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中国攻撃の偽情報はどのように捏造されるのか―新疆ウイグル自治区での「大量虐殺」「文化的虐殺」「強制収容所」「脱過激化教育」の真相

<記事原文 寺島先生推薦>
Manufacturing Consent for the Containment and Encirclement of China
中国を封じ込め包囲するための合意の捏造

筆者:Carlos Martinez(カルロス・マルティネス)

出典:Internationalist 360°

2022年10月12日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年12月3日



 カルロス・マルティネスによる以下の詳細な記事は、帝国主義勢力が中国に対して行っている、とどまることなきプロパガンダ(デマ宣伝)戦争について調べている。カルロスは、「プロパガンダ戦争も戦争プロパガンダになり得る」、さらに「反中国の中傷の奔流は、米国主導の新冷戦に対する幅広い国民の合意を生み出すという明確な目的を持っている」と指摘している。

 カルロスは、ハーマンとチョムスキーの古典的な著書『合意の捏造』で説明されているプロパガンダの方法が、最新の情報伝達技術を使用してどのように更新および強化されているか、そして特に新疆ウイグル自治区での人権侵害の申し立てに関連して、それが今の中国に対してどのように適用されているのかを示している。カルロスは、この話題に関して最も頻繁に投げられる誹謗中傷を紹介し、その正体を詳細に暴いている。

 著者は、「世界の労働者階級と帝国主義に反対するすべての人々の中の連帯の絆を断ち切る」役目を果たしている、このプロパガンダ活動に、すべての進歩主義者が断固として反対し、その本質を暴露しなければならないと結論づけている。
―社会主義中国の友


 注意しないと、新聞はあなたを、抑圧されている人々を憎み、抑圧している人々を愛するように導くでしょう。(マルコムX)

 欧米マスコミは、中国に対して組織的で猛烈なプロパガンダ戦争を繰り広げている。西側の世論の法廷では、中国は一連の恐ろしい犯罪で非難されているのだ。たとえば、新疆ウイグル自治区のウイグル人イスラム教徒に対する大量虐殺を行っている。香港の民主主義を一掃する。南シナ海を軍事化する。台湾に植民地支配を課そうとしている。アフリカで土地収奪を実行する。チベット人と内モンゴル人が彼らの言語を話すのを妨げる。民主主義世界の善良な人々をスパイする。まだまだあるが、そういった犯罪である。

 オーストラリアの学者ローランド・ボーアは、これらの非難を次のように特徴づけている。「残虐行為のプロパガンダ:一般の人々の消費行動に特定の嘘のイメージを植え付けようとするときに使う方法を、古参の共産主義者や、さらには西洋の路線に従わない人に反対する世論醸成をする際にも用いる」 と。ボーアは、このプロパガンダは、中国を残忍な権威主義的な暗黒郷(ディストピア)として印象づけるのに役立つが、「実際に中国に住んでいる人どころか、実際に中国でいくらかの時間を過ごすだけの人にとってもフィクション(虚構)にしかなり得ない」と述べている。[1]

 なぜ中国がこの種の手の込んだ偽情報活動にさらされるのかを理解するのは難しくない。このメディア攻勢は、中国革命を逆転させ、中国社会主義を転覆させ、中国を弱体化させ、国際問題における中国の役割を縮小し、その結果、多極化と覇権主義のない未来への世界的な軌道を弱体化させようとする帝国主義世界の進行中の試みの一部だからだ。ジャーナリストの陳偉華(チェン・ウェイファ)は指摘した。「米国によるプロパガンダ戦争が激化する理由は明らかだ。ワシントンは、急成長する中国を、米国が世界において維持している優位性を脅かす存在と見なしているからだ」と。さらに、「異なる政治体制を持つ国の成功は、ワシントンの政治家たちには受け入れられない」とも。[2]

 プロパガンダ戦争は戦争プロパガンダにもなり得る。この場合、問題となる戦争は、ますます激化する米国主導の新冷戦である。[3]中国に対するさまざまな誹謗中傷、特に新疆ウイグル自治区での大量虐殺などという最もばかげた非難は、イラクの大量破壊兵器に関する2003年の主張、またはムアンマル・カダフィの下のリビア国家がベンガジでの虐殺を準備していたという2011年の主張と多くの共通点がある。これらの物語は、帝国主義の外交政策を支持する世論を起こさせるために特別に構築されたものだ。その外交政策とは、たとえば、「イラクの人々に対して大量虐殺戦争を遂行する」「石器時代状態にするまでリビアを爆撃する」。そして今日では、「中華人民共和国に対する経済的強制、政治的転覆、軍事的脅威の幅広い活動を実施する」といったものである。

 汎アフリカ主義者でガーナの初代大統領であったクワメ・エンクルマは、彼の著書『新植民地主義、帝国主義の最終段階』の中で、西側諸国が冷戦中に、どのように「陰謀、作戦、中傷活動の形でのイデオロギー的および文化的武器」を用いて、社会主義国とアフリカ、アジア、ラテンアメリカの新たに解放された領土を弱体化させたか」を論じ、さらに「ハリウッドがフィクション映画を作っている間に、巨大な独占報道機関は、洒落た巧妙で高価な雑誌を発行するのに併せて、どんな内容を「ニュース」と呼ばれる報道に選択するかに注意を払っている。...反解放プロパガンダの洪水が西側諸国の首都から発せられて、中国、ベトナム、インドネシア、アルジェリア、ガーナ、そして自由への独自の道を切り拓こうとするすべての国に向けられる」と述べている。[4]

 そのような「陰謀、策略、誹謗中傷の活動」の仕組みは、エンクルマの時代からほとんど変わっていない。英国のメディア研究者であるデビッド・クロムウェルとデビッド・エドワーズは、プロパガンダ・ブリッツ(偽宣伝の集中電撃攻撃)の概念である「最小限の時間で最大の損害を与えることを目的とした動きの速い攻撃」について調べている。これらのメディアによる攻撃は「高い感情的強度と道徳的な怒りをもって伝達され」、重要なのは、専門家、学者、ジャーナリスト、政治家たちがそのプロパガンダに合意している姿を世間に知らしめることである。[5]こうして生まれた合意は、「主張が真実であることを誰もが知っているという印象を生み出す」。[6] その際、右翼の信奉者だけでなく、著名な左派の評論家からも合意が得られた場合に最も強力になる。「有名人の進歩的なジャーナリスト―原則的な立場や派手な靴下とネクタイで有名な人々―までもが非難に加わった場合は、その主張には何かがあるに違いないということになる。そしてこの時点で、それを疑うことは難しくなる。」

 中国に関して言えば、そのような評論家の多くは喜んで仕事を引き受ける。例えば、英国のコラム執筆者、オーウェン・ジョーンズはガーディアン紙に寄稿し、「中国政権の否定にもかかわらず、新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する残忍な作戦は現実のものである」と主張する。[7]  ジョーンズは、自身の主張の裏付けとして、他の2件のガーディアン紙の記事を関連記事としているが、この2件の記事は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が提供する研究に依存している。その研究所はオーストラリア政府、米国政府、およびさまざまな多国籍武器メーカー(詳しい説明は後で)が資金提供するタカ派の反中国シンクタンクである。つまり、この自称社会主義者は、ワシントンで最も極端な中国のタカ派と同じ情報源に依存しているのだ。それでも、彼が、ポール・メイソンのようなNATOと連携した評論家とともに、反中国の中傷を公に支持したことは、この情報が完全に信頼できるという印象を作り出すのに役立っている。[8]その中傷の印象は中国の実態とは異なった、いわば、もうひとつの、極右勢力が繰り出す根拠のない陰謀説となる。

 さまざまな反中国の誹謗中傷は明らかに証拠の裏付けを欠いているが、それでも強力で説得力があり、洗練されている。強硬な反動派や反共派に、中国に対して強硬な態度を取るよう説得するのに大きな技能は必要ないが、プロパガンダ戦争は、進歩的な考えや感情を積極的に利用するように注意深く作成されている。大量虐殺の告発は特に説得力がある。帝国主義の政治家やジャーナリストは、中国が新疆ウイグル自治区のウイグル人イスラム教徒に対して大量虐殺を行ったと非難することにより、イスラム教徒や少数民族の正当な同情心を掻き立て、大量虐殺に対して正当な憤慨を呼び起こすことができる。そのときには、一種の感情的知性のようなものが生まれるので、その中では大量虐殺の告発から中国を守ろうとすることは、ホロコースト否定論者であることと同等になってしまう。したがって、中国と連帯することは、心理的、そしておそらく物質的および肉体的に多くの犠牲を払うことになるのだ。

合意を捏造すること

 エドワード・ハーマンとノーム・チョムスキーの1988年の著作『合意の捏造:マスメディアの政治経済学』は、いわゆる報道の自由が資本主義世界でどのように機能するかについての権威ある不可欠な分析であり続けている。特に、この本は、支配階級の経済的利益とマスメディアを介して伝達される思想との関係を探っている。「メディアは、自分たちを支配し、資金を提供する強力な社会的利益に奉仕し、そのために宣伝する。これらの利益の代表者は、彼らが前進させたい重要な議題と原則を持っており、メディア政策を形作り、制約するのに適した立場にある。」[9]

 ハーマンとチョムスキーは、プロパガンダのモデルを考え出した。そのモデルでは、非公式だが定着した一連の「濾過装置(フィルター)」が、メディア消費者が何を読み、見て、聞くかを決定する。これらのフィルターには、次のものが含まれる。

 • 支配的なマスメディア企業の所有者構造。メディア所有者は資本家階級の一員であり、彼らは一貫してその階級の利益に特権を与えている。

 • 広告収入への依存。ほとんどのメディア事業が生き残れる術は、費用を上回る利益を得るために、大企業からの広告を掲載することしかない。よってそれらの企業の政治的見解に敏感でなければならない。

 • 「政府、企業、およびこれらの主要な情報源や権力の代理人によって資金提供され承認された“専門家”によって提供される」情報への依存。[10] この二人の著者は、例えば、ペンタゴンは「何千人もの職員が関与する広報サービスを行い、毎年数億ドルも費やして反対する個人やグループの情報公開源だけでなく、そのようなグループ全体が拡大しないようにしている」と述べている。[11]

 • 権力者の価値観に適合しないニュース記事に対応する「高射砲」または否定的に反応する仕組み。これは、「手紙、電報、電話、請願、訴訟、議会での演説や法案、その他の苦情、脅迫、懲罰的措置の形をとる可能性がある」。[12]インターネット、特にソーシャルメディアの出現により、「高射砲」の方法は倍増し、一般の人々が消費する情報を条件づける重要な手段を提供している。

 • 「国家の宗教と統制機構」として機能する反共産主義という理論的枠組みの浸透。ここで著者は特に米国に言及しているが、その点は西側の他の場所に当てはまる。
 
 ハーマンとチョムスキーのプロパガンダのモデルによると、「ニュースの原材料は連続したフィルターを通過しなければならず、浄化された残留物だけが印刷に適したものになる」。[13]結果として得られるニュース出力は、「国内社会と国家を支配する特権グループの経済的、社会的、政治的議題を教え込み、擁護する」のに役立つ。[14]

 中国に関する西側の主流メディア報道は、このモデルに快適に適合する。フォックス・ニュースからガーディアン紙、BBCからワシントン・ポスト紙まで、ほぼ例外なく、主要なメディア活動は、一貫して中国に敵対的な物語を提示している。たとえば、2019年の香港での抗議運動に関連して、西側の報道機関は、香港の警察と当局に対する一方的な非難と、「民主化」抗議者への熱烈な支援において共通していた。国会議事堂への襲撃、バスへの攻撃、ガソリン爆弾の投擲(とうてき)、建物の破壊、一般市民の威嚇など、抗議者による暴力は、完全に無視されるか、少数の少数派の行動として帳消しにされたが、一方で香港地方政府は並外れた規模の精査と非難を受けた。ガーディアン紙の社説は、「中国は香港の自由を維持するという約束に違反して、香港の抵抗の断片を打ち砕いている」とまで述べた。[15]そしてその主張を支持するために、大真面目に、香港で最後の(彼の前任者のように選出されていない)英国知事であるクリス・パッテンを引用している。抗議に対する香港警察の信じられないほど抑制された対応と、2020年の夏に米国警察がブラック・ライヴズ・マター(黒人の命が大切)の抗議行動に衝撃的な暴力的弾圧を加えたことを対比することは、著者には明らかに思い浮かばなかったようだ。その弾圧では米国警察によって何人もの犠牲者が出たが、一方で香港の警察の手による死者は間違いなくゼロだったのだ。[16]

 西側の主要な報道機関はどこも、抗議者の暴力を真剣に調査しなかった。また、抗議行動の指導者たちと最も反動的な米国の政治家の何人かとの広範なつながりについても言及しなかった。[17]また、彼らは運動に財政的支援を提供している全米民主主義基金の役割を調査することも選択しなかった。[18] 彼らは抗議行動を支持しなかった何百万人もの香港住民がいたことを臆面もなく無視した。「暴徒や群衆が至る所で公共施設を破壊し、鉄道網などを麻痺させているが、彼らは西側諸国からは“自由の闘士”と呼ばれている」。[19]

 逆に、中国についての前向きな話、例えば貧困緩和[20] 、再生可能エネルギーの分野における進歩[21] 、Covid-19パンデミックの抑制[22] に関連するものなどは無視されるか、魔法のように反中国の物語に変換される。中国が極度の貧困を撲滅するという目標に成功したという発表は、「仰々しく大げさに配信されたが、詳細はほとんど明らかにされなかった」とされ、計画全体は、習近平による「毛沢東以来の国内で最も強力な指導者としての地位を固めるための」狡猾な戦略の一環として無価値なものだとされた。[23] 中国の精力的なゼロ・コロナ戦略の結果として、文字どおり何百万人もの命が救われたが、ニューヨークタイムズ紙にかかると、中国共産党は単に「ウイルスの封じ込めにおける中国の成功を利用して、上意下達の統治形態が自由民主主義の形態よりも優れていることを証明しようとしている」となる。また、何百万人もの命を救うという政策は当然のことながら「依然として強力な国民の支持を享受している」ことを認めているが、これは中国人が「情報の入手が制限されており、当局に説明責任を負わせるための手段がないため」というおなじみの比喩に帰着している。[24]

 古参の政治学者マイケル・パレンティは、冷戦中の社会主義世界に対する西側のプロパガンダの不条理と、反共産主義のレンズを通しての屈折が「既存の共産主義社会に関するあらゆる情報を敵対的な証拠に変える」方法について『黒シャツと赤(Blackshirts and Reds)』に書いた。彼は次のように述べている。

 「ソビエトがある問題で交渉を拒否した場合、非妥協的で好戦的だとされた。譲歩する意思があるように見えた場合、これは私たちを警戒から外すための巧みな策略にすぎないとされた。武器の制限に反対すれば、自分たちの攻撃的な意図を示しているとされた。しかし、実際にソビエトがほとんどの兵器条約を支持したとき、卑劣で狡猾だからだとされた。ソ連の教会が空だった場合、これは宗教が抑圧されていることを示しているとされた。しかし、教会がいっぱいになれば、これは人々が政権の無神論的思想を拒否しているとされた。労働者がストライキを行った場合(そういうことはまれにあった)、労働者が集産主義制度から乖離している証拠だとされた。労働者がストライキをしなかったなら、脅迫され、自由を欠いていたからだとされた。消費財の不足は、経済システムの失敗だとされた。消費者への供給が改善すれば、指導者たちが人民に対する強固な支配を維持するために、反抗的な人々をなだめようとしているだけであるとされた。」[25]

 パレンティの観察は確かに中国に対する現代のメディアの統一見解と共鳴している。そのようなメディアの統一見解が偶然であると見ることは統計的に不可能であろう。それはまさに「国内社会と国家を支配する特権集団」(すなわち帝国主義支配階級)の現在の政治的議題を表している。それはまさに中国に対する新冷戦への合意の捏造を目的としている。

新疆ウイグル自治区

 新疆ウイグル自治区の主流メディア報道ほど、プロパガンダモデルが目立つところはない。中国が新疆ウイグル自治区で大量虐殺(または「文化的大量虐殺」)を犯しているという非難は頻繁に繰り返されてきて、西側の大部分でほぼ真実として受け入れられるほどになっている。この告発にはほとんど証拠がなかったが、この話は世界中のメディアに大騒ぎを巻き起こし、制裁の計画の拡大が打ち出され、さらには2022年2月の北京冬季オリンピックではさまざまな帝国主義国が「外交拒否」することになった。[26]さらに、それは洗練されたソーシャルメディア運動に支えられて、大衆の意識にフィルターをかけた。それはプロパガンダ集中的電撃攻撃の典型的な例になった。上記のように、そしてこれはエドワーズとクロムウェルの説明とも一致しているが、このプロパガンダ・ブリッツ(偽情報集中的電撃攻撃)は、企業メディアの保守・リベラル領域全体―フォックス・ニュースから[27]ニューヨーク・タイムズ、さらには[28]デイリー・メールから[29]ガーディアン紙[30] まで全てに貫かれている。

 ハーマンとチョムスキーのプロパガンダモデルは、そのような物語がどのように勢いを増すかを説明している。

 「有用な物語については、その過程は政府からの一連の情報漏出、記者会見、白書などから始まる...他の主要メディアがこの話を気に入れば、彼らは独自の立場で後追い取材し、その問題は親しみやすくなってすぐに報道価値のあるものとなる。記事がしっかりとした説得力のある文体で書かれ、マスメディアで批判や代替解釈の対象とならず、かつそこで権威者による支持が命じられている場合は、プロパガンダの主題は、実際の証拠がなくてもすぐに真実として確立される。ここでは、反対意見はさらに包括的に締めくくられる傾向がある。なぜなら、反対意見はすでに確立した一般的な信念と矛盾するからだ。このようにして、主題は深刻な反撃を恐れることがなくなり、その結果、さらに膨らんだ主張のためのさらなる機会が開かれてくる。」[31]

 マス・メディアは、帝国主義中枢の急進左翼の多くによって補完されている。人気のある進歩的な報道機関であるデモクラシー・ナウは、新疆ウイグル自治区に関連する、中国に対するあらゆるばかげた非難をオウム返しにしている。[32] 2021年、司会のジャコビンは、『ウイグル人との戦争:新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国の運動』の著者であるショーン・R・ロバーツに共感的なインタビューを行い、「ウイグル地域で現在見られるのは、1世紀前の世界の他の場所での文化的大量虐殺の過程によく似ているが、21世紀に現在利用可能なハイテク形態の抑圧の恩恵を受けている」と主張している。[33]一方、英国の「社会主義労働者」紙は、「最大100万人のウイグル人が収容所に閉じ込められている」と主張している。[34]やや皮肉なことだが、ノーム・チョムスキー自身も帝国主義のプロパガンダモデルと無縁ではない。2021年のポッドキャストエピソードで、新疆ウイグル自治区での中国の行動は「ひどい」そして「非常に抑圧的」であると述べ、「再教育キャンプを経験した人が百万人いる」という主張を繰り返している(以下で詳しく説明)。[35]

 一方、議会政治の分野では、右派と左派が中国に対する新冷戦を追求するために汚れた同盟を結成した。マイク・ポンペオなどの右翼原理主義者に加えて、進歩的な民主党下院議員イルハン・オマールも新疆ウイグル自治区に関してはタカ派である。彼は米国企業に対して、中国を非難するオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書を調べ、彼らの会社がウイグル人の強制労働と関係していないことを確認するよう呼びかけている。オマールは、「いかなるアメリカ企業も、強制収容所の利用や、新疆ウイグル自治区の強制収容所で過ごした後に仕事のために移送されたウイグル人囚人から利益を得るべきではない」と述べた。[36]

中国は新疆ウイグル自治区の件で何を非難されているのか?

大量虐殺(ジェノサイド)


 中国のウイグル人に対する扱いに関連してなされたすべての主張の中で、最も深刻なのは、それが大量虐殺を行っているというものである。トランプ大統領の下での国務省の最後の行動の1つは、2021年1月に、中国政府が「新疆ウイグル自治区の北西部地域でウイグル人やその他の主にイスラム教徒の少数民族を大規模に抑圧して大量虐殺と人道に対する罪を犯している。その罪には収容所の使用や強制不妊手術を含む」と宣言することだった。[37]バイデン政権はこの中傷を倍増させ、2021年の年次人権報告書で、「新疆ウイグル自治区の主にイスラム教徒のウイグル人やその他の民族的および宗教的少数派集団に対して、この年に大量虐殺と人道に対する罪が発生した」と主張し、この大量虐殺の構成要素には「100万人以上の民間人の恣意的な投獄またはその他の身体的自由の深刻な剥奪;強制不妊手術、強制中絶、中国の避妊政策のより制限的な適用;強姦;恣意的に拘留された多数の人々の拷問;強制労働;そして、宗教や信仰の自由、表現の自由、移動の自由に対して厳しい制限を課すこと」が含まれると述べた。[38]

 カナダ議会下院(庶民院)はすぐにそれに追随した。[39]フランス国民議会も同様だった。[40] 欧州議会は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒が「大量虐殺の深刻な危険に晒されている」と主張する、やや保守的な決議を採択した。[41]

 「大量虐殺」という用語は国際法の下で詳細な定義を持っており、それは国家、民族、人種、または宗教集団の全体的または一部の意図的な破壊として要約することができる。[42]それは人道に対する最も重大な犯罪の1つであると正しく考えられている。そのため、不注意に証拠なしに投げかけられるべき種類の告発ではない。にもかかわらず、帝国主義の信奉者は日常的にまさにそれを行っている。ハーマンとチョムスキーが数十年前に指摘したように、「大量虐殺というのは忌々しい言葉で、敵国での被害事例には容易に適用されるが、米国自体または同盟国政権のときは、同様の、またはより悪い被害事例があっても、めったに適用されることはない」。[43]

 著名な学者で経済学者のジェフリー・サックスは、バイデン政権の大量虐殺の告発に関連して、「証拠を提供しておらず、それが可能でない限り、国務省は告発を取り下げるべきである」と書いている。続けて、サックスは大量虐殺の告発は決して軽々しく行われるべきではないとも書いている。「この用語の不適切な使用は、地政学的および軍事的緊張を高め、ホロコーストなどの大量虐殺の歴史的記憶の価値を低下させ、それによって将来の大量虐殺を防ぐ能力を妨げる可能性がある。米国政府は、大量虐殺の責任を負って告発する必要があるが、ここではそれを怠っている。」[44]

 それでは、その大量虐殺の罪状とは、実際はどのようなものなのか。かなり怪しげなワシントンのシンクタンク、ニューライン戦略政策研究所による2021年の報告によると、[45]中国政府は「ウイグル人を集団として破壊する意図」で「包括的な国家政策と実践」を行ったとあり、さらに、ウイグル人が直接に殺されているとは主張していないが、ウイグル人がゆっくりと死滅するように強制的な避妊措置が選択的に適用されていると主張している。

 ただし、これらの主張を裏付ける信頼できる資料はない。新疆ウイグル自治区では出生率が低下傾向にあるが、同じことが中国のすべての省に当てはまる。一方、2010年から2018年にかけてのウイグル人の人口は1,020万人から1,270万人になり、25%増加している。一方で同じ期間に、新疆ウイグル自治区の漢民族の人口はわずか2%しか増えなかった。[46]ウイグル人の出生率がわずかに低下したことついて、パキスタン系カナダ人の平和活動家オマール・ラティフは、その原因は「他の場所と同じである。より多くの女性が高等教育を取得し、労働力に参加する。親が老後に自分の世話をする子供をたくさん生む必要性がなくなった。都市化;女性に対する家父長制の統制の軽減。女性が避妊を行う自由が高まった」[47] と考察している。

 中国の一人っ子政策は、1978年に最初に実施されたが、その時期は中国が大勢の人口を養う能力について比較的不安定だった。(中国は世界人口の18%を占めるが、耕作可能な土地は世界の約12%しかない。加えて慢性的な水不足もある。)[48]この政策は2015年まで実施されており、主に中国の出生率の長期的な低下を説明するのに役立つ。しかし、ウイグル人を含む少数民族は政策から免除されている。実際、ウイグル人の人口は、一人っ子政策が施行されていた期間中に倍増した。最新の国勢調査データによると、少数民族の人口は過去10年間で10.26%(1億2500万人)増加し、漢民族の人口は4.93%(13億人)増えている。

 新疆ウイグル自治区での大量虐殺の主張と矛盾する傾向があるもう一つの資料分析の急所は、この地域の平均寿命が1949年の30歳から今日の75歳に増加したことである。[49]

 さまざまな反中国シンクタンクが検討していない1つの質問は、新疆ウイグル自治区で、差別的な強制的な避妊の「ゆっくりとした大量虐殺」を含む、大量虐殺が起こった場合に、これは難民危機につながらないだろうかということだ。しかし、そのような危機の証拠は確かにない。パキスタンやカザフスタンとの国境沿いに難民収容所はひとつもない。抑圧、戦争、貧困、気候変動が組み合わさって、アフリカ、アジア、中東で現在多数の難民危機を引き起こしているが、中国西部で本格的な大量虐殺が起きてもそのような問題につながらないというのは非常に信じがたいことだ。2021年のタイムの記事は、トランプ政権とバイデン政権の両方が新疆ウイグル自治区での人権侵害をあからさまに批判したにもかかわらず、米国は過去12か月間にウイグル難民を1人も受け入れていなかったことを確認している。[50]同じ時期に、バイデンが「香港の弾圧から逃れた」人々に避難所を提供したことを考えると、[51]迫害から逃れてきた何千人もの新疆ウイグル自治区のウイグル人に米国が難民の地位を提供しないことは想像できない。これは、もし彼らが存在すると仮定した話だが。

 イェール大学法科大学院の学者ニコラス・ベケリンは、2022年8月に発行された人権高等弁務官事務所の「新疆ウイグル自治区における人権懸念の評価」が大量虐殺の容疑について言及さえしていないという事実を嘆き、そのような告発をするための信頼できる証拠の根拠がないとうっかり口を滑らせている。「大量虐殺の犯罪のためには、いくつかの要素が必要である。要素の1つは意図だ。あなたは、国家が大量虐殺を犯す意図を持っていたことを法廷で証明、説得力を持って実証する必要がある。それが最初だ。二つ目は、大量虐殺の犯罪にはいくつかの要素があるということだ。それは、国家的、人種的、宗教的、または民族的集団の体系的で広範囲にわたる絶滅、または絶滅の試みでなければならない。中国の場合にその要素が存在するが、その意図が特定の民族集団の絶滅につながることであるとは、はっきり言えない。」[52]

 大量虐殺の告発が基づいているひと握りの報告は、説得力のある証拠のようなものを提供していない。彼らが提唱したのは、いくつかの非常に選択的な出生率の統計と、虐待を受けたと主張する少数のウイグル人亡命者の証言だ。「疑わしきは罰せず」の原則に基づいて作業するのであれば、中国は決して大量虐殺の有罪とは見なされない。

 余談:執筆時点では、新疆ウイグル自治区でのCovid-19による死亡者の総数は3人だ。[53]特定の民族集団に対して大量虐殺を行っている国軍が、彼らの計画を支援するためにパンデミックを利用できないと信じることは非常に困難だ。地域の保健当局ならば、確実に、この集団の人々がCovid-19で死ぬのを防ぐためにかなりの努力をするだろう。

文化的大量虐殺

 中国政府に対するやや洗練された非難は、新疆ウイグル自治区で文化的に大量虐殺を行っているというものだ。ウイグル人自体を一掃するのではなく、ウイグル人の独自性(アイデンティティ)、ウイグル人の伝統、ウイグル人の信念を一掃するという非難だ。文化的虐殺は国際法では定義されていないが、明らかに次のことを指す。「子供を家族から強制的に連れ去る、国語の使用を制限する、文化活動を禁止する、学校、宗教施設、または記憶の場所を破壊するなどの措置を通じて、集団の独自性を排除すること」。[54]

 文化的大量虐殺の告発は身体的大量虐殺のそれほど極端ではないように見えるが、その告発にも同様に証拠的根拠はない。たとえば、新疆ウイグル自治区のすべての学校は、標準中国語と1つの少数言語(ほとんどの場合ウイグル語)の両方を教えている。[55]中国の紙幣には、中国語、チベット語、ウイグル語、モンゴル語、チワン語の5つの言語がある。[56]何千もの本、新聞、雑誌がウイグル語で印刷されている。さらに、新疆ウイグル自治区には25,000以上のモスク(イスラム教の寺院)がある。この数は1980年の3倍であり、一人当たりのモスク数は世界で最も多いものの1つである。(米国のほぼ10倍)。[57]

 トルコの学者アドナン・アクフィラトは、コーランや他の多くの主要なイスラム教の経典がすぐに入手でき、中国語、ウイグル語、カザフ語、キルギス語に翻訳されていると述べている。さらに、「ウルムチに本部を置く新疆イスラム研究所は、カシュガル、ホータン、イリなどの他の都市に8つの支部を持ち、この地域には新疆イスラム学校を含む10の神学校がある。これらの学校には、毎年3,000人の新入生が在籍している。」[58]アクフィラトは、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒は、祈り、断食、巡礼、イードアルフィトルとイードアルアドハーの祝賀など、宗教的儀式にも自由に従事していると述べている。

 これらの詳細は、近年新疆ウイグル自治区をよく訪れるようになった外交官、当局者、ジャーナリストによって確認されている。2021年3月の外交代表団にはパキスタンの駐中国大使であるモイン・ウル・ハックが含まれていたが、彼は、宗教的迫害の告発を明確に拒否した。「注目すべき重要なことは、中国には信教の自由があり、それが中国憲法に明記されていることだ。それは非常に重要な点である...新疆ウイグル自治区の人々は、自分たちの生活、文化、深い伝統、そして最も重要なことに、自分たちの宗教を楽しんでいる。」[59]

 駐中国パレスチナ大使のファリズ・メダウィは、膨大な数のモスクがあり、宗教的および民族的伝統が尊重されているのがわかると述べ、さらに「モスクの数を、すべてを計算する必要があるなら*、1つのモスクに対して2,000人の住民がいるようなものです。この比率は私たちの国にはない。どこでも手に入らない」 とも語った。メフダウィが「あなたはポチョムキン村**を見せられただけかもしれない」と言われると、彼は答えた。「私たち外交官は、何かを信じるように操縦されるほど未熟ですか...それとも、私たちが陰謀に加担し、自分の目で見たものとは反対のものを是認するとでも言うのですか。そんなことを言うのは失礼ではありませんか。...ここには陰謀はなく、事実があります。そして問題の事実は、中国が新疆ウイグル自治区も含めて、至るところで台頭し発展しているということです。一部の人々はそれが気に入らなくて、是が非でも中国の台頭を止めたいと思っているのです。」[60]
* この部分のメダウィ氏の発言の前は次のようになっている。We were living in a hotel. I can go to the veranda and wherever you look there are mosques. In one crossing there is five mosques actually in the same neighborhood. I mean too much, too many actually, the average I had learned … the average of mosques…. if you calculate it all, it’s something like 2,000 in one mosque this ratio we don’t have it … (筆者の引用では、the average of mosques の部分は、the numbers of mosques となっている。)
**貧しい実態や不利となる実態を訪問者の目から隠すために作られた、見せかけだけの施設などのことを指す。ロシア帝国の軍人で1787年の露土戦争を指揮したグリゴリー・ポチョムキンが、皇帝エカチェリーナ2世の行幸のために作ったとされる「偽物の村」に由来する。


 国連での、中国の人権に関するさまざまな国の投票記録を見て驚くのは、イスラム教徒が多数を占める国で、米国主導の中傷に一貫して賛成票を投じているは、NATO加盟国のアルバニアだけであることだ。2022年の第50回人権理事会では、イスラム協力機構の構成員は、中国の立場を支持する声明を圧倒的多数で共同提案した(37対1)。この比率は、アフリカ(33対2)とアジア(20対2)に反映されている。[61]イスラム教徒が多数を占める国の大多数、およびグローバルサウスの国々が、中国のウイグル人イスラム教徒に対して犯された文化的大量虐殺に直面して、沈黙を守るとは信じがたい。

 以下に挙げるようなことを考えると、文化的大量虐殺の告発は全く支持できないように思える。文化的大量虐殺の証拠がないこと、中国の少数民族文化の保護に関する資料と報告、新疆ウイグル自治区への多数の外交使節団、イスラム教徒が多数を占める国々が中国を中傷から守ることでほぼ一致した合意を形成していること。

強制収容所

 新疆ウイグル自治区の当局に対して最も頻繁に課せられる具体的な告発は、ウイグル人イスラム教徒が大量に閉じ込められている捕虜収容所を運営していることである。そこに入れられている人は、人口1300万人のうち100万人というのが最も頻繁に言及される数字だ。[62]これらの捕虜収容所の目的は、ウイグル人のイスラム文化を根絶し、人々を洗脳して政府を支援すること、つまり「復讐心を育み、ウイグル人の独自性(アイデンティティ)を消し去る」ことだ。[63]

 「強制収容所にいる百万人のウイグル人」の話は、典型的なプロパガンダの集中的電撃攻撃である。欧米マスコミの全面的な繰り返しと、アメリカ国務省の支援を通じて、この驚くべき見出しは、広く受け入れられている真実の力を獲得した。それでも、この「ニュース」の情報源は、笑えるほど偽物だ。

 この100万人の数字の出所を見つけようとした2018年のチャイナファイル誌の記事は、4つの重要な研究を特定している。1つめは、ドイツの人類学者エイドリアン・ゼンツ。2つめは、ワシントンDCを拠点とする非営利の中国人権擁護家(CHRD)。3つめは、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)。4つめは、米国を拠点とするメディアであるラジオフリーアジア(RFA)。2021年には新しいプレーヤーとしてニューラインズ研究所がゲームに参加した、米国フェアファックス大学に拠点を置くシンクタンクである。この研究所は、中国政府が国連の大量虐殺条約に違反していると正式に判断するための「最初の独自の報告書」を発行した。上記の個人や組織は中国に対するこの注目を集める告発に最も責任があるので、彼らが既得権益や下心を持っているかどうかを検討することは価値があるだろう。

 エイドリアン・ゼンツは、100万人のウイグル人が強制収容所に収容されていると主張した最初の人物だった。[64]彼はまた、強制労働と強制不妊手術の申し立てに関しても先駆者のようなものだった。中国を誹謗中傷する彼の執拗な仕事は、CNN、[65]ガーディアン紙、[66]デモクラシー・ナウ、[67]そして他の場所で高く評価されている。中国による強制収容所の使用疑惑に関するニュース報道で、ゼンツ氏の仕事に言及していないものを見つけるのは難しい。

 ウォールストリートジャーナルの聖人伝レポートは、世界的な反中国誹謗中傷機械の構築における、この一人の個人の特大の役割を強調している。「生まれ変わりのキリスト教人類学者が、窮屈な机から一人で始めた研究...中国と西側諸国を、過去数十年で最大の人権紛争の1つに押し込んだ。エイドリアン・ゼンツは、中国のインターネットの薄暗い隅から資料を頑固に探し出し、中国の遠隔地の新疆ウイグル自治区での治安強化を明らかにし、その後のトルコ系イスラム教徒の大量拘留と取締りを明らかにした。彼の調査は、中国がどのように数十億ドルを費やして新疆ウイグル自治区に収容所とハイテク監視網を構築し、それらを運営するために警察官を採用したのかを明らかにした。」[68]

 記事は、ゼンツのイデオロギー的方向性をさりげなくほのめかし、「彼の信仰は彼を前進させる」こと、そして彼の以前の知的活動には「聖書の終わりの時を再検討する本」の共著が含まれていると述べている。[69]彼は反中国誹謗中傷を発するために「神によって非常に明確に導かれていると感じている」。言い換えれば、ゼンツは単に人権に情熱を注ぐ政治的に中立な情報分析家ではない。むしろ、彼は頑固な反共産主義者であり、キリスト教の終末論者だ。彼は共産主義犠牲者記念財団の中国研究所の所長として雇用されている。[70] この財団は1993年に米国議会によって設立された超保守的な組織で、国家社会主義のような「非常に邪悪な専制政治」が再び「世界を恐怖に陥れ*ない」ように「前例のない帝国のホロコーストにおける1億人以上の犠牲者の死」を追悼するために設立された。 [71]彼の著書『逃げる価値がある:なぜすべての信者は苦難の前に天に召されないのか』の中で、彼は手に負えない子供たちは「聖書に記載されているムチでの尻叩き」に服従させるべきで、同性愛は「獣の4つの帝国の1つ」と表現している。[72]
*原文の“so evil a tyranny” as state socialism would ever again be able to “terrorise the world.”におけるeverはneverの誤植である。

 ゼンツの思想的起源と著書から考えると、彼の研究が真剣な精査を受けることを要求するのは不合理ではない。しかし、実際には、新疆ウイグル自治区に関する彼の評価は、西側のメディアと政治機構によって無批判に受け入れられ、広く増幅されている。

 「100万人以上のウイグル人と他のトルコ系イスラム教徒の少数派の一員が「再教育収容所」の広大な組織の網の中に姿を消した」という非難を支持している別の組織は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)である。[73] ASPIはオーストラリア政府によって設立されたシンクタンクであり、オーストラリア国民の中国に対する態度を形成するという点で非常に影響力がある。新疆ウイグル自治区に関するその報告は、この話題に関して最も引用されている情報源のひとつだ。

 ASPIは自らを「独立した無党派のシンクタンク」と表現しているが、その中核的な資金はオーストラリア政府から来ており、米国国防総省と国務省(「新疆ウイグル自治区の人権」活動に特化している)の他にも、英国外務・英連邦開発局、アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、BAEシステムズ、ロッキード・マーティンなどから多額の寄付を受けている。[74]要約すると、ASPIは冷戦と太平洋軍事化の商業活動にどっぷりと浸かっているので、中国の人権を議論する場合は明らかな利益相反になる。

 新疆ウイグル自治区に関連する反中国プロパガンダを増幅する最新の「無党派シンクタンク」は、ニューライン研究所である。この研究所をジェフリー・サックスは「153人の学生、8人の専任教員、そして明らかに保守的な政策計画を持つバージニアに本拠を置く小さな大学の事業」と表現している。[75]ニューラインズ報告書は「独立した専門家が、中国で進行中のウイグル人の扱いに対して、大量殺戮条約(1948年)を最初に適用したもの[76]」として西側メディアで大きく取り上げられ、強制収容所、強制労働、文化的大量虐殺に関連する中国の責任を証明する動かぬ証拠となった。この報告書は、研究所のウイグル学者作業集団、まさしく(先述の)エイドリアン・ゼンツが率いる著名な集団によってまとめられた。カナダのジャーナリスト、アジット・シンは、ニュースサイト「グレイゾーン」の詳細な調査の中で、「ニューライン研究所の指導者には、元米国国務省職員、米軍顧問、「影のCIA」と言われた民間スパイ会社ストラトフォーで働いていたことがある諜報専門家、および介入主義信奉者の集まりが含まれている」と指摘している。さらに、研究所の創設者兼社長は、米軍のアフリカ司令部の諮問委員会を務めたことで最もよく知られているアーメド・アルワニである、とのことだ。[77]

 BBC、ガーディアン紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙などはどれも、ニューラインズ報告書を、あたかもそれが学問的厳密さの頂点を表しているかのように扱い、米軍産複合体との関係についてさえ言及しなかった。

 新疆ウイグル自治区の捕虜収容所に関する一般的な物語が非常に疑わしい情報源に基づいていることは十分に明らかだ。先述のゼンツやASPIなどによって提供された証拠は、捕虜収容所を示すと称する少数の写真と衛星写真とともに、少数の個々の証言である。これらの写真は、いくつかの刑務所が存在することを証明しているように見えるが、これはひどく興味深い現象でも、異常な現象でもない。確かに中国にはいくつかの刑務所がある。しかし、その投獄率(10万人あたり121人)は米国の20%未満だ。[78]

 何人かの評論家は、ダラスの人口とほぼ同じ100万人の囚人を隠すことは容易ではないと指摘する。オマール・ラティフが指摘しているように、「その数の囚人を収容して住まわせるために必要な建物と生活基盤施設の数を想像してみなさい! 衛星カメラが車両のナンバープレートを読み取ることができる(挿入)のであれば、米国はそれらの刑務所と囚人を非常に詳細に見ることができると誰もが思うだろう。」[79]

 おそらく、新疆ウイグル自治区の捕虜収容所を示すと称する最も象徴的な画像は、青い作業着を着た刑務所の庭にいる男性の集団の画像である。これは、2017年4月に羅埔県改革矯正センターで行われた講演の写真であることが判明している。[80]羅埔センターは普通の刑務所で、普通の犯罪者がいるが、それは、「新疆ウイグル自治区の人々の強制収容所や奴隷労働を証明立て、実際に見せ、あるいは実際にあることをほのめかすために、つまり、人を欺くために使用されてきた」[81] ということだ。

脱過激化教育

 中国当局は、西側の人権団体が強制収容所と呼んでいるものは、実際には宗教的過激主義と暴力的な分離主義の問題に対処するために設計された職業訓練所であると主張している。彼らは、宗教的憎悪の考えを弱体化させようとすることに焦点を当てた社会学と倫理学の授業と、参加者が仕事を見つけて生活水準を向上させることができるような市場性のある技能を提供する授業を組み合わせている。基本的な考え方は、人々の生活の見通しを改善して、原理主義の宗派集団によって過激化される可能性が低くなるようにすることを目指している。

 そのような過激集団からの脅威は十分に現実的である。その中で最大のものは東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)で、2020年10月まで米国国務省によってテロリストグループとして分類されていた。[82] ETIMは、シリアとアフガニスタンでダーイシュやさまざまなアルカイダ集団と一緒に戦うために何千人もの民兵を派遣してきた。[83]

 1990年代半ばから2010年代半ばにかけて、中国では、ウイグル分離主義部隊による一連のテロ攻撃がショッピングセンター、駅、バス停、天安門広場であり、数百人の民間人が死亡した。これは、中東と中央アジアでのテロの増加に対応しており、この地域の進歩的または民族主義的国家に対する西側の代理戦争に少なからず関連している。他の人々と同様に、中国の人々も安全と安心の権利を要求する。そのため、テロリズムは中国政府が簡単に無視できる問題ではないのだ。

 したがって、職業訓練所は、学歴と経済的繁栄を高めることを目的とした全体的な反テロキャンペーンの一環として設立され、それによって過激化を引き起こすことが知られている不平不満に対処しているのだ。教育方法は生活条件の改善に焦点を当てて組み合わされており、2014年から2019年までの5年間で、一人当たりの可処分所得は平均年率9.1%増加している。[84]

 テロリズムに取り組むための中国の方法は、国連の暴力的過激主義防止のための行動計画で提唱されている措置に基づいており、「不可欠な安全保障に基づくテロ対策だけでなく、個人を過激化し、暴力的な過激派集団に加わらせる根本的な状況に対処するための体系的な予防措置を含む包括的な手法を求めている」。[85]したがって、中国は国際法と最良の方法の枠組みの中で積極的に活動しようとしているのだ。このやり方は、例えば、米国が運営している拷問的な収容所と比較してかなり優れている。というのも、この収容所に入所しているのは、テロ容疑者たちであり、その中には、多かれ少なかれ手当たり次第に逮捕された無実の犠牲者ももちろんいるからだ。しかもその収容所は、キューバ領内の不法占拠区域に位置している。[86]

 現地で広範な調査もされていないのに、職業訓練所の運営方法に関する中国当局の主張は検証不可能である。私たちが確実に言えることは、大量虐殺、文化的大量虐殺、宗教的抑圧、強制収容所に関する非難は、十分な証拠として値する情報に裏付けられていないということだ。さらに、最も著名な告発者は、例外なく、中国に対して斧を挽く(密かな企みがある)ことで知られている勢力ばかりだ。

 上記のいずれも、新疆ウイグル自治区に問題があることを否定するものではない。ウイグル人が警察によって虐待されたり民族的に差別されたりすることは決して起こらず、脱過激化学習に関与した強制は一度もなかったというわけではないのだ。しかし、中国でよく理解され、政府が積極的に取り組んでいるこれらの問題は、決して中国に限ったことではない。確かに、ウイグル人に対する差別は、たとえば、米国のアフリカ系アメリカ人や先住民の扱い、またはインドのダリット(不可触民)、アディバシス(インド先住民)、その他多数の少数派の扱いと比較すると大きいとは言えない。

なぜ新疆ウイグル自治区なのか?

 新疆ウイグル自治区周辺の邪悪なプロパガンダ作戦は、複数の目的を果たしている。これは、アメリカ主導の新冷戦におけるひとつの要素であり、中国の台頭を遅らせ、アメリカの覇権を維持し、多極世界の出現を防ぐために設計されたハイブリッド戦争の事業だ。[87]それはまた、資本主義国の労働者階級、そして一般的に抑圧された人々が社会主義世界に対して感じるかもしれない自然な連帯を混乱させることを目的とした、百年前の悪質な反共産主義の反復に関連している。最後に述べたいのは、新疆ウイグル自治区の地政学的重要性は、中国を弱体化させる全体的な戦略において特別な役割を果たしていることを意味する、ということだ。ロシア、モンゴル、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンと国境を接する新疆ウイグル自治区は、一帯一路構想の主要な東西陸路に沿った要所を構成している。それは中国を中央アジア、したがってペルシャ湾、中東、そしてヨーロッパにも結びつける。また、新疆ウイグル自治区は中国最大の天然ガス生産地域であり、中国の太陽光発電と風力発電の中心地でもある。つまり、中国の安全保障にとって非常に重要なのだ。

 英国の政治学者ジュード・ウッドワードは、新疆ウイグル自治区の位置は、中国と中央アジアとの貿易関係の中心にあると指摘した。「そこは、中国のウィンウィン(双方満足)の地政学と米国の旧来の地政学との対立が、最も対照的な形で展開されている世界の一部なのだ。...中国は、中央アジアは再創造されるユーラシアの交差点にあるべきだと提案している。そこは、石油とガスのパイプライン、高速列車、連続した車道で接続され、成長に支えられ、貿易によって支えられた安定性を備えた場所になるのだ。中国は世界の未来像を提供している。それは、『真ん中の王国』ではなく、アジア大陸全体を人間開発の次の段階の中心に据える未来なのだ。」[88]

 この進展を混乱させるために、米国は不安定化と悪魔化に訴えてきた。最大の目標は疑似独立新疆ウイグル自治区の基礎を築くことだ。そこは、実際には米国の属国に変わり、中国や地域の他の国々に対するさらなる侵略の強力な足がかりとなる、最小限の、そしてはるかに可能性の高い目標は、中国とユーラシア大陸を結ぶ価値連鎖を混乱させ、それによって一帯一路構想を減速させ、中央アジア、中東、ヨーロッパとの中国の貿易関係を損なうことである。

 余談だが、西側が新疆ウイグル自治区の不安定さを煽り、制裁を課していることは、気候崩壊との戦いへの取り組みのいい加減さをも露呈している。

 2021年、新疆ウイグル自治区は再生可能エネルギー源(主に太陽光と風力)から2兆4800億キロワットの電力を生成し、これは中国の総電力消費量のほぼ30%にあたる。[89]ソーラーパネル(太陽電池板)の必須部品であるポリシリコンの世界供給の約半分は、新疆ウイグル自治区から来ている。[90]

 米国とその同盟国がカーボンニュートラル(二酸化炭素±ゼロ)を追求し、生態学的大惨事を防ぐことに真剣に取り組んでいるというなら、彼らは中国と緊密に協力して再生可能エネルギーの供給網と送電能力を開発してもいいだろう。中国の太陽光発電と風力発電技術への投資は、すでに世界中で価格の劇的な引き下げにつながっている。[91] ところが、彼らは、そんなことは頭になくて、中国に全面的な制裁を課し、新疆ウイグル自治区をクリーンエネルギーの供給網から切り離そうとしている。[92]これは、帝国主義支配階級が、気候破壊の防止よりも反中国プロパガンダ戦争を優先していることをかなり明確に示している。「赤(red)よりも死んだ(dead)ほうがいい」という標語は21世紀も続いているようだ。

捏造合意を拒否する

 アフリカ系アメリカ人の公民権運動指導者で革命家のマルコムXが、「注意しないと、新聞は抑圧されている人々を憎み、抑圧している人々を愛するように導く」と言ったのは有名な話だ。[93]

 中国が台頭している。その平均余命は今や米国のそれを追い抜いた。[94]極度の貧困は過去のものであり、人々はますます元気に暮らしている。中国は、気候破壊との戦いにおける主導的な力としての地位を確立している。パンデミックから人類を救うための戦いで。そして、より民主的で多極的な国際関係のしくみに向かう動きにおいて。習近平の言葉を借りれば、中国は「今やグローバル社会主義運動の旗手」なのだ。[95]

 米国とその同盟国は新冷戦を追求している。その目的は、中国を弱体化させ、その台頭を制限し、最終的に中国革命を覆し、共産党の支配を終わらせることだ。反中国プロパガンダの集中砲火は、この新冷戦の宣伝広告を提供する。西側の支配階級は、中国の社会主義を差別、権威主義、捕虜収容所と結びつけることを望んでいる。貧困を終わらせ、地球を救うことではない。帝国主義諸国の読者は、自分たちがこのように捏造された合意を望むかどうか、自分たちが支配階級の外交政策目標を彼らと共有しているかどうか、について検討すべきだ。

 米国とその同盟国が彼らの目的に成功し、中華人民共和国がソビエト連邦と同じ運命をたどった場合、どのような影響が考えられるだろうか?

 ひとつは、気候危機の観点からの結果は潜在的に壊滅的なものになるだろう。資本主義政府となった中国は、現在追求されている水準で再生可能エネルギー、植林、保全の事業を継続する意志も資源も持たなくなるだろう。Covid-19の規模のパンデミックは完全に壊滅的になり、数千人ではなく数百万人の中国人が死亡するだろう。一方、マラリア、コレラ、その他の病気はすべて復活することが予想される。貧困、過密、気温と海面の上昇という完璧な嵐、つまり病原体にとって「最適な状態」になるからだ。

 貧困緩和と共同繁栄は歴史に追いやられるだろう。何億人もの人々が 自分たちの利益を優先する理由が何もない支配階級によって貧困に追いやられることになるだろう。ホームレス、暴力犯罪、麻薬中毒は、ソビエト崩壊後のロシアで起こったように、再び当たり前になるだろう。さらに、資本主義の中国は、米国の友情と保護を獲得することに必死になって、多極化を促進し帝国主義に反対するという、彼らの国際的な役割を終わらせるだろう。

 われわれは、反中国中傷に断固として反対し、その本質を暴露しなければならない。それは世界の労働者階級と帝国主義に反対するすべての人々の連帯の絆を断ち切ることを目的としているからだ。また社会主義を中傷し、弱体化させようとするものだからだ。さらに、それは毎日、より多くの貧困、より多くの悲惨さ、より多くの抑圧、より多くの暴力、より多くの環境破壊を生み出し、人類の生存そのものをますます脅かす瀕死の資本主義システムを永続させるのに役立つものでしかないからだ。

参照
[1]ボーア、ローランド。「中国の特色を持つ社会主義:外国人のための案内」。シンガポール:スプリンガー、2021年、p.11
[2]チェン、W 2021、「米国は中国に対するプロパガンダ戦争を終わらせることによって間違いを正すべきだ」、チャイナデイリー、2022年8月27日、アクセス、https://www.chinadaily.com.cn/a/202110/15/WS6168b867a310cdd39bc6f0b4.html>
[3]マルティネス、C 2021で詳細に議論される。「左翼は米国主導の中国に対する新冷戦に断固として反対しなければならない。未来を創造せよ」、2022年8月27日アクセス、<https://invent-the-future.org/2021/06/the-left-must-resolutely-oppose-the-us-led-new-cold-war-on-china/>
[4]エンクルマ、クワメ。『新植民地主義:帝国主義の最終段階』。転載。ロンドン:パナフ、2004年。
[5]エドワーズ、デビッド、デビッド・クロムウェル。『プロパガンダ集中電撃攻撃:企業メディアが現実をどのように歪めるか』。ロンドン:プルートプレス、2018年、p.1
[6]同書、p.8
[7]ジョーンズ、O 2021、「右派はウイグル人の虐待について中国を非難する。左翼もそうしなければならない」、ガーディアン、2022年8月27日アクセス、<https://www.theguardian.com/commentisfree/2021/jan/21/right-condemns-china-over-its-uighur-abuses-left-must-do>
[8]マルティネス、C 2020、「社会主義者は中国に対する新しい冷戦に反対する必要がある―ポールメイソンへの返信」、モーニングスター、2022年8月27日アクセス、<https://morningstaronline.co.uk/article/socialists-should-oppose-new-cold-war-against-china-%E2%80%93-reply-paul-mason>
[9]ハーマン、エドワードS.、ノーム・チョムスキー。『合意の捏造:マスメディアの政治経済学』。ロンドン:ヴィンテージデジタル、2010年、p.12
[10]同書、p.78
[11]同書、p.101
[12]同書、p.111
[13]同書、p.78
[14]同書、p.490
[15]「香港の弾圧に関するガーディアン紙の見解:政治的反対への攻撃」(2021)、ガーディアン紙、2022年8月28日アクセス、<https://www.theguardian.com/commentisfree/2021/jan/06/the-guardian-view-on-hong-kongs-crackdown-an-assault-on-political-opposition>
[16]たとえば、バーカー、Kを参照。ベイカー、M;ワトキンス、A、2021、「どの都市でも、警察はブラック・ライヴズ・マターの抗議を誤って処理した」、ニューヨークタイムズ紙、2022年8月28日アクセス、<https://www.nytimes.com/2021/03/20/us/protests-policing-george-floyd.html>
[17]コイル、K 2020、「香港では、労働運動の忠誠心が分かれている」、モーニングスター、2022年9月19日アクセス、<https://morningstaronline.co.uk/article/kenny-coyle-based-interview-hk-trade-unionist-alice-mak>
[18]チョン、T;ラオス、C 2022、「北京の報告書によって非難された、米国が支援する集団と関係のある香港人は、非難の危険がある可能性がある、と分析家は警告している」、サウスチャイナモーニングポスト、2022年9月15日アクセス、<https://www.scmp.com/news/hong-kong/politics/article/3177383/hongkongers-ties-us-backed-group-slammed-beijing-report>
[19]コイル、K 2022、「香港:真実が明らかになった」、モーニングスター紙、2022年8月28日アクセス、<https://morningstaronline.co.uk/article/f/hong-kong-truth-is-out>
[20]マルティネス、C 2022「中国の貧困に対する長い戦争:未来を創造せよ」、2022年9月15日アクセス、<https://invent-the-future.org/2022/06/chinas-long-war-on-poverty/>
[21]マルティネス、C 2019、「中国は気候崩壊への取り組みを主導する:未来を創造せよ」、2022年9月15日アクセス、<https://invent-the-future.org/2019/10/china-leads-the-way-in-tackling-climate-breakdown/>
[22]マルティネス、C 2020、「武漢のカールマルクス:中国の社会主義はCOVID-19をどのように打ち負かしているか:未来を創造せよ」、2022年9月15日、<https://invent-the-future.org/2020/03/karl-marx-in-wuhan-how-chinese-socialism-is-defeating-covid-19/>にアクセス
[23]Kuo、L 2021、「中国は貧困をなくしたと主張しているが、数字は厳しい課題を覆い隠している」、ワシントンポスト紙、2022年9月15日アクセス、<https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/china-poverty-economy-growth/2021/02/25/9e92cb18-7722-11eb-9489-8f7dacd51e75_story.html>
[24]Li、Y 2022、「中国の“ゼロ・コロナ”の混乱は独裁政治がすべての人を傷つけることを証明している」、ニューヨークタイムズ、2022年9月15日アクセス、<https://www.nytimes.com/2022/04/13/business/china-covid-zero-shanghai.html>
[25]パレンティ、マイケル。『黒シャツと赤:合理的なファシズムと、共産主義の転覆』。カリフォルニア州サンフランシスコ:シティライツブックス、1997年、p.43
[26]ヤング、I 2022年、「カナダと英国は、人権上の懸念の中で、北京冬季オリンピックの外交拒否に参加する」、サウスチャイナモーニングポスト、2022年9月20日、アクセス、<https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3158979/canada-joins-diplomatic-boycott-beijing-winter-olympics-citing>
[27]ハグストロム、A 2022年、「ハッキングされた新疆ウイグル自治区の文書は、中国のウイグル人虐殺の詳細を明らかにする:『やつらは殺せばいい』」、フォックスニュース、2022年9月21日アクセス、<https://www.foxnews.com/world/china-xinjiang-uyghur-genocide-leak>
[28]ラムジー、A 2019年、「『情けは絶対に与えるな』:洩されたファイルは、中国がイスラム教徒の大量拘留をどのように組織したかを明らかにする」、ニューヨークタイムズ紙、2022年9月21日アクセス、<https://www.nytimes.com/interactive/2019/11/16/world/asia/china-xinjiang-documents.html>
[29]プレザンス、C 2022、「北京が隠そうとしている中国のウイグル人収容所についての真実:ハッキングされた資料は、“再教育”を受けることを余儀なくされた何千人もの囚人がいたことを明らかにしている...逃げようとした者に対しては「撃って殺せ」という方針があった」、デイリーメール、2022年9月21日アクセス、<https://www.dailymail.co.uk/news/article-10848301/Chinas-Uyghur-detention-camps-exposed-huge-leak-Xinjiang-police-data.html>
[30]ジョンソン、S 2021、「“暗黒郷の地獄の風景”に住んでいる中国のウイグル人―アムネスティの報告」、ガーディアン、2022年9月21日アクセス、<https://www.theguardian.com/global-development/2021/jun/10/china-uyghur-xinjiang-dystopian-hellscape-says-amnesty-international-report>
[31]ハーマンとチョムスキー、前掲書、p.122
[32]ハイフォン、D 2021、「デモクラシー・ナウは今、進歩的な顔を装いながら、中国に対する国務省のプロパガンダ運動を増幅している」、 グレーゾーン、2022年9月21日アクセス、<https://thegrayzone.com/2021/02/22/democracy-nows-china-state-departments-cold-war/>
[33]ロバーツ、S 2021、「ウイグル人抑圧の終結を要求する」、ジャコバン、2022年9月21日アクセス、<https://jacobin.com/2021/04/uyghur-oppression-ccp-surveillance-reeducation-war-on-terror>
[34]ンジリー・エバンス、T 2019、「なぜ中国はウイグル人イスラム教徒を迫害するのか?」、社会主義労働者、2022年9月21日アクセス、https://socialistworker.co.uk/features/why-does-china-persecute-the-uyghur-muslims/>
[35]Mounk、Y 2021、「ノーム・チョムスキーが、独自性を要求する政治、言論の自由、中国について語る」、グッドファイトポッドキャスト、2022年9月24日アクセス、https://www.persuasion.community/p/chomsky
[36]オマール、I 2020、「オマール議員はアップル、アマゾン、グーグルを含むCEOに手紙を送り、中国での強制ウイグル人労働の使用を非難する」、イルハンオマールのウェブサイト、2022年9月24日アクセス、<https://omar.house.gov/media/press-releases/rep-omar-leads-letter-ceos-including-apple-amazon-and-google-condemning-use>
[37]ウォン、E;バックリー、C 2021、「米国は中国のウイグル人への弾圧は“大量虐殺”であると述べている」、ニューヨークタイムズ紙、2022年9月25日アクセス、<https://www.nytimes.com/2021/01/19/us/politics/trump-china-xinjiang.html>
[38]ハドソン、J 2021、「中国との緊張が高まるなかで、バイデン政権は北京に対する大量虐殺宣言を承認する」、ワシントンポスト紙、2022年9月25日アクセス、<https://www.washingtonpost.com/national-security/china-genocide-human-rights-report/2021/03/30/b2fa8312-9193-11eb-9af7-fd0822ae4398_story.html>
[39]「カナダ議会は、中国によるウイグル人への処遇を“大量虐殺”と断言」、BBCニュース、2022年9月25日アクセス、<https://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-56163220>
[40]「フランスの議員、中国のウイグル人処遇を“大量虐殺”として公式に認める」、France24、2022年9月25日アクセス、<https://www.france24.com/en/europe/20220120-french-lawmakers-officially-recognise-china-s-treatment-of-uyghurs-as-genocide>
[41]「新疆ウイグル自治区の警察資料を含む新疆ウイグル自治区の人権状況に関する決議」、欧州議会、2022年9月25日アクセス、<https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/RC-9-2022-0310_EN.html>
[42] 「大量虐殺」、大量虐殺防止と保護する責任に関する国連事務所、2022年9月25日アクセス、<https://www.un.org/en/genocideprevention/genocide.shtml>
[43]ハーマンとチョムスキー、前掲書p.25
[44]サックス、J;シャバス、W 2021、「新疆ウイグル自治区虐殺の主張は不当である」、プロジェクトシンジケート、2022年9月25日アクセス、<https://www.project-syndicate.org/commentary/biden-should-withdraw-unjustified-xinjiang-genocide-allegation-by-jeffrey-d-sachs-and-william-schabas-2021-04>
[45]Chi、Z 2021、「不安な意図と疑わしい起源:DCに本拠を置くニューラインズ研究所は、反中国の収納室により多くの骸骨を持っている」、人民日報、2022年9月25日アクセス、<http://en.people.cn/n3/2021/0326/c90000-9832855.html>
[46]「新疆ウイグル自治区の人口変化に関する真実と捏造」、チャイナデイリー、2022年9月25日アクセス、<https://global.chinadaily.com.cn/a/202102/05/WS601cba78a31024ad0baa7830.html>
[47]ラティフ、O 2021、「中国、西側、ウイグル人:特別報告書」、カナダ平和会議、2022年9月25日アクセス、<https://www.canadianpeacecongress.ca/uncategorized/china-the-west-and-the-uighurs-a-special-report/>
[48]「耕作可能な土地(土地面積の割合)」、世界銀行、2022年10月12日アクセス、<https://data.worldbank.org/indicator/AG.LND.ARBL.ZS>
[49]「新疆の平均寿命は74.7年に伸びる:白書(2021)」、新華社、2022年10月2日アクセス、<http://www.xinhuanet.com/english/2021-07/14/c_1310060001.htm>
[50]アギレラ、J 2021、「米国は昨年、ウイグル難民は1人もいないことを認めた。これがその理由だ」、タイム誌、2022年10月2日アクセス、 <https://time.com/6111315/uyghur-refugees-china-biden/>
[51]フォックス、B 2021、「香港の取り締まりから逃れた人々は一時的な米国の避難所を取得する」、APニュース、2022年10月2日アクセス、<https://apnews.com/article/hong-kong-fd6eee4affe1edfbf74f5e635c8e6445>
[52]チョティナー、I 2022、「なぜ国連は中国を新疆ウイグル自治区での大量虐殺で非難しなかったのか?」、ニューヨーカー、2022年9月25日にアクセス、<https://www.newyorker.com/news/q-and-a/why-hasnt-the-un-accused-china-of-genocide-in-xinjiang>
[53]「2022年6月7日現在の中華圏における新しいコロナウイルスCOVID-19感染、死亡および回復症例の数、地域別」、スタティスタ、2022年10月2日アクセス。<https://www.statista.com/statistics/1090007/china-confirmed-and-suspected-wuhan-coronavirus-cases-region/>
[54]クローニンファーマン、K 2018、「中国は新疆ウイグル自治区での文化的大量虐殺を選択した—今のところ」、フォーリン・ポリシー、2022年9月25日アクセス、<https://foreignpolicy.com/2018/09/19/china-has-chosen-cultural-genocide-in-xinjiang-for-now/>
[55]「事実の検証:新疆ウイグル自治区関連の問題の嘘と真実」、環球時報、2022年9月26日アクセス、<https://www.globaltimes.cn/page/202102/1215149.shtml>
[56]「中国の通貨の言語学的考察」、チャイナブリーフィング、2022年9月26日アクセス、<https://www.china-briefing.com/news/a-linguistic-look-at-chinas-currency/>
[57]ハッサン、M 2020、「新疆ウイグル自治区のモスクを取り壊しとの申し立てには根拠がない」、人民日報、2022年9月26日アクセス、<http://en.people.cn/n3/2020/0821/c98649-9737215.html>
[58]アクフィラト、A 2021、「10個の帝国主義の嘘とウイグルの真実(パート2)」、CGTN、2022年9月26日アクセス、<https://news.cgtn.com/news/2021-02-25/10-imperialist-lies-and-Uygur-truths-Part-2–Y9bVWkDYME/index.html>
[59]「パキスタンは新疆ウイグル自治区に関する中国の立場を完全に支持している:特使(2021)」、デイリータイムズ、2022年9月26日アクセス、<https://dailytimes.com.pk/743754/pakistan-fully-supports-chinas-position-on-xinjiang-envoy/>
[60]「論点:三人の大使は新疆ウイグル自治区について劉新と何を話すか?」、YouTube、2022年9月27日アクセス、<https://www.youtube.com/watch?v=ebeGipO6-gU>
[61]ワン、C 2022、「バチェレによる「新疆ウイグル自治区における人権懸念の評価」は、OHCHRの信用を傷つけ、人権体制を政治化する危険性がある」、社会主義中国の友人、2022年10月7日アクセス、<https://socialistchina.org/2022/09/09/bachelets-assessment-of-human-rights-concerns-in-xinjiang-risks-discrediting-the-ohchr-and-politicizing-the-human-rights-regime/>
[62]Maizland、L 2022、「新疆ウイグル自治区における中国のウイグル人弾圧」、外交問題評議会、2022年9月27日アクセス、<https://www.cfr.org/backgrounder/china-xinjiang-uyghurs-muslims-repression-genocide-human-rights>
[63]バックリー、C 2018、「中国はイスラム教徒を大量に拘留している。その目標は“思想改造”」」、ニューヨークタイムズ、2022年9月27日アクセス、<https://www.nytimes.com/2018/09/08/world/asia/china-uighur-muslim-detention-camp.html>
[64]Seibt、S 2022、「“新疆警察の資料”の背後にいる学者エイドリアン・ゼンツ、中国によるウイグル人の虐待について」、フランス24、2022年9月28日アクセス、<https://www.france24.com/en/asia-pacific/20220525-adrian-zenz-the-academic-behind-the-xinjiang-police-files-on-china-s-abuse-of-uighurs>
[65]「エイドリアン・ゼンツ博士はCNNニュースルーム(2020)で、漏洩した新疆文書について議論している」、YouTube、2022年9月28日アクセス、<https://www.youtube.com/watch?v=25QhBJt3vCw>
[66]ウィンター、P 2021、「漏洩した論文は新疆ウイグル自治区の弾圧と中国の指導者を結びつけている」、ガーディアン紙、2022年9月28日アクセス、<https://www.theguardian.com/world/2021/nov/29/leaked-papers-link-xinjiang-crackdown-with-china-leadership>
[67]「子どもの分離と捕虜収容所:ウイグル人イスラム教徒に対する中国の活動は“文化的大量虐殺”(2019)」、デモクラシー・ナウ、2022年9月28日アクセス、<https://www.democracynow.org/2019/7/26/china_xinjiang_uyghurs_internment_surveillance>
[68]チン、J 2019、「中国のイスラム教徒の弾圧を暴露したドイツのデータダイバー」、ウォールストリートジャーナル紙、2022年9月28日アクセス、<https://www.wsj.com/articles/the-german-data-diver-who-exposed-chinas-muslim-crackdown-11558431005>
[69]サイアス、マーロンL.、ゼンツ、エイドリアン。『逃げる価値はある:なぜすべての信者は艱難の前に天に召されないのか』。アメリカ合衆国:オーサー・ソリューション社、2012年。
[70]エイドリアン・ゼンツ博士、「共産主義犠牲者のための記念財団」、2022年10月2日アクセス。<https://victimsofcommunism.org/leader/adrian-zenz-phd/>
[71]アタ、T 2022、「共産主義の犠牲者の本質を明らかにする」、インターナショナル、2022年10月2日アクセス、<https://www.internationalmagz.com/articles/unveiling-true-nature-of-victims-of-communism>
[72]ポーター、G;ブルーメンソール、M 2021、「中国の“大量虐殺”に対する米国国務省の告発は、極右信奉者による資料の乱用と根拠のない主張に依存していた」、 グレーゾーン、2022年10月12日アクセス、<https://thegrayzone.com/2021/02/18/us-media-reports-chinese-genocide-relied-on-fraudulent-far-right-researcher/>
[73]シェイ、V;ケイブ、D;ライボルト、J;マンロー、K;ルーザー、N 2020、「売りに出されるウイグル人」、オーストラリア戦略政策研究所、2022年10月2日アクセス、<https://www.aspi.org.au/report/uyghurs-sale>
[74]「ASPIの財源」、オーストラリア戦略政策研究所、2022年10月2日アクセス、<https://www.aspi.org.au/about-aspi/funding>
[75]サックス、J;シャバス、W 2021、「新疆ウイグル自治区で大量虐殺があるという主張は不当だ」、プロジェクトシンジケート、2022年9月25日アクセス、<https://www.project-syndicate.org/commentary/biden-should-withdraw-unjustified-xinjiang-genocide-allegation-by-jeffrey-d-sachs-and-william-schabas-2021-04>
[76]「ウイグル人虐殺:中国の1948年ジェノサイド条約違反に対する調査(2021)」、ニューライン戦略政策研究所、2022年10月2日アクセス、<https://newlinesinstitute.org/uyghurs/the-uyghur-genocide-an-examination-of-chinas-breaches-of-the-1948-genocide-convention/>
[77]シン、A 2021、「偽の大学、中国を“罰する”ためにロビー活動を行っているネオコン信奉者がもたらしたウイグルでの大量虐殺を主張する“独自の”報告書レポート」、グレーゾーン、2022年10月2日アクセス、<https://thegrayzone.com/2021/03/17/report-uyghur-genocide-sham-university-neocon-punish-china/>
[78]ウィドラ、E;ヘリング、T 2021、「投獄の状態:世界の実態2021」、刑務所政策イニシアチブ、2022年10月2日アクセス、<https://www.prisonpolicy.org/global/2021.html>
[79]ラティフ、O 2021、「中国、西側、ウイグル人:特別報告書」、カナダ平和会議、2022年9月25日アクセス、<https://www.canadianpeacecongress.ca/uncategorized/china-the-west-and-the-uighurs-a-special-report/>
[80]ウールフォード、K 2021、「新疆ウイグル自治区:偽情報の波に浮かんでいる」、チャレンジ、2022年10月2日アクセス、<https://challenge-magazine.org/2021/04/13/xinjiang-staying-afloat-in-a-wave-of-disinformation/>。
[81]「新疆ウイグル自治区:報告書と資料のまとめ(2020)」、チャオコレクティブ、2022年10月2日アクセス、<https://www.qiaocollective.com/education/xinjiang>
[82]ライプス、J 2020、「米国はETIMをテロリストから削除し、新疆ウイグル自治区の取り締まりに対する中国の口実を弱める」、ラジオフリーアジア、2022年10月2日アクセス、<https://www.rfa.org/english/news/uyghur/etim-11052020155816.html>
[83]チュウ、A 2021、「中国によって標的にされた2021年の過激派グループETIMは、アフガニスタンで活動し続けている―国連の報告書」、SCMP、2022年10月2日アクセス、<https://www.scmp.com/week-asia/politics/article/3143053/militant-group-etim-which-has-been-targeted-china-remains-active>
[84]「新疆ウイグル自治区のGDPは2014年から2019年(2021年)にかけて毎年7.2%成長」、新華社、2022年10月2日アクセス、<http://www.xinhuanet.com/english/2021-02/05/c_139724061.htm>
[85]「暴力的過激主義を防ぐための行動計画」、国連テロ対策事務所、2022年10月2日アクセス、<https://www.un.org/counterterrorism/plan-of-action-to-prevent-violent-extremism>
[86]ウェストン、D 2004、「グアンタナモ湾の米国の占領は違法であると、キューバ連帯運動の筆頭弁護士は主張」、2022年10月4日アクセス、<https://cuba-solidarity.org.uk/cubasi/article/32/us-occupation-of-guantanamo-bay-is-illegal-says-top-lawyer>
[87]マルティネス、C 2021、「左翼は、米国主導の中国に対する新冷戦に断固として反対しなければならない」、Ebbマガジン、2022年10月4日アクセス、<https://www.ebb-magazine.com/essays/the-left-must-resolutely-oppose-the-us-led-new-cold-war-on-china>
[88]ウッドワード、ジュード。『米国対中国:アジアの新冷戦?地政学的経済学。マンチェスター:マンチェスター大学出版局、2017年、p.281
[89]「新疆ウイグル自治区の再生可能エネルギーによる発電はAI技術を統合して即時に容量を把握する (2022)」、環球時報、2022年10月5日アクセス、<https://www.globaltimes.cn/page/202202/1252283.shtml>
[90]マータフ、D 2021、「太陽熱発電産業が新疆ウイグル自治区をやめるのがとても難しい理由」、ブルームバーグ、2022年10月5日アクセス、<https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-02-10/why-it-s-so-hard-for-the-solar-industry-to-quit-xinjiang>
[91]Chiu、D 2017、 「東は緑です:再生可能エネルギーにおける中国の世界的指導力」、国際戦略研究センター、2022年10月5日アクセス、<https://www.csis.org/east-green-chinas-global-leadership-renewable-energy>に
[92]エンジェル、R 2021、「米国は新疆ウイグル自治区の強制労働の懸念をめぐって中国の太陽熱発電板産業を標的にすることを禁止している」、ガーディアン、2022年10月5日アクセス、<https://www.theguardian.com/world/2021/jun/25/us-bans-target-chinese-solar-panel-industry-over-xinjiang-forced-labor-concerns>
[93]「マルコムXとディック・グレゴリー、オーデュボンボールルームで(1964年12月13日)」、マルコムXファイル、2022年10月6日アクセス、<http://malcolmxfiles.blogspot.com/2013/07/at-audubon-ballroom-dec-13-1964.html>
[94]フイ、M 2022、「中国の平均余命は現在、米国よりも長くなっている」、Quartz、2022年10月6日アクセス、<https://qz.com/china-life-expectancy-exceeds-us-1849483265>
[95]ジェン、W 2022、「習近平の記事は、共産党大会に先立って中国の方向性についての洞察を提供する。」、SCMP、2022年10月6日アクセス、<https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3192677/xi-article-gives-insight-chinas-direction-ahead-party-congress>

「新疆の大虐殺」はメディアによる作り話だ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Media Allegations of Genocide in Xinjiang

global research 2021年4月17日

キム・ピーターソン(Kim Petersen)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年5月7日


 2月に私はこんな問いを投げかけた。「西側は中国が新疆で大虐殺を行っているというが、具体的な証拠はあるのだろうか?」

 中国は絶え間なく西側諸国の政府や、企業メディアや、国営メディアから濡れ衣をきせられている。そうしたメディアは、どんなことでも言いがかりをつけたり、もっともらしい話を作り上げたりして、中国に汚名を着せるチャンスを狙っている。 中国の経済が目覚しい発展を遂げ、中国式の社会主義が上手くいっていることに、資本主義社会が動揺しているのだ。だからといって、「大虐殺をおこなっている」などというとんでもない嘘を主張することは、恨み辛みという範疇を超えて、明らかなやり過ぎだ。

 ある特定の民族が攻撃されているとしたら、特にその民族が、2018年の調査で1271万8400人の人口をもつ民族だとしたら、そんな攻撃を見えなくすることなど不可能だ。それが、新疆ウイグル自治区という広大な土地であったとしても。さらに、もし誰かがそのような恐ろしい罪を糾弾しようとするならば、相手が反論できないような確かな証拠もなしに、犯罪だなどと言いたてることはできないだろう。

 中国を拠点にしている或るフランスの記者が、ローレン・ボードンというペンネームで、西側諸国が、新疆地区(2)のウイグル族に対する大虐殺(1)をでっち上げていることを批判する記事をCGTN(中国国営放送の英語版サイト)に出した。

 ボードン記者は以下のような問いかけを投げかけている。

 「この茶番は何なのだろう?中国に対して遠く離れた場所から批判を行い、具体的な証拠は何一つ示さず、信頼のおける証言もない。それなのに、この地域に一度も足を踏み入れたことのない人たちが批判を繰り広げている」(3)

 この記者の言う通り、中国の罪を主張しているすべて人たちは、具体的な証拠を示すべきだ。

 このような大虐殺が行われたとされているが、ウイグル族の人口は、新疆地区で大幅に増加している。「ピープルズ・ディリー」社の傘下にあるグローバル・タイムズ紙(英文記事を発行している中国の新聞社)は、2010年から2018年までの以下のような統計を明らかにしている。

 「ウイグル族の人口は、1017万1500人から、254万6900人(25.4%)増加し、1271万8400人になった。一方漢民族の人口は、882万9900人から、17万6900人(2.0%)増加し、900万6800人になった」

 この統計が正しい事実に基づいたものであるとすれば(今のところ私はこの統計に対する反論は目にしたことがない)、この統計結果は、大虐殺が起こっていることに対する反論になるではないか!!それでも大虐殺が起こっているとすれば、現代の中国政府は、大虐殺を全く実行できないくらいの無能な政府だという答え以外は導き出せない。

 西側メディアの中国に対する糾弾の拠り所の大部分は、全く信頼のおけないドイツの「専門家」アドリアン・ゼンズの主張に基づいている。

 フランスの新聞社のル・モンド社は新疆地区での大虐殺報道について批判するのではなく、ローレン・ボードンという記者が実在するのかについて疑問を投げかける記事を掲載した。ル・モンド紙は、このような人物は実在しないと報じている。

 これに対してグローバル・タイムズ紙は、ボードン記者は実在するが、ローレン・ボードンという名は仮名である、と報じている。

 これは厄介だ。実は西側メディアの世界で当たり前だと思われていることがある。ある記者が西側メディアで働きたがっているとしよう。しかし、その記者が過去に西側の支配者層を激しく批判するような記事を書いていたとしたら、西側メディアに入るドアは固く閉ざされ、記事を書く仕事はもらえないのだ。

 そのような理由でボードン記者は仮名を使ったのかもしれないが、仮名で記事を書くことは、メディアにおける倫理に反することになる。独占メディアがしばしば独立メディアや、自由思考の読者たちから批判を浴びるのは、匿名の情報源からの情報を使っていることだからだ。情報源が匿名だとしたら、主張や声が具体性に欠けることになり、その情報源や、その記事の主張が、猜疑心のある目で見られてしまう。

 私の気持ちを言わせてもらえれば、CGTN社も、それ以外の真摯に真実を伝えようとするメディアも、仮名で書かれた記事の掲載を許可するのは、例えば実名を示すことで、その記者の生命が危険にさらされるといった極めて危険な状況の時だけにすべきだ。さらにメディアは、前もって記者や情報源をはっきりと特定しておくべきだ。特に今回のような「大虐殺のでっち上げ」という深刻な件に関しては、そのような努力が必要となる。

 この状況の打開策はある。そのために必要なのは、「ローレン・ボードン」記者が勇気をだして一歩踏み出すことだ。彼女が世間の前に顔を出し、自身の本当の身元を明らかにし、彼女の存在を特定化すれは、全てが明らかになる。CGTN社に必要なのは、仮名記事を出す際の方針を透明化することだ。さらに私が提案するのは、この記事を仮名で出したことに対するお詫びの記事を出すことだ。(4)

 大虐殺が行われたというとんでもない間違った主張はすぐに正され、偽情報であるという烙印を押されなければならない。このような偽情報を使って敵を陥れようとする行為は、人道に対する罪であり、平和を脅かす罪でもある。そのことに関して、カナダのレスブリッジ大学のアンソニー・J・ホール博士が以下のように明白に述べてくれている。

 「意図的でしかも体系的な画策により、偽情報を流すそもそもの目的は、社会における結束を破壊し、私たちから、現状を正しく感じ取る意識を奪うためだ。偽情報を流す目的は、人々を分断し、孤立させることだ。私たちから自分の感覚や、知性や、人と繋がるコミュニケーション能力を奪うことだ。このような能力のおかげで、私たちは真実を見出し、正しい知識によって行動を起こしているのだから。偽情報を流すことは、以下のような人類の負の歴史の中で深く使われてきた手法だ。すなわち、帝国主義、欧州中心主義に基づく人種差別、白人による米国の西部開拓、ナチスによるプロパガンダ、冷戦時の心理作戦、そして資本主義のもとでのグローバル化政策、などの際に取られた手法だ。偽情報を流す目的は、個人や集団が蓄積してきた記憶や、歴史の遺産の基盤をおかし、破壊することだ。このような記憶や遺産のおかげで、私たち人類は、様々な言語や、文化や、国や、民族意識や、自己決定の方法などの豊かな多様性を享受できてきたのだ。偽情報のいう手法が激しさを増し、広まっているのは、大衆に情報を提供する手段であるメディアが、一部の人々の手に渡り、その支配下に置かれるようになったからだ」

 頭を柔らかくして、疑問をもつ練習をしよう。証拠がなければ、証拠を求めよう。そのことに関わっているのは誰かを知る権利を要求しよう。人々や、メディアや、地域の歴史をよく調べよう。つまり、簡単に騙されないようにしようということだ。


Kim Petersen is a former co-editor of the Dissident Voice newsletter. He can be emailed at: kimohp@gmail. Twitter: @kimpetersen.


1
 いくつかのメディアが、新疆における大虐殺に対する「主張」や「糾弾」を行っている。具体的には、  CNNBBCアルジャジーラBerlinskeCTV, CBC,Frankfurter Allegemeine Forbesなどだ。日本は少し様子を見ているようだ。真実を知りたいと思っている方々に強くおすすめしたいのは、シアオ・ コレクティブという団体が出している記事を読むことだ。この団体は海外に住む中国人が作っているボランティア団体である。同団体は、新疆問題について、「政治的な意図のある」西側による偽情報だと捉えている。

2
 リンク先の記事には、編集者による注が付いている。「(この記者は)フランスを拠点とするフリーの記者であり、パリ第6大学で美術史と考古学のふたつの学位を取得している。さらに、ジャーナルリズムにおいて修士学位を取得している。ローレン・ボードン記者は、パリの様々な編集局で務めた後、北京を拠点に移し、7年になる。この記事は記者の観点で書かれたものでり、フランス語版CGTN社の主張とは必ずしも一致しない」

3
 原文のフランス語は以下の通り。
 “Qu’est-ce donc cette parodie de procès que l’on fait à la Chine à distance, sans aucune preuve concrète, sans aucun témoignage valable, par des individus qui n’ont jamais mis le pied dans cette région du monde…?”

4
 最終的に、グローバル・タイムズ紙は、ルモンド紙が、「ローレン・ボードン」という名の記者の実在に疑問を投げかけたことに対する謝罪を要求した。しかし、確かにこの名を持つ記者は実在しないため、この点に関してはルモンド紙の主張は正しい。

ウイグル人の行進 ― 新疆ウイグル自治区を拠点として中国を不安定化させる工作を企むCIA

<記事原文>

March of the Uyghrus

 ジャーナルNeo

アンドレ・ヴルチェク / 2019年7月21日

<記事翻訳 寺島隆吉>2020年12月7日



またもや西側諸国は、宗教とテロを利用して、中国を破壊しようとしている。

重要な注意事項:ウイグル人は、非常に古くて深い文化をつくりあげてきた。彼らのほとんどは善良で法を遵守する中国国民であり、スンニ派イスラム教徒の大多数は平和な国民である。以下の論考は、過激思想とテロ行為に関わる恐ろしい問題を考察したものである。過激主義とテロのほとんどが、西側諸国とその同盟国によってつくり出され、推進されている。そして、その目標は中国に害を与えることなのだ。その被害者は今や世界中のさまざまな国に住んでいる。

                                    ***** 

 ウイグル人はどこにでもいる。西側諸国、湾岸諸国、そしてトルコを操ろうとする者たちが、いてほしいと望むところにはどこにでも、ウイグル人はいる。

 ウイグル人の戦闘員は、政治的細胞や政治的部隊と同様に、シリアとインドネシアに、トルコに、そして時にはエジプトに拠点をおいている。

 「殺せ」と言われれば、彼らは想像を絶する残虐さで人殺しをする。聖職者、幼児、年老いた女性の首を切って処刑したり、バラバラに切断したりする。

 彼らは中国にとって最悪の悪夢だ。彼らは中国で宗教的原理主義および好戦的な民族主義と分離主義を解き放っているからだ。しかも、それは外部から支援されているからだ。それらは、習近平国家主席の提唱する素晴らしいBRI(一帯一路構想)にとって、最大の潜在的障害であり、最大の潜在的脅威である。

 西側諸国もトルコも、ウイグル人の最も過激な流派を賛美し、資金を提供して武装させ、そのうえ彼らを「犠牲者」扱いしているのだ。ウイグル人は今や新たな「秘密兵器」だ。中国政府の断固とした前進、すなわち中国的な特性を備えた社会主義に対抗するための、新しい武器として使われるのだ。

 中国(中華人民共和国PRC)を中傷し、その進歩路線を脱線させ、中国がますます前向きで楽観的な影響力を世界の隅々へ及ぼすのを阻止するために、西側とその同盟諸国はできうる限りのことをしている。中国共産党に対する敵を(想像可能なものであれ想像不可能なものであれ)すべてでっち上げ、そののち支援し資金を提供する。北アメリカとヨーロッパ諸国にとって、宗教は、中国に対して使われるお気に入りの「武器」だ。チベット仏教の過激派は、まさにその好例である。西側の諜報機関の工作員でありかつ寵愛者であるダライ・ラマの周りにチベット仏教の過激派が集中していることを見よ。仏教かつ道教の過激派である法輪功も、別の一例である。

 西側は中国を破壊するためにあらゆる手を尽くす。このことは、30年前のいわゆる天安門事件でも、はっきり見ることができる。なぜなら、それは西側が支援し、のちに西側のマスコミが捏造した出来事だったからだ。同じことは、最近、香港で起きた二つの「反乱」でも明らかだった。その「反乱」は西側政府と西側の非政府組織(NGO)によって全面的に支援されてきたからだ。

 西側諸国によっておこなわれた中国攻撃の最新の出来事は、たぶん中国にとって最も危険なものだ。中国および発展途上国(とくに中央アジアの旧ソ連諸国)に対する猛攻である。それは「最も巧妙に仕組まれ」、かつ多国にまたがった攻撃だった。

 それがいわゆるウイグル問題なのだ。

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 ウイグル人は主に中国の北西部に住んでいる。彼らは、中華人民共和国 新疆ウイグル自治区で「先住民」と認定された。彼らは中国によって公式に認められた55の少数民族のひとつであり、ほとんどがイスラム教の信徒である。

 何十年もの間、ウイグル人のなかには中国からの独立のために戦った者もいた(共産主義中国が1949年10月1日に宣言される以前は、この地域に少なくとも二つのウイグル独立国家が存在していた。そのうち最も知られているのが第一次東トルキスタン共和国で、ソビエト連邦の支援を受けて宣言された)。

 中国は建国以来、少数民族ウイグル人に平等な権利を与え、生活水準を絶えず向上させてきた。しかし、いくつかのイスラム過激派は、チュルク語民族の独立のため残酷な戦いを続けてきた。彼らはウイグル人の大多数を代表していたわけではないが、中国と敵対し、それゆえ西側諸国、湾岸諸国で彼らに同調する国、そしてトルコから精神的かつ財政的な支援を受けてきた。

 ゲイ・クリストファーソン博士は、2002年9月に、著書『米中関係におけるウイグルの形成:テロとの闘いにおけるアイデンティティ形成の地政学』のなかで、ウイグル人の活動が中国の領土内でいかに不和の種であったかを述べている。

  
ウイグルの分離主義者・独立運動家の主張するところでは、この地域は中国の一部ではない。しかし1949年に第二次東トルキスタン共和国は中国へ不法に編入され、それ以来ずっと中国の占領下にあるという。ウイグル人のアイデンティティは依然として確固とせず、東トルキスタンのイスラム運動に代表されている汎イスラム的ビジョンを支持する者もいれば、他方で、東トルキスタン解放機構のような汎トルコ的ビジョンを支持する者もいる。第三のグループは、東トルキスタン独立運動のような「ウイグルスタン」国家を望んでいる。その結果、「どのウィグル人も、どのグループも(すべてのウイグル人を代表していると主張することは可能だが)すべてのウイグル人を代表していない」。そしてこれらの各陣営のウイグル人は他のウイグル人に暴力を振るってきた。中国やロシアの社会に同化しすぎているとか信仰が不十分だという理由からだ。


 これは西側諸国の大規模なプロパガンダが押しつけられる前のことで、当時は西側の学者でさえ新疆ウイグル自治区の状況を比較的自由に評価することができた時代だった。

 しかし、すぐに北アメリカとヨーロッパの政策は変化し、急進的になった。

 西側諸国は、ウイグル問題は、以下の三つの主要な目標を達成するために、「中心的」かつ「不可欠なもの」である、と断定するようになった。

1.中国を中傷し侮辱する。中国を「人権・宗教の権利・少数民族の権利を侵害する国」であるとして描く。

2.いくつかの暴力的な戦闘地域にウイグル人を送り込む。これがトルコを含むNATO諸国の任務である。

 たとえば、その暴力的な戦闘地域であるシリア、アフガニスタン、インドネシアなどには、指名された少人数が送り込まれる。その目的はただひとつ。すなわち、彼ら戦闘員の訓練と強化。こうして鍛えられた彼らは、その後、中国、ロシア、旧ソ連の中央アジア諸国の不安定化工作要員として使えるようになるからだ。

3.大規模なインフラプロジェクト、とくに一帯一路構想(BRI)の破壊工作をする。BRIは中国の習近平国家主席が構想したものだが、高速鉄道や高速道路などのインフラは、新疆ウイグル自治区を通って東に向かう。西側諸国および同盟するイスラム諸国によって支援されたウイグル人テロリストが、残酷なテロ攻撃をおこない、この地域を揺るがした場合には、BRI全体が危険にさらされ崩壊する可能性も出てくる。BRIは、死臭ただよう欧米新植民地主義者によって包囲されていた貧困国・発展途上国を解放し、全人類の生活を向上させるために創設されたものだった。

 しかし、実際には何が起こっているのだろうか。 

 数年間、私はこの「問題」を調査した。中国、シリア、トルコ、アフガニスタン、キルギスタン、インドネシアにおいて。

 それが、いま地球が直面している最も重要で最も危険な問題のひとつだと思うからだ。

 世界中で起きていることのパターンをたどり、問題の根源を発見できた。私が発見したのは、攪乱と脅迫である。中国と世界に対する。

 「ウイグル人の行進」は、西側諸国はもちろんトルコなど他の地域でも「権力にとって有用な愚か者」によって支えられている。彼らは「被害者の保護」を望んでいるが、この場合の「被害者」とは、実際には「加害者」のことであり、強奪者なのである。

 ここに私の調査結果(および他の同志や同業者による発見)を記録しておく。私がそうするのは、真実を求めている人が、今も10年後も、「知らなかった」とか「情報が入手できなかった」などと言うことができないようにするためだ。

 それを始める前に、まず西側諸国の偽善がいかに巨大であるかを指摘しておきたい。TIPは中国によってテロ組織と認定されている。いや中国だけではない、欧州連合によっても認定されている。キルギス、カザフスタン、ロシア、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ、パキスタンによっても同様にそう認定されているのだ

 TIPとはトルキスタン・イスラム党のことだが、これはTIM(ウイグル分離主義者によるトルキスタン・イスラム運動)の武装組織である。

 裏では西側諸国が支持し、少なくともその国民の一部によって支持されているテロリストたちは、表ではロンドン政府、ブリュッセル政府、ワシントン政府によって「テロ組織」と認定されているのだ。この巨大な偽善ぶりを見よ。

 西側の論理を使えば、シリアやインドネシアにおいてテロリストを訓練することは、中国人の大量殺害のためなら大いに結構なことだが、欧州連合やアメリカの領土内で活動するのは許されないというわけだ。

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 西側諸国による中国への正面からの攻撃と新疆における彼らの裏活動は、2018年に始まっている。プロパガンダの一斉射撃はずっと以前にも発射されていたが、イデオロギー的な戦闘が「半公式的」に始まったのは、2018年にロイター通信が次のようなタイトルの記事を掲載したときである。「国連によれば、中国が100万人のウイグル人を秘密収容所に拘禁しているという信頼できる報告を国連は受け取っている」

  ジュネーブ(ロイター通信):国連人権委員会は金曜日、中国のウイグル人100万人が「秘密に包まれた大規模な強制収容所」に似た施設で拘束されているとの信頼できる報告を、数多く受けとったと述べた。

  
国連人種差別撤廃委員会のゲイ・マクドゥーガル委員は、新疆ウイグル自治区西部でウイグル人でありイスラム教徒である少数民族(推定200万人)が「政治的な洗脳収容所」に追いやられているとの情報に言及した。

  彼女は、香港・マカオを含む中国のこれまでの記録についての二日間の定期的レビューの冒頭で、次のように述べた。「我々が深く憂慮しているのは、中国が宗教的過激主義と闘い、社会の安定を維持するという名の下に、ウイグル自治区を大規模収容所のようなものに変化させ、一種の秘密に包まれた“無権利地帯”にしてしまっているとの多くの信頼できる報告を受け取ったことだ」

  これに対して中国は、新疆ウイグル自治区はイスラム主義の過激派や分離主義者からの深刻な脅威に直面している、と述べている。彼らは、中国では多数民族である漢族中国人と、ほとんどがイスラム教徒である少数民族ウイグル人との間で、緊張を高め攻撃を企てている、というのだ。


 F・ウィリアム・イングダルは、オンライン雑誌『新東方概観(ニュー・イースタン・アウトルック)』で、このロイター通信の記事を批判した。

 
ロイター通信は8月、「中国が100万人のウイグル人を秘密収容所に拘禁している、との信頼できる報告を国連は受け取っている」という見出しの記事を掲載した。記事を詳しく見ると、それは国連の公式声明ではない。国連とは関係ない独立委員会の、あるアメリカ人からの引用にすぎなかった。しかも彼は中国に関する何ら専門的知識も経歴もない人物だった。その主張の出所を調べると、人種差別撤廃委員会という国連とは独立したNGO(非政府機関)であることが判明した。この告発をおこなった唯一の人物、ゲイ・マクドゥーガルは、このアメリカNGOの一員だった。彼女はこの「信頼できる報告」について「深い憂慮」を表明したが、その劇的な告発の典拠を示すことはできなかった。

  ロイター通信は、この記事を補強するために、ワシントンDCに拠点を置く正体不明のNGO「中国の人権擁護者(CHRD)」の意見を引き合いに出し、自分の主張を擁護していた。しかし、「オンライン雑誌『グレーゾーン』プロジェクト」の研究者らは、優れた背景調査のなかで、CHRDが複数のアメリカ政府組織から数十万ドルを受け取っていることを発見した。そのリストの上位に挙げられているのが、悪名高い政府NGO「アメリカ民主主義基金(NED)」だった。しかも、CHRDの公式発表は、人権NGO「ヒューマンライツ・ウォッチ」の発表そのままであり、この団体は「カラー革命」で悪名高いソロス財団からも資金を得ていたのだ。


 かくして、反中国のイデオロギー攻撃(および、それから身を守ろうとする中国の試み)の新しい章が始まったのである。

 そしてすぐに、その攻撃は勢いを増した。西側のプロパガンダ組織は何十もの記事を次々と公表した。中国が新疆ウイグル自治区にウイグル人のための拘禁施設をいくつも建設し、中国北西部の宗教的・政治的過激派に対して極端に厳しい措置をとっていると主張した。しかし、その証拠を示すことができなかった。

 最も素人っぽい、憶測に基づくものは、2019年6月1日に英テレグラフ紙に掲載された。「ラマダンのお祝いが禁止されたため、中国のウイグル人イスラム教徒は飲食しなけらばならないように強要された」というものだ。その記事は次のように続く。

中国政府は長年にわたり、資源が豊富なこの地域の支配権を握ろうとしてきた。そのひとつが、政府が数十年にわたり奨励してきた漢族(中国の多数民族)の移住であり、それがウイグル人の怒りをあおった。その結果として起きた最大の事件が、2009年に新疆の首都ウルムチで突発し200人が死亡した事件だった。

  さて、中国を支配する共産党は、「犯罪者」と「テロリスト」の行動を一掃することについての宣伝活動を開始した。新疆ウイグル自治区の全域に(新疆とは「新開地」「新しい領土」という意味)、真っ赤な横断幕が掲げられており、それには不審な活動を報告するホットラインが記載されている。そして人々に違法行為や「狂信的」行動と闘うことを呼びかけている。

  「党を愛せ、国を愛せ」の垂れ幕が、モスクの金属探知機の真上に、大見出しで吊るされている。高速道路の広告板には、中国の習近平国家主席のことを指して、「主席の心は新疆の少数民族と直接つながっている」と書かれている。

  政府は、幸福で平和な新疆のイメージを示すために努力している。観光を促進し、投資を引き付けるためである。ここが習氏の「一帯一路構想」の要所だからである。


 しかし、多くの研究者・思想家は、このような「記事」を、全体の政治的文脈のなかで考察している。私の親友で、『中国と生態文明』の共著者でもあるジョン・コブ・ジュニアは、アメリカの代表的な哲学者であり、進歩的な神学者でもあり、長年にわたって中国に関わってきた。彼は上記の記事を批判して次のように書いている。

  
アメリカ政府の標準的な戦術は、他の政府が暴力を行使せざるを得ない状況をつくりだすことだ。暴力の行使は「政権転覆」が必要であるという証拠として扱われる。時には戦争を正当化することさえある。例えば、イラン人がアメリカの無人偵察機ドローンを撃墜したということで、アメリカはイランを公然と攻撃するようになった。中国は、イスラム系少数民族のひとつに関して、これと同じような状況に置かれている。ウイグル人たちが中国に対して暴力を行使するという深刻な危険がある。中国はこれまでのところ、大規模な全員参加の再教育で対応しているが、しかし、これはウイグル人たちが多くの時間を「強制収容所」で費やすよう強いられているかのごとく描くことが可能である。少数民族のイスラム教徒であるということが、後になってアメリカのプロパガンダにうまく利用されて、中国が迫害をしているのだと仄めかすことになった。これはまた、世界中の宗教的な人々、とくに中国やその他の地域のイスラム教徒の間で、反中国的な感情を生み出すことを可能にする。

  アメリカの支配を拒む者を無力化させることなら何をしても許されるというのであれば、CIAの腕前を賞賛することもできよう。しかし真実と正義を望むならば、CIAによる「嘘と政権転覆」の不正と残酷さを暴露することが、私たちの仕事ということになろう。

 
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トルコのウイグル人

  トルコのエルドアン大統領は、同国最大の都市イスタンブールの市長を務めていた時、ウイグル人と「恋に落ちた」。エルドアンはウィグル人の記念碑を建て、トルコの国は「トルキスタン」に由来すると宣言した。

 エルドアンは、数十万人のウイグル人がトルコに移住するのを許した。

 NATO加盟国であり、少なくとも過去においてはアメリカの最も親密な同盟国のひとつであったトルコは、華々しい反中国キャンペーンで西側諸国をためらうことなく応援した。

 しかし、それだけではなかった。それどころではなかった。NATO諸国と湾岸の超宗教的同盟諸国は、シリアのダマスカスにあるアラブ社会主義政権を打倒することを決めたのだ。トルコは、アサド大統領一家との歴史的なつながりを犠牲にしてまで、この「プロジェクト」に当初から積極的に参加した。

 早くも2012年に、私の本を翻訳してくれたトルコ人の助けを借りて、私はハタイ県(古都アンタキヤが県都)のシリア国境地域のいわゆる難民キャンプを調査した。いくつかのキャンプが実際に難民センターとして機能している一方で、アパイディンのような他のキャンプは、シリアのテロリストや外国のジハード戦士を訓練していた。



 当時、トルコの左派を代表するドキュメンタリー映画監督で、「シリアの反体制派」をテーマにした画期的な作品をいくつか制作したセルカン・コック氏は、イスタンブールで私に次のように説明してくれた。



 ハタイ県にいるコック氏の人脈の助けを借りて、早くも2012年と2013年には、「外人部隊」の一部が実はウイグル人であることを確認できた。私はまた、彼らが完全に武装し装備を保持したまま、ハタイ県の「キャンプ」から直接シリアに密輸されているという確証も得た。

 テロリストたちは、トルコのアダナ市近くのNATO空軍基地「インセルリク」でも訓練を受けた。正確に何人のウイグル人がその空軍基地を通過したかは、今のところ確認されていない。

 シリア戦線の現在テロリストが支配しているイドリブ地区で、最も粗暴で最も残忍で最も危険な暗殺者は、ウイグル人である。しかし、この事実は章を改めて、次の章で詳しく書く。

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 イスタンブールでは、同業者であり同志でもあるトルコの一流ジャーナリストでかつ思想家であり、現在はロシアの『スプートニク』紙で働いているエルキン・オンカンと一緒に仕事をした。何年もの間、彼はウイグル人の動きについて報道してきた人物だ。

 私たち二人はイスタンブール郊外のゼイティンブルヌ地区を訪れ、そこでエルキンの同僚たちに会った。彼らは、私たち二人をウイグル人の重要な「事件のあった場所」の「ツアー」に連れて行ってくれた。ウイグル人が徴用され、準合法的に働くことが許可され、その後、その多くをシリアとイラクに送り込んだ事務所も含めて、である。

 トルコには約5万人のウイグル人が住んでいる(中国を初め、世界中に1000万人のウイグル人がいる)。ゼイティンブルヌ地区にはトルコ国内で最も多くのウイグル人が集中している。ここでは、彼らはレストランなど自分のビジネスを経営し、老人たちはお茶を飲みながら、公共の場で果てしない会話を交わしながら、のんびりした生活を送っている。

 しかし、この静かな雰囲気は、ただの外見・見せかけである。ここは多くのウイグル人が到着する場所であり、ここから海外に投入され、その送り込まれた場所で彼らは、命がけの「仕事」つまり、いかにして粗暴で無慈悲な戦士になるかを学ぶのだ。彼らは、シリア、イラク、アフガニスタンに行くか、あるいはもっと遠くインドネシアまで行く。

 早くも2015年4月9日、イスタンブールのBGNニュースは次のように報じた。

このネットワークはゼイティンブルヌを拠点としている。そこは、イスタンブールのヨーロッパ側で、トルコに住むウイグル人の共同体がある。そこを動かしているのは実業家のヌラーリ・T氏で、中国からトルコを経由してシリアとイラクに移動するウイグル人を2011年から手助けしてきた。彼の下で働くAG氏によると、総計10万もの偽造パスポートがつくられ、そのうちの5万は中国に送られた。「イスラム過激派組織(ISIL)」に参加させるため徴募したウイグル人戦闘員に手渡すためである。

 記事によると、ウイグル人は中国からタイとカンボジアを経由しマレーシアに到着する。マレーシアからトルコへはビザが不要だからだ。そして応募した新戦闘員から200米ドルが徴収される。

 戦闘員はその後、イスタンブールのモーテル、ホテル、または隠れ家で一夜を過ごし、翌日トルコの南東と東部に向かい、シリアとイラクに入る。

 偽造パスポートを所持した個人は、しばしばイスタンブールの空港で逮捕される。しかし、なぜ彼らがトルコに入国でき、しかも強制送還されないのかについて、AG氏は「トルコはウイグル人たちと秘密裏に取り引きしている。当局はまずパスポートを没収し、それから個人を釈放するのだ」と述べている。

 エルキンと彼の友人は、トルコの現在の状況について、そしてウィグル人たちが達成すると期待されていることについて、次のように言う。

TIP(トルキスタン・イスラム党)のメンバーは、「シリアでジハードの訓練を受け、そして中国に戻って戦う」。


 問題は、ウイグル人の戦闘員をどうやって中国に戻すか、である。とくにシリアから。

 エルキンはこう答えた。

  
私の考えはこうだ。中国は非常警戒態勢にある。だから戦闘員は、まずシリアからトルコに送られる。その後に中国に送られる場合には、身分証明書が変更され、偽造された場合にのみ帰国できる。なぜなら、中国は戦闘員個々人の名前をもっており、リストもあり情報もある。トルコが秘密裏に身分証明書を偽造して中国に送ることになれば帰国可能だが、あなたが先に言ったように、アフガン経由のルートもある。IS(イスラム国)の戦闘員もアフガニスタンに集結している。アフガニスタン西部の一角には、中国との国境からさほど遠くないところもある。TIP(トルキスタン・イスラム党)は直接、中国に行こうとするだろうが、ほとんどの試みは失敗する。だから彼らはアフガニスタンから攻撃する。知ってのとおり、ロシアの最新情報によると、ISがアフガニスタンで新たなカリフ(イスラム国家)を創設したという。トルコはそこに多くのウイグル人戦士を送り込もうとしているが、何人なのかはわからない。

  また私が思うに、トルコはウイグル人を二つのグループに分けようとしている。ご存じのように、ウイグル人はいつも家族と一緒に旅をする。しかし家族同伴でどこかに移送しようとするのは大変困難だ。だから、まず戦闘員を送り、それから家族を「移送」しようとする。家族を移送するのは「人道主義的な隠れ蓑」で出来るからだ。したがって私の考えでは、戦闘員がまず秘密裏に現地に行き、それから家族が移送されることになるだろう。


 しかし、家族はどこに「移送」されるのだろうか。中国へか。

そのとおりだ。トルコのハタイ県とイズミル県にいるウイグル人は、トルコ政府が面倒を見ている。しかしそこにいつもいるのは、もっぱら女性と子どもたちだ。男性はいない。


 私は2019年の6月に、トルコのハタイ県とイズミル県に戻り、ゼイティンブルヌ地区で聞いたことが間違いないことを確認した。

 その前に、私たちはイスタンブール近郊のアクサライ市に旅行した。そして悪評高いウイグル食レストランのひとつを訪れた。AKP(トルコの政党のひとつ、公正発展党)メンバーの所有するレストランである。しかし、なんとウイグル人がその地区全体を管理しているのだ。ここは分離主義の指導者たちが定期的に、少なくとも二か月に一回は、会う場所だ。この場所の元ボスは人身売買の容疑で逮捕されている。

 私の同業者たちの説明によれば、「どんな罪だったのか、何があったのか、正確には分からない。しかし、その元ボスがまだ刑務所にいれば、それが分かるのだが・・・」

 警察本部はこの食堂のすぐ近くにあるが、少なくともこの私の記事では、それを特定したくない。まだ明らかにできない。逆説的だが、人身売買を追跡しているはずの警察官たちが定期的にここに集まるし、また、無邪気な中国人旅行者も中国北西部の美味で激辛の中華料理を求めて、ここを訪れるからだ。

 私は友人の同業者から次のようにも言われた。



 実際、このようなレストランはたくさんあるが、ここはイスタンブールおよび近辺の本部になっている。目立たないように工夫しており、だからアラビア語の看板もほとんどない。

 また、私は友人の同業者から次のような説明も受けた。

私たちへの情報提供者はみな同じことを確認している。「警察と州および政府はすべてを知っており、行動を確実にコントロールしている」のだと。


 トルコでは、与党の主要な右派民族主義者や西側支持派の野党は、みなウイグル人を支持している。それどころか野党は、与党のAKP(トルコの公正発展党)以上にウイグル人を支持している。だから政策が近いうちに覆される可能性はほとんどない。

 トルコのマスコミの多くは西側の情報源に共鳴し、中国に対して公然と敵対している。

 しかし、トルコ政府は中国と公然と敵対することは望んでいない。少なくとも犯罪行為の追跡に関しては、ある程度の協力をしている。

 アブダルカディル・ヤプカン氏によると、ひとつだけ変化したことがあるという。ヤプカン氏はウイグルに関する法的問題を扱っている人物だ。氏は次のように言った。

もし中国が名前と身分証明書を提供すれば、トルコは調査して告発する。しかし中国が詳細な情報を提供しなければ、トルコは何もしない。これが、少なくとも2016年以来の変化なのだ。


 ウイグル人はトルコ国内においてさえ何度か暴力をふるっている。最も明確に記録が残っているのは、2015年のイスタンブールのタイ領事館襲撃事件と、ゼイティンブルヌのナイトクラブ襲撃事件である。そのときトルコとサウジアラビアの市民を中心に39人が死亡した。

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 アフガニスタンのウイグル人戦闘員

 アフガニスタンのカブールやジャララバード郊外では、イスラム国の存在感が増しているなか、そこから逃れようとしている人たちによく出会う。首都カブール近郊のバグラミのような国内難民キャンプでの生活を余儀なくされている人々もいる。

 アフガニスタン国内にいる私の情報提供者たちは、シリアからアフガニスタンへのジハード部隊(主にISIS)の移動について、はっきりと述べている。その中には、予想どおり、ウイグル人も含まれている。

 彼らウイグル人はシリアで十分に鍛えられた後にアフガニスタンに到着している。彼らは戦闘準備ができていて、しかもシリアで洗脳されているので、内戦と侵略によって疲弊しきっているアフガニスタンの基準で言ってさえも、非常に残忍だ。

 アフガニスタンは東部では短い国境で中国と接し、旧ソ連の中央アジア諸国とも近接していることから、中国・ロシア・中央アジア諸国の政府転覆を目的とするには理想的な国だ。事実アフガニスタンは、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接している。

 中国のBRI(一帯一路構想)は、いくつかのインフラ回廊を通じて中国と全世界を結ぶように設計されている。このことを理解することが不可欠である。そのインフラ回廊のいくつかは、旧シルクロードを通り、中央アジアを経て、イラン、パキスタンを通過し、アフガニスタンにも通じている。新疆省およびウィグル自治区の区都ウルムチ市は、その最も重要なハブのひとつである。西側政府は恐らく最も重要で世界的なこの事業を阻止し破壊しようと企んでいる。だから、ウイグル分離主義者や凶暴な暴力集団や狂信的信者を戦略的に利用して、この地域を不安定化させ混乱をもたらそうとしているのだ。

 アルカイダの幹部メンバー、たとえばアブ・ヤヒヤ・アルリビやムスタファ・セトマリアム・ナサールなどは、アフガニスタンでウイグル人と出会い、ウイグル人の大義を個人的に支持して、彼らをムジャヒディン(イスラム戦士)として訓練している。その一例が東トルキスタン独立運動であり、アルカイダの指導者アイマン・アル・ザワヒリは、一連の声明「イスラムの春、第9号」で、その運動を個人的に支持した。

 また、アフガニスタンにおけるクンドゥズの戦い(2015年)では、ウィグル人だけでなく他の国のイスラム過激派が、タリバンとISISの攻撃に加わったことも重要である。彼らのなかには、ウイグル人だけでなく、チェチェン人、ロヒンギャ人、キルギス人、タジク人そしてウズベク人もいた。

 TIP(トルキスタン・イスラム党)はシリアその他でも戦っているが、組織の指導者はアフガニスタンとパキスタンに拠点を置き、メンバーのほとんどは中華人民共和国の領土で違法に活動しているのだ。


ウイグル人は殺しを奨励され、シリアで訓練を受け、粗暴になっている

 3人の子どもをもつ女性がシリアの都市アス・スカイラビヤにある仮設住宅の玄関に座っている。イドリブ県の村から避難する前に、彼女が経験しなければならなかった恐怖について、彼女はゆっくりと次のように語った。

私の町で大量殺人を犯したテロリストはウイグル人です。いとこや親戚が殺されました。ウイグル人です、そうです、連中によってです。2014年4月、いとこや親戚は銃で撃たれました。私たちは自らを守ろうとして連中に立ち向かいました。すると連中は私たちを殺し始めました。まず戦いで、それから復讐で。その後で、殺害した者の首を、私たちの目の前で次々と切り落としたのです。

 「彼らはテロリストのなかで最も残忍だったのですか」と私は尋ねた。

そうです。北から南まで、イドリブ県の東から西まで。連中は怪物です。連中はヌスラ戦線の指揮下にあります。連中は兵士を誘拐し惨殺します。連中は家族全員を殺し、口では言えないほどの酷いやりかたで殺すのです。銃で撃たれて斬首されるのが一番の安楽死と言えるほどです。まさに連中は残酷非道な怪物でした。


 彼女には分かっている。自分が彼らから逃れることができたのは奇跡だったということを。

今でも覚えています。午前4時、私は生き残った家族といっしょに逃げました。ウイグル人は殺し続けていました。インドネシア人のイスラム戦士も同じでした。完全に洗脳され気が狂っていました。私の家族はみな教師でアラビア語の先生でした。子どもが三人いたのですが、もう誰一人、生き残っていません・・・。


 私は、カファ・ヌボウダ村からの避難者、ノーラ・アル・カドールさんと17歳の娘ナイラさんに会った。

私たちはウイグル人が、ウイグル人の犯す残虐行為がとても怖かった。何が起こったのか思い出すのも怖い。話さなければならないと分かってはいるのですが、口に出して言えない。すべての狂気を止めるためには、あなたのような人に話さなければならないのですが・・・。


私は4人の子どもたちを連れて逃げなければなりませんでした、バイクでです。まるでアメリカ映画の一場面みたいにです・・・。

 彼女は言葉を探そうとしている。どこから話を始めたらよいのか分からないといったようだ。

まず生き残るために脳のスイッチを切る必要がありました。起きたことは「正常」とは程遠かったので。まるでホラー映画のようでした。口で説明するのはほとんど不可能です。私は無学で平凡なひとりの女にすぎませんから、・・・。あの人たちは私たちの町に入ってきて、首を切り落とし始めました。私たちを襲撃し続けました。思い出したくない、あの顔も、あの表情も。心が凍りついて頭が動かなくなる。でも、ほんとうに幸運だった。その日の夜は家族のなかで誰ひとり失わなかったから。即座に逃げ出したから。


 私は尋ねた。「村を攻撃する際、ウイグル人とTIP(トルキスタン・イスラム党)は麻薬を使っていたか」 

 私の質問で、回りにいたひとも一斉に口を開き始めた。

 「もちろん」とノーラさんは答えた。「“正常な”状態だったなら、あんな行動はできるはずがないわ」

 一緒に来ている友人のアナが横から口をはさんだ。

SAA(シリア・アラブ軍)の友だちは、テロリストの上着はいつもポケットが麻薬でいっぱいだった、と言っていたわ。ウイグル人は神経刺激薬カプタゴンを使っているのよ。


 非番の兵士たちは、テロリストが捕まるたびに点検して、そのポケットが「戦闘用麻薬」でいっぱいなのを確認している。

 だとすれば、シリアやアフガニスタンで鍛えられたTIPのテロリスト集団が中国の村を制圧したら、いったい何が起きるだろうか。この20年間だけでも、ウイグル分離主義者たちは、中国で数百件のテロ攻撃をおこない、無数の人々を殺害しているのだから。とはいえ、彼らは中国のどこにおいても村全体を支配したことはなかった。

                                    *****



 私は、アス・スカイラビヤで、NDF(シリア国防軍)司令官ナベル・アル=アブダーラとテーブルをはさんで話し合う機会があった。

 私たちはロシア語で話した。彼は私を前線の最先端まで車で連れていってくれた。そこからイスラム原理主義集団アル・ヌスラの位置がはっきりと見える。彼は私に再招待を約束してくれた。シリアのこの美しい地に、「この狂気がすべて終わった」時に。

 彼は司令センターに戻り、説明した。

私たちはウイグル人を恐れてはいないが、彼らの脅威を非常に深刻に受け止めている。よく見てくれ。彼らによって管理されているイドリブ地域のなかでは、テロ行為が「増える」のだ。ここで戦闘能力を向上させた後、戦闘員たちが中国に戻っていったなら、それは大変な危険を意味する。ウイグル人は最悪の戦士であり、最も粗暴な戦士だ。私たちの目前にあるイドリブはテロの世界的中心地だ。テロの実験室なのだ。世界中のテロリストがいる。この地でウイグル人は最も凶悪な殺人稼業を学んでいるのだ。


 彼は話を中断し、私に香りのよいシリア茶を出してくれた。そして彼が考えていることを話し続けた。

ウイグル人テロリストは私たちシリア国民を標的にしている。彼らはシリア国民をむごたらしく殺す。もし私たちが解決策をもたなければ、すぐにテロリストたちは全世界に被害を与えることになる。私たちの問題はウイグル人やISISであるだけでなく、またTIPやヌスラであるだけではないのだ。私たちの問題は、彼らが表明し代表するイデオロギーそのものだ。彼らはイスラム教を使って、イスラム教の名の下に蛮行を重ねているが、このすべてはアメリカと西側諸国によって支持されている。だから、シリア軍とシリア国防軍が兵士を犠牲にして戦っているのは、この国のためというだけではなく、世界のためでもある。

 シリア国内にウイグル人戦闘員が何人残っているかについては、相反する報告がある。一般的に受け入れられている数は約2000人だが、それにはその家族も含まれる。

 ナベル司令官は次のように説明した。

今も400人から500人の戦闘員がイドリブ地域にいる。そして、イドリブに拠点を置くすべての国際的テロリストは、アル・ヌスラ戦線の指揮下にある。それをカタール、アメリカ、サウジアラビア、トルコが支援しているのだ。アメリカの諜報機関員も、わが国シリア内にいる。もちろんトルコの監視所には、トルコ軍もいる。


 彼は再び私を連れて戦闘の最前線を車で走り続け、アス・スカイラビヤを含むシリアのいくつかの拠点や町を訪れた。ここイドリブ周辺では、今も戦争が続いている。実に厳しい戦争だ。迫撃砲が私から遠くないところで炸裂し、その付近では地雷が発見され、撤去されている。人々は死につつあり、それが今も続いている。

 マハルダ発電所は最近SAA(シリア・アラブ軍)によって解放されたが、その発電所があるムルダ付近で、兵士たちは何体かの黒焦げの遺体を発見した。彼らはおそらく「アジアの」テロリストであろうと聞かされた。しかし、彼らがインドネシア人なのかウイグル人なのか誰にも分からなかった。

 ムルダのシリア国民防衛隊(NSD)のリーダーは次のように説明してくれた。

ウイグル人は粗暴な戦士だ。彼らはアル・ヌスラ戦線の下におり、非常に巧妙で、異なる名前で戦闘行動をする。彼らはシリア国内のあらゆるところにいる。イドリブにもだ。イドリブが陥落すれば、彼らもまたイドリブとともに滅びる。


 私は地図を見せられた。

 おそらく、こうしたことがすべて終わると、ウイグル人はどこか他の場所へと「移動する」ことになるだろう。トルコに戻り、アフガニスタンに戻り、もし彼らを止める手立てがないとなれば、中国にも戻る。

 匿名を希望するシリア人アナリストは私の記事のために次のように書いてくれた。

 シリアで活動しているウイグル人の危険性は多面的だ。

  
第一に、ウイグル人はシリアにとって全面的解決のいかなる一部も形成することができない。シリア国民ではないからだ。いずれにせよ、彼らの存在は有害無益だ。国を分裂させる役割しか果たしていないからだ。最新情報が明確に示しているのは、ここに配属されているウイグル人戦闘員はトルコによって意図的に使われているということだ。SAA(シリア・アラブ軍)がイドリブの支配権を取り戻すのを妨げるためだ。SAAは2016年に、ラタキアの田舎からイドリブのジスル・アッシュ・シュグルまで広がる領土に入り込もうとした。しかし、すべての軍事行動は失敗に終わった。この地域で活動しているTIP(トルキスタン・イスラム党)の勢力のためだった。ここで言及しておきたいのは、TIPがジスル・アッシュ・シュグルにあるSAAのすべての部署への攻撃の先頭に立って、そこで大虐殺をおこなったということだ。

  第二の問題は、この地域における中国の利害に対する直接的な脅威である。その脅威はインターネットを通じて拡散されている。それは「マルハマ戦術」という集団にリンクしたネット・アカウントを使って投稿され拡散されているのだ。(「マルハマ戦術」とは、アブ・ロフィクという偽名のウズベク・ジハード主義者によって設立された集団であり、シリアで戦闘行為をおこない、反政府テロ勢力を支援している〔*著者の註〕)また、ウイグル人戦闘員が中国に戻って、数百人もの過激派青年や分離主義者を徴募してシリアで鍛え、その鍛えられた戦闘員が中国に戻って、中国に対する攻撃を開始する可能性もある。

  
以上のような理由から、中国はこうした脅威を無力化するために全精力を注ぎ込まねばならない。そして、世界はその活動の防衛的性格を理解する必要があるのだ。


                                    *****

インドネシアおよび他の東アジアにおけるウイグル人


 イスラム教徒が最も多い国インドネシアは、1965年にアメリカ・イギリスが支援した右派による軍事クーデター(スカルノからスハルトに政権移行した通称9・30事件)以来、西側の強固な同盟国である。そこでは無神論と共産主義が禁止されており、最も極端でグロテスクな形態の資本主義が列島各地でおこなわれている。インドネシアの人種差別は伝説的だ。占領下の西パプアで現在進行中のものを含めて、同国は1965年以来の三つの集団虐殺を犯している。

 インドネシアにおける中国系少数民族は、つねに数え切れないほどの暴虐と差別の標的だった。これはオランダ植民地時代に始まり、現在まで続いている。

 その上、インドネシアのイスラム教徒のほとんどは、スンニ派のなかでもとくに不寛容さを増しつつある急進的なワッハビ派イスラム教を実践している。これはサウジアラビアをルーツとしている。しかもワッハーブ主義はイギリス帝国主義者の実質的な援助で発展した。

 右翼的で宗教的かつビジネス志向のインドネシアは、概して中国(中華人民共和国)を敵とみなしてきた。通称9・30事件と言われる1965年のクーデターの直後、インドネシアでは数万人の中国人が冷血に殺害され、数十万人が奴隷にされた。無数の中国系女性が集団レイプされ、何百万人もが名前を変えさせられ、母語、人格、文化を放棄せざるを得なくなった。インドネシアの体制や機構のなかの多くの集団が熱狂的に西側諸国と手を結び、北京政府を不安定化させ、その国際主義的な世界観をゆさぶるため、新たな聖戦に加わった。

 ウイグル人は反北京という戦闘のための完璧な道具になりさがった。インドネシア外務省のパク・ワワン氏(本名ではない)によると、早くも10年前から、ウイグル人のなかにはトルコの偽造パスポートを使って、中国からトルコそして最終的にはシリアへ通い始めたものもいたという。これはジャカルタの主要国際空港でインドネシア入国管理官たちを当惑させた。しかし、そうした「困惑」もすぐに解消され、ウイグル人は前進を許された。こうして虐殺の行進を続けることが許されたのだ。

 パク・ワワン氏とは西ジャワの都市バンドンで出会ったのだが、彼はさらに次のように語ってくれた。

地元民インドネシア人とイスラム過激派ウイグル人との間に「友好関係」が築かれた。インドネシア人のなかにはウルムチに旅行に行く人も出てきた。人脈が築かれ、最終的には多くのウイグル人が、イデオロギー的な仕事、資金集め、戦闘訓練のためにインドネシアを訪れた。これらの接触や連携は、両者が、サウジアラビアのメッカ、メディナ、リヤドに宗教的拠点を置いていた時代にまで遡る。両国間(中国とインドネシア)のビザ制度は比較的ゆるいため、TIP(トルキスタン・イスラム党)のウイグル人はなんの手間もなくインドネシアに入国することができる。かつては、ここで彼らのほとんどはイマーム(導師)となったが、他の者たちは野営訓練に参加し、とくにスラウェシ島の真ん中でイスラム聖戦士として訓練を受けた。


 パク・ワワン氏は次のように続けた。

ウイグル人は巨大なネットワークを持っている。またタイとマレーシアにもネットワークを持っている。最近、彼らはタイのパタヤから戦士を移送するようになった。その幹部のほとんどは、主としてサウジアラビアで、少なくとも中東のどこかで、さまざまな宗教大学に入学し、卒業していた。


  ウイグル人は、インドネシアに来るとき、中国に対する不信と憎悪をあおる目的でプロパガンダの本とビデオを携えてくる。この本によると、中国人は神に対してカフィル(忘恩)であり、ナジ(汚い)であるという。その本は、中国文化のすべての象徴を(再び)禁止するよう求めている。

 その本はひどく人種差別的で暴力的である。同様の教科書が、イスラム教シーア派に対してインドネシアで配布された。サウジアラビアの予想どおりの支援を得て、である。

 パク・ワワン氏によると、

インドネシアではウイグル人の学生が200人ほどいると推定され、その主な目的はウスタッドあるいはイマーム(聖職者)として働き、体制に侵入することである。インドネシア内で活動するだけの者もいるが、彼らのなかには、インドネシアのイスラム戦士とともに外の破壊活動に参加する者もいる。彼らの目標は、まずシリアに戻り、最終的には中国に戻ることだ。


 反体制的な訓練基地だったスラウェシ島には、いまだにウイグル人戦士が数人いると予想される。彼らは指導者サントソ・パクデ・アブ・ワルダとともに過激なテロリスト集団MIT(ムジャヒディン・インドネシア・ティムールすなわち東インドネシアのムジャヒディーン)に加わったことで、4人が逮捕され、裁判にかけられ、長期の禁固刑を言い渡された(2015年に)。スラウェシ島にいるのは逃亡中の戦士たちである。サントソ・グループは、アブ・バクル・アル=バグダディの指導の下、すでにISISへの忠誠を誓っている。

 ウイグル人4人が2015年にインドネシアで投獄されたことは、ジョコイ政権の当然の成り行きの変化と解釈することができよう。トルコと同じようにインドネシアもテロ攻撃の致命的な犠牲者となり、ワッハビ派の聖戦部隊を危険とみなし始めているからだ。また、中国に対する姿勢も少なくとも近年は変わり始めている。中国は、とくに崩壊しつつあるインドネシアのインフラに関して良き投資パートナーと見られているからだ。

 しかし、それとて、いまだ混乱した状況である。

 ウイグル人の中には最近、スラウェシ島マナドの国際空港を経由して到着する者もいる。またフィリピンのイスラム地域から船で来る者もいる。

 重要なのは、インドネシアの二大イスラム組織、NUとムハマディアの代表団が、中国ウィグル自治区の首都ウルムチに招待され、あちこちを案内された後、最後には「中国でイスラム教徒に対する弾圧はない」と公に宣言したことである。

 ちなみに、NU(ナフダトゥル・ウラマー)は世界最大の独立系イスラム組織であり、ムハマディアは「イスラーム本来に戻るべき」という近代イスラム改革運動である。

 他方で、インドネシアや東南アジアで華僑排斥すべしとの言動を続けていた人々が、国外から資金援助を受けていたことも明らかになった。

 ロッシィ・インディラさんは、この私の記事の執筆に協力してくれているインドネシアの作家かつ新聞発行者だが、ジャワ島にあるいくつかの過激派グループや指導的政治家たちを訪問した。驚いたことに、彼らは西側諸国のために中国を中傷することをきっぱりと拒否したからだ。

 もちろん、粗暴なイスラム主義組織は簡単に従来の態度を変えなかった。アンナス・インドネシア(ANNAS、反シーア民族同盟)専門家評議会の議長アティップ・ラティフル・ハヤト氏は、中国によるイスラム教徒への弾圧や人権についてインディラさんに語った。そして、アンナス・インドネシアは次のように公言したのだ。「ボルネオ島バリクパパンのイスラム教徒は、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の解放に向けた中国のあらゆる努力を、道徳的にも物質的にも、支持する」と。

 ACTは、かつてウイグル人のために金品を集めることに深く関与していた西ジャワ島のNGOだが、その部門を担当していたオクタ氏は、この問題(つまりウイグル人のために金品を集めること)はもはや彼らの優先事項ではないと断言した。

 ディナ・スレイマン氏は、インドネシアの伝説的な学者かつ作家だが、シリアとイランの両方を擁護してきた人物だ。彼は上記のことに関して次のように語った。

ACTは年次報告書を発表したが、すべての資金がどこに流れたかの詳細はわからなかった。インドネシア以外の国に一定額を寄付したことだけは公表されたが、詳細は不明だった。私の会計士の友人は、彼らの公表された報告書を調べて、私にこう言った。「彼ら(ACT)は、寄付の多くが自分たちのニーズのために使われたことを証明するために、あらゆる専門語を駆使していた。とはいえ、友人の会計士によれば、寄付金の最大60%が彼ら自身のニーズのために使われたことは、たぶん間違いないだろう」


 これはインドネシア特有の典型的汚職なのだろうか。しかし、この場合はそれで「良し」としよう。寄付金は、彼らの懐に消えた方がましなのだ。ウイグル過激派に届いたりするよりは!

 下院のハヌラ派(ハヌラとは「人民の良心」の意)はインドネシアの政治システムにおける派閥のひとつだが、ウイグル問題に関連して中国政府を中傷していることの背後に何があるのか、公然と疑問を投げかけている勢力である。そのハヌラ派の議長であるイナス・ズビル氏は最近、この私のレポートのためにロッシィ・インディラさんに次のように話してくれた。

インドネシアの人々はウイグル人に関する問題について耳を傾ける必要がある。なぜなら最近、中国政府による差別的な扱いに関するニュースが流れているが、それは国際的なマスコミや西側NGOが発信したものにすぎないからだ。 確かに、後になって中国との関係が必ずしも良くないことが判明した西側諸国も少なからずある。


  
しかし、ムハマディヤ運動「イスラーム本来に戻るべき」中央委員会(会長はヘダル・ナシール)が2018年9月に中国ムスリム協会と会合したとき、協会の副会長アブドラ・アミン・ジン・ルービンはこの主張を否定して次のように述べた。

 「ウイグル人を含む中国全体のイスラム教徒は、中国人と同じ自由をもっており、政府から好待遇を受けている。その証拠に、ウイグル人が住む新疆ウイグル自治区には2万8000のモスクがあり、祈りを導くためのイマームが3万人以上もいる。新疆ウイグル自治区でも、政府はイスラム大学の設立を支援している。それで、イスラム教徒の宗教的生活は良好である」

  ウイグル人イスラム教徒に対する差別的な扱いの問題は、我がインドネシアのジョコ・ウィドド政権を非難するために、国内の特定団体によって意図的に提起されたのではないか。私はかねがね、そう疑っていた。野党は意図的にジョコ・ウィドド政権を「ウイグル人イスラム教徒の苦しみを気にしない政府」として描いている、と思うからだ。


                                    *****

ウイグル人の行進を止めなければならない

 フィリピンとマレーシアのイスラム聖戦士(ジハード)組織も、ウイグル過激派への支援を約束している。

 ジハード組織(主にISIS)は、2017年の一年間、フィリピンのミンダナオ島マラウイ市を襲撃し制圧した。その後、フィリピン軍とテロリストとの長期にわたる戦闘が続いた。軍司令官によると、死んだ戦士のなかには「外国人戦闘員」が数人いるという。インドネシア人もいれば、マレーシア人もいた。ウイグル人についての具体的な確認はなかったが、「その他」がいたことは確かだ。とくに中国からの戦闘員だ。

 この問題について中国マスコミや中国国民は何を発信すべきか。当然ながら、『ヤフー・ニュース』や『グーグル』などのマスコミが流している反中国的プロパガンダの中に、西側発信とは異なる意見を見つけるのは容易ではない。

 早くも2013年に、『中華日報』は、李小双の「新疆についての西側報道には見るべきものはない」と題する記事を掲載した。この記事は、北アメリカとヨーロッパ諸国のマスコミが10年以上にわたって沈黙を守ろうとしてしてきたことを熱を込めて説いていた。

西側マスコミはウイグル分離主義者のプロパガンダ・マシンになった。

  新疆出身者として私は、西側マスコミの誤った報道に憤慨している。世界中のイスラム教徒が断食しているラマダンの月に、新疆ウイグル自治区で何が起きたのかを報道した記事だ。

  たったひとりのウイグル人活動家を唯一の情報源として引用し、その記事は、イスラム教徒がモスクで断食や祈りをすることを中国当局が禁止していると非難していた。と同時に、中国政府がウイグル民族を抑圧しウイグル文化を薄めるために、膨大な数の漢民族を新疆に移しているという偏った論評も掲載していた。

  現地での証言もなく、新疆ウイグル自治区政府からの度重なる釈明も抜きにして、これらの報道機関はどうしてこれほど無責任な報道ができるのか。世界はどうやって真実の全体像を知ることができるのか。

 その記事は私に、27人の死者を出した6月26日の暴動を思い出させる。それは間違いなく虐殺であったが、以前と同じく、いくつかの西側マスコミは、その攻撃が民族紛争の一部であるように描いた。罪のない人々を殺害することで自分たちの宗教を裏切っているテロリストを、西側マスコミは、宗教や政治の自由を求める「英雄」のように描いていた。・・・。

 人民日報の姉妹紙『環球時報(グローバル・タイムズ)』の記者シエ・ウェンティングとバイ・ユニィは、2019年3月20日、非常に緊急性の高い記事を共著で載せた。

  誤解を招く見出し、根拠のない非難、得体の知れないインタビュー、ダブルスタンダード。これらを、新疆ウイグル自治区を報道する西側マスコミで数多く見つけるのは難しいことではない。

  最近、このような報道が急増し、中国政府の活動に関して否定的な内容の言葉を使ったり、不完全な情報を提供したり、読者の感情を刺激したりするなどして、中国の反テロ活動に悪影響を及ぼしている。

 西側ではあまり触れられないが、中国には約2000万人のイスラム教徒が住んでいる。国家宗教管理局(SARA)によると、国内には2100万人以上のイスラム教徒がいる。同じくSARAによると、国内には約3万6000か所のイスラム教礼拝所、4万5000人以上のイマーム(導師)、10校のイスラム学校がある。また中国のイスラム教には興味深い趣きや微妙な違いがある。例えば女性のイマームが指導するモスクがあったり、中国全土でイスラム食(ハラルフード)が手に入ったりする。イスラム食は実際とても人気がある。多くの人々が、少なくとも頭ではイスラム文化に大きな関心を示している。

  私は、2018年に中国の西安を訪問した際、イスラム文化を支援するために中国政府がおこなってきた多大な努力に感銘を受けた。西安は多文化主義の歴史的中心地であり、何世紀も前に伝説的なシルクロードが始まったところだ。イスラム文明、すなわち、その音楽、食べ物、礼拝所、建築は、今や多くの人々を惹きつける最大の磁石となっており、中国全土から何千万人もの人々が訪れている。

  私が見るかぎり、西安に差別がないことは、はっきりしている。私の結論は、新疆訪問を許可された「インドネシアの二つのイスラム大衆運動」の使節団と同じであった。イスラム教徒と彼らの宗教に対する残酷な扱いを中国で見ることはできなかったからだ。

                                   *****

 

 私や中国の専門家たちには、中国国民はもとより中国政府さえも、自国に対する悪質で全く不公正な攻撃、すなわち海外からの攻撃から身を守る方法を知らないように見えることがよくある。

 中国は「平和を望んでいる」。中国は友情を提供している。しかし、それは侮辱され、絶えず攻撃され、屈辱を与えられている。

 事実は明白だ。西側は平和を望んでいない。正義など気にしないのだ。決して気になどしない。ただ支配したいだけなのだ。というのは、中国が好調である限り、西側よりはましだからだ。というのは、中国の政治・社会システムが、世界中とくに発展途上国でますます人気になっている限り、ワシントン、パリ、ロンドン、ベルリンの各政府だけでなく日本政府も、中国政府を攻撃し挑発することをやめないからだ。

 繁栄するためにも、生き残るためにも、中国の龍は戦わなければならない。敗北し、屈辱を受け、征服された中国だけが、西側に「受け入れられる」だろう。中国は、自国を尊重し他国を助けるかぎり、西側から攻撃されて滅多打ちにされる。

 かつて詩人の(1037-1101)は書いた。「近くから見るか、遠くから見るか、横から見るかで、景色が違う」。詩人が言いたかったのは、のなかにいるからといって、の真の姿は見えないということだろう。

 政治についても同じことが言える。中国に住んでいるからといって、外国の敵対勢力がおこなっている反中国攻撃の悪意と決意を完全に理解できるとは限らない。なぜそれがおこなわれているのかを必ずしも認識できない。

 中国に対する攻撃は、経済的、軍事的性格だけではない。宗教が、中国に敵対する勢力の最も強力な武器のひとつなのだ。過激な仏教であれ、福音主義プロテスタントのキリスト教であれ、今のように過激なイスラム教であれ、それらは強力な武器となる。

 中国はあらゆる手段を尽くして自己防衛しなければならない。過激派のウイグル人が行進している。彼らの多くは残酷で非常に危険だ。彼らはすでにさまざまな国で数千人の罪のない人々を殺害してきた。彼らの最終目標は、中国の品位を打ち砕き、その偉大な国際主義的事業を破壊することだ。彼らは固く決意している。資金は潤沢で、完全に利己的だ。彼らの「独立」への欲求は外国勢力によって火がつけられ、その資金も外国勢力から充分に供給されている。

 過激派ウイグル人の計画は単純だ。海外で過激派やテロリストの戦術・戦闘技術を学び尽くし、中国に戻って中国国内で悪夢を拡散・拡大させる、というものだ。

 西側諸国は、死臭ただよう過激派ウイグル人の行進を加速させるために、四六時中「手助け」する。中国の生態学的文明と一帯一路構想(BRI)は、地球上で最も人口の多い国で貧困を撲滅することを目指すものだが、西側の覇権にとっては危険なものと見なされている。少なくともワシントン政府、ロンドン政府、ブリュッセル政府などでは、最大の危険なのだ。

 中国には自衛する権利がある。それどころか中国にとって自己防衛は完全なる義務だ。

 真実を語るのは、世界中の思想家の義務である。沈黙を守っていたり、お金や特権のために自分の尊厳を売り渡すなら、彼らは将来の世代から非難されることになるだろう。しかし哀しいことに、西側諸国では多くの思想家が今そうしているのだ。

 

 

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者、調査ジャーナリスト。『ヴルチェクの、言葉とイメージにおける世界』の著者であり、『中国と生態学的文明』を含む多数の本を執筆した作家でもある。とくにオンライン雑誌『ニュー・イースタン・アウトルック』の常連寄稿者である。

 

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