中心地の占領において大きな進歩を遂げています。それは、昨日実現されたヴレダルの占領絡も明らかですし、ロシア側だけでなくウクライナ側もその事実を認めています。そして、間もなくポクロフスクも占領されることになるでしょう。ですので、ロシア側は嬉々としてウクライナが最も弱い場所に精神と人力を集中することができ、毎日数キロずつ着実に前進しています。

ナポリターノ判事:23:23
プーチン大統領には時間があるのでしょうか、それともクレムリン内外から圧力がかかっているのでしょうか?

ドクトロウ教授:
この質問は時機をえたものです。私はロシアの支持者の間ではよく知られているジャーナリスト、ジョン・ヘルマーと公開討論をしていますが、彼はまさにあなたが尋ねたのと同じことを言っていました。つまり、プーチン大統領は大きな圧力にさらされており、彼の基本姿勢やロシアの国益を守る意志は一部の軍司令官から疑問視されており、ロシアでは文民と軍の指導部の間に一種の対立があり、プーチン大統領はもちろん文民側に立ち、悪の一派、すなわち財閥の側にいる、というものです。

24:11
私はこれを今日のロシア政治で起こっていることの有効な説明として受け入れていません。プーチン大統領は確かに立場を変え、ロシアの国益を守る能力について私の同僚の中で最も批判的だったポール・クレイグ・ロバーツのような人々を満足させたと思います。彼らは満足しています。ロシアの新しい核兵器政策は、ロシアが強硬になったことを示していると思います。ロシアが我々に提示するのは単なる言葉だけでしょうか、それとも実際の戦争でしょうか。そんな問いをもつ瞬間はとうに過ぎています。

ナポリターノ判事:25:01
軍事作戦が目的を達成し、戦闘が停止できる時期について、協議している人々や意見を尊重する人々の間で何らかの合意は得られていますか?

ドクトロウ:
誰にもわかりませんが、我々は皆同じ日付を見ていると思います。11月5日です。それがこの戦争の終結の最も明白な日付です。それは、トランプ氏が勝った場合、彼の優れた交渉手腕と取引の技術を使って頭をぶつけ合い、これを1日で解決するからではありません。モスクワではそんな主張はただのお笑いだ、と思われています。そして、現実には、トランプ氏は2週間で事を成すでしょう。カマラ・ハリス氏が言ったとおり、トランプ氏はキエフへの武器と資金の流れを止めるでしょう。そして2週間後にはすべてが枯渇し、ウクライナ側は降伏することになるでしょう。

26:02
確かに、このことばはトランプ氏への批判ではないと思います。これは明白な事実に基づく発言です。トランプ氏の政策は降伏につながり、現在血を流しているウクライナ国家にとって大きな道徳的利益となるでしょう。

ナポリターノ判事:
ドクトロウ教授、発言をありがとうございました。イスラエルとロシア、そしてバイデン大統領とネタニヤフ首相の関係についてのあなたの見解は興味深く、報道する価値があると思います。近いうちにまたあなたと話し合うことになるでしょう。番組にお越しいただきありがとうございました。来週またお会いできることを願っています。

ドクトロウ教授:ありがとうございます。

ナポリターノ判事:
もちろん、必ずお越しいただけると思っています。本日午後12時(東部時間)に、いま取り上げたすべての話題についてチャールズ・フリーマン大使、午後1時にはマックス・ブルーメンソール、午後2時にはローレンス・ウィルカーソン大佐、午後3時にはジョン・ミアシャイマー教授が出演します。
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トランプは、大統領職を失う可能性のある過ちを犯している

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump is making a mistake that could cost him the presidency
共和党選出のこの大統領候補は反戦で反介入主義者であるはずなのに、イスラエルに対しては明らかに例外的な立場を取り続けている
筆者:レイチェル・マースデン(Rachel Marsden)
コラムニスト、政治戦略家、フランス語と英語で制作された独立系メディアのトークショーの司会者
出典:RT 2024年10月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月23日


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共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ元米大統領。 © ケビン・ディーチ/ゲッティイメージズ


ウクライナの指導者ウラジーミル・ゼレンスキーが最近、ドナルド・トランプの隣に立って対ロシア支持を求めたとき、ゼレンスキーはまるで校長に叱り飛ばされた児童のように見えた。この元米国大統領は、ゼレンスキーに「タンゴを踊るには2人が必要だ」と念を押した。しかし、イスラエルのことになるとどういうわけかトランプは、ソロダンサーのような動きを見せ、自分のことだけに気を配り、まわりから怒りを買っているようだ。しかもトランプは、イスラエルのことについて沈黙を保つことさえできないようだ。

そのようなトランプの振る舞いは、彼の支持層が認めたものではない。

2023年10月7日、ガザのハマス戦闘員が、長年にわたる反パレスチナ弾圧の後、ガザに隣接するイスラエル領内での音楽祭においてイスラエルの民間人を攻撃した事件からちょうど1年経った日に何を話すかについては、トランプにはさまざまな選択肢があったはずだ。彼の支持基盤は、イスラエルのことに干渉せず、米国民の日常生活に影響を与える問題に焦点を当てて欲しいと期待している。というのもすべての米国民がイスラエルに住んでいるわけではないからだ。この当たり前のことが、なぜかそうは思われないところはあるのだが。

トランプは、ウクライナに対する和平調停者を自負しており、その紛争を一瞬で解決できると言っている。しかし彼は中東に対しては、どうやらそのような野心を持っていないようだ。それどころか、彼はユダヤ教の帽子ヤルムルクを身につけ、ヘブライ語の碑文が刻まれた巨大な石板のそばに立ち、もし11月に当選したら「ユダヤ人憎悪者を排除する」方法、そして「米国とイスラエルの間の絆は強く、永続的である」こと、そしてそれが「かつてないほど近づく」ことを確実にするだろうと語った。

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関連記事: Putin in English: Listen to the Russian president’s words like never before (VIDEO)

トランプはイスラエルにイランの核施設を爆撃するよう呼びかけた。「そこはイスラエルが攻撃すべき箇所ではないだろうか? イランの核兵器は我が国が抱えている最大の危険なのだから」とトランプは最近の集会で述べた。まるで彼は気づいていないかのようだ。核兵器ということばは、周りから敬意に満ちた行動を引き起こすことができる魔法のことばだ、ということに。それはトランプが大好きな憲法修正第2条(国民の銃の保持を認める条項)が米国で見せる効果と同じだ。

この発言だけでも、トランプは、イスラエルがイランの核施設を攻撃することに明確に反対しているバイデン政権よりも、より親イスラエルで戦争を支持する立場にあることが分かる。彼はまた、民主党の対立候補であるカマラ・ハリス副大統領よりも積極的に親イスラエルである。ハリスのほうはイスラエルの爆撃を踏まえて、パレスチナの民間人を保護する必要性について折に触れて少なくとも口先だけの耳あたりのいいことばを発したり、イスラエルが同盟国であるかどうかを尋ねられたときでさえ、その質問をあからさまにかわすなどしている。

トランプは一体誰に訴えかけようとしているのだろう? 支配者層? 何をいまさら?彼はとっくに他のあらゆることに対する支配者層からの支持を失っており、この件で支配者層がトランプ支持にまわることはないだろう。共和党内のネオコン派に対しての訴えかけなのだろうか? いや、それも同じ理由でありえない。

トランプの「MAGA(米国を再び超大国に)」の支持基盤は、非干渉主義者であり、地球の反対側の国々の間でおこっている対立など無視しようとしていることは確かだ。だからこそトランプが10月7日に見せたイスラエルに対する擦り寄りに気づき、ソーシャルメディア上で「わかった。俺はトランプ支持からおりる」などという書き込みが散見されたのだ。

もしかしたら、トランプが引きつけようとしていたのは、より一般の米国民だったのだろうか。今月発表された米国のシンクタンクであるピュー研究所の新たな調査では、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を信頼している米国民はわずか31%で、75%が米軍が何らかの形で混戦に引きずり込まれることを懸念していることがわかった。英国の政策調査機関YouGovの世論調査では、ガザ紛争でパレスチナ人よりもイスラエルに同情している米国民はわずか33%だった。3月の米国ギャラップ社の世論調査でも、米の有権者の大多数がガザにおけるイスラエルの行動に反対していることが分かった。しかもこの結果は、イスラエルがシリアやレバノンに対する同様の攻撃や、市街地付近で発生した「ヒズボラのポケットベル」爆発を開始する前に取られたデータである。

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関連記事:J.D. Vance has done something Trump cannot

トランプは、本心では、米国の有権者がもっと気にしている問題は何だと考えているのだろうか? 有権者が目にしているのは、自分たちの血税が外国の戦争に垂れ流されている現状だ。その戦争に対して、今まさにトランプはボクシングのリングの隅にいるトレーナーさながらにボクサーを盛りあげているような口振りで話している。そうしない人は「反ユダヤ主義」であるかのように。しかし実は、いまの米国民が問題視しているのは、反ムスリム差別のほうであることは、4月のピュー研究所の世論調査で明らかになっている。それでもトランプは、もし当選したら「ユダヤ人憎悪者を排除する」つもりだと続けた。ユダヤ人憎悪者とは、誰のことを指しているのか? イスラエルの自国問題は自国で解決すべきことで、全世界を第三次世界大戦に引きずり込むべきではない、という立場を取っている人でさえ、憎悪者と見なされるのだろうか?

トランプのこの姿勢の最大の問題は、彼の反戦姿勢の支持者が、イスラエルのことになると彼に何が起こっているのか、本当に理解できないという点にある。イスラエルのことは例外にした反戦主義者などありえないのだ。トランプ支持者は、イスラエルに対するトランプの情熱がハリスの見せているより中立的な態度と非常に対照的であることを見抜いている。トランプ支持者が心配しているのは、トランプのこの姿勢のせいで、一部の共和党支持層や支持政党のない有権者、特にトランプのこの動機に懐疑的な人々をトランプから引き離せるくさびをハリス側に渡してしまうことにならないか、という点だ。ハリスは、米国政府の典型的な支配者層の立場に立っているだけだが、それだけでも十分よくない。対照的に、トランプは、イスラエルの戦争について、不可解なほど入れ込んでいるように見える。

おそらく、最も合理的な説明は、トランプの選挙運動の資金源を見ることで見つけることができるだろう。大御所のシェルドン・アデルソンは、2021年にポリティコ誌によって「共和党の親イスラエル勢力を引き受けた巨大資金源」と評された。同年、彼の未亡人、イスラエル生まれのミリアムは、「当時の国務長官コンドリーザ・ライスがイスラエル・パレスチナ和平交渉を再開しようと努力したことについて、ジョージ・W・ブッシュ大統領に悲しみを表明した」という。米国大使館をテルアビブからエルサレムに移すことで、トランプはアデルソンが長い間望んでいたことを実現した。当時は、その裏には不必要な筋書きがたくさんあるように見えた。そして、トランプの大統領復帰を見越して、すでにどれだけの資金が投入され、準備万端積み込まれているのか、疑問に思わざるをえない。

NBCニュースは「アデルソン予備選」、すなわち、共和党の予備選挙の候補者がこの大御所と会って彼の支持と彼の現金を勝ち取るために会う伝統的な手続きについて報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は今年初め、政治活動委員会への寄付を通じて、彼の未亡人が「トランプを選出するための1億ドルの計画」を奉じたことを呼び起こした。トランプ大統領は2018年に彼女に大統領自由勲章を授与した。確かに、それは2016年の彼の選挙運動への2000万ドルの寄付とは何の関係もなかったにちがいない。投票の数ヶ月前から彼を支持し始めたという報道があったとはいえ。

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関連記事:The US presidential debate was a degenerate political show, and Harris won

夏の選挙運動の催しで、トランプはミリアム・アデルソンを紹介し、彼が彼女に授与した賞に言及し、負傷した兵士のための議会名誉勲章と同等であることを示唆した。そしてちがっているのは、「彼女は健康で美しい女性であり」、「何度も銃弾に当たって身体を壊していたり、死んだりした」兵士ではない点である、と語った。最近では、何百万ドルもの選挙運動の寄付で何が手に入るのか正確にはわからないが、おそらくそこには、1ドルショップで販売されているグリーティング・カードにさえ入らなかったような、お世辞以上の何かがあることは確実だ。

イスラエルの報道機関「i24ニュース」によると、トランプはアデルソンの未亡人から十分な現金を受け取っていないと感じたため、夏中ずっとブチギレていた、という。

これらすべての状況は、トランプが選挙戦の終盤にアデルソンが唯一主張している問題に対する比重を増やした理由を説明するのに役立つことは確かだ。そしてこの時期というのは、トランプが初めて勝った選挙の際にアデルソンから現金を得たのと同じ時期だ。その資金のおかげでトランプは勝てたのだ。

いずれにせよ、見た目がよくない。何かが明らかにおかしいように感じられ、背後に何があるのかについての透明性が不足している。ハリスのような既成の政治家が、トランプがいつも非難している軍産複合体に迎合していることは周知の事実だ。しかし、トランプ支持者は、トランプがイスラエルに迎合している背後には、規制の政治家がもっているものよりもさらに怪しい何かが潜んでいる可能性を感じ取っている。そして、トランプが親イスラエルに固執することが、有権権者が投票に行かず家から出ないか、悪魔であると分かっている候補に投票するかを決する材料になっている。
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コロナ詐欺を告発したドイツ人弁護士ライナー・フュルミッヒ博士に対する不当逮捕と獄中迫害

<記事原文 寺島先生推薦>
German Lawyer Dr. Reiner Fuellmich’s Persecution in Prison

今日、ドイツはまるでステロイドを打ったネオナチのようになってしまった。
筆者:ライナー・フュルミッヒ (Reiner Fuellmich)andピーター・ケーニヒ(Peter Koenig)
出典:Global Research 2024年10月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月23日


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はじめに―ピーター・ケーニヒ

2024年10月13日は、ライナー・フュルミッヒの未決拘留の1周年にあたる。特に、暴力犯罪の経歴もなく、その容疑もかけられていない人物にとって、フュルミッヒの拘禁条件は、控え目に言ってもひどいものであり、拷問に近い。

念のために言っておくと、ライナー・フュルミッヒ博士は、2020年にドイツにコロナ調査委員会 (Corona Investigative Committee_ CIC) を設立し、世界的なコロナ詐欺を捜査した。CICの内部抗争は、おそらく外部勢力とシークレットサービスが扇動したものと思われる。彼は横領で不当に告発された。CICは崩壊した。フュルミッヒ博士は弁護士免許を持ち、家も所有しているカリフォルニアに戻ろうとした。

いくつかの「官僚的」手続き(ドイツと米国の秘密情報機関との協力)により、彼は「一時的に」米国への入国を拒否された。その後、彼は妻とともにメキシコに定住し、そこで国際犯罪捜査委員会(International Crimes Investigative Committee_ICIC)を設立し、コビッド詐欺による犯罪の捜査を継続するとともに、国際法、国内法、地域法をすべて無視して「ルールに基づく秩序」を強要する者たちによる関連の社会・経済的不正行為の捜査も継続した。

2023年3月、ドイツ政府はフュルミッヒ博士に対して逮捕状を発布した。博士は暴力的犯罪の経歴がないため、EU/シェンゲン協定加盟国以外では、引き渡し命令は法的効力をもたない。

そのため、ドイツ政府は秘密工作員を通じて彼をメキシコのドイツ代表部に誘い出し、2023年10月12日に彼を誘拐した。そして、着替えも歯ブラシも持たせないまま、すぐに空港に連れて行き、ドイツ人警備員2人の監視下でフランクフルトに飛ばし、10月13日に即逮捕した。それ以来、ライナーはロスドルフにあるゲッティンゲンの高度警備刑務所で、最も非人道的な環境下で、裁判前の拘束下に置かれている。

ドイツでは、裁判前の拘束期間は平均6ヶ月、最長でも11ヶ月だ。彼は独房に拘禁されており、他の受刑者と話すこともできず、誰とも面会できない。また、刑務所の運動場で1日1時間、1人で歩かなければならず、家族との電話や面会は月に3時間までしか許されていない。

裁判所に出頭するたびに、ライナーはボディチェックを受け、手錠をかけられ、足に足かせをされ、防弾チョッキを着た2人の重武装の刑務官に付き添われる。まるで大量殺人犯であるかのように。

彼は、法廷が中断するたびに、裸で拘束され、身体検査を受け、法廷の隔離された地下室に連れて行かれて待つ。

この人間性を深く傷つける屈辱は、80年以上前のヒトラーの第三帝国政権下のドイツの強制収容所を思い起こさせる。

人類は第二次世界大戦の恐怖から学んだはずだと思われるかもしれないが、そうではない。何も学んでいない。

人間性は、同じ非人道的な怪物たちによって導かれている。今日では、さらに悪化している。

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当時、第三帝国はヨーロッパと北アフリカに限定されていたが、今日では、新世界秩序、あるいは一つの世界秩序(世界政府となることを目指すもの)が、ドイツが再び主導的な役割を果たす中で、国連加盟国193カ国すべてを含む全世界に広がっている。

どうやら逃げ道はないようだ。

しかし、歴史が何度も繰り返し示しているように、不正義が際限なく続くような、戦争犯罪、拷問による忌まわしい非人間化、腐敗や大量虐殺に際限がないような、行き過ぎたあらゆる体制は崩壊する。ドイツ政府が善良な市民をこのような非道な監獄環境に置いている極悪非道なカルト集団が、ドイツ政府、ひいては他の西側諸国政府による犯罪行為、そして現在も続いている犯罪行為に対して声を上げる人々を脅し、黙らせようとしていることは疑いの余地がない。

ライナー・フュルミッヒ博士は西側世界の政治犯だ。

ライナーの説明、写真、イラストは、それ自体が雄弁に語る。

*

ライナー・フュルミッヒ-ドイツ連邦共和国の政治犯

フランス語オンライン出版BAM!のドイツ特派員である著者のケルスティン・ホイジンガーへの回答として、ライナー・フュルミッヒ博士が、ゲッティンゲンのロスドルフにある高度警備刑務所での拘留状況について報告。法廷からの独占写真とスケッチ付き。

午前7時、公民権運動家であり弁護士でもあるライナー・フュルミッヒ博士の裁判の日。

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     「重装備の警官たちが、ピストルや防弾チョッキを装備したサブマシンガンを持って出迎えてくれた。彼らは私に防弾チョッキを着けるよう説得したが、私は一貫して拒否した。そして、彼らは銃撃によって私が負傷したり、死亡した場合に、彼らに責任を免除する権利を与える免責事項に署名するよう私に求めた。

     看守の一人が私の体を調べ、いつものように椅子にひざまずかせ、足首に手錠をかけた。

     彼は私の腰に幅広の革のベルトを巻き、それから私に手錠をかける。手錠はベルトにチェーンでつながれ、大きな南京錠で固定される。

     足首に手錠をかけられると、とても小さな歩幅でしか歩けなくなり、輸送車両への乗り降りが困難になる。もしこのような状態でつまずいてしまったら、止まることも転落の衝撃を和らげることもできず、手首を骨折する可能性が高い。

     刑務所の職員は、単純な犯罪(重大犯罪やテロ行為ではない)で起訴前の拘束が11ヶ月以上続き、独房監禁され、何よりも手と足に手錠をかけられて法廷に連れてこられた被告人は見たことがないと私に語った。

     裁判所では、私は地下に連れて行かれ、タイル張りの独房に簡素な木製のベンチがある場所に連れていかれた。またもや全裸検査だ。それから手錠をかけられ、法廷に連れて行かれるまで待たされた。手続きが中断されるたびに、私は再び手錠をかけられ、「地下」に戻された。

     裁判所から戻るたびに、私は待合室で裸にされ、徹底的な身体検査をされた。

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嫌がらせ、屈辱、処罰

    D氏(未決拘留担当の副所長)は、私が他の被拘留者に法的助言をすれば彼らを反乱に駆り立てる可能性があるという理由で、私の完全隔離を命じた。

    ロスドルフ刑務所は2つの区画に分かれており、刑務区(収監者400人)と、2023年10月13日より私が収監されている未決拘留区(収監者80人)がある。

     裁判前の拘留者は4つのレベルに分散して収容されている。特に危険または影響を受けやすいとみなされた者はレベルA0に隔離され、警備が強化され、追加の制限が課される。私もそこに収容された。

     A0レベルの他の受刑者と同様に、私は他の受刑者と話すことは厳しく禁じられている。

     11か月間、私はインターネットもパソコンも携帯電話も持てず、テレビを見ることしか許されていない。外部との唯一の接点は、弁護士と、月に3時間だけ許される家族との面会または電話のみだ。そう、月に合計3時間だけだ。

     私の孤立は極限に達しており、中庭での毎日の散歩さえも一人でしなければならない。たとえそれが手信号だけだとしても、他の受刑者とコミュニケーションを取っているところを見つかった場合、この1時間の散歩は中止となる。そう、受刑者同士が窓の鉄格子の間から挨拶を交わした場合、たとえ私がただ頷いただけだとしても、彼と私は即座に罰を受けることになる。

     すべての懲戒処分は理由を述べることなく、また不服申し立ての機会も与えずに課される。

     罪のないものはだれもいない!

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     特に、未決拘留の被収監者の処遇は劣悪で、拷問に近い。未決拘留の被収監者の管理を担当し、ソーシャルワーカーとしても働くD氏は、自らの信念を隠そうとはしない。未決拘留の被収監者であれば、有罪であると彼は考えている。

     彼が推定無罪を無視したことが、私が独房に入れられた主な理由だ。

     彼は重大かつ故意の職務違反を犯しており、私はその現場を実際に目撃した。これらの違反は刑務所の管理によって隠蔽された。2つの例外を除いて、刑務官たちはロボットのように、何のためらいもなく受けた命令を遂行する。

     2024年8月8日、私は刑務所の副所長と話したいと申し出た。私は、法廷審問で不在にしていた間に、私物や書類が私の独房から消えたことを彼女に伝えた。独房は通常、厳格な規則に従って定期的に検査されている。これらの窃盗は、記録される公式の検査以外で発生した。

     迫害:ライナー・フュルミッヒ博士は、レッドゼップの事例について言及している。(彼が犯していない殺人容疑で不当に投獄されたもう一つの以前の事例である。裁判所もそのことをを知っていた。)

     「この事態の深刻さは、公判前の拘留者であるケビン・レゼップが暴行を受け重傷を負ったことでもわかる。彼は、私に自分の名前と経緯を公表することを許可してくれた。彼はモンテネグロ出身で、知能が高く、数か国語を話すものの、ドイツ語の読み書きは流暢にできない。彼は、暴力的な受刑者や計画殺人容疑者のいる監房に収容されていた。彼は他の受刑者たちから「ジプシー」と呼ばれ、脅迫され、D氏に助けを求めたが、D氏は危険度の高い受刑者たちと彼を一緒にすることを拒否した。翌日、ケビン・レゼップは散歩中に他の3人の受刑者に襲われた。彼はガラス瓶で頭部を激しく殴られ、左目の上にある頬骨が砕け、視力が失われる危険にさらされた。

     2024年7月9日、ケビン・レゼップはその傷が癒えていないにも拘わらず、ロスドルフ刑務所に復帰する前に手術を受けなければならなかった。彼は5、6人の刑務官と再び身体的な争いになり、彼らは彼を地面に投げつけ、再び頭部を負傷させた。D氏は、すでに深刻なトラウマを抱えていたケビン・レゼップの隔離を命じた。

     ケビン・レゼップは、暴行の件でD氏、刑事施設、ニーダーザクセン州を訴えたいと考えており、私に助けを求めてきた。私がこの受刑者に助言し、弁護士を付けたことをD氏が知ると、ケビン・レゼップは姿を消した。おそらく他の刑務所に移送されたのだろう。それ以来、私の弁護士であるヴェルマー氏は、彼がまだ生きていることを願って、彼を見つけようと努力しているが、無駄に終わっている。

     かすかな希望。


     彼らは懲戒処分を受けるにもかかわらず、私に連帯を示してくれた。彼らは私を励ましてくれた。例えば、「あきらめないで、がんばって」と叫んでくれた。

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     刑務所の職員の中には、今回のパンデミック詐欺を見抜き、私の裁判が秘密警察の仕組んだ茶番劇であることを知っている人もいる。彼らは私にそのことを知らせ、私の幸運を祈ってくれている。

     私にとって最も助けになるのは、世界中の人々からの多大な支援だ

     私は刑務所当局がもはや読まなくなった手紙を大量に受け取って読んでいる。私はすべての手紙を読み、彼らの愛情に深く感動している。できる限り返事を書くようにしている。

     裁判所へ向かう車中で座っていると、時々、プラカードを掲げて私を応援してくれている人々が見える。

     私を支えてくれるすべての人々との間に、非常に強い絆を感じる。この絆があるからこそ、私たちは一緒に逆境を乗り越えることができるのだ。

     私は血液提供を拒否したため、週に2回、医療サービスで検査を受けなければならない。私は、医療行為、特に侵害を伴う医療行為は、患者が自発的に同意しない限り、身体の完全性の侵害に該当すると主張した。そのため、私は定期的に検査を受けている。結核を患う囚人は接触した人々に感染させる可能性があるからだ。

     刑務所の医師の一人は、私の仕事に共感を示してくれた。また、医療スタッフは、多くの被収容者の健康状態は収監されていることと相容れないと考えていると私に話した。しかし、刑務所の経営陣はこの事実を意図的に無視している。

     私は、未決拘留で実際に起きていること、すなわち、被告人の基本的権利が停止され、被告人の運命を真に案じる弁護に接することが困難であることを実際に目にした後、刑務所はそこから利益を得る者だけが恩恵を受ける場所であり、未決勾留は判決後の拘禁よりも(刑務所にとって)利益が大きいことはまちがいない。

     私は「邪悪」と表現できる被告人に会ったことがない。私は、刑務所の医師が認めたように、私には無実に見える、あるいは何よりも治療を必要とする多くの、多くの未決囚に会ってきた。

     例えば、パンデミックや戦争、ガザのような虐殺、制度の腐敗の責任者など、少数の社会病質者のために少数の刑務所も必要ないというのであれば、刑務所なんか廃止してしまえばいのだ」。

*

この陳述はライナー・フュルミッヒ博士が弁護士のカタ・ヴェルマーの電話で録音したものです。
Kerstin Heusinger によりフランス語に翻訳され、ピーター・ケーニヒが Deepl.com を通じて英語に翻訳しました
写真およびスケッチ:Kerstin Heusinger
独房の図:ライナー・フュルミッヒ博士
オリジナル記事のコンセプトおよびデザイン:ミシェル・コウレアおよびカロ
ドイツ語原文
この報告書は、まず(フランス語で)BAM! NEWSに掲載されました。
すべての図はドイツ語の原文記事でご覧いただけます。

ピーター・ケーニヒは地政学アナリストであり、元世界銀行および世界保健機関 (WHO) の上席経済学者であり、30年以上にわたり世界各地で働いてきた。著書に『Implosion–An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』がある。Cynthia McKinney著「中国がくしゃみをするとき:コロナウイルスのロックダウンから世界の政治経済危機まで」(Clarity Press–2020年11月1日)の共著者でもある。
ピーターは、Centre for Research on Globalization (CRG) の協力研究員。また、北京の人民大学重陽研究所の非居住上席研究員でもある。
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国際法を回復せよ。国連から米国とイスラエルを追放せよ!

<記事原文 寺島先生推薦>
Restore International Law. Expell the United States and Israel from the United Nations!
出典:Internationalist 360° 2024年10月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月22日

編集者コメント:「シャヒード・ボルセン」についてどう思うかは別として、このキャンペーンには意義があり、幅広い支持に値する。国連憲章第6条を発動し、米国を国連から追放しよう。

そして、この請願キャンペーンをチェックしよう。国連憲章第6条を発動し、イスラエルを国連から追放しよう。
T.A.






UNITED NATIONS CHARTER

国際連合憲章 第2章:
加盟の地位:
3条
国際連合の創設時加盟国は、サンフランシスコで開催された国際機構に関する国際連合会議に参加したか、または1942年1月1日の国際連合宣言に事前に署名した国家で、この憲章に署名し、第110条に従って批准する国家とする。

4条
1. 国際連合への加盟は、この憲章に掲げる義務を受け入れ、かつ、国際連合が当該義務を遂行する能力と意思があると判断した、平和を愛するその他のすべての国家に対して開かれている。
  2.そのような国の国際連合への加盟の承認は、安全保障理事会の勧告に基づく総会の決定によって行なわれる。

5条
安全保障理事会により予防行動または強制行動がとられた国際連合加盟国は、安全保障理事会の勧告に基づき、総会により加盟国としての権利および特権の行使を停止されることがある。これらの権利および特権の行使は、安全保障理事会により回復されることがある。

6条
この憲章に含まれる原則に執拗に違反した国際連合加盟国は、安全保障理事会の勧告に基づき、総会によって機関から除名されることがある。



請願署名はこちらで




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バイデン政権は、米国の内政への軍事介入を許可する極めて不穏な指令を発令

<記事原文 寺島先生推薦>
The Biden Regime Has Just Issued a Very Suspicious Directive Permitting Military Intervention in US Domestic Affairs
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ  2024年10月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月20日


国土安全保障省は、COVID-19の起源やワクチンの有効性、選挙の正当性を疑問視する個人を潜在的な国内テロの脅威として警告している。

クーデターが起ころうとしているのだろうか?

11月の大統領選挙直前の2024年9月27日に発行された国防総省の新しい指令5240.01により、米軍は国内騒乱で警察当局を支援する際、米国民に対して致死的な武力を行使することが可能となった。

この事態に関する報告書からは、公民権の侵害に関する以下のような懸念が浮上する。

抗議する権利:権限の拡大により正当な抗議が抑圧される恐れがある。

プライバシーの権利:国内の情報収集への軍の関与が強まると、プライバシーが侵害される可能性がある。

適正手続き:法執行における軍隊の役割は、標準的な適正手続きの保護を回避する可能性がある。

言論の自由:「国家安全保障上の脅威」の広義の定義により、個人の政治的信念が標的となる可能性がある。
文民統制: 軍の役割が拡大すると、軍に対する文民の監視が弱まる可能性がある。

憲法上の懸念事項は以下のとおりである。

ポッセ・コミタトゥス法への異議申し立て:この法律は伝統的に、国内法執行のために軍人を使用する連邦政府の権限を制限している。国防総省の新しい指令は、民間法執行における軍事支援を通じて致死的な武力の使用を許可することで、これらの制限の限界を押し広げる可能性がある。

憲法修正第1条に関する潜在的な懸念:自然療法の提唱者や、政府のCOVID-19への対応や選挙の公正性に疑問を呈するなど憲法修正第1条の権利を行使する人々は、一部の機関によって潜在的な国内過激派やテロリストに分類されている。この指令により、これらの分類が致死的な武力介入を伴う状況にまで拡大され、国家安全保障を装って言論の自由が抑制される可能性がある。

修正第4条に関する考慮事項:この指令では、緊急事態において軍と法執行機関の間で情報を共有することも許可されており、プライバシーの権利と監視の拡大の可能性について疑問が生じる。

適正手続きの影響(憲法修正第5条):国内の状況において軍隊が致死的な武力を行使する可能性が認められることにより、生死に関わる可能性のある決定が下される前に適正手続きの保護がどのように維持されるかについての懸念を引き起こす。

選挙の1か月前になぜこのような不吉な変化が起きたのか? 何かが進行中なのか? なぜこの政策変更について報道も議論もないのか?

指令本文はこちら:https://www.esd.whs.mil/Portals/54/Documents/DD/issuances/dodd/524001p.PDF?ver=UpTwJ66AyyBgvy7wFyTGbA%3d%3d

記事はこちら:https://stateofthenation.co/?p=256688

CIAがワシントンポスト紙と報道機関を利用してジョン・F・ケネディ大統領の暗殺を隠蔽して以来、CIAが導入した「陰謀論」という言葉は、売女マスコミと政府によって真実と真実を語る人々を悪者にし、「サダム・フセインの大量破壊兵器」などの公式見解を守るために使われてきた。

トランプが民主党に責任を負わせないという取り決めを民主党としない限り、また特権階級支配層とも彼らの支配に干渉しないという取り決めをしない限り、トランプが大統領になることは絶対に許されないと私は思う。

バイデン政権とトランプ政権時代の司法省(Justiceというのは名ばかりの組織だ)、FBIは犯罪組織だ。法執行機関を武器にした者たちは起訴され、逮捕されるだろう。正直、特権階級支配層やヒラリー・クリントン、ジョン・ケリーなどの有力民主党員は、反乱罪で逮捕されてもおかしくない。トランプとその支持者とは違い、米国憲法修正第一条の転覆を要求して米国転覆を公然と呼びかけているからだ。冗談ではなく、これは反逆罪だ。米国は立憲国家だ。憲法転覆を主張することは、米国転覆を主張することと同じだ。

これは現代における大きな問題なのだが、懸念の声が挙がっていない。このことは、注目され議論されるべき問題を支配者階級がいかに抑圧しているかを示している。

大統領選挙の1か月前に、腐敗したバイデン政権が、米軍から愛国的な将校を追放し、軍が米国民に対して致死的な武力を行使することを許可する指令を出したことは、何かが起こっていることの兆候だ。なぜ、これまでのすべての政策に反するこのような指令が突然必要になったのだろうか?

考えられる展開はこうだ。売女報道機関によるトランプへの攻撃や激戦州での合法的な選挙盗難手続きにもかかわらず、民主党と特権階級支配層がこの選挙を勝つことも盗むこともできないと結論付けた場合、2024年9月27日に発行された国防総省指令5240.01を発動する組織的な偽旗反乱が繰り広げられる。トランプや彼の支持者、共和党は、おそらく一党支配による民主主義の幻想を継続するために必要な偽の野党としてRINO(民主党寄りの共和党員)を除いて、反乱分子として逮捕される。裁判所は執行権限がないため無力であり、クーデターに対する介入は「反乱分子に味方する」と誤って報じられるだろう。

馬鹿げている! 極端だ! 変人だ!と言われるかもしれない。いや、私はそのどれでもない。民主党の役人による米国法と国際法の違反事例をすべて考えてみてほしい。彼らは国内外で逮捕される可能性がある。トランプは、私が述べた取引をしない限り、彼らのほとんどを刑務所に入れることができるため、支配体制にとって脅威となる。民主党と支配者階級は、彼らにとってこれほど危険な人物と運動を大統領にできるだろうか? 無理だろう。

トランプが裏切らない限り、彼は死ぬまで戦うことになる。イーロン・マスクはそれを知っている。マスクはタッカー・カールソンに、トランプが選挙に負けたら自分の刑期はどれくらいになるかと尋ねていたからだ。しかし、ほとんどの米国民は、トランプが選挙に負けたり、選挙が盗まれたり、阻止されたりしたら、アメリカ合衆国で二度と選挙がおこなわれなくなることに気付かないほどお気楽だ。おそらく、今後はスターリン時代のような99.9%の票が支配者によって取られるような選挙がまかり通ることになるだろう。

政府や知識人、支配層が憲法を重んじない国というのは、これらの人々が自国を重んじない国だ。

政府や知識人、支配層が家族や国境、悪を信じず、教育を利用して白人を人種差別主義者、女性蔑視者、国内テロリストとして洗脳し、検閲を利用して公式の虚偽の説明に異議を唱える者が現れるのを阻止する国というのは、米国民が受け入れないとわかっている計画を持っている。そのため、その計画は明言されず、説明を統制することにより、国民にその計画が押し付けられる。私は生涯を通じて、精神生活と性道徳が崩壊する様を見てきた。女性の慎み深さや貞操はもはや存在しない。母親は12歳の娘に避妊薬を飲ませている。女子大生は自活するために、成人男性向けサイトで自身の姿を世界中に見られるよう公開している。そんな公然わいせつ的売春婦と結婚したい人などいるのだろう か。

民主党は憎悪を旗印に掲げている。憎悪されているのは、伝統的な道徳規範を持つ白人異性愛者だ。

白人異性愛者は負けるだろう。なぜなら支配者階級にとっては白人異性愛者の主張など、単なる陰謀論にすぎないのだから。

ジョン・ケリー国務長官、真実省の設置を求める。「憲法修正第1条は、現在、我々にとって大きな障害となっている。」
https://x.com/EndWokeness/status/1840223221120979211?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1840223221120979211%7Ctwgr%5E71707a5f7310aded72cbd2002c82015d77b91234%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.rt.com%2Fnews%2F604922-free-speech-disinformation-kerry%2F

ヒラリー氏、憲法修正第1条は「完全なコントロールを失う」ことを意味すると発言
https://www.lewrockwell.com/2024/10/no_author/we-lose-total-control-clinton-continues-her-censorship-campaign-on-cnn/

「国民を恐れ、西側諸国の指導者たちは検閲に頼る」
https://sputnikglobe.com/20241007/fearful-of-the-public-western-leaders-turn-to-censorship-1120465265.html

ウォールストリート・ジャーナルの編集者エマ・タッカーはこう語った。「私たちはかつてニュースを所有していました。私たちは門番であり、事実も所有していました」と。彼女は、人々は売女報道機関を信用できないことを学んでおり、その結果、売女マスコミは、一握りの腐敗した特権階級が自分たちの企みを押し付けることを許す嘘である公式説明を守るのに苦労している、とも付け加えた。
https://www.zerohedge.com/political/hillary-clinton-desperation-warns-well-lose-total-control-if-social-media-stops-censoring
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「キエフに送る金はあっても、災害に苦しんでいる国民を救う金はないのか」共和党グリーン議員が糾弾

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Unspeakable anger’ in US over Ukraine aid – prominent Republican
マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、米国民を助けるための資金はないが、キエフへの支援金は常に数十億ドルある、と発言
出典:RT 2024年10月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月20日


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2024年10月15日、ジョージア州アトランタのコブ・エナジー・パフォーミング・アーツ・センターで行われた選挙集会で、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領の前で演説するマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党、ジョージア州選出)© Kevin Dietsch/Getty Images


マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、現政権が自国民にひどい扱いをしながらウクライナに何十億ドルも送金しているため、米国民は激怒している、と述べた。

ジョージア州選出のこの共和党議員は、水曜日(10月16日)の夜にアトランタでおこなわれた選挙集会で、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領の、アメリカ国民を襲う災害への対応と、キエフへの資金援助への熱意とを対比した。

「ラハイナ。東パレスチナ。ノースカロライナ州西部」とグリーン議員は、ハリケーン・ヘレンによる壊滅的な山火事、有毒物質を含んだ列車の脱線事故、洪水が発生した場所を挙げた。

「この国の国民たちからは言葉にできないほどの怒りが巻き起こっています。バイデン・ハリス政権は、米国民の命などどうでもいいかのように国民を見捨て、納税者に対してどうでもいいかのような扱いをし、災害にあわれた人達はわずか750ドルの価値しかないという扱いをしてきました」と同議員は語った。

「それなのに、議会はウクライナのためにまたもや600億ドルの小切手を切るつもりです。そうでしょう?」とグリーン議員は付け加えた。米国議会は2022年以来、ウクライナ支援として約1800億ドルを承認している。グリーン議員はこれらの支出案に繰り返し反対票を投じている。

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関連記事:US announces new Ukraine aid package

ハリケーン・ヘレンはジョージア州西部とカロライナ両州で広範囲にわたる洪水を引き起こし、多くの山岳地帯に壊滅的な被害を与えた。町全体が流され、基本的な公共設備の復旧がまだ先で、100人近くが行方不明のままである。米国政府は、適切な書類を提出すれば、被災した米国民に750ドルの財政援助を約束するという対応を取っている。

「この国中で何が起きているのか、お話ししましょう。人々は怒りを爆発させています。米国民をまるで無価値な存在のように扱う愚かな政府に、うんざりし、嫌気がさしています。皆さんも私と同じように腹を立て、うんざりしていることと思います。そろそろ立ち上がる時です。そうすべき時です」とグリーン議員はアトランタの群衆に語った。

米国の大統領選挙と議会選挙は11月5日に予定されているが、ジョージア州など数州ではすでに期日前投票が始まっている。グリーン議員は人々に投票所に行き、現在政権を握っている民主党に反対票を投じることで怒りと不満を表明するよう呼びかけた。

「今回の選挙は白人対黒人、左派対右派、男性対女性、金持ち対貧乏人の戦いではありません。これは連邦政府対あなた方の戦いです」とグリーン議員は群衆に語った。

彼女はまた、従来の報道機関が現政権に有利な偏向報道をしており、米国民を愚か者のように扱っている、と非難した。

「ここにいる人々に、何を考え、何を感じるか、何をすべきかを指図しないでください。国民は報道機関にうんざりしているのです」とグリーン議員は語った。
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「イスラエルに武器を送るな!」ユダヤ人がニューヨーク証券取引所で座り込み抗議。

<記事原文 寺島先生推薦>
Pro-Palestine Jewish activists occupy Wall Street (VIDEO)
抗議者たちはニューヨーク証券取引所の外に集まり、イスラエルへの武器供給の停止を要求
出典:RT 2024年10月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月20日




数百人の親パレスチナ派ユダヤ人活動家がニューヨークのウォール街に集結し、イスラエルによるガザでの「大量虐殺」に対する米国の支援に抗議した。警察によると、デモ参加者数十人が逮捕された、という。

赤いシャツを着て「ユダヤ人はイスラエルへの武器供給をやめろと言っている」や「ガザ爆撃、ウォール街は活況」と書かれた横断幕を掲げた抗議者の一団が月曜日(10月15日)、ニューヨーク証券取引所の外に集まった。他の呼びかけ文句には「大量虐殺ではなくFEMAに資金を」などがあった。FEMAは米国南東部を最近襲った2つのハリケーンの被害に取り組んでいる「アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁」のことである。

「ユダヤ人平和の声」によって組織されたこのデモには、推定500人が参加した。ニューヨーク市警は、抗議者が警備壁を突破した後、206人を拘束した、と発表した。ソーシャルメディアの動画には、活動家らが座り込み抗議活動をおこない、警官らが活動家らの一部を引きずり出している様子が映っているが、衝突や積極的な抵抗の兆候は見られない。

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関連記事: Israeli tanks barge into peacekeeping base – UN

同団体はX上の投稿で、「米国がイスラエルに武器を与えているのは、ユダヤ人を守るためではない。米国は自国の利益と地域支配のためにイスラエルに武器を与えている…(ジョー)バイデン大統領は、今年イスラエル政府に180億ドルの裏金を拠出したのは『ユダヤ人の安全』のためだと私たちに信じ込ませようとしている。ユダヤ人として、私たちは全身全霊でこの神話を否定する。私たちの伝統や歴史、帰属意識がパレスチナ人の虐殺に利用されることを拒否する」と書いた。

この抗議は、米国が日曜日(10月13日)にイスラエルへのミサイル防衛資産と軍隊の新たな配備を発表したことを受けてのものだった。国防総省は、この増強は「イランによるイスラエルへの前例のない攻撃」の余波でユダヤ国家を守るためのものだと述べた。

昨年10月にハマスとイスラエルの戦争が始まって以来、親パレスチナ派の抗議活動(しばしば暴力的になっている)が米国を席巻し、デモ参加者はこの戦闘は、ガザの民間人に対する無差別攻撃だ、と非難している。イスラエルは昨年10月のハマスの奇襲攻撃を受けてパレスチナの飛び地であるガザでの地上作戦を開始した。ここ数週間、イスラエルとヒズボラの間でも緊張が高まっており、イスラエル側がヒズボラの幹部を多数暗殺し、レバノンで地上作戦を開始した。


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バイデン政権は、米国の内政への軍事介入を許可する極めて不穏な指令を発令

<記事原文 寺島先生推薦>
How Do We Get Off the Road to Armageddon?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ  2024年10月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月20日


2日前の10月14日、私は米国国防総省が出した新しい指令5240.01に関する記事を投稿した。この指令は、米軍と米国民の関係を根本的に変えるものだ。大統領選挙の1か月前に発行されたこの新しい指令によると、米軍は米国民に対して介入し、米国民に対して致命的な武力を行使することが許されることになる。
https ://www.paulcraigroberts.org/2024/10/14/the-biden-regime-has-just-issued-a-very-suspicious-directive-permitting-military-intervention-in-us-domestic-affairs/

その記事で私は、民主党が選挙に負けたあとにクーデターを企てているのでない限り、なぜ長年確立された政策をこのように劇的に再定義し直すのか、と問いかけていた。

このような政策の劇的な変化には、私が問いかけた推測的な懸念よりも多くの検討を必要とするはずなのだが、ほとんど注目されていないようだ。

自分たちの自由を守るために前進してくれる最後の手段が軍隊である、と確信している愛国者たちは、この国防総省指令5240.01に警戒すべきだ。

そして、トランプを米国の救世主とみなしている愛国者たちは、この指令に対するトランプの反応に警戒すべきだ。10月13日の「フォックス・ビジネス」のインタビューで、トランプは選挙結果発表後に混乱が起きると予想しているか、と尋ねられた。トランプは「自身の支持者からは混乱は起きない」と答えたが、この発言は民主党が選挙を盗む事態が生じるならば、驚くべき発言だ。トランプは、カマラが敗ければ左派ウォーク派から混乱が発生する可能性がある、と考えているようだが、「必要なら州兵、本当に必要なら軍隊で簡単に対処できるはずだ」と考えているようだ。つまり、トランプ氏は指令5240.01を受け入れた、ということだ。
https://www.theepochtimes.com/us/trump-says-his-supporters-wont-cause-election-chaos-5740625?autoemail=pcr3%40mac.com&utm_source=deployer&utm_medium=email&utm_content=&utm_campaign=new&utm_term=

トランプがこの指令を受け入れたとすれば、その指令が自分に不利になるような使われ方をしたとしても、どうやって文句を言うことができるだろうか?

大統領選挙まであと数日だというのに、トランプ氏はまたもや特権階級の支配者層で構成された助言者たちの掌中にいるようだ。トランプの助言者とは誰なのか? 彼らには常識があるのか? トランプはなぜイスラエルによるパレスチナ虐殺やイラン攻撃に同調しているのか? トランプは軍安保複合体と大イスラエル構想に仕える単なるもう一人の戦争屋にすぎないのか?

トランプは、不均衡な貿易赤字を理由にして中国に敵意を向けるよう国民に訴えている。しかし、米国製造業の海外移転を強制したのはウォール街だった。中国との貿易赤字は、米国企業が海外で生産した製品を米国に持ち帰って販売することで生じているのだ。トランプに、真の問題点を知らせる助言者が一人もいないのはなぜだろうか。

トランプには感謝しなければならない。トランプは米国が苦境にあることを認識しており、この問題に対処しようとする人物として唯一浮上した人物だ。しかしトランプはただの不動産開発業者だ。真の問題点もその歴史も知らない。トランプの最初の任期では、自身が打倒すると宣言していた人々を政府要職に任命し、結果その人々がトランプを打倒したことで、トランプが人を判断する能力に欠けていることが証明された。

国防総省司令5240.01や中国やイスラエルに対するトランプの立場から判断すると、トランプは何も学んでおらず、より優れた助言者もいないようだ。

私の意見では、トランプは何がなんでも大統領になるべきだ。そうなることで、米国はあと4年間は持ちこたえられるだろうからだ。ただそうなったとしても、その結果、我が国が再生する可能性は低い。問題は先送りされることになるだけだろう。

米国民に自分たちが直面している現実を認識させるのは難しい。米国民はあらゆる国民の中で最もお気楽な国民だ。米国民は海と軍事力のない友好国に囲まれて暮らしている。米国民が世界を支配できたのは、第二次世界大戦ですべての好敵手を滅ぼしたからだ。

クレジットカードと学生ローンの借金で暮らしてきた米国民は、苦難を知り始めているかもしれないが、9/11やイスラム教テロリストと大量破壊兵器、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、イランの核兵器、中国の脅威、トランプが牽引した反乱、プーチンによるソビエト帝国の復活、白人至上主義者による奴隷制の復活など、政府から聞かされる欺瞞に満ちた話にもかかわらず、国民の大部分は依然として自分たちを破壊しようとしている政府を信頼している。

では、いま何をなすべきなのか?

何が起きているのか理解できていないお気楽な国民が特権階級の支配層とどう付き合えるというのか?
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イスラエルの崩壊

<記事原文 寺島先生推薦>
The Fall of Israel
筆者:スコット・リッター(Scott Ritter)
出典:Internationalist 360°2024年10月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月18日


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2022年7月13日、テルアビブのベン・グリオン空港でのジョー・バイデン米大統領の到着式。(ホワイトハウス/アダム・シュルツ)

1年前、イスラエルは絶頂だった。今日、イスラエルはその終焉の時を迎えようとしている。


私は以前、2023年10月7日にハマスがイスラエルに対して行なった攻撃について、「今世紀最も成功した軍事襲撃」と題して記事を書いたことがある。

私はハマスの行動を軍事作戦と表現したが、イスラエルとその同盟国は、2001年9月11日に米国で起こった出来事と同規模のテロ行為と呼んでいる。

「この2つの用語の違いには」、私なりの言い方だが、

「雲泥の差がある。10月7日の出来事をテロ行為と決めつけることで、イスラエルは莫大な損失の責任を軍、治安部隊、諜報機関からハマスに転嫁している。しかし、もしイスラエルが、ハマスが行なったことが実際には襲撃であり、軍事作戦であったと認めるならば、イスラエルの軍、治安部隊、諜報機関の能力が問われることになるだろうし、彼らの作戦を監督し指揮する責任を負う政治指導者も問われることになるだろう」。


テロリズムは、消耗戦と威嚇によって勝利を収める戦略を用いる。すなわち、敵を疲れさせ、敵に無力感を抱かせるのである。テロリストは本質的に決定的な実存的対立を避け、むしろ自らの強みを敵の弱みにぶつける非対称戦を追求する。

2023年10月7日よりレバント*を揺るがしているこの戦争は、従来の対テロ作戦とは異なる。ハマスとイスラエルの紛争は、ハマス、ヒズボラ、アンサールッラー(イエメンのフーシ派)、イラク、シリア、イランの民兵組織である人民動員軍など、いわゆる抵抗の軸とイスラエルとの紛争へと変貌した。あらゆる点で地域紛争であり、そのように評価されなければならない。
レバント*・・・東部地中海沿岸地方の歴史的な名称。厳密な定義はないが、広義にはトルコ、シリア、レバノン、イスラエル、エジプトを含む地域。現代ではやや狭く、シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエルおよびパレスチナ国を含む地域を指すことが多い。歴史学では、先史時代・古代・中世にかけてのこれらの地域を指す。(ウィキペディア)

プロイセンの戦略家カール・フォン・クラウゼヴィッツは、その名著である戦争論の中で、「戦争は単なる政治的行為ではなく、本当の政治的手段であり、政治的交渉の継続であり、政治的交渉を他の手段で遂行することである」と述べている。

純粋に軍事的な観点から見ると、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの襲撃は、双方から数千人の戦闘員を巻き込んだ比較的小規模なものであった。

しかし、世界的な地政学的出来事として、それに匹敵するものは現代には存在しない。

ハマスの襲撃は、多くの多様な反応を引き起こしたが、その中には意図的なものもあった。例えば、イスラエル国防軍をガザに誘い込み、そこで勝利することのできない永遠の戦争に閉じ込め、人質行為に対する軍事的対応を支配するイスラエルの二重の原則である 「ハンニバル・ドクトリン」* とイスラエルの集団的懲罰である「ダヒヤ・ドクトリン」**を引き起こした。
「ハンニバル・ドクトリン」* ・・・交渉材料としてイスラエル側の弱みになる捕虜を敵もろとも殺害するという同国の軍事ドクトリン(訳注)
「ダヒヤ・ドクトリン」**・・・「対テロ戦争」においては、軍事目標ではなく、一般市民や基本インフラに対して迅速かつ大規模な被害を与えることが重要であり、そのことによって「テロリスト」に対する支持を失わせ、「テロ」抑制効果を生み出すというものである。(役重善洋。日本中東学会員、京都大学大学院)https://www.james1985.org/topics/gaza/gaza_letters_yakushige.html


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「Bring Them Home」— 2024年1月3日、テルアビブのハイハル・ハタルブタンのチャールズ・ブロンフマン・オーディトリアムに設置されたアーティスト、ナダヴ・バーネアによる巨大な電飾看板。 (Yossipik, Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)

この2つドクトリンは、イスラエル国防軍には殺人的意図のDNAが染み込んでいること、イスラエルの戦争方法、ひいてはイスラエル国家そのものが罪のない者への暴力的性向を内包していることをさらけ出したのだ。そのことで、イスラエル国防軍は「世界で最も道徳的な軍隊」とは真逆であることを世界に示した。

2023年10月7日以前であれば、イスラエルは、その真の姿を外部世界に対して隠しとおせた。ごく一部の活動家を除いて、ほとんどの人は、イスラエルが「テロリスト」を標的にしていることは妥当かつ人道的な行為であると納得していた。

今日、世界はイスラエルが実際にはジェノサイド・アパルトヘイト国家であることを知っている。

このことが新たに世界中に知れ渡ったことの帰結は明白だ。

「中東の顔」を変える

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2023年9月9日、ニューデリーでのG20サミットでインドのナレンドラ・モディ首相に挨拶するジョー・バイデン大統領。(ホワイトハウス/アダム・シュルツ)

2023年9月9日、インドで開催されたG20サミットの席上、ジョー・バイデン大統領は、欧州、中東、インドを結ぶ鉄道、船舶、パイプライン、デジタルケーブル回廊の建設を提案する、「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」という大規模な政策構想を発表した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はバイデン大統領の発表について、IMECを 「我々の歴史の中で最も偉大な協力プロジェクト」と呼び、「地域と世界の統合と協力の新しい時代に我々を導き、その範囲は前例がなく、ユニークである」とし、「中東とイスラエルの顔を変える長年にわたるビジョンを実現するだろう」 と述べた。

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インド、中東、ヨーロッパ経済回廊の創設国と位置を示す地図。(Bourenane Chahine、ウィキメディア・コモンズ、CC BY 4.0)

しかし、世界がイスラエルを犯罪組織とみなすようになった今、IMECはあらゆる意味でもはや終わりを迎えたように見える。イスラエル史上最大の協力プロジェクトであり、中東情勢を変化させる可能性があったこのプロジェクトは、おそらく実現することはないだろう。

一つには、200億ドルを投資しているこの計画の中心的存在であるサウジアラビアは、戦争が終わり、イスラエルがパレスチナ国家を承認するまで、このプロジェクトに必要なイスラエルとの関係正常化はしないと言っている。が、今年初め、パレスチナ国家承認はあり得ない、とクネセト(イスラエル議会)は議決している。

IMECの破綻は、ガザ紛争が始まって以来、イスラエルが被った670億ドルの経済的打撃の一部に過ぎない。

観光業は80%減少した。紅海とアデン湾でフーシ派が展開している船舶阻止作戦により、南部の港都市エイラトは機能しなくなっている。ハマスとヒズボラによる攻撃により、数万人のイスラエル人が家を追われたことや、30万人以上の予備役兵の動員により、安定した労働力が崩壊している。これらの要因がすべて重なり、経済を破壊する問題の嵐が巻き起こり、現在の紛争が続く限り、イスラエルを悩ませ続けるだろう。

結論から言えば、このままではイスラエルは経済崩壊の危機に直面することになる。投資は減少し、経済は縮小し、経済の将来に対する信頼は消え去った。つまり、イスラエルはもはや、退職後の生活や家族の養育、仕事、そして生活の場として理想的な場所ではなくなっているのだ。聖書に登場する「乳と蜜の流れる地」は、かつて存在していたとしても、今はもはや存在しない。

これはイスラエルにとっては生きるか死ぬかの問題だ。

「ユダヤ人の祖国」として存続するためには、イスラエルにはユダヤ人の多数派がきちんと存在しなければならない。イスラエルには1,000万人弱の人々が暮らしている。そのうち約730万人がユダヤ人、210万人がアラブ人(残りはドゥルーズ派やその他のアラブ系以外の少数民族)である。

占領下にあるパレスチナ人は約510万人で、アラブ人とユダヤ人の合計を見ると、ほぼ半々になっている。推定35万人のイスラエル人がEU諸国との二重国籍を持ち、20万人以上が米国との二重国籍を持っている。

同様に、ヨーロッパ系のイスラエル人の多くは、自分、両親、あるいは祖父母がヨーロッパの国に住んでいたことを示すだけで、簡単にパスポートを申請することができる。他の150万人のイスラエル人はロシア系で、その多くは有効なロシアのパスポートを持っている。

二重国籍を維持する主な理由は利便性と経済的なものだが、多くの人々は2つ目のパスポートを「保険」と捉えている。すなわち、イスラエルでの生活が耐え難くなった場合に逃げ込む場所として、である。

イスラエルでの生活は耐え難いものになりつつある。

イスラエルからの逃避

差し替え映像
イスラエル、ロッドのベン・グリオン国際空港の出発エリア、2014年。 (Adam Fagen, Flickr, CC BY-NC-SA 2.0)

イスラエルはすでに、ネタニヤフ政権の政策への不満に起因する移民問題の拡大に苦しんでいた。2023年7月から10月にかけて、ネタニヤフ政権が施行した司法改革への抗議を主な理由として、約34,000人のイスラエル人がイスラエルを離れた。

2023年10月7日の攻撃直後には移民の急増が見られたが(ハマスによる攻撃の翌月には、約12,300人のイスラエル人が永住権を取得して移民した)、2024年の永住権取得者の数は約3万人で、前年度より減少した。

しかし今、イスラエルはヒズボラ、イラクの民兵組織、イエメンのフーシ派から発射される長距離無人機、ロケット、ミサイルによる攻撃をほぼ毎日のように受けている。10月1日のイランによる弾道ミサイル攻撃は、これらの攻撃に対する有効な防御策はないという現実を、すべてのイスラエル人に鮮明に示した。

さらに、イスラエルとイランの対立がエスカレートし続けた場合(イスラエルは大規模な報復を約束している)、イランはイスラエルの重要な生活基盤である発電所、海水淡水化プラント、エネルギー生産・流通センターを破壊すると表明している。つまり、イスラエルは近代的な国家として機能できなくなるだろう。

その時点で、二重パスポートを持つ数十万人のイスラエル人が自らの意思で出国し、保険証書が現金化されることになるだろう。ロシアはすでに自国民に退去を命じている。そして、ヨーロッパのパスポートを取得できる資格を持つ数百万人のイスラエル人がその権利を行使した場合、イスラエルは究極の悪夢に直面することになる。すなわち、ユダヤ人の人口が急激に減少し、人口バランスが非ユダヤ人に大きく傾くことで、ユダヤ人だけの祖国という概念が意味をなさなくなるのだ。

イスラエルは急速に持続不可能になりつつある。概念的(シオニズムの大量虐殺の現実に対して世界は急速に嫌気がさしている)にも。また、実際面(すなわち、経済的および人口動態的な崩壊)でも。

アメリカの見方の変化

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2024年7月22日、ワシントンのウォーターゲートホテルの外で行われたデモ。ネトヤフ首相が同ホテルに滞在していた際。(Diane Krauthamer, Flickr, CC BY-NC-SA 2.0)

これが現在のイスラエルの現実である。1年前には「中東の顔を変える」存在であったのが、今では持続不可能な孤立無援の存在となり、唯一の救いは、米国が軍事、経済、外交面で支援を続けているという事実だけである。

そしてここに問題がある。

かつて米国にとってイスラエルが魅力的であった理由、すなわち、アラブ諸国の不安定な情勢の中で親米的なユダヤ人の飛び地が持つ戦略的優位性は、もはや以前ほど確固としたものではなくなっている。冷戦はとうの昔に終結し、米国とイスラエルの関係から得られる地政学的な利益は明らかではなくなってきている。

米国の単独行動主義の時代は終わりつつあり、モスクワ、北京、ニューデリーを中心とする多極化に急速に取って代わられている。米国はこの新しい現実に適応する中で、「グローバル・サウス」(EU、NATO、および少数の親西太平洋諸国を除く世界) の心をどうつなぎとめるのかの争いに巻き込まれている。

米国の首脳陣が世界の舞台に持ち込もうとしている道徳的明晰さは、イスラエルへの疑問の余地のない継続的な支援によって大幅に霞んでいる。

イスラエルは、2023年10月7日以降の行動において、国際法や人道主義の基本原則とは全く相容れない、ジェノサイド国家であると自ら認めた。

ホロコーストの生存者の中には、現代のイスラエルは、その建国を正当化するのに役立った悪、すなわちナチス・ドイツの残忍で人種差別的なイデオロギーをいま再現していると認識している人もいる。

イスラエルは、近代文明が象徴するものすべてにとって受け入れがたい存在となっている。

世界は徐々にこの現実に目覚めている。

アメリカもそうだ。

今のところ、親イスラエル・ロビーは、彼らのアメリカの後援者の継続的な支持を獲得するための必死の試みで政治的候補者の後ろにその影響力を振りかざし、後衛活動を強化している。

しかし、地政学上の現実から、結局のところ、世界のほとんどの国々から道徳的な正当性を失ったイスラエル国家のために、米国が自殺するようなことはないだろう。

アメリカによるイスラエル支援には経済的な影響が伴う。特に、BRICSフォーラムの引力が増大していることだ。BRICSフォーラムの加盟国および加盟を希望する国のリストには、イスラエル国家に根本的に反対する国々が名を連ねている。

今日のアメリカにおける社会・経済危機の深刻化は、アメリカ国内で顕在化する問題に対処せざるを得ない選挙の現実から、アメリカの指導者たちに新たな政治的現実を突きつけることになるだろう。

議会が海外での戦争、その中にはイスラエルが関与するものも含めて、何十億ドルもの資金を無条件で割り当てることができる時代は終わりを迎えつつある。

政治評論家のジェームズ・カーヴィル*の有名な格言「問題は経済なんだよ、バカが」は、彼が1992年に書いた当時と同じように、今日も強く響き渡っている。経済的に生き残るためには、米国は国内および国際的な優先事項を調整しなければならず、米国民の意思だけでなく、現在進行中のイスラエルによるジェノサイドをおおむね否定する新たな法に基づく国際秩序への適合を求めなければならない。
ジェームズ・カーヴィル*・・・Chester James Carville Jr.。アメリカの政治コンサルタント、作家、そして俳優としても活動しており、アメリカおよび少なくとも海外 23ヶ国の公職候補者のために戦略を立ててきた。民主党員である彼は、ケーブルニュース番組、ポッドキャスト、街頭演説に頻繁に出演する米国選挙の評論家。(ウィキリークス)

選挙の洗礼を受けない政府の公務員、学術界、マスメディアの「既成勢力」に固執する筋金入りのシオニストを除いて、アメリカ人は、もはやイスラエルへの無条件の支持が受け入れられないという新たな政策の現実へと向かっていくだろう。

これがイスラエルにとって最後の一撃となるだろう。

世界的なジェノサイド拒絶の嵐、イラン主導の「抵抗の軸」の持続的な抵抗、経済崩壊、米国の優先事項の再編成という完璧な状況により、イスラエルは政治的に存続可能な国家ではなくなるだろう。この無効化のタイムラインは、イスラエル社会の崩壊のペースによって決まる。1年で起こる可能性もあるし、今後10年かけて展開する可能性もある。

後戻りはない。

イスラエルの終了だ。

そしてそれは2023年10月7日にすべてが始まっていた。この日は世界を変えた日だった。
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スコット・リッター元米海兵隊情報将校は、旧ソ連で軍備管理条約を履行し、ペルシャ湾で「砂漠の嵐」作戦に従事し、イラクで大量破壊兵器の武装解除を監督した。最新の著書は『Disarmament in the Time of Perestroika』 (Clarity Press刊) 。
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WHO「国別保健政策・システム部」部長が「ゲーム脳」について警告、「携帯その他の使いすぎは危険、喫煙と同じように規制を!!」

<記事原文 寺島先生推薦>
WHO calls for legislation against smartphones
保健政策担当者は、各国は若者の電子機器類の使用を制限することを検討すべきだと発言
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


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ジャスティン・パジェット / ゲッティイメージズ


世界保健機関(WHO)の幹部は、若者に及ぼす危害を減らすため、各国はスマートフォンやその他の携帯機器の使用を制限すべきだ、と述べた。

WHOの国別保健政策・システム部門長ナターシャ・アゾパルディ・マスカット博士は、通信機器の過剰使用をタバコ中毒に例えた。

「デジタル機器を使用するのが適切な場所について考える必要があるかもしれませんし、特定のデジタル機器を使用すべきでない場所についても考え始める時期なのかもしれません」と彼女は水曜日(10月3日)、オーストリアのガスタインで開催された欧州健康フォーラムの傍らでポリティコ誌に語った。

同博士は、この措置には、特定地域での喫煙禁止と同様の年齢制限や「立ち入り禁止区域」の設定が含まれる可能性がある、と述べた。

「他のものと同様、これらの機器をうまく効果的に使うことは可能です。しかし、問題のある使用を報告する国民もいるので、注意が必要です」とアゾパルディ・マスカット博士は指摘する。

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関連記事:Russian MPs to back groundbreaking smoking ban – speaker

この専門家は、場合によっては電子機器類が精神衛生に悪影響を及ぼし、教育や「労働力の生産性」を損なう、と強調した。

「証拠を体系的に収集し、何が効果的か、どのような手段を講じるべきかを検討する必要があります」とアゾパルディ・マスカット博士は述べ、「そのための行動や決定をおこなうことは待ったなしの状況にあります」とも付け加えた。

多くの国の医療専門家や政府関係者は、特に十代の若者の間でスマートフォンやソーシャルメディアがほぼ普遍的に使用されていることを踏まえ、電子機器が子どもに与える影響について懸念を表明している。

欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、デジタル時代に蔓延する「過度の画面視聴時間と中毒的習慣」と闘うための対策を策定する、と誓った。同委員長は7月に「若者がネット上の虐待で自傷行為をしたり、自殺したりする話を聞くと、胸が痛みます」と述べた。

いくつかの国では、子どもの画面視聴時間を減らす対策を講じており、オランダ、ハンガリー、フランス、ギリシャ、イギリスなどの国では、教室でのスマートフォンの使用を禁止している。
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英国のタイムズ紙が暴露「腐敗まみれ!ウクライナ軍の徴兵ぶり」

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine’s conscription drive ‘increasingly deceitful, coercive and violent’ – The Times
ウクライナ側は軍隊を強化するために汚い戦術に頼っている、と英国の新聞が報道
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


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軍事訓練を受けているウクライナの新兵。ゲッティイメージズ


ウクライナの徴兵作戦は目標に遠く及ばず、その取り組みは依然として暴力や不信、蔓延する汚職によって損なわれていると、タイムズ紙は木曜日(10月4日)、地元当局者の発言として報じた。

同紙によると、ウクライナ当局はこれまでに約100万人の兵士を召集し、年末までにさらに20万人増やす計画だが、その目標達成は依然として困難だ、という。さらに同紙は、「徴兵強化の取り組みはますます欺瞞的で、強制的で、暴力的になっている」と指摘し、慢性腎臓病のため厳密には兵役を免除されていたが、徴兵事務所に誘い込まれ、結局訓練基地に送られたオデッサの徴兵兵の例を挙げた。

オデッサの匿名の徴兵担当官はタイムズ紙に「必要な人数の20%も動員できていない」と語った。彼は、徴兵要請に応じる意欲が兵士志願者にはほとんどなく、一方で彼の部署は汚職や不正管理、幻滅に悩まされている、と指摘した。賄賂は数千ドルに達することもあり、人員不足のため、職員は街頭巡回など複数の任務を同時にこなさなければならない、ともこの役人は付け加えた。さらに、同職員は、良い成果が得られなければ前線に送られると脅されている、という。

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関連記事:Ukraine struggling with flow of wounded soldiers – CNN


その他の事例では、徴兵要請に応じた人の多くは、結核や肝炎、HIVなどの深刻な健康状態のため、任務に適さないことが判明することが多い、とタイムズ紙の情報筋は語った。

いっぽう、47歳のウクライナ人は、紛争初期に召集されて前線に行くことを熱望していたが、当時は拒否され、今ではその気はない、と語った。「我が国の政府は兵士を支援していない。兵士たちは適切な装備を持っておらず、負傷しても忘れられてしまう」と男性は説明した。

ウクライナは、戦闘勃発直後の2022年2月に総動員を発表し、18歳から60歳までの男性の大半の出国を禁止した。この春、犠牲者の増加に直面したウクライナ当局は、徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げ、徴兵規則を大幅に厳格化し、潜在的な兵役希望者に「データ検証」のための徴兵事務所への報告を義務付けた。

これは実際には前線への切符を意味することが多い。

ウクライナの徴兵計画が激化するにつれ、徴兵忌避も激化し、ソーシャルメディアには徴兵担当者が街頭やジム、商店街で徴兵適格な男性を捕まえようとする動画が溢れ、その中には、小競り合いにまで発展しているものもある。
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ベルリンで反戦集会「ウクライナとイスラエルに武器を送るな!!」動画あり。

<記事原文 寺島先生推薦>
Germans protest against sending arms to Ukraine and Israel (VIDEO)
ベルリンのデモ参加者はロシアとウクライナの停戦と中東紛争終結に向けた努力を要求
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


地元報道機関やソーシャルメディアに投稿された動画によると、数千人がベルリンの路上に出て、ウクライナとイスラエルへの武器供与に抗議するとともに、核戦争の激化の可能性に対する懸念を表明した、という。

さまざまな平和組織や左翼団体が主催したこの集会は、1990年の西ドイツと共産主義の東ドイツ統一を記念するドイツ統一記念日にあたる木曜日(10月4日)に始まった。

抗議者たちは「平和」「二度と戦争を起こさないで」「手榴弾の代わりに外交官を」などの文句が書かれた横断幕を掲げ、パレスチナ人との連帯を表明し、「占領軍によるテロの終結」を訴えたりする呼びかけも見られた。これは明らかにイスラエルのガザでの地上作戦に言及しているもの、と思われる。

数人のデモ参加者がロシアとパレスチナの国旗を掲げていた。横断幕の一つにはロシアやウクライナ、ドイツの国旗が描かれ、その下に「友情」という言葉が書かれていた。また別の横断幕にはオラフ・ショルツ首相を「爆弾首相」と非難する内容のものもあった。



ドイチェ・ヴェレ紙によると、主催者は4万人以上が参加したと主張しているが、警察は「5桁台前半」と述べている、という。警察当局は、抗議活動は大きな事件もなく終了した、と述べた。

関連記事:German chancellor wants to end Ukraine conflict ‘faster’

左翼の扇動者で、最近結成されたザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)党首のザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏も、出席者の一人として存在感を示した。同氏は聴衆に語りかけ、ウクライナ紛争を解決するにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談が必要だ、と強調した。「道徳的な理由でプーチン大統領と話をすることはできないと、いつも偉そうな道徳観で言う人がいるのは本当に腹立たしい」と彼女は語った。

ワーゲンクネヒト氏はさらに、ドイツ政府が外交政策で米国に従っていることを激しく非難し、同国への米国の中距離ミサイルの配備に警告した。

彼女はまた、イスラエルとハマスの戦争についても言及し、「ガザでの恐ろしい戦争犯罪について沈黙を守る人は誰でも、自分は道徳的だなどと言わないでほしい。それは偽善だ。この恐ろしい戦争も最終的には終わらせなければならない」と語った。

ドイツはウクライナに対する最大の援助国の一つとして浮上しており、ウクライナ側に戦車や防空砲、その他の兵器を送っている。ロシアはこうした輸送は紛争を長引かせるだけだとして繰り返し非難している。

ドイツはイスラエルにも大量の軍需物資を輸出している。先月、複数の報道機関は、人道法に違反する恐れがあるとしてドイツの武器輸出が削減された、と報じた。
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「億万長者たちがハリスを支援するのは、トランプにバラされるとまずい一覧表があるからだ」イーロン・マスク談

<記事原文 寺島先生推薦>
Billionaires supporting Harris likely on Epstein list – Musk
スペースX社の最高経営責任者は、民主党大統領候補の支持者らはトランプの勝利を「恐れている」と考えている。
筆者:タマラ・リジェンコワ(Tamara Ryzhenkova)
出典:RT 2024年10月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


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イーロン・マスク氏© ゲッティイメージズ / アンナ・マネーメーカー


スペースX社とテスラ社の最高経営責任者イーロン・マスク氏によると、11月の選挙でカマラ・ハリス米副大統領を支持する大富豪の多くは、共和党のドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利した場合、ジェフリー・エプスタインの顧客一覧が公開されることを「恐れている」可能性が高い、という。

数十年にわたり富裕層や著名人との付き合いがあった金融業者のエプスタイン氏は、2019年に逮捕されたが、その容疑は、有力な知人からなる広範な一連の顧客をカリブ海にある自身の私有島に頻繁に連れていき、そこで未成年を含む若い女性に売春させたことだった。

エプスタイン氏は2019年にマンハッタンの刑務所の独房で不審な状況下で死亡した。彼の死は公式には自殺と判定された。

エプスタインの「顧客」の一覧とFBIが収集したとされるその他の証拠は、その後も厳重に保管されている。

先月、トランプ氏はレックス・フリードマン氏とのインタビューで、11月の選挙で勝利すればエプスタイン氏の「ブラックブック」が公開される可能性があると示唆した。

マスク氏は月曜日(10月8日)、フォックス・ニュースの元司会者タッカー・カールソン氏と対談し、民主党候補のハリス氏は単なる「操り人形」であり、彼女の背後には実際には100人以上の「操り人形師」がおり、そのほとんどをマスク氏は個人的に知っているだろう、と主張した。

さらに、このテック界の大物は、これらの「操り人形師」のトップ100人をエプスタイン氏の顧客一覧と比較するのは興味深いだろうと述べ、そこには「大きな重複」があることを示唆した。

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マスク氏は、一覧が実際に公表される可能性については発言しなかったが、カマラ・ハリス氏がこれほど多くの支持を集めている大きな理由として、トランプ氏が勝利した場合に何が公表されるかについて「多くの億万長者が恐れている」ことが挙げられた。

同氏は、リンクトインの共同設立者でマスク氏の元ペイパル開発担当副社長のリード・ホフマン氏やマイクロソフトのビル・ゲイツ氏といった人々が「エプスタイン事件」を特に懸念しており、司法省は実際に証拠の一部に基づいて「前進」できる可能性がある、と示唆した。

彼はまた、これだけの年月が経ったのに、米国の司法制度がエプスタイン氏の顧客一覧に載っている人物を誰一人たりとも起訴しようとせず、その代わりに1月6日の国会議事堂襲撃に参加した抗議者を追及していることがいかに「衝撃的」であるかを指摘した。

「1月6日の抗議活動に参加した約500~600人が刑務所にいるが、エプスタイン氏の顧客一覧に載っている人は一人もいない」とマスク氏は指摘した。
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アフリカ諸国の支配言語としてのフランス語の盛衰

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Colonization of the soul’: What made a European power fear this language?
長年にわたるフランス語支配の後、旧植民地アフリカ諸国は各国固有の文化に回帰しつつある
筆者:タマラ・リジェンコワ(Tamara Ryzhenkova)
出典:RT 2024年10月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


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第二次世界大戦後、植民地制度は崩壊し始めた。アジアとアフリカの多くの国は、1945年の国連憲章と1960年に採択された国連宣言に定められた自決の原則に従って独立を獲得した。しかし、ヨーロッパ諸国とその政策への数十年にわたる依存は、アフリカやアジアの人々の運命を大きく変え、植民地時代以前に存在していた歴史の展開を崩壊させた。

このような状況は中世を通じて繁栄したアラブとアフリカの関係において特に顕著である。アラビア語やアラブ文化、アラブの伝統はイスラム教の出現直後の西暦7世紀にアフリカ大陸に広がり始めた。

フランスによるアラビア語に対する戦争

19世紀、フランスを含む多くのヨーロッパ諸国がアフリカを植民地化した。当初からフランスはイスラム文化とアラビア語に対して激しい取り組みを展開し、社会生活や学術生活からイスラム文化とアラビア語を排除し、フランス語に置き換えようとしてきた。チュニジアとモロッコで勤務し、アラビア語の専門家でもあった植民地行政官ポール・マーティ大佐は、1927 年に出版された著書「明日のモロッコ」の中でこのことについて書いている。

「私たちは、アラビア語で教育を提供しようとするあらゆる試みやシャリーア(イスラム法)学者による介入、イスラム教のあらゆる表現に厳しく対抗しなければならない。そうするしか、我が国の学校をとおして現地子どもたちを引き付けることはできない。」

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関連記事:La Colonisation: French history of death, torture and indescribable violence in the pearl of its evil empire

フランス当局は、占領地の仏国民が現地の住民とフランス語以外の言語で意思疎通をはかることさえ禁じた。この政策は、フランス当局のより広範な教育および言語政策と一致していた。1870年にフランス第二帝政が崩壊した後、第三共和政はフランス首相ジュール・フェリーが実施した改革 (ジュール・フェリー法として知られる) のもとで、無償の義務教育を世俗教育として実施し、仏領土全体で言語の使用を拡大することもフランスの植民地政策であった。

アフリカでアラビア語が話されてる地域はどこか?

エジプトは、10世紀から12世紀にかけてシーア派のファーティマ朝の統治下で、アラビア語、そしてイスラム教を採用した最初のアフリカの国だった。その後、エジプトと紅海を通じて、アラブ・イスラム教の影響はスーダンとナイル川流域に広がった。

その後の征服や移住形態、貿易の発展により、アフリカ大陸のかなりの部分でイスラム教が広まり、アラブ人とアフリカ人の間の文化関係に大きな変化が起こった。アビシニア (現エチオピア) はキリスト教の信仰を堅持し、アラブ人宣教師の活動を制限しようとしたが、東アフリカの海岸線の残りの部分は、アラブ・イスラム文化の広がりに対してより受容的だった。

ザンジバルやキルワ(現タンザニア)、ケニアの都市モンバサなどの場所に、アラブの貿易拠点が築かれた。12世紀から15世紀にかけて、アフリカ沿岸ではスワヒリ文化が栄えた。これはアラブ人との密接な交流の結果である。アフリカ東岸から、アラブ・イスラムの影響は最終的に、現在のタンザニアやケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国を含む熱帯湖沼地域にまで及んだ。

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2010年1月19日、マリ共和国トンブクトゥ市のジュマ・アル・マジッド文書保存修復センターに展示されている古い文書。© アンドレア・ボルガレッロ/ゲッティイメージズ

マグリブ(北アフリカ)のアラブ化とイスラム化も、7世紀と8世紀のアラブ征服の波の間に始まった。この地域では、アラブ人が地元のベルベル文化に部分的に溶け込み、4つの主要な交易路を通じてアラビア語とイスラム教を大陸の西部と中央部に広めた。最初の交易路はリビアとチュニジアをチャド湖地域と結び、2番目はチュニジアとハウサ諸国を結び、3番目はアルジェリアからニジェール川中流まで伸び、4番目はモロッコからニジェール川の源流まで伸びていた。

アラビア語は、時が経つにつれて、宗教的な礼拝の言語から商業や科学、文化の言語へと進化し、最終的には行政と法律の言語となった。徐々に、アラビア語はアフリカ北岸のアラブ諸国の公用語となった。アラビア語が最も普及したのは、15~16世紀のソンガイ帝国(現在のマリ、ニジェール、ナイジェリア)の時代だった。

何世紀にもわたり、アラビア語はサハラ・サヘル諸国のほとんどで主要言語であり続け、先住民の言語や方言に大きな影響を与えてきた。たとえば、ハウサ語やフラニ語、その他の民族の言語にはアラビア語由来の単語が何百語も含まれており、アラビア文字も書記に使用されていた。

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関連記事:Loathing in the sands: Provoked by European colonizers, these two African nations are now at each other’s throats

アフリカにおけるアラビア語と文化の広がりは、植民地時代のフランス語の広がりとはまったく異なっていた。なぜなら、それらはまったく異なる歴史的時代だったからだ。植民地主義は、経済的に発展していない国々の国民と資源を搾取するために、それらの国々を支配することを奨励したが、中世のアラブ人の征服は、文化的にも経済的にもより進んだ地域で起こった。さらに、アフリカ南部では、活発な貿易と地元住民の間でのイスラム教の広がりによって、アラビア語と文化が自然に広まった。

支配の道具としての国際機関フランコフォニー

1970年、フランスは国際フランコフォニー機構(Organisation Internationale de la Francophonie、OIF)を設立した。この機構は、旧植民地を含む世界中の50か国以上のフランス語圏の国々と7か国の準加盟国、27か国のオブザーバー国を結集している。注目すべきは、OIFへの加盟の第一基準は、国民の間でフランス語が普及しているかどうかではなく、フランスとの歴史的、文化的つながりであるという点だ。

「フランコフォニー」という用語は、フランスの地理学者で作家のオネシム・ルクリュ(1837-1916)が世界の人々を分類するために作った造語だ。彼は特にフランスとその植民地、特にアルジェリアに関する問題に関心があり、言語は多様な文化を結びつける要素であると信じていた。たとえば、フランス本土は、かつてフランスが支配していたカリブ海諸国やアフリカ諸国と強い結びつきがある。この用語が広く普及したのは20世紀後半になってからだが、言語が文化支配の道具となるという概念を反映している。

アフリカに対する完全な支配を確立し、その天然資源を利用することは、アラビア語やその他の主要な国語を軽視しなければ不可能だっただろう。フランコフォニーの批評家は、ヨーロッパの植民地主義者が文化と文明への入り口として推進したフランス語が、実際には植民地主義と人種差別主義の利益に役立ったと主張している。

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政府庁舎とエル・ジェディド・モスク、アルジェリア、アルジェ、フォトクロームプリント、1900年頃。© Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images

アルジェリアの作家ラティファ・ベン・マンスールは、小説「百合とバジルの歌」の中で、アフリカ大陸へのフランスの教育の導入を「魂の植民地化」の試みと表現している。新しい教育者たちは、フランスの軍事的勝利への誇りを植え付け、フランスの詩人や作家を称賛することで、アラブの歴史と文学を人々の集合的記憶から組織的に消し去った。

言語独裁

初等教育と高等教育は、フランスの利益に忠実に仕える世代を教育する強力な手段となった。学生たちはフランス人のように考え行動することを教えられ、その後、卒業生の中から最も適した候補者が選ばれ、各国で重要な指導的地位に就いた。

この政策に基づき、フランスは植民地でフランス語を強制し、同時にアラビア語やその他の現地の言語を疎外し始めた。フランス政府の最も悪名高い方法の 1 つは、他の文化や言語はフランス語より劣っているという考えを植え付け、アラビア語とイスラム教に対する敵意を助長することだった。フランスは、アラビア語を科学や知識、政治の分野から排除しようと努め、アラビア語を地元の特権階級にとって不人気で恥ずべきものにした。

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2010年1月19日、マリのトンブクトゥにあるサンコレ大学、別名サンコレマスジド。 ©アンドレア・ボルガレッロ/ゲッティイメージズ

今日でも、エジプトやシリア、レバノン、マグリブ諸国のフランスの文化・教育機関は、アラブ世界の統一要因となっている古典アラビア語を犠牲にして方言を推進している。

逆に、フランスは国内では、地方の方言を無視してフランス語公用語の推進に熱心に取り組んできた。フランス憲法によれば、ブルトン語やオック語、ロレーヌ・フランコニア語などの他の先住民言語が歴史的に存在していたにもかかわらず、第五共和政の唯一の公用語はフランス語である。この地位を強化するために、いわゆるトゥーボン法が1994年に施行され、政府の公式出版物や広告、企業の通信、商業契約、すべての公立学校、およびその他のさまざまな分野でフランス語の使用が義務付けられた。

OIFが主催する文化行事では、アラビア語はラテン語と同様に死語であるという考え方がしばしば広められている。アラビア語は複雑で理解しがたく、意思疎通や現代文明には不向きで、宗教的な礼拝にしか使えない言語として描かれている。

新しいアルファベット

植民地言語政策の結果の1つは、アラビア文字がラテン文字に置き換えられたことにある。アラビア文字は、ベルベル語やハラリ語、ハウサ語、フラニ語、マンディンカ語、ウォロフ語、スワヒリ語など、いくつかのアフリカ言語で広く使用されていた。しかし、フランスとイギリスの植民地主義者はアラビア文字を組織的に根絶し、1930年代には、ハウサ語やスワヒリ語などの西アフリカと東アフリカの主要言語の本が初めてラテン文字を使用して出版された。

19世紀以降、アフリカの言語でラテン文字の使用を標準化する取り組みが始まった。注目すべき例としては、19世紀半ばにエジプトの象形文字の転写用に開発され、後にアフリカの言語用に拡張されたレプシウス標準文字や、1920年代から1930年代にかけて国際アフリカ言語文化研究所によって開発された国際アフリカ文字などがある。

1960年代から1970年代にかけて、ユネスコはこの主題について、1966年にバマコで、1978年にニアメで、数回の「専門家会議」を開催した。後者の会議では、アフリカ基準アルファベットが開発された。さらに、汎ナイジェリア・アルファベットや、特に北ベルベル語族向けに開発されたベルベル・ラテン・アルファベットなど、さまざまな国家標準化アルファベットが提案された。

反植民地主義言語としてのアラビア語

フランスがアラビア語に反対する取り組みでおこなった最も悪名高い戦略の1つは、コーランとシャリーア (イスラム法) を教えるイスラムの教育機関を閉鎖したことである。フランスはアフリカに古典的なヨーロッパの教育体系を押し付けようとし、占領地から最も著名な人々を選んで参加させる教育使節団を頻繁にパリに派遣した。

伝統的なイスラム教の学校である「マドラサ」を西洋化し、フランス語を導入する取り組みは、地元のイスラム教徒の共同体から強硬な反対に遭った。なぜなら、シャリーア法では、宗教的な礼拝やコーランの朗読中にアラビア語以外の言語を使用することを厳しく禁じているからだ。1911年、フランス領西アフリカ総督ウィリアム・ポンティは、ダカールやサン・ルイなどの都市のイスラム法廷でアラビア語を使用することを禁止する法令を発布した。また、反植民地感情を抑えるためにイスラム文学の出版も禁止した。

アラビア語に対する闘いは、アフリカ諸国の立法府でも封印された。アルジェリアでは、1830 年にフランス占領が始まって以来、アラビア語の教育、書籍や新聞の出版、アラビア語での意思疎通さえも禁止された。1938年3月8 日、当時のフランス首相カミーユ・ショータンは、アルジェリアでのアラビア語の使用を禁止し、アラビア語を外国語とみなす法令を発布した。この法律は、フランス占領中に発布された数多くの法令の1つであり、アルジェリア社会に大きな影響を与えた。

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1832年3月27日、「ボーン(アルジェリア)の占領」。オラース・ヴェルネによる油絵。© Wikipedia


フランスのポスト植民地主義

現在、フランス語は 世界で5 番目に広く話されている言語であり、話者は3億2100 万人で、そのうち 61.8% がアフリカに住んでいる。フランス語は20か国以上で公用語となっている。

OIF以外にも、フランスはアフリカにおける影響力を維持するための手段を数多く持っている。これには、フランスの利益を促進しながらアフリカの問題だけに焦点を当てたテレビやラジオ番組、印刷メディアが含まれる。長年、旧フランス植民地の国民はエールフランス航空かブリティッシュ・エアウェイズしか利用できなかった。アフリカでより多くの航空会社が運行するようになって初めて、多くのアフリカ人が他の国の存在を知ることになった。

フランス企業は旧植民地における重要な経済資産を管理している。たとえばコートジボワールでは、フランス企業が水道や電気、通信、輸送、港、主要銀行など、すべての重要な事業を管理している。貿易、建設、農業についても同様だ。

西アフリカと中央アフリカで使用されている通貨は、フランスで印刷され、その購買力がフランス当局によって決定されるCFAフランのままだ。ユーロに対する為替レートは固定されているが、西アフリカのCFAフランは中央アフリカでは使用できず、その逆も同様で、中央アフリカのCFAフランは西アフリカでは使用できない。

アフリカ金融共同体(la Communauté Financière Africaine)の合意によれば、アフリカ諸国の中央銀行は、フランス財務省の管理下にあるフランス中央銀行のいわゆる「トレーディング口座」に、外貨準備高の少なくとも85%を保管しなければならない。しかし、アフリカ諸国はこれらの資金を完全に活用することはできず、フランス政府は毎年、各国の準備高の15%しか利用できないと決めている。さらに資金が必要な場合は、フランス財務省から追加資金を借り入れなければならない。

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関連記事:Will Africa take its gold from a greedy West?

フランスは1961年以来、ベナンやブルキナファソ、ギニアビサウ、コートジボワール、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、赤道ギニア、ガボンの14のアフリカ諸国の国家保護区を保有している。

フランス語の拒絶

フランスの政治的影響力が弱まっていることを受けて、アフリカのいくつかの国はフランス語の使用をやめつつある。フランス語は、モロッコやチュニジア、アルジェリアなどのマグレブ地域の国々ではもはや公用語ではないが、教育や貿易、経済などの分野では依然として広く普及している。アルジェリアは、特に近年フランス政府との関係が悪化して以来、フランス語を公然と批判している。

サヘル地域では、最近のクーデターを受けて、多くの国が政治や経済、貿易、軍事面でフランス政府から距離を置いている。マリでは、2023年夏にフランス語が公用語ではなくなり、単に仕事で使われる言語となった。対照的に、アラビア語と他の12の国語が公式の地位を与えられた。2023年12月31日、ブルキナファソの暫定国民議会も同様の決定を下し、憲法を改正してフランス語と英語の公式の地位を剥奪し、代わりに地元の諸言語を公用語として制定した。

タマラ・リジェンコワ、東洋学者、サンクトペテルブルク国立大学中東歴史学部上級講師、「アラブ・アフリカ」テレグラムチャンネルの専門家
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2024年10月1日、ジュリアン・アサンジによる欧州評議会総会でのスピーチ、ポール・クレイグ・ロバーツによるコメント付き

<記事原文 寺島先生推薦>
Julian Assange’s Address to the Parliamentary Assembly of the Council of Europe on October 1, 2024, with Comment by Paul Craig Roberts
出典:PCRブログ 2024年10月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月16日


<ジュリアン・アサンジのスピーチ>

「議長、欧州評議会の皆様、そしてご列席の皆様。

最高警備刑務所での長年の監禁から、46カ国と7億人の代表者の前でここに立っているという状況への変化は、非常に劇的で非現実的な変化です。

狭い独房で長年孤独を経験することを、言葉で伝えるのは簡単ではありません。それは自己の感覚を奪い、存在の生々しい本質だけを残します。

私は、自分が経験したことについて、まだ十分に語る準備ができていません。生き残るために、肉体的にも精神的にも必死に闘ったこと、また、絞首刑、殺人、医療の怠慢によって死亡した仲間の囚人たちのことについても、まだ語ることはできません。

私の言葉がもつれ、このような栄えある場において皆さまの期待されるような洗練された発表ができないかもしれません。あらかじめお詫び申し上げます。

孤立は私に大きな影響を齎しました。私はそれを解消しようとしており、こんな状況で自分を語るのは容易ではありません。

しかし、この機会の重大性と目前の問題の重要性を考えれば、私は自分の懸念を脇に置いて、皆さんに直接お話せざるを得ません。私は今日、文字どおり、そして比喩的にも、皆さんの前に立つために長い道のりを旅してきました。

話し合いや皆さんからの質問に答える前に、私はPACE(欧州評議員総会)の2020年の決議 (2317) [https://pace.coe.int/en/files/28508/html] に感謝したいと思います。この決議は、私の投獄がジャーナリストにとって危険な前例を作ったと述べ、国連拷問に関する特別報告者が私の釈放を求めたことを指摘しました。

また、米国当局者が私の暗殺について話し合ったという信頼できる報告に懸念を示し、改めて私の即時釈放を要求したPACEの2021年声明[https://pace.coe.int/en/news/8446/pace-general-rapporteur-expresses-se]にも感謝しています。

私は、法務・人権委員会が著名な報告者であるスンナ・エヴァルスドッティル(Sunna Ævarsdóttir)に、私の拘禁と有罪判決をめぐる状況と、それに伴う人権への影響を調査するよう依頼したことに賛辞を送ります。

しかし、私の場合、国会議員、大統領、首相、ローマ法王、国連職員や外交官、労働組合、法律家や医療関係者、学者、活動家、あるいは一般市民など、数多くの人々による取り組みの多くと同様に、そのどれもが必要なものではなかったはずです。

過去14年間の声明、決議、報告、映画、記事、イベント、募金活動、抗議、手紙などは、どれも必要なかったはずです。しかし、それらすべてが必要だったのは、それらなしでは私は日の目を見ることはなかったからです。

このような前例のないグローバルな取り組みが必要とされたのは、法的保護が存在していたにもかかわらず、その多くが紙の上にしか存在していなかったり、合理的な時間枠ではまったく効果を発揮していなかったためです。

私は結局、実現不可能な正義よりも自由を選びました。何年も勾留され、有効な救済措置もないまま175年の刑に直面した後でした。米国政府が司法取引の合意書に、私が欧州人権裁判所に提訴できないこと、また、米国政府による私の扱いについて情報公開法に基づく請求さえできないことを明記したため、私にとっての正義はもはや実現不可能となりました。

はっきりさせておかねばなりません。私が今日自由の身であるのは、この制度が機能したからではありません。何年もの投獄を経て、私はジャーナリズムを理由に有罪を認めたのです。私は情報源から情報を入手したことを有罪と認めました。そして、私はその情報を人々に伝えたことを有罪と認めました。それ以外のことについては、私は有罪を認めていません。私の今日の証言が、現行の保護措置の弱点を浮き彫りにし、目立たないものの、同様に脆弱な立場にある人々を救う一助となることを願っています。

ベルマーシュの地下牢から出てきた今、真実は識別しにくくなっているように見えます。そして、真実を表現することの土台が破壊され、攻撃され、弱体化され、縮小されてきた期間に、どれだけ多くの基盤が失われたかを思うと後悔の念に駆られます。

私は、真実を語ることに対するより多くの免罪、より多くの秘密主義、より多くの報復、そしてより多くの自己検閲を目にしています。米国政府が私を起訴したこと、すなわちジャーナリズムを国際的に犯罪化するというルビコン川を渡る行為から、表現の自由が冷え込んでいる現在の状況に繋がりを見出さないのは難しいでしょう。

私がウィキリークスを創設したとき、それは単純な夢からでした。世界がどのように機能しているのかを人々に教育し、理解を通じてより良い何かをもたらそうという夢です。

今いる場所の地図があれば、どこに行くかもわかります。

知識は私たちに力を与え、権力者を監視し、正義が存在しない場所で正義を要求することを可能にします。

私たちは、戦争による何万人もの隠れた犠牲者や目に見えない恐怖、暗殺、国家間秘密移送、拷問、大規模監視の計画についての真実を入手し、公表しました。

私たちは、これらの出来事がいつ、どこで起こったのかを明らかにしただけでなく、その背景にある政策、合意、構造を明らかにしたのは一度や二度ではありません。

米国のアパッチヘリコプターの乗組員が、イラク人ジャーナリストとその救助者を前のめりに粉々に吹き飛ばしている悪名高い銃カメラ映像 「巻き添え殺人」 を発表したとき、現代戦争のこの視覚的現実は世界に衝撃をあたえました。

しかし、私たちはまた、この動画への関心を利用して、米軍がイラクで致死的な武力を展開する時期や、上部組織からの承認を得なくても何人の民間人を殺すことができるかについての機密政策に人々の意識を向けることになりました。

実際、私が受けることになっていた175年の刑期のうち、40年はこれらの政策を取得し公開したことに対するものでした。

世界の汚い戦争や秘密工作にどっぷりと浸かった後で私が抱いた現実的な政治的展望は単純なものでした。お互いに箝口令を敷いたり、拷問をしたり、殺し合ったりするのはやめましょう。この基本を正しくすれば、他の政治的、経済的、科学的プロセスが残りの部分を処理する余地ができるでしょう、というものです。

ウィキリークスの活動は、この欧州評議会が掲げる原則に深く根ざしたものでした。

情報公開と国民の知る権利を向上させたジャーナリズムは、ヨーロッパで自然な活動の場を見出しました。

私はパリに居住し、フランスとアイスランドで正式な法人登録を行なっていました。ジャーナリストや技術スタッフはヨーロッパ各地に散らばっていました。フランス、ドイツ、ノルウェーに拠点を置くサーバーから世界に向けて発表していました。

しかし、14年前、米軍はイラクに駐留していた米国の情報分析官で、内部告発者とされるマンニング上等兵を逮捕しました。

米国政府は、私と私の同僚たちに対する調査も同時に開始しました。

米国政府は、違法に工作員をアイスランドに派遣し、情報提供者への賄賂を支払って、ウィキリークスの法的およびジャーナリズムの成果物を盗み、正式な手続きを経ることなく、銀行や金融サービスに圧力をかけて、ウィキリークスの口座を凍結し、契約を解除するように仕向けました。

英国政府もこの報復の一部に加わりました。欧州人権裁判所で、英国政府は、この期間に私の英国顧問弁護士(複数)を違法にスパイしていたことを認めました。

結局、この嫌がらせは法的に根拠のないものでした。オバマ大統領の司法省は、犯罪がなかったことを認め、私を起訴しないことを選択しました。

米国はこれまで、政府情報の公開や入手を理由に出版社を起訴したことは一度もありません。そのようなことを行なうには、米国憲法の根本的な、そして厄介な再解釈が必要となります。

2017年1月、オバマは、同時に、私の情報源の1人であるとして有罪判決を受けていたマニングの刑期も短縮しました。

しかし、2017年2月、状況は劇的に変化しました。トランプ大統領が選出されたのです。彼は、カンザス州選出の下院議員で、元軍需産業幹部のマイク・ポンペオをCIA長官に、また、元CIA局員のウィリアム・バールを司法長官に任命しました。彼らは、MAGA(Make America Great Again)帽子をかぶった2匹のオオカミでした。

2017年3月の時点で、ウィキリークスはCIAによるフランスの政党への浸透、フランスおよびドイツの指導者に対するスパイ行為、欧州中央銀行、欧州経済省に対するスパイ行為、そしてフランス産業全体に対するスパイ行為の常態化を暴露していました。

私たちは、CIAによる膨大な不正ソフトウェアやウイルスの作成、供給網の破壊、アンチウイルスソフトウェアの破壊、自動車、スマートテレビ、iPhoneの破壊を明らかにしました。

CIA長官ポンペオは報復キャンペーンを開始しました。

ポンペオの明確な指示の下で、CIAがロンドンのエクアドル大使館内で私を誘拐し暗殺する計画を立て、私のヨーロッパの同僚を追跡することを許可し、私たちがやっていることは窃盗であり、ハッキング攻撃であり、虚偽だとの情報を広めたことは、今や公になっています。

妻と幼い息子も狙われました。私の妻を追跡するためにCIAの要員が永続的に割り当てられ、生後6カ月の息子のおむつからDNAを入手するよう指示が出されました。

これは、米国の報道機関に語った30人以上の現職および元米国情報当局者の証言であり、さらに、関与したCIA工作員の一部に対する起訴で押収された記録によって裏付けられています。

CIAが、積極的な超法規的・治外法権的手段を通じて、私や私の家族、私の仲間を標的にしたことは、強力な諜報機関が国境を越えた弾圧にどのように関与しているかについての、普通では知り得ないようなことも教えてくれます。このような抑圧は珍しいことではありません。特異なのは、多くの内部告発者とスペインの司法調査のおかげで、私たちはこの件について非常に多くのことを知っているということです。

この欧州評議会は、CIAによる国境を越えた権限乱用と無縁ではありません。

ヨーロッパにおけるCIAによる「身柄引き渡し」に関するPACEの画期的な報告書は、CIAがヨーロッパの地で秘密収容所を運営し、違法な身柄引き渡しを行なっていたことを暴露し、人権と国際法を侵害していたことを明らかにしました。

今年2月、CIAに関するいくつかの暴露情報の情報源とされる元CIA職員ジョシュア・シュルテは、極度の隔離状態のもとで40年の実刑判決を受けました。

彼の房の窓はすべて遮光カーテンで覆われ、ドアには24時間、騒音発生装置が取り付けられており、大声で叫んでも外には聞こえないようになっています。

これらの状況は、グアンタナモ刑務所で見られるものよりもさらに厳しいものです。

国境を越えた弾圧は、法的手続きを悪用することでも行使されます。

このことに対する有効な保護手段がないため、欧州は、欧州内の反対派を追及するために、外国勢力によって相互法的支援や引き渡し条約が乗っ取られる危険にさらされています。

マイク・ポンペオの回顧録を私は刑務所の独房で読みました。その中で、CIAに関する私たちの発表を受けて、ポンペオ前CIA長官が司法長官に私に対する身柄引き渡し訴訟を起こすよう圧力をかけたことを自慢していました。

実際、ポンペオの執念が実り、オバマが終結させた私に対する捜査を米国司法長官が再開し、マンニングを証人として再逮捕しました。

マニングは1年以上も刑務所に収監され、私に対する不利な証言を強要しようとする正式な試みとして、1日あたり1,000ドルの罰金を科せられました。

彼女は結局、自らの命を絶とうとしました。

通常、私たちはジャーナリストに情報源を証言させるよう強制する試みを思い浮かべます。しかし、この場合、情報源であるマニングが、ジャーナリストに不利な証言を強制される立場となりました。

2017年12月の時点で、CIA長官のポンペオは自分の思いどおりに事を運び、米国政府は私の身柄引き渡しを英国に要請する令状を発行しました。

英国政府は、さらに2年間、この令状を国民に秘密にしておき、英国政府、米国政府、そしてエクアドルの新大統領は、私の逮捕に向けた政治的、法的、外交的な基盤を整えるために動いていました。

強力な国家が自国の国境を越えて個人を標的にする権利があると考える場合、強力な保護策が整備され、それを執行する意思のある国家が存在しない限り、その個人に勝ち目はありません。それらがなければ、国家による侵略者が投入できる膨大な物的資源に対して、個人が自分自身を守る望みはありません。

私の事例がまだ十分に悪いとはいえないにしても、アメリカ政府は危険な新たな国際法的立場を主張しました。アメリカ市民だけが自由な発言の権利を持っているとされ、ヨーロッパ人や他の国籍の人々には自由な発言の権利がないというのです。しかし、アメリカは、そのスパイ法がどこにいても彼らに適用されると主張しています。したがって、ヨーロッパにいる人々は、アメリカの秘密法に従わなければならず、アメリカ政府に関しては何の防御もないのです。パリにいるアメリカ人は、アメリカ政府が何をしているかについて話すことができるかもしれません。しかし、パリにいるフランス人がそれについて話すことは、いかなる防御もなく犯罪となり、私と同様に引き渡される可能性があります。

今、ひとつの外国政府が公式に「ヨーロッパ人には言論の自由はない」と主張したことで、危険な前例が作られてしまいました。他の強力な国家も、必然的にこれに追随するでしょう。

ウクライナでの戦争により、ロシアではすでにジャーナリストが犯罪者扱いされていますが、私の身柄引き渡しで示された前例に基づき、ロシアやその他の国が、秘密保持法が侵害されたと主張して、ヨーロッパのジャーナリスト、出版社、さらにはソーシャルメディア利用者を標的にすることを止めるものは何もありません。

欧州域内のジャーナリストや出版社の権利は深刻な脅威にさらされています。国境を越えた弾圧が、欧州で当たり前になってはなりません。

世界に2つある重要な基準設定機関の1つであるPACEは行動を起こさなければなりません。報道収集活動の犯罪化は、あらゆる場所での調査報道に対する脅威です。

私は、ヨーロッパに滞在中に、ある外国に関する真実の情報を求めたこと、受け取ったこと、そして公表したことで、その強国(アメリカ)によって正式に有罪判決を受けました。

根本的な問題は単純です。ジャーナリストは、仕事をしているという理由で起訴されるべきではありません。
ジャーナリズムはけっして犯罪ではなく、自由で開かれた社会の柱です。

議長、そして各国代表の皆様、もしヨーロッパに、真実を語る自由や真実を公表する自由が一部の特権ではなく、すべての人に保証された権利となる未来が欲しいのであれば、私の事例で起こったことが二度と誰にも起こらないよう行動しなければなりません。

私は、この試練の期間中、私を支援してくださった保守党、社会民主党、自由党、左派、緑の党、無所属の議員の方々、そして、私の釈放を粘り強く主張してくださった数え切れないほどの個人の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

イデオロギーや利害によって分断されがちな世界にあって、人間にとって不可欠な自由を守るという共通の誓いが残っていることは心強いことです。

表現の自由と、そこから派生するあらゆるものは、暗い岐路に立たされています。PACEのような規範設定機関が事態の深刻さに目を覚まさなければ、手遅れになるのではないかと危惧しています。

自由の光が決して消えないように、真実の追求が生き続けるように、そして多くの人の声が少数の利益によって沈黙されないように、私たち全員が自分たちの役割を果たすことに尽力しましょう」 。



<PCRのコメント>

ジュリアン・アサンジがスウェーデン、英国、米国の政府の手で苦境に立たされた長年にわたる期間、私は、アサンジに対するすべての告発が虚偽であることを、私が持っていた情報の範囲内で暴露してきた。これらのでっちあげの告発や攻撃は、彼がスウェーデンの女性2人をレイプしたという嘘から、汚職にまみれたエクアドルの後任大統領が米国からの多額の融資と引き換えに、亡命とエクアドル国籍を取り消したこと、英国の「司法」がアサンジに対して人身保護令状の保護を否定したこと、そして、 そして、多くの人々と同じく、私見では、罪状も有罪判決もないにもかかわらず、アサンジを何年も独房監禁にすることで彼を殺そうとしている英国の「正義」、CIAがトランプ大統領の任命した2人の腐敗した高官であるポンペオとバールを利用して、ジャーナリストであるという罪でアサンジを起訴したことなど、すべてにまたがっている。

アサンジのスピーチを読んで、私はこれが氷山の一角に過ぎないことに気づいた。米国政府がアサンジに行なったことは、ディストピア小説にも登場しないほどひどい。

アサンジのスピーチを読み、そして、自分が自由で民主的な国に住む自由な人間であり、説明責任のある政府があり、正義、慈悲、誠実さ、道徳、法の支配がある国に住んでいると、どうして信じることができるのか、自問してみてほしい。

また、彼の起訴のための法的根拠がないので、アサンジを起訴するすべての試みを取り下げたのはオバマ政権下の司法省であり、CIAの圧力の下で事件を再開したのはトランプ政権下の司法省であったことも忘れてはならない。記憶が正しければ、西側ジャーナリズムを構成する売春婦のような輩はアサンジに反対し、つまりこの愚か者たちは自分たちの職業に反対し、保守派の評論家たちはアサンジをロシアのスパイだと非難した。裏切り者を捕まえろ、裏切り者を捕まえろ、と売春婦のようなマスコミや保守派の評論家は叫んだ。

欧州評議会からの圧力と、個人からの寄付によるアサンジの弁護士への資金提供により、CIAはアサンジが「ジャーナリズムを行なったことで有罪」であるという彼の嘆願を受け入れた。私たちは笑うかもしれないが、CIAがやったことは、真実で客観的なジャーナリズムを犯罪化し、それを正式な言説の強制に置き換えるための前例となる可能性がある。アサンジ自身は「ジャーナリストであることに罪を認めた」と言っている。この有罪申し立ては、ジャーナリズムが犯罪である、と言っているのだ。

「偉大なる自由民主主義国家、世界の光」であるアメリカで、今回のアサンジへの措置を理解しようとする人がどれほどいるだろうか。ワシントンがロシアを核戦争寸前まで挑発していることを理解している人はほとんどいないし、アメリカ人の大半は、イスラエルが「イスラム教徒のテロリスト」と再定義したパレスチナ人に対するイスラエルによる容赦ない虐殺を支持しているようだ。

もし人々が無頓着さから解放され、真実と理解に辿り着くことができたとしよう。そのとき人々は、政治的指導者なしで何ができるだろうか?

人々の指導者たちはどこにいるのか? 私が名前を知っているのはドナルド・トランプとマリーヌ・ル・ペンの2人だけだ。 これらの国民の代表者たちに対して、支配体制はどのように反応したのか? トランプは「自由と民主主義」の米国政府によって、4件の刑事告発を受け裁判にかけられている。ル・ペンはフランス民族の代表者として裁判にかけられている。公式の罪状は資金横領だが、彼女のフランス民族国家擁護の主張は、DEI*という支配的イデオロギーでは人種差別主義者となる。それが彼女に対する本当の罪状である。
DEI*と・・・多様性・公平性・包括性 (Diversity, equity, and inclusion)は、すべての人々、特に歴史的に過小評価されてきたグループやアイデンティティや障害に基づいて差別を受けてきたグループのフェアな扱いと完全な参加を促進するための組織的なフレームワークである。(ウィキペディア)

この2人の指導者はどの程度優秀なのだろうか? ル・ペンはかなり優秀なのは間違いない。彼女は長年、激しい攻撃に耐えてきたし、その政党は成長している。おそらくフランス最大の政党だろうが、支配層はそれを政権に就かせない段取りをしてきた。ル・ペンは毎年、裁判にかけられているような感じだ。

トランプは新参者だ。彼は1期目に、打倒するつもりだと思っていた支配体制の代表者たちに愚かにも囲まれて、自分自身が負けてしまった。反対に支配層が彼を倒した。

トランプは、ポンペオやバールのようなゲシュタポ工作員を任命し、唯一まともな人事であったフリン将軍の弁護を拒否したことで、ワシントンを学んだと主張している。しかし、彼は何を学んだのだろうか? 彼は、支配層は大統領よりも権力があり、2度目の大統領選に出馬するなら支配層と仲良くすべきことを学んだのだろうか?

指導者というのは稀にしか現れない。たとえ現れたとしても、民衆の支持を当てにすることはできない。キケロは、ローマの財務官、元老院議員、法務官、法務顧問として、自滅の危機に瀕したローマ市民をまとめようとしたが、その代償として命を落とした。

トランプはアメリカ国民に権力を戻そうとしたが、そのために4件の刑事起訴という罰を受けた。

ル・ペンはフランスの民族性を代表しようとしているが、常に法的な嫌がらせを受けている。

人々自身が自分たちの権利への関心を失い、それを取り戻すために戦う気になれないとき、彼らは自由を失う。

今日、米国では、そして西側諸国全体でも、支配体制の言説や政策に公然と反対するすべての人々に対して、法律が武器として使用されている。法律が国家の手に落ちた今、なぜ民主党は、その武器を手にしているにもかかわらず、選挙でそれを自分たちの手元から奪われることを許すだろうか?

沈没船は進路を変えることはできない。

もし民主党が3度目の国政選挙を盗み、アメリカ国民が再びそれを容認するようなことがあれば、もう次の選挙は行なわれないだろう。アメリカ人は暴政のルビコン川を渡ってしまうのだ。高齢のアメリカ人は遅ればせながらもそれに気づくだろう。暴政のもとに生まれた若い世代は、自由を経験したことがないため、失われたものが何なのかもわからないだろう。こんな風に自由は死んでゆくのだ。
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ウクライナ軍は24時間で200人の死傷者。クルスクでは2万人を失う。

<記事原文 寺島先生推薦>
Kursk attack cost Kiev 20,000 soldiers – Moscow
ウクライナ軍は過去24時間だけで200人の死傷者を出したと国防省は発表
出典:RT 2024年10月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月16日


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ロシア国防省は日曜(10月6日)の最新報告書で、ロシアのクルスク地域への侵攻によるウクライナ軍の死傷者総数が2万人を超えた、と発表した。さらに、ロシア軍は同地域で反撃を続け、ウクライナ軍の同地域への侵入を阻止している、とも付け加えた。

国防省の報告書によると、ウクライナ軍は過去24時間だけで約200人の兵士を失った。また、過去24時間で大砲システムや迫撃砲3門、車両2台を含むウクライナの兵器がいくつか破壊され、ウクライナ兵士1人が降伏した、とロシア軍は指摘した。

ロシア国境地帯での戦闘で死亡したウクライナ兵士の総数は2万800人を超えた、と同国国防省は主張している。ロシア軍の推定によると、8月初旬に開始された作戦でキエフは戦車130台以上、歩兵戦闘車66台、装甲兵員輸送車100台近くを失った、という。

ロシア軍は過去24時間で、同地域内でのウクライナ軍の反撃4回とロシア領への侵入2回の試みを阻止した。

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関連記事:Ukraine’s Kursk ‘provocation’ failed – Moscow

ウクライナ当局は、この攻撃の主な目的はロシアの世論を動かし、ロシア側との和平交渉で有利な立場を得ることだった、と述べている。ウクライナ軍は8月初めに最初の進展を見せたが、すぐに封じ込められた。ロシア軍はそれ以来、侵略軍を徐々にこの地域から追い出している。

侵攻が始まってから約2か月が経ち、ロシア軍は12以上の入植地を奪還した。ロシア側はウクライナ側との交渉の可能性を排除していないが、協議はウクライナ軍がロシア領から撤退した後にのみ開始できる、と述べた。

今週初め、ロシア連邦保安庁(FSB)アレクサンドル・ボルトニコフ長官は、ウクライナのクルスク「侵攻」は失敗した、と述べ、この作戦はロシア軍が2月以来着実に勢力を伸ばしているドンバスでの攻勢からロシアの注意をそらすことにはならなかった、とも付け加えた。

ロシア軍は、ロシア領土の奪還にあたり、西側諸国から供給された重装甲車を含むウクライナの兵器が破壊される様子を映した動画を定期的に公開している。
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ハリケーンを操り、人々の家屋を浸水させ、リチウムを盗む方法

<記事原文 寺島先生推薦>
How to Steer Hurricanes, Flood Homes, and Steal Lithium
筆者:グレッグ・リース(Greg Reese)
出典:Global Research  2024年10月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月16日


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我が国は何十年も前からハリケーンを作り出し、制御し、操縦する技術を持っていた。

「シーラス計画」はハリケーンを改変しようとした最初の公式な試みだった。この計画は米軍の支援を受けてゼネラル・エレクトリック社によって実行された。公式説明によると、この計画はハリケーンの目壁の外側の温度を変えることで強風を弱める、というものだった。この計画は、ヨウ化銀などのさまざまな化合物を雲に散布することで実現した。

1947年10月13日、シーラス計画は海に向かうハリケーンを標的にした。約180ポンドのドライアイスが雲の中に投下された。その後、乗組員は「雲層の顕著な変化」を報告した。するとそのハリケーンは突然方向を変え、ジョージア州サバンナ付近に上陸した。国民は政府を非難した。

ゼネラル・エレクトリック社の大気研究部門の先駆者であり、この計画は気象を兵器として利用する方法を研究するものである、と賞賛していたアーヴィング・ラングミュアも、ハリケーンが方向転換したのはこの計画が原因である、と主張したが、政府は12年間これを否定し続けた。

時間が少し経過してから、この計画が正式に再開された。そして1965年、ストームフューリー計画はハリケーン・ベッツィーを播種(はしゅ)対象とした。その日、このハリケーンはすぐに方向を変え、南フロリダに上陸した。議会はストームフューリー* 計画のせいだとしたが、政府はハリケーンが方向を変えたのは、播種する機会がまったくなく、自然によるものだ、と主張した。そして2か月にわたる議会の公聴会の後、この計画は継続を許可された。
*「フューリー」furyは「狂乱、猛威」の意。

リースによる報告「気象兵器化とハリケーン・イアン*」
*「イアン」Ianは男性の名前

動画を見るにはこちらをクリック。

1997年、ウィリアム・コーエン米国防長官は、地震や火山を含む気象を制御する技術が米国にあることを認めた。米国政府は国立気象局の職員に言論統制命令を出した。

2012年10月、ハリケーン・サンディ*が熱帯低気圧に弱まった後、マイクロ波画像には、サンディがカテゴリー1のハリケーンに成長し、ニュージャージー州に原因不明の「左折」をした直後に太い赤い光線が映し出されたところをとらえていた。
*「サンディ」sandyは「砂のような」の意。

代替エネルギーへの移行には、より多くのリチウムが必要である。米国地質調査所によると、米国には 600 万トン以上のリチウム資源が確認されている。このリチウムの大部分は、ノースカロライナ州キングスマウンテンで確認されている。キングスマウンテンは、世界最大のこの資源の産地の1つであると考えられている。しかし、最大の問題は、そこに住む人々のことだ。そして、人々は静かな町がリチウム鉱山に変わることを望んでいない。

「チェリービルの住民はここ数年、リチウム鉱山の建設計画に反対してきましたが、ここで話を聞いた人は皆、この問題はあまりにも意見が分かれる問題なので、カメラの前で意見を述べるのは無理だ、と言いました。チェリービルは小さくて静かな町です。」
~地元ニュース記者

「この街を小さいままにしておくのは良いことだと思います。」
~匿名の住民

「とても静かなので、ピードモント・リチウム社が近くで計画している採掘事業に反対する声を上げるのをためらう人が多い。」
~地元ニュース記者

「私たちは沈黙している多数派だと思います。お金という点では町に多大な貢献をしている人たちなので、多くの人がこの件について何か発言することを恐れているのだと思います。」
~匿名の住民

昨年、国防総省は、国内の電力供給網向けリチウムの国内生産を増やすため、アルベマール社と9000万ドルの契約を締結した。具体的には、2025年までにノースカロライナ州キングスマウンテンで生産を開始する予定だ。

ここは、聖書に出てくる洪水が起こった地域と同じ場所だ。

連邦政府は外国との戦争や不法移民に何十億ドルも費やしているいっぽうで、米国民の健康と幸福にはまったく関心がない。特に、鉱物資源が豊富な土地に住む人々の健康や幸福には関心がない。
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ポール・クレイグ・ロバーツ「ハリケーン・ミルトンは大統領選挙のために人工的に起こされたのか?」

<記事原文 寺島先生推薦>
Hurricane Milton Is So Unusual That It Does Not Seem Natural
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)博士
出典:Global Research 2024年10月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月16日


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私は気象学者ではない。以下のような気象学者が報告した事実を報告しているにすぎない。

私は四半世紀にわたりフロリダのメキシコ湾岸に住んでいる。これまで何度もハリケーンを経験してきたが、近年のような強烈なハリケーンは経験していない。通常、ハリケーンは大西洋またはカリブ海で発生し、キューバを横切ってメキシコ湾に入り、その後テキサスからフロリダまでのどこかを襲う。

ハリケーン・ミルトンは太平洋で小さな嵐として発生し、メキシコ上空を通過して、メキシコとテキサスの間のメキシコ湾でハリケーンとして現れた。ハリケーンがメキシコ湾で発生するのは珍しいことであり、おそらく前例のないことである。メキシコ湾の暖かい海水は、熱帯低気圧や熱帯暴風雨がカリブ海からメキシコ湾に入るときにハリケーンに成長する場所だからだ。

ハリケーン・ミルトンは日曜(10月6日)の夜にかけてカテゴリー1からカテゴリー5に勢力を強め、現在の持続風速は時速160マイル、突風は時速200マイルに達し、ほぼ巨大な竜巻となっている。

気象学者は、ハリケーンの急速な激化やその他の状況を「前例のない」「非常にまれな」「異常な」と表現している。

ハリケーン・ミルトンがカテゴリー5に



私たちが目にしているのは、メキシコ湾内でカテゴリー 1 のハリケーンとして始まり、一夜にしてカテゴリー 5 になり、さらに激化すると予想されるハリケーンだ。「前例のない」という言葉がぴったりのハリケーンだ。

地球温暖化の支持者は、ハリケーン・ミルトンは地球温暖化の産物だと言うだろう。この仮説を検証してみよう。いくつかの氷河が消え、北極海水路が開いていることから判断すると、地球温暖化がいくらかあることは事実のようだ。(ただし温暖化の証拠は、それが化石燃料技術や牛の群れによって引き起こされたことを証明するものではない。地球温暖化は、単に地球または太陽の通常の加熱と冷却の移り変わりを反映しているだけかもしれないからだ)。

私は地球温暖化には同意するが、その原因については同意していない。温暖化の原因は、ハリケーン・ミルトンが地球温暖化の産物であるかどうかとは関係ない。ここで話題にしている地球温暖化は、一定期間における1度未満の変化の話だ。ハリケーンがカテゴリー1からカテゴリー4または5に変化したのは最近の話である。時間の経過とともに気温がわずかに上昇するだけで、ハリケーンの強度が突然大幅に増加することの理由はつかない。

これを説明できる人はおそらく皆無だろう。

本日のゲストセクションでは、政府による数十年にわたる気象操作の実験と歴史的に認められた例について、事実に基づいた簡潔な報告を2件提供する。政府の介入の結果、ハリケーンの強さが劇的に強まるだけでなく、進路が著しく変化することもお分かりいただけるだろう。

ハリケーン・ヘレンとハリケーン・ミルトンがフロリダ州と南東部の人々がトランプに投票する能力を奪ったのは単なる偶然だろうか? 物理的な投票所はもはや存在しない。米国郵便局は影響を受けた地域への郵送投票用紙の配達を停止した。

破壊されたノースカロライナ州の町々のあった土地が、現在リチウム採掘会社に利用可能となっているのは単なる偶然だろうか?

共和党支持の州に試練が与えられたのは単なる偶然だろうか?

米国は圧政に追い込まれている。愚かな米国の女性たちは、選挙の争点は中絶だと考えているが、それはトランプやカマラの問題ではなく、司法の問題だ。

馬鹿な保守派は、争点は財政赤字か、核戦争の危険を冒してロシアや中国、イランに立ち向かうことだと考えている。

愚かなウォーク派のリベラル左派は、その結果生じる混乱が制御不能であることを理解せずに、これが権力を盗む好機だと考えている。

客観的に米国を見てみると、おそらく支配層の操り人形に過ぎず、現実とは何のつながりもない政府であることがわかる。民主党政権は、白人系米国民を「トランプを支持する嘆かわしい人々」「人種差別主義者」「白人至上主義者」「民主主義への脅威」「ロシアの手先」などと非難し、積極的に白人系米国民を破壊しようとしている。

元米国上院議員で国務長官のジョン・ケリーが、憲法修正第1条の廃止を訴えている。ヒラリー・クリントンや多数の大学の法学部長や学部長もこれに賛同している。ニューヨーク・タイムズ紙の「1619プロジェクト」も賛同している。米国の大学や公立学校の教育課程もこれに賛同している。

私はよく、学校の理事会に出席して、子どもたちが人種差別主義者だと教化されることに抗議し、子どもたちが間違った身体に生まれたかもしれないと教化されることに抗議し、思春期を迎えるずっと前に子どもたちが性的対象化されることに抗議してきたが、抗議のせいで会議から追い出されたり警察に逮捕されたりする親のうち、どれだけの親がまだ民主党に投票するのか疑問に思う。彼らの大多数は、それでも民主党に投票するだろうことに私は賭けてもいい。

米国民は自由人であり続けるには無頓着で愚かすぎるのではないか、と思わずにはいられない。

もちろん、ウォーク派の民主党の自由の定義では、ジョン・ケリーとヒラリー・クリントンが明らかにしたように、自由とは民主党が言説を管理下に置くことと同意である。

民主党の有力者や法科大学院の学長らが憲法修正第一条を攻撃しても騒動が起きないのは、われわれにとって警戒すべきことだ。憲法修正第一条は、米国民の無頓着さのもう一つの犠牲者になりそうだ。
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9/11を実行したのは、イスラエルである。

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel Did 9/11
筆者:ワイアット・ピーターソン(Wyatt Peterson)
出典:The Unz Review 2024年9月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月15日


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2004年9月11日、ニューヨーク・タイムズ紙は9-11同時多発テロ発生から三年経った節目としてある意見記事を出した。その記事は、その日に起こったことについての重要な事実が政府諸機関により隠蔽され続けていることの認識から書き始められていた。

「9/11発生以来3年間、私たちが認識し始めた事実は、何が起こったかが分からなくても何が起こったかを知ることは可能である、という点だ。つまり、個人や人々が知っている事実と真に公開されている事実の間には差異がある、ということだ。9/11調査委員会が出している報告は、私たちが公式に知る必要がある情報の一部である。それ以外の答えは不足している」

全国紙がこのような書き方をした記事を載せるのは尋常ではない。米国民が、世界を変えるような大事件について、公共の福祉に奉仕するものとして選ばれた政府がついたウソを飲まされざるを得なくなっている状況を示唆することは、この報道機関には、この日に本当に起こったことを突き止め、その責任者を追求する意思がないことを示している。三千人近い米国民が白昼殺されたのに、世界の人々にはありえない説明しか与えられなかったのに、事件からまだ3年しかたっていなかったあの時点で、ニューヨーク・タイムズ紙は誰が、なぜあのようなことをおこなったかの調査に踏み切ろうという意思は持っていなかった。

米国に真に真摯な報道機関が存在するのであれば、あんなあからさまな攻撃を起こした下手人らが無罪放免で逃げ切れるような事態にはならなかっただろうし、「カッターナイフしか持っていなかった19人のアラブ人が世界最強として知られていた最も洗練された技術を持つ最先進国米国を出し抜いた」という明らかにおかしい嘘話がまかり通ることはなかっただろう。公式説明が真実ではありえないことを示す基礎情報は無数に存在しているのに、報道機関は最大限の努力を払ってその全ての証拠を無視し、 不都合な真実を提示するものは全て、呪わしい「陰謀論者」である、として誹謗中傷してきた。驚くべきことに、2001年9月23日という早い時期に、政府の公式説明に異論を唱え、19名の「乗っ取り犯」のうち5名は生きており、サウジアラビアやモロッコで無事に暮らしており、9/11の朝に、ニューヨークやワシントンDCの近くにはいなかったことがわかった、という記事が報じられた。この衝撃的な報道があったにもかかわらず、この19名の顔や名前は、9/11の実行犯であるという事実が変えられることはなく、この衝撃的な報道は、それ以外の他の多くの報道と同様にオーウェルの小説に出てくる「空白の記憶の穴」に急いで放り込まれた。

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そうなれば、聞きたくなるかもしれない。「では本当にやったのは誰なのか?手段と動機、機会をもっていたのは誰なのか? 誰が9/11という衝撃的な犯罪を起こし、その後、自分たちの痕跡を隠そうとしたのか?」と。

では、手始めに、ウサマ・ビン・ラディンと彼の手下である中東の40人の盗賊は容疑者から外して問題なかろう。これらの二流悪党には洗練さが欠けており、9/11に匹敵するような大それた事件を起こせる執行機関も持っていなかったからだ。実際、FBIの「最重要指名手配者のテロリスト」とされたビン・ラディンポスターには、9/11に関することは全く記載されておらず、書かれていたのは1998年の2件の米国大使館爆撃事件のことだけだった。記者にその理由を問われたFBIの当時のレックス・トゥーム捜査活動担当部長は、以下のように返答した。「ウサマ・ビン・ラディン容疑者について、9/11の件が記載されていない理由は、FBIにはビン・ラディン容疑者と9/11を結びつける確固とした証拠を有していないからです」と。多くの米国民には知られていないことだが、1980年代のソ連によるアフガニスタン侵攻の際、ウサマ・ビン・ラディンの名はCIAの工作員名簿に記載されており、ビン・ラディン一族は米国支配者層内の何人かと仕事上の繋がりを持っていた。(1978年、ジョージ・W. ブッシュとウサマの兄サーレム・ビン・ラディンは、テキサスに拠点を置くアルブスト・エネルギーという石油会社を設立した。ビン・ラディン一族とブッシュ一族は長期に渡って仕事上の付き合いを持っていた。)

9/11のような激しいテロ事件の首尾は、標的となる観衆を騙すためにどんな煙幕をまくかにかかっている。背が高く、浅黒い肌の色をして、ターバンを頭に巻いたビン・ラディンの姿は、米国民にとって、テロリストの見本となるくらいの完璧な風貌だった。9/11が起こるまで何年もかけて、ハリウッドはテロリストのこのような典型的な風貌を民衆に植え付け、このような姿の刷り込みは意図的な効果を狙ったものだった。ランド研究所のブライアン・ジェンキンスは、1974年に以下のように語っていた。「テロ行為の目的は、それを見ている人々を標的にしたものであり、実際に被害を受けた人が標的ではありません。テロ行為とは劇場で見せる出し物のようなものなのです」と。9/11などのテロ事件について調査する際は、これらのことばを念頭に置く必要があり、これらのテロ事件の多くが、「SITE諜報団」のリタ・カッツのようなイスラエルの工作員により説明されていることにも注意が必要である。

9/11のような作戦の遂行に何が伴うかについては、攻撃の直後に、ドイツの国内諜報機関である連邦憲法擁護庁長官のエックハルト・ヴェルテバックからいくらかの洞察が得られていた。ヴェルテバックは2001年後半、調査記者のクリストファー・ボリンに対し、「致命的な精度」と「計画の大規模さ」には、国家情報機関の「固定された枠組み」が必要だったはずだが、それはアルカイダのような「緩やかな集団」のテロリストには見られないものだ、と語った。その後まもなく、ドイツ情報機関の元長官アンドレアス・フォン・ビューローもボリン記者に次のように語っていた。「攻撃の計画は、技術的にも組織的にも見事な成果でした。数分から1時間以内に4機の巨大飛行機を乗っ取り、複雑な飛行操作で標的に突っ込むことは、国家情報機関の長年の支援なしには考えられません」と。元CIA分析官で米国務省の対テロ対策副局長だったラリー・ジョンソンは、今回の攻撃について「歴史上、これに匹敵するものはありません。これに近いのは旧ソ連の諜報活動だけです」と語り、ドイツ側の評価にかなりの信憑性を与えている。

明らかに、9/11攻撃は、成功させるには何年もの計画と、政府や軍、報道機関からの膨大な支援を必要とした極めて高度な作戦だった。無国籍の寄せ集めの過激派組織が、大した抵抗もなく、これほどの規模の犯罪を遂行できたというのは、まったく笑止千万だ。

得をしたのは誰なのか?

「我々はツインタワーとペンタゴンへの攻撃、そしてイラクにおける米国の戦争から利益を得ている。」—ベンヤミン・ネタニヤフ、「ネタニヤフ首相、9/11攻撃はイスラエルにとって良いことだと発言」ハアレツ紙(2008年4月16日)

9/11のようなテロ行為が起きたとき、常に問われるべき質問は「誰が得をするのか」である。誰が得をするのか。これが非常に重要な質問である理由は、歴史が「犯罪から得をするのは、その犯罪を犯した本人である可能性が高い」と教えているからだ。2万人以上が死亡したと思われた9/11の日に、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はニューヨーク・タイムズ紙の記者ジェームズ・ベネットのインタビューに驚くほど前向な態度を示していた。

「今夜、この攻撃が米国とイスラエルの関係にどのような意味を持つかと問われ、ベンヤミン・ネタニヤフ元首相は『非常に良いことです』と答えた。その後、彼は『まあ、非常に良いというわけではありませんが、私の言っていることには、おいおい共感が得られるでしょう』と発言を訂正した。」(『テロの日:イスラエル:流された血は両国を近づける絆とみられる』ニューヨーク・タイムズ紙、2001年9月12日)

さて、自分自身に問いかけていただきたい。たったいま起こったことを、どんな理由があろうとも「とても良い」と正気で評する人とはどんな人だろうか? 答えは、この残虐行為に何らかの利益を見出した人だけだ。7年の間隔を置いておこなわれた、上記に引用したネタニヤフ首相の率直な発言から明らかになったのは、9/11 がイスラエルにとって間違いなく有益であったことを私たちに伝えている、という点だ。私が最近書いた記事「ビビ(ネタニヤフ)の対テロ戦争計画」で説明したように、イスラエルの戦略家たちは、イスラエルのための戦争を仕掛けるために、長い間、米軍を中東に引きずり込もうとしていた。必要なのは、適切な口実だけだった。

2001年9月11日までに起こっていたこと

「米国とヨーロッパのすべての諜報機関は、モサドがこの悲惨な攻撃を計画し、実行したことをよく知っている...」 — フランチェスコ・コッシガ、元イタリア大統領、コリエーレ・デラ・セラ(2007年11月30日)

イスラエルがこの攻撃を予知していたことを示す最も古い兆候の一つは、1979年にユダヤ系米国人のマイケル・エヴァンス記者がモサドの創設者イッセル・ハルエルにおこなったインタビューで明らかになった。エヴァンス記者はエルサレム・ポスト紙(2001年9月30日)で次のように回想している。

「私は元モサド長官イサル・ハルエル氏とアラブのテロリズムについての会話を交わした。彼が私に熱いお茶とクッキーの皿を手渡したとき、私は彼に尋ねた、「テロ行為が米国に来ると思いますか、もしそうなら、どこで何のために起こるのでしょうか?」と。ハルエル氏は米国からの訪問者である私を見てこう返答した。「私はテロ行為があなた方の米国で発生することを心配しています。米国にはテロと戦う力はあるが、意志はありません..」と。そしてテロの発生場所について、ハルエル氏は続けて、「ニューヨーク市は自由と資本主義の象徴です。テロリストはエンパイア・ステート・ビルディングを攻撃する可能性が高いです。というのも、その建物が米国で最も高いビルであり(それは間違いだが)、そして米国の国力の象徴だからです。21年後、ハルエル氏の予言の最初の部分が現実になった。違ったのは、ワールド・トレード・センター(WTC)のツインタワーはエンパイア・ステート・ビルディングよりもはるかに高かったことだけだった。

1987年、イサル・ハルエル配下の上級工作員の二人、ピーター・ツヴィ・マルキンとアブラハム・シャローム・ベンダーは、ワールド・トレード・センター(WTC)の警備契約を獲得した。それは両名がシャウル・アイゼンバーグの所有するテルアビブの「アトウェル・セキュリティ社」という会社で働いている間のことだった。マルキンとベンダーは、何十年にもわたってハルエルの下で働き、プルトニウム密輸や1960年のアルゼンチンからのアドルフ・アイヒマンの誘拐など、モサドの極秘任務に関与していた。ハルエルは、ダモクレス作戦の一部としての彼の活動が暴露されると、最終的にモサドの長官の辞任を余儀なくされた。その中には、手紙爆弾の郵送や、エジプト人と一緒にロケット計画に取り組んでいたドイツ人科学者の暗殺などが含まれていた。

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モサドの工作員、アブラハム・シャローム・ベンダーとピーター・ツヴィ・マルキンは、1987年に、シャウル・アイゼンバーグ所有のテルアビブにあるアトウェル・セキュリティ社の代表として、WTCの警備契約を確保した。

ピーター・マルキンとシャローム・ベンダーのアトウェル・セキュリティ社の上司、億万長者の大物シャウル・アイゼンバーグは、極東で非常に強力なモサドの工作員で、ユダヤ人テロリスト集団である「イルグン」と「上海ベタール」の結成を支援した。彼はまた、1970年代を通じてヘンリー・キッシンジャーと緊密に協力し、ポル・ポトのクメール・ルージュのような血に飢えた共産主義暴力組織に武器を密輸した。これらの人々は、さかのぼること1987年から世界貿易センターの警備契約を獲得しようと試みていた不愉快な人物であり、その契約により、ニューヨークの空港や港湾、通勤電車の支配権も得られるはずだった。1984年にイスラエルの国内治安機関シン・ベットの長官を務めていたベンドールが2人のパレスチナ人の10代の青年を殺害した罪で有罪判決を受けたことをニューヨーク港湾局が発見し、取引を中止するまで、すべてが計画どおりに進んでいた。この小さな挫折にもかかわらず、ベンダーはジュールズ・クロールとモーリス・グリーンバーグ所有の会社クロール・アソシエイツ社で働き続け、1993年にFBIが扇動したトラック爆破事件の後、世界貿易センター複合施設の警備契約を獲得した。

民営化

シオニストが世界貿易センターの警備契約を手にしたことにより、次の目標は、この巨大な建造物の所有権を獲得することへと移った。

1972年に開業した日から、ツインタワーはニューヨーク・ニュージャージー港湾局の国営所有となっていた。しかし、2000年までに、市の役人は、修復に何十億ドルもかかると考えられていた時代遅れのアスベストだらけの物件を捨てることを熱望していた。ロナルド・ローダーは、パタキ知事傘下のニューヨーク州民営化委員会とニューヨーク州民営化研究評議会を率いた人物で、最終的にWTC第1と第2ビルを初めて私有化することを決定したのも彼だった。ローダーは、世界ユダヤ人会議の長年の議長であり、ベンヤミン・ネタニヤフが政治界で目立つ存在になったことに最も責任のある人物である、と言われてきた。彼は、ヘルズリヤの学際的センターへの資金提供を通じてイスラエルの諜報機関とつながりがあり、そこでローダー政治・外交・戦略学校を設立した。さらに、ローダーと彼の良き相棒エフード・バラクは、ジェフリー・エプスタインが関わっていた世界規模の悪ふざけの背後にいる原動力となったレスリー・ウェクスナーの「メガ・グループ」の一員だった。

WTC複合施設の民営化は、超シオニストのラリー・シルヴァースタインとフランク・ローウィが、2001年7月にこの施設の99年間の賃貸権を購入する道を付けることになった。そしてその契約には、テロ攻撃を受けた場合に両者の補償範囲を倍増させるように条件を変えられた保険契約も含まれていた。これらの施設には、ジュールズ・クロールとモーリス・グリーンバーグが所有していたエース・リミテッドとマーシュ・マクレナンが保険をかけていたが、その後まもなく、他のさまざまな企業にその負債を売却していた。これらの負債を購入した人々はその後すぐに打撃を受けることになった。9-11の攻撃後、シルバースタインは、これらの施設を購入するために1400万ドルしか出していなかったにもかかわらず、45億5000万ドルの保険金を授与されることになった。それは、我が国の祖先が「ユダヤ人の稲妻*」と呼んできたものの典型的な事例だった。シルヴァースタインはベンヤミン・ネタニヤフと個人的に非常に親しい友人であり(ハアレツ紙は、彼らが何年もの間、毎週日曜日に電話で話していた、と報じている)、フランク・ローウィはかつてイスラエルのゴラニ旅団と地下テロリスト集団ハガナーの一員だった。ニューヨーク港湾局の会長、ルイス・アイゼンバーグ(ネタニヤフのもう一人の取り巻き)が取引を交渉し、シルバースタインとアイゼンバーグの両者は、米国最大のイスラエルの資金調達機関であるニューヨーク統一ユダヤ人アピール(UJA)連盟の役員だった。これらの証拠だけでは不十分とお考えの方に申し添えるが、当時のルイス・アイゼンバーグの上級顧問、マイケル・グラスナーは、巨大シオニスト・ロビー団体、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)の南西地域政治部長だったのだ!
*ユダヤ人の稲妻・・・ユダヤ人が不正な申し出により保険金を不当に入手する様を揶揄した表現

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9/11後、WTCの共同所有者ラリー・シルバースタインは、この施設を購入するために1400万ドルしか出していなかったにもかかわらず、彼には45億5000万ドルの保険金が支払われた。

WTC1&2の賃貸権を保有していたことに加えて、ラリー・シルヴァースタインは、9/11の午後5時20分に、飛行機にぶつからなかったにもかかわらず、自由落下速度で不可解な崩壊を見せた「ソロモン・ブラザーズ・ビル」であるWTC 7を所有していた。2002年9月10日の米国のTV局であるPBS局の「米国・再建」という番組で、シルバースタインは、事前に仕掛けられた爆発物を使って建物が取り壊されたことを認めるような発言をおこない、以下のように回想していた。

「消防署の司令官から電話があり、彼らは火を封じ込めることができるかどうかわからない、と言ったのを覚えています。私が言ったのは『ご存知のように、私たちはひどい人命の損失を出したので、最も賢明なことはこれ以上被害を出すことを回避することです』ということでした。そして、消防団は撤退するという決定を下し、私たちは建物が崩壊するのを目にすることになったのです」と。

FDNY(ニューヨーク消防局)のダニエル・ニグロ局長は、シルバースタインが語った状況の際の司令官だったのだが、その日、シルバースタインと話したことはなく、シルバースタインと話した人も知らない、と発言している。
以下の動画を参照



「私はシルバースタイン氏の発言をよく知っていますが、私の記憶の限りでは、その日、私は彼とは話をしなかったし、彼と話をした、と私に言った人がいた記憶もありません」と。

予知と準備

「1948年3月、『パレスチナの兵力要件』に関する統合参謀本部の文書は...「シオニストの戦略は、ユダヤ人の最大の目的を確保することを意図した一連の作戦を絶えず拡大し深めることに米国を巻き込もうとするだろう」と予測した」 — スティーブン・グリーン、Taking Sides: America's Secret Relations with a Militant Israel (1984)

イスラエルが9/11攻撃を予知していたことを示す多くの兆候がある。

・ 9月11日の攻撃の直後、5人のイスラエル人が逮捕され、71日間拘留された。ABCニュースによると、最初の飛行機がノースタワーに衝突したとき、この男たちは写真を撮影し、祝福していた。そしてハアレツ紙(2001年9月17日)は、彼らが「歓声を上げ」、嘲笑の叫び声を上げている姿を目撃されたと報じ、その姿を不審に思った目撃者が警察に通報することにつながった、という。男たちはその日の午後遅く、ニュージャージー州バーゲン郡の警察に逮捕され、彼らは複数の外国のパスポートやカッターナイフ、現金4700ドル、そして彼らと陰謀を結びつける疑わしい印が付けられた地図を所持していたことを明らかにした。さらに、バンを検査するために連れてこられた爆弾探知犬は、爆発物の残留物を検出した。バーゲン郡警察署長のジョン・シュミディグは報道機関にこう語った。「ニュージャージー州登録と側面に書かれた白いシボレーのバンを警戒するように警告を受けました。 9-11テロ後に、リバティ州立公園で祝う3人の人物が目撃されました。3人は飛び跳ねていた、とのことでした」と。ニュージャージー州の新聞「ベルゲン・レコード」紙は、翌日の記事でこの事件について報じ、同紙のパウロ・リマ記者は、情報源からの話として、こう記した。「彼らが乗っていた車には何カ所かに印が付けられた地図があった。彼らは9-11のテロに夢中になっているように見えた。何が起こるか分かっているような感じで、リバティ州立公園で過ごしていた」と。後に明らかになった事実は、二人の男、シヴァンとポール・カーツバーグは、モサドの下で働いており、他の男たち、ヤロン・シュミュエル、オデッド・エルナー、オメル・マラマリも、諜報機関と繋がりを持っていたことだった。それ以来、彼らは「踊るイスラエル人」として知られるようになった。

彼らが働いていたニュージャージー州に本拠を置く会社、アーバン・ムービング・システムズ社は、モサドの代理施設であるとして知られていた。信頼度の高いユダヤ系新聞「ザ・フォワード」紙(2002年3月15日)は、アーバン・ムービング・システムズ社がFBIによってイスラエル諜報機関の隠れ蓑として認識されていたと報じ、CIAの対テロ作戦責任者ヴィンセント・カニストラーロは、CIA内ではこの事実が常識である、と明言した。当局に一度尋問された後、アーバン・ムービング・システム社の所有者であるドミニク・スーターは、すぐに店を閉め、事務所の掃除さえ怠るほどの慌ただしさでイスラエルに逃げ帰った。同社を訪れたABCニュースの記者たちは、その光景を「まるで大急ぎで閉鎖されたかのようだった。携帯電話が転がっていた。事務所の電話はまだ接続されていた。そして、何十人もの顧客の財産が倉庫に残っていた」と報じた。(出典:ABCニュース、2002年6月24日)

この攻撃を撮影し、祝福したとして逮捕された5人の男たちは、71日間拘留され、その後、司法次官補でイスラエルの二重国籍者であるマイケル・チャートフの指示でイスラエルに釈放された。ハアレツ紙の報道によると、「二人の著名なニューヨークの議員」が彼らのために激しいロビー活動をおこなったとのことであり、オンライン雑誌「カウンターパンチ」のクリストファー・ケッチャム記者(2007年3月7日)によると、他ならぬジェフリー・エプスタインの不名誉な弁護士アラン・ダーショウィッツが、米国政府との事態を円滑にするために個人的に介入した、という。イスラエルに戻ると、5人のうち3人はヤイール・ラピドのテレビ番組に出演し、米国での生活について話した。彼らが犯罪現場のすぐ近くで何をしていたのかと尋ねられたとき、オデッド・エルナーはこう答えた。「私たちの目的は、その出来事を記録することでした」と。

(動画は原文サイトをご参照ください。訳者)

5人の「踊るイスラエル人」のうち3人は、ヤイル・ラピドのテレビ番組に出演し、彼らが9/11に「事象を記録する」ためにニューヨークにいたことを認めた。

* 9/11攻撃に対する警察の対応を監督したNYPD(ニューヨーク市警察)の署長は、バーナード・ケリックだった。ケリックは、9/11にニューヨークで逮捕されたイスラエルの工作員の報告と矛盾するような情報が自身の警察署から出てくるのを阻止していた。9/11の二週間も前の2001年8月26日、ケリックは億万長者のエイタン・ヴェルトハイマーとイスラエルで会い、彼から「25万ドルの無利子融資」を手に入れていた。2007年11月8日、ケリックはニューヨーク州ホワイトプレインズ市の連邦大陪審に、税金詐欺と、ヴェルトハイマーから受け取った25万ドルについて連邦政府に虚偽の陳述をした罪で起訴された。検察官はまた、ケリックが2001年から2003年の間にユダヤ人の不動産王スティーブン・C・ウィトコフから約23万6000ドルを受け取った、として告発した。

* イスラエル所有のインスタント・メッセージング会社、オディゴ(Odigo)社が、攻撃の数時間前に、受信者にWTCに近づかないように指示する警告を送信するために使われていた。(オディゴ社の米国本部は、WTCからわずか2ブロックのところにあった)。同社の副社長であるアレックス・ディアマンディスはこう述べた。「メッセージには、一定の時間内に何か大きなことが起こると書かれていました。そして実際にそうなりました。警告どおりに。攻撃があるという警告が他のオディゴ利用者に発信された可能性はありますが、同社は他の受信者がメッセージを受け取った、との報告は受け取っていません」と。オディゴ社の最高責任者であるミカ・マコーヴァーは、ハアレツ紙(2001年9月26日)にこう語っていた。「なぜこのようなメッセージが送られたのか全くわかりません...誰かが冗談のつもりで送った内容が、偶然に現実のものになってしまったのかもしれません」と。この話は、2001年9月27日にイスラエルのマスコミとインドのニューズバイト紙のブライアン・マクウィリアムズによって報道された。エルサレム・ポスト紙のオンライン報道(2001年9月12日)によると、後に同紙のブレット・スティーブンス編集長が立証した(記事名「レターズ」、エコノミスト誌、2003年1月9日)内容によれば、イスラエル外務省は、攻撃時にWTC地域にいたと考えられている4000人のイスラエル人の名前をまとめていたが、死亡したのは1人だけだ、という。オディゴの機能には「People Finder(人見つけ)」と呼ばれるものがあり、この機能を使えば、国籍などの共通の特性に基づいて大規模な集団にむけてメッセージを送信することができた。

* ZIMシッピング社は、かつてシャウル・アイゼンバーグが所有していたイスラエルの大企業で、ワールド・トレード・センター・ノース・タワーに一万平方フィートの事務所を持っていた。9/11の1週間前、ZIM社は自社の事務室を空にしたことで、賃貸契約を破り、5万ドルの保証金を失った。最高経営責任者のショール・コーエン・ミンツは、2001年11月17日にUSAトゥデイ紙に、「まるで神の行為のように、私たちは動きました」と語った。神の行為なのか、それとも事前に知っていたからなのか?この攻撃に関与したと考えられるイスラエルのスパイを調査していたFBI捜査官マイケル・ディックは、ZIM社の調査を始めた。しかし彼はすぐにマイケル・チャートフ司法次官補によって職務を解かれた。

* 9/11の数週間前に米陸軍高等軍事学学校(SAMS)が発行した報告書は、イスラエルの諜報機関モサドについて以下のように警告していた。「冷酷で狡猾で、米軍を標的にし、それをパレスチナ-アラブの行為のように見せかける能力を持っている」と。この報告書は、2001年9月10日にワシントンタイムズ紙によって一面記事として掲載されていた。

* 9/11の直前に、ユナイテッド航空(UA)とアメリカン航空(AA)で、法外な量のプット・オプション*が買われていた。プット・オプションは、将来価値がすぐに下落すると考えられる株式に付けられるものだ。UA社のプット・オプションの95%程度が2001年9月6日に購入され、AA社の11万5000株が9月10日に購入された。これらの購入は通常の25倍の規模だった。2001年10月15日、証券監督者国際機構(IOC)は、プット・オプションからの利益は、世界貿易センターのビルに収容されている複数の企業に対しても購入され、その額は数億ドルに上り、「これまでにおこなわれた最大のインサイダー取引」になる可能性がある、としていた。明らかに、「事情通」の誰かが「直感」を持っていて、これらの会社の株価がすぐに急落するだろうと感じ、現金化を求めていた、ということだ。すべてのプット・オプションを扱った会社は、ドイツ銀行の子会社であるABブラウン投資銀行だった。9/11の時点で、CIAの事務局長は、ABブラウン投資銀行の元最高経営責任者で会長のアルビン・「バジー」・クロンガードだった。英国のインディペンデント紙(2001年10月14日)は以下のように報じていた。「調査員が困惑したことに、同行は「プット・オプション」の多くを購入していたことも明らかになった。プット・オプションは、株式売買仲介者が事実上、株価が下落する株に対して賭けるものである。1998年までABブラウン投資銀行は、CIAの現事務局長である「バジー」クロンガードが率いていた」と。ABブラウン銀行とアルヴィン・クロンガードは、ヤイル・シャミールの会社、シテックスとのつながりを通じて、イスラエル国家と強いつながりを持っていた。クロンガードの妻、シェリル・ゴードンは、ロスチャイルド資産運用会社の長年の従業員だった。
*プット・オプション・・・将来のある期日(満期日)までに、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で株式の買い取り・弁償を請求できる権利

2001年6月、アメリカ麻薬取締局(DEA)は、米国本土で活動している大規模なイスラエルのスパイ組織の存在を詳述した60ページの内部報告書をまとめた。この報告書は2001年12月にマスコミに流され、9/11に先立つ数ヶ月間に、200人の若いイスラエル人(多くは軍情報機関とつながりがある)がスパイとして逮捕されていたことが明らかになった。イスラエルのスパイは、「美大生」という隠れ蓑を使って、麻薬取締局や他の連邦政府の建物に潜入しようと試みていた。この報告書によると、その「美大生」のほとんどが「軍事情報や電子信号傍受、または爆発物を専門とする」イスラエル軍の部隊に勤務していたことを認めた、という。逮捕された男の一人はイスラエル軍司令官の警護係で、もう一人のアラン・オフェックは悪名高いイスラエルの将軍の息子だった。逮捕された人々の一人であるペール・セガロヴィッツは、ゴラン高原の第605大隊に所属し、「建物や橋、車、その他必要なものは何でも爆破できることを認めた」とDEAの報告書は述べている。

フォックス・ニュースのカール・キャメロン記者は、2001年12月にこのスパイ組織に関する4部構成の暴露記事を制作し、その中で彼は、9/11の結果として、さらに60人のイスラエル人が反テロ法の下で逮捕され、拘留され、その中には「一握りの現役イスラエル軍人」が含まれていた、と述べた。これらの男たちの多くは、9/11飛行機乗っ取り犯とされた人物がいた場所のすぐ近く、フロリダ州ハリウッドに住んでいた。実際、イスラエル軍情報将校から「美大生」に転身したハナン・セルファティは、モハメド・アッタがシェリダン通り3389番地に住んでいる間、シェリダン通り4220番地にアパートを借りていたのだ! 9/11以前に容疑者の近くに住んでいたという、同様の「偶然の一致」は、さらに6つの都市中心部で確認された。イスラエルが、9/11の直前に、米国の利益に反する何かを企んでいたことは疑いようがない。オンライサイトの「サロン」の2002年5月7日の記事で、クリストファー・ケッチャム記者は次のように書いている。
ほぼ2年間、美大生であると偽って主張していた何百人もの若いイスラエル人が、連邦政府機関、特に麻薬取締局に出没していた。誰もその理由を知らないし、誰もその理由を知りたがっていないようだ」と。

* 1998年12月、フィリップ・ゼリコウやアシュトン・カーター、ジョン・ドイッチ(全員ユダヤ人)は、フォーリン・アフェアーズ誌に「壊滅的なテロリズム:新たな危険への挑戦」と題する記事を執筆した。この記事の最初の章「変革する出来事を想像する」には、壊滅的なテロリズムが、おそらく早ければ「来月」にも米国アメリカに到来する、との警告が記載されており、その際に米国がどのように対応すべきか、そしてその結果として米国がどのように変わることができるかを詳述している。フィリップ・ゼリコウは、世界貿易センターの破壊のような米国に対する壊滅的なテロ攻撃は、「米国を一変させる出来事」であり、「米国の歴史の分水嶺となる出来事」であり、「真珠湾のように...過去と未来を前後に分け」、「その後の社会」は、「厳しい措置や市民的自由の縮小、市民に対するより広範な監視、容疑者の拘留、殺傷力のある武力行使」を特徴とする、としていた。この状況が実現するまでに2年以上かかったが、書かれていたことの多くは、9/11の後、PNAC(アメリカ新世紀プロジェクト)に群がる勢力が待望の「新しい真珠湾攻撃」という口実を手に入れたときに実現した。

「公共神話の創造と維持」に関する博士論文を書いたゼリコウは、ジョージ・W・ブッシュによって9/11委員会の事務局長に任命された。アシュトン・カーター(オバマ政権下で国防総省長官)とジョン・ドイッチ(1995-96年CIA長官)は、「壊滅的なテロリズム」が書かれたとき、ロスチャイルド・ノース・アメリカの独占的関連会社であるグローバル・テクノロジー・パートナーズ社の上級幹部だった。ドイッチは2001年に政府機密の取り扱いを誤った罪を認めたが、ビル・クリントン大統領が、任期最後の日に彼に恩赦を与えた。

空港の「安全管理体制」

「おそらくいつの日にかは実現するだろうが、もし真実が語られることが決められたのなら、国家(イスラエル)がコロンビアで起こっていることよりも千倍も汚い行為に関与してきたことがわかるだろう」 — ラファエル・エイタン中将、「コロンビア・コネクション」、エルサレム・ポスト紙(1989年9月1日)

乗っ取られた便が出発した空港での安全管理と乗客の監視を担当していたのは、インターナショナル・コンサルト・オン・ターゲッティド・セキュリティ社(ICTS)の完全子会社であるハントリーUSA社というイスラエルの会社だった。

ICTS社は1982年にイスラエル人のメナヘム・アツモンとエズラ・ハレルによって設立され、2001年9月11日にはリオル・ズーカーの支配下にあった。同社は、イスラエルの国内治安機関シン・ベットの多くの代理人を雇用しており、シン・ベットは、国際的なコカイン密輸で有名なイスラエルのエル・アル航空の警備も担当している。メナヘム・アツモンは、1996年にエフード・オルメルトと共にベンヤミン・ネタニヤフの選挙運動の共同財務官として務めていた間に犯した金融犯罪で懲役刑を宣告された。オルメルト(2006年から2009年までイスラエルの首相)は、後に2016年に汚職の罪で投獄されることになる。興味深いことに、オルメルトはたまたま9/11の前日にニューヨーク市にいたが、この事実は、オルメルトが2001年9月10日にベイタル・フットボール・クラブをニューヨークの二人のイスラエル系米国民実業家に売却したことを報じるエルサレム・ポストの記事が出るまでは表に出なかった。オルメルトは、9/11の時点でエルサレムの市長だった。なぜ彼の訪問が秘密にされていたのか、不思議だ・・・。それはさておき。

ICTS社はオランダに拠点を置き、設立以来、イスラエルの諜報工作員によって運営されてきた。同社の所有者はCukierman & Co.社であり、この会社の創設者のロジャー・クキアマンは、エドモンド・デ・ロスチャイルド・グループ社の元最高経営責任者で、イスラエル総合銀行の会長でもある。重要なことに、ロジャー・クキアマンは、1995年にイツハク・シャミル首相の息子、ヤイル・シャミールを指導的地位に任命したボアズ・ハレルのカタリスト基金の会長でもあった。ICTS社の子会社であるハントリーUSA社は、イスラエル国防軍(IDF)とシン・ベットの元構成員によって運営されている。9月11日、同社はボストンのローガン空港とニュージャージーのニューアーク空港で警備と乗客の監視を管理したが、実際に旅客機を乗っ取った人物が誰であれ、カッターナイフよりも立派な武器を持っていたとしても搭乗が許されていたに違いない。ICTS社には、安全管理を妨害してきた疑いが持たれる長い歴史があり、以下のテロがおこなわれた現場の安全管理を担当していた。

* 2001年に「靴爆弾犯」リチャード・リードが飛行機に搭乗した、パリのシャルル・ド・ゴール空港

・ 2011年の爆破事件で37人が死亡し、173人が負傷した、モスクワのドモジェドヴォ国際空港。

・ ISISの仕業とされる2016年の爆撃で32人が死亡し、300人以上が負傷した、ブリュッセル空港

* 2007年7月7日、3つの地下鉄と1つのバスで同時に爆弾が爆発し、52人が死亡し、700人以上が負傷した。ロンドンの地下鉄。この事件は7/7攻撃という名で知られるようになる。爆発のほぼ直後、モサドのエフレイム・ハレヴィ長官は、エルサレム・ポスト紙に「今日、ロンドンの交通機関で起きた複数の同時爆発」について書いたが、ロンドン警察を含む誰も、爆発が同時だったことを後になるまで知らなかった。不思議なことに、ICTS 社の英国事務所は、バス爆弾が爆発したまさにタヴィストック・スクエアにあり、ベンヤミン・ネタニヤフは当時ロンドンにいた。イスラエルの会社Comverse/Verint社は、7月7日の攻撃の1年前に、ロンドンの地下鉄に「動画による監視網」を設置する契約を与えられていた。あの日、その監視網が故障する、と誰が予想できただろうか?

・ナイジェリアの実業家・銀行指導者の息子で元経済開発大臣のウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブが、下着に爆発物を詰め込んだ状態で飛行機に搭乗することを許された、アムステルダムのスキポール空港。この事件は、米国のラピスカン社が攻撃的な監視道具となる人体読み取り装置を空港に配置する道を開くことになった。マイケル・チャートフがその名が実態を表す「チャートフ(ユダヤ語で「悪魔」の意)・グループ」と名付けた会社は、安全/危険管理に焦点を当て、「より安全な世界を実現する」と自画自賛していた会社だったが、この会社は偶然にもラピスキャン社の代理会社であり、この製品の配置により大金を稼いだ。チャートフ・グループ社は、「下着爆弾犯」がパンツの中に爆発物を入れてICTS社による警備をよろめきながら通り抜ける前から、スキャナーでいっぱいの倉庫を準備していた、と言われている。

隠蔽工作

9/11のような規模の犯罪を隠蔽するためには、制御しなければならない3つの重要な側面がある。

• 発生直後に出されるその事件の解釈とその解釈をその後永続的に続けること、その事件が一般に説明される方法の制御。

・ 調査と証拠の入手経路の制御。

・ 法的証拠開示を防ぐために、訴訟を制御し、法的証拠開示を防ぐ。

犯罪の解釈

公式説明の発信源はエフード・バラク

9/11の朝、イスラエルの元首相で、支配者層のサヤレット・マトカル傘下の先鋭部員で、イスラエル国防軍(IDF)の司令官であるエフード・バラクが、都合よくロンドンのBBCスタジオに座り、その日の攻撃の責任者が誰なのかを全世界に伝える準備ができていた。誰も何が起こっているのか全く分からない大混乱状況の中であり、さらに世界で最も洗練された諜報/監視機関として知られていた米国の保安体制が、一日で4回も無能状態にされた状況であったにもかかわらず、なぜかイスラエルの元首相が、誰がやったのかを知っている、と示唆していた。すなわち、「ウサマ・ビン・ラディン」だ。さらに、彼がどこに隠れているのかも把握していた。それは「アフガニスタン」だった。バラクはそれから、イスラエルの戦略家たちが何十年も計画してきたとおりに、米国が中東で「テロに対する作戦的で具体的な戦争」を開始する時が来た、と発言した。バラクよる9/11攻撃の説明は、攻撃の直後、証拠の収集が始まるずっと前にBBCスタジオから発信され、政治家や報道機関に疑う余地なく受け入れられる公式説明となった。それは今も決して変わっていない。

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イスラエルの元首相エフード・バラクは、9/11の翌朝、BBCニュースで、米国に「テロに対する作戦的で具体的な戦争」を開始するよう呼びかけた。

エフード・バラクは、9/11に関与したシオニスト犯罪網とあらゆる段階でつながっている。1980年代、イスラエル軍事情報部(AMAN)の長官として、バラクは、CIA工作員ウサマ・ビン・ラディンを含む、アフガニスタンのグルブッディーン・ヘクマティール傘下の猛烈な反欧米イスラム教過激組織に武器を与え、訓練し、この先に訪れるであろう「対テロ戦争」のための完璧な悪の象徴を作り出していた。彼はこの作戦で、米国下院議員チャーリー・ウィルソンと彼の最高補佐官/操り主であるイスラエルのズヴィ・ラフィアによって支援された。バラクからビン・ラディンとヘクマティールの訓練を任された男は、ヘブライ語を話す二重スパイのCIAの工作員アリ・モハンマドで、彼は1998年にアフリカの二つの米国大使館の爆破を組織した役割により終身刑に服しながら、どういうわけか米国の刑務所から跡形もなく姿を消していた。バラクの国際犯罪の裏社会とのつながりをすべて明らかにするには、かなりの量の作業が必要になるだろう。中でも注目すべき事実は、バラクがジェフリー・エプスタインの親しい仲間であり、仕事仲間であり、マイケル・チャートフが取締役を務めていたカービンという会社に関与していたことだ。ギディ・ワイツがイスラエルの新聞ハアレツ紙(2019年7月11日)に以下のような見出しの記事を書いた。

「暴露記事:ジェフリー・エプスタインは、2015年、エフード・バラクと数百万ドル相当の共同提携を締結していた」

「米国の億万長者の金融家ジェフリー・エプスタインは、未成年の少女が関与した新たな性的人身売買の容疑で性犯罪者として今週逮捕されたが、エプスタインは元首相のエフード・バラクと提携関係を結んでおり、この元首相の政治活動始動に投資していた。

2015年、バラクは自身が唯一の株主である合資会社を設立した。その会社は、2014年に設立されたリポーティ・ホームランド・セキュリティ社に投資し、主要株主になった。昨年、リポーティ社はカービン社に社名を変更した。同社は、緊急対応事業のための通話処理および識別機能を開発している。

バラクはカービン社の会長であり、ビジネス系報道機関の報道によると、彼の会社への個人的な投資は合計で数百万ドルにのぼる、という。ハアレツ紙は、エプスタインが投資のかなりの部分に資金を提供し、この取り組みの協力者になったことを突き止めた。」


興味深いことに、バラクのいとこであるデイヴィッド・ブロッグは、ペンシルベニア州上院議員アーレン・スペクターの長年の首席補佐官であった。スペクターはウォーレン委員会の若きユダヤ人弁護士として、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の公式説明の露骨な異常性を説明するために、ばかげた「魔法の弾丸*」理論をでっち上げた。イスラエルの指紋は、JFKと彼の弟ボビーの暗殺のいたるところに見える。マイケル・コリンズ・パイパーの『最後の審判』とローラン・ギエノの『語られざるケネディの真実』は必読書だ。
*魔法の弾丸・・・一発の銃弾が、ケネディ及び同乗していたコナリー知事の両者を撃ったという公式説明の信じられなさを揶揄することば。

ハウアーの時代

エフード・バラクが、米国は中東で「対テロ作戦戦争」を開始する必要があると英語圏全体に告げてから間もなく、別の専任シオニスト工作員が米国のテレビ局を巡回し始めた。9/11のとき、ジェローム・ハウアーは、世界貿易センターの警備を担当する会社、クロール・アソシエイツ社の業務執行取締役だった。彼は以前、1996年から2000年までジュリアーニ市長の緊急事態管理室(OEM)の局長を務め、WTC第7ビルの23階に、ニューヨークの全ての緊急通信周波数を監視できる1300万ドルの司令部センター室の建設を主導した。9/11騒ぎの他の多くの関係者と同様に、ハウアーはシオニストと深いつながりを持っている。彼の母親はかつて、「シオンの娘」という団体のニューヨークのハダサ支部の名誉会長を務めていた。

タワーが崩壊したわずか数分後、ジェローム・ハウアーはダン・ラザーとともにCBSニュースに出演し、このTV局網の視聴者に政府からの公式説明を伝えた。ハウアーは、タワーが倒れたのは単に飛行機にぶつかり、その結果生じた火災が原因で、建物の構造的完全性が弱まり、建物が崩壊したためだ、と主張した。彼はまた、「瓦礫のせいで7号棟に入ることができなくなっており、関係者らは構造の安定性を心配しています」と警告した。鉄骨の高層ビルが火事で倒壊したことはこれまで一度もなかったので、彼がWTC第7ビルに関して「関係者はその構造安定性を心配している」と言うのはばかげた発言だった。ハウアーが実際にやっていたことは、人々に前もって彼が知っていたことについての心構えを持たせることだった。つまり、その後、午後5時20分に、WTC第7ビルが物理法則に従わない形で自由落下速度により崩落することになっていたことだ。そのビルは飛行機にぶつかりもせず、比較的小さな火災を被っただけにもかかわらず、だ。それにもかかわらず、ハウアーの滑稽なおとぎ話は公式説明とされ、ツインタワーの破壊に関する彼のたわごとは、三年後、仲間の共謀者フィリップ・ゼリコウによって全文が書かれた、深刻な欠陥のある9/11委員会報告書が採用することになった。おそらく偶然ではないだろうが、ハウアーの推薦により、元FBIテロ対策部長のジョン・オニールが米国の調査会社であるクロール・アソシエイツ社の安全管理部責任者としての仕事に就くことになった。オニールは、アルカイダとオサマ・ビン・ラディンに対する彼の捜査が、FBI内部の人々によって妨害されていると苦々しく不満を漏らしていた。オニールはその新しい仕事に就いた初日、9/11攻撃で亡くなった。

ブッシュ&フライシャー

この全てが進行しているとき、1000マイル離れた小学校の教室で劣等生よろしく座っていたジョージ・W・ブッシュ大統領は、イスラエルの報道官アリ・フライシャーによって進行中の出来事についての最新情報を得ていた。この道化師の少年のようなブッシュが、9/11の計画について、どの程度の洞察力を持っていたかを知るのは不可能だ。その朝、デビッド・ルービンスタイン所有のカーライル・グループ社の幹部らと面会していた彼の父親のほうが、おそらくもっと多くのことを知っていただろう。子ブッシュは、彼の精神的無能さゆえに、おそらく作戦の責任者として形だけの役割を果たすことだけ任されていたのだろう。だからこそ、子ブッシュは陰謀から遠く離れたところにおかれていて、イスラエルと米国の二重国籍者であるアリ・フライシャーが行動を起こしたのだろう。

教室の後ろからブッシュのために手書きの看板を掲げたのはフライシャーだった、そこには「まだ何も言うな」と書かれていた。その後、彼は、まだエマ・E・ブルッカー小学校にいる間に、ブッシュからの国民への演説を一字一句個人的に準備した。信じられない! 調査記者のクリストファー・ボリンは、以下のような疑問を呈していた。「犯罪の背後に誰がいるのか、事実上何も知られていないのに、フライシャーはどうやって大統領が何を言うべきか分かったのだろうか。フライシャーは熱心なシオニストであっただけでなく、彼の兄はイスラエル空軍の退役軍人によって所有され、支配されているイスラエル所有の会社の社長であり、そのうちの一人はエフード・バラクの会社の提携業者だった」。アリ・フライシャーは、9/11作戦の主要容疑者であり、当然のことながら、壊滅的なイラク戦争を熱烈に支持していた。彼はまた、非ユダヤ人を憎む激しい人種差別主義者のメナハム・メンデル・シュナーソンが何十年も率いていた過激な正統派の宗教団体、ハバド・ルバヴィッチの一員でもあった。

調査の制御

9/11は、米国史上最悪の大量殺戮事件だったのに、どういうわけか、犯罪として捜査されることはなく、法廷で誰も責任を問われなかった。標準的な法的手続を取るのではなく、政府は、この攻撃をペンタゴンへの攻撃によって可能になった「戦争行為」であると宣言し、米国は、米国史上最大の犯罪現場の証拠が慌てて破壊される中、事前に選ばれていた中東諸国の侵略へと急いでいた。

WTCの現場から運び出された何千トンもの鋼鉄は、鉄塔の解体に爆発物が使われたかどうかを証明するものであったが、細かく切り刻まれ、他の廃物と混ぜられ、当時鉄鋼価格がトン当たりわずか80ドルというここ50年間で最低だったにも関わらず、中国に出荷されていた。2002年1月、米国の『消防工学』誌の記事で、編集者のビル・マニングは、重要な証拠が破壊されたことを非難した。

「3か月以上にわたり、世界貿易センターの構造用鋼材は、廃物として切断され、販売され続けている。高層ビルの設計慣行と火災条件下で何が起こったかについて多くの質問に答えることができるこれらの重要な証拠は、中国へゆっくりと向かう船便の途上にある...証拠の破壊と撤去は直ちに止めなければならない」と。

この重要な証拠の破壊を監督した人物は、マイケル・チャートフ司法次官補だった。

チャートフはイスラエル国民で、愛国者法という市民の自由を破壊する法律を共同起草し、2005年に国土安全保障省長官に任命された。彼の母、リヴィア・アイゼンは、モサドの最初の工作員の一人であり、彼の父はユダヤ教の聖典タルムードを教えるラビ(導師)で、ニューヨークのユダヤ神学校で教えていたが、この神学校は、9/11やシオニストによる他の犯罪事例、例えば「バーニー・マドフのねずみ講事件」のような犯罪事件の主要人物の結びつきを構築してきた著名なイェシーバ(ユダヤ教の学習所)である。

2005年のUSAトゥデイ紙は、9/11攻撃の直後、チャートフが振るった権力について、いくつかの洞察を報じている。

「9月11日のテロ攻撃の数分後、ジョン・アシュクロフト司法長官がミルウォーキーから急いで戻っている間は、マイケル・チャートフが采配を振るっていた。

当時、司法省の刑事部門の部長だったチャートフは、司法省とFBIを長い間分断してきた厄介な境界線を破った。ワシントンのペンシルバニア・アベニューへと急いで駆け下りていた混乱状態に陥った人々を見下ろす、FBI本部の5階の一室にある危機管理センターに、チャートフは対策本部を構えた。その後の20時間、彼は、米国史上最も致命的なテロ攻撃に対する政府の初動対応を指示した。」


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司法長官補佐官のマイケル・チャートフ。イスラエル国籍をもち、モサドの工作員の息子であり、国民の自由を疎外する愛国法の起草者の一人だった。

しかし、チャートフが指揮したのは、9/11テロ攻撃に対する米国政府の初動対応だけではなかった。この攻撃の隠蔽を総合的に取り仕切る役割も果たした。

9/11攻撃の証拠を集め、その犯罪を処罰することも、司法省刑事部長としてのマイケル・チャートフの任務だった。しかしそのような任務は果たさずに、チャートフはこの犯罪に責任をもつユダヤ人脈のために、隠蔽工作に手を貸していた。証拠の押収や隠滅を監督したのがマイケル・チャートフであり、そのいっぽうで、機密情報(SSI)規制を持ち出して、9/11の遺族が情報に入手することを拒否した。彼が2005年に国土安全保障省の長に就任した後も、この妨害は何年も続いた。1993年にヴィンス・フォスターの死の真相を暴くために働いたジョン・H・クラーク弁護士が、かつてチャートフについてこう言ったのも不思議ではない。「彼は不正直なろくでなしだ」と。

現場にいたユダヤ人騎士

マイケル・チャートフが事件発生現場の清掃活動の指揮を任せたのは、2000年から2002年までルドルフ・ジュリアーニ市長の緊急事態管理局の局長だったリチャード・シャイラーだった。シャイラーは、この事件発生現場での活動が認められ、ニューヨーク・ラビ評議会から名誉ユダヤ騎士の称号を授与されたことから、「事故発生現場のユダヤ人騎士」という俗称で知られるようになった。シャイラーにはWTCの清掃活動の全権が与えられていた。2001年10月15日付のニューヨーク・マガジン誌の記事「市長を支える男」は、WTC現場でのシャイラーの主な役割について詳述している。

「9月11日以来、シャーラーはFEMA(連邦緊急事態管理庁)を含む100の連邦、州、地方機関を調整しながら、米国史上最大の事件の後始末を担当している。彼は、何千人もの従業員と400億ドルにものぼる予算を持つ会社の最高経営責任者の働きを担っている。」

シャーラーの監視の下、すべての鋼鉄はWTCの現場から持ち出され、ニュージャージー州にあるユダヤ人所有の2つの廃品回収工場に運ばれた。2002年4月、ニューヨーク・デイリー・ニュース紙は以下のように報じた:

「事故発生現場から約18万5101トンの構造用鋼材が運び出された。この鋼鉄の大半は、ニュージャージー州の廃材処理場に迅速に送るという市の決定に従って再利用工場に運ばれた。市の性急な動きは、鋼鉄をもっと徹底的に調べるべきだったと考える多くの犠牲者遺族を激怒させている。先月、火災の専門家が議会に語ったところによると、廃材を保存する権限が調査官になかったため、約80%の鋼鉄が調査されることなく廃棄された、とのことである。」

リチャード・シャイラーとマイケル・チャートフは、9/11の重要な証拠を隠滅し、犯罪を犯した犯罪者組織による妨害に加担した罪で起訴されるべきだ。事故発生現場の清掃現場での彼らの行動には、他に説明がつかない。この2人のシオニスト工作員は誰を庇っていたのか? ウサマ・ビンラディン? ハリド・シェイク・モハマッド?そんなことは、ありえない。

あらゆる腐敗にもかかわらず、9/11の朝、3つの巨大な超高層ビルが破壊された本当の原因を突き止めようとする誠実な捜査官たちがまだ数人いた。彼らがどのような扱いを受けたか、もう想像がつくかもしれない。ニューヨーク・タイムズ紙の2002年2月2日付の記事「タワー崩壊の手がかり探し」と題されたニューヨーク・タイムズ紙の2002年2月2日付の記事には、ほんの一握りの本物の技術者たちが、調査のために残骸からできる限りのものを引き揚げようとしたときに繰り広げられた混沌とした光景が描かれている。

「9月11日に2つのタワーが崩壊した瞬間から、技術者やその他の専門家たちは、ジェット機の衝撃に耐えられるように設計されたビルが、なぜ、どのようにして完全に崩壊したのかという途方もない疑問に答えようと苦闘してきた。しかし、連邦政府による広範な調査が約束されているにもかかわらず、また、犠牲者の家族やその他の人々から、あらゆる手がかりを握っている可能性のある鋼鉄の破壊を止めるよう何週間も呼びかけられていたにもかかわらず、ジャージー・シティの廃品置き場では、英雄的でもあり滑稽でもある光景が演じられ続けている。」


「技術者の一団は、まるで山羊のように、鉄骨の山に突撃をかけ、タワーの柱の破片を奪う。技術者たちは押しつぶされないように時間を計って進入する......そのすべてを通して、技術者たちは、自分たちが最も役に立つものを捕まえ、保存しているという楽観論を公言している。しかし、確かなことは言えないことも彼らは認めている。未知数の鉄柱が、検査されることもなく、保存されることもなく、遠くアジアの工場に送られているのだ。」

ベンヤミン・ネタニヤフの親友マイケル・ブルームバーグが、9/11後、前例のない3期にわたるニューヨーク市長になった際、彼は「鋼鉄の破片を見るだけでは何も教えてくれない」と言って、この犯罪的な証拠破壊を最小限にしようとしたことはよく知られている。報道によると、銃を強奪する法律を作ろうとしているブルームバーグは、NYPD(ニューヨーク市警察)とNYFD(ニューヨーク市消防署)の従業員がその日に経験したことについて話すと、起訴し、雇用と年金を失うと脅迫することで、隠蔽工作に一役買っていた、という。その経験談とは具体的には、タワーの爆発のことや瓦礫の中の溶鉄についての話などのことだ。2011年8月26日のクリス・スミスによるニューヨーク・マガジン誌の記事は、9/11により未亡人になった人々に対するブルームバーグの感情をこう要約している:

「マイケル・ブルームバーグは9/11のおかげで市長になれたが、9/11の後遺症については鈍感であるように見えることもある。彼はかつて、9/11の未亡人に「済んだことは受け入れて」と言って、前に進むべきだと言ったのが印象的だった。」

ブルームバーグは、9/11の残虐行為の犯罪者を隠蔽したシオニストの工作員のなかの一人だ。彼は、シオニストの友人マイケル・チャートフが共著した「米国愛国者法」の熱烈な支持者であり、「テロとの戦い」を基礎とした米国憲法の書き直しを絶えず訴えている。オンラインサイトのミントプレスの記事で、調査記者のホイットニー・ウェッブは、ブルームバーグと歴史的な性犯罪者ジェフリー・エプスタインとハーヴェイ・ワインスタインとのつながりを詳しく説明している。

「ブルームバーグとエプスタインは、モート・ザッカーマンのような同じニューヨークにいた報道機関の幹部とも親しい友情を共有していた。報道機関は、エプスタインの元仕事仲間であるザッカーマンを、ブルームバーグの「長年の救済者」である、と表現している。別の例では、エプスタインの元広報担当者ハワード・ルーベンスタインはブルームバーグの長年の支持者であり、ブルームバーグが市長の任期制限を回避し、ニューヨーク市長として3期目を追求するという物議を醸す行為を推進する原動力となっていた、と報じられた。」

「エプスタインとブルームバーグのもう一人の共通の仲間は、不名誉なメディア王ハーヴェイ・ワインスタインだ。ワインスタインは、2003年にニューヨーク・マガジン誌の買収を求めたエプスタインの投資組織の一員だった。その投資組織のもう一人の構成員、MSNBC局の常連解説者、ドニー・ドイチュで、彼は最近、ブルームバーグの立候補を熱烈に支持している。」

「ワインスタインは最近、強姦で有罪判決を受け、数十人の告発者がおり、これらの告発者らが近年のワインスタインの性犯罪について名乗り出ることを決めたことが、「Me Too」運動に火を付けることとなった。ワインスタインは、エプスタインの親友で仕事仲間だった元イスラエル首相エフード・バラクともつながりがあり、ワインスタインが告発者を威嚇するために雇った元モサドのスパイにワインスタインを個人的に紹介したのはバラクだった。首相であることに加えて、バラクは、エプスタインの米国内の未成年の少女に対する性的恐喝作戦を後援した外国諜報機関であるイスラエル軍情報局の元長官でもある。」

「ワインスタインとのつながりがあるブルームバーグが立候補したことに対して、この先、強い異議の声が上がる可能性がある。例えば、ワインスタインはブルームバーグの市長選の選挙運動の主要な支援者であり、ブルームバーグがもう一度選挙に立候補できるようブルームバーグに代わって、詐欺電話で使う自動電話の録音までしていた。いっぽう、ブルームバーグはワインスタインを慈善団体の理事に任命し、ワインスタインは後にブルームバーグが彼の映画会社を支援したことを称賛した。ブルームバーグとウェクスナー、エプスタイン、マクスウェルとのつながりは沈黙の扱いを受けているが、一部の報道機関(主に右寄り)はブルームバーグとワインスタインのつながりを報道している。しかし、主流報道機関がブルームバーグに対して、これらの関係を直接取り上げるよう圧力をかけることはほとんどなかった。」


シオニストの廃品回収所

事故発生現場から出たすべての鋼材を扱った2つの廃品回収業者は、ヒューゴ・ノイ社とメタル・マネジメント社だった。どちらの会社も、たまたまシオニストによって所有され、運営されていた。それは、メタル・マネジメント社のアラン・ラトナーとヒューゴ・ノイ社のロバート・ケルマンである。(メタル・マネジメント社のニューアークを拠点とする事業は、9/11の直前に連邦破産法第11条の適用から回復し始めたばかりで、この廃品回収業務は問題を抱えたこの会社に棚ぼたの利益をもたらすことになった)。

ヒューゴ・ノイはドイツ系ユダヤ人で、1930年代にメノ・リサウアー、ヴァルター・ロスチャイルドとともに最初の会社を設立し、1960年代初頭に自身の名前で会社を設立した。1999年、ヒューゴ・ノイの息子ジョンは、アジアでの取引を仲介することを明確な目的とした分社を設立した。(アジアはシャウル・アイゼンバーグが活動していた場所であり、WTCの犯罪現場の証拠が最終的に輸送された場所であることを思い出してほしい)。この新しい国際貿易部門はヒューゴ・ノイ・シュニッツァー・グローバル・トレードと呼ばれ、ネイサン・フラッチャーとジェフダ・サーという2人のイスラエル系ユダヤ人が率いていた。

ヒューゴ・ノイのもとで働く前、フラッチャーとサーはともに、巨大シオニスト犯罪者でありモサドの資産家であるマーク・リッチのグレンコア・インターナショナル社(最高経営責任者はアイヴァン・グラゼンバーグ)で働いていた。マーク・リッチは、エフード・バラクやシモン・ペレス、エフード・オルメルトの3人の元首相とイスラエル国家の他の要人らから猛烈な働きかけを受け、ビル・クリントンの任期最後の日に、脱税や電信詐欺、恐喝を含む多くの犯罪の恩赦を受けた。

調査報道記者、クリストファー・ボリンは、その著書『9-11の解決』の中で、ネイサン・フラッチャーとジェフダ・サーによるさまざまな旅を要約している:「マーク・リッチやグレンコアとの初期の付き合いから、ヒューゴ・ノイやミッドランド・グループに至るまで、サーとフラッチャーは常にイスラエルやモサドと密接に結びついた企業で働いてきた。ヒューゴ・ノイは、イスラエルのディモア市におけるイスラエルの核計画とつながりがあったという疑いをもたれている。アグア・アグロという会社やオーレン・ガフリというイスラエル人への多額の投資をおこなっていたからだ。このガフリという人物は、ボリンによれば 「世界貿易センターの220エーカーのコンクリート床を粉砕できるくらいの高エネルギーをもつナノ・コンポジットによるコーティングの専門家」だったという。

アラン・ラトナーは2000年にメタル・マネジメント社の社長に就任した。彼の常務執行取締役は2001年6月に雇われたダニエル・ディエンストというユダヤ人だった。ディエンストは以前、イスラエル国家と非常に強い結びつきのある投資銀行CIBCワールド・マーケッツ社(旧オッペンハイマー・アンド・カンパニー)に勤めていた。ディエンストもラトナーも、9/11の隠蔽を助けるために「ちょうどいい時期」に配置されたようだ。2005年、メタル・マネジメント社とヒューゴ・ノイ社は合併し、シムズ・グループ・リミテッド社となった。

アラン・ラトナーとロバート・ケルマンは、それぞれの会社の取締役として、WTCから25万トン以上の鋼鉄を検査する前に犯罪的に「処理」することを自ら監督した。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、ヒューゴ・ノイ社は、24時間体制で12時間交代の勤務態勢を組み、大量の労働力を使って鋼鉄を細かく切断し、他の金属と混ぜてからアジアの製錬所に送った、という。メリーランド大学防火工学科のフレデリック・W・モーラー助教授は、『ニューヨーク・タイムズ』紙(2001年12月25日付)の取材に対し次のように語っていた。「重要な証拠となりうるものが取り除かれ、再利用される速度の速さには驚かされる」と。不思議なことに、ヒューゴ・ノイ造船所に船が入場するためのクレアモント水路は、9/11の1ヶ月前に、大型船が入船できるようにするため、場所によっては20フィート以上深く浚渫されていた。ヒューゴ・ノイ社はこの計画に2400万ドルの自己資金を投入していた。

米国史上最悪の犯罪の証拠が持ち去られ、破壊された2つの廃品置き場が、どちらもシオニスト・ユダヤ人によって管理されていた確率は? ゼロだろう? WTCから瓦礫を運び出すために雇われたトラック運送会社でさえ、イスラエル人が経営していた。パワーロック・テクノロジーズ社のヨーラム・シャルモンは、SecuritySolutions.comのインタビューで、清掃作業中にGPSで運転手をどれだけ厳密に監視していたかを明らかにした。

「私たちは行動形式を特定し始めることができました。運転手が遅れて到着した場合、運輸の分析員がその理由を調べます。もしかしたら、運転手は昼食のために車を止めるかもしれませんし、渋滞にぶつかったかもしれません...負荷が非常に敏感な材料で構成されていたため、大きな懸念がありました。例えば、ある運転手が長い昼休みを取った...それについて犯罪的なことは何もなかったのですが、この運転手は解雇されました」と。

ユダヤ人は米国人口の2%強を占めているに過ぎず、イスラエル人はそれよりはるかに少ない。それなのに、どういうわけか、彼らは9/11という架空劇の最初から最後までのあらゆる節目に見出される。親愛なる読者の皆さん、どんなに頑張っても、アフガニスタン人やロシア人、シリア人、イラク人、中国人の組織的な一団がテロ計画に関与していることは見当たらない。イスラエル人とサヤニム・ユダヤ人だけがシオニストの大義を果たすことに極端に献身的だった。サヤニムはヘブライ語で「助け手」または「協力者」を意味し、モサドをできる限り助ける意思のある世界中の国々のユダヤ人を指すことばだ。

訴訟の抑制

9/11隠蔽工作において役割を果たしたもう一人の有力な共謀者は、ケネス・ファインバーグだった。ファインバーグはシオニストの弁護士で、彼の卑劣な経歴の中で多くの注目を浴びる詐欺に関与してきた。例えば、2008年の金融危機の後、どの銀行が納税者の救済金を受け取るかを決めたのは彼だった。彼の妻、ダイアン・ファインバーグは、ラリー・シルヴァースタインとルイス・アイゼンバーグが共に所属していた組織であるユナイテッド・ユダヤ・アピールの幹部であり、モサドと密接な関係を持つ特権階級組織であるユダヤ機関の理事も務めていた。

ケネス・ファインバーグは、明らかに、9/11隠蔽工作を支援するのにふさわしい資格を持った人物だった。したがって、彼が9/11犠牲者補償基金の責任者に選ばれたのは驚くことではない。この基金は、犠牲者の家族が9/11攻撃について声を上げたり、9/11に関与した航空会社や政府、治安機関に対する将来の訴訟に関与したりするのを防ぐために特別に組織されたものだ。悲しみに暮れた家族がファインバーグの支払い金(その財源は米国の納税者)を受け取ったら、彼らは事件について公に話すことも、裁判所を通じて正義を追求することもできなくなった。それはシオニストの詐欺師たちによるもう一つのつじつま合わせだった。97%の家族がすぐに政府の口止め金を受け入れることに同意した。その申し出を断り、代わりに法廷に持ち込むことを選んだ残りの3%は、「特別調停者」としてこの工作の実行者として任命されたユダヤ人弁護士シーラ・バーンバウムから嫌がらせと脅迫を受けた。この役割により、バーンバウムは、ファインバーグの基金を通じて提示された補償金に従い、受け入れるように家族に圧力をかける任務を負っていた。彼女は、スキャデンアープス国際法律事務所(エリック・フリードマンが代表)の提携者として長年培った粘り強さでこの仕事をこなした。スキャデンアープス社はイスラエル国家と非常に強いつながりがある。同社の上級提携者には、ユダヤ人相互互助組織であるブナイブリスの名誉毀損防止同盟の元全国会長であるケネス・ビアルキンがいる。

ヘラースタイン判事による「司法消耗戦」

96の家族がファインバーグとバーンバウムの口止め金を拒否し、代わりに裁判所を利用して、愛する人に実際に何が起こったのかについての事実を知ることを選んだ。関係する家族にとって不幸なことに、すべての事件の裁判は、ニューヨーク南部地区の米国地方裁判所のシオニスト判事であるアルビン・K・ヘラースタインの法廷で結審された。

ヘラースタインは、ビル・クリントン大統領から指名を受けた後、1998年に高尚な司法の地位に上り詰めた。彼はタルムードを重んじるユダヤ人で、マイケル・チャートフや、9/11後に逮捕されたイスラエルのスパイの釈放を支援した仲間の裁判官マイク・ムカシーと同じニューヨーク市の正統派機関のいくつかとつながっている。このムカシーは、『踊るイスラエル人』5人を含む、9/11後に摘発されたイスラエル人スパイの釈放に協力した人物である。

明らかに、このようなお膳立てがなされたことは、またぞろシオニストの工作員が進行中の隠蔽工作に援助を貸すのに適した位置におかれた別の例だった、と言える。9/11不法行為訴訟の全てを統括する唯一の判事として、ヘラースタインは、あらゆる場面で手続きを遅らせ、あらゆる場面で妨害した結果、攻撃から10年後の2011年、公開裁判を受ける希望をまだ抱いていた最後の家族であったボストンのバヴィス一家は、ヘラースタインが事件に関する決定を下し、彼らが裁判を続けることを不可能にした後、法廷外で和解した。その後、この家族は、ヘラースタインが「2001年9月11日の出来事につながった真実が裁判で決して語られないように、本質的に事件を骨抜きにした」と不満を漏らしていた。

同様の苛立ちは、ヘラースタインによる腐敗した陰謀裁判所を通じて正義を求めようとしていたすべての家族が感じていた。

ボストン・ヘラルド紙の記事(2010年3月6日)は、11便の客室乗務員だったサラ・ロウの家族が遭遇したヘラースタインとの闘争についてこう報じた。「マンハッタンのこの裁判官は、2001年9月11日のテロ攻撃で殺害されたボストンの客室乗務員の悲しみに暮れる家族によって非難されている。彼が公開裁判を妨害し、遺族に戦いをあきらめさせたからだ。法廷での日を望んでいた96家族のうち、9/11の責任者であるテロリスト・ネットワークが意図したとおり、裁判にかけられた事件は一つもなかった。ヘラースタインの共謀者ケネス・ファインバーグは、同判事による司法妨害を称賛し、「彼は最初から事件が解決しなければならないことを知っていて、そこにたどり着いた」と述べた。(ニューヨーク・タイムズ、2016年9月9日)

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正統派ユダヤ教のアルビン・ヘラースタイン判事は、9/11の犠牲者の事件が一度も裁判にかけられることがないようにした。彼の息子、ジョセフ・ヘラースタインは、9/11不法行為訴訟の主要な被告であるオランダのICTS社を代表する法律事務所で働いていた。

ヘラースタイン判事による利益相反

ヘラースタインは詐欺師であり、それについては疑問の余地はない。9/11の白昼堂々とした2977人の米国民の殺害に責任のあるシオニストのご主人様を守るための司法手続きにおいて彼が恐ろしい誤用をおこなったという事実は、この男に対する吐き気を催す現れである。しかし、ユダヤ人が所有する諸報道機関は、彼が被害者の家族に一人ずつ法廷外での解決を強要し、「被害者らは情報を得るよりもお金を取る方を選んだ」と報じることで、ヘラースタインに賞賛を浴びせていた。しかし、これらの報道機関が報じなかった事実は、ヘラースタイン判事が明らかな利益相反行為をおこなっていたことであり、そもそも彼からこの訴訟を統括する資格をすぐにでも剥奪すべきだ、という事実だった。

ヘラースタイン判事の息子、ジョセフ・ヘラースタインは、イスラエルのアミット・ポーラック&マタロン法律事務所の正統派ユダヤ教信者弁護士であったが、彼は偶然にもICTS社の親会社の弁護士をしていた。このICTS社は、9/11の際、空港警備に責任を持っていた会社であり、9/11不法行為訴訟の主要な被告人だった。通常の状況下であれば、このような状況はヘラースタイン判事を事件から排除するのに十分すぎるほどの理由になったはずだ。「合衆国判事の行動規範書」には以下のように明確に記されている。

「裁判官は、裁判官の公平性が合理的に疑われるような訴訟手続においては、その資格を喪失しなければならない、その中にはそれだけに限定されるわけではないが、以下のような状況も含まれている。すなわち、裁判官もしくは裁判官の配偶者、またはそのいずれかから3親等以内の血縁者、またはその配偶者が、訴訟手続において弁護士として活動する場合、である」

しかし、悲しいかな、当時は通常の状況ではなかったのだ。アルビン・ヘラースタインは、9/11の不法行為訴訟や訴訟の判事になることを自ら辞任するどころか、ICTS社を訴訟の対象から退けた。いっぽう、ユダヤ人所有物報道機関は、このような根本的な利益相反について報道しないことで、忠実にその役割を果たした。

「9/11訴訟における主要被告に対するヘラースタイン判事の非倫理的なつながり」と題する記事で、クリストファー・ボリンは次のように書いている。

「ヘラースタインは、彼の息子が、ICTS社の親会社であるクキエルマン&カンパニー社で働き、密接に関係している法律事務所、アミット・ポリャック& マラトン事務所の弁護士であるため、9/11不法行為訴訟において、明らかな利益相反を抱えている。」

「これは、無視することも許すこともできない明らかな(そしておそらく犯罪的な)利益相反を示している。「米国裁判官のための行動規範」書には、9/11不法行為訴訟におけるヘラースタインの利益相反を理解するのに非常に役立つ、金銭的およびその他の利益相反を指摘する項目がある。」

「アルヴィン・ヘラースタインと彼の息子ジョセフは、現在の役職に移る前に、有名なユダヤ人法律事務所であるストロック・ストロック・アンド・ラヴァン事務所で働いていた。ビル・クリントン大統領は1998年にアルヴィン・ヘラースタインをニューヨークの連邦地方裁判所判事に任命し、ジョセフは2001年にイスラエルに移住した。彼ら2人とも利益相反が存在することを知っているので、報道機関からのインタビューを望んでいない。ストロック・ストロック&ラヴァン事務所は、9/11陰謀を始めるにあたり重要な役割を果たしていた。彼らは、ラリー・シルバースタインが2001年7月にワールド・トレード・センターの賃貸権を取得した際に、シルバースタイン・プロパティーズ社の弁護士だった。彼らはまた、ゴールドマン・サックス社やAIG社、サーベラス・キャピタル・マネジメント社という、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマによる1兆ドルの救済に関与した主要な詐欺企業の3社の弁護士でもあった。」

「ストロックは、ロスチャイルド家や他の高位のシオニストの弁護士をしてきた長い歴史がある。」

「ヘラースタイン判事が密接な家族付き合いをしているロスチャイルド家が資金提供しているモサドと関係がある業者が、彼が9/11不法行為訴訟の処理に選ばれた理由を説明している。彼は、9/11の欺瞞と有罪者を守るために、証拠開示を阻止し、裁判を阻止することで、9/11訴訟の管理役に選ばれた。アルヴィン・K・ヘラースタイン判事が、裁判なしに全ての9/11訴訟を法廷外で解決するという任務を完了すれば、彼は引退して、イスラエルに引きこもらなければならないのではないか、と私は思う。彼と彼のシオニストの取り巻きたちが、いかに多くの人々のために正義を妨害してきたかを非常によく知っているので、彼はひどく不当な扱いをした人々の近くで平和に暮らせないことをおそれているだろうからだ。」


遺産

9/11委員会報告書

「政府と軍の高官が、議会や委員会、マスコミ、そして国民に、誰がいつ何を知っていたかについて語ったことは、ほぼ完全に、そして不可解なことに、真実ではなかった。」 - ジョン・ファーマー、9/11委員会上級顧問

今、我々は9/11という茶番劇の最終段階にまで到達した。それは朽ちることのない遺産、だ。陰謀者にとっては、彼らが人々に信じてほしいと願っているようなことの成り行きの説明により、公衆の心を絶えず固めてしまうことが不可欠である。9/11犯罪者連中は、19人のアラブ人がカッターナイフで、世界で最も洗練された監視体制を出し抜き、三つの鉄骨の高層タワーを二機の飛行機で倒すという政府が公式に出したおとぎ話で米国民を驚かせようと多大な努力を払ってきた。シオニストが米国の報道機関を所有していることにより、このような説明だけが大衆がこれまでに聞いた唯一の話である状況を確固なものとしている。ただし幸いなことに、真実を求める活動家たちは、インターネットを通じて、政府の説明に内在する多くの不条理に対する認識を広めることに大成功を収めている。ここ数年、世論調査は一貫して、米国民の大多数が、2001年9月11日に起こったことについての政府の説明について深刻な疑念を抱いていることを示している。この懐疑論と戦うために、政府と連邦政府の資金に大きく依存している政府が完全に所有している諸機関は、疑似科学的なうわべの説明を流すことで、彼らの茶番話を国民に納得させることを目的とした、深刻な欠陥のある一連の報告書を発表してきた。その中で最も注目すべきは、9/11委員会報告書である。

アメリカ合州国に対するテロ攻撃に関する全米委員会(9/11委員会)は、ブッシュ政権が一年以上にわたってその設立を妨害した後、2002年11月27日に設立された。この組織は、ほぼ2年後の2004年7月22日、政府のばかげた言説を反証する山のような証拠には蓋をし、ブッシュ内閣の高官が大衆の詮索好きな目や耳から逃れて秘密裏に証言するのを許した後、怪しげな委員会報告書を発表した。フィリップ・ゼリコウは、政権の大物内部関係者で、この役につく第一候補だった卑劣なシオニストのヘンリー・キッシンジャーが、大衆の抗議と、密かに所有しているキッシンジャー・アソシエイツ・グループ社の仕事上の顧客を明らかにすることをキッシンジャーが断固として拒否したため、辞任を余儀なくされたことを受けて、ブッシュ大統領によって9/11委員会の事務局長に任命された男だった。ニューヨーク・タイムズ(2002年11月29日)でさえ、キッシンジャーが任命されるという驚くべき状況に眉をひそめていた。キッシンジャーを選ぼうとしたことは、ホワイトハウスが長い間反対してきた調査を封じ込めるための巧妙な策略ではないのではないかと疑ってもおかしいことではない。

結局のところ、ゼリコウはその仕事にふさわしい人物だった。タフツ大学の学生として、彼は「公共の神話の創造と維持」に関する博士論文を書いた。9/11委員会報告書を主宰したまさにその人物が、偶然にも大衆を欺き、広く信じられている「公式神話」を拡散する専門家だったのが奇妙だと思うのは、貴殿だけではない。これはまさに彼が委員会報告書を書く際にしたことであり、その中身がとんでもないごまかしだったため、トーマス・キーン委員長のような彼自身の組織の構成員のでさえ、この報告書は失敗するように仕組まれている、として反対意見を表明していた。

ゼリコウが調査するはずだったまさにその人々との深いつながりが、大規模な利益相反を引き起こし、ヘラースタイン判事と同様、ゼリコウは即座に同委員会の事務局長にふさわしくない、と失格にすべきだった。ブッシュ大統領の「情報化時代の国家安全保障に関する対策委員会」の一員として、ゼリコウは2002年にホワイトハウスの「アメリカ合衆国の国家安全保障戦略」を執筆し、その中で、2003年のイラクのように、米国にとって全く脅威ではないが、イスラエルに対して敵対的と認識された国々に対して、あれほど壊滅的な効果をもたらした先制攻撃戦争主義を概説していた。ゼリコウがこの戦略の考案者であるということは、彼が9/11委員会の事務局長に任命されたとき、委員長のトーマス・キーンやリー・ハミルトンを含む委員会の委員たちには知られていなかった。彼の利益相反関係は余りに明白だったので、彼がその地位に任命されたとき、ジョージ・ブッシュの対テロ顧問リチャード・クラークは、先見の明を持ってこう述べていた。「ゼリコウ以上に明らかな利益相反関係を持つ人物がいるだろうか?」と。

ゼリコウは、最初から最後まで捜査のあらゆる側面を支配し、明らかに怪しいテフィリン*の花綱をつけた大物の尻尾をおさえられないよう苦心していた。彼は職員の雇用や解雇に関わり、すべての調査努力を指揮し、公式説明を裏付けない全ての基礎情報に蓋をし、極端な拷問によって得られた誤った自白、例えばハリド・シェイク・モハンマドの多くの非道な主張を証拠として認めさせた。米国のジャーナリスト、ポール・スペリーは、米国のマスコミの中で、当たり前のことをあえて指摘した数少ない人物の一人だった。
*テフィリン・・・ユダヤ教徒が身につける衣装

「彼には投票権がないが、元テキサス州のこの弁護士は、議長を含むどの委員よりも間違いなく大きな影響力を持っている。ゼリコウは、調査の分野や記者会見用の資料、公聴会の題目、証人、証人に対する尋問をどこまでおこなえるかを選んでいる。彼はまた、ホワイトハウスと法的に戦う価値がある戦いを選び、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)の証言*をめぐる最新の降伏、いや交渉と言うべきか、に関与していた。そして、最高責任者は大部分について彼の勧告に従っている。事実上、彼が議題を設定し、調査を実行している。」
*ライス証言・・・イラクとアルカイダの関係について虚偽の内容を発言していた。

「彼はまた、実に不愉快な利益相反の臭いを放っているのに、どういうわけか、米国史上最も重要な捜査職の一つとして彼を審査した弁護士はそのことに気づかなかった。」


委員会の委員で元米国上院議員のマックス・クレランドは、このスペリーによる評価に同意しているように見えた。任命されて間もなく抗議して辞任したクレランドは、「これは詐欺だ。気味が悪い。米国はだまされている」と述べていた。彼は正しかった。ゼリコウによる9/11委員会報告書の内容は、余りにごまかされたもので、午後5時20分、47階建てのWTCビル7号ビルの自由落下崩壊にさえ触れていなかった。委員会の仲間たちによれば、フィリップ・ゼリコウは、彼の「調査」が始まる前から、最終的に現れるであろう報告書を、既にほぼ完全に書き終えていたという。

ベンジャミン・チャートフ

ベンジャミン・チャートフは、2005年春に出版された「9/11の嘘を暴く」と題するポピュラー・メカニクス誌の記事の主任研究員だった。この記事は、その1年後に出版された「9/11神話を暴く:なぜ陰謀論が事実に立ち向かえないのか」という題名の本の基盤として使用され、そこには、エンターテインメント・ウィークリー誌の編集長として、有名人のゴシップを書く大御所として有名なユダヤ人のジム・メイグスが含まれていた。メイグスのような強烈な頭脳が関わっている中で、誰がこの一味が出す結論を疑うことができようか?

表紙で「陰謀論は厳然たる事実には耐えられない」と自慢しているにもかかわらず、チャートフの記事も、それがもたらした本も、9/11で、一体何が実際にWTCタワーの破壊を引き起こしたのか、あるいは乗っ取られた飛行機が、一体なぜ迎撃されなかったのか、首尾一貫した説明を全く生み出せなかった。それにもかかわらず、チャートフの研究は、主流報道機関の多くによって、彼らが「9/11陰謀論」と呼ぶものに対する最終的な答えとして引用されている。偉大な研究者で神学者の故デイビッド・レイ・グリフィン教授は、2007年の著書「9/11の暴き方」で、ポピュラー・メカニクス誌の記事を完全に破壊し、こう書いている。

「9/11真相究明運動のすべての主要な主張を扱っているどころか、著者たちは、一般の読者の目には誤りであると思われる主張だけを扱っているように見える。彼らは、公式説明とは違う論を唱える陰謀論者たちは「自分たちの理論を支持すると思われるいくつかの迷走した情報以外、全ての情報を無視している」と主張しているが、この声明は『9/11神話の誤りを暴く』の著者の手法を表すのによりふさわしい。」

さて、一体なぜベンジャミン・チャートフとCIAとつながりのあるポピュラー・メカニクス誌は、9/11で何が起こったかについて、これほど容易く反証可能な非科学的な説明を公表して、自分たちの輝かしい評判を傷つけようとしているのだろうか? その答えは、おそらく、ベンジャミン・チャートフが、9/11の陰謀者マイケル・チャートフのいとこだからだろう! 不屈のジャーナリスト、クリストファー・ボリンが、ベンジャミン・チャートフに個人的に連絡を取り、マイケル・チャートフと関係があるのかと尋ねた際、この「9/11の嘘を暴く」の主任研究員は、居心地悪そうに「わからない」と答えた。しかし、ボリンがニューヨーク州ペラムにいるベンジャミン・チャートフの母親に連絡を取り、同じ質問をしたとき、彼女は「はい、もちろん、彼はいとこです」と答えた。

この不都合な事実は、ジム・メイグスが「9/11神話を暴く」の「あとがき」で取り上げ、ボリンの発見の重要性を軽視しようと最善を尽くしていた:「クリストファー・ボリンがベンの母親に電話をかけた。母親は、そう、母親はマイケル・チャートフが遠い従兄弟かもしれないと思っている、と答えた...ベンとマイケル・チャートフが遠い親戚である可能性はあります」

メイグズがずる賢い変更を加えて、この2人にある程度の距離を作るよう仕組もうとしていることに注目していただきたい。「はい、もちろん」は「はい、彼女は考えている」になり、「彼はいとこです」は「遠いいとこかもしれない」に変えられている。グリフィン教授は以下のように書いている。

「メイグスに対する疑念の表明は驚くべきものだ。 彼は、自分と彼の優秀な研究員が数カ月で9/11に関する中心的な真実をすべて発見できた、と主張している......それなのに、自分たちの組織の一員が国土安全保障省の長官と関係があるかどうかを確かめることができなかったのだ!......真実がどうであれ、ポピュラー・メカニクス誌はその本に対してこの告発がなされるのを避けるためにあらゆる手段を講じたようだ。 ベンジャミン・チャートフが雑誌記事の上級研究員であると自称し、その記事を担当した記者一覧の先頭に彼の名前が大きく表示されていたのに対し、彼の名前は編集者のひとりとしてこの本の表紙にはない。 彼の名前は「記者/ライター」にも「研究者」にも記載されていないし、この本の専門家記載欄のどこにもない。 実際、「あとがき」以前に彼の名前が言及されているのは「謝辞」の部分だけで、そこでは、記事が発表された当時は研究部門の責任者であったにもかかわらず、多くの「もとの取材班の班員」 の一人として感謝されているだけである。 おそらく、この本だけを読んで、国土安全保障省長官の関係者であるチャートフに多大な恩義がある、とは誰も思わないだろう。

NISTの隠蔽工作

「私の意見では、NISTによる世界貿易センタービルの調査は、決定的な原因究明がなされなかったこと、具体性のある勧告と原因との関連付けが十分でなかったこと、調査において事実を追求する権限をすべて十分に行使しなかったこと、政府弁護士が事実究明を発展させるのではなく、むしろ抑止するよう指導したことにより、期待を裏切っている。」 —ジェームズ・クインティエール教授、 メリーランド大学防火工学院下院科学委員会委員(2005年10月26日)

米国国立標準技術研究所(NIST)は、2005年9月に「世界貿易センター災害調査の最終報告書」を発表した。言うまでもなく、それは典型的な納税者の資金により印刷されるに値しないしろものだった。NISTは当時、ウィリアム・ジェフリー(本名ジャッフェ)という名の出自を隠したユダヤ人が率いており、2005年5月25日にジョージ・W・ブッシュによって指名された後、組織の所長に任命された。この茶番劇の他の多くの人々と同様に、ジェフリーは、隠蔽工作に彼の役目を貸すのに「ちょうど適切な時期」に配置され、2005年5月25日にジョージ・W・ブッシュに指名されて所長に任命された。世界貿易センタータワーの「崩壊」に関する報告書が作成されるちょうどその時期にNISTの指揮を執り、3年後、第7ビルに関する研究所の報告書が発表される直前に退任した。

ウィリアム・ジェフリーは、1952年に姓をジェフリーに変えたロシア系ユダヤ人のヘレン・アンナ・エンゲルキングとアラン・サミュエル・ジャッフェの間に生まれた。2005年にNISTの所長になる前、ジェフリーはDARPA(ペンタゴンの邪悪な技術部門)に勤務し、国土安全保障省の科学技術部門の設立に尽力した。特に、国防空偵察局の技術担当副官補佐を務め、RQ-4グローバルホーク無人航空機のセンサーの開発に取り組んだ。

WTCタワーの破壊に関するNISTの報告書の作成を監督したのはジェフリーだった。彼の取り組みの主任調査員/計画責任者は、スティーブン・カウフマンというユダヤ人で、執筆時点では、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)のインフラ構造危機管理部門の部長を務めていた。

NISTの「調査」中、ジェフリーと彼の調査班は、三つの鉄骨タワーを倒壊させるために爆発物が使われた証拠を一度も探さなかったし、WTC複合施設の瓦礫の下に溶けた金属の存在も調べなかった。明らかに、カウフマンやジェフリー、そして彼らの部下であるシャム・サンダーとジョン・グロスは、3つの巨大な建物の前例のない破壊を本当に引き起こした原因を突き止めることに興味がなかった。専門家らは、これらの人々は、火災の温度やコンクリートの熱膨張、鋼の熱伝導率について嘘をつき、演算を改ざんし、重要な基礎情報を調べなかったという罪を犯していると結論付けている。NISTの報告書を完成させた後、ウィリアム・ジェフリーは、1984年から2018年までイスラエル人のイーガル・ブルムが運営する研究所でナノテクノロジーを応用した外壁塗装用の塗料であるナノコンポジットを開発しているスタンフォード研究所(SRI)の最高責任者に就任した。ブルムは、SRIで30年以上にわたり、化学科学技術のアソシエイトディレクターとして働いていた。

9/11記念碑

私は9/11の至る所にイスラエルの指紋があると言ってきたが、その指紋はまさに最も微細な詳細に至るまで徹底して見出すことができる。9/11記念碑は、かつてゴラニ旅団の奇襲部隊に所属していたイスラエル市民のマイケル・アラドによって設計された。アラドは、自身がマイケル・ブルームバーグの親しい個人的な友人であると述べていた。彼の父モシェ・アラドは、米国とメキシコのイスラエル大使であり、イスラエル外交問題評議会の理事を務めていた。彼は2019年にテルアビブで亡くなった。

公式説明によると、アラドは2003年に9/11記念碑を建設するための公募に応募した、とのことだったが、貴殿はそのことをご存知なかっただろう。彼は採用された!全米50州と世界94カ国から集まった1万3683人の応募者という史上最大のデザイン応募者の中から、元イスラエル大使の息子が、偶然にも一位に選ばれたのだ。なんという幸運だろう! 彼が世界のシオニズムやマイケル・ブルームバーグと結びついていたこととは何の関係もなかったことは間違いない。陰謀論者たちよ、そのような詮索は捨てるがよい。

9/11記念碑のためのアラドのデザインは、世界貿易センターの再建を監督するために選ばれたダニエル・リベスキンドというポーランド系ユダヤ人が作成した当初の骨組的な基本計画と一致していた。リベスキンドのデザインは、多くの批評家によって浅はかで、魂がなく、刺激的ではないと評されてきた。9/11の記念碑は、これらの記述と一致している。今日では、それは事実上、非ユダヤ人が毎日巡礼し、恐ろしい記念碑を建設した人々が所属するまさにその一団がもたらした、あの日の恐怖を熟考するための宗教的な場所となっている。この記念碑は、犯罪の責任者が感受性の強い人々の心に架空の言説を描かせるのに最も効果的な方法の1つである、と言える。そう考えると、9/11の記念碑は、それが本当は何であるかが露呈している。つまり、この記念碑は、ユダヤ人による不気味な軽蔑を表しているだけはなく、アラブ人に対する憎悪を増大させるのを助けているのだ。

さらにもう1つの侮辱を加えるために、デビッド・シルバーマンが率いる一団は、9/11記念碑から世界貿易センターの十字架を削除するように訴訟を起こした。グラウンド・ゼロのWTCの瓦礫から掘り出された鉄骨で形成されたこの橋は、キリスト教の十字架によく似ているため、希望の感動的な象徴としてクレーンで吊り上げられた。訴訟を起こすにあたり、シルバーマンは報道陣に次のように述べた。

「いわゆる聖なる人々によって祝福され、イスラム教徒のテロリストを止めることも、その名の下に3000人が殺されるのを防ぐこともできなかった彼らの神が、十字架に似た瓦礫を私たちに与えることだけを気にしていたことを思い出させるものとして提示されている」

結論

ここまで提示してきた情報は、米国史上最悪のテロ攻撃にイスラエルが関与していることを示す入手可能な基礎情報の一部に過ぎない。イスラエルは、攻撃を実行し、その後それを隠蔽する手段や動機、機会を持っていた唯一の国だ。したがって、圧倒的な証拠の優勢が直接テルアビブにつながることは驚くべきことではない。米陸軍士官学校の元戦略研究部長、アラン・サブロスキーは以下のように語っている。

「9/11とアフガニスタンとイラクでの戦争の証拠の痕跡は、PNAC(アメリカ新世紀プロジェクト)やAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)、そして彼らの仲間から続いている。ブッシュ政権のほとんどがユダヤ人のネオコンを通じ、その線はイスラエル政府に繋がる。どれだけ否定しても政治的な陰謀を駆使しても、その本質的な現実を変えることはできない。出典

私が示したように、9/11は、シオニストの政治的・軍事的戦略家によって定式化された何十年にもわたる企みに従って、イスラエルの敵に対して戦争をしかけるために、米軍を中東に引きずり込むための好戦的な理由として機能してきた。9/11の理由と、その犯罪に関与した犯罪網を理解することは、現代の地政学的状況、特に10月7日の事件とそのますます厄介な余波を理解するのに役立つ。対テロ戦争は、イスラエルがナイル川からユーフラテス川まで領土を拡大し、ガザとヨルダン川西岸からすべての非ユダヤ人住民を一掃するまでは終わらない。これを追求するため、イスラエルの工作員は、ヒズボラやフーシ派、イランや、石油が豊富な地域に対するイスラエルの覇権に反対する他のあらゆる人々と戦うため、米軍を中東に引き入れようとして、再び懸命に働いている。もし米国民が、イスラエルの欺瞞によって正当化される中東でのもう一つの戦争を支持するように感情的に操作されるのを許すなら、我々全員にとって絶対的な大惨事になるだろう。私たちは、そのようなことが起こるのを許すことはできない。この記事で学んだことを応用して欲しい。警戒し、何よりも報道機関が伝えていることを強く疑って欲しい。なぜなら、イスラエルの企みを推進するために嘘をつくことがこれらの報道機関の最大の目的なのだから。実際、それがこれらの報道機関の存在理由なのだから。
(著者や代表者の許可を得て「Truth Blitzkrieg」から転載)
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ロシア軍がマキイフカを解放–ロシア国防省

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Russian forces liberate Makeevka – MOD
ロシア国防省は、ルガンスク人民共和国の別の集落が「西側」戦術グループによって占領されていると報告した。
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月12日


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ロシア軍第17砲兵旅団の兵士がウラガン多連装ロケットランチャーを操作する。© Sputnik / Sergey Bobylev


ロシア軍は日曜日(9月29日)、ドンバス地方の別の集落を解放したとロシア国防省が発表した。(しかし)ロシアのルガンスク人民共和国のマキイフカ集落は、「西側」の戦術グループによって占領されている。

同省の報告書によると、「西側」グループが活動しているこの地域やその他の地域で、ウクライナ軍は過去24時間で450人の兵士を失った。ロシア軍はまた、ポーランド製のクラブ自走砲、米国製のM198榴弾砲、英国製のFH-70榴弾砲など、多数の軍事装備をこの作戦戦域で破壊した。

また、隣接するドネツク人民共和国には、マキイフカという都市がある。紛争中、ウクライナ軍による砲撃が頻繁に行われ、民間人が被害に遭っている。

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関連記事:More Ukrainian armor destroyed in Kursk Region – MOD (VIDEO)

ロシア国防省の発表によると、過去24時間で他の5つのロシア戦術軍団がウクライナに与えた死傷者の総数は、全戦線で1,500人を超えた。

同省によると、モスクワの空軍、無人機、ミサイル、砲撃により、「石油インフラ施設」2か所と無線技術情報センターなどが破壊された。

ここ数か月の間、ロシア軍はドンバス地方を着実に進軍し、複数の拠点を占領している。ウクライナ軍がロシア軍の進撃を食い止めようと苦戦する中、ロシア軍はキエフ軍の重要な後方支援拠点であるポクロウシク市に近づき続けている。
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EU加盟国が「親ロシア派」公務員を解雇―メディア報道

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EU country firing ‘pro-Russia’ civil servants – media
リトアニア内務大臣は、「忠実な公務員」のみが国家に仕えるのにふさわしいと述べた。
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月11日


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2024年7月12日、リトアニアのヴィリニュスにある大統領官邸での国旗儀礼に参加するリトアニア兵。 © SOPA Images / Getty Images


リトアニアは親ロシア的な考えを持っていると非難されていると伝えられている「不忠実」 な役人を積極的に調査し、解雇していると、地元放送局TV3が報じた。

土曜日(9月28日)に放映された報道によると、複数の警察官と消防士が、その見解を理由に免職または警告処分を受け、「ヴァトニキ」というレッテルを貼られている。この「ヴァトニキ」という言葉は、かつて赤軍兵士が着用していたジャケットに由来し、ロシア政府の支持者に対する侮辱的な表現として使用されている。

この報道では、「親ロシア的な発言は職の喪失につながる」と述べ、公務員はソーシャルメディア上で公然と意見を表明する前に「慎重に考えるべきだ」と警告した。

「ウクライナでの戦争開始後・・・9人の警察官が親ロシアの可能性があると特定された」と、警察コミュニケーション部門の責任者であるラムナス・マトニス (Ramunas Matonis) はTV3に語った。そして、ほとんどの警察官は、この部門が行なった「予防協議」でそうした考えを否定したが、1人は「機密情報を扱う仕事の延長を認められなかった」と付け加えた。

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関連記事:EU state confirms citizens fighting for Russia

TV3は、アグネ・ビロタイテ内務大臣の発言を引用し、当局は「状況を注意深く監視している」と述べ、リトアニアの親キエフ派の公式立場を保持する「忠実な役人」のみが国に仕えるのに適していると付け加えた。

「私たちは、公務員がその行動や振る舞いによって不忠実な振る舞いを示すケースを決して容認しません」と、ビロタイテはTV3に語り、「そのような人物は公務員として働く権利を失うことになります。これは仕方がないことです。公務員は自国に対しての忠誠心を示さなければなりませんから」と警告した。

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関連記事:EU state strips star ballerina of citizenship

TV3は、リトアニアの元軍人であるゲナディウス・ロガチウスのケースを取り上げた。ロガチウスは、インターネット上で「リトアニアを批判し、ロシアを称賛した」として検察当局に捜査されている。

昨年のウクライナ紛争で被弾したロシアの戦車がヴィリニュス(リトアニアの首都)に展示され、人々が花を手向けたことで、旧ソ連地域の親ロシア感情が表面化したとTV3は述べた。TV3によると、大統領選でエドゥアルト・バイトクス候補が大きな支持を得たことも、親ロシア感情の表れだという。

リトアニアは、2022年2月にロシアとの紛争がエスカレートして以来、ウクライナの強力な支援者となってきた。リトアニアは、強硬な反ロシア政策を数多く推進し、NATOおよびEUによるキエフへの軍事援助の強化を提唱してきた。

当局は以前にも、ソ連の戦争記念碑の取り壊しを命じたり、親クレムリン的見解を理由に、国内在住のロシア出身の著名人数名から市民権を剥奪したりしたことがある。
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前線のウクライナ兵士の大半は数日しかもたない―英紙FT

<記事原文 寺島先生推薦>
Most Ukrainian soldiers last just days on frontline – FT
新兵たちは「最初の砲弾の爆発で逃げ出す」と、指揮官が英紙フィナンシャル・タイムズ紙に語った。
出典:RT 2024年9月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月10日


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ウクライナ兵士が戦闘態勢から休息に戻る、ロシアのドネツク地方、2024年7月29日 © Getty Images / Jose Colon


ウクライナ軍は消耗により戦力が大きく低下しており、新しく編成された歩兵部隊は戦闘に適しておらず、戦闘の気配を察知するとすぐに逃げ出すことがよくあると、金曜日(9月27日)、フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。一部の部隊では、前線に到着してから数日の間に兵士の約3分の2が死亡または負傷したと伝えられている。

ウクライナ軍(AFU)は、ウクライナおよび欧米のメディアの報道によると、1年以上も人員不足に悩まされている。徴兵を何度も繰り返した結果、ウクライナ兵士の平均年齢は現在45歳となっており、前線に送られた兵士の多くは戦闘には不適格であると、複数の司令官や兵士がフィナンシャル・タイムズ紙に語った。

「新兵がその立場に就くと、最初の砲弾の爆発で逃げ出す者が多い」と、ドネツク州のウグレダル付近で戦っている副司令官は語った。また、近くのフラコヴェの町を確保しようとしている部隊の別の司令官は、「恐怖のあまり敵を撃てずに立ちすくむ者もいる。そして、彼らは遺体袋で運ばれたり、重傷を負って去っていくのだ」と語った。

司令官たちは、新しく歩兵部隊に加わった兵士の50~70%が、最初の配置から数日のうちに負傷または死亡したと推定している。

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ロシア軍はここ数週間で、ウグレダル、フラコヴェ、そして重要な後方支援拠点であるポブロフスクの近くで地盤を固めてきている。ウクライナ軍の最も経験豊富な兵士の多くが、8月にこの戦線の部隊から引き抜かれ、ロシアのクルスク地方への侵攻作戦に参加した。この作戦により、キエフは1万7750人以上の兵士、130両以上の戦車、その他数百両の戦闘車両を喪失した。これは、ロシア国防省の最新情報による。

経験を積んだ兵士たちは「あっと言う間に急速に死に絶え」、より高齢で体力のない兵士たちに置き換えられていると、別の司令官がフィナンシャル・タイムズ紙に語った。「歩兵は走る必要がある。体力も必要だ。重い装備を運ぶ必要もある」と彼は述べ、さらに「若くなければ、それは難しい」と付け加えた。

5月現在、ウクライナ軍は毎月3万人の兵士を徴兵している。しかし、AFUの最高司令官であるアレクサンダー・シースキー大将は今月初め、これらの新兵はわずか6週間の訓練で戦場に送られることが多いと認めた。フィナンシャル・タイムズ紙の取材に応じた司令官らは、AFUの教官の多くには戦闘経験がないため、この訓練は無意味だと述べた。

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「中にはライフルの持ち方すら知らない者もいる」とある将校は言った。「彼らは銃弾を撃つよりもジャガイモを剥(む)くことの方が多い」と彼は不満を漏らし、新入隊員たちに弾薬を無駄にすることなく銃の撃ち方を教えるためにペイントボール[的に当たれば着色する]銃を購入したと説明した。

一命を取り留めた兵士でも、最初の輪番が終わった後に無断離隊することが多く、ショックがひどく疲れ果てて精神科病棟に入院する兵士もいるという。AFUには兵士を動員解除する法的義務がないため、新兵は軍隊に入隊したり徴兵されたりすることを「片道切符」と見なしている、と10年の退役軍人がフィナンシャル・タイムズ紙に語った。

ウクライナ軍は死傷者数を公表していないが、ロシア国防省は2022年2月以降のキエフ側の損失を約50万人と推定している。

しかし、ウクライナの指導者ウラジミール・ゼレンスキーは、より多くの西側の武器と資金があれば、ロシアを「平和に追い込む」ことができると主張している。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は今週初め、ロシア政府はゼレンスキーの軍事的勝利への信念を「妄想」と考えていると述べた。
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ヒトラーは、第二次世界大戦の前から、ウォール街、米国連邦準備銀行、英国銀行から資金提供を受けていた。

<記事原文 寺島先生推薦>
Hasan Nasrallah Died on the Road to Liberate Palestine
ナチス・ドイツへの米国の投資。ロックフェラーがアドルフ・ヒトラーの選挙キャンペーンに資金提供
筆者:ユーリ・ルプツォフ (Yuri Rubtsov) & ミシェル・チョスドフスキー (Michel Chossudovsky) 教授
出典:Global Research 2024年9月23日(2016年5月14日初出)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年10月9日


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写真:ヒトラー、シャハト、プレスコット・ブッシュ

以下はミシェル・チョスドフスキーによる紹介記事、それに続くユーリ・ルプツォフによる次のようなタイトルの記事である。
 
歴史:アドルフ・ヒトラーは米国連邦準備銀行、英国銀行から資金提供を受けていた。

ユーリ・ルプツォフによる入念な調査に基づくこの記事は、アドルフ・ヒトラーのナチス政権への融資におけるウォール街と米国連邦準備制度の役割に光を当てている。(下にスクロール)

   
                   米ドルの力
                  1932年の密約
         ウォール街がヒトラーの選挙運動に資金提供
              筆者:ミシェル・チョスドフスキー
                  2023年11月21日

                        小さな修正、2024年9月22日

紹介

第一次世界大戦から現在まで:ドル建て債務は、米国主導のすべての戦争の背後にある原動力だった。

ウォール街の債権者たちが主役だ。

ウォール街の債権者たちはナチス・ドイツを強く支持していた。彼らは1941年のバルバロッサ作戦とソ連侵攻を資金面で支援した。

 「1932年1月4日、英国の金融家モンタギュー・ノーマン (イングランド銀行総裁)、アドルフ・ヒトラーとフランツ・フォン・パーペン(数ヶ月後の1932年5月に首相となった)との会合が開催された。この会合で、国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAPまたはナチス党) への資金援助に関する合意が成立した。

この会合には、米国の政策立案者やダレス兄弟も出席していた。これは、ダレス兄弟の伝記作家たちが言及したがらないことである。

1年後の1933年1月14日には、アドルフ・ヒトラー、ドイツの財政家クルト・フォン・シュレーダー男爵フランツ・フォン・パーペン首相、ヒトラーの経済顧問ヴィルヘルム・ケップラーとの会談が行われ、ヒトラーの計画は完全に承認された」。(下に掲載するY. ルプツォフ論文)


1933年3月にアドルフ・ヒトラーが首相に就任すると、ウォール街の影が色濃く見える大規模な民営化プログラムが開始された。

1933年3月、アドルフ・ヒトラーによりドイツ帝国銀行総裁に再任されたハルマール・シャハト博士は、フランクリン・D・ルーズベルト大統領によりホワイトハウスに招待された(1933年5月)。

「アメリカ大統領およびウォール街の大手銀行家たちとの会談の後、アメリカはドイツに総額10億ドルの新規融資を割り当てた」 [PPP*の推計では2023年の237億ドル相当] (同Y. ルプツォフ論文)

           *PPP(官民連携)Public Private Partnership

2816-2.jpgNewspapers.com
Newspapers.com

それからわずか1年後の1934年4月には、エコノミスト誌が「軍事費の増大により、財務大臣は新たな財源を模索せざるを得なくなっている」と報じている。その中にはドイツ帝国鉄道(ドイツ国鉄)の民営化も含まれていた(ゲルマ・ベル著、20ページより引用)。ナチス政府は、国営造船会社や国営インフラ、公益事業も売却した。

「ナチス・新自由主義」的な傾向を持つ、おそらく「条件付き」の民営化プログラムが、ドイツのウォール街の債権者との交渉項目となった。ドイツ銀行やドレスナー銀行を含む複数の大手銀行も民営化された。

「ナチス党政府は、1930年代半ばにいくつかの国営企業の公的所有権を売却した。これらの企業は、鉄鋼、鉱業、銀行、地方公益事業、造船所、船会社、鉄道など、幅広い分野に属していた。

さらに、1930年代以前に政府が提供していた一部の公共サービス、特に社会・労働関連のサービスは、主に党内の組織を中心とした民間部門に移管された。」(バルセロナ大学ゲルマ・ベル)


民営化プログラムの収益は、未払い債務の返済とナチス・ドイツの上向きになっていた軍需産業複合体の資金源として使われた。

フォード社やゼネラルモーターズ社など、多くの米国の複合企業がナチス・ドイツの兵器産業に投資していた:

ゼネラルモーターズ社もフォード社も、1939年の開戦時にドイツの自動車市場の70%を支配し、その後急速に再編されてドイツ軍への軍需物資の供給業者となったドイツ子会社の経営については、ほとんどあるいはまったく責任を負わないと主張している。

・・・一部の例では、米国政府の文書が示すように、ルーズベルト政権による国内工場での軍需生産拡大の要求に抵抗していた時期に、ゼネラルモーターズ社とフォード社の米国人経営者は、ドイツ工場の軍需生産への転換に同調した。 (ワシントン・ポスト紙、1998年11月30日)



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敵と寝所を共にするアメリカ名家。プレスコット・ブッシュの役割

重要:ジョン・ロフタスの記録された歴史分析によると、「アメリカの名家」はナチスから富を得た。

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画像:(右)プレスコット・ブッシュ上院議員と息子のジョージ・H・ウォーカー・ブッシュ。(1950年代)

プレスコット・ブッシュ (ジョージ・W・ブッシュの祖父)は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン&カンパニーの共同経営者であり、ユニオン・バンキング・コーポレーションの取締役でもあつた。同社は、第三帝国の軍需産業に深く関与していたティッセン・シュタール社をはじめとするドイツ企業の利益と密接なつながりを持っていた。

ブッシュ家とナチス・ドイツの戦争経済とのつながりは、ニュルンベルク裁判でナチス・ドイツの鉄鋼王フリッツ・ティッセンの証言で初めて明らかになった。

ティッセンはプレスコット・ブッシュのパートナーだった。

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「1945年から1949年にかけて、ニュルンベルクでは、アメリカ占領地域において、ナチス戦犯容疑者に対する最も長期間にわたる、そして今となっては最も無駄な尋問が始められた。

億万長者の鉄鋼王フリッツ・ティッセンは、その鉄鋼複合企業がナチスの戦争機械の冷徹な心臓部であった人物であるが、米国と英国の合同尋問チームに対して延々と話し続けた。

... 連合国(ニュルンベルク)の調査官たちが理解していなかったのは、彼らがティッセンに正しい質問をしていなかったということだ。ティッセンは、彼の家族が秘密裏に銀行チェーン全体を所有していたため、外国の銀行口座を一切必要としていなかったのだ。

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ジョン・ロフタスは、ニクソン政権時代に、米国司法省のナチ戦犯検察官(元)であった。


第二次世界大戦終結時、彼はナチスの資産を譲渡する必要はなかった。彼がしなければならなかったのは、ベルリンの彼の銀行からオランダの彼の銀行を経由してニューヨーク市の彼のアメリカ人の友人に、株式、債券、証書、信託などの所有権書類を譲渡することだけだった。ティッセンのパートナーであるプレスコット・ブッシュとハーバート・ウォーカーは・・・将来の合衆国大統領の父であり義父であった。(ジョン・ロフタス『ダッチ・コネクション』2002年9月)。

主流メディアが歴史的記録を慎重に隠蔽していたため、アメリカ国民はブッシュ一族とナチス・ドイツのつながりについて知らなかった。しかし、2004年9月、ガーディアン紙が次のように暴露した:

ジョージ・ブッシュの祖父である故プレスコット・ブッシュ米上院議員は、ナチス・ドイツの資金援助者との関与で利益を得た企業の取締役兼株主だった。・・・

彼の事業取引は、1942年に敵国通商法に基づき、彼の会社の資産が差し押さえられるまで続いた。その取引は、60年以上経った今、ドイツで、アウシュビッツの元奴隷労働者2名がブッシュ一族に対して起こした損害賠償請求の民事訴訟、そして選挙前の論争のきっかけとなった。
(ベン・アリスとダンカン・キャンベル著『ブッシュ大統領の祖父がヒトラーの権力掌握にいかに貢献したか』、ガーディアン紙、2004年9月25日、強調は筆者)



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画像はガーディアン紙

プレスコット・ブッシュは1950年に政界入りした。1952年にコネチカット州の上院議員に選出され、1963年1月までその職を務めた。

ブッシュ家とナチズムとのつながりを示す証拠は、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(父) ジョージ・W・ブッシュが政界入りするはるか以前から入手できた。ブッシュ(父)のCIAでの勤務は言うまでもない。

米国メディアは完全に沈黙を守った。ジョン・ブキャナン(2003年10月10日付ニューハンプシャー・ガゼット紙)によると:

「米国メディアが60年間にわたって無関心で、さらに否定さえしていたにもかかわらず、新たに発見された米国国立公文書記録管理局と米国議会図書館の政府文書により、ジョージ・W・ブッシュ大統領の祖父であるプレスコット・ブッシュが、1926年から1942年まで、ナチス・ドイツの戦争機械の資金調達を担った人物のビジネスパートナーおよび米国の銀行業務担当者として働いていたことが明らかになった。議会がブッシュおよび「敵国人」パートナーに対して積極的な措置を取ったのは、1942年のことだった。

米国財務省の報告によると、ブッシュと彼の同僚は、ドイツの実業家フリッツ・ティッセンとの金融同盟を隠そうとしたことも文書は示している。ティッセンは鉄鋼と石炭の大富豪で、1920年代半ばから、アドルフ・ヒトラーが民主主義原則とドイツ法を転覆させて権力の座につくのに個人的に資金を提供していた。さらに、機密解除された記録は、米国の象徴であるW・アヴェレル・ハリマンの弟であるE・ローランド・ハリマンやブッシュ大統領の母方の曽祖父であるジョージ・ハーバート・ウォーカーを含むブッシュと彼の仲間たちが、米国が戦争に参戦した後も1年近くこのドイツの産業界の大物(フリッツ・ティッセン)との取引を続けていたことを明らかにしている。


プレスコット・ブッシュの会社の資産、すなわちユニオン・バンキング・コーポレーションは1942年に敵国通商法 (下記参照) に基づいて差し押さえられたが、ジョージ・W・ブッシュの祖父はナチス・ドイツとの商取引で起訴されることはなかった。
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「1952年、プレスコット・ブッシュは、そのナチス党員であった過去がほとんど報道されることなく、米国上院議員に当選した。

ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ、ジェブ・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュが実施した政治キャンペーン期間中に、ブッシュとナチのつながりを米国の報道機関が取り上げたという記録は一切ない。ただし、2000年11月にサラソタ・ヘラルド・トリビューン紙が関連のない記事の中で短く言及したことと、2001年にボストン・グローブ紙が短く、しかし不正確な記事を掲載したことは例外である。(ジョン・ブキャナン、前掲書)


真珠湾攻撃(1941年12月)までは、ウォール街はドイツと取引をしていた。

真珠湾攻撃 (1941~1945年) の直後、スタンダード・オイル社はベネズエラやアルゼンチンなどのいわゆる「中立国」の仲介でナチス・ドイツに石油を売って「敵と取引」していた。

スタンダード・オイル社(ニュージャージー州)が仕組んだナチス・ドイツへの米国からの石油供給がなければ、第三帝国はソビエト連邦に侵攻することはできなかっただろう。これはジャック・パウウェルズ博士の著書に詳細に記されている:

「第二次世界大戦は、米国が独裁政権に対して民主主義、自由、正義の側で無条件に戦った『聖戦』として広く称賛されている」。


1944年6月にアメリカが西ヨーロッパを解放した一方で、語られることのない真実として、アメリカの企業がナチス・ドイツと積極的に協力していたという事実がある:

スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(現在のエクソン) は、ドイツの企業連合IGファルベンと緊密な関係を築いていた。1930年代初頭までに、デュポン、ユニオン・カーバイド、ウェスティングハウス、ゼネラル・エレクトリック、ジレット、グッドリッチ、シンガー、イーストマン・コダック、コカ・コーラ、IBM、ITTなど、およそ20社もの米国の大企業の幹部たちはドイツとのつながりを持っていた

最後に、多くの米国の法律事務所、投資会社、銀行が、米国のドイツにおける投資攻勢に深く関与していた。その中には、有名なウォール街の法律事務所であるサリヴァン・アンド・クロムウェル、銀行のJ.P.モルガンとディロン・リード・アンド・カンパニー、ブラウン・ブラザーズ・アンド・ハリマンが所有するユニオン・バンク・オブ・ニューヨークが含まれる。・・・


(ジャックス・R・パウウェルス、強調は筆者)

ミシェル・チョスドフスキー、2023年11月21日、更新、2024年9月22日

***

歴史:ヒトラーは資金援助を受けていた
連邦準備制度と英国銀行から

筆者:ユーリ・ルプツォフ
2016年5月


第二次世界大戦:80年以上前、歴史上最大の殺戮が始まった。

「戦争責任」の問題に切り込むのであれば、まず次の重要な質問に答えなければならない。

   ・誰がナチを権力の座につける手助けをしたのか?
   ・誰がナチを世界破滅の道に送り込んだのか?

ドイツの戦前の歴史全体を見ると、第一次世界大戦後に世界が陥った金融不安の中で、「必要な」政策が講じられていたことがわかる。

戦後の西側の開発戦略を決定づけた主な構造は、英国と米国の中央金融機関である英国銀行と連邦準備制度(FRS) 、そしてドイツの金融システムと中欧における政治プロセスを完全に支配する手段として設立された関連金融・産業組織であった。

この戦略を実施するために、以下の段階が想定された:

1. 1919年から1924年にかけて、米国によるドイツ経済への大規模な投資の準備を進める。
2. 1924年から1929年にかけて — ドイツの金融システムに対する支配の確立とナチズム(「国家社会主義」)への財政支援。
3. 1929年から1933年にかけて、深刻な金融・経済危機を誘発し、ナチスが政権を握ることを確実にした。
4. 1933年から1939年まで—新たな世界大戦の準備と勃発を目的としたナチス政府との財政協力とその拡大主義的外交政策への支援。

第一次世界大戦「戦争準備」

第一段階では、アメリカ資本のヨーロッパへの浸透を確実にする主な手段として、第一次世界大戦の戦時債務と、それに密接に関連するドイツの賠償問題から始まった。

米国は第一次世界大戦参戦後、同盟国 (主にイギリスとフランス) に88億ドルの借款を与えた。1919年から1921年にかけて米国に供与された借款を含む戦争債務の総額は110億ドル以上であった。

この問題を解決するために、債権国はドイツに対して戦争賠償金の支払いに非常に厳しい条件を課そうとした。これは、ドイツの資本が国外に流出し、税金を払うことを拒否したために発生したもので、国家予算の赤字は担保のないドイツマルクの大量生産によってしか補填できなくなった。

その結果、ドイツ通貨は崩壊し、1923年には「大インフレ」が起こり、1ドルは4兆2000億マルクの価値を持つに至った。ドイツの産業家たちは賠償金の支払いのあらゆる活動を公然と妨害するようになり、最終的に1923年1月のフランスとベルギーによるルール占領という有名な「ルール危機」を引き起こした。

英米の支配エリート層は主導権を握るために、フランスが冒険的な行動に走り、問題解決能力の欠如を証明するのを待った。ヒューズ米国務長官は次のように指摘した。

「アメリカの提案を受け入れるには、ヨーロッパが成熟するのを待つ必要があります」。


この新しいプロジェクトは、イングランド銀行の頭取モンタギュー・ノーマンの指導の下、「JPモルガン・アンド・カンパニー」の奥深くで開発された。彼の構想の中核には、パリ講和会議でウィルソン大統領の法律顧問を務めたジョン・フォスター・ダレス (後のアイゼンハワー大統領政権の国務長官) の提案を受けて1922年3月に「ドレスナー銀行」を代表するハルマール・シャハトがいた。

ダレスは、このメモを最高責任者である「JPモルガン・アンド・カンパニー」に渡し、同社はイングランド銀行総裁のモンタギュー・ノーマンと協議した上で、H. シャハトを推薦した。

1923年12月、H. シャハトはドイツ帝国銀行の総裁となり、英米とドイツの金融エリートを結びつけるのに尽力した。

1924年夏、ロンドン会議で「ドーズ計画」 (この計画を立案した専門委員会の委員長である米国の銀行家でモルガン・グループの銀行の取締役の名にちなんで名づけられた)が採択された。彼は賠償額の半減を求め、その財源の問題を解決した。しかし、主な課題は米国の投資に有利な条件を確保することで、それはドイツマルクの安定化によってのみ可能であった。

この目的のために、この計画はドイツに2億ドルの大規模な融資を行い、その半分はJPモルガンが占めた。

英米の銀行は、ドイツの支払いの移動だけでなく、予算、通貨流通システム、そしてその国の信用システムの大部分を支配するようになった。

ワイマール共和国

1924年8月までに、古いドイツマルクはドイツの新しい安定した財政状況に取って代わられ、研究者G.Dプレパルタが書いているように、ワイマール共和国は次のような準備をしていた:

「史上最も絵に描いたような経済援助と、それに続く世界史上最も苦い収穫」―「止めることのできないアメリカ人の血がドイツの金融静脈に流れ込んだ」。


その結果はすぐに現れた。

これは主に、毎年の賠償金が、いわゆる「不条理なワイマールの輪」によって形成された同盟国の債務額を補填するという事実によるものであった。

ドイツが戦争賠償金として支払った金は、米国で売却、質入れされ、姿を消した。その後、米国の「援助」計画としてドイツに返還され、英国とフランスに与えられた。一転して英仏は米国の戦争債務を支払うことになった。そして利息が上乗せされ、再びドイツに送られた。結局、ドイツでは誰もが負債を抱え、ウォール街が融資を撤回すれば、ドイツが完全に破産してしまうことは明らかだった。

第二に、支払いを確保するために正式な債権が発行されたが、実際にはドイツ軍事産業の潜在力を回復させることになった。

実際には、ドイツ人は融資のために企業の株式で支払われたので、アメリカの資本は積極的にドイツ経済に統合され始めた。

1924年から1929年にかけてドイツ産業に投じられた外国からの投資総額は、ほぼ630億金マルク(うち300億は融資)に達し、賠償金の支払いは100億マルクであった。収入の70%は米国の銀行家たちによって提供され、そのほとんどがJPモルガン系の銀行だった。その結果、1929年にはドイツの産業は世界第2位の規模となったが、その大半は米国の有力な金融・産業グループの手に握られていた。

ナチス・ドイツへの米国の投資。ロックフェラーがアドルフ・ヒトラーの選挙キャンペーンに資金提供

ドイツの兵器の主な供給者である「IG・ファルベンインドゥストリー*」は、1930年のヒトラーの選挙運動の45%に資金を提供し、ロックフェラーの「スタンダード・オイル社」の支配下にあった。
IG・ファルベンインドゥストリー*・・・(イーゲー・ファルベンインドゥストリー、Interessen-Gemeinschaft Farbenindustrie AG)は、戦間期ドイツの化学産業トラストである[1]。略称はIGファルベン (I.G. Farben)。(ウィキペディア)

モルガンは「ゼネラル・エレクトリック」を通じて、AEGやジーメンスを介してドイツのラジオおよび電気産業を支配していた(1933年まで、AEGの30%の株式は「ゼネラル・エレクトリック」に所有されていた)。また、テレコム会社ITTを通じて、ドイツの電話ネットワークの40%を支配していた。

さらに、モルガンは航空機製造会社「フォッケウルフ」の30%の株式を所有していた。

デュポン家が所有する「ゼネラルモーターズ」は、「オペル」の経営権を掌握した。

ヘンリー・フォードは「フォルクスワーゲン」の株式の100%を所有していた。

1926年に、ロックフェラー銀行「ディロン、リード社」の参加により、「I.G.ファルベン」に次ぐドイツで第二の工業独占体である冶金企業「フェライニヒテ・シュタールヴェルケ」(スチールトラスト)が誕生した。ティッセン、フリック、ヴォルフ、フェグレラなどが関与している。

アメリカとドイツの軍事産業複合体との協力関係は非常に緊密かつ広範なものであり、1933年にはドイツの主要産業部門やドイツ銀行、ドレスナー銀行、ダナート銀行(ダルムシュタット国立銀行)などの大手銀行がアメリカの金融資本の支配下に置かれていた。

英米の計画において重要な役割を果たすはずだった政治勢力が同時に準備されていた。つまり、ナチス党とアドルフ・ヒトラー個人への資金提供についてのことだ。

ドイツ首相のブリューニングが回顧録に記したように、1923年以降、ヒトラーは海外から多額の資金を受け取っていた。その資金がどこに流れたのかは不明だが、スイスとスウェーデンの銀行を通じて受け取られていた。

また、1922年にミュンヘンで、A.ヒトラーと米国駐ドイツ軍武官のトルーマン・スミス大尉との会合が行われたことも知られており、スミス大尉はワシントンの上官(軍事情報局)のために詳細な報告書をまとめ、その中でヒトラーを高く評価していた。

ヒトラーは、スミスの知人の紹介でハーバード大学を卒業したドイツ系アメリカ人の実業家エルンスト・フランツ・セジウィック・ハンフステングルと初めて知り合った。ハンフステングルは、ヒトラーが政治家として形成される上で重要な役割を果たした。ヒトラーは、英国の有力者たちとのつながりと意思疎通を確保しながら、多額の資金援助を受けて政治家に転身した。

ヒトラーは政治の世界で準備を整えていたが、ワイマール共和国下のドイツが支配する中、彼の政党は公的生活の傍流にとどまっていた。 状況は1929年の金融危機の始まりとともに劇的に変化した。

1929年秋、連邦準備制度が引き金となってアメリカの証券取引所が崩壊した後、英米金融機関の戦略の第3段階が始まった。

連邦準備制度とJPモルガンは、中欧の銀行危機と経済恐慌に触発され、ドイツへの融資を停止することを決定した。1931年9月、イギリスは金本位制を放棄し、国際決済システムを故意に破壊し、ワイマール共和国への「金融的酸素」の流れを完全に断ち切った。

しかし、ナチス党には財政的な奇跡が到来した。1930年9月、ティッセン、IGファルベン、実業家エミール・キルドロフ(アドルフ・ヒトラーの強力な支持者)からの多額の献金により、ナチス党は640万票を獲得し、帝国議会で第2党の地位を獲得した。その後、海外からの多額の投資が活性化した。

ドイツの主要な実業家と外国の金融家の間の主なつながりとなったのは、H. シャハトであった。

1932年秘密協定:ウォール街がヒトラーのナチスに資金援助

1932年1月4日、英国の金融家モンタギュー・ノーマン (英国銀行総裁)、アドルフ・ヒトラーとフランツ・フォン・パーペン(数ヶ月後の1932年5月に首相となった)との会合が開催された。この会合で、国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAPまたはナチス党) への資金援助に関する合意が成立した。

この会合には、米国の政策立案者やダレス兄弟も出席していた。これは、ダレス兄弟の伝記作家たちが言及したがらないことである。

1年後の1933年1月14日には、アドルフ・ヒトラー、ドイツの財政家クルト・フォン・シュレーダー男爵フランツ・フォン・パーペン首相、ヒトラーの経済顧問ヴィルヘルム・ケップラーとの会談が行われ、ヒトラーの計画は完全に承認された。

ここでようやくナチスへの政権移譲の問題が解決し、1933年1月30日、ヒトラーが首相に就任した。こうして、戦略の第4段階が実行に移された。

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英米の支配エリート層は、この新しいナチス政権に対して非常に共感的な態度をみせた。

ヒトラーが当然ながら戦争賠償金の支払いを拒否した際、英国もフランスも、その支払いの督促をしなかった。

さらに1933年5月の訪米後、H.シャハトは再びドイツ帝国銀行の頭取となった。アメリカ大統領やウォール街の大銀行家との会談の後、アメリカはドイツに総額10億ドルの新規融資を行なった。

6月、ロンドンへの出張中にモンタギュー・ノーマンと会談したシャハトは、20億ドルの英国からの融資と、旧債務の返済減免も求めた。

こうして、ナチスは前政権では達成できなかったものを手に入れた。

1934年夏、英国は英独譲渡協定に調印し、これが第三帝国に対する英国の政策の基礎の一つとなった。そして1930年代の終わりには、ドイツは英国の主要な貿易相手国となった。

シュレーダー銀行は英国におけるドイツの主要代理人となり、ニューヨークにある彼の事務所は1936年にロックフェラー家と提携して「シュレーダー・ロックフェラー社」と呼ばれる投資銀行を設立した。

ヒトラー自身が認めたように、彼は外国からの融資を前提とした4か年計画を立てていたため、まったく危機感を抱いていなかった。

1934年8月、ドイツのアメリカ・スタンダード石油(ロックフェラー家所有)は73万エーカーの土地を取得し、ナチスに石油を供給する大規模な石油精製所を建設した。同時に、ドイツはアメリカから航空機工場用の最新設備を秘密裏に受け取り、ドイツ製飛行機の生産を開始した。

ドイツは、アメリカの企業であるプラット・アンド・ホイットニー社、ダグラス社、カーチス・ライト社から多数の軍事特許を取得し、アメリカの技術がユンカース87を製造していた。1941年、第二次世界大戦が激化する中、ドイツ経済への米国からの投資総額は4億7500万ドルに達した。スタンダード石油は1億2000万ドル、ゼネラルモーターズは3500万ドル、ITTは3000万ドル、フォードは1750万ドルを投資した。

英米とナチス・ドイツのビジネス界の緊密な財政・経済協力関係が背景となり、1930年代には宥和政策が第二次世界大戦へとつながっていった。

今日、世界の金融エリートたちは「大不況2.0(2008年)」を実施し、その後「新しい世界秩序」への移行を進めている。


ユーリ・ルプツォフは歴史学博士、ロシア軍事科学アカデミー会員、第二次世界大戦国際歴史家協会会員である。

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筆者:タリック・シリル・アマール
ドイツ出身の歴史家で、イスタンブールのコチ大学でロシア、ウクライナ、東ヨーロッパ、第二次世界大戦の歴史、文化的冷戦、記憶の政治*について研究している。
*記憶の政治とは、政治的主体による集団記憶の組織化、つまり出来事を記憶し記録したり、破棄したりするための政治的手段である。歴史認識問題に揺れる東アジアに対し,ヨーロッパでは歴史・記憶の共有と和解が進んでいるように捉えられている。しかし中東欧やロシアにまで視野を広げると,そこには歴史の記憶をめぐる激しい亀裂や対立がある。
出典:RT   2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年10月6日


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写真:ジョージアのトビリシで行われたデモで、警察と衝突したデモ参加者がパトカーを損傷させた。 © Daro Sulakauri / Getty Images


EUの「エリート」 について言うならば、彼らはしつこいのだ。米国の指揮下でロシアと戦っている代理戦争で、ウクライナを失う寸前にあるが、対抗するチャンスを決して逃さない。今度はジョージアの番だ。もちろんコーカサス地方のジョージアである。ブリュッセルは、米国について、あちらの腐りきった「民主主義」 の残骸がどんなにひどかろうとも、決して声を荒げることはないだろう。

もしジョージア政府(正式に選挙で選ばれた政府であり、その他にも様々な要素はあるが、それでも欧州官僚が嫌う「ジョージアの夢」党が主導している)がEUの言うことを聞かないのであれば、欧州委員会からの警告によると、「あらゆる選択肢がテーブルに載っている。これは、ビザ自由化計画の一時的な停止の可能性も含めて」、2017年の合意に基づき、ジョージア人がビザなしでEUのシェンゲン圏内*および域内を最長6か月間旅行できる権利を失うことを意味する。
*シェンゲン協定は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である。

ジョージアのEU加盟候補が事実上停止されたというやや抽象的な事態の後、これは一般市民に痛みを伴う制裁を加えるという、非常に具体的で卑劣な脅しである。EU側の公式な理由は、おそらくジョージアが、欧州委員会(EUで現在、クーデターのような行政権の掌握を完了しつつある、完全に選挙で選ばれていない機関)が考える「民主主義」から後退しているというものだろう。むかし使い古された皮肉だ。

ばかげた情報戦の論点である「価値」はさておき、もちろん本当の理由は、ジョージアが十分にロシア恐怖症的ではないからだ。比較のためにウクライナを見てみよう。現実的な見方をする観察者がウクライナを民主主義と見間違えるような要素は一切ない。それにもかかわらず、キエフはウルスラ・フォン・デア・ライエンと欧州委員会から絶大な支持を受けている。つい最近も、事実上破産状態にある欧州からさらに350億ユーロの支援を受けるほどの厚遇を受けている。これは、人々がどのように投票するかということではなく、再び地政学に関する問題なのだ。

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ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相が、EUの新たな動きを「安っぽい脅迫」 と非難したのも当然である。まさにそのとおりだ。さらに悪いことに、これは、失敗を繰り返しながらも、欧米が愛してやまない悪しき調理法を実行しようとする典型的な試みである。制裁によって一般市民を苦しめ、欧米が望まない政府を追い出すという、間違った理論を延々と展開するのだ。

この場合、ブリュッセルが念頭に置いている結果には2つの選択肢がある。まず、カラー革命スタイルの暴力的な政権交代。これはジョージアで繰り返し試みられてきた(そして2003年には一度成功し、最終的に2008年には小規模ながらロシアとの壊滅的な戦争への道を開いた。そして、ジョージアが隣国を攻撃し、西側諸国に裏切られた)。欧米諸国がこの考えを諦めた兆候は見られない。次に、10月26日に予定されているジョージアの選挙という方法がある。
はい、そのとおり。EUはジョージアが(EUとは異なり)機能する民主主義国家であることを十分に認識している。なぜなら、まさにその民主主義の本質、すなわち選挙プロセスこそが、このEUの脅威の対象となっているからだ。ブリュッセルからのメッセージはこうだ。「これらの人々を権力から追い出せ、さもなければ私たちはあなたたちをEUから追い出す」。単純かつ残忍で、恥知らずな内容である。選挙干渉の教科書のような内容だ。

モスクワは当然ながら、EUが事実上の脅迫や干渉の地政学的手段としてビザ特権を利用する癖があることをよく知っている。最近、アルメニアに関するEUの政策について述べた声明の中で、ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は、この種の「露骨な操作」と、当該諸国に敵対感情を植え付けることなどを通じて、当該諸国を欧米の利益に従わせようとする狙いを指摘した。その見返りとして、「当該諸国」はほとんど中身のない約束や意図的な遅延を受け取る一方で、EUからの譲歩は、受け入れ側が反抗すれば取り消される可能性のある特権という形を取る。ザハロワ氏も指摘しているように、これは長年にわたって複数の国々に対して用いられてきた戦術であり、アルメニアだけでなく、ウクライナ、モルドバ、西バルカン諸国、そしてかつてはロシアさえもがその対象となってきた。

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EUは、もちろん単独で動いているわけではない。ワシントンの主人たちと足並みを揃えて行動しており、その主人たちもまた、ジョージアに対して長年にわたって体制転覆圧力を強めてきた。つい数週間前、まだ米国の大統領であるらしいジョー・バイデンは、ジョージアの主権に対する「断固たる支援」を装った脅し文句をほのめかした。つまり、「ジョージア国民」「彼らの欧州大西洋の夢」を維持することに十分な意欲を示している限り、支援するというのだ。 同時に、「ジョージア政府」は、それが実際に「ジョージア国民」 を代表しているかもしれないという考えは捨ててほしい! 「反民主主義的行動、例えば、クレムリン流の『外国代理人』法やジョージア政府高官の虚偽の供述など、EUやNATO加盟の基準に合致しない行動」 を理由に、ジョージア政府は厳しく非難された。メッセージはこれ以上なく明確である。「立派な主権を持っているじゃないか。我々に従わないなら、何かが起こっても知らんぞ」。我々とは、NATOやEU、つまり西側諸国全体、つまりワシントンを指す。

脅しは言葉だけにとどまらない。米国務省(別名「イスラエルに武器を、その他には制裁を」省)は、ジョージアに対して60以上の制裁を矢継ぎ早に課した。その理由はすべて、トビリシが、ワシントンが好まない法律を適切に、かつ合法的に制定したという大胆不敵さによるもので、具体的にはバイデン大統領が「外国代理人法」と誤って表現した「外国の影響力に関する法律」である。さらに悪いことに、ジョージア政府は、欧米諸国が「市民社会」として賞賛される街頭での暴力行為の扇動にずっと力を注いでいたにもかかわらず、この法律を可決した。

しかし、トビリシは行動せざるを得なかった。欧米諸国が外国からの支援を悪用してジョージアの政治に干渉しようとする執拗な試みにより、ジョージアでは人口400万人足らずの国に2万5000もの組織が存在するという、肥大化し、不均衡なNGOの分野が増大した。多くの小規模なNGOは誠実な活動を行なっているが、少数の大規模な組織は、欧米の影響力を強引に浸透させる役割を果たしている。 最近の重要な分析によれば、「草の根の支持」 によらず、「ジョージア国民に対する大きな影響力」を握っていると指摘している。「選挙で選ばれていないNGOは、国際機関からその権限を得ている」「彼らが生活にこれほどまで侵入してくる役割を果たしているにもかかわらず、市民に対して説明責任を負うことはない。この状況は、ジョージア国民の行動力と、同国の主権および民主主義を損ねている」。

同じ分析によると、現行のジョージアの法律はこの問題に対する正しい答えではないと主張している。そのとおりかもしれないし、そうでないかもしれない。どの政府も効果的な法律や、それほど効果的でない法律を制定する。重要なのは、合法的に進められる限り、どの政府にもそうする権利があるということだ。これは明らかにトビリシの場合に当てはまる。あるいは、もし他の、よりうまく運営されている国が、その質のひどさゆえに干渉する権利を主張した場合、米国の法律は、どのように進められるだろうか? 例えば銃や学校、医療に関してである。

また、米国の外交政策に批判的な目を向ける、米国ではかなり限定的な出版物である『Responsible Statecraft(責任ある政治)』誌の最近の論文が正しく指摘しているように、トビリシが外国からの支援を透明化する法律を制定したことは、決して「本質的に非民主的」でも「ロシアの影響を受けた」ものでもない。実際には、この法律の要件は控えめであり、米国の強引なFARA法*を含む欧米の法律が求める要件よりも緩やかな場合も多く、妥当なものである。実際、この法律は非常に妥当であり、ジョージア国内および国外でこれに強く反発している人々が何を隠そうとして、何を失おうとしているのか不思議に思わざるを得ない。
FARA法*・・・(Foreign Agents Registration Act)外国代理人登録法は1938年に可決された米国の法律で、「政治的または準政治的権能を持つ」 外国勢力の利益を代表するエージェントが、その外国政府との関係および活動内容や財政内容に関する情報を開示することを義務付けたものである。(ウィキペディア)

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良いニュースは、トビリシの指導者たちも、米国の干渉を公然と非難することを恐れていないことだ。ジョージア議会の議長であるシャルヴァ・パプアシュヴィリ氏は、アメリカがジョージアに対して取っている態度は、公式にワシントンとトビリシの間にあるとされる「戦略的パートナーシップ」には一致しないと公言している。むしろ、アメリカのエリート層はジョージアの「パートナー」 に対して、「不当な非難」、敵対的な物語、見下した態度、そしてアメリカの利益を押し付けようとする試み、そしてもちろん制裁を行なっている。

制裁について言えば、トビリシはもう十分だ。最近の制裁の波は、事実上の多数派ブロックを構成する議会の一員が公然と非難したように、次期選挙に対する「粗野な干渉」である。これは事実であるだけでなく、米国が意図的に行んなっていることでもある。EUのビザ脅しと同様に、ワシントンの制裁攻撃のタイミングには何の偶然もない。コバヒゼ首相が米国大使に、米国の制裁依存症がジョージアと米国の関係を「危機的状況」に追い込んだと警告したのも当然である。ワシントンがさらにこのような決定を下せば、トビリシは米国との関係を「大幅に再評価する」可能性があると警告した。

それは確かに必要であり、避けられないことなのかもしれない。そして、その理由は最終的にはジョージアとは何の関係もない。それは、他国の主権は実際には現実的ではないという妄想から抜け出せない西側のエリートたちの、終わりのない思い上がりに他ならない。最終的に重要なのは、西側が何を望むかということだ。そして、もし望むものが手に入らなければ、脅迫、制裁、干渉が実行される。このような病的な振る舞いは、欧米では日常茶飯事となっている。それを断ち切るには、何度も何度も失敗させるしかない。ジョージアが欧米の新たな敗北となることを期待しよう。
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子ども殺しネタニヤフが国連演説を始めると議場から退出者続出

<記事原文 寺島先生推薦>
Watch: Mass Walkout as Child Killer Netanyahu Begins UN Speech
筆者:アンドリュー・アングリン(Andrew Anglin)
出典:UNZ 2024年9月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月6日



太っちょアメリカ人の犬どもを除いて、全世界が彼を嫌っていることを考えると、ビビ(ネタニヤフ)が国連総会での演説に果たして現れるかどうかさえ不明だった。

しかし、彼は胸を張って、ホロコーストの名のもとに罪のない人々を際限なく虐殺し続ける必要性を語るために入ってきた。

彼が昨年、何十万人もの罪のない人々を殺し、来年にはそれ以上の人々を殺す予定であることは悲しいことだが、アドルフ・ヒトラーが靴の束を積み上げた時ほど悲しいことではない。したがって、殺害は継続されなければならない。

ロイター:

イスラエルは、自国の消滅を望む「野蛮な敵」と対峙しながらも、平和を求めていると、金曜日(9月27日)に行われた注目の国連演説で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は述べた。



「我が国は戦争状態にあり、その存亡をかけた戦いをしています」と、国連総会での演説でネタニヤフ首相は述べた。「私たちは、これらの残忍な殺人者から自分たちを守らなければなりません。私たちの敵は、私たちを滅ぼそうとしているだけでなく、私たちの共通の文明を破壊し、私たち全員を専制と恐怖の暗黒時代に戻そうとしているのです」。
     ・・・
演説の中で、彼は紛争の責任をイスラエルの宿敵であるイランに負わせようとした。イスラエルは7つの前線でテヘランから自衛している、と彼は述べた。

「イラン国内でイスラエルの力が及ばない場所はありません。それは中東全体にも当てはまります。イスラエルの兵士たちは、虐殺される子羊になどにはなっていません。信じられないほどの勇気をもって反撃しているのです」と、ネタニヤフは拍手の中、演説した。その間、イラン人を含む一部の代表団は退席した。
彼はまた画像資料を携えてきた。私はこれが現実だとは思えないが、彼はそれをやってのけた。

彼は、アメリカ人がまん丸太り、底抜けに陽気で、おつむが少し弱いことを知っている。だから、視覚的な補助が必要で、それがないと彼らの頭は混乱してしまうのだ。

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以下がそのスピーチの全体だ。もし見たいなら(どうぞ)。結局のところ、ちょっとした歴史になっている。私は個人的には見ていないが、おそらく見るだろう。私はその文字起こしを読んだが、それが正確だったかどうかさえわからない。全体像を把握するには、視覚資料を見る必要があるだろう。



映像はこちら

国連にこんな姿で現れるなんて、みんなに嫌われていることを承知で、まったく大胆な行動だ。

中東の半分以上の国々を巻き込んだ大規模な戦争を正当化する彼の狂気じみた戯言に影響される者はいないだろう。アメリカ人がそれを愛しているのかもしれない。なぜなら、アメリカ人は本当に、本当にユダヤ人を愛しているからだ。彼はいつでも好きなときに米連邦議会で演説することができることになっている。

だから、悪魔のような姿で現れて、自分の意見をはっきりと述べた彼には一目置こう。
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殉教者/伝説としてのナスララ:イスラムの国々は怒りを向ける準備をしている

<記事原文 寺島先生推薦>
Nasrallah as martyr/legend: The lands of Islam get ready to channel their rage
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:Strategic Culture  2024年9月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


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象徴は粉々に砕け散った。伝説が生まれた。レジスタンスはこれまで以上に後退することはない。

象徴は粉々に砕け散った。伝説が生まれた。レジスタンスはこれまで以上に後退することはない。

これはシーア派ではなく、レバノンのキリスト教指導者によって語られたものであり、真の政治的イスラムの象徴が、いかにあらゆる(人為的な)境界線を超越できるかを象徴している。

私が「荒れ狂う2020年代」と定義したこの10年は、ある殺人事件から始まった。バグダッド空港の外で起きた、コッズ部隊のソレイマーニー司令官とハシュド・アル・シャアビ司令官アブ・モハンデスを標的とした―まさにアメリカ的な―暗殺である。

ソレイマーニー司令官は、象徴以上の存在であり、抵抗の軸の構想者であった。ここ数週間の挫折を除けば、抵抗の軸は2000年1月よりもはるかに強固になっている。ソレイマーニー司令官は、殉教者であり、伝説であり、抵抗の西アジアの拠点すべてに影響を与え続ける比類なき遺産を残した。

サイード・ハッサン・ナスララにも同じことが起こるだろう。象徴という以上に、彼は抵抗の軸の顔であり、アラブの街やイスラム教の国々で並外れた人気を誇り、尊敬されていた。ここ数週間の後退を除いては、抵抗の軸は今後数年間、2024年9月よりもはるかに強固なものとなるだろう。

ナスララは、殉教者であり伝説的人物であり、ソレイマーニーに匹敵する遺産を残した。軍事面では常にソレイマーニーに畏敬の念を抱き、常に学んでいた。政治家として言えば、ナスララは父親のような精神的な知恵の源でもあり、比類のない存在であった。

さあ、星から側溝へ降りてみよう。

救いようのない連続戦争犯罪者であり、精神病質者の大量虐殺者である人物が、国連決議を数多く違反し、ニューヨークの国連総会に現れ、そして、国連ビルの中から、さらなる戦争犯罪を命じた。それは、JDAM精密誘導システムを搭載したBLU-109を含む、数十発のバンカーバスター爆弾でベイルート南部の街区を一掃するよう命じたことだ。その結果、瓦礫の下には今も数えきれないほどの民間人が行方不明のまま取り残され、その中にはサイード・ナスララも含まれている。

この戦争犯罪者が国連総会で演説を行なっている間、参加者の半数以上が退席するという事態が起こった。事実上、会場には南半球の真の外交官はほとんど残っていなかった。残った聴衆には、IQ障害者のような「地図」がまたもや提示された。その地図には、「祝福された」サウジアラビア、スーダン、エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦と、「呪われた」イラク、イラン、シリア、レバノン、イエメンが描かれていた。

ポーランド系(完全なごまかし)の過激で下劣な侵入者が古代文明に裁きを下すのは、側溝レベルのゴミですらない。

歴史には、まともな国家とはとても呼べない存在の事例が数多く出てくる。それらは、深刻な細菌感染症のようなものだ。彼らが専門とするのは、殺すこと、殺すこと、殺すことだけだ。非武装の民間人を狙っている、テロの戦術として。もちろん、非常に危険だ。歴史はまた、それらに対処する唯一の方法も教えてくれる。

もはやビロードの手袋(外面的な優しさ)は必要ない

イスラエルがサイード・ナスララを殺害した主な理由は2つある。1) ジェノサイドと民族浄化の継続を許すいかなる「取引」のためにも、ヒズボラはガザを見捨てないとナスララが明言したから。2) タルムード*の狂信的精神病理学者たちがレバノンを侵略し、再占領したいから。
タルムード*・・・モーセが伝えたもう一つの律法とされる「口伝律法」を収めた文書群。6部構成、63編から成り、ラビの教えを中心とした現代のユダヤ教の主要教派の多くが聖典として認めており、ユダヤ教徒の生活・信仰の基となっている。(ウィキペディア)

イスラエルはレバノン(およびイラン)の安全保障における深刻な弱点を何とか見つけだした。ベイルートの場合、街全体が侵入者に溢れている。あらゆる種類の第五列員(敵との内通者)が、やりたい放題に動き回っている。イランははるかに深刻な問題だ。IRGC(イスラム革命防衛隊)の指揮官アッバス・ニルフォルーシャン准将がナスララとともにベイルートで殺害された際、テヘランのIRGC自体も侵害されている可能性があるのだ。

テヘランからベイルートに至るまで、深刻な国内安全保障の見直しが今や不可欠となっている中、ヒズボラの綿密に構築された組織構造は、例によってお馴染みの連中による安っぽい心理作戦の津波が押し寄せようとも、ナスララの暗殺によって崩壊することはないだろう。

ヒズボラは特定の個人に依存しない。その構造は迷路であり、根茎である。そして、適切に訓練された他の幹部や新たな指導者も「アメリカ戦争」中のベトコン(南ベトナム解放戦線)のように次々と現れるだろう。

もちろん、それは常にアメリカの戦争に他ならない。なぜなら、混乱の帝国の基盤は永遠の戦争だからだ。

1982年、イスラエルのレバノンに対する戦争はあまりにも残忍で、かつてベトナムを舗装して駐車場の縞模様で塗りつぶすと脅したロナルド・レーガンでさえ唖然とした。彼はイルグンのテロリストとして有名になったメナヘム・ベギン首相に、「メナヘム、これはホロコーストだ」と言った。

それにもかかわらず、当時上院議員で、シオニスト・ロビーに買収されていたジョー・バイデンという卑劣なペテン師が、ベギンに電話で連絡し、「もし民間人が全員殺されたとしても」、それはたいしたことではないと彼を安心させた。

予想どおり、ホワイトハウスでゾンビ同然の無力な存在と化した当時の上院議員(バイデン)は、ナスララの暗殺を全面的に承認した。

ボールは今、イスラム教の国々全体で世論へと移動してきている。20億人近いイスラム教徒も、抵抗の枢軸の新たな局面を推進するだろう。一方、殺戮マシンは、殺し、殺し、殺し続けるだろう。その大半は民間人、非武装の女性や子どもである。

これで抵抗軸が次のレベルに上昇するのを妨げるものはなくなった。外交、妥協、停戦、「2国家解決」、その他の先送り戦術は全くない。詩人イェイツの言葉を(その反対の意味で)言い換えれば、「太陽のように無慈悲で無表情な眼差し」を見せる容赦ない殺人マシンとの、生きるか死ぬかの実存的な戦いがあるのみだ。

実質的には、本当の (強調は筆者)「狂乱の2020年代」は今から始まる。

そして、イスラム諸国の怒りは、殺人マシン(イスラエル)だけでなく、その乳を吸う雌狼、すなわち「永遠の戦争帝国」(アメリカ)にも向けられるだろう。

イラン、イラク、シリア、イエメン、トルコ、パキスタン、そして世界多数派の多数の国々は、歴史的な初めての試みとして、外交、地経学、軍事力を最大限に調整し、最終的に細菌感染に正面から立ち向かう準備をすることになるだろう。

BRICSがイスラム諸国の主要な外交チャンネルの役割を担うという、幸先の良いシナリオが現実味を帯びてきた。次の論理的段階は、国連をイスラエル/アメリカの領土から追い出し、国際人道法を本当に尊重する国に本部を設立することであろう。

政治的に台頭してきた世界多数派は、その後、人種差別主義者たちを自分たちの壁の中でもがき、腐らせたままにして、自分たちの世界的な、本当に団結した国家、組織を設立するだろう。一方、戦場ではビロードの手袋を外すべきである:千の切り傷による死の時が来た。
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南半球18カ国は、ウクライナ紛争の「永続的な解決」を求めて共同声明

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Friends of Peace’ issue Russia-Ukraine statement
グローバル・サウス(南側諸国)は、今回の紛争の「永続的な解決」を求めている。
出典:RT 2024年9月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


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2024年9月27日、ニューヨーク市の国連総会で、新たに立ち上げられた「平和友好国」という組織の閣僚会議を共同主催したセルソ・アモリム(左)と王毅。X/@SpoxCHN_LinJian


中国、ブラジル、および「平和友好国」団の他の10数か国は、ウクライナとロシアの間の紛争の即時終結を求めており、中国の最高外交官である王外相は、両国にとって「平和が唯一の現実的な選択肢である」と宣言した。

中国の王毅外相とブラジルのセルソ・アモリン大統領顧問が招集した「平和友好国」団は、金曜日(9月28日)、ニューヨークの国連総会の傍らで初の閣僚級会合を開催した。王外相は、この会合を今回の紛争に関する「客観的かつ理性的な」対話の場と表現し、その出席国の大半はグローバル・サウス(南側諸国)だった。NATO加盟国のうち、会議に外交官を派遣したのはハンガリーとトルコのみだった。

中国やブラジル、その他11か国の出席者が署名した共同声明の中で、同組織は「国連憲章に基づく包括的な外交と政治的手段を通じて、紛争当事者による包括的かつ永続的な解決」を求めた。

この和平は、中国とブラジルが今年初めに発表した6項目の計画に従って達成されるべきだ、とこの声明は勧告している。計画では、双方が激化や挑発を控え、人道支援と捕虜交換を増やし、核の脅威やエネルギー基盤施設への攻撃を控え、すべての和平提案が「公正な議論」を受ける国際和平会議に出席することを求めている。

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関連記事:Zelensky accuses Brazil and China of colluding with Russia

「ロシアとウクライナは互いに引き離すことのできない隣国であり、友好関係を築くことが唯一の現実的な選択肢です」と王外相は金曜日(9月28日)の会談で述べた。

「『平和友好国』加盟諸国は皆、平和を愛する国々です。私たちはウクライナ危機を創り出したわけでもなければ、その当事者でもありません。ウクライナ問題に関して、私たちは利己心や地政学的な意見を持っていません。私たちは平和への支持を表明し、ロシアとウクライナの平和のための友好国となるためにここに集まりました」と同外相は述べた。

王外相の発言は西側諸国では無視された。会談直後、記者団に対し、アントニー・ブリンケン米国務長官は中国が平和を望んでいると宣言しながら、自国の企業がロシアに軍事装備品の部品を売るのを許可していると非難し、「納得できない」と述べた。

王外相は「米国は中国を中傷したり陥れたりするのをやめるべきです」と応じ、「北京は常に平和と対話の促進を主張しており、政治的解決を促進するために独自の努力をしてきました」と付け加えた。

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関連記事:China accuses US of ‘smear’ campaign

「ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は水曜日(9月26日)の議会での演説で、「代替案、中途半端な和解案、いわゆる一連の原則」はロシアに利益をもたらすだけであり、自らが提唱する10項目の「和平案」だけが紛争を解決できる、と主張した。

ゼレンスキー大統領の主張によると、ロシアに対し、クリミア半島の支配権をウクライナに引き渡し、賠償金を支払い、自国の当局者を戦争犯罪法廷に引き渡すよう求めているが、クレムリンはこれを「現実離れしている」として却下した。

ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官は先週、ロシア当局は「現地の状況を考慮した真剣な提案」について話し合う用意がある、と述べた。同報道官は、いかなる計画も、ウクライナ側がロシアのドネツクやルガンスク、ヘルソン、ザポリージャの各地域から軍を撤退させ、軍事的中立を約束することを条件としなければならない、と付け加えた。
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ボリス・ジョンソン元英国首相はオランダの工場からアストラゼネカ社製「ワクチン」の窃盗計画を立てていた!

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-UK PM reveals planned ‘invasion’ of NATO ally
ボリス・ジョンソン元英首相は、COVID-19のパンデミック中にオランダの工場からアストラゼネカのワクチンを盗む計画を国防当局に考案させていた、と発言
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


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英国ロンドンのCOVID-19調査センターの外に駐車されたバン、2023年12月。© ゲッティイメージズ/ マイク・ケンプ/イン・ピクチャーズ


英国のボリス・ジョンソン元首相は、2021年に英国とEUと間で論争が続く中、オランダでCOVID-19ワクチンを盗む秘密作戦を計画するため国防当局者を集めた、と述べた。

その工場には、オランダのハリックス工場の下請け業者が製造したオックスフォード・アストラゼネカ社のワクチン約500万回分が保管されていた。EUはEU圏内の市民のために必要であったことを理由に、英国へのワクチンの送付を拒否していた。

デイリー・メール紙が土曜日(9月29年)に報じたジョンソン首相の回顧録からの抜粋によると、英国防当局者は首相官邸に集まり、「実現可能な」計画の概要を示したが、外交上の悪影響が出る可能性も警告していた、いう。

その計画は、ひとつの集団がアムステルダム行きの民間航空機に乗り、もう1つの集団は夜間に小型ボートで英仏海峡を渡り、オランダの運河を進んで工場に向かう。それからこれらの集団は「人質の品物を確保」するために合流し、貨物トラックで英仏海峡の港に向けて出発する、というものだった。ジョンソン元首相は、国防当局者から、ロックダウンの最中にこの行為を見破られずに達成するのはほぼ不可能だと警告された、と述べた。

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関連記事:UK’s Covid-19 jab victims not ‘disabled enough’ – Telegraph

「もし発見されれば、長年のNATO同盟国に事実上侵入している行為について理由を説明しなければならなくなるでしょう」と、ある国防高官が述べた、という。

2019年にEU離脱をめぐる長期にわたる膠着状態に終止符を打ちEUを離脱すると公約して当選したジョンソン元首相は、EU当局がワクチンを「誘拐」したと考えていた、と記した。

「EUは我々を悪意と意地悪で扱っているという結論に達しました」と同元首相は述べ、英国は「EUよりもはるかに速い速度で国民にワクチン接種をおこなっており、欧州の有権者はずっと前からそれに気づいていました」と主張した。

アストラゼネカ社はその後、同社のCOVID-19ワクチンが一部患者に血栓や血小板減少症を引き起こす可能性があることを法廷で認め、世界中での流通から同ワクチンを撤回した。
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ヒズボラ指導者ナスララ氏はISISを打倒し、レバノンのキリスト教徒を守り、イスラエルの植民地主義と戦ってきた

<記事原文 寺島先生推薦>
Hezbollah Leader Nasrallah Defeated ISIS, Protected Lebanon’s Christians, Fought Israeli Colonialism
筆者:ベン・ノートン(Ben Norton)
出典:Internationalist 360° 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


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イスラエルに暗殺されたヒズボラ指導者ハッサン・ナスララ氏は、レバノンの主権を守り、ISISとアルカイダの打倒に貢献し、キリスト教徒を保護し、イスラエルの植民地主義と軍事占領に抵抗してきた。

イスラエルは、レバノンの反植民地主義、イスラム民族主義運動ヒズボラのハッサン・ナスララ事務局長を暗殺した。

ナスララ氏の指導の下、ヒズボラはレバノンの主権を守った。この運動は、1980年代から90年代にかけてのイスラエルによる南レバノンへの不法侵攻と軍事占領に対する抵抗から生まれた。

米国政府はヒズボラをいわゆる「テロリスト」組織であると主張しているが、地球上でヒズボラをテロ組織として認めている国はごくわずかだ。

実際、ヒズボラの政治部門は登録政党であり、レバノンの民主的に選出された議会に12人の代表者がいる。
(米国はまた、南アフリカの反アパルトヘイト指導者ネルソン・マンデラ氏をアパルトヘイト廃止後の国家の大統領に就任してからも、2008年まで「テロリスト」リストに含めていた。)

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イスラエルによるレバノン植民地戦争

イスラエルは米国の支援を受けた作戦で、ナスララ氏の暗殺と首都ベイルートの6棟の高層ビルの破壊をおこない、多数のレバノン民間人を殺害した。

極右のベンヤミン・ネタニヤフ首相はニューヨークで国連総会(UNGA)に出席中にこの攻撃を指示した。

ネタニヤフ首相が国連で紹介されたとき、多数の外国外交官が抗議のため退席した。議場は大混乱となり、国連総会議長は「秩序を保ってください」と叫び、 抗議者を黙らせようとハンマーを叩いた。

イスラエルの大量虐殺に対する国連の抗議は、戦争犯罪人ネタニヤフが演説した際に非常に大きく騒々しかったため、国連の同時動画配信は音声を遮断し、国連総会議長は「秩序がもどることを祈ります」と叫び、ハンマーを叩いた。



ネタニヤフ首相は結局、ほとんど人がいない部屋で演説した。しかし、演説の中で彼は、パレスチナを完全に消し去り、占領下のヨルダン川西岸地区とガザ地区をイスラエルの一部として示す地図を使い、自らの植民地主義的意図を説明した。

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2024年9月27日、国連総会でパレスチナを消した地図を持って演説するネタニヤフ首相

ネタニヤフ首相が国連に出席している間、イスラエル政権はレバノンを容赦なく爆撃し、一日で500人近くを殺害した。

多くの観察者は、イスラエルのレバノンにおける目的が何なのかと疑問に思っている。

イスラエルのアミハイ・チクリ民族離散問題担当大臣はツイッター/Xの投稿でその点を明確にした。同氏はレバノンやシリア、イラクは主権国家ではない、と断言し、イスラエルが1980年代から90年代にかけておこなってきたように、南レバノンを植民地化すべきだ、と主張した。

イスラエルの主要新聞「エルサレム・ポスト」は、レバノンは「イスラエルに約束された領土の一部」であり、したがって植民地化されるべきだ、と主張する記事を掲載した。

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イスラエルのヨアブ・キシュ教育大臣も同様に、イスラエルのチャンネル14で「レバノンは消滅」し「我々の知っているレバノンは存在しなくなる」と断言した。(イスラエルの人権団体は、2023年10月以降、チャンネル14が ガザのパレスチナ人に対する大量虐殺を明示的に呼びかけた回数は50回以上ある、と数えている。)

ヒズボラはレバノンの領土保全と主権を守りつつ、自らの民族解放闘争をパレスチナ人民のそれと常に結び付け、イスラエルの植民地主義、そしてそれを支援してきた米帝国との妥協を拒否してきた。

いっぽう米国政府はイスラエルを断固として擁護し、レバノンに対する侵略戦争を支持してきた。

ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領はともに、イスラエル当局がナスララ氏を殺害したことを称賛する声明を発表した。

バイデン・ハリス政権はイスラエルに少なくとも 180億ドルの軍事援助を送っており、その中にはガザとレバノンで民間人を虐殺するために使用されている爆弾やミサイルの多くも含まれている。

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ヒズボラはISISとアルカイダの打倒に貢献したが、その一方で、米国とイスラエルはこれらのテロリストと同盟を結んでいた

過去10年間、ヒズボラはISISとアルカイダを打倒する上で重要な役割を果たしてきた。しかし、これらの過激なサラフィー主義聖戦主義者の暗殺部隊は、シリアに対する植民地戦争において米国とイスラエルの事実上の同盟者であった。

2012年、ヒラリー・クリントン米国務長官の最高顧問ジェイク・サリバン氏は彼女に「アルカイダはシリアで我々の味方だ」と認める電子メールを送った。

ヒズボラとその同盟国であるシリアとイランがアルカイダと戦ったとき、このテロ集団は米国側についた。
(その後、ジョー・バイデン大統領はサリバン氏を米国国家安全保障担当大統領補佐官という強力な地位に選んだ。)

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レバノンでは、ヒズボラは多くのキリスト教団体とも同盟を結び、ISISやアルカイダの過激派から彼らを守った。

米国のクリスチャン・サイエンス・モニター紙は 2013年の報告で、「ベイルート郊外のシーア派キリスト教徒の家庭では、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの像が聖母マリア像と同じ暖炉の飾り棚や壁に飾られている」と指摘した。

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いっぽう、ISISの大量虐殺ファシストたちはどこから武器を手に入れたのだろうか? アムネスティ・インターナショナルやCNNも認めているように、それは米国だ。

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イスラエルに関しては、大量虐殺を企むISISファシストたちが一度イスラエル軍を誤って攻撃したが、その後すぐにイスラエル側に許しを求めた。

モシェ・ヤアロン元国防大臣は2017年にISISがイスラエルに謝罪したことを認めた。

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エルサレム・ポスト紙は2015年、イスラエルは負傷したアルカイダのファシストたちを自国の病院で治療した後、彼らを西側諸国の敵に対する代理戦争のためにシリアに送り返した、と報じた。

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ヒズボラは、アルカイダのサラフィー主義過激派ジハード主義者に常に反対してきた。これは単にシリアでの代理戦争の結果だけではない。

2006年のイスラエルによるレバノンへの残忍な戦争の最中、ワシントン・ポスト紙は ナスララ師へのインタビューを掲載し、同紙はナスララ氏を「ホメイニ師とチェ・ゲバラを合わせたような人物で、イスラムの大衆主義者であると同時にカリスマ的ゲリラ戦術家」と評した。

ナスララ氏はアルカイダと9.11テロ攻撃を強く非難し、ヒズボラは民間人ではなく軍事目標を攻撃している、と強調した。

ヒズボラはキリスト教徒を擁護し、宗教間対話を支持し、ユダヤ教とシオニズムを区別した

ヒズボラがレバノンの主権を守りながらISISとアルカイダを打倒する上で果たした重要な役割を考慮して、ナスララ氏の死後、数人の著名なレバノンのキリスト教指導者が同氏を称える声明を発表した。

レバノンのキリスト教徒の元大統領ミシェル・アウン氏は、自国に対する「イスラエルの侵略」を非難し、「尊敬する友人」ナスララ氏の死去により、「レバノンは国民的抵抗運動を勝利と解放の道へと導いた卓越した誠実な指導者を失いました」と記した。

ヒズボラは「反ユダヤ主義」であると主張する米国とイスラエルの偽情報にもかかわらず、抵抗運動は宗教間の対話を推進し、宗教としてのユダヤ教と政治的、植民地主義的な運動としてのシオニズムを注意深く区別していた。

熱烈な反パレスチナ、親イスラエルの米国新保守主義団体であるMEMRIでさえ、2005年のベイルート会議に関する報告書を発表した。その中でヒズボラ政党のレバノン国会議員アブダラ・クセイル氏は次のように強く語っていた。

「ヒズボラは宗教に反対したことは一度もありません。ヒズボラはすべての宗教を支持し、宗教間の対話を支持し、いかなる宗教にも問題はありません。ヒズボラは、ユダヤ人という民族や宗教ではなく、シオニズムを敵と見なしています」と。

以下の動画とポッドキャストでは、「地政学経済レポート」の編集者ベン・ノートン氏がハッサン・ナスララ氏が本当はどんな人物だったのかを説明している。それを見れば、米国政府と企業報道機関の速記者によって広められた神話や偽情報の一部が払拭されるだろう。


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西側はRTを沈黙させるのに躍起だが、グローバル・サウス(南側諸国)は声を上げて反撃している。

<記事原文 寺島先生推薦>
As the West tries to silence RT, the Global South speaks out
世界的ネットワーク(RT)を抑圧するための米国主導の「外交キャンペーン」は、米国政府が望んだ暖かい歓迎を受けてはいない
筆者:アンナ・ベルキナ(Anna Belikina)
RTの副編集長兼コミュニケーション、マーケティング、戦略開発部門の責任者
出典:RT 2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月4日


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© RT / RT

米国政府は最近、RTに対して新たな制裁を発動し、米国務省は、米国、カナダ、英国の外交官を通じて、「同盟国やパートナー国を世界中から結集し、RTがもたらす脅威に対処する」という新たな「外交キャンペーン」を発表した。

つまり、西側諸国以外の国々をいじめ、自国民がRTの内容に接触できないようにして、西側諸国がほぼ独占している情報への流れを回復しようという計画である。ラテン・アメリカや中東、そしてアフリカは、米国務省のジェームズ・ルービンにとって特に懸念すべき地域である。なぜなら、米国の外交政策がこれらの地域で普遍的な支持を得られなかったからである。

ルービンが記者会見で述べたように、「世界の多くの国々が、皆さんが思うほどウクライナを全面的に支援していない理由のひとつは、RTの視聴者や読者が幅広い範囲に広がっていることに起因しています」。

人々がどのニュースソースに接近すべきか、あるいは接近すべきでないかを自分たちで考え、決定することについて、西側エリート集団以外は誰も信頼していないことは明らかで、ルービンは米国がRTを「どのように扱うかについて他の政府が独自の決定を下す手助けをするでしょう」と約束した。

この声明には、特に標的にされている国を考えると、恩着せがましく新植民地主義的な態度がにじんでいる。

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© RT / RIA Novosti
関連記事:Anna Belkina: RT isn’t going anywhere

そのため、この数週間、米国主導の最新の十字軍遠征に反対するさまざまな声が上がっているのを目の当たりにして、心強く感じる。

インドの有力紙のひとつであるThe Hinduは、RTに反対するよう「米国高官たちがインド外務省に同調的な行動を呼びかけている」という情報を最初に報道したメディアのひとつとなった。「政府の高官たちは、制裁に関する議論はインドには関係がないと述べたが、メディア組織を禁止するなどというのは、欧米諸国の『二重基準』を示していると元外交官は述べた」。

インドの経済紙フィナンシャル・エクスプレスも「インドはロシアとの長年の友好関係や、メディア検閲に対する自国の立場を考えると、この(RTの禁止の)要請に対して行動を起こす可能性は低い・・・インドでは、RTは多くの英語圏の視聴者に情報を届け、ヒンディー語のソーシャルメディアを通じても配信範囲を拡大することで、非常に多くの視聴者を獲得している。RTの主な使命は西側の物語に対抗し、世界情勢に関するロシアの視点を提供することだと主張して、インドや世界の他の地域で人気が高まっている」 と述べた。

中東では、サウジアラビアのオカズ紙が、「(自由な) 言論が米国と西側諸国にとって脅威になると、RTを禁止したように、透明性の欠如、誤った情報の拡散、内政干渉、憎悪の扇動という口実で、米国と西側諸国が他国との関係で行なっているような言論の自由に制限を課すというのは逆説的である」と述べている。

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レバノンの主要日刊紙アル・アクバルは、「それを禁止しようとするあらゆる試みにもかかわらず・・・ RTは放送を続け、帝国主義戦争の支持者の間で懸念を引き起こしている。こういった取り組みは、また、彼らの主張を紙面化する筆者たちの偽善と、彼らが声高に主張する「言論の自由」や「報道の自由」などが誤っていることを示している。彼らはRTが「偽情報の代弁者」だと主張しているが、もしそうなら、なぜそんなに恐れるのだろうか? もしRTが本当に嘘を流しているなら、視聴者は気づくことができないのだろうか? (これがうまくいくのは)西側の支配者たちが自国民を単純で簡単に騙されると見ている場合だけであり、その結果、西側メディアのあらゆる方面から誤った情報がもたらされることになる」と書いた。

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関連記事:Fyodor Lukyanov: Here’s the real reason why the US sanctioned RT

「西側の支配者たち」は、自国民だけでなく、世界の人々のほとんどをこのような軽視と不信の目で見ていると言っても過言ではない・・・しかし、少し脱線した。

ラテン・アメリカでは、ウルグアイの時事雑誌Caras y Caretasが次のようにRTを称賛した。「国営メディアであることを超えて、真実の編集方針を維持し、創造的で、独創的で、信頼できるものにする視点を明らかにすることで、その人気と信頼性を高めてきた・・・RTは世界の非常に多くの人々と、ますます多くの政府や国の目を開くのに役立ってきた。これが、米国とメタやフェイスブックのような覇権的なメディア複合体がRTとその役員に課した制裁の理由であり、信じられない、ばかげた告発で彼らを裁いた。報道の自由の擁護者であると主張し、RTがロシア諜報機関の隠れみのであると非難する米国政府高官の声明は、覇権的帝国主義の物語に代わる物語を前にした無力感の表明にすぎない」

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アーメン。

ニカラグア副大統領のロサリオ・ムリーリョは、RTに支援の手紙を送った。その中で、彼女は米国当局のRTに対する行動を厳しく非難し、いつになったら「彼らが恥知らずにも制裁と呼ぶ攻撃(まるで神の力で処罰を下せるかのように)が、世界の独裁者としての地位を主張すること以上に意味がないことに気づくのか」と問うた。彼女はRTの「仕事と、創造的で思慮深く、わかりやすく、繊細で感動的な方法」を称賛し、RTが「様々な工夫をして意思を伝える」ことを称賛した。

多くのアフリカの報道機関も、アメリカの世界的な検閲の偽善について発言している。ナイジェリアの新聞The Whistlerは、最新の西側メディアの命令とその植民地主義的な含みをこのようにまとめた:「アメリカ人はロシアと喧嘩をして、このロシアのニュースチャンネル(RT)を閉鎖した。ワシントンのアメリカの政治家が署名した命令は、RTを供給しているヨーロッパの会社にRTのストリーミングを停止させた・・・その結果どうなったか? 私たちナイジェリア人は、ある日目が覚めると、ワシントンとモスクワで起きたある出来事のせいで、RTをテレビで見たりFacebookで配信したりすることができなくなっていた。この厚かましさを想像してみてほしい! これはアメリカ人とヨーロッパ人が、ここアフリカの誰にも聞かずに決めたことだ。彼らは私たちが自分たちのテレビで何を見て、何を見てはいけないかを決めたのだ」。

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政治、社会、文化が驚くほど多様な多くの国々が、米国の世界秩序の押し付けに反対の声を上げていることは心強いことだ。それらはRTの声は、必要とされているだけでなく、歓迎され、求められていることの証明となっている。

昨夜、米国政府の行動に対するRTの反応の一環として、モスクワの米国大使館の正面を明るい緑色のRTロゴでライトアップし、「我々は立ち去らない」というメッセージを表示した。

米国でも、西側諸国でも、世界の他の地域でも立ち去ることはない。

またどこかで!
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「ロシアが毅然としてウクライナと対応しなければその先に待つのはハルマゲドン(最終戦争)」プーチンは私の言ってきたことが正しいことを証明した(ポール・クレイグ・ロバーツ)

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin Proved Me Correct
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ  2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月3日


私は何年も前から、プーチン大統領がウクライナとの紛争にすぐに勝利することを拒否すれば、紛争が制御不能になるまで西側諸国の介入が強まることになると警告してきた。そして今、それが起こったのだ。

NATO事務総長と英国首相は、NATOがウクライナからロシアに向けてミサイルを発射することを承認した。この承認は米国政府の拒否権発動に左右される。大統領としての任期は終了しているウクライナの独裁者ゼレンスキーは最近ワシントンを訪れ、バイデン政権に承認を働きかけた、と報じられている。

ゼレンスキーがバイデン政権に何をするよう働きかけているのかしっかり理解していただきたい。バイデン政権が承認すればヨーロッパや米国、ウクライナは破壊されることになるだろう。

以下がプーチン大統領からの声明だ。私が予想したとおり、この声明は後がない声明だ。

「核保有国の参加または核保有国の支援を受けた非核保有国によるロシアへの侵略は、ロシア連邦に対する共同攻撃とみなされる。」

というわけで、私が正しく予測してきたとおり、西側諸国からのますます挑発的な介入を招いた終わりのない紛争は制御不能に陥った。これまでのところ、米国政府がやらないと言っていたことはすべて実行された。最後の越えてはならない一線は、NATOがロシアにミサイルを放つことだ。この一線も「プーチンが決して反応しないから大丈夫」となれば、戦争は我々の目前に来る。

まさに私が言ってきたとおりの展開となった。しかし、私の主張は軍安保複合体の代弁者に過ぎない「専門家たち」に無視されたか、あるいは愚か者から「血に飢えた」主張だ、と非難されてきた。しかし事実は変わらない。ホワイトハウスがもう一度間違った決定を下せば、私たちにはあとがなくなってしまう。

思い出してほしい。ロシアとの関係を正常化したいのはトランプだった。狂ったCIA長官はこの米国大統領を「裏切り者」呼ばわりしていた。トランプ傘下の司法省(「Justice Department」などとよく言えたものだ)とFBI、そして米国の売女マスコミはヒラリー・クリントンや民主党とともに、トランプに対するロシアゲート事件をでっち上げ、トランプに対して2度の虚偽の弾劾を起こし、ストリッパー疑惑、文書疑惑、そして「暴動」をでっち上げてきた。憲法修正第1条の権利を行使した1000人の米国民は、完全に腐敗した司法省によって懲役刑を宣告された。トランプが大統領選への再出馬を発表すると、虚偽の告発は虚偽の起訴に変わった。

これらすべてはロシアとの和平を阻止するためにおこなわれてきたのだ。

ロシアとの和平が実現すれば、軍・安全保障複合体は敵を失うことになるが、それはこの複合体が権力と予算を失うことを意味する。

さあ、愚かな米国民が民主党に投票して世界に最終戦争をもたらすさまを見るがよい。
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プーチン大統領の最後通告!新しい核政策は単なる「はったり」ではない!!

<記事原文 寺島先生推薦>
Dmitry Trenin: Putin’s nuclear doctrine updates are a final warning to the West
クレムリンの言動はただのはったりだから、ロシアに対して何の罰も受けずに行動できる、と考えている人が多すぎる。
筆者:ドミトリー・トレーニン(Dmitry Trenin)
高等経済学院研究教授、世界経済・国際関係研究所主任研究員。ロシア国際問題評議会(RIAC)の議員でもある。
出典:RT 2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月2日


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ロシアのモスクワにあるクレムリンで核抑止力に関する安全保障理事会の会合を開催中のロシアのウラジミール・プーチン大統領。© スプートニク/アレクセイ・ニコルスキー


ウラジミール・プーチン大統領がロシア当局の核政策を更新する決断を下したのは、時事問題に対する反射的な反応ではない。例えば、長距離ミサイルでロシアのさらに奥深くを攻撃するという脅しに対応した動きではない。昨日の演説からわかったことは、この変更はすでに数ヶ月前にロシア大統領によって警告されており、戦略抑止委員会が年に2回会合を開き、この文書自体が絶えず読み直され、再検討されているという事実だった。

核抑止力を強化する利点が明らかになったのは、米国がウクライナ紛争における目標はロシアに戦略的敗北を与えることだと宣言した2年以上前のことだ。その後、西側は戦争の激化の駆け引きを始めた。ロシア側の古い核政策は他の戦争に向けられたものであり、新たな状況下では敵を抑止するのに効果がないことが明らかになってきた。

西側諸国の反応はこれから明らかになるだろう。残念ながら、プーチン大統領は「はったり」をしており、ロシアは「反撃を恐れている」ので、ロシアに対して何の罰も受けずに行動できると確信している高官が多数いる。だが、実際のところは、この政策上の修正は、米国政府の権力の座に残る冷静な人々への警鐘であり、最終警告である。

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関連記事:What changes is Russia making to its nuclear doctrine?

同時に、我が国の友好諸国や中立的な立場を取っている国々は、核戦争の可能性について大きな不安を抱いている。中国はすでにそのことを考えているかもしれない。中国政府は、インドやブラジル、南アフリカなどとともに、この戦闘行為の即時かつ無条件の終結を望んでいる。我が国は、抑止力を強化することこそが、米国政府による狂気と無謀な戦略が世界を導いている全面核戦争を防ぐ唯一の方法であることをこれらの国々に納得させる必要がある。

同時に、米国は長い間、ウクライナ紛争を戦略的安定と軍備管理の議論から切り離そうとしてきた。そうすれば、米国はロシアに対して戦争を仕掛けると同時に、ロシア側から自国に対する安全の保証を得ることが可能になるからだ。当然ながら、このやり方は成功していない。米国はそのことを認識しているが、国際社会に対しては自らを世界安全保障の推進者として見せかけようとしている。そのいっぽうで、ロシアを放火犯として仕立て上げようとしている。これは単純な策略だが、世界の大多数の国々(この言葉を強調したいと思いますが)でこの事実を暴露するには、我が国による注意と協調した努力が必要となる。友好諸国との信頼に基づく対話は継続し、深めなければならない。

ロシア側の次の行動について言えば、それはすでに発表された核政策の修正と同じくらい予測しにくい。それはとりわけ、昨日の大統領の発言に対する敵の反応次第だ。しかし、口頭での警告やデモから実践的な措置に移行しなければならないことは明らかだ。それがどのような行動を伴うのか、いつどこで起こり得るのかを公言できる人はいないだろう。

・この記事の初出はロシアの新聞「ルシースカヤ・ガジエータ」で、RT編集部が翻訳・編集を加えた。
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ハサン・ナスララ師、パレスチナ解放の途上で死亡

<記事原文 寺島先生推薦>
Hasan Nasrallah Died on the Road to Liberate Palestine
筆者:アリ・アブニマ(Ali Abunimah)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2024年9月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月2日


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9月21日にベイルートで撮影されたヒズボラ指導者ハッサン・ナスララ氏の肖像画。レバノン抵抗グループの指導者は、9月27日金曜日、ベイルートの南郊外でイスラエルによる大規模な空爆により暗殺された。

イスラエルが金曜日(9月27日)、ベイルートの南郊でヒズボラのハサン・ナスララ書記長を壊滅的な爆撃で暗殺したことは、少なくとも短期的には、レバノンおよび地域全体の反シオニズム運動の支持者の間に大きな衝撃や絶望、士気低下を引き起こす可能性が高い。

まさにそれが目的なのだ。

土曜日(9月28日)にヒズボラによって確認されたナスララ氏の殺害は、イスラエルによるレバノンへの全面攻撃の初期段階での一連の戦術的成功の後に起こった。この攻撃は終わりのないものであり、その残虐さはイスラエル当局によるガザでの継続的な大量虐殺に匹敵するかもしれない。

ほぼ1年間に及ぶ大量虐殺があったことを考えると、このような状況は受け入れがたい、恐ろしく困難な状況だ。

最初はポケベルとトランシーバーを使った攻撃があり、続いてヒズボラの幹部が次々と暗殺され、今度は組織のトップが暗殺された。

ナスララ師自身が最後の演説で認めたように、この組織はポケベル攻撃で大きな打撃を受けた。さらに悪いことが起こった。明らかに深刻な安全保障面への侵害があった。

ナスララ師は、戦術的かつ戦略的な思想家として、抵抗勢力において最も著名で信頼される指導者として、また最悪の状況でも支持者を鼓舞し安心させることができる人物として、その名声はいくら強調してもしすぎることはない。

イスラエルや米国、そして一部のアラブ諸国政府における高揚感を上回るのは、ナスララ師の支持者たちの悲しみだけだ。そしてその支持者の数は無数にある。

そして、イスラエルの強力な兵器だけでなく、米国と西側諸国全体の資源すべてに立ち向かう抵抗勢力の観点から、損失が現実的でかつ大きいことは疑いの余地がない。

イスラエルが立て続けに一連の攻撃を実行できる能力は、ヒズボラの伝説的な力と作戦上の安全性に対する多くの人々の信頼を揺るがすことになるだろう。

この攻撃は、ガザでの1年間の軍事的失敗と、2023年10月7日にイスラエル軍のガザ地区を壊滅させたハマスの軍事攻撃を阻止できなかったことで、西側諸国とアラブ諸国の支援者の間でイスラエル当局が失った威信をある程度回復することにつながるだろう。

ヒズボラはイスラエルの軍事施設や、歴史的にはパレスチナの地である北部の入植地をロケット弾で攻撃しているが、イスラエルがレバノン全土と首都内で民間人への砲撃を強化しているにもかかわらず、イスラエルの激化する侵略に対するこの抵抗組織の反応がなぜ厳しくならないのか、この地域の多くの人々は疑問を抱いている。

さらに、多くの人が疑問に思っているのは、イスラエルが7月にハマスの指導者イスマイル・ハニェをテヘランで殺害した後、報復を誓ったイランがなぜこれほどまでに自制的な行動をとったのか、だ。イランの無反応は、イスラエルのより大胆な暴力を助長しただけだ、という見方が強まっている。

「衝撃と畏怖」作戦は勝利にはつながらない

イスラエルによってレバノンにも拡大されつつあるガザでの大虐殺が1年間も生動画配信で流されてきた後で、急速に変化する情勢と感情の奔流の中で、長期的な視野を維持するのは難しい。しかし、そうすることが健全な分析には不可欠なのだ。

以下のことを念頭に置くべきだ。それは、ほとんどすべての非対称戦争において、強い側、つまり侵略者や植民地化する側が攻勢に転じると、迅速かつ見事な成功を収めるように見えることが多い、という点だ。

実際、「衝撃と畏怖」作戦は西側、特に米国の軍事教義の名称であり、1990年代に開発され、2003年に米国がイラクに侵攻した際に明確に宣伝された考え方だ。

「急速支配」とも呼ばれるこの教義の目的は、圧倒的で壮大な暴力を用いて敵の士気を低下させ、麻痺させることにある。

この教義の発案者によれば、その目的は、「敵の知覚と事象に対する理解を過負荷にし、敵が戦術的・戦略的段階において抵抗できなくなるようにする」ことにある。

我々はここ数十年、このような事態を何度も目にしてきた。

2001年9月11日の同時多発テロからわずか数週間後、米国はアフガニスタンを攻撃し、ウサマ・ビンラディンをかくまったという口実でタリバン政権をあっという間に崩壊させた。

この迅速で明白な成功に続く米国の自信は、間違いなく米国当局を次の作戦、すなわち2003年3月のイラク侵攻へと駆り立てた。

サダム・フセイン政権が瞬く間に打倒され、米軍の戦車がバグダッドを制圧したことで、ジョージ・W・ブッシュ大統領は同年5月1日、悪名高い「任務完了」演説をおこなった。しかし彼が発したことばは、アフガニスタンとイラクの両方で、米国が抵抗勢力との消耗戦に陥るにつれ、彼を苦しめることになった。

アフガニスタンでもイラクでも、米国は抵抗勢力との消耗戦に陥っていった。これらの急速な勝利、あるいはそのように見える勝利は、当時、米軍がシリアやイラン、あるいは米国の暗殺対象国一覧に載っている他の「ならず者国家」に向かって進んでいくのではないかという真の恐怖を呼び起こした。

私たちは、いわゆるアフガニスタン文書から、米国政府の戦争屋たちが戦争に負けたことをずっと認識していたにもかかわらず、20年近く米国民に勝っていると嘘をついていたことを知った。

2021年8月にアフガニスタンから米国が撤退したとき、カブール空港からの屈辱的な退去は、敗戦した米国民がベトナムのサイゴンの米国大使館屋上からヘリコプターで避難する混乱した光景と比較する人が少なくなかった。

イスラエルに関しても、同様の事象が明らかに起こった。 1982年にイスラエルがレバノンに侵攻した際、イスラエルは「ガリラヤ平和作戦」と名づけたこの攻撃で、イスラエル軍は瞬く間にベイルートまで北上し、シオニスト入植国家の歴史上初めてアラブの首都を包囲、占領した。

イスラエルは何万人ものレバノン人とパレスチナ人を殺害し、パレスチナ解放機構を追放した。 しかし、テルアビブから見れば、成功はすぐに失敗に転じた。

長い占領期間中、イスラエルへの抵抗が強まり、特にイスラエル侵攻時には存在すらしていなかったヒズボラの抵抗が強まった。

ヒズボラをはじめとする抵抗勢力は、2000年5月にイスラエルが占領下のレバノン南部から撤退するまで、20年にわたってイスラエル占領軍を消耗させ続けた。

米国の支援を受けたイスラエルによるガザでの大虐殺を見ても、ガザのあれこれを完全な支配下に置いたというイスラエルの絶え間ない公言は、すぐに崩れ去る。 事実、抵抗勢力はガザのあらゆる場所で戦い続けている。

これまでのところ、敗れたハマスに代わってアラブに支援されたパレスチナの協力勢力が参戦するという、イスラエル・米の「明後日の方向」計画はことごとく破綻している。

イスラエルがレバノンで目を見張るような「成功」を求めているのは、ガザでの失敗から目をそらすためだろう。

転機

この厳粛な瞬間は、人種差別主義で西側諸国に支援された入植植民地主義シオニズムからの解放を求めるこの地域の長い戦争の転換点である。しかし、シオニズムによる略奪と恐怖が1世紀続いた後も、レバノン人もパレスチナ人も降伏しておらず、今さら降伏すると信じる理由はない。

それどころか、最初の衝撃の後、解放闘争のあらゆる段階と同様に、抵抗の決意は強まるばかりで、その輪は拡大するだろう。

また、米国の爆弾と米国の戦闘機、そしておそらく米国から供与されたその他の支援によるナスララ師の暗殺も、イスラエルが生き残るために頼っている米国の世界的な権力の衰退の軌道を変えるものではない。

シオニストが常に暗殺を主な戦術として使ってきたことも思い起こそう。彼らの戦争は個々の指導者に対するものではなく、決意がそう簡単には消えない国民全体に対するものである。

1992年にイスラエルが前任者のアッバス・アル・ムサウィ師を殺害した後、ナスララ師は自らヒズボラの指導者となり、同組織を前例のないほどの強さにまで成長させた。

その強さは、一人の個人の意志に基づくものではなく、大義に深く傾倒したものであり、ナスララ師自身が常に指摘してきたように、解放への道において多大な犠牲を払う覚悟のある支持基盤に基づくものである。

イスラエル軍が「ハマスは思想であり、ハマスは政党である」という理由でハマスを壊滅させることはできないと認めたのなら、ヒズボラはどうなるのだろうか?

最も憂慮すべきことは、パレスチナとその地域をシオニズムから解放するための戦争が、欧米帝国が標的としたアルジェリアやベトナム、南アフリカ、その他多くの場所を解放するための戦争と同じくらい、その地域の人々に対して残酷なものとなるだろう、という点だ。

結局のところ、占領国と植民地化国は同じ国であり、その支配階級が、彼らが奪おうとしている土地と権利の持ち主である人々に対して抱く大量虐殺的な憎悪は決して薄れていない。

ナスララ師は、彼以前の他の人々と同様に、パレスチナ解放への道で自らの命を捧げ、その闘いは今日も終わっていない。

・筆者のアブニマは、パレスチナ抵抗運動のサイトであるエレクトロニック・インティファーダの最高責任者
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ヒズボラ指導者の死は破壊の連鎖の始まりとなるかもしれない

<記事原文 寺島先生推薦>
The Hezbollah leader’s death could start a chain of destruction
ハッサン・ナスララの暗殺により、レバノン、イラン、そしてイスラエル自体が岐路に立たされ、混乱に陥るのは容易なこととなった。
筆者:ムラド・サディグザーデ(Murad Sadygzade)、中東研究センター所長、HSE大学(モスクワ)客員講師。
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月2日


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ハッサン・ナスララ。© Global Look Press / イラン最高指導者事務所


ヒズボラ運動の指導者シェイク・ハッサン・ナスララ師が、ベイルートの南郊を狙ったイスラエルの空爆で死亡した。この事件は、イスラエルとパレスチナの組織ハマスとの間でガザ地区での紛争が激化する中で起きた。ヒズボラは南レバノンからイスラエル領への攻撃を開始し、積極的にパレスチナを支援してきた。

イスラエルとヒズボラの対立は、レバノンのシーア派組織がイランの支援を受けて結成されたとされる1980年代にまで遡る。レバノン内戦の最中だった1982年のイスラエルによるレバノン侵攻中に大きな衝突が発生し、その後ヒズボラが積極的な抵抗を開始した。

両者間の最大の衝突の一つは、2006年のレバノン戦争(別名「影の戦争」)で、この戦争はヒズボラがイスラエル兵2人を捕らえ、イスラエルのレバノン侵攻に繋がったことに端を発する。戦争は34日間続き、国連決議1701号に支えられた不安定な停戦で終結した。同決議はヒズボラの武装解除とリタニ川以北のヒズボラ軍の撤退を求めた。しかし、停戦にもかかわらずヒズボラは武装勢力を維持し、イランから多大な支援を受け続けたため、レバノンと同地域での影響力は強まった。

両者間の緊張は定期的に高まり、双方が定期的に相手を攻撃していた。しかし、2023年10月7日にパレスチナの武装組織がイスラエルを攻撃し、ガザで紛争が勃発すると、ヒズボラはハマスへの支持を表明し、イスラエルとの銃撃戦やレバノン・イスラエル国境沿いでの軍事活動の活発化につながった。

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イスラエル当局は、北からのいかなる攻撃にも厳しい対応をすると繰り返し述べ、ベイルートの本部を含むヒズボラの拠点への攻撃を強化し始めた。ガザ紛争開始からほぼ1年、レバノンとイスラエルの国境沿いの緊張は高まった。外交努力や、米国やフランスなどの仲介国による停戦確立の試みにもかかわらず、双方は銃撃戦を続けた。

ナスララ師の暗殺は、こうした状況の激化の頂点であり、地域の力学を大きく変化させ、イスラエルとレバノンの間でより広範な紛争が発生する危険を高める可能性が高い。ナスララ師の死後、ヒズボラはイスラエルがパレスチナ人とレバノンに対する侵略をやめるまで闘争を続けることを誓った。しかし、イスラエル軍は1年足らずの間に、ナスララ師を含むヒズボラの高官指導者18人を抹殺することに成功した。指導者と司令部のかなりの部分を失ったことで、ヒズボラの軍事行動の連携が弱まり、レバノンの国内情勢が不安定化する恐れがある。

イスラエルはヒズボラを排除できるか?

2023年10月に始まったイスラエルによるヒズボラに対する軍事作戦は、ベンヤミン・ネタニヤフ政権にとって重要な戦略的動きとなった。ヒズボラとの戦闘の目的は、北部国境沿いの治安対策を強化することである。というのもこの地域からイスラエルによるレバノンへの大規模な空爆への報復として、レバノンの武装組織がイスラエルの都市を定期的に砲撃しているからだ。

しかし、イスラエルの目的はヒズボラの軍事行動の抑制だけにとどまらない。司法改革への抗議、ガザ戦争の誤った対応への批判、経済停滞などにより大きな反発に直面しているネタニヤフ政権への国内支持を強化することも狙っている。フィナンシャル・タイムズ紙が報じたように、ヒズボラへのポケベル爆破攻撃を含むレバノンとシリアでの新たな軍事作戦の後、ネタニヤフ政権への支持は10月7日以前の水準に戻った。パレスチナ攻撃をきっかけに支持率が低下したリクード党は、ベイルートとテヘランでヒズボラとハマスの幹部が暗殺された後、支持率を取り戻し始めた。ナスララ師の排除がネタニヤフ首相の支持率と政権に好影響を与えることは明らかだ。

ネタニヤフ首相はまた、この地域におけるイランの影響力を弱めるという長期目標にも取り組んでいる。ヒズボラはイランにとって重要な同盟国であり、レバノンのヒズボラの基盤を標的にすることは、イランの立場を弱めることになる。イスラエルの軍事作戦は、イスラエルの安全保障に直接的な脅威となる動きである中東でのイランの影響力拡大の試みに対抗するためのより広範な戦略の一部となっている。イスラエルはすでに、ヒズボラの先鋭部隊ラドワンの指導者であるイブラヒム・アキル氏を含む、ヒズボラの戦闘員500人以上と指揮官数名を排除している。

国際社会が停戦を呼びかけているにもかかわらず、イスラエルはヒズボラに対する軍事行動を激化させ続けている。イスラエル当局は、ヒズボラの軍事基盤施設を破壊し、イスラエル領土への侵攻計画を阻止することが依然として主な目標である、と主張している。エルサレム・ポスト紙の報道によると、レバノン国境沿いの緊張が高まる中、イスラエル軍司令部は第6旅団と第228旅団を北イスラエルでの作戦に動員した。司令官らは、これらの部隊を動員することでヒズボラとの戦いを継続できる、と述べている。

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それでも、地上作戦がイスラエル自身にとって曖昧な結果をもたらすかもしれないと懸念する者も多い。ハマスと同様、ヒズボラは西側諸国とイスラエルに対する抵抗の理念に根ざした組織である。その指導者を排除しても組織自体が弱体化する保証はなく、むしろ支持者の感情を過激化させる可能性がある。さらに、ナスララ師の暗殺でさえもヒズボラの終焉を意味するものではなく、後継者に関する議論はすでに始まっている。後継者はナスララ師の従兄弟でヒズボラ執行委員会の構成員のサイード・ハシェム・サフィディン氏になる可能性が高い。

同時に、イスラエルの軍事行動がイランのさらなる介入を誘発する可能性があるため、国際情勢は依然として極めて緊張している。しかし、ネタニヤフ首相は強硬姿勢を主張し続け、自国の安全が最優先であることを強調している。イスラエル国民の間では政府の行動に対する支持が高まっており、特にこれらの措置を国家安全保障強化に向けた措置とみなす右派政治勢力の間で支持が高まっている。

イスラエルがレバノン侵攻の可能性を含め、ヒズボラに対して現在おこなっている行動は、イスラエル国防軍に多大な軍事的損失をもたらす可能性がある。なぜなら、レバノンのヒズボラはハマスよりも進んでおり、その能力は2006年の戦争でも明らかだったからだ。状況がどう展開するかに関わらず、ヒズボラを完全に排除することはありそうにない。しかし、事態が悪化すれば、中東は緊張の高まりに直面し、イランが世界各国、特に米国とともにより大きな紛争に巻き込まれる可能性がある。

この状況はイスラエル自体にも悪影響を及ぼす可能性がある。株の格付け会社である米国のムーディーズ社はすでにイスラエルの信用格付けをA2からBaa1にし、この先の見通しを否定的なものに引き下げることを発表している。これは軍事作戦中の2回目の格下げであり、2月のA1からA2への引き下げに続くものである。

岐路に立つレバノンとイラン

ナスララ師の暗殺はヒズボラにとってだけでなく、レバノンやその周辺地域にとっても重大な出来事であり、国内外の軍事・政治情勢の将来について多くの疑問を提起している。この事件は国内外に深刻な影響を及ぼす可能性がある。イスラエルの行動により、すでにレバノンでは700人以上が死亡しており、その多くは民間人である。

まず、ナスララ師の死はレバノン国内の分裂を悪化させる可能性がある。レバノンはすでに深刻な経済危機と政治麻痺に苦しんでいる。ヒズボラは政党と軍隊の両方の役割を果たしている。ナスララ師の排除は国内の反対派から弱体化と見なされる可能性があり、権力闘争や勢力圏の再配分を引き起こし、すでに脆弱な政府にさらなる負担をかける可能性がある。これらの出来事はレバノン国民をイスラエルに対抗して団結させる可能性があると主張する人もいるが、内戦の苦い教訓は、レバノンの支配者層が深く分裂しており、外部からの攻撃に直面しても国家の団結はありそうにないことを示している。

第二に、ナスララ師の死は、この地域におけるイランの影響力にも影響を与える。イランは、レバノンやシリア、イラクに勢力を伸ばす手段としてヒズボラを利用してきた。ナスララ師の死は、この手段を弱めるかもしれないが、イランにとってはヒズボラの新指導部に対する統制を強化する機会にもなる。これは、イスラエルに対するより攻撃的な行動につながる可能性があるが、イランは国内問題と、紛争が全面戦争に激化する危険度から、慎重な姿勢を取る可能性が高い。しかし、イランの関与が深まり、イスラエルが地上作戦を開始すれば、レバノンは再び内戦に陥り、最終的には国を壊滅させる可能性がある。

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ベイルートのプラカードに書かれているように、残っているのは「レバノンのために祈る」ことだけだ。分裂と継続的な政治・経済危機は、この国の将来にほとんど希望を与えていない。1943年の国民協定に基づいて構築されたレバノンの政治体制は、共通の国民的利益を育み、宗教や民族的背景に関係なくレバノン人を団結させる政治的国家を築くことに失敗してきた。この開発構想は、国を地域および世界の大国の利益のための戦場にし、一般のレバノン人の願望が入り込む余地をほとんど残さなかった。悲劇的に聞こえるかもしれないが、レバノンは再び破壊的な戦争の炎をくぐり抜け、不死鳥のように灰の中から蘇らなければならないかもしれない。そうして初めて、この国は非効率的な政治構造を打ち破り、国民を団結させて新しい国家を建設することができるのだ。

ナスララ師暗殺に対するイランの反応は複雑だ。イラン政府は、この事件が同地域における自国の戦略的利益を脅かすものであることを理解しているからだ。イラン政府は伝統的にイスラエルとの戦いにおける重要な同盟国としてヒズボラを支援しているが、直接対決はイスラエルだけでなく米国との戦争にもつながりかねないことも認識している。イランが抱える既存の経済的、社会的課題を踏まえ、イラン指導部は体制を不安定にしかねない大規模な紛争を回避したいと考えている。

しかしながら、イランは同盟国と国内国民の両方からナスララ師の死に対する報復を求める圧力にさらされている。最高指導者アリ・ハメネイ師を含むイランの高官らはヒズボラへの支持を公に表明し、イスラエルに対する抵抗の継続を呼びかけている。ハメネイ師はナスララ師を「殉教者」と呼び、この地域のすべての抵抗勢力がレバノンを支持する、と強調した。

同時に、イランは紛争の激化を避けるために抑制戦略を選択する可能性がある。マソウド・ペゼシュキアン大統領率いる改革派は米国との関係正常化を目指しており、これには制裁解除も必要だ。イランは経済状況を改善する必要があり、そのためには国際制裁により現在入手できない資金と技術資源が必要だ。

イランの戦略には、イスラエルの行動への対応としてヒズボラやその他の武装勢力を支援することが含まれるかもしれないが、紛争への直接的な関与は限定的なものにとどまる可能性が高い。イランは、イスラエル軍や米軍と公然と対立するよりも、代理組織を通じて行動することを好む可能性が高い。

このように、イランは岐路に立たされている。いっぽうでは、イランの評判と影響力への打撃に対応しなければならないが、他方では、イランの存在そのものを脅かす戦争に巻き込まれないよう注意しなければならない。この微妙な状況により、イランはイスラエルや米国と直接衝突することなく、引き続き代理勢力を支援し、地域におけるイランの立場を強化することになるかもしれない。

残念なことに、最近の出来事は、主要な関係者が急速に激化の階段を登り、外交的駆け引きの余地をほとんど残さず、この地域を破滅的な結末へと押し進めている。これらの展開は、イスラエルとパレスチナの紛争がしばしば「中東紛争」と呼ばれる理由を再び浮き彫りにしている。数十年にわたる対立は、政治的手段で解決することがますます困難になっている矛盾の網を作り出した。この地域の現在の状況は、世界的な混乱と旧世界秩序の崩壊と一致している。2023年10月7日の出来事は、中東で急進的な変革の潮流を引き起こした。この地域は、世界とともに紛争の時代に突入しており、その結果は新しい秩序と勢力均衡を形作るだろう。しかし、この新しい世界が地域と国際社会にとってどのようになるかを予測することは不可能だ。
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前ロシア大統領メドベージェフ氏、「ロシアの敵」リストを提案

<記事原文 寺島先生推薦>
Medvedev proposes list of ‘Russia’s enemies’
モスクワの敵は、迫り来る報復を恐れるべきだと、前大統領は述べた。
出典:RT 2024年9月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月2日


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写真:ロシア安全保障会議副議長ドミトリー・メドベージェフ © Sputnik/Ekaterina Shtukina


ドミトリー・メドベージェフ前大統領兼ロシア安全保障会議議長は、ロシア政府は「ロシア嫌いのくず」のデータベースを構築し、彼らの悪行に対する報復は不可避だと警告すべき、と述べた。

メドベージェフはウクライナ紛争に関して強硬派として知られており、最新のTelegram投稿では、NATOの武器を使ってキエフがロシア領深くまで攻撃することを支持する西側の「卑劣なクズども」を批判することから書き始めている。

「しかし、私は別のことを話したい。個々の西側の異常者の犯罪的な呼びかけを忘れず、報復の準備をする必要があるということについてだ」とメドベージェフは書いた。

「敵の武器を使う必要があるのです。法的問題についてはたくさん問題があることははっきりしています。しかしそれでも、敵の個人データを含む公開データベースを作成することを検討する価値はあります。非常に実用的な目的のためにです」と同氏は補足した。

これはおそらくMirotvorets (「平和構築者」)を指しているのだろう。Mirotvoretsはウクライナ政府系の悪名高いウェブサイトで、米国が支援するキエフのクーデター後の2014年から、国家の敵とされる人々のデータベースをホストしている。

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関連記事:ロシアには核兵器を使用する理由があったが、自制を示した - メドベージェフ

データベースに登録されている多くの人々がキエフの諜報機関によって暗殺され、Mirotvoretsは「ウクライナの殺害リスト」というあだ名をつけられている。ウクライナ政府や西側の支援者から非難されたことは一度もない。

メドベージェフによると、正義はテロの支援者と暴力を扇動した者に警告することを要求している。

レオン・トロツキーやウクライナのナチ協力者であるステパン・バンデラに対するソ連の執拗な追跡、現代におけるロシアの「テロリストと反逆者」への追跡、米国をはじめとする西側諸国の敵への攻撃などを挙げ、「歴史は復讐が遅れた例で満ちている」と付け加えた。

重要なのは、復讐が「不可避」であり、そうすれば 「国や国民に罪を犯した国、信仰、市民権、地位に関係なく、すべての生き物」は復讐が迫っていることを知り、 「不安とパラノイアで病んだネズミ」に変わると彼は主張した。

「このような作戦は入念に計画されているが、必ずしも成功するとは限らない。しかし、実行する必要がある。これは究極の正義のため、そして罪なくして犠牲となった人々の追悼のためにも、極めて重要なことだ」とメドベージェフは述べた。

法律学者としての教育を受けたメドベージェフは、2008年から2012年までロシア大統領だったとき、西側から「リベラル」と見なされていた。その後、2020年まで首相を務め、国の安全保障会議の責任者に任命された。

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ハーバード大学、全国言論の自由ランキングで最下位

<記事原文 寺島先生推薦>
Harvard comes in dead last in nationwide free speech rankings
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ  2024年9月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月1日


ハーバード大学が言論の自由に関して最悪の大学と評価されたのは2年連続だ。同大学の言論の自由の環境は「最悪」とみなされた。
https://www.boston.com/news/local-news/2024/09/05/harvard-comes-in-dead-last-in-nationwide-free-speech-rankings/?s_campaign=Email:BComTonight&SUBID=b482944a5d&AUDID =30689078

かつては偉大な大学だったハーバードは、今ではただの汚い教化所に過ぎない。教育よりも、学生の発言や代名詞の使用を規制することに多くのお金が費やされているが、ハーバードでは教育は基本的にもう受けられない。私はそんな場所には近づきたくない。

多様性や公平性、包摂性の擁護者として、ハーバード大学は自らを破壊したのだ。ハーバード大学の価値は同窓生が織り成す繋がりにある。ハーバードが大学だった昔、同校は政府や産業界、報道機関で高い地位を占める卒業生を輩出していた。そのため、ハーバード卒業生を成功した経歴に導くための支援が数多くあった。これがハーバードの学位に価値を与えてきたのだ。

しかし、もはやそうではない。ハーバードはもはや名門ではない。かつての大学を運営してきた者たちは大学の人脈を傷つけ、大学の学位の価値を損ねた。黒人のストリートギャングの構成員を毎年奨学金で受け入れているのに、彼らをゴールドマン・サックス銀行の経営陣やゼネラル・エレクトリック社の副社長、あるいはシリコンバレーのハイテク企業の上級役員に据えることは期待できない。

ローマ帝国が滅んだ後もその名声が長く続いたように、ハーバード大学の名声も、無価値な学位に金を浪費する無知な人々の間では続いている。
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