fc2ブログ

フョードル・ルキャノフ:ジョージアの第2弾オレンジ革命。西側諸国にはまだ「カラー革命」を起こせる力は残っているのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Fyodor Lukyanov: Can the West still engineer a ‘color revolution’? We’re about to find out
ジョージア(旧称グルジア)は一時的な騒乱に見舞われているが、今回は2003年時の騒乱とは異なり、米国とEUは、今回はより困難な状況に直面するかもしれない。
筆者:ヒョードル・ルキアノフ(Fyodor Lukyanov)
ロシア・グローバル情勢編集長、外交防衛政策評議会幹部会議長、ヴァルダイ国際討論クラブ研究部長
出典:RT 2024年12月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月12日


2988-1.jpg
2024年11月29日、ジョージアのトビリシでジョージア、ウクライナ、EUの旗を振っている抗議者。© Davit Kachkachishvili/Anadolu via Getty Images


私たちが定義する「カラー革命」とは、外部勢力からの政治的、外交的、および財政的支援に支えられた、公式選挙結果の拒否をきっかけに起こる大衆蜂起のことである。この視点が初めて根付いたのは、2000年のセルビアでのスロボダン・ミロシェビッチの打倒劇だった。そしてこのことば自体が生まれたのは、その3年後のジョージアであり、ミハイル・サアカシビリ率いる抗議者らがバラを革命のシンボルとして採用したときのことだった。また同じ3年後のウクライナの2004年のオレンジ革命では、シンボルとされる色がオレンジに変わった。

10年前、カラー革命は頂点を迎えたように見えた。特にその様子があらわになったのは、ウクライナのユーロマイダン広場での流血事件であり、その後ウクライナは長引く一連の武力紛争に突入することになった。この事件と比べれば、これ以前におこっていた蜂起は比較的おとなしく見えるほど激しいカラー革命だった。その後、この現象は衰退したように見えたが、2018年にアルメニアで再び現れた。ただし、この動きは外部からの影響というよりはむしろ、アルメニア国内の変化を受けたものだった。いっぽう、ベラルーシでの2020年の革命は当局の厳しい抵抗とロシア側からの明確な警告に直面したせいで、カラー革命は超えてはいけない線である、と捉えられていた。

しかし、ジョージアの現在の状況は、親欧米派の野党による大規模な抗議活動があり、過去とは劇的に異なるものの、新たな大規模抗議活動が発生する可能性を示唆している。与党の「ジョージアの夢」党は、政治的な西側諸国、特に米国やEUとの激しい対立に陥っている。ジョージア政府が西側の友好諸国に対してこれほど断固とした態度を取るのは驚きだが、他に選択肢はない。歴史が示していることだが、米国主導のこの連合は、自国の利益がかかっている場合、中途半端な対応を許さない。

「ジョージアの夢」党が戦略を推進するために持っている重要な3つの計算

「ジョージアの夢」党の創設者ビジナ・イヴァニシヴィリ氏と彼の政党は、3つの主要な計算に基づいて戦略を立てている。

・その1。西欧諸国と米国はジョージアが位置する南コーカサス地方よりもはるかに重要な問題に気をとられており、過去の革命のときと同程度の政治的、物質的資源をジョージアに投入する可能性は低いだろう。現在の国際情勢では、ジョージアの問題は優先事項になっていない、と見ていいだろう。

2988-2.jpg
関連記事:Kremlin compares Georgia protests to Maidan coup

・その2。当時とは状況が変わっている。2003年にバラ革命が勃発したとき、ジョージアは悲惨な状況にあった。当時のエドゥアルド・シェワルナゼ大統領率いる政府は極めて不人気で、国は混乱していた。現在、ジョージアは比較的安定し、経済成長を享受している。課題は依然として残っているものの、真の繁栄を取るか、西側主導の変化というつかの間の不確実な約束を取るかの選択において、世論は前者を支持する方向に傾くだろう。

・その3、ジョージアで今政権交代が起きれば、ほぼ間違いなく混乱を招くだろう。この地域の国々の経験から、妥協や外部からの圧力に屈することは政権の崩壊につながることが分かっている。イヴァニシビリ氏による戦略は明確だ。すなわち、西側の影響への抵抗、である。西側の影響に屈することは、他国にとって悲惨な結果をもたらすことが証明されているからだ。

現状における危険性と見通される展開

しかし、ジョージア当局のこの計算は間違っている可能性もある。ジョージアで起きている出来事の重要性は、今や国境外にも拡がっている。ウクライナをめぐる緊張の高まりや米国で政権交代が起こったことを考えると、特にそうだ。西側諸国には、親ロシア派とみなす勢力を弱体化させたいという願望があるため、ジョージアは象徴的な戦場となっており、ジョージアが反抗的とみなされる行為を取れば、その対策は厳しくなる。「ジョージアの夢」が決して親ロシア派ではなく、単に中立的な立場を維持しようとしているという事実は、状況を変えるものではない。

ジョージア当局がEU加盟交渉を凍結するという決定は大胆な動きであり、西側諸国の要求に挑む意志を示すものだ。EUは加盟申請国に影響を与える能力を有していることを誇りとしており、今回ジョージアが見せた躊躇のようないかなる挫折も政策の失敗とみなしている。西側の顧客とみなされる国々は今や宣誓しなければならない。そして西側と共通の道を歩むことを望まないことは反逆罪とみなされる。

2988-3.png
関連記事:WATCH Pro-EU protesters use ‘fireworks mini-gun’ in Tbilisi

この状況は、政府の姿勢に対する国民の支持の程度について疑問を投げかけている。ジョージア国民は、欧州統合の問題で長い間分裂している。現政府の立場は、特に西側諸国の影響が逆効果であると考える一部の人々の共感を呼んでいるが、いっぽうでEU加盟へのより明確な道筋を求める人々もいる。

この国の今後は?

野党にとって、この混乱は国民の不満を利用し、抗議運動を巻き起こす好機である。与党と野党双方にとっての重要な課題は、暴力の可能性を抑制することにある。カラー革命は常に、緊張を高め、政府を独裁主義的だと決めつける力に依存してきた。いっぽう、当局は、挑発を避けつつ外部からの圧力に断固として対抗するという微妙な均衡を保たなければならない。

「ヨーロッパの一員となる未来」はジョージア国民の間で人気のある構想であり、「ジョージアの夢」党支持者の大多数もこの願望を共有している。同党自体、ヨーロッパ統合の目標に固く参画しているが、そこには独自の条件がある。野党は、「政府はヨーロッパの一員になる道を阻んで」おり、そうなればジョージア政府がロシアの影響圏に戻ることになる、と主張している。唯一の問題は、この主張がどれだけ粘り強く、情熱的に繰り返されるかということにある。

ジョージアの国家主権の将来

かつて「民主主義への願望の象徴」とされていたカラー革命は、「地政学的策略の鈍器」として利用される危険な道具と化している。これらの外部勢力が依然としてこの地域の政府を効果的に不安定化させることができるかどうかは、まだ分からない。

(様々な形をとっている)民主主義の推進に意味があったのは、社会政治的進歩という西洋の考えが唯一の基本的な選択肢とみなされているという条件のもとでのことだった。現在、世界秩序が大きく変化する中、西洋の影響力が無双状態だった時代は終わり、新しい地政学的体制の中での地位をめぐる激しい闘争がそれに取って代わった。「カラー革命」という言葉は、「民衆による民主的蜂起の象徴」から、「西洋が影響力を行使するために使用する政治工作の道具」へと進化した。今、問題は、これらのカラー革命がジョージアのような国を不安定にする力をまだ持っているのか、それとも対象の国家がこれらの圧力に抵抗し、新しい世界秩序の中で主権を確保できるのか、ということにある。

この記事の初出はProfile紙。RT編集部により翻訳・編集。

ジョージア(旧称グルジア)での抗議活動は第二のマイダン革命か?

<記事原文 寺島先生推薦>
Kremlin compares Georgia protests to Maidan coup
ドミトリー・ペスコフ報道官は、旧ソ連共和国で「オレンジ革命」が起ころうとしている、と主張
出典:RT 2024年12月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月11日


2989-1.jpg
ジョージアのトビリシにある国会議事堂の外で、機動隊に向けて花火を打ち上げる抗議者 © Getty Images / Jay Kogler ; SOPA Images; LightRocket


ジョージアで現在起きている反政府抗議行動は、2014年に西側が支援したウクライナのマイダン武力政変に匹敵し、「オレンジ革命」の試みのあらゆる兆候を示している、とクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は月曜日(12月2日)、記者団に語った。

ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相がEU加盟交渉を2028年まで凍結すると発表したことを受けて、ジョージア政府は木曜(11月28日)以来、反政府・親EU派の抗議活動に揺れている。同首相は、この決定の理由として、EU当局によるジョージアの国内政治に対する「絶え間ない脅迫と巧妙な操作」を挙げた。

デモ参加者はその後も繰り返し警察と衝突し、花火を打ち上げ、機動隊に火炎瓶を投げつけている。機動隊はデモ参加者を解散させるために催涙ガスや放水砲を使用している。報道によれば、250人以上が逮捕された、という。

ペスコフ報道官はジョージアでの出来事について、「状況を不安定化させようとする明らかな試みがある」とし、近年「多くの国」で同様の出来事が起きている、と述べた。

「最も直接的な類似点はウクライナのマイダン事件です」とペスコフ報道官は述べた。これは2014年に西側が支援したキエフでの武力政変を指しており、この武力政変によりウクライナで民主的に選出された大統領が追放され、ロシアとウクライナの現在の紛争が引き起こされた。ペスコフ報道官はさらに、ジョージアの反政府デモには「『オレンジ革命』を遂行しようとする試みのあらゆる兆候があります」とも付け加えた。

しかし、同報道官は「ジョージアで起きることはすべてジョージアの内政問題です」と強調した。そして、同国の当局が状況を安定させる措置を講じている限り、ロシア政府は干渉しない、と述べた。

2989-2.jpg
関連記事:Georgian police arrest over 100 at pro-Western protest (VIDEOS)

コバヒゼ首相は、この集会を「国の憲法秩序に対する攻撃」と激しく非難し、市民の騒乱は「EUの政治家とその代理人」のせいだと主張した。さらに、西側諸国が、米国が支援したウクライナのマイダン革命と同様の武力政変を画策している、と非難した。

コバヒゼ首相は「2013年のウクライナとは異なり、ジョージアは強力な制度と、何よりも経験豊富で賢明な国民を持つ独立国家です。マイダンでの展開はジョージアでは実現できません。ジョージアは主権国家であり、こんなことを許すつもりはありません」と主張している。

いっぽう、米国はジョージアがEU加盟交渉を凍結した決定に対し、同国との戦略的友好関係を停止し、この動きを「ジョージア憲法への裏切り」だとして非難した。

EUのカヤ・カラス外務政策担当長官も、抗議活動家に対する弾圧を理由にジョージア側に対する制裁を検討していると述べた。

「西欧による世界支配の500年は終わった」とハンガリー首相オルバーン氏

<記事原文 寺島先生推薦>
West’s 500-year hegemony is over – Orban
ハンガリー首相によると、世界の支配的な中心はユーラシアに移りつつある。
出典:RT 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月29日


2956-1.jpg
ファイル写真:ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相。© Luka Dakskobler / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相は、500年にわたる西欧の世界覇権は終わり、未来はユーラシア大陸のものになると述べた。

「全世界は西欧モデルで組織されるべきであり」、各国は「経済的・財政的利益と引き換えに」喜んでそれに参加するという考えは破綻した、とブダペストでのユーラシア・フォーラムでオルバーンは木曜日(11月21日)に述べた。

オルバーン首相は、西欧世界は東側からの挑戦を受けていると宣言し、「次の時代はユーラシアの世紀になるだろう」と付け加えた。

「500年にわたる西欧の文明支配は終焉を迎えた」とオルバーンは語った。

オルバーン首相によれば、アジア諸国は強くなり、「経済的、政治的パワーの独立した中心地として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。現在、アジア諸国は人口的にも技術的にも欧米諸国より優位に立っている、と彼は主張した。

その結果、世界経済の中心は東洋に移り、東洋では西欧の4倍のスピードで経済が成長している、とオルバーンは言う。「西欧産業の付加価値は世界の40%を占め、東洋産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実だ 」。

2956-2.jpg
関連記事:Western liberalism has ‘degenerated’ – Putin

アジアが世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合も70%に達している一方で、EUは現実の変化の中で「第一の敗者」として浮上したとオルバーンは言う。また、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、西欧は自らの環境の中で「窒息」していると主張した。

「西欧の指導者たちが、自分たちが最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も豊かであるという優越感に慣れ親しんでいる感覚を捨てることは、当然ながら難しい」とオルバーンは述べた。

オルバーン首相によれば、西側のエリートたちは「過去の栄光」を守ることにやっきとなって目の前の課題に向き合おうとしない、それはやがて経済的・政治的閉塞につながるという。

ロシアのプーチン大統領も、人類は覇権主義から多極化に向かっていると繰り返し述べている。西欧のエリートたちが世界中の他の国や他の民族を搾取できる時代は終わりに近づいているとプーチンは今月初め述べた。

ソチで開催されたバルダイ・フォーラムで演説したプーチン大統領は、植民地時代と同じように世界を支配することに慣れてしまった「古い覇権主義者」たちは、もはや自分たちの話にだれも耳を傾けてくれないことを理解していると述べた。プーチンはまた、西欧諸国が自国の例外性を信じていることは、「世界的な悲劇を招く」可能性があると警告した。

プーチンは核兵器についてハッタリを言っていない―セルビアのヴチッチ大統領

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin not bluffing about nuclear weapons – Serbia’s Vucic
バルカン半島のセルビア大統領は、欧米の指導者たちに熱い警告を発した。
出典:RT 2024年11月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月28日


2957-1.jpg
ファイル写真:セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領。© Getty Images/Gokhan Balci/Anadolu Agency

セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチンが、モスクワのレッドラインを越え続ければ核兵器を使用すると発言するのは本気だと警告した。また、プーチンの警告を無視するのは「頭のおかしい人」か、プーチンをよく知らない人だけだと付け加えた。

セルビアのニュースメディア「ノーボスチ」によると、ヴチッチは月曜日(11月18日)、記者団に対し、「西側の兵站や武器を使ってロシア領内のあらゆるものを攻撃してもそれに対する反応などはないし、プーチンが必要と考える武器でもそれを使うことはないと思う人間は彼を知らないか、異常なのだ」と語ったという。

ヴチッチは、ウクライナ紛争の停戦交渉に誰も応じようとしないことから、地球は破局の瀬戸際にあると警告した。「世界は破局に近づいている。誰も耳を貸さない。誰も平和について話さない。「今日は大陸間ミサイル(原文ママ)が飛んでくることが話題になっているが、明日の話は別になる」。

1999年にNATOによる大規模な空爆作戦の対象となったセルビア大統領は、11月19日にプーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新に言及した。この原則は、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を、直接的な核侵略と同等に扱うことを認めるものだ。

2957-2.jpg
関連記事:Russia’s new nuclear doctrine (KEY POINTS)

また、プーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新には、核兵器配備の範囲を拡大し、ロシアやその同盟国ベラルーシの主権や領土保全を危険にさらす可能性のある通常型の軍事的脅威もその中に含まれている。

ヴチッチ大統領は、プーチン大統領は核兵器を最後の手段と考えているとしながらも、ロシアの安全が直接脅かされるような事態になれば、大統領は行動すると強調した。「モスクワの安全保障や軍隊が危険にさらされ、他に方法がなければ、大統領は核兵器を使うだろう」と述べ、セルビアはそのような紛争に巻き込まれることは避けるが、「標的は我々の周囲になるだろう」と警告した。

モスクワは一貫して、西側諸国がキエフに長距離ミサイルを供給することでウクライナ紛争を激化拡大させていると非難してきた。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は最近、このような行動を、戦争を長引かせ、ウクライナをより広範なロシアとの紛争の代理人として利用することを目的とした「新たな戦争拡大」と呼んだ。

オタワ大学カチャノフスキー教授の研究「キエフのクーデター2014」が英国の出版社から検閲を受けている。

<記事原文 寺島先生推薦>
Top Ukrainian academic claims British publisher censoring truth
カナダ在住の同教授は、ラウトレッジ誌が西側諸国の支持している陰謀論を新著に盛り込むよう要求している、と発言
出典:RT 2024年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月27日


2966-1.jpg
イワン・カチャノフスキー。YouTube / @IvanKatchanovskiPhD

ウクライナ問題に関する著名な学者が、英国の著名な出版社ラウトレッジ社が彼の新著を検閲しようとしていると非難し、同社がロシア・ウクライナ紛争の分析に「代替」の視点を含めるよう要求している、と主張している。

ウクライナ西部出身のオタワ大学教授イヴァン・カチャノフスキー氏は、キエフのいわゆるマイダン・クーデターをめぐる通説を科学的に暴露したことや、マイダン後のキエフの親欧米政権に対する批判的な姿勢で知られている。

カチャノフスキー氏は木曜日(11月14日)の一連のX投稿で、自身の著書「マイダンからロシア・ウクライナ戦争まで」の出版契約を結んでいるラウトレッジ社が、西側諸国が支援する陰謀説を盛り込むよう原稿を改訂しない限り出版を拒否している、と主張した。

同氏は特に、ノルドストリームの爆撃や2022年の和平交渉の阻止など、米国と英国によって妨害されたとカチャノフスキー氏が言う論争の的となっている問題について「代替情報源」を反映するよう出版社が要請したことに言及した。

カチャノフスキー氏は次のように書いている。「ラウトレッジ社は、私が原稿全体を改訂し、ロシア・ウクライナ戦争や和平協定、ノルドストリームの爆撃、そしてマイダン虐殺を含む私が調査した他のすべての問題に関して、別の視点や代替情報源を使用しない限り、私の本を出版することはできないと述べている」と。彼は、この要求は政治的動機によるものであり、事実に基づいた彼の調査結果を発表することを妨げている、と主張している。


同教授によると、彼の著書は複数の専門家から支持を集めている、という。匿名の査読者の一人は、この本が「比類のない幅広い実証的根拠」を持ち、ロシア・ウクライナ紛争の研究に「重要な貢献」をしている、と評した。別の査読者は、カチャノフスキー氏の研究は「批判に耐え」、学界で高く評価される、と述べた。

同教授は、2014年のマイダン狙撃事件の分析を含む証拠に基づく研究で名声を築いた。同教授は、法医学動画分析を用いて、この事件は当時のウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコビッチの追放を正当化するために使われた偽旗作戦だった、と主張している。西側諸国の公式見解と矛盾するこの理論は、最初に提唱されたときにはマイダン支持派から批判を受けたが、カチャノフスキー教授の理論は学者や専門家に引用され続けている。

2966-2.jpg
関連記事:Officials hiding truth from Zelensky – Economist

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社の要求に合わせて原稿を修正するか、契約を完全に取り消すかの選択を迫られている、という。同氏は「学問的欺瞞」を犯すことを拒否し、「私は自分の本を、どんな政府や報道機関であってもそこで宣伝された政治的に都合の良い言説や情報源に基づいて書くことはできない」と述べている。

大手学術出版社ラウトレッジ社は、カチャノフスキー氏の主張についてまだ声明を出していない。同出版社は人文科学や社会科学の書籍で知られているが、近年は政治的圧力に屈している、と非難されている。

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社が出版を阻止し続けるなら別の出版社を探すかもしれないことを示唆しているが、そうなるとこの著作の出版が最大1年遅れる可能性がある。

フランス大統領マクロンによる、政敵ルペン女史の露骨な排除作戦!

<記事原文 寺島先生推薦>
French prosecutor wants Le Pen jailed for five years
極右派の国民連合の元リーダーは、この事件は政治的動機によるものだとして、横領の主張を否定した。
出典:RT 2024年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月23日


2910-1.jpg
パリの裁判所に到着したフランス国民連合(RN)のマリーヌ・ル・ペン議員© ゲッティイメージズ/ チェスノ


フランスの検察当局は、横領事件でマリーヌ・ル・ペン元国民連合党首に懲役5年と公職への立候補禁止を命じるよう裁判官に求めた。

ルペン氏と右派の国民連合の現職および元職の議員24人は、2004年から2016年にかけて、欧州議会の補佐官への支払いに充てられるはずだった300万ユーロ(約4億8千万円)を党内の業務に充て、EU法に違反したとして告発されている。被告らは全員、いかなる不正行為も否定している。

水曜日(11月13日)のパリでの審理で、検察は、ルペン氏は、疑惑の違反行為の一部が行われた当時、欧州議会議員であり国民連合の党首でもあったため、最も厳しい処罰を受けるべきだと主張した。同氏は、2011年から2021年まで、以前は国民戦線と呼ばれていた同党を率いており、現在も党員である。

検察当局は、ルペン氏の刑期のうち3年は執行猶予となり、残りの2年は電子ブレスレットの装着で執行される可能性があると述べた。また、検察当局はルペン氏に30万ユーロ(約4800万円)の罰金を求めた。

2910-2.jpg
関連記事:Le Pen stands trial over EU money

検察側は、弁護側が判決を控訴する前に、5年間の立候補禁止を直ちに実施すべきだとした。つまり、有罪判決が出れば、ルペン氏は2027年の大統領選挙に出馬できなくなる。9月下旬に始まった公判で、同氏は3度目の大統領選に出馬する計画を発表していた。

「検察が唯一望んでいたのはマリーヌ・ル・ペンの政治生命を排除することだったのは明らかです」とル・ペン氏は公聴会後に記者団に語った。

この事件の被告ではない国民連合のジョーダン・バルデラ党首は、Xへの投稿で、検察が「民主主義への攻撃」をおこなっていると非難し、「マリーヌ・ル・ペン氏を迫害し、復讐しようとしている」と記した。

検察はまた、国民連合に200万ユーロ(約3億2千万円)の罰金を科し、他の容疑者全員に1年から5年間の公職への立候補禁止を課すよう求めた。

弁護側は、11月27日の裁判終了まで裁判官に主張を述べる予定。判決は2025年初頭に下されると予想されている。

関連記事:UK and France to push Biden to escalate Ukraine conflict – Telegraph

2022年の選挙では、ルペン氏は第2回投票でエマニュエル・マクロン大統領に58.55%対41.45%で敗れた。

支配階級に異議を唱えたせいで、ドイツのフュルミッヒ博士と同じ運命を辿った人物がいる!

<記事原文 寺島先生推薦>
Lights out for the city on the hill
出典:Strategic Culture Foundation 2024年10月20日
筆者:ステファン・カルガノビッチ(Stephen Karganovic)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月15日


2868-1.png


多くの人がその存在を騙されて信じてきた、高みから人類を照らす有名な「丘の上の都市*」がいまや風前の灯となりその存存がほぼ確認できなくなってしまった。
*丘の上の都市・・・故レーガン大統領がよく使った表現で、米国民が帰るべき場所を表す

2つの勢力に別れて争いが繰り広げられていた冷戦期の数十年間をとおして、西側にとって力強く優位に働く2つの大きな要素があった。1つ目は西側各国政府が自国民に与えることのできる快適さと繁栄であった。その点に関しては、対抗していた東側諸国はほぼ手も足もでなかった。世界から見て西側が有していた強力な競争力のある2つ目の特徴は、個人の自由を守るという点において、西側の政府機関は比較的ましな動きを見せていたことだった。

西側の繁栄と「西側は自由を尊重している」という印象が相まったおかげで、資本主義の社会体制や経済体制に対する批判的な指摘のほとんどを抑え込むことができた。見せかけであるとはいえ、西側各国政府が見せていた個人の自由に対する関与は、大きな牽引力を発揮した。政治的な武器として、この要素は西側の目的達成に効果的に作用した。法の支配や個人の権利の尊重の遵守が西側のもつ際立った特徴であると見られている限り、西側社会は対立していた東側諸国の体制とは違う、社会から求められている体制を取っている、と考えられていた。いっぽう競合していた東側社会においては、法に則った厳格な措置は通常とられず、恣意性が幅を利かせないようにする努力はほとんど見られなかった。

そのような状況が続いたのは、大雑把に言えば、1990年代までのことだった。1990年代になると、西側勢力は世界規模の覇権を手にすることに成功し、それまでの敵勢力に対して勝利を収めた、と広く考えられるようになった。それ以来、西側世界全体においては、それまで西側社会の人々にもたらされてきたささやかな快適さと安全という社会的利益が解体されつつある。これまで何十年ものあいだ西側社会の市民たちが享受してきた、「法により守られている」という実感も同様に、はかない存在になり始めつつある。不法な迫害や権力に対する脆弱性は、西側以外の地域では普通に見られる現象だが、西側社会においては長らく存在せず、西側世界の市民たちからはそのような行為があった記憶はなくなっていた。しかし、そのような状況がこれまでの復讐でもするかのように再来し始めたのだ。国内においても国外においても、「法の支配」が急速に認識不能な戯画と化してしまったのだ。そしてその変化を表すことばが、冗談のように聞こえる「ルールに基づく秩序」ということばなのだ。

内部から反発の声もほとんど上がらず、人々に気づかれることさえもないまま、西側連合の中心諸国は、固有の人権や、市民を守るために樹立された法律上の原則をどう判断するかという点に関して、恣意的な判断が取られるようになってしまった。この変節は、歴史的観点から見れば電光石火の速さで生じたのだが、無慈悲で欺瞞に満ちた政治的陰謀団が推し進めたものだった。そしてこれらの陰謀団は影から世の中の流れを指揮している。さらにこの変節は司法界の共謀により実行されたのだ。司法界は完全に腐敗しており、職務上の義務を果たすことに億劫な態度をとっているからだ。

法が果たすべき機能が停止すれば、たいていその後もっと悪いことがおこるものだ。そしてそれはほとんどすべて、非常に悪質な権力濫用の事例の増加、という形をとる。それは、かつて自由を羨望されていた西側諸国の新たな情勢の、不安を抱かせるが決して孤立した例ではない例で説明できる。読者は、「彼らは我々の自由を憎んでいる」という有名な一節を思い出すだろう。2001年になされたこの誤った主張は、自由の大義を前進させることに何の役にも立たなかったばかりか、破壊と大量虐殺の狂乱を引き起こす元となった。

法秩序の崩壊を顕著に表すのが、ドイツ系アメリカ人弁護士ライナー・フュルミッヒ博士が横領の罪をでっち上げられ、ドイツで不法に拘束され投獄された事件だ。ドイツの司法制度はこのおぞましい茶番に完全に加担している。ディープ・ステート(影の政府)の陰謀団がフュルミッヒ博士を激しく憎んでいるのには、多くの確固たる理由がある。フュルミッヒ博士は、2020年に社会統制の実験が勢いを増していたまさにそのときに、大胆にもコロナパンデミック研究委員会を設立し、この実験を妨害しようとした人物だった。同委員会はフュルミッヒ博士の先導のもと、 偽りの医療緊急事態を画策した者たちの卑劣な動機と殺人目的を暴露する、という素晴らしい仕事をした。それは影の政府にとって大きな打撃だったが、ほぼ完全な情報封鎖の状況下で首尾よく遂行されただけになおさら大きな打撃となった。フュルミッヒ博士には究極の、そしておそらく野心的すぎる、世間知らずとも捉えられるべき目標があった。それは、ニュルンベルク医療綱領を盾にして、この実験の犯人を裁こう、というものだった。残念ながらこの目標は達成されなかった。しかし、同博士のこのような考え方に対してだけでも、彼が起訴しようとしていた人々は激怒したに違いない。

「この計画は長い間計画されてきた。この計画の先駆者となったのは、最終的には失敗した約12年前の豚インフルエンザであり、人々を憎み恐れ、共感力がなく、私たち世界の人々を完全に支配したいという欲望に突き動かされている、超金持ちの精神異常者および社会異常者からなる一団によってでっち上げられたものだ」とフュルミッヒ博士は委員会の調査結果を要約した。

しかし、その精神異常者たちが痛快な復讐を果たす時が来た。そして、彼らはたまたま権力機構を支配していたため、その作戦はさほど困難ではなかった。11か月前、フュルミッヒ博士は、治安機関によってコロナ委員会に潜入していた可能性のある元同僚による、彼が組織の資産を私的利益のために不正使用したという虚偽の申し立てにより、ドイツで投獄された。ドイツの法律ではこの罪は軽犯罪であるにも関わらず、この容疑により同博士は前例のない長期の公判前拘禁を強いられ、現在400日以上投獄されている。まるで、イラクではなくドイツにおけるアブグレイブ刑務所のような話だ。同博士の拘禁状況の衝撃的な描写については、ここを参照。また、現在進行中の裁判自体の不名誉な手続き上の欠陥については、ここを参照。この訴訟手続きは、これまで流布されてきた法治国家(Rechtsstaat)というイメージとは相容れない状況を作り出している。なおそのイメージは、ドイツや「法治国家」であると思われてきた残りの西側諸国の政権によって誤解を招く形で醸成されてきたものなのだが。

フュルミッヒ博士に対する無法な迫害は、実際のところは、COVID「パンデミック」の不正な性質と不吉な背景を明らかにし、文書化することで、注目すべき公共奉仕活動をおこなった、という「罪」によるものである。しかし、この迫害は、自らを法の擁護者と称する社会における法の支配の崩壊の氷山の一角にすぎない。合法性の崩壊とそれが市民の基本的自由に及ぼす悲惨な影響は、説明責任を取る気のない権力の要求に対して市民をまったく無防備にしていることを、さらなる例で説明することができる。

アイルランドでは、多様な性を尊重せよという命令に屈することを拒むキリスト教徒のバーク一家全員が、報復的な迫害の標的となっている。息子の一人、学校教師のエノクさんは、ドイツのフュルミッヒ博士のように、これまで400日以上を独房監禁で過ごしている。彼の「罪」は、かつてキリスト教とカトリックの国であったアイルランドで、生物学的性別とは異なる性別を主張する生徒の一人が好む代名詞の使用を拒否したことにあった。エノク・バークさんは、多様な性の自認という茶番劇に同意することは彼の宗教的信条に反すると考えているため、法律違反者とされたのだ。実際、エノク・バークさんは、迫害者たちの圧力により、2+2= 5であるかのような虚偽の自白をすることで、職業教育者として、また自由な人間として自らを貶めることを拒んだために罰せられているのだ。良心に基づいて抱いてきた信念を撤回すること以外に、明らかに狂気に陥っているアイルランドの法務・教育当局を満足させる方法はないだろう。そのため、エノクさんは アイルランドの刑務所に収監されたままだが、当局の狂気の要求に服従する合図さえ出せば、即時釈放が保証されている。当局が見せるこの狂気の全体像に関する考察ついては、ここを参照。

エノクさんの弟シメオンさんは、法律学を優秀な成績で修了しているが、アイルランド弁護士会への登録を剥奪されている。その理由はまだ完全には明らかにされていないが、シメオンさんがもつ兄と同じ堅固な宗教的世界観と関係しているようだ。現代のアイルランドでは、このような資質は専門家としての資格を失うことを意味するようだ。さらに、エノクさんとシメオンさんの父エノク・バーク・シニアさんも、アイルランドの郵便車両にLGBTの象徴が描かれていることに反対したため処罰されている。そのため、バークさんは納税者でありながら、今後は郵便物は自宅住所には配達されず、受け取りたい場合は地元の郵便局にいかなければならないと、通知された。

フュルミッヒ事件と同様に、バーク一家に下された集団的かつ警告的な懲罰は、可能な限り世間の目に触れないようにされている。政治家や宗教関係者でさえ、この件について立場を表明したり発言したりすることを拒否しており、統制された報道機関は、この問題について議論することを慎重に避けている。

文明の衰退という複雑な図についてまとめるためではなく、ただ単にもう一つの不吉な詳細を付け加えることにしかならないのだが、ジョージ・オーウェルの小説に描かれた思想犯罪制度は、かつては単なる文学的架空話に過ぎないと考えられていたが、現在そんな制度が英国の法律に定められているようだ。その法律は今のところは試験的な取り組みに過ぎないが、今後さらに恐ろしい事態が起こる前兆かもしれない。具体的な話をすると、英国の「中絶クリニック」の周囲に指定された立ち入り禁止区域内で、祈るという行為が禁止された件だ。罪に問われたこの祈りは、おそらくこれらの施設で受けた医療処置が原因でこの世を去った子どもたちの魂のためになされたものであろう。このような許可されていない宗教儀式を個人的におこなうことは、「クリニック」の従業員とその顧客に「嫌がらせや苦痛」を引き起こす可能性があるため、現在禁止されている。そして不吉なことに、内務省によると、「法律違反で有罪となった者は、無制限の罰金に直面する」とのことである。このような期限のない罰則制度について、欧州人権裁判所が何も抗議しないのだろうか、と疑問に思う。文明社会の法律でこのような法律が存在した歴史はあっただろうか?

もちろん単に「命令に従っている」だけの思想警察と、精神的に「法律」に違反していると疑われる市民とのやりとりは、自由と人間としての尊厳を大切にする全ての人々のためにここで確認することができる。

英国のひどい司法制度(そのことを疑う方はここも参照)は、思想犯罪者に対する初の有罪訴追を誇ることができるようになった。英国陸軍の退役軍人アダム・スミス=コナーさんは最近、中絶「クリニック」の緩衝地帯内で中絶によって死んだ息子のために静かに祈った罪で有罪となった。その罪で彼は条件付きの懲役2年の判決を受け、彼を起訴するために国王の裁判所が要した費用と手間に対する罰金9000ポンドを科せられた。裁判所は依然として内務省が定める「無制限の罰金」を科していないが、スミス=コナーさんのように家族を養わなければならない退職者にとっては、おそらくそれでさえ相当な金額である。

なお、スミス=コナーさんは英国における中絶関連の思想犯罪による嫌がらせを受けた唯一の被害者ではない。また、記録のために言っておくと、ここで問題とされていることは、新型コロナウイルスやトランスジェンダー、中絶に対する個人の立場ではない。ここで引用したすべての事例、そして数え切れないほど多くの同様の事例の中心的な問題は、西側諸国全体で法秩序が明らかに崩壊していることを示すものである。この状況により、非難されている行為とはまったく釣り合いが取れないほど厳しい刑罰を平和的な市民に課すことが可能になる。刑罰の厳しさはどこまで及ぶのだろうか? あるいは、英国内務省が公の場で胎児のために静かに祈る人々に課す用意のある金銭評価の脅しと同じくらい「無制限」の厳しさになる可能性があるのだろうか?

多くの人々が、高所から人類を照らしていると騙されて信じてきた有名な「丘の上の都市」は、今や寂しく、ほとんど人が住んでいない。その光は次第に暗くなり、そこでの生活はますます耐え難いものになっている。騙された住民と熱烈な崇拝者は、四方八方に散り散りになっている。そんな中で、非常に明るく、人を惹きつける新しい都市が別の場所に建設され、その建築家たちが間もなくカザンで一堂に会する、という噂が広まっている。

ヨーロッパ腐敗の極み:EC委員長フォン・デア・ライエンと、マッキンゼー社&ファイザー社との癒着

<記事原文 寺島先生推薦>
Utmost European Corruption: Madame Von der Leyen – McKinsey and Pfizer
筆者:ピーター・ケーニヒ(Peter Koenig)
出典:Global Research 2024年10月18日(初出:2023年4月23日)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月3日


2873-1.jpg


***
一見したところ、ウルスラ・フォン・デア・ライエンマッキンゼー社ファイザー社に何の共通点があるのか疑問に思うかもれない。答えは「腐敗」である。極度の腐敗だ。選挙で選ばれていない欧州委員会(EC)委員長であるフォン・デア・ライエン夫人は、いくつかの汚職スキャンダルを抱えている。

最近、フォン・デア・ライエン夫人の息子のデビッドが、米国を拠点とする巨大経営コンサルティング会社マッキンゼー社で「夏のインターン」をしていたことが明らかになった。デビッドのマッキンゼー社での責任に関する記録は意図的にあやふやにされているが、彼の雇用は 「夏のインターン」以上のものだったようだ。コンサルティングチームを担当し、マッキンゼー社で3年以上働いていたのだ。

2019年に彼がマッキンゼー社を退社したのが、彼の母親が欧州委員会(EC)の委員長に任命(選挙ではなく)される直前だったのは偶然だろうか?

偶然なんかでないことははっきりしている。

もしかしたら、デビッドは将来の欧州委員会委員長(彼の母親)がマッキンゼー社の上層部と簡単に連絡が取れる道を整えていたのだろうか?

詳細は以下。
*
まずは、すでに情報通の間ではかなり知られているスキャンダルから説明しよう。ウルスラ・フォン・デア・ライエンがファイザー社と直接交渉し、9億回分のファイザー社のワクチンを購入した。さらに9億回分のオプションもあり、合計18億回分となる。繰り返す。聞き間違いだと思った方のために念のため言っておくが、悪評高いファイザー社のmRNA遺伝子改変ワクチン18億回分だ。そう、人口約4億5000万人分だ。これはEU(欧州連合)の人口一人当たり4回分に相当する。

こうした「交渉」は、フォン・デア・ライエンとファイザーのCEOアルバート・ブーラの間で交わされた交渉文書が発見された2021年には継続していた。その文書公開をECに強く求める動きは、にべもなく無視された。

これは18億回分のワクチン接種契約の締結に先立って起こったことである。これは明らかにEUの競争ルール、すなわち競争入札に対する違反である。契約は2021年5月に締結された。EUの国際競争入札ルールに完全に違反している。それとは別に、EU市民1人あたり4回の接種がどのように正当化されたのか?

この狂気じみた契約の総額はいくらになるのだろうか?

ウルスラ・フォン・デア・ライエン:「ミセス・ワクチン45億回分」

最近の動きでは、フォン・デア・ライエンはファイザー社との新たな大型契約の交渉に関わっている。(https://www.globalresearch.ca/the-pfizer-big-money-maker-have-a-look-at-their-report/5807009)

「各ワクチンの価格は、汚職で知られる欧州委員会委員長ウルスラ・フォン・
デア・ライエンと直接交渉された。

ファイザー社のCEOであるブーラ博士のより広範な目標は、EUの人口4億5000万人を対象に、45億回分のワクチン接種契約を交渉することである。つまり、1人当たり10回分の接種である。これは、EUがすでに購入したワクチン(8億回分を超える)の追加分である。


フォン・デア・ライエン夫人のファイザー社との緊密な「協力関係」は、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。

彼女の夫ハイコは、ファイザー社やモデルナ社のワクチンなどの遺伝子治療を専門とする米国バイオテクノロジー企業、オルジェネシス社の医療責任者である。

ウルスラは2019年よりオルジェネシス社の科学諮問委員会の一員だ。オルジェネシス社がファイザー社のワクチン開発に積極的に関与していたため、ファイザー社とオルジェネシス社は非常に緊密な関係にある。ハイコ・フォン・デア・ライエンとファイザー社との関係は昔からだ。詳細はこちら。https://simonmercieca.com/2022/12/17/corruption-in-the-eu-stinks-to-the-core-the-ties-of-ursula-von-der-leyen-and-her-husband-heiko-with-big-pharma/

*
ワクチン接種に戻ろう。何十億回分の不必要な、無意味な、そして危険な予防接種は、どうなるのだろうか?

欧州医薬品庁の汚職の展開を考えると、ワクチンが別の目的でラベル表示変更されても驚くことではない。誰がそれを知るというのだろうか?

結局のところ、過去3年間にわたって、WEF(世界経済フォーラム)の「グレート・リセット」と国連の「アジェンダ2030」が実施されてきたが、これらは基本的に同一であり、国連はWEFと提携しているため、ワクチン接種は健康とは何の関係もなく、人々の健康を維持するどころか、むしろ大規模なジェノサイドであることが紛れもなく明らかにになってきた。

関連記事:Worldwide “Big Money” Vaxx Operation: U.S. Government Green-lights Seventh COVID Shot, In the EU, 10 Additional Vaxx Shots Contemplated

「リセット/アジェンダ2030」の主要目標の一つは、人口の大幅な削減である。これまでのところ、いわゆるワクチン接種が始まってわずか2年あまりで、そのほとんどが強制的な注射であり、何百万人とは言わないまでも、何十万人もの死亡者や生涯にわたる障害者が出ている。また、急速に増加している流産や女性と男性の不妊も同様だ。

そして、これはまだ始まりに過ぎない。犯罪の大半は今後5年から10年の間に起こる可能性があり、その時には誰も原因がCOVIDワクチンであることを証明できなくなるだろう。これは、ファイザー社の元副社長で主任科学責任者であったマイケル・イードンの警告の言葉である。こちら (https://www.globalresearch.ca/dr-michael-yeadon-most-important-single-message-ive-ever-written/5792100)を参照。

欧州検察庁はフォン・デア・ライエンの刑事事件を捜査していたのだろうか? 誰も知らない。誰も知らないし、誰も聞かない事態を想像してみてほしい!

政治専門誌ポリティコは、2021年4月にフォン・デア・ライエンがニューヨーク・タイムズ紙に対して、EUがファイザー社と契約を結ぶまでの1か月間、同社のCEOと交渉文書のやりとりをしていたと語った、と報じた。

この契約において、欧州委員会はEU加盟国を代表して、ファイザー-BioNTech社のワクチン9億本を買い取ることを約束し、さらに9億本を購入するオプション(購入してもしなくてもよい権利)も保有している。この(これらの)契約は、数十億ドルにはならないにしても、数億ドルの価値があるはずだ。この数字はこれまで公式に開示されたことはなく、EUの監視機関もこのスキャンダルには目をつぶっている。

それ自体が恐ろしいほどの醜態だ。

その後、EUオンブズマンは、保存に値する「文書」ではないと考えていたため、欧州委員会がフォン・デア・ライエンのチームに文書を探すよう明示的に要請したことはないと明らかにした。調査結果に関する報告書の中で、EUオンブズマンはこの手続処理を単に「行政ミス」と呼んだ。

これに対し欧州委員会は、「短期間しか存在しない書類は保存されていない」ため、その文書を提供できないと反論した。こちら(https://www.politico.eu/article/european-union-prosecutor-covid-vaccine-scandal-ursula-von-der-leyen/)を参照。

ひとまず、この話はここまで。しかし、忘れてしまいがちだが、欧州連合、特に選挙で選ばれていない欧州委員会は、世界でも最も腐敗した機関のひとつである。そして、今のところ、その真相はわからないままのようだ。

*
マッキンゼー社に戻る。コンサルティング会社マッキンゼーは、どこを取っても自社が引き起こしたスキャンダルだらけだ。独裁政権と米国防総省の両方に跨る同社の業務は、利益相反の疑いがある。

21世紀初頭、dot.comバブル*崩壊によって多くの企業が崩壊し、経営コンサルティングの可能性も失われたとき、マッキンゼー社はジレンマに直面した。彼らは顧客層を拡大する方法を見つける必要があった。そこでマッキンゼー社は、米国内だけでなく世界中で政府との契約を獲得するために競争を始めた。
*インターネット・バブル(英: Internet bubble)のこと。1990年代前期から2000年代初期にかけて、アメリカ合衆国の市場を中心に起こった、インターネット関連企業の実需投資や株式投資が、実態を伴わない異常な高値になったことである。ハイテクバブル、ITバブルとも呼ばれるが、英語では「dot-com bubble(ドットコム・バブル)」と言う。(ウィキペディア)

ニューヨーク・タイムズ紙は、マッキンゼー社が国内外の公共部門に参入するという決定を下したことは、利益相反がはびこるビジネスモデルを生み出したと報じている。

米国国内の例はよく知られている。マッキンゼー社は、米国食品医薬品局(FDA)に助言する一方で、製薬大手のパデュー・ファルマ社にも助言している。国際的には、マッキンゼー社の業務は、国防総省、中国、サウジアラビアなど、広範囲に及び、さまざまな国の顧客を獲得している。それは同様に、時折、潜在的な利益相反の可能性があるとみられることがある。

マッキンゼー社は米国の防衛契約で数億ドルを獲得する一方で、外国企業や政府の幹部にも助言を行なっていた。マッキンゼー社のウェブサイトでは、これらのつながりを誇らしげに紹介している。「当社は世界中の国防省や国防総省と長年にわたる関係を築いています」。

もう一つの、今やよく知られた事件では、グローバル・コンサルティング会社マッキンゼーが南アフリカでの汚職で刑事告発されている。この訴訟は、ジェイコブ・ズマ前大統領の下での「国家捕獲スキャンダル」*として知られる、アパルトヘイト後最大のスキャンダルにおけるマッキンゼー社の役割に焦点を当てている。2023年2月に報告されたように、それは大規模な公的資金の不正流用を含んでいた。
*「国家捕獲(State Capture)」と呼ばれる一連のスキャンダルである。この事件はズマの子息ドゥドゥザネ・ズマ(Duduzane Zuma)及びインド出身の政商グプタ一族(Gupta family)が経営する企業にズマが利益供与を行い、しかも閣僚や政府高官、公共企業の人事にズマ派を任命するよう、不適切な介入が行われていた 疑惑である。(Alence and Pitcher 2019)」。(大阪大学文書館https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/87072/saak_033_001.pdf)

それがすべてを物語っている。鍵となるのは、国際的な政府高官とのつながりだ。証明されることはないかもしれないが、ハイコとウルスラ・フォン・デア・ライエン夫妻の息子、デビッドが、マッキンゼー社が世界中の政府を買収してCOVIDワクチン詐欺に加担する道を準備する役割を果たしたのではないかという深い疑念が広がっている。
詳細はこちら(https://responsiblestatecraft.org/2023/02/03/do-mckinseys-defense-contracts-clash-with-foreign-clients/#:~:text=%E2%80%9CMcKinsey%20had%20long%20profited%20from,from%20questions%20about%20those%20contracts)

腐敗した政府ではなく、私たち国民であるヨーロッパ人が自問しなければならないのは、いつまでウルスラ・フォン・デア・ライエンの欧州委員会委員長就任を容認し続けるのか、という問題である。

もちろん、ウルスラ・フォン・デア・ライエンは、WEFのクラウス・シュワブCEOのお気に入りである。腐敗した金融業者たちの依頼により、彼は彼女をこの地位に就かせた。彼女はWEFのヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)アカデミーの学者であるだけでなく、WEFの評議員でもある。

しかし、世界におけるWEFの地位が徐々に低下しているため、その保護も弱まりつつあるかもしれない。2023年1月のダボス会議でのWEFの大失態を想像してみてほしい。こちら(https://www.globalresearch.ca/wef-davos-new-sodom-gomorrah/5805074)を参照。

欧州の中央銀行

あるいは、もっとよい質問は、欧州人は現在の超腐敗したEC/EU体制をいつまで容認しているのか、だ。EUを解体して、国民国家と現地通貨に戻るべき時はとっくに過ぎている。それは欧州経済と欧州国民の幸福にとって大きな後押しとなるだろう。

私たち国民が待てば待つほど、金融の囚われの枠組みから抜け出すことが難しくなるだろう。

欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁のこの発言(https://www.tiktok.com/@jason.trading/video/7220083737936284974?is_from_webapp=1&sender_device=pc)を参照。彼女は、もし現金で千ユーロを使ったら刑務所行きだ、というのだ。

皮肉なことに、強力な金融権益を代表してECBを運営するクリスティーヌ・ラガルドには犯罪歴がある。

2873-2.png

画像:インディペンデント紙、2016年12月

2873-3.png

私たちはいつになったら目を覚ますのか?

*
ピーター・ケーニッヒ氏は、地政学アナリストであり、世界銀行および世界保健機関(WHO)の元上席経済学者です。同氏は30年以上にわたり、世界中で勤務していました。米国、欧州、南米の大学で講義を行っています。オンラインジャーナルに定期的に寄稿しており、著書に『Implosion – An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』、共著にシンシア・マッキニー著『When China Sneezes: コロナウイルスによる封鎖から世界的な政治経済危機へ」 (Clarity Press – 2020年11月1日)の共著者でもある。
ピーターは、グローバル化研究センター(CRG)の研究員である。また、中国人民大学重陽研究所の非常勤上級研究員でもある。

ベルリンで反戦集会「ウクライナとイスラエルに武器を送るな!!」動画あり。

<記事原文 寺島先生推薦>
Germans protest against sending arms to Ukraine and Israel (VIDEO)
ベルリンのデモ参加者はロシアとウクライナの停戦と中東紛争終結に向けた努力を要求
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


地元報道機関やソーシャルメディアに投稿された動画によると、数千人がベルリンの路上に出て、ウクライナとイスラエルへの武器供与に抗議するとともに、核戦争の激化の可能性に対する懸念を表明した、という。

さまざまな平和組織や左翼団体が主催したこの集会は、1990年の西ドイツと共産主義の東ドイツ統一を記念するドイツ統一記念日にあたる木曜日(10月4日)に始まった。

抗議者たちは「平和」「二度と戦争を起こさないで」「手榴弾の代わりに外交官を」などの文句が書かれた横断幕を掲げ、パレスチナ人との連帯を表明し、「占領軍によるテロの終結」を訴えたりする呼びかけも見られた。これは明らかにイスラエルのガザでの地上作戦に言及しているもの、と思われる。

数人のデモ参加者がロシアとパレスチナの国旗を掲げていた。横断幕の一つにはロシアやウクライナ、ドイツの国旗が描かれ、その下に「友情」という言葉が書かれていた。また別の横断幕にはオラフ・ショルツ首相を「爆弾首相」と非難する内容のものもあった。



ドイチェ・ヴェレ紙によると、主催者は4万人以上が参加したと主張しているが、警察は「5桁台前半」と述べている、という。警察当局は、抗議活動は大きな事件もなく終了した、と述べた。

関連記事:German chancellor wants to end Ukraine conflict ‘faster’

左翼の扇動者で、最近結成されたザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)党首のザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏も、出席者の一人として存在感を示した。同氏は聴衆に語りかけ、ウクライナ紛争を解決するにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談が必要だ、と強調した。「道徳的な理由でプーチン大統領と話をすることはできないと、いつも偉そうな道徳観で言う人がいるのは本当に腹立たしい」と彼女は語った。

ワーゲンクネヒト氏はさらに、ドイツ政府が外交政策で米国に従っていることを激しく非難し、同国への米国の中距離ミサイルの配備に警告した。

彼女はまた、イスラエルとハマスの戦争についても言及し、「ガザでの恐ろしい戦争犯罪について沈黙を守る人は誰でも、自分は道徳的だなどと言わないでほしい。それは偽善だ。この恐ろしい戦争も最終的には終わらせなければならない」と語った。

ドイツはウクライナに対する最大の援助国の一つとして浮上しており、ウクライナ側に戦車や防空砲、その他の兵器を送っている。ロシアはこうした輸送は紛争を長引かせるだけだとして繰り返し非難している。

ドイツはイスラエルにも大量の軍需物資を輸出している。先月、複数の報道機関は、人道法に違反する恐れがあるとしてドイツの武器輸出が削減された、と報じた。

EU加盟国が「親ロシア派」公務員を解雇―メディア報道

<記事原文 寺島先生推薦>
EU country firing ‘pro-Russia’ civil servants – media
リトアニア内務大臣は、「忠実な公務員」のみが国家に仕えるのにふさわしいと述べた。
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月11日


2802-1.jpg
2024年7月12日、リトアニアのヴィリニュスにある大統領官邸での国旗儀礼に参加するリトアニア兵。 © SOPA Images / Getty Images


リトアニアは親ロシア的な考えを持っていると非難されていると伝えられている「不忠実」 な役人を積極的に調査し、解雇していると、地元放送局TV3が報じた。

土曜日(9月28日)に放映された報道によると、複数の警察官と消防士が、その見解を理由に免職または警告処分を受け、「ヴァトニキ」というレッテルを貼られている。この「ヴァトニキ」という言葉は、かつて赤軍兵士が着用していたジャケットに由来し、ロシア政府の支持者に対する侮辱的な表現として使用されている。

この報道では、「親ロシア的な発言は職の喪失につながる」と述べ、公務員はソーシャルメディア上で公然と意見を表明する前に「慎重に考えるべきだ」と警告した。

「ウクライナでの戦争開始後・・・9人の警察官が親ロシアの可能性があると特定された」と、警察コミュニケーション部門の責任者であるラムナス・マトニス (Ramunas Matonis) はTV3に語った。そして、ほとんどの警察官は、この部門が行なった「予防協議」でそうした考えを否定したが、1人は「機密情報を扱う仕事の延長を認められなかった」と付け加えた。

2802-2.jpg
関連記事:EU state confirms citizens fighting for Russia

TV3は、アグネ・ビロタイテ内務大臣の発言を引用し、当局は「状況を注意深く監視している」と述べ、リトアニアの親キエフ派の公式立場を保持する「忠実な役人」のみが国に仕えるのに適していると付け加えた。

「私たちは、公務員がその行動や振る舞いによって不忠実な振る舞いを示すケースを決して容認しません」と、ビロタイテはTV3に語り、「そのような人物は公務員として働く権利を失うことになります。これは仕方がないことです。公務員は自国に対しての忠誠心を示さなければなりませんから」と警告した。

2802-3.jpg
関連記事:EU state strips star ballerina of citizenship

TV3は、リトアニアの元軍人であるゲナディウス・ロガチウスのケースを取り上げた。ロガチウスは、インターネット上で「リトアニアを批判し、ロシアを称賛した」として検察当局に捜査されている。

昨年のウクライナ紛争で被弾したロシアの戦車がヴィリニュス(リトアニアの首都)に展示され、人々が花を手向けたことで、旧ソ連地域の親ロシア感情が表面化したとTV3は述べた。TV3によると、大統領選でエドゥアルト・バイトクス候補が大きな支持を得たことも、親ロシア感情の表れだという。

リトアニアは、2022年2月にロシアとの紛争がエスカレートして以来、ウクライナの強力な支援者となってきた。リトアニアは、強硬な反ロシア政策を数多く推進し、NATOおよびEUによるキエフへの軍事援助の強化を提唱してきた。

当局は以前にも、ソ連の戦争記念碑の取り壊しを命じたり、親クレムリン的見解を理由に、国内在住のロシア出身の著名人数名から市民権を剥奪したりしたことがある。

ジョージアは我々に従ってもらう:この旧ソ連の国は、欧米諸国にとってはあまりにも独立心が強い。処罰は目前に迫っている

<記事原文 寺島先生推薦>
You will comply: This post-Soviet country is too independent for the West. Punishment is at hand
ワシントンとブリュッセルは、他国の主権は自分たちとは異なるものだと考え、グルジアへの圧力を再び強めている。他の国の主権は自分たちの主権とは同じものではないと考えているのだ。
筆者:タリック・シリル・アマール
ドイツ出身の歴史家で、イスタンブールのコチ大学でロシア、ウクライナ、東ヨーロッパ、第二次世界大戦の歴史、文化的冷戦、記憶の政治*について研究している。
*記憶の政治とは、政治的主体による集団記憶の組織化、つまり出来事を記憶し記録したり、破棄したりするための政治的手段である。歴史認識問題に揺れる東アジアに対し,ヨーロッパでは歴史・記憶の共有と和解が進んでいるように捉えられている。しかし中東欧やロシアにまで視野を広げると,そこには歴史の記憶をめぐる激しい亀裂や対立がある。
出典:RT   2024年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年10月6日


2813-1.jpg
写真:ジョージアのトビリシで行われたデモで、警察と衝突したデモ参加者がパトカーを損傷させた。 © Daro Sulakauri / Getty Images


EUの「エリート」 について言うならば、彼らはしつこいのだ。米国の指揮下でロシアと戦っている代理戦争で、ウクライナを失う寸前にあるが、対抗するチャンスを決して逃さない。今度はジョージアの番だ。もちろんコーカサス地方のジョージアである。ブリュッセルは、米国について、あちらの腐りきった「民主主義」 の残骸がどんなにひどかろうとも、決して声を荒げることはないだろう。

もしジョージア政府(正式に選挙で選ばれた政府であり、その他にも様々な要素はあるが、それでも欧州官僚が嫌う「ジョージアの夢」党が主導している)がEUの言うことを聞かないのであれば、欧州委員会からの警告によると、「あらゆる選択肢がテーブルに載っている。これは、ビザ自由化計画の一時的な停止の可能性も含めて」、2017年の合意に基づき、ジョージア人がビザなしでEUのシェンゲン圏内*および域内を最長6か月間旅行できる権利を失うことを意味する。
*シェンゲン協定は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である。

ジョージアのEU加盟候補が事実上停止されたというやや抽象的な事態の後、これは一般市民に痛みを伴う制裁を加えるという、非常に具体的で卑劣な脅しである。EU側の公式な理由は、おそらくジョージアが、欧州委員会(EUで現在、クーデターのような行政権の掌握を完了しつつある、完全に選挙で選ばれていない機関)が考える「民主主義」から後退しているというものだろう。むかし使い古された皮肉だ。

ばかげた情報戦の論点である「価値」はさておき、もちろん本当の理由は、ジョージアが十分にロシア恐怖症的ではないからだ。比較のためにウクライナを見てみよう。現実的な見方をする観察者がウクライナを民主主義と見間違えるような要素は一切ない。それにもかかわらず、キエフはウルスラ・フォン・デア・ライエンと欧州委員会から絶大な支持を受けている。つい最近も、事実上破産状態にある欧州からさらに350億ユーロの支援を受けるほどの厚遇を受けている。これは、人々がどのように投票するかということではなく、再び地政学に関する問題なのだ。

2813-2.jpg
関連記事:米国はジョージアへの制裁を「ためらわない」と表明

ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相が、EUの新たな動きを「安っぽい脅迫」 と非難したのも当然である。まさにそのとおりだ。さらに悪いことに、これは、失敗を繰り返しながらも、欧米が愛してやまない悪しき調理法を実行しようとする典型的な試みである。制裁によって一般市民を苦しめ、欧米が望まない政府を追い出すという、間違った理論を延々と展開するのだ。

この場合、ブリュッセルが念頭に置いている結果には2つの選択肢がある。まず、カラー革命スタイルの暴力的な政権交代。これはジョージアで繰り返し試みられてきた(そして2003年には一度成功し、最終的に2008年には小規模ながらロシアとの壊滅的な戦争への道を開いた。そして、ジョージアが隣国を攻撃し、西側諸国に裏切られた)。欧米諸国がこの考えを諦めた兆候は見られない。次に、10月26日に予定されているジョージアの選挙という方法がある。
はい、そのとおり。EUはジョージアが(EUとは異なり)機能する民主主義国家であることを十分に認識している。なぜなら、まさにその民主主義の本質、すなわち選挙プロセスこそが、このEUの脅威の対象となっているからだ。ブリュッセルからのメッセージはこうだ。「これらの人々を権力から追い出せ、さもなければ私たちはあなたたちをEUから追い出す」。単純かつ残忍で、恥知らずな内容である。選挙干渉の教科書のような内容だ。

モスクワは当然ながら、EUが事実上の脅迫や干渉の地政学的手段としてビザ特権を利用する癖があることをよく知っている。最近、アルメニアに関するEUの政策について述べた声明の中で、ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は、この種の「露骨な操作」と、当該諸国に敵対感情を植え付けることなどを通じて、当該諸国を欧米の利益に従わせようとする狙いを指摘した。その見返りとして、「当該諸国」はほとんど中身のない約束や意図的な遅延を受け取る一方で、EUからの譲歩は、受け入れ側が反抗すれば取り消される可能性のある特権という形を取る。ザハロワ氏も指摘しているように、これは長年にわたって複数の国々に対して用いられてきた戦術であり、アルメニアだけでなく、ウクライナ、モルドバ、西バルカン諸国、そしてかつてはロシアさえもがその対象となってきた。

2813-3.jpg
関連記事:米国はヨーロッパを見捨てるべきか?

EUは、もちろん単独で動いているわけではない。ワシントンの主人たちと足並みを揃えて行動しており、その主人たちもまた、ジョージアに対して長年にわたって体制転覆圧力を強めてきた。つい数週間前、まだ米国の大統領であるらしいジョー・バイデンは、ジョージアの主権に対する「断固たる支援」を装った脅し文句をほのめかした。つまり、「ジョージア国民」「彼らの欧州大西洋の夢」を維持することに十分な意欲を示している限り、支援するというのだ。 同時に、「ジョージア政府」は、それが実際に「ジョージア国民」 を代表しているかもしれないという考えは捨ててほしい! 「反民主主義的行動、例えば、クレムリン流の『外国代理人』法やジョージア政府高官の虚偽の供述など、EUやNATO加盟の基準に合致しない行動」 を理由に、ジョージア政府は厳しく非難された。メッセージはこれ以上なく明確である。「立派な主権を持っているじゃないか。我々に従わないなら、何かが起こっても知らんぞ」。我々とは、NATOやEU、つまり西側諸国全体、つまりワシントンを指す。

脅しは言葉だけにとどまらない。米国務省(別名「イスラエルに武器を、その他には制裁を」省)は、ジョージアに対して60以上の制裁を矢継ぎ早に課した。その理由はすべて、トビリシが、ワシントンが好まない法律を適切に、かつ合法的に制定したという大胆不敵さによるもので、具体的にはバイデン大統領が「外国代理人法」と誤って表現した「外国の影響力に関する法律」である。さらに悪いことに、ジョージア政府は、欧米諸国が「市民社会」として賞賛される街頭での暴力行為の扇動にずっと力を注いでいたにもかかわらず、この法律を可決した。

しかし、トビリシは行動せざるを得なかった。欧米諸国が外国からの支援を悪用してジョージアの政治に干渉しようとする執拗な試みにより、ジョージアでは人口400万人足らずの国に2万5000もの組織が存在するという、肥大化し、不均衡なNGOの分野が増大した。多くの小規模なNGOは誠実な活動を行なっているが、少数の大規模な組織は、欧米の影響力を強引に浸透させる役割を果たしている。 最近の重要な分析によれば、「草の根の支持」 によらず、「ジョージア国民に対する大きな影響力」を握っていると指摘している。「選挙で選ばれていないNGOは、国際機関からその権限を得ている」「彼らが生活にこれほどまで侵入してくる役割を果たしているにもかかわらず、市民に対して説明責任を負うことはない。この状況は、ジョージア国民の行動力と、同国の主権および民主主義を損ねている」。

同じ分析によると、現行のジョージアの法律はこの問題に対する正しい答えではないと主張している。そのとおりかもしれないし、そうでないかもしれない。どの政府も効果的な法律や、それほど効果的でない法律を制定する。重要なのは、合法的に進められる限り、どの政府にもそうする権利があるということだ。これは明らかにトビリシの場合に当てはまる。あるいは、もし他の、よりうまく運営されている国が、その質のひどさゆえに干渉する権利を主張した場合、米国の法律は、どのように進められるだろうか? 例えば銃や学校、医療に関してである。

また、米国の外交政策に批判的な目を向ける、米国ではかなり限定的な出版物である『Responsible Statecraft(責任ある政治)』誌の最近の論文が正しく指摘しているように、トビリシが外国からの支援を透明化する法律を制定したことは、決して「本質的に非民主的」でも「ロシアの影響を受けた」ものでもない。実際には、この法律の要件は控えめであり、米国の強引なFARA法*を含む欧米の法律が求める要件よりも緩やかな場合も多く、妥当なものである。実際、この法律は非常に妥当であり、ジョージア国内および国外でこれに強く反発している人々が何を隠そうとして、何を失おうとしているのか不思議に思わざるを得ない。
FARA法*・・・(Foreign Agents Registration Act)外国代理人登録法は1938年に可決された米国の法律で、「政治的または準政治的権能を持つ」 外国勢力の利益を代表するエージェントが、その外国政府との関係および活動内容や財政内容に関する情報を開示することを義務付けたものである。(ウィキペディア)

2813-4.jpg
関連記事: EUは、自分たちがどれほど自分たち自身を追い詰めてしまったかに突然気づいたのだろうか?

良いニュースは、トビリシの指導者たちも、米国の干渉を公然と非難することを恐れていないことだ。ジョージア議会の議長であるシャルヴァ・パプアシュヴィリ氏は、アメリカがジョージアに対して取っている態度は、公式にワシントンとトビリシの間にあるとされる「戦略的パートナーシップ」には一致しないと公言している。むしろ、アメリカのエリート層はジョージアの「パートナー」 に対して、「不当な非難」、敵対的な物語、見下した態度、そしてアメリカの利益を押し付けようとする試み、そしてもちろん制裁を行なっている。

制裁について言えば、トビリシはもう十分だ。最近の制裁の波は、事実上の多数派ブロックを構成する議会の一員が公然と非難したように、次期選挙に対する「粗野な干渉」である。これは事実であるだけでなく、米国が意図的に行んなっていることでもある。EUのビザ脅しと同様に、ワシントンの制裁攻撃のタイミングには何の偶然もない。コバヒゼ首相が米国大使に、米国の制裁依存症がジョージアと米国の関係を「危機的状況」に追い込んだと警告したのも当然である。ワシントンがさらにこのような決定を下せば、トビリシは米国との関係を「大幅に再評価する」可能性があると警告した。

それは確かに必要であり、避けられないことなのかもしれない。そして、その理由は最終的にはジョージアとは何の関係もない。それは、他国の主権は実際には現実的ではないという妄想から抜け出せない西側のエリートたちの、終わりのない思い上がりに他ならない。最終的に重要なのは、西側が何を望むかということだ。そして、もし望むものが手に入らなければ、脅迫、制裁、干渉が実行される。このような病的な振る舞いは、欧米では日常茶飯事となっている。それを断ち切るには、何度も何度も失敗させるしかない。ジョージアが欧米の新たな敗北となることを期待しよう。

ボリス・ジョンソン元英国首相はオランダの工場からアストラゼネカ社製「ワクチン」の窃盗計画を立てていた!

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-UK PM reveals planned ‘invasion’ of NATO ally
ボリス・ジョンソン元英首相は、COVID-19のパンデミック中にオランダの工場からアストラゼネカのワクチンを盗む計画を国防当局に考案させていた、と発言
出典:RT 2024年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月5日


2803-1.jpg
英国ロンドンのCOVID-19調査センターの外に駐車されたバン、2023年12月。© ゲッティイメージズ/ マイク・ケンプ/イン・ピクチャーズ


英国のボリス・ジョンソン元首相は、2021年に英国とEUと間で論争が続く中、オランダでCOVID-19ワクチンを盗む秘密作戦を計画するため国防当局者を集めた、と述べた。

その工場には、オランダのハリックス工場の下請け業者が製造したオックスフォード・アストラゼネカ社のワクチン約500万回分が保管されていた。EUはEU圏内の市民のために必要であったことを理由に、英国へのワクチンの送付を拒否していた。

デイリー・メール紙が土曜日(9月29年)に報じたジョンソン首相の回顧録からの抜粋によると、英国防当局者は首相官邸に集まり、「実現可能な」計画の概要を示したが、外交上の悪影響が出る可能性も警告していた、いう。

その計画は、ひとつの集団がアムステルダム行きの民間航空機に乗り、もう1つの集団は夜間に小型ボートで英仏海峡を渡り、オランダの運河を進んで工場に向かう。それからこれらの集団は「人質の品物を確保」するために合流し、貨物トラックで英仏海峡の港に向けて出発する、というものだった。ジョンソン元首相は、国防当局者から、ロックダウンの最中にこの行為を見破られずに達成するのはほぼ不可能だと警告された、と述べた。

2803-2.jpg
関連記事:UK’s Covid-19 jab victims not ‘disabled enough’ – Telegraph

「もし発見されれば、長年のNATO同盟国に事実上侵入している行為について理由を説明しなければならなくなるでしょう」と、ある国防高官が述べた、という。

2019年にEU離脱をめぐる長期にわたる膠着状態に終止符を打ちEUを離脱すると公約して当選したジョンソン元首相は、EU当局がワクチンを「誘拐」したと考えていた、と記した。

「EUは我々を悪意と意地悪で扱っているという結論に達しました」と同元首相は述べ、英国は「EUよりもはるかに速い速度で国民にワクチン接種をおこなっており、欧州の有権者はずっと前からそれに気づいていました」と主張した。

アストラゼネカ社はその後、同社のCOVID-19ワクチンが一部患者に血栓や血小板減少症を引き起こす可能性があることを法廷で認め、世界中での流通から同ワクチンを撤回した。

ベルギーの首都で数千人の抗議デモ、ドイツ企業「アウディ」が大量解雇!!?ロシアに対する制裁の「ブーメラン効果」

<記事原文 寺島先生推薦>
Thousands in Brussels protest German car giant’s job cuts
ブリュッセルのアウディ工場は中国と米国との激しい競争により閉鎖の危機に瀕している
出典:RT 2024年9月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月24日


2791-1.jpg
© Global Look Press / IMAGO/フィリップ・レイナーズ

ドイツの自動車製造業者、アウディ社がベルギーの首都ブリュッセルの工場を閉鎖すれば職を失う恐れのある自動車労働者を支援するため、数千人のデモ参加者が月曜日(9月16日)にブリュッセルの路上に集結した。

AP通信は地元警察の話として、約5500人がブリュッセル北駅に集まり、欧州議会に向かって行進した、と報じた。ブルームバーグ紙によると、ブリュッセル市内のアウディ従業員3000人のうち、早ければ来年にも90%が解雇される見込みで、その大部分がデモを主導した、という。

この抗議活動は、このドイツの自動車製造業者がブリュッセルで組み立てられている高級車Q8e-tronの需要が劇的に減少したと発表し、現地の製造工場が物流と生産の経費高騰に悩まされていると警告してから2カ月後に起きた。

今月初め、アウディ・ブリュッセルの広報担当者ピーター・ドゥーレ氏は、この施設は同社の他の工場向けの部品製造に使用できるため、必ずしも工場を閉鎖するわけではない、と述べた。

AP通信によると、ブリュッセル工場で働く人々の多くは電気自動車の生産に従事しており、中国や米国との競争が激化する中、EUは電気自動車を画期的な分野として積極的に宣伝している、という。

2791-2.jpg
関連記事:Germany destroying its car industry – Putin

今月初め、アウディを所有するドイツ最大の自動車製造業者、フォルクスワーゲン・グループは、国内の雇用保証制度を終了し、同社史上初めて国内の工場を閉鎖し、大量解雇を実施する計画を発表した。この動きについて、最高経営責任者のオリバー・ブルーメ氏は、EU自動車業界が直面している大きな課題は、4年前のパンデミックとアジアの競合企業の市場参入に起因する、と述べた。

ドイツの自動車産業は、景気刺激策を禁じる同国独自の予算制限と、安価なロシア産エネルギーの輸入拒否により、過去5年間苦戦を強いられてきた。ドイツがロシアからの安価なガス供給を失って以来、フォルクスワーゲン・グループや他の自動車製造業者の競争力はエネルギー価格の高騰によって損なわれている。

英国も既にファシズム時代!元外交官がイスラエル批判で逮捕!!

<記事原文 寺島先生推薦>
“The UK Has Criminalized Dissent”: The Transition of Britain and the West Into Tyranny. Former British Ambassador Craig Murray
筆者:クレイグ・マレーとポール・クレイグ・ロバーツ博士(Craig Murray and Dr. Paul Craig Roberts)
出典:Global Research 2024年9月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年9月24日


2783-1.jpg


以下は、英国および西側諸国全般が専制政治へと移行した様子を語った、元英国大使クレイグ・マレー氏の演説(下の動画)の要約だ。

英国は反対意見を犯罪とみなしている。

新しい治安維持法では、集会やデモが誰かに「迷惑をかける」場合は開催が違法となる。これにより、国はあらゆるデモを取り締まる無制限の権限を持つことになる。

新しい治安維持法では、「敵対国」からの資金提供を受けることは違法とされている(「敵対国」の定義はない)。

新しい治安維持法では、「誤報」を公表することは犯罪と定められている(「誤報」の定義はなく、政府が決定する)。

すべては言説の統制に関することだ。シオニストのロビー団体は西側諸国が出す公式見解に大きな影響力を持っている。

西側諸国の国民はイスラエルを大量虐殺で非難することが許されていない。そうすることはますます「テロリスト」であることと同一視されるようになっている。

反テロ権限は、イスラエルに対するいかなる批判も阻止するために使用されている。

元英国大使のマレー氏は、アイスランドでの親パレスチナデモに参加したため、「テロ対策法」に基づき空港で逮捕された。

テロ対策法の下では、空港で逮捕された場合、黙秘権も弁護士を雇う権利もなく、電子機器をすべて、パスワードを含め引き渡さなければならない。

電子機器の引き渡しを拒否した場合は懲役2年となる。

質問に答えることを拒否すれば懲役2年だ。

対テロ法に基づき、パリの教授や数人の独立系記者など多くの人が拘留されており、彼らもマレー氏と同様に拘留されている。

人々をロシアと結びつけようとする試みは続いている。FBIはパレスチナ支持デモでマレー氏と話した米国民教授を拘束し、彼の電子機器をすべて押収した。

言論の自由、集会の自由、そしてあらゆる形態の反対意見に対する弾圧は、西側諸国全体でますます頻繁に起こっている。

西側諸国は「自由と民主主義」の重要性を声高に主張する一方で、自国民の自由を制限し、完全な専制政治へと向かっている。


マクロン大統領の追放は実現するか!!?

<記事原文 寺島先生推薦>
Macron impeachment resolution approved
フランス議会は、大統領が少数派勢力から首相を任命したことを受けて、前例のない措置を講じた。
出典:RT 2024年9月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月24日


2790-1.jpg
フランス大統領エマニュエル・マクロン。© AP Photo/Geert Vanden Wijngaert

フランスのエマニュエル・マクロン大統領を弾劾する提案は、同国議会で大きな手続き上の障害物を乗り越え、委員会での審議に進むことになる。

今夏の議会選挙で国民議会の最多議席を獲得したものの、過半数には達しなかった新人民戦線(NPF)連合は、マクロン大統領が同党の首相候補リュシー・カステ氏を無視したことを受けて、今月初めにこの措置を発表した。

代わりに、マクロン大統領は、国民議会577議席のうち61議席しか持たない右派政党「共和党」所属の元EU委員ミシェル・バルニエ氏を任命していた。

マクロン大統領弾劾の提案にはNPF議員80名以上が署名し、国会議員577名の少なくとも10%の支持を得るという憲法上の要件を満たした。月曜日(9月16日)、NPFの提案は国会運営機関である国民議会事務局で12対10の投票で承認された。

「素晴らしいニュースです。普通選挙の投票結果を拒否すれば、マクロン氏にとって何の影響もないままではいられないでしょう」と、最大の連立相手であるフランス不屈党(LFI)のジャン=リュック・メランション党首はXに投稿した。

この提案は今後、法務委員会に送られ、審議されることになる。議会は、いつになるかはわからないが、委員会の結論が出てから2週間以内に、提案を議題に載せる義務がある。

2790-2.jpg
関連記事:Thousands rally against new French prime minister (VIDEOS)

この決議が議会の議題に上れば、第五共和政の歴史上初めて国民議会が国家元首の罷免を議論することになるだろう、とフランスの報道機関は指摘している。

マクロン大統領の弾劾には国民議会の3分の2、つまり385人の議員の賛成が必要だ。しかし野党全体を合わせても364議席しかない。弾劾決議が承認されれば、決議案は上院に送られ、そこで232票が必要になる。

マクロン氏は、7月の議会選挙第2回投票で、右派ポピュリストの国民連合(RN)が勝利する可能性が高まったため、NPFとの戦略的同盟を結んだ。その結果、NPFが180議席で首位に立ち、マクロン氏の連合が159議席で続いたいっぽう、RNの議員数は142人にまで減少した。RN支持を巡って分裂した共和党(LR)は、わずか39議席しか獲得できなかった。

大統領は当初、技術的な権限でガブリエル・アタル氏を首相に留任させることを決定し、その後9月5日にLRのミシェル・バルニエ氏を首相に任命した。

ライナー・フュルミッヒの事例はナチス・ドイツの再現と言わずしてなんと言おうか。

<記事原文 寺島先生推薦>
The Case of Reiner Fuellmich Is Representative for a New Nazi Germany
筆者:ピーター・ケーニヒ (Peter Koenig)
出典:GR 2024年9月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月17日


2763-1.jpg
9月6日午前2時30分(米国東部時間)、若干の修正あり


ドイツの公民権弁護士であるライナー・フュルミッヒ博士は、公判前拘留という形で、11カ月間、不当に刑務所に拘禁されている。犯罪者のように、彼は手錠と足かせだけをつけ、2人の武装した警備員を伴って刑務所を出ることができる。

彼は何の罪も犯しておらず、裁判も受けていないが、政治犯であり、政治裁判を待っている。欧米が傲慢にも発展途上国と呼んでいる国の出来事であれば、「カンガルー裁判を行なうカンガルー裁判所」と呼ばれるだろう。

3日前ライナーの母親が亡くなった。彼女は病気で末期だった。ライナーは裁判所に、最後の数時間を母親と過ごして別れを告げる許可を求めた。彼は、手錠と足かせをかけられ、2人の武装した警備員を同伴するという条件でのみ許可を得た。

ライナーは拒否した。彼は、母親が人生の最後の瞬間に、このような非人道的な状況に置かれた息子を見て苦しむことを望まなかった。だから彼は拒否した。

それは、ドイツが再びナチスの専制政治に戻ったことを物語っている。

2763-2.jpg
詳細はこちら:Judicial Scandal in Germany: The Reiner Fullmich Case By Wolfgang Jeschke, September 04, 2024

以下はこの記事からの引用:

 「カーステン・シンドラー(裁判官)は、公民権活動家ライナー・フュルミッヒ博士に対する裁判を指揮している。同弁護士は当初、憲法裁判に関心があるかのような印象を与えていたが、彼の最新の「手品」(C.ミゼレ弁護士の言葉)は、裁判傍聴者、国際人権活動家、弁護士たちに衝撃を与えた。シンドラーの名前は、ドイツ法史上最も奇妙な事件のひとつとして、将来記憶されることになるだろう:ドイツ連邦共和国(FRG)がメキシコから公民権活動家を不法に拉致し、でっち上げの裁判にかけた事件である。

コロナ委員会の資金管理に関して、フュルミッヒが実質的な唯一の代表権を持っていたことが株主総会決議に基づいて証明されると、裁判所は迫害されているフエルミッヒを有罪にする新たな方法を探した。フュルミッヒの弁護士カーチャ・ヴェルマーはこうコメントした:「この主張がもはや不可能になったとき、地裁は単に代理権の乱用として刑事犯罪の正当性を解釈し直したのです」。


つまり、まず裁判所は、迫害された人物[フュルミッヒ博士]には職務を遂行する権限がなかったと主張した。その後、フュルミッヒ博士が実際に職務権限を有していたことが判明すると、裁判所は見解を変え、職務権限を有していたにもかかわらず、職務権限を濫用したと述べたのである。

*

ライナー・フュルミッヒの指導を受け、その後コロナ委員会のパートナーとなったヴィヴィアン・フィッシャーは、彼を裏切り、フュルミッヒ博士のコロナ委員会の他の元協力者の協力を求めるために「当局者たち」から報酬を得ていた事実を度外視するわけにはゆかない。

これが今日のドイツ当局者たちのやり方だ。良心の呵責はない。いわゆる「当局者」は、コロナウイルスによって犯した犯罪や、自らの良心に重くのしかかる多くの命を知っている。したがって、「何が何でも私たちはこのやり方を最後まで押し通さなければならない。途中でやめるわけにはゆかないし、人間的になることも許されない」と感じている。

もちろん、その命令は上からのものである。しかし、ドイツにはそのような圧力に抵抗し、西ヨーロッパの自然な東のパートナーであるロシアと協力し、平和と自由なヨーロッパへの道を導く経済力を持つ可能性はあった。―ワシントンの牙から解放されて。

その上、実際的かつ歴史的な理由から、ロシアはヨーロッパの国である。同時に、地球最大の地域であるユーラシアとのつながりもあり、約5500万平方キロメートル、つまり地球の総陸地面積の3分の1以上を占め、そのほとんどが隣接している。ユーラシアには世界最大の国ロシアもある。ユーラシアの人口は優に54億人を超え (2023年)、世界人口の約2/3に相当する。

ドイツとロシアの地政学的・経済的な結びつきは、200年も前にそうであったように、大ユーラシア経済市場の新たな門戸となるだろう。それは、自称アメリカの覇権主義者にとって悲惨なことだ。だからこそ、あらゆる手段を使って阻止しなければならない。核戦争も辞さないだろう。

ライナー・フュルミッヒ博士の事例は、今日のゲシュタポ・ドイツを象徴している。それは80年以上前、アドルフ・ヒトラーがまずドイツで、次いでヨーロッパの大部分、さらには北アフリカで権力を握り、当時のソビエト連邦を征服しようとして失敗した時代を彷彿とさせる。

第二次世界大戦中、ヒトラーはすでに連邦準備制度理事会(FRB)から資金を得ており、特にソ連に対する侵略行為を行なっていたことに注目すべきである。ソ連はナチス・ドイツに対する西側の同盟国だった。これは「同時に複数の結婚式で踊る」と呼ばれるもので、帝国が決して負けないために使う古くからの戦術である。

西ヨーロッパの解放のために、そしておそらくアメリカの「自由」のために3000万人もの命を犠牲にしたソ連のおかげで、私たちは半世紀以上にわたってかなり平和で、ほとんど「民主的」と呼べるようなヨーロッパを手にした。

しかし、ごく一部の特権階級の、ほとんど優生学的な考えを持つ億万長者、エリート主義者たちによる偽札、偽札の創造と蓄積、根拠のない貨幣創造、1913年の詐欺的な連邦準備法に根ざしたこれらのエリート主義者たちは、今また偽りの財政力を利用して世界を買収し、同じく非常に腐敗しやすいと思われるドイツを通じて、今日のロシアを征服しようとしている。

欧州連合(EU)という人為的に作られた傀儡国家を含む欧米諸国は、米国が仕掛けたウクライナによるロシア(欧州国家の一国)への戦争が、欧米諸国によるロシア制圧の代理戦争になると信じている。

全てのドイツ人が腐敗しているわけではない。しかし、腐敗の「最高」つまり「最低」の記録を持ち、評判も悪い人物が、現在ドイツと欧州委員会のトップに立っている。2021年12月以来のドイツ連邦共和国首相である元ハンブルク市長のオラフ・ショルツ、そして、選挙を経ていない欧州委員会のトップである元ドイツ国防大臣のウルズラ・フォン・デア・ライエンである。いずれも国民によって選ばれたわけではない。ショルツ氏はドイツ連邦議会(Bundestag)によって「選出」されたものの、それはドイツ連邦大統領の推薦によるものであり、しかも討論なしに選出されている(ドイツ憲法第63条)。

欧州連合における2つの主要人物は、腐敗したドイツの工作員である。彼らはドイツと欧州委員会を通じて欧州連合をワシントンの意向で1世紀余りで3度目の崩壊へと導こうとしているのだろうか?

そして、トランプかカマラかに関わらず、次の大統領が誰になるにせよ、ワシントンで実権を握るのは誰なのか? それはシオニストである。

本稿は、人権のために誠実な戦いを続ける人物であるライナー・フュルミッヒ博士が、黒を白と言いくるめてでも、なぜ沈黙させられなければならないのかを説明するための、短い幕間である。

ドイツの裁判官はだれひとり、理性を働かせて無実のライナー・フュルミッヒを釈放することはできないだろう。そんなことをすれば、キャリアを棒に振ることになる。それではすまないことにもなる。

2763-2.jpg
詳細はこちら:Judicial Scandal in Germany: The Reiner Fullmich Case By Wolfgang Jeschke, September 04, 2024



つまり、これが我々の今現在立っている地点であり、ドイツが今現在立っている地点である。

今日のネオ社会主義、つまり「ナチズム」へ急速に傾斜する高速道路を、見抜いているドイツ人はほとんどいない。いやもっと適切にいえば、そんなことに目をくれたくもないのだ。それは80年前のそれよりも洗練され、もっと破滅的な形をとる。

自分の権利のために声をあげる勇気を持たない同じ人々―当時は、ヒトラーの脅しによって沈黙させられた―が、今日、政府による「COVID犯罪」によって沈黙させられている。そして、彼らは、政府の公式見解と異なる意見を表明することはさらに悪く、命取りになりかねないと知っている、あるいは知っていると思っている。

ライナー・フュルミッヒのために祈り、できる限りのことをしよう。世界的な正義が勝り、最終的には太陽の光がドイツや西側諸国の専制を凌駕することを祈ろう。

正義は勝利しなければならない

*
ピーター・ケーニヒは地政学アナリストであり、元世界銀行および世界保健機関 (WHO) のシニアエコノミストであり、30年以上にわたり世界各地で働いてきた。著書に『Implosion–An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』がある。Cynthia McKinney著「中国がくしゃみをするとき:コロナウイルスのロックダウンから世界の政治経済危機まで」(Clarity Press–2020年11月1日)の共著者でもあります。
ピーターは、Centre for Research on Globalization (CRG) のリサーチ・アソシエイト。また、北京の人民大学重陽研究所の非居住シニアフェローでもあります。


ロシア隣国の主権国家としてあるべき姿を示しつつあるジョージア(旧称グルジア)

<記事原文 寺島先生推薦>
Has this little country cracked the code of post-Soviet politics?
米国が旧ソ連諸国に完全な自己犠牲を要求したとき、ジョージアはそれに逆らった。
筆者:ティモフェイ・ボルダチェフ(Timofey Bordachev)
ロシアの国際的な討論組織であるヴァルダイ・クラブの計画部長
出典:RT 2024年9月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月13日


2762-1.jpg
ジョージアにおける政府の「外国の影響の透明性」法案を支持するデモ © Getty Images / Getty Images


ジョージアと西側諸国の関係は、すでに困難だったが、先週、与党「ジョージアの夢」党首が米国と欧州連合による野党への資金提供は「一線を越える」に等しいと述べたことで新たな展開を迎えた。

選挙が近づく中、同党の事実上の指導者と広くみなされ、名誉議長も務めるビジナ・イヴァニシビリ氏は、西側諸国が同国の内政に干渉している、と非難した。国家反汚職局長もつとめる同氏は、西側諸国が一部の非政府組織に資金援助していることは野党へ不透明な資金援助をおこなっていることと同等だ、と付け加えた。

これらの発言で最も面白い点は、ジョージア当局が述べた内容の主旨が、海外の政治動向に対する米国の影響力行使の最も一般的な、そして普遍的に受け入れられている方法だ、という点にある。「自由民主主義共同体」の一員であると主張する国々で、この事実について公然と語る勇気のある国がいなくなったのは、ここ30年ほどのことである。そしてジョージアもその 1 つだった。特に、NATOとEUへの加盟という目標を放棄した国はひとつもないことを考えると、なおさらである。

ジョージア当局者たちは、アメリカによって全ての人に課せられた基本的な世界秩序(すなわち、国連の法律と規範は全ての人に適用されるが、アメリカ自身には適用されない、という)に真っ向から背馳する自由をとっている。そして、この事例は遠く離れたアマゾンで起きているのではなく、ロシアの隣国で起きていることなので、ジョージアの現象の性質とその見通しは、私たちの興味をそそらないはずがない。

今のところ、ジョージアはロシアの西側の主要な敵対国にとって、多大な資源を費やすほど重要な戦利品ではない。しかし時代は変わりつつある。米国とEUが将来、より断固とした行動を取らないなどと我々自身が決めつける訳にはいかなくなっている。例えば、米国とEUの主な手段である、彼らが望ましくないと考える政治体制の暴力的転覆に訴えることもありえるだろう。

だからこそ、ジョージアの政治家たちの最大の関心事は、そしてロシアでも同じことが言えるが、現在、治安機関を統制し、多額の対外借り入れに頼ることなく主要な開発課題に資金を提供できる、効果的な国家を築くことだ。

2762-2.jpg
関連記事:Here’s why Russia won’t talk to Ukraine

なぜなら、西側諸国のもう一つの手段は、いわゆる国際金融機関に対する各国の負債を武器にすることだからだ。最も顕著なのは世界銀行とIMFで、その政治的目的は米国政府によって決定される。

今後数か月、あるいは数年にわたって、ジョージアとその国民は、非常に困難で危険な道を歩まなければならないだろうが、国家の安全と存在そのものを危険にさらすことにはならないだろう。彼らには一定の利点があるため、成功する可能性が高い。

第一に、ジョージアには比較的高い政治意識と国家としての伝統の存在がある。ジョージアの人々は、ペルシャやトルコの支配下を含むさまざまな歴史の時代を生きてきた。しかし、これらの状況下でも、地方の国家としての伝統は生き続けた。この点で、ジョージアは、たとえば、1920 年にボルシェビキに敗北するまでブハラ首長国の自治が維持されたウズベキスタンと比較できる。そして、そのような伝統がまったくなかった旧バルト諸国やウクライナ領土よりも、ジョージアには確かに利点がある。このような歴史的道のりにより、経験とある種の知恵が蓄積されており、さらにはこの地域特有の南方気質も利点として有している。

第二に、ジョージアはソ連崩壊後に民族主義者が政権を握った旧ソ連諸国の中で、最も不運な国だったことがある。ジョージアはほぼすぐにアブハジアと南オセチアの2つの地域の支配権を失い、2008年にはロシアと直接衝突した。その教訓は生かされたようだ。数年後、後者の衝突を引き起こしたトビリシ政権は崩壊し、実利的な実業家イヴァニシヴィリ氏率いる「ジョージアの夢」党が政権を握った。

外交政策は徐々に常識と地図上の国の位置づけの方向へと修正され始めた。同時に、トビリシとその西側諸国という資金提供者の間の矛盾は拡大し始めた。現在、これらの関係は1991年にジョージアが独立して以来最悪の状態にある。

「ジョージア第一」政策は米国政府の望みとは相容れない。米国はロシアとの対立を煽り、旧ソ連諸国に全面的な自己犠牲を要求してきた。しかし、ジョージア政府は自国の利益にかなう現実的な政策に転換した。

アルメニアとバルト諸国は、それほど幸運ではなかったことに注意すべきである。アルメニアの場合、独立当初は外交政策の勝利の時代であったが、最終的には深刻な失望に終わった。バルト諸国の場合、支配者の国家主義は西側諸国から全面的に支持され、特にNATOの仮想的な「安全保障の傘」の下で繁栄した。いっぽう、ジョージア国家は、困難な道のりを歩まなければならなかった。

最後に、ジョージアは主要経済国間の貿易経路の交差点という比較的有利な地理的位置にある、という点が挙げられる。独立当初、ジョージア政府は米国に領土を売却し、ロシアとイランに対する軍事基地として利用することを望んでいた。現在、ジョージア当局は自国の地理を平和目的に利用し、ロシアやトルコ、西ヨーロッパを結ぶ架け橋のような存在となっている。

2762-3.jpg
関連記事:A slap in the West’s face: Why hopes for Putin’s arrest were a fantasy

その証拠は、ジョージアへのドイツの輸出量の増加である。ドイツ連邦共和国の統計局の最新データによると、輸出量は2002年2月以来3倍に増加しており、月間3000万ユーロから9000万ユーロに増加しており、その大半は機械やその他の設備である。

同時に、ジョージアは軍事的にも戦略的にも、東ヨーロッパのNATOの主要橋頭保から十分離れており、バルト諸国やウクライナよりも侵入が難しい。いっぽう、隣国トルコ当局は、自国のすぐ近くに新たな火種を置くことには関心がなく、仲介者や投資先としてジョージアを捉えている。

こうした利点を生かして、ジョージア指導部は自ら、そして近年生活が目に見えて改善した国民に、国の運命を決める責任を負わせた。こうした取り組みに関連して、ここ数カ月、ジョージア政府と西側諸国の間で最大の争点となっているのが、 6月初旬に採択された「外国の影響透明性法」だ。この法律は、海外から資金援助を受ける組織に外国代理人として登録することを義務付けている。

この法律の成立には、何ヶ月にもわたる抗議活動、西欧諸国の政府高官の訪問、そしてEUの非難決議が伴った。議会は最終決定を下すために大統領の拒否権を覆さなければならなかった。この一連の運動を通じて明らかになった主なことは、ジョージア政府が自国の治安機関を統制する能力を十分に備えているということだった。2014年2月にウクライナで起きたことや2020年のベラルーシの経験を考えると、これはジョージア与党の最も重大な成果の一つ、と見ることができる。

ジョージアでは今年10月に議会選挙が行われ、親欧米派の街頭暴徒だけでなく、すべての国民が最終決定権を持つことになる。ある意味でジョージアは、ロシアに対して特に好意的な感情を抱かずに、同時にロシア側に何の懸念も与えないことがいかに可能であるかを示す例となっている。後者こそが、我が国ロシアが最も近い隣国に主に望むことなのである。

この独立姿勢がどのくらい続くのか、またロシアが将来的に他の近隣諸国にも同様に予測可能な姿勢を促せるかどうかは、まだ不明だ。現在、ジョージアの姿勢は西側諸国からは嫌われているが、ロシア側からは歓迎されている。いっぽう、ロシアが独立国家として認めているアブハジアと南オセチアの分離独立の立場は、将来問題を引き起こす可能性がある。

この記事の初出は「Vzglyad」紙。RT編集部が翻訳および編集をおこなった。

イタリアの国営放送が、ナチスの記章入りの帽子を被っていたウクライナ兵を取材

<記事原文 寺島先生推薦> 
Italian state media reporter apologizes over Nazi SS broadcast
ライ・ニュースの記者が先日、SSの記章を身に着けていたウクライナ軍人にインタビュー
出典:RT 2024年8月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月27日


2720-1.jpg
ロシアのクルスク地方での戦闘任務から帰還した米国のストライカー装甲車を検査するウクライナの兵士 @ Kostiantyn Liberov/Libkos/Getty Images


先日、ナチスの記章を身に着けたウクライナ兵にインタビューしたイタリア人記者が謝罪した。

イタリア国営放送ライ・ニュース24のイラリオ・ピアグネレッリ記者は、このインタビューを「深く後悔している」と述べたが、同記者はこの騒ぎが、ソーシャルメディア上での親ロシア派によるプロパガンダの道具に使われている、と非難した。

オンラインで出回っている報道からの抜粋では、ピアグネレッリ記者が、第二次世界大戦後にニュルンベルク裁判において戦争犯罪で有罪判決を受けた部隊である「ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー」SS師団の記章が飾られたカーキ色の帽子をかぶった男性と話しているのを見ることができる。この動画には「ライ・ニュース 24」の透かしが入っている。しかし、月曜日(8月19日)の朝の時点で、この映像はピアグネレッリ記者のXアカウント上で表示されなくなった。


たとえ数秒であっても、報道が放映された後にナチスの記章が入ったワッペンをつけていることを私が気づいていたウクライナ兵に声をかけたことを深く後悔しています」ピアグネレッリ記者は月曜日(8月19日)にXに書いた。

私はナチスドイツと戦ったパルチザンの祖父のもとで育ちました。実の祖父です。ですので私は、侵略者と被侵略者、抵抗する者と占領する者を何の疑いも持たず区別することができます。私は憲法の大切さについての教育を受けてきました」と。

ピアニェレッリ記者はさらに、「イタリアには、ロシア政府とつながった侵略支持派の組織があり、その組織は私や他の特派員の仕事の信用を落とすために全力を尽くしています。これら組織は今回のことで驚いたふりをしていますが、この件を利用して反ウクライナ宣伝に使える手ごわい論拠を見つけだしたのです」と主張した。



ロシア外務省は、ライ・ニュースを「新たな低迷に沈んでいる」と非難し、マリア・ザハロワ報道官は「西側報道機関は、ウクライナのネオナチを意図的に更生させ、ニュルンベルク裁判の評決を改ざんしようと引き続き取り組んでいる」と述べた。

ピアグネレッリ記者は既に「ブチャの事件とプラヴィ・セクトル(右派セクター)党員の死んだネオナチについての記事で頭角を現していたが、今や新たな深みに沈んでしまった...」と同報道官は主張した。

今度は、ピアグネレッリ記者が、SS装甲擲弾兵師団『ドイツ親衛隊』の記章を身につけたウクライナのナチを撮影する可能性がある」とザハロワ報道官は、西ヨーロッパで最悪の第二次世界大戦の虐殺を実行したことで悪名高い部隊を言及して述べた。

週末、ライ・ニュースは、ロシア側がロシアのクルスク地方での違法な存在に対する刑事捜査を開始した後、2人の記者をイタリアに呼び戻した。水曜日(8月19日)、同放送局は、ウクライナ軍に潜入した記者団がロシア領の奥深くまで進入し、ウクライナの国境を越えた地域への攻撃に関するテレビ報道を放映していた。

ドイツはノルドストリーム爆破事件について全面的な情報開示を提供せよ - ラブロフ外相

<記事原文 寺島先生推薦>
Germany must provide full disclosure over Nord Stream bombings – Lavrov
ロシア政府は、パイプライン破壊工作に関するドイツ政府の調査に対して、義務を果たさなかったとして、ドイツ政府を非難する申し立てを提出
出典:RT 2024年8月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月27日


2719-1.jpg
ロシアのセルゲイ・ラブロフ©外相 Getty Images / Adam Gray


ドイツは、ノルドストリーム・パイプラインの破壊工作に関する事実を隠すのをやめ、事件の調査について完全な透明性を提供しなければならない、とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は主張している。ロシア側は、爆破事件に関するドイツ側の調査に対して、既に公式に苦情を申し立てている。

ロシアの天然ガスをドイツや西ヨーロッパの他の地域に輸送するために使用されていたノルドストリーム1および2パイプラインは、2022年9月にデンマークのボーンホルム島近くのバルト海で一連の爆発が発生し、破壊された。犯人はまだ公式には特定されていない。

ロシア側は、米国政府が攻撃を画策したと非難しているが、ウクライナ政府は、ロシアが自国の生活基盤施設を爆破した、と主張している。いっぽう、欧米マスコミの一部は、破壊工作は「親ウクライナ派集団」によって実行された、と主張している。

月曜日(8月19日)に発表されたイズベスチヤ紙とのインタビューで、ラブロフ外相は、事件を調査してきたドイツは「発見できなかったはずのない事実を提示することを断固として拒否するのをやめなければならない」と語気を強めた。

同外相はまた、ロシアが公式に要求した情報が公式に提示されるのではなく、ニュース記事で報じられた点を指摘し、そのため「これらすべてのことは演出されているのではないかという疑惑」が引き起こされ、「この作戦全体が(攻撃の)真の実行者や犯人、依頼者」から「世論を何らかの形でそらすように設計されている」点を示唆した。

ラブロフ外相は、ロシア側は爆破事件に対する透明性のある国際調査を公式に主張するだろうと述べ、ドイツが国家としての発展に不可欠な長期的なエネルギー供給を奪われたことを「黙って受け入れる」ことは「恥ずべきことだ」と主張した。

ドイツはそれを黙って飲み込んだのです、何の声明も出さずに、です」とラブロフ外相は述べた。

2719-2.jpg
関連記事:Polish PM calls for Nord Stream scandal to be buried

ロシア外務省高官のオレグ・チャプキン氏はRIAノーボスチ通信に対し、ロシア側はノルドストリーム爆破事件の調査をめぐり、ドイツ側に公式に苦情を申し立て、「ドイツや他の影響を受けた国々が国連の反テロ条約に基づく義務を果たしているかについての問題を提起した」と語った。

同氏は、ドイツ当局が攻撃の容疑者1人として、ドイツの組織の一員であるとされるウクライナ市民に対して逮捕状を発行した点を指摘した。またチャプキン氏によると、ドイツの報道機関は、容疑者が特定の国とさえ関係がない可能性を示唆し続けている、という。

ドイツの捜査は「ノルドストリーム爆破事件の背後にいる真犯人を特定せずに終了する可能性が高い」とチャプキン氏は述べ、ロシアはこの結果を受け入れないだろう、と強調した。


英国の恥!!英国では15万人の子どもがホームレス!!!

<記事原文 寺島先生推薦>
UK government reveals ‘national scandal’
公式統計によると、イングランドでは15万人以上の子どもがホームレスになっている、という。
出典:RT 2024年8月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月13日


2682-1.jpg
ファイル写真:英国ロンドンの住宅慈善団体避難所の事務所、2024年7月3日。© Mike Kemp/In Pictures via Getty Images


英国は15万人以上の子供たちが仮設住宅で暮らしており、住宅危機に直面している、とアンジェラ・レイナー住宅大臣が述べた。

住宅・コミュニティ・地方自治省(MHCLG)が木曜日(8月8日)に発表した公式統計によると、3月時点で15万1630人の子どもがホステルやベッド&ブレックファースト(B&B)に住んでいたことがわかった。

我が国の記憶に残る中で最も深刻な住宅危機に直面しており、ホームレスは記録的な段階に留まっています。これはまさに国家的な恥です。この状況を解決するために緊急の措置を講じなければなりません」とレイナー大臣は声明で述べた。

住宅提供業者リバーサイドの運営副部長デイブ・ロビンソン氏はBBCに対し、イングランドのホームレスの子どもの数は現在、イプスウィッチ(15万1565人)、ブラックプール(14万9070人)、ヨーク(14万1685人)などの都市の総人口を上回っていると語った。

政府の統計によると、2004年に計画が開始されて以来、一時的な宿泊施設に滞在するホームレスの子どもの数は増加しており、2023年3月以降、その数は15%増加している。

2682-2.jpg
関連記事:British police arrest politician’s spouse over tweet

ベッド&ブレックファーストは、緊急時に最長6週間まで家族を泊めるためのものだが、子どものいる「何千」もの世帯は、それよりずっと長くそこにいる。彼らは「スーツケースで何か月、あるいは何年も生活し」、「どこにも根を下ろすことができません」と、住宅支援団体避難所のポリー・ニート最高責任者は国営放送BBCに語った。

「一時的な宿泊施設の利用率が高いのは、国の政策の失敗の結果であり、地方自治体はホームレスを最初から防ぐのではなく、ホームレスの結果に対処するために多額の費用を費やすことを余儀なくされています」と地区議会連絡網の住宅担当ハンナ・ダルトン報道官は述べた。

レイナー大臣はキア・スターマー首相の副官の一人であり、彼女の担当する省は先月、前内閣が「レベルアップ・住宅・コミュニティ省」と呼んでいたものから再編された。

政府は現在、地元の指導者らと協力し、「ホームレスを永久になくすための長期戦略を策定中です」とレイナー大臣は述べた。この戦略の一環として、レイナー大臣は「社会住宅と低所得者向け住宅の建設をこの世代で最大規模に増やす」こと、無過失立ち退きを廃止すること、そして最も危険にさらされている家族に住宅を提供するために数百万ポンドを費やすことを約束した。

移民問題や、それが住宅危機にどのような影響を与えるかについては触れられなかった。サウスポートの女子ダンスの催しでの集団刺傷事件をきっかけに、英国全土で過去1週間に数十件の反移民暴動が発生している。スターマー政権は「モスクやイスラム教徒居住地への攻撃を容認しない」と誓い、暴徒を取り締まるために「常駐」の警官を配備している。

ロシア語禁止で、エストニアの教師の20%が失職の怖れ

<記事原文 寺島先生推薦>
Most teachers in Baltic state fail language test after crackdown on Russian – media
エストニア、教育課程からロシア語を段階的に廃止することを公約
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


2575-1.jpg
© ゲッティイメージズ / クラウス・ヴェドフェルト


デルフィ・メディア社の報道によると、6月のエストニア語の語学試験に合格したのは、エストニアの教師の20%未満にすぎなかった、という。バルト三国の一国であるエストニアが、ロシア語話者に対する取り締まりを実施する中、この結果は新学期を前に教育の専門家の不足を引き起こす可能性がある、とのことだ。

エストニア当局は、教員らに対し、8月1日までに語学力の評価を受けるよう命じている。2年前に採択されたエストニア語教育への移行計画に基づき、ロシア語を用いて教員として勤務し続ける意思のある教師は、エストニア語の言語運用能力が、B2レベルまたは優秀段階でなければならず、エストニア語を用いて教えたい教員は、エストニア語の運用能力の上級段階(C1)の語学証明書を取得しなければならない。

デルフィ・メディア社は、6月にB2レベルの語学能力試験を受けた教師395人のうち、合格したのはわずか90人、つまり22.7%だった、と報じた。いっぽう、C1試験の合格者はわずか70人、つまり18%だった。

この結果は、エストニアの学校が来年度、最低限の語学力要件を満たす教師の不足に直面する可能性があることを意味している、と報じられている。

エストニアのクリスティーナ・カラス教育大臣はデルフィ社に対し、政府は今週後半にこの問題について協議する予定である、と語った。また、同省はB1レベルの能力試験に合格した教師に1年間の契約を提供し、B2レベルの試験に合格したら新しい契約に置き換えることができる、とも付け加えた。カラス大臣はまた、A1レベルの能力しか達成していない教師やエストニア語を学んでいない教師にはそのような機会は与えられない、とも述べた。

2575-2.jpg
関連記事:EU state won’t allow schools in Russian-speaking city to teach in mother tongue

2022年の法案では、エストニア全域の学校と幼稚園でエストニア語が教育言語となる。改革は2024~2025年度に実施され、2029年までに完了する予定。今年初め、エストニア議会はロシア語教育への資金提供を停止する計画を発表した。

ロシア系民族はエストニアの全人口のほぼ4分の1を占める。昨年、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、同国の新しい教育法は、「教育における民族的および言語的少数派の権利に影響を及ぼす制限的で差別的な措置となる可能性がある」ことを示唆した。

ロシア政府は、エストニアと他の2つのバルト諸国、ラトビアとリトアニアが嫌露政策を推し進めている、と繰り返し非難している。今年初め、ラトビア政府は、同国の学校では2026年から初等教育における第2外国語としてのロシア語の授業を段階的に廃止し、EU公用語に置き換える、と発表した。

ラトビアで人権侵害。ロシア国旗を窓に掲げただけで3年の投獄

<記事原文 寺島先生推薦>
EU state jails citizen for supporting Russia
活動家のエレナ・クレイレ氏は、窓に親ロシアの旗を掲げたとしてラトビアの裁判所から懲役3年の判決を受けた。
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


2597-1.jpg
活動家エレナ・クレイレ氏© LTV Ziņu Dienests


ラトビアのリガ市裁判所は、親ロシア派活動家のエレナ・クレイレ氏に対し、ロシア政府とそのウクライナ軍事作戦を公然と支持した罪で懲役3年の刑を言い渡した。

ヤウンス通信が報じた裁判所の文書によると、検察は当初、クライレ被告に禁錮3年半を求刑していた。同被告は、ラトビア刑法の大量虐殺の公的正当化、人道と平和に対する罪、戦争犯罪に関する条項に基づいて正式に起訴された。

クレイレ氏は3月、ソ連風の革製トレンチコートを着て、ベレー帽に赤い花をつけていたことで逮捕された。当初は「行政違反の手段」となる服装をしていたとして罰金を科されたが、検察はその後、昨年自宅の窓に親ロシアの象徴を掲げたことでロシアによる大量虐殺を支持した罪でも彼女を起訴した。

2597-2.jpg
関連記事:Latvia’s national theater bans Russian language

検察官は特に、クレイレ氏がロシア国旗やロシアのリボンを掲げたことを問題視した。その一部には「神はラトビアを守護する」や「プーチンは私の友人」と書かれたものもあった。報道によると、彼女は他にもロシア国旗と同じ色のレンガの山をラトビア国旗に似たリボンで巻き、「ラトビアとロシアの揺るぎない友情の礎」というメッセージを刻んだものなど、いくつかの展示をおこなっていたという。

クレイレ氏は無実を主張し、判決に対して控訴した。ヤウンス通信によると、次回の審理は9月11日に予定されている、という。

昨年、この活動家は、ロシアとラトビアの国旗を店の窓に掲げ、ロシアへの支持を表明する衣服やアクセサリー、特に「Z」の文字が印字されたハンドバッグを身に着けて公の場に何度も現れたとして、同じ容疑で罰金と執行猶予付きの懲役刑も受けた。Zの文字は、ロシア政府によるウクライナ軍事作戦としばしば関連付けられる文字である。

左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭によりマクロンの「中道派」の防疫線が崩壊。フランス革命の再来か

<記事原文 寺島先生推薦>
“Operation Jupiter” and a revolution in the making
筆者:アラステア・クルック(Alastair Crooke)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


2588.png


左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭により「中道派」の防疫線が崩壊した。
*ジュピター作戦とは第二次世界大戦末期、連合国側がフランスのオレロン島(ドイツ側に残された最後の拠点だった)の奪還を狙い、成功した作戦のこと。

ブリュッセルの特権階級層は長い安堵のため息をついた。フランスの右派は阻止されたのだ。市場は満足げに肩をすくめた。「同じままでいるためには、すべてが『変わる』必要がある」。中道派の政府は道を見つけるだろう!と。

マクロンは、中道派の戦術的防衛線を敷くよう命じ、両極の政治的立場を妨害することで、右派と左派の「ポピュリスト」をうまく阻止した。そして、その戦術的封鎖は成功した。

「右翼」のルペン党は、得票率32%のうち125議席を獲得した(議会のわずか22%)。左翼は得票率26%のうち180議席を獲得し、マクロンの「アンサンブル(合奏)」連立政権は得票率25%のうち159議席を獲得した。

しかし、どの政党も政権を握るのに十分な議席を持っていない(通常は240から250議席必要)。これが成功と見なされるなら、それは間違いなくピュロスの勝利*だ。左翼は無政府主義者から現代版レーニン主義者まで、さまざまな反対派から構成されており、メランションが率いるその中核はマクロンの中道派や不満を抱いているル・ペン派支持者らと決して協力しないだろう。
*払った犠牲と勝利して得たものが釣り合わない、すなわち割りに合わない勝利のこと

歴史家マキシム・タンドネットは、マクロンが大失敗以外の何かを成し遂げたと考えるのは、出来事の壮大な誤解だ、と述べている。

「ジュピター作戦は最悪の結末に陥った。完全な行き詰まりだ」

この議会の混乱から機能する政府を形成することは不可能だ。(マクロンは敗北した首相の辞任を拒否し、暫定的に留任するよう求めている。)

サン=シール陸軍士官学校の元研究部長、アンリ・フーデは次のように述べている。

「フランスで革命が起こりつつあることに誰も疑う余地はない。通常の国家や福祉国家を維持できるようにする支出は財源をはるかに上回っており、経済成長や課税によって大幅に増やすことはほとんど不可能である…

「国家が収支を合わせる唯一の方法は、借金を増やすことだ。借金を支えられるようにする唯一の策は、金利を極めて低くすることだけだが、何よりも重要なのは、ユーロとドイツ国債(10年国債の信用格付けが高い)との特権的なつながりのおかげで、お金を「無から」無限に発行できる能力だ。」

これらの制度が廃止されれば、「金融関係者は、フランスは公務員の給与を約3分の1削減するか、公務員の数を3分の1削減し、全員の退職年金を5分の1削減しなければならない、と見積もっている。これは明らかに実現不可能だ」。

「現実には、予算と貿易赤字が債務に偽装されているため、30年前に国の通貨切り下げによって債務問題は解消されていたはずである。しかし、この債務策略は(ますます富裕層に利益をもたらしている)…一方で、一般大衆はバラ色の夢の中で不平を言い続け、財政状態について無知のままである…とはいえ、支配階級は状況を十分認識しているが、誰も何をすべきかわからないため、それについて話すことを好まない。」

「現実問題として、諸国家が破産を宣言する真実の瞬間が現れることに、疑いの余地はない…西洋は根底から揺さぶられ、シャンパンのコルクが弾けるような国も出てくるだろう。経済は再編されなければならない。おそらく文化革命も起こるだろう。フランス革命を引き起こしたのはフランス国家の破綻だったことを忘れてはならない…」

「しかし、なぜこれ(金銭の浪費)がいつまでも続くことができないのかと疑問に思う人もいるかもしれない。それはこれから明らかになるだろうが、まだその時ではない。」

「いまや、破産宣告が下される前から、制度への信頼は失われている。権威と威信を失った公的機関の無力さ、そして大統領への嫌悪感は、この大失敗が明らかになったときに解き放たれるであろう衝撃の力を予見させる。フランスでは「ギリシャ型」の結末は起こりそうにない。我々は何か他のものに賭けた方がよいだろう(インフレ抑制とユーロの切り下げ?)。」

もちろん、フランスだけではない。「ユーロ体制は、ユーロ加盟国に財政的に賢明で『高潔』であることを強いるはずだった。しかし、全く逆のことが起きた」。ドイツの健全な信用により、他のEU諸国はドイツの特権的な格付けに大きく「依存」し、EU全体の国家債務水準を人為的に低く抑えることで、無限の債務にふけることができた。

米ドルの優位性が続く限り、ユーロの優位性も維持されるはずだ。ただし、ウクライナ戦争が何よりもまずドイツの産業を破壊している。フランスはすでにEUの過剰赤字是正手続きに直面している。他のEU諸国も同様だ。ドイツは債務停止をかけており、400億ユーロの削減をしなければならない。ユーロ圏のほとんどで緊縮財政が進行中だ。

このリベラルな債務ピラミッドの頂点にある米ドルは、西側の「ルールに基づく秩序」とともに崩壊しつつある。世界の地政学的戦略上の「プレート」、そして文化的な時代精神は変化しつつある。

簡単に言えば、マクロンがうっかり明らかにした問題は解決不可能だ。

「この新たな精神を『新しいポピュリズム』と呼ぶこともできるだろう」と米国の作家ジェフリー・タッカーは書いている。

「それは左翼でも右翼でもないが、過去の両者から主題を借りている。いわゆる「右派」からは、人々は自分たちの生活や地域社会の中で、権力者を信頼するよりも賢明な意思決定を行う能力が高いという自信を得ている。古い左派からは、新しいポピュリズムは言論の自由や基本的権利、企業や政府の権力に対する深い疑念を求める声を得ている。」

「権力を握って地位を確立した特権階級層に懐疑的になるという主題が重要な点だ。これはあらゆる分野に当てはまる。政治だけの問題ではない。報道機関や医療、裁判所、学界、その他あらゆる上位分野に影響を及ぼす。そして、これはどの国でも同じだ。これはまさにパラダイムシフト(劇的なシステムの変化)に相当する。一時的なものではなく、実質的なものであり、おそらく永続的なものと思われる。」

「ここ4年間に起こった出来事は、何十年もの間に蓄積されてきた不信感(および特権階級層の非合法性に対する感覚)の大衆的な波を引き起こした」。

哲学者マルブランシュは、その著書『道徳論』 (1684)の中で次のように書いている。「人はすべてを許すことができるが、軽蔑だけは受け付けない」と。

「職務を果たさない特権階級はエリート主義者と呼ばれる。その行為は不当で乱暴に思われるが、さらに重要なのは、その存在自体が侮辱であることだ。これが憎悪の源であり、競争心が嫉妬に変わり、嫉妬が復讐心に変わり、結果として戦争が起こる原因になる。」

ではどうすればいいのだろうか?

米国の秩序を回復し、反対意見を黙らせるためには、NATOの勝利が必要とされた。

「現在、NATOにとって最大の危機と最大の損失は、ウクライナにおいてロシアが勝利することです。我々はこれを許すことはできません」とストルテンベルグ事務総長はワシントンでのNATO記念集会で述べた。

「この戦争の結果は、今後数十年にわたる世界の安全保障を決定することになるでしょう。」

したがって米国政府内の一部の人々は、ウクライナでロシアとの戦争において勝利することができれば、ドル取引に反抗している国々を正気に戻らせ、世界中で西側諸国の優位性を再度十分に確立できるかもしれない、と考えていただろう。

長い間、米国の保護国であることは許容されることであり、有利でさえあった。しかし、もはやそうではない。米国はもはや「恐怖」を与えない。禁忌は崩壊しつつある。ポストモダン期(20世紀後半)の西側に対する反乱は世界規模で起こっている。そして、ロシアを軍事的に打ち負かすことはできないことは世界の大多数にとって明らかである。敗北しているのはNATOのほうである。

ここに、この事業の「中心の穴」がある。バイデンはおそらく、もう長くは生きられないだろう。誰もがそれを分かっている。(訳註:バイデンは7月22日に大統領選挙からの撤退を表明した。)

左翼と右翼に対する防疫措置が崩壊し、国内で政治的支持が危険なほど失われているEU指導者の中には、この戦争を、解決不可能な財政破綻に近づいているEUからの出口と見ている者もいるかもしれない。

逆に、戦争では、あらゆる財政および憲法上の規則が破られる。政治指導者は突如として最高司令官に変身する。

軍隊を派遣し、戦闘機(および長距離ミサイル)を提供することは、意図的により広範囲なヨーロッパ戦争を狙っている、と解釈できる。米国が明らかにルーマニアの F-16 基地の使用を考えているという事実は、ヨーロッパで戦争を引き起こし、沈みつつあるさまざまな大西洋主義の政治的運命を救うための手段として意図されているのかもしれない。

対照的に、ヨーロッパ人(88%)は「NATO加盟諸国は交渉によるウクライナ戦争の解決を推し進めるべきだ」と言っているという明確な証拠があり、西側諸国は「ロシアの弱体化」や「2022年以前のウクライナ国境の回復」などの目標を優先すべきだ、と考えている人は、世論調査対象者のごく少数に過ぎなかった。

むしろ、欧州の国民は圧倒的に「戦争激化の回避」や「核保有国間の直接戦争の回避」といった目標を支持していることが示されている。

どうやら、もっとありそうなのは、ヨーロッパで抑圧されていた反戦感情が爆発し、最終的にはNATOそのものの拒絶につながる可能性もあるということだ。そうなると、トランプはNATOに対する姿勢で、開かれた扉を押し開けることになるかもしれない。

トランプ暗殺未遂事件の12日前、BBC司会者が彼の暗殺の呼びかける

<記事原文 寺島先生推薦>
BBC presenter calls for Trump to be assassinated
この発言は、共和党の大統領候補の最有力候補(トランプ)の刑事責任が連邦最高裁判所の判決によって免責を認められたことを受けてのものだった。
出典:RT 2024年7月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


2601-1_202407221720407af.jpg
ジョージア州アトランタで行われたジョー・バイデンとの大統領選討論会でのドナルド・トランプ。 © Getty Images / ジャスティン・サリバン / Staff


BBCの司会者デイヴィッド・アーロノヴィッチ氏が、X(旧ツイッター)への投稿でドナルド・トランプ前米大統領の「殺害」を呼びかけた。 アーロノビッチ氏はその後、反発を受けてメッセージを削除し、「風刺に過ぎなかった」と主張した。

英国国営放送のラジオ4番組『The Briefing Room』の司会を担当しているアーロノビッチ氏は、月曜日(7月1日)にこうツイートした:「私がバイデンなら、トランプをアメリカの安全保障に対する脅威だという理由で、急いで殺害させるだろう」と。

この投稿には「#SCOTUS(米国最高裁判所)」というハッシュタグが添えられており、元大統領は公務行為に対する訴追を「絶対免責」されるとする連邦最高裁の判決が月曜日(7月1日)に確定したことが、この発言の引き金になったことを示している。

アーロノビッチ氏はネット上の反発を受けて投稿を削除せざるを得なくなり、そのことをその投稿に続けられた投稿において「極右の群れ」から暴力を扇動していると非難されたためである、と主張した。この司会者は自分のツイートは 「単なる風刺」だったと主張した。

2601-2.png
© X/@JackBMontgomery

月曜日(7月1日)、米最高裁判所は、「三権分立の制度の下で、大統領は憲法上の権限を行使することで訴追されることはなく、その公的行為について少なくとも推定的に訴追を免除される権利がある」との判決を下した。

フォックス・ニュース・デジタルのインタビューで、トランプ大統領は大統領免責に関する判決を「我々の憲法と民主主義のための大きな勝利」と賞賛した。

バイデン大統領は最高裁判決を攻撃し、市民に対して判決に対する「反対」を表明するよう促した。

関連記事:Biden reacts to Trump immunity ruling

米連邦検察当局は、トランプ大統領を2020年の大統領選挙に関する4つの刑事訴追で起訴していた。

最高裁の評決はなお、下級裁判所に、その行為が公式なものか非公式なものかを判断するための証拠調べを行なう権利を認めている。なお、大統領による非公式な行為は、訴追免責の対象とはなっていない。

トランプ大統領は繰り返し、自身への訴追を政治的な動機によるものだとし、バイデン氏とその政権が仕掛けた「魔女狩り」だ、と表現している。

フィンランド、ロシアの目の前にある15の軍事基地の管理権を米国に与える

<記事原文 寺島先生推薦>
Finland Gives US Control Over 15 Military Bases, on Russia’s Doorstep
筆者:ドラゴ・ボスニック( Drago Bosnic)
出典:Global Research 2024年7月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月19日


2529-1.png

***

半世紀近くにわたり、スカンジナビアの中立(ノルウェーを除く)は、ソ連とNATOの間にさまざまな緩衝地帯を維持するための重要な要素であった。そして興味深いことに、ソ連がバルト海ではほぼ脅威になっていない現在のロシアよりもはるかに強力であったにもかかわらず、なぜかスウェーデンもフィンランドもNATOの一員になる必要性を感じなかった。

さらに言えば、仮にもソ連が侵攻する危険性があったとしても、ソ連は1991年にはなくなっていた。それまでは、モスクワのバルト海への接続はフィンランドからデンマークまで伸びていた(ほぼ、である)。現在では 、サンクトペテルブルクとカリーニングラードがロシアの唯一の接続ポイントである。

したがって、ソ連時代のクレムリンが(第一次)冷戦期にスウェーデンとフィンランドを侵略などしていないのだから、きっと今のロシアもそんなことはしないだろう。しかし、熱狂的なロシア恐怖症は非常に有害な変性疾患であるため、人々の判断力を鈍らせ、さまざまな軽率で不可解な決断をさせる。しかし、スカンジナビアにおけるNATOの拡張主義を、ロシアを 敵対国家やその他の存在(テロリストを含む)で包囲することを目的とした、より広範な攻撃的軍備配置の増強の一環と見なすことなしに説明することは不可能だ。そのような最新の動きのひとつとして、ヘルシンキは米国に軍隊を駐留させる法的許可を与えた。フィンランド議会での採決は全会一致だった。


フィンランドとの安全保障交渉で、アメリカに15の軍事基地の自由使用権を与える―ジョン・バンダイバー
2529-2.jpg
米国務長官アントニー・ブリッケン(右)とフィンランド国防大臣アンチ・ハッケネンは、2023年12月18日ワシントンで相互防衛協定に調印する。

関連記事:スカンジナビアへのNATOの "戦争挑発行為の触手"

こうして7月1日から、ワシントンは少なくとも15のフィンランドの軍事基地を使用できるようになり、重火器を配備する可能性もある。どのような武器や装備を指すのかは明記されていないが、想像するのはそれほど難しくない。

アメリカはすでに、これまで禁止されていた中規模の・中距離ミサイルでロシアと中国を包囲しようとしており、それこそが、ヨーロッパとアジア太平洋地域の至る所に新たな軍事基地を設置する理由なのだ。フィンランドとの最新の協定は「防衛」協力協定(DCA)と名付けられ、現地の情報筋によれば、「米国はフィンランドに防衛装備品、物資、資材、兵士を持ち込むことができるようになる」という。

さらに悪いことに、「防衛」協力協定(DCA)によってアメリカは立ち入り禁止軍事区域を設ける法的根拠を得た。つまり、フィンランドは主権を放棄し、ロシアのミサイルの合法的な標的になるということだ。

おめでとう、ヘルシンキ!NATOとロシアの軍事衝突(その可能性が高まっている)が起きた場合、550万人のフィンランド国民を事実上即座に熱核兵器による消滅にさらすことになる。米国が世界中に同様の「独占アクセス」施設を持っており、米国国防総省が通常、致命的な生物学的物質を含む違法なプログラムや実験のためにそれらを使用しているという事実を考慮すれば、ロシアは対応せざるをえないだろう。

実際、クレムリンはそのような動きを確実に予測しており、だからこそ弾道弾や極超音速兵器で武装した新たなミサイル旅団をロシア北西部に配備し始めたのだ。モスクワの「イスカンデルM」プラットフォームや、9-A-7660「キンズハル」システム(9-S-7760空中発射型極超音速ミサイルを搭載)を搭載したMiG-31K打撃戦闘機で使用されるような、誰にも引けを取らないミサイルは、スカンジナビア全土を射程圏内に収める。さらに、この比類なき兵器の圧倒的なスピードは、クレムリンに事実上即座の報復能力を与え、いざという時に備えている。残念ながら、ヘルシンキの支配層(明らかに自殺願望を抱いている)は、このような事態を何一つ阻止できなかったようだ。

核武装した隣国を敵に回すというフィンランド議会の無分別な決定は、「防衛」やそれに類する理由では正当化できない。フィンランドがロシアとの国境にアメリカの攻撃能力を駐留させるという単純な事実は、ロシアが、フィンランドが防御する手段を持たない兵器を配備するのに十分である。「防衛」協力協定(DCA)によってフィンランドに米軍が常駐する法的枠組みができたため、クレムリンもそれに応じることになり、ヘルシンキはNATO加盟前よりもはるかに安全でなくなる。

しかし、フィンランドの情報筋によれば、フィンランド国内ではこれに反対する意見もあるようだ。アンナ・コンチュラ議員は、他の議員に「防衛」協力協定(DCA)を拒否するよう求める動議を提出したが、彼女の動議は支持を得られなかった。そのため、フィンランド議会は「協定について採決を行わず、全会一致で承認した」と地元情報筋は報じている。このことだけでも、協定の合法性に重大な疑問符がつくが、この協定に大きな反対運動が起こる可能性は極めて低い。先月、ヘルシンキの憲法委員会は、「(DCAは)フィンランド憲法のいくつかの側面に影響するため、議会の3分の2以上の賛成が必要である」(つまり違憲である)と結論づけた。

言い換えれば、フィンランドは80年以上前にナチス・ドイツ(地政学的な前任者)に対して行なったように、アメリカやNATOを喜ばせるためにしゃしゃり出ているのだ。2021年にヘルシンキがF-35戦闘機を手に入れたがっていたように、これは 特別軍事作戦(SMO)よりかなり前から準備されていた。このような戦闘機を保有するということは、その国の主権を放棄するということでもある。つまり、「中立」だったフィンランドがNATOに加盟しないとしても、国防総省は事実上フィンランドの軍隊の重要な部門を支配することになり、ロシアはどちらにせよ対応せざるを得なくなっていたのだ。

この記事は InfoBricsに掲載されたものです。

ドラゴ・ボスニックは独立系の地政学・軍事アナリスト。Global Research の定期的な寄稿者である。

ル・ペン氏の政党、フランス総選挙で歴史的大勝利を逃す

<記事原文 寺島先生推薦>
Le Pen’s party falls short of historic milestone in French election
左派の新人民戦線(NFP)が、画期的な結果を残し連立与党を破って先頭に立った。
出典:RT 2024年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月12日


2523-1.jpg
画像© Global Look Press / Julien Mattia


日曜日(7月7日)に地元報道機関が内務省の最終集計数値を引用して報じたところによると、フランスは2回目の選挙で、どの政党も過半数を獲得することができず、明確な首相候補が不在のまま議会が空転する事態に直面している。

先週末に最有力候補に浮上したマリーヌ・ルペン氏に連なる右派政党「国民連合」(RN)は今回、定数577人の国民議会で143議席を獲得し、3位に終わった。

新人民戦線(NFP)も絶対多数を確保できず、獲得議席は182議席だった。 先週末の第1回投票では、RNの37議席に対してNFPは32議席にとどまったが、NFPは数百人の候補者の「戦術的辞退」によって議席を大幅に伸ばした。

ル・モンド紙によれば、エマニュエル・マクロン大統領率いるリベラル系与党連合の獲得議席は168議席で左派の新人民戦線の後塵を拝した。

2523-2.jpg
関連記事:National Rally trounces Macron’s bloc in French vote

イプソス・タラン社によれば、今週末の投票率は67.1%と推定され、確認されれば1997年以来最高となる、という。

マクロン大統領は投票後、国民への演説を拒否している。大統領官邸のエリゼ宮によると、大統領は選挙結果を分析した上で、さらなる措置を講じるとし、新議会が発足するのを待ち、「必要な決定をくだす」と付け加えた。 同国家元首は「フランス国民の選択を尊重する」意向である、と同声明は付け加えた。

ガブリエル・アタル首相は、出口調査の結果を受けて、火曜日(7月9日)に辞表を提出すると発表した。 フランスの報道機関によれば、同首相は選挙区で再選され、今後は国会議員として国民議会に加わることになる、という。

アタル首相はまた、フランスの 「何百万」もの人々が、彼が「急進派」と呼ぶ人々に投票したという事実を「決して受け入れない」と述べた。また、「我々の価値観の強さ」が急進勢力が議会で絶対多数を占めることを防いだ、とも述べた。

NFP(新人民戦線)の一角であるフランス不屈党のジャン=リュック・メランション党首は、マクロン大統領に「敗北を受け入れ」、左翼連合に新政権を樹立させるよう求めた。 「我々は不可能と言われた結果を達成しました」と同党首は述べ、「大統領は新人民戦線に政権を要請しなければなりません」と付け加えた。

2523-3.jpg
関連記事:Hundreds of candidates withdraw from French runoff – media

RN(右派政党「国民連合」)のジョルダン・バルデラ党首は、党の「歴史上最も重要な躍進」である、と称賛した。 同党首はなおも、マクロン大統領の政党と左派連合の「不名誉な同盟」と呼ぶものがRNの勝利を妨げた、と非難したが、これは第2回選挙を前に両勢力がおこなった「戦術的撤退」を指していると思われる。

RNのベテラン政治家で前党首のマリーヌ・ルペン氏は、「(議員数が)倍増したのですから、この結果に失望するわけにはいきません。我が党はこれまであまりにも多くの辛酸を舐めてきたのですから」と述べた。 彼女はまた、RNの最終的な「勝利が遅れているだけです」とも述べた。

マクロン大統領は、6月上旬に行われた欧州議会選挙でRNが好成績を収めたことを受けて、早期の国民議会選挙を招集した。フランスの国民議会議員は小選挙区制で、2回の直接投票で選出される。1回目の選挙で半数以上の票を獲得すれば、候補者は完全勝利することができる。また、12.5%の得票率に達した候補者は2回目の選挙に進むことができる。

今週末の投票を前に、マクロン大統領率いるルネッサンス党とNFP(新人民戦線)は、報道機関が「戦術的撤退」と呼んだ手段に打って出た。大統領派諸政党と左翼連合から200人もの候補者が2回目の選挙を辞退したのは、両者の間で票が割れるのを避け、RN党が議会で絶対過半数(289議席)を獲得するのを阻止するためだった。

英国選挙で、コービン氏が以前所属していた労働党の候補に勝利

<記事原文 寺島先生推薦>
Corbyn triumphs over former party in UK election
この無所属のコービン議員は労働党の候補に勝利し、キール・スターマー労働党党首に警告を発した。
出典:RT 2024年7月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月11日


2525-1.jpg
ファイル写真:英国のジェレミー・コービン元労働党党首 © AFP / ジャスティン・タリス


元労働党党首ジェレミー・コービン氏は、木曜日(7月4日)の総選挙で無所属として出馬し、英国議会での議席を維持した。

コービン氏はロンドンのイズリントン北選挙区で2万4120票を獲得し、労働党のプラフル・ナルガンド候補の1万6873票を大きく上回った。ガーディアン紙が金曜日(7月5日)に報じたところによると、同選挙区の投票率は67.5%で、2019年より4%低かった。

75歳のコービン氏は1983年以来、下院議員としてイズリントン北部から選出されている。長年にわたりパレスチナ人の権利を主張してきた同氏は、2015年から2020年まで労働党を率いたが、在任中に党内の反ユダヤ主義批判にさらされて党首の座を追われ、職務停止となった。

コービン氏は、これらの主張は「政治的な理由で大幅に誇張されている」と主張した。また同氏の支持者たちは、コービン氏が反緊縮財政、反戦の姿勢をとったために、労働党の政敵らによる中傷の犠牲になったと主張している。通信社のアルジャジーラの調査によると、コービン氏を反ユダヤ主義者に仕立て上げる動きの背後にイスラエルがいる、との結論が出されている。

今年初め、コービン氏の後任である労働党党首キール・スターマー氏は、コービン氏が総選挙で党の代表として出馬することを禁じた。コービン氏は無所属で選挙活動をおこなうと発表した後、5月に正式に労働党から除名された。

2525-2.jpg
関連記事:UK Labour leader lobbied strongly for total Israel support – Corbyn

コービン氏は、元所属政党に対抗して出馬し勝利した後、同氏に11回目の当選をもたらしたイズリントン北部選挙区の住民は「より親切で、より穏やかで、より賢明で、より包括的な政治が何をもたらすことができるかを示しました」と述べた。

「今夜ほど私の選挙区を誇りに思うことはないし、この結果をもたらした私たちの仲間を誇りに思います」とコービン氏は語気を強めた。

イズリントン北選挙区でナルグンド氏が落選したにもかかわらず、労働党は保守党に大敗をもたらし、推定412議席と議会の過半数を獲得して2005年以来の選挙勝利を手にした。

スターマー氏がどんな首相になるかと問われたコービン氏は「まあ、何が起こるか見てみましょう」と答えた。

現労働党党首が提出した選挙公約は「控えめに言っても内容が薄く、保守党政権の政策に対する真剣な経済的代替案を提示していません。そのため、国民のスターマー氏への要求は極めて大きくなるでしょう」とコービン氏は主張した。

関連記事: Rishi Sunak resigns as Conservative Party leader

「社会が切実に求めていることに対する支出を増やす政策を打ち出さないと、政治的な問題が起きると思います。国民からの要求は膨大になるでしょう」とコービン氏は警告した。

習近平主席がハンガリーのオルバーン首相と会談

<記事原文 寺島先生推薦>
Xi Jinping meets Orban
中国の指導者(習近平)はハンガリー首相を北京で歓迎
出典:RT 2024年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月11日


2518-1.jpg
© X / PM_ViktorOrban


新華社通信は、習近平主席が「平和維持活動」と称する活動で北京に滞在しているハンガリーのオルバーン・ビクトル首相と会談した、と報じた。

「中国はロシアとウクライナの戦争で平和の条件を作り出す上で重要な国です。だからこそ私は習近平主席のブダペスト公式訪問からわずか2か月後に北京で彼と会談したのです」とオルバーン氏はX(旧ツイッター)の投稿で書いた。

詳細はまだ明らかにされていないが、(この会談は)先週のオルバーン首相のキエフとモスクワ訪問に続くものとなる。ハンガリー首相は到着後、北京訪問を「第3弾平和工作」と呼んだ。

オルバーン首相は先週火曜日(7月2日)、公表なしにキエフを訪問し、ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領に「早期停戦」を提案した。その後、オルバーン首相はモスクワを訪れ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と紛争の「最短の解決策」について協議した。

2518-2.png
関連記事:Orban makes surprise visit to China

このハンガリーの指導者は、ロシア政府とウクライナ政府の立場は依然として非常に「かけ離れている」と述べ、ゼレンスキー大統領はオルバーン首相の提案を「気に入らなかった」と指摘した。いっぽうプーチン大統領は、ロシア側は交渉を通じて敵対行為を解決する用意があると繰り返したが、ウクライナ指導部は「最後まで」戦争を続けるつもりのようだ、と述べた。

オルバーン首相とプーチン大統領の会談は他のEU首脳らを怒らせ、いっぽうウクライナ政府はハンガリー首相が「ウクライナの承認や調整なしに」ロシアを訪問したことに憤慨した。

「このジョージア(旧名グルジア)では「ウクライナのようなクーデター」を二度と許さない」と、コバヒゼ首相

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainization of Georgia will not happen – prime minister
トビリシが自国の政治システムを外国の影響から守るのは正しいことだ、とイラクリー・コバヒゼ首相は力説した。
出典:RT 2024年6月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月29日


2510-1.jpg
ファイル写真: グルジアのイラクリ・コバヒゼ首相。Davit Kachkachishvili / Anadolu via Getty Images



ジョージア(旧グルジア)のイラクリ・コバヒゼ首相は、「ウクライナ化」を目指す政治勢力の圧力に抗することを誓い、政府は「ウクライナ化」を許さないと断言した。

コバヒゼ首相は、統一国民運動(UNM)を非難した。ジョージアの前大統領ミハイル・サアカシュビリに連なる統一国民運動(UNM)が、海外からの資金提供を受けるNGOやメディアに対し、その資金源の申告を義務づける法律をめぐって、国民の不満をあおっていると。

コバヒゼ首相は、統一国民運動(UNM)が2014年にウクライナ政府を転覆させたような大規模な抗議行動を扇動しようとしていると主張した。

「国民運動(UNM)の代表に対して、ウクライナのシナリオがジョージアで定着することはない。ジョージアのウクライナ化はどんなことがあっても起こらない、と私は断言できる。我々はそれを防ぐために最大限の努力をする」と首相は、ベルリンでジョージアの大使や外務省職員と会談した後、記者団に語った。

2510-2.jpg
関連記事:アメリカ政府はNGOを利用して、いかに世界中の「市民社会」を堕落させるか

ジョージアの親欧米的な前指導者サアカシュヴィリは、大規模な抗議行動を背景に2003年に政権を握った。しかし、彼の政党は2012年の選挙で敗北した。サアカシュヴィリは母国を逃れ、クーデター後のウクライナで新たな政治活動を行なおうとした。

オデッサ州知事としての短い任期は2年足らずだったが、その後、野党に転じ、ウクライナの市民権を失い、最終的に2021年にジョージアに戻った。そこで彼は逮捕され、刑務所に入れられた。彼は現在、トビリシの「親ロシア」政府による政治的迫害の犠牲者だと主張している。

彼は、「外国工作員」法がジョージア政府を米国とその同盟国の矢面に立たせ、民主主義への攻撃だと主張し、これを支持する政府高官や政治家に対する制裁を実行すると脅している。与党「ジョージアの夢」党は、今月初めに法案が成立する前に、大統領の拒否権を乗り越えなければならなかった。

コバヒゼ首相は、ジョージアの法律は合理的であると主張し、水曜日(6月19日)遅くに上院で可決されたカナダの類似法案を引き合いに出して、反対運動を「茶番」と呼んだ。C-70として知られる連邦法案は、国内の民主主義を守るため、国政への外国の影響を制限することになっている。

関連記事:失敗した2つの「カラー革命」の背後にアメリカ - ジョージア首相

ジョージアの高官や親政府の政治家たちは以前、ウクライナについて否定的な発言をして、ウクライナがトビリシにとって外交政策を行なってはならない見本となっているとしていた。

ジョージアは西側の秘密兵器を無力化したのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Has Georgia disarmed the West’s secret weapon?
ジョージア(旧グルジア)で「外国の代理人」法案が施行され、大規模な抗議デモが巻き起こっている。この法律は何をもたらすのか?
筆者:ファルハド・イブラギモフ(Farhad Ibragimov)
研究者。ルダン大学経済学部講師、ロシア国家経済・行政アカデミー社会科学研究所客員講師。
出典:RT 2024年6月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月23日


2455-1.jpg
2024年5月13日、物議を醸している「外国の代理人」法案に抗議するデモ行進をトビリシで行なうジョージアの学生たち。© Giorgi ARJEVANIDZE/AFP


ここ数週間、トビリシではジョージアの野党勢力によって組織された抗議デモが激化している。その発端となったのが、ジョージア議会のシャルヴァ・パプアシュヴィリ議長が署名し、今週月曜日(6月3日)に施行された「外国からの影響の透明化に関する法律」である。

フランス生まれでフランス育ちのサロメ・ズラビシヴィリ大統領がこの法案を承認することになっていたが、それを拒否した。それにもかかわらず、与党は議会で彼女の拒否権を覆すのに十分な票を持っていた。野党はこの法案をロシアの外国代理人法に類似したものと呼んでいるが、実際にはジョージアの新しい現実はモスクワとは何の関係もない。

法律と抗議活動

新法によれば、年間収入の20%以上を海外から得ている、あるいは「外国勢力の利益を追求」しているジョージアのすべての非営利団体とマスメディアは登録が義務づけられる。この手続きには、申告書に記入し、団体の収入を記載することが含まれる。登録や申告書の提出を怠ると、25,000ラリ(約9,000ドル)の罰金が科される可能性がある。ジョージア法務省はまた、外国代理人を特定するために個人データや機密情報(弁護士と依頼人の秘匿特権を除く)を求める権利も認められている。

ジョージアの立法者は、この法律のモデルに米国の「外国の代理人登録法(FARA)」を利用している。ただし、ジョージア版の法律はもっと自由である。違反者には罰金を科すと定めているだけで、FARAのように5年以下の懲役は科さない。

しかし、どうやら野党にとってこれはお気に召さなかったようだ。国会で法案の審議が始まった4月15日から、トビリシでは抗議デモが始まった。「親ロシア」法だと主張するこの法案に反対を表明していた野党は、人々を街頭に動員した。デモ隊は警察を挑発し、警察とデモ隊の衝突に発展した。警察官は、挑発に屈することなく、自制して行動した。

2455-2.jpg
関連記事:マイダンの模倣:ジョージアには欧米から資金提供を受ける巨大なNGO部門があり、暴力的な抗議活動が定期的に発生している。何か関係があるのか。あるのか。

5月下旬、野党党首を含むデモ主催者たちは、この法律に反対する集会は2024年10月の議会選挙の日まで続くと述べた。

街頭活動は確かに、過去においてはこの国の当局に圧力をかける効果的な方法だった。この法律は2023年初めに採択される予定だった。しかし、数千人の人々がトビリシの街頭でデモを行なった後、当時のガリバシヴィリ首相は法案の提出を保留することを決定した。数ヵ月後、ガリバシヴィリ元首相は再び法律の採択を試みたが、抗議デモのため再び失敗した。

イラクリ・コバヒゼ(「ジョージアの夢」の元党首)がこの国の新首相に就任すると、彼は最終的に法律を採択するために全力を尽くすと約束した。ちなみに、スキャンダルにもかかわらず、世論調査によれば、与党は依然として国内で最も人気がある。しかし、ジョージアの野党はこのことをほとんど気にしていない。

反対する人々

ジョージア内外の専門家は、今回の出来事は2013年から2014年にかけてのキエフのユーロマイダンで用いられた戦術をほぼ忠実に再現したものだと評している。あの時は、少数派が街の中心広場に集まり、国全体の運命を決めようとした。世論調査によれば、ジョージアではほとんどの人が新法に反対していない。ヒステリックに振舞うのは、収入源、助成金源、外部資金を申告しないNGOに何らかの形で所属している人たちである。新法は欧米系の圧力団体に最も大きな打撃を与えるため、親欧米派の野党勢力がこの法律の主な反対派に浮上したのは当然のことだ。

ジョージアの最大野党、統一国民運動の党首であるレヴァン・ハベイシュヴィリ議員は、この法律を採択しないよう国会議員を説得するために、治療中の病院を抜け出して車椅子で国会に来たが、失敗に終わった。

「君臨すれども統治せず」のズラビシュヴィリ大統領も火に油を注いだ。彼女はフランス生まれで、ミハイル・サアカシュヴィリ前大統領の個人的な招きでジョージアにやってきて、ジョージア外務大臣に任命された。後に彼女は野党側につくことでサアカシュヴィリ前大統領を裏切った。2019年、与党「ジョージアの夢」党の努力により、ズラビシュヴィリ氏は同国の大統領となった。法律と政治倫理の両方によれば、ズラビシュヴィリ氏は「ジョージアの夢」党の同僚を支援すべきだが、彼女は彼らをも裏切った。

2455-3.jpg
2024年5月28日、トビリシ中心部にある国会議事堂前の巨大スクリーンに映し出されたジョージアのサロメ・ズラビシュヴィリ大統領の演説を見る人々。© Giorgi ARJEVANIDZE/AFP

5月18日、大統領は採択された法律に拒否権を行使し、この動きは同国の憲法と、いわゆるヨーロッパの基準に反すると説明した。

実は、国会は近いうちにズラビシュヴィリ大統領を弾劾する可能性がある。同国の法律上からも「ジョージアの夢」党が国会で多数を占めていることからも、これは可能なことなのだ。ズラビシュヴィリ大統領は以前から社会の大部分から不人気だった。LGBT運動への積極的な支援や政治的な二枚舌は、いずれも彼女のイメージに悪影響を及ぼしている。

西側諸国は、ジョージアの現指導部がロシアに対して現実的な政策をとり、モスクワとの対話を維持しようとしていることに恨みを抱いている。トビリシはモスクワに対して制裁を課しておらず、ロシアとの貿易・経済関係の拡大に賛成している。両国間のビザ不要制度、両国間の直行便、ジョージア・ロシア間のビザなし渡航も、かつては同盟国だった両国の関係を温めている。

ジョージアがこのような主張を誇示すれば、西側諸国によって確立された規則に違反し、ロシアからのトランスコーカサス諸国*の段階的分離という計画を台無しにする。
*コーカサス山脈の南、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアの3国のこと

2455-4.jpg
関連記事:失敗した2つの「カラー革命」の背後にアメリカ - ジョージア首相

米国務省のマシュー・ミラー報道官は、対外資金援助法の採択に対し、与党「ジョージアの夢」は「数週間前から抗議しているジョージア国民の願望を無視し、同国を欧州統合への道から遠ざけた」と述べ、この動きがワシントンとの関係を危うくすると指摘した。

一方、ブリュッセルは、ジョージアの法律はEUの基本原則と価値観に反していると強調し、トビリシに対し、EU加盟につながる「道にしっかりと戻る」よう求めた。また、「これらの出来事に対応するためのあらゆる選択肢を検討している」とも述べた。

クレムリンは、ジョージアの「外国の代理人法」を「ロシアのもくろみ」とみなすのは馬鹿げているとし、「外国工作員と闘うシステム」を最初に打ち出したのはアメリカだと指摘した。

バルト三国とアイスランドの外相代表団が最近トビリシを訪問したのは偶然ではない。エストニア外相はジョージアに厳しい結果をもたらすと公然と脅し、EUはトビリシに制裁を課す意向を表明した。

この反応は予想されたことだった。来日した外相たちは、トビリシの街頭でデモ隊に加わり、外国の代理人に関する法律の廃止を要求した。つまり、EUはジョージアの内政に直接干渉していたのだ。

2455-5.jpg
関連記事:「敵も味方も」ジョージアのウクライナ派兵を望んでいる - 政府関係者

西側諸国は、ロシア、中国、そしてイランまでもが内政干渉していると、何の証拠も示さずにヒステリックかつ組織的に非難してきた。しかし、ジョージアに自国の「使者」を送り込み、内紛をあおることを躊躇しなかった。アントニー・ブリンケン米国務長官はすでに、ジョージア当局にビザ発給制限を課すと発表した。

ブリンケン国務長官によれば、新法は「結社と表現の自由の行使を抑圧し、ジョージア市民に奉仕する組織に汚名を着せ、ジョージア国民に質の高い情報へのアクセスを提供するために活動する独立メディア組織を妨害する」とされている。

西側諸国はジョージアを掌握し、自らの意思を押し付けようとしている。

抵抗の声

数日前、コバヒッツェ首相は重大な事実を明らかにした。どうやら、欧州委員会の一人が、5月15日に暗殺未遂事件から奇跡的に生還したスロバキアのロバート・フィツォ首相のような運命をたどると公然と彼を脅していたのだ。その人物とは、オリヴェール・ヴァルヘイ欧州委員(欧州近隣・拡大担当)だった。ヴァルヘイ氏はすぐに弁解を始め、自分の言葉は文脈から外れたものだと述べた。

ジョージア独立記念日の前夜、「ジョージアの夢」党の幹事長でトビリシ市長のカカ・カラゼ氏は、ワシントンがジョージア当局に圧力をかけており、外国代理人法の採択に対して制裁を科すと脅していると公然と述べた。「ジョージアと米国は、友好国ではなく、敵同士であることが判明した。カラゼ氏は、ジョージアの抗議デモと2014年にウクライナで起きたユーロマイダン事件を並列させ、「ウクライナ化はジョージアでは起きない」と述べた。

2455-6.jpg
トビリシ市長のカカ・カラゼ党書記長。© Davit Kachkachishvili/Getty Images

ジョージアの専門家や研究者の多くは、ジョージアの指導者がその路線から逸脱せず、内外の挑発に屈することなく、国民を落ち着かせることに成功すれば、この難局を乗り越えることができるという意見で一致している。「ジョージアの夢」には多くの支持者がおり、そうでなければ党と国の指導部は新法を採択する危険を冒すことはなかっただろう。EUとの統合を主張する数多くの左翼政党は、特に人気があるわけではない。

与党はこのことをよく理解している。以前は「親欧州」路線を貫いていた同党も、今ではゆっくりと、しかし確実に、そこから離れつつある。外圧やジョージアの国内政策への西側の干渉、西ヨーロッパのエリートたちの劣化により、ジョージアの指導者が長年行なってきたような汎ヨーロッパ路線ではなく、国益に基づいてのみ行動しなければならない状況が示唆されている。

トビリシが現在、モスクワと現実的な関係を築き、中国との関係を強化しようとしているのは偶然ではない。今年、北京とトビリシはビザなし渡航に関する協定に調印し、昨年は当時のジョージア首相イラクリ・ガリバシュビリ(現「ジョージアの夢」党首)氏が1週間の中国訪問を行い、「国際舞台における新たな最高の友好国」を宣言した。ワシントンとブリュッセルは不満を隠せず、ジョージア憲法が「ユーロと大西洋の統合」を規定している事実を思い起こさせた。

2455-7.jpg
関連記事:「NATO加盟国のために我々は危険にさらされている」: トルコ愛国党が警鐘を鳴らす

反欧米の傾向

明らかに、「外国の代理人法」は、反対派の口実になっているだけで、野党側の意図はジョージアの政治状況を揺るがし、2024年秋に予定されている議会選挙に向けてさらなる政治的ポイントを獲得することにある。西側諸国は、トビリシとモスクワの交流、北京との関係の積極的な拡大、ジョージアの「グローバル・サウス(南側諸国)」への志向の高まりなど、現ジョージア当局の政策に不満を抱いているため、これを利用しようとしている。

ジョージアの「外国の代理人法」が隣国トルコにも影響を与えたことは注目に値する。トルコ議会は現在、未知数の資金を受け取っている多くのNGOの透明な資金調達を確実にするために、ジョージアの類似法を導入する必要性について活発に議論している。

ハンガリーでも、外国の影響力に対する法律はかなりの効果を上げている。 2017年、ハンガリー議会は、少なくとも年間720万フォリント(1万8000ユーロ)の海外資金を受け取るNGOの管理を強化する法律を可決した。

政府は直接、ブダペスト生まれの億万長者ジョージ・ソロス氏の影響力と戦うつもりであることを表明しているが、それは一部報道によれば、ソロス氏は祖国で「カラー革命」を起こそうとしていたことを受けたものだ。ハンガリーの法律によれば、海外から資金提供を受けているNGOはすべて「海外から資金提供を受けている団体」としての登録を義務付けられており、登録の事実をメディア出版物や公的行事で表示し、活動に関する年次報告書を提出しなければならない。これに従わない団体は閉鎖の対象となる。

翌年、ハンガリーの与党フィデス党は、不法移民対策と伝統的価値観の保護を目的とした「ストップ・ソロス」と呼ばれる、より広範な一括法案を採択した。2020年、欧州司法裁判所は、NGOの透明性に関する法律はEUの法律と矛盾しており、廃止されるべきであるとの判決を下した。しかし、ソロスとの闘いが止まることはなかった。

2023年12月、新法「国家主権の保護に関する法律」が採択され、1月には国家主権保護局が設立された。この国家機関は、ハンガリーの選挙に影響を与えようとする外部からの企てと戦うためのものである。この法律では、選挙運動への外国からの資金提供に対して3年以下の禁固刑が規定されている。ハンガリーはEUとNATOの加盟国であるため、ブリュッセルはハンガリーの主権的立場を認めず、ブダペストに圧力をかけている。しかし、それ以外にできることはあまりない。

ジョージアの法律がはるかに寛大であるにもかかわらず、西側諸国はいまだに、(EUやNATOなどの)組織や同盟の加盟国でもない国の主権問題に公然と干渉し、どの法律を採択すべきか、すべきでないかについて発言できると信じている。

この法律が施行されれば、ジョージアと西側諸国との間の溝が深まることは明らかであり、今後数週間がトビリシにとって決定的な時期となるかもしれない。

ドイツのショルツ首相、EU選挙で打撃を受ける

<記事原文 寺島先生推薦>
Germany’s Scholz suffers EU election blow
リベラルと緑の政権連合、保守野党と右派AfDの後塵を拝す
出典:RT 2024年6月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月19日


2466-1.jpg
破損した選挙ポスター(ドイツ・フランクフルト、2024年6月9日) © AP / Michael Probst


出口調査によると、ドイツの連立与党は、日曜日(6月8日)のEU議会選挙で野党に完敗し、保守派と右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の後塵を拝した。

オラフ・ショルツ首相率いる中道左派の社会民主党(SPD)の得票率は約14%で、2019年の15.8%を下回り、ここ数十年で最悪の結果となった。

保守的な中道右派の主要野党、キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)が30%前後で1位になると予測されている。

AfDは約16%で2位に浮上した。この超保守的な欧州懐疑主義政党は、ウクライナへの武器供与の停止とロシアへの制裁の打ち切りを働きかけ、代わりに和平協議を呼びかけている。選挙前にはいくつかの醜聞があったが、支持率は過去5年間で5%近く上昇した。

ショルツ首相が率いる「交通信号連立*」の他の政党も損失を被った。自由民主党(FDP)の支持率は5.4%から推定5%へと緩やかに低下した。しかし、緑の党は、20.5%の得票率と欧州議会の21議席を獲得して過去最高の結果を出した2019年と比較すると、約12%へと劇的に落ち込んだ。
*それぞれの党の「党色」が交通信号の3色であるため、この連立政権はこう呼ばれている。

現連立政権の下、ベルリンはロシア・ウクライナ紛争の激化とモスクワへの制裁措置による影響を受け、燃料価格の上昇と景気後退の危険に直面している。一方、グリーン・ロビー活動の結果、昨年4月にドイツの最後の3つの原子力発電所が閉鎖された。IMFは、2024年のドイツのGDP成長率をわずか0.2%と予測している。

2466-2.jpg
関連記事:EU選挙でロシア制裁に反対する政党が急増

一方、ワーゲンクネヒト氏と元左翼党の政治家が1年足らず前に結成した左翼政党サハラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)は約6%の票を獲得した。BSWは経済政策では左寄りだが、一部の保守派と同様、無秩序な移民に反対するロビー活動を行なっている。EU選挙を前に、ワーゲンクネヒト氏は、ウクライナ紛争の更なる激化と、キエフがロシア領土への攻撃で欧米の兵器を使用することを許すことに警告を発し、欧米に「火遊びをやめよ」と訴えた。

EU加盟27カ国の中で最大の規模を誇るドイツは現在、欧州議会で96議席[訳註:全議席は720]を占めている。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EU議会で最大の勢力である欧州人民党を構成しているCDU(キリスト教民主同盟)の一員である。

ウクライナ問題で「火遊びはやめろ」 - ドイツ左翼の象徴的人物の発言(動画あり)

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Stop playing with fire’ on Ukraine – German left-wing icon (VIDEO)
サーラ・ワーゲンクネヒトは、選挙集会で、キエフがロシア国内の奥深くまで攻撃することを許すというベルリンの決定を非難した。
出典:RT  2024年6月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年6月17日


2454-1.jpg
ドイツのベテラン政治家、サーラ・ワーゲンクネヒト © Global Look Press / IMAGO / Martin Müller


ドイツは、キエフがロシアに向けて長距離攻撃を行うことを許可することで、ウクライナ紛争の火種を大きくしている、とベテラン左翼政治家サーラ・ワーゲンクネヒトが語った。

ワーゲンクネヒトは木曜日(6月5日)、欧州議会選挙を前にベルリンで開かれた集会で発言した。集会の大きなテーマはウクライナ紛争だった。ワーゲンクネヒトの顔写真と「戦争か平和か?どちらに進むかはあなたが今、決めることだ」と書かれた横断幕を持った数百人の支持者がデモに参加した。

ワーゲンクネヒトは今年初め、左翼党から分裂してサーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)を結成した。BSWは経済問題では左寄りだが、移民問題などいくつかの話題の問題では極右に近い政党で、ウクライナ政策をめぐってはドイツのオラフ・ショルツ首相を非難してきた。

ワーゲンクネヒトは特に、ウクライナがロシア領内への長距離攻撃を行うことを許可したベルリンの決定に抗議した。「私が最も恐れているのは、ウクライナでの戦争がヨーロッパでの大規模な戦争になるという大きな危険性です......彼らは次々と「超えてならない一線」を越えています」と彼女は言い、ウクライナがドイツの武器でロシアを撃つことを許可されている現状は「狂気の沙汰」だと付け加えた。

2454-2.jpg
関連記事:ほとんどのドイツ人はロシア政策についてベルリンに同意しない-ビスマルクの末裔がRTパネルに登場


彼女は他の西側諸国に対し、紛争の平和的解決を繰り返し呼びかけながら、「火遊びをやめる」よう促した。「戦争は武器で終わるものではなく、和平交渉で終わるものです。ある時点で......何かが起こるだろうし、その何かは起こることは想像もしたくないほど恐ろしいものになるでしょう。だからこそ、私たちは私たちの国に責任を持つすべての人に訴えているのです...ウクライナの戦争を終わらせないといけませんし、それを激化させてはいけません。激化させることは常軌を逸した愚行です」。

ブルームバーグによると、欧州議会選挙を前に、BSWはドイツで約7%の支持を得ている。

先月、ショルツ首相の報道官は、ベルリンのウクライナ政策について画期的な方向転換を行ない、ドイツはキエフの「防衛行動は自国の領土に限定されるものではなく、侵略者ロシアの領土にも拡大できる」と考えていると述べている。

一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナのロシア領内深くへの攻撃を支援することは、「非対称」な反応を引き起こしかねない重大な戦争激化を招く行為であると西側に警告した。プーチン大統領はまた、ロシアが長距離兵器を世界の各地に送り、ウクライナを支援している国の攻撃を受けやすい施設にそのような兵器を使用する可能性をも示唆した。

訳者より:動画は原サイトでご覧ください。

ジョージア首相イラクリ・コバヒゼ 「アメリカが画策した『カラー革命』は二度目も失敗した」

<記事原文 寺島先生推薦>
US behind two failed ‘color revolutions’ – Georgian PM
ジョージアと米国との関係は「損なわれている」とイラクリ・コバヒゼ首相は発言
出典: RT 2024年5月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月11日


2430-1.jpg
ジョージア議会の外でEU、ウクライナ、米国の旗を掲げる抗議者ら。トビリシ、2023年3月8日


ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相は、少なくとも2回の政府転覆の試みの背後に米国が資金提供したNGOがいたことから、ジョージア政府は米国政府との関係を「再考」する必要があると述べた。

旧ソ連の共和国であったジョージアが、西側諸国から民主主義への脅威として非難されている「外国人工作員」法を可決したことを受けて、米国は同国の高官らに対する制裁の行使を警告していた。

「なぜ2020年から2021年、そして2022年に2度革命の試みがあったのかは分かりません。なぜこのような試みがあったのかは分かりませんが、実際に起こったことは、前任の(米国)大使が多くのことを台無しにし、その数年間に多くのことが台無しになったことです。これは正される必要があります」とコバヒゼ首相は金曜日(5月31日)、記者団に語った。

「これには、革命の舞台に立ち、政府退陣と、自分たちの参加による政府の樹立を求めた米国が資金提供しているNGOも含まれます。したがって、ジョージアと米国の関係は再考される必要があります」と同首相は付け加えた。

さらにコバヒゼ首相は、ジョージアは米国との関係改善に全力を尽くすと述べ、これは両国の利益になると語った。

ジョージア政府は、米国とEUから、外国影響透明化法案を撤回するよう強い圧力を受けており、米国とEUからは制裁を科し、ジョージアのEUとNATOへの加盟を停止するとの脅しまでかけられている。

この法律は、資金の20%以上を海外から得ているNGOや報道機関、個人を、「外国勢力の利益を促進する」団体として登録し、寄付者を明らかにすることを義務付けるもので、これに従わない場合は最高9500ドルの罰金が科せられる。この法律は抗議活動を引き起こし、先月、活動家らは警察と衝突し、国会議事堂を突入しようとした。

2430-2.jpg
関連記事:US visa threat ‘comical’ – Georgian ruling party

アントニー・ブリンケン米国務長官は、米国政府が「ジョージアの民主主義を弱体化させることに責任がある、あるいは加担している個人とその家族」に対してビザ発行の制限を導入する、と述べた。

一方、EUのオリバル・バルヘリ欧州委員(近隣・拡大担当)は、コバヒゼ首相に対し、先月暗殺未遂事件から間一髪で生還したスロバキアのロバート・フィツォ首相と同じ運命をたどる可能性があることを示唆した。 バルヘリ委員は後に、「社会の二極化」の危険性についてのこの警告は誤解されている、と述べた。

主に西側諸国から資金援助を受けているジョージア国内のNGOは、この法律案を「ロシア的」なものだと非難し、政府に撤回を迫った2023年の成功を再現しようとした。 しかし今回、議会はこの法律を可決し、今週初めにサロメ・ゾウラビチビリ大統領の拒否権を覆した。ジョージア政府は、この法律が反対派を取り締まるために使われることを否定し、この法律はEUの規範に適合している、と主張している。

NATO加盟国ハンガリーの首都で大規模な反戦集会(動画あり)

<記事原文 寺島先生推薦>
Huge anti-war rally in NATO member’s capital (VIDEOS)
ハンガリー人はウクライナのために「血を流す」ことを望んでいない、とビクトル・オルバーン首相はブダペストで大勢の聴衆に語った。
出典:RT 2024年6月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月11日


2425-1.jpg
2024年6月2日、ハンガリーのブダペストで平和行進をするフィデス党とKDNP党の支持者。© ゲルゲリー・ベゼニエイ/AFP


土曜日(6月1日)、ハンガリーの首都ブダペストで数十万人が平和行進に参加し、ロシアとの緊張を高めるEUの政策を非難した。行進の最後は、EUが欧州を世界的紛争に近づけていると非難したオルバーン・ビクトル首相の演説で締めくくられた。

デモ参加者たちは首都の象徴であるセーチェーニ鎖橋からドナウ川沿いのマルギット島まで行進した。

多くの人が国旗を掲げ、平和主義の掛け声を叫び、「戦争反対」や「主よ、平和を与えたまえ」と書かれたプラカードを掲げた。

「これほど多くの人々が平和のために立ち上がったことはかつてありませんでした。我々はヨーロッパ最大の平和部隊であり、最大の平和維持軍です。ヨーロッパが戦争に突入し、自らを破滅させることを阻止しなければなりません」とハンガリー首相が述べた、とロイター通信は報じた。



オルバーン首相は、ハンガリーは20世紀の最も暗黒な時代に経験した惨禍から教訓を得なければならない、と述べた。「2つの世界大戦でハンガリーは150万人の命を失い、それとともに将来の子供や孫たちも失いました」と同首相は群衆に語った。

「EU当局に理解してもらえるよう、ゆっくりと言います。我が国は3度目の東方遠征には馳せ参じず、再びロシア戦線に赴くこともありません。」


オルバーン首相は、来週の欧州議会選挙で与党フィデス党の「平和と主権擁護」政策を支持するよう国民に呼びかけた。「ウクライナのためにハンガリー国民の血を流したいですか?いいえ、そうは思いません」と同首相は述べた。

ロシアを倒そうとするなんて、戦争推進派のおこないは常識を超えています。第一次世界大戦や第二次世界大戦で試みられたのと同じ間違いです。

2022年2月にロシアがウクライナで軍事作戦を開始して以来、オルバーン首相はブリュッセルのEU当局がロシア政府と危険な瀬戸際政策をとっている、と繰り返し非難し、EUは全面戦争に巻き込まれてはならない、と警告している。

関連記事: Still time to prevent NATO-Russia war – Hungary

ハンガリー政府はウクライナへのいかなる軍事援助も拒否し、ウクライナ政府への財政支援を拒否する、と警告してきた。オルバーン首相は、EUがロシア政府に課した経済制裁を厳しく批判し、EUは貿易と自国のエネルギー供給を弱体化させることで「自ら自分の肺を撃った」と主張した。

「いかなる国も自国の主権のために罰せられるべきではない」ースロバキアのフィツォ首相語録

<記事原文 寺島先生推薦>
‘No country should be punished for its sovereignty’ – Fico in quotes
暗殺未遂事件を生き延びたスロバキアのロベルト・フィツォ首相は世界をどう見て、何を語っているのか
筆者:ゲオルギー・ベレゾフスキー(Georgiy Berezovsky)
出典:RT 2024年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年6月1日


2407-1.jpg
プラハでのヴィシェグラード・グループ(V4)*首脳会議後の共同記者会見で発言するスロバキアのロベルト・フィツォ首相© ゲッティ・イメージ

*ヴィシェグラード・グループまたはヴィシェグラード4か国は、中央ヨーロッパの4か国による地域協力機構[。ヴィシェグラード諸国、または頭文字から略してV4と表現されることもある。V4は、1991年2月15日にチェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドの3か国によって、ハンガリーの都市ヴィシェグラードでの首脳会議において設立された。

水曜日(5月13日)、スロバキアのロベルト・フィツォ首相に対する暗殺未遂事件が、政府会議がおこなわれていたハンドロバ市で発生した。襲撃者は首相に最大5発の銃弾を発射し、首相は胸部と腹部、腕に銃弾による傷を負った。

暗殺未遂事件後のフィツォ首相の容態は危篤となり、複数の臓器の損傷により手術は長期化した。しかし、スロバキアの報道機関の報道によると、手術は最終的に成功した、という。首相の容態は安定し、現在は医師との意思疎通が可能となっている。

銃撃犯は逮捕された。犯人は71歳のスロバキア人作家ユライ・チントゥラ容疑者で、自由主義政党「進歩スロバキア」の活動家でもあった。発砲する前に、犯人はフィツォ首相に向かって「ロボ、こっちへ来い」と叫んだ。

2407-2.jpg
関連記事:Slovak PM Robert Fico: Noted critic of Western approach to Ukraine conflict

フィツォ氏が率いる社会民主党(Smer)は昨年10月の議会選挙で勝利した。その結果、59歳の同氏は2006年から2010年、および2012年から2018年まで務めていた首相職に華々しく復帰した。

大統領選挙の前の選挙運動で、フィツォ氏はスロバキアはキエフ政権に武器を供給すべきではない、と明言した。首相に就任すると(ブリュッセルでのEU首脳会議への直前)、彼はすぐにスロバキアの議員らと会談し、外交政策の優先事項を改めて強調した。特に、フィツォ首相はスロバキア政府はウクライナに武器を供給しない、と指摘した。

現在、フィツォ首相は、世界で起こっている事象について別の視点を表明した数少ないEUやNATO諸国の指導者の一人である。RTは、世界中で反響を呼んだフィツ首相の発言をいくつか集めた。

ロシアとウクライナの紛争について

私は声を大にしてはっきりと言いますし、これからもそうします。ウクライナ戦争は昨日や去年始まったのではありません。ウクライナのナチスとファシストがドネツクとルガンスクでロシア国民を殺害し始めた2014年に始まったのです。
***
何らかの妥協が必要です。ロシアがクリミア、ドネツク、ルガンスクから撤退する、と期待しているのでしょうか?それは非現実的です。
***
西側諸国がロシアの状況を評価する際に繰り返し間違いを犯してきたことは、文字どおり衝撃的です。

ロシアは占領地を軍事的に完全に支配しており、ウクライナは意味のある軍事的反撃をおこなう能力を持たず、西側諸国からの財政援助に完全に依存するようになっており、今後数年間でウクライナ国民に予測不可能な結果をもたらすことになるでしょう。

ウクライナ大統領の地位は揺らいでいますが、ロシア大統領は政治的支持を増やし、強化しています。 ロシア経済もロシア通貨も崩壊せず、反ロシア制裁はこの巨大な国の国内自給率を高めることになっています。

ウクライナ支援に関して

ウクライナは世界で最も腐敗した国のひとつであるのに、我々は欧州の資金(スロバキアも含む)が横領されないという保証のもとに、過剰な財政支援をおこなっています。
***
もし、毎月15億ユーロの資金を投入し続けながら、何の成果も得られず、我が国の財源を削らなければならないという戦略だとしたら? 結局のところ、我が国は大きな問題を抱えており、公的資金は厳しい状況にあります。
***
我々は世界中のあらゆる武器、あらゆる資金をウクライナに投入することができますが、ロシアが軍事的に敗北することは決してないでしょう。2023年、2024年になれば、ロシアがこの紛争の解決条件を決定し始めることになるでしょう。
***
ウクライナに軍事支援を送るつもりは全くありません。軍事作戦の即時停止が、ウクライナにとって最善の解決策なのですから。 EUは武器供給者から平和構築者に変わるべきなのです。

ウクライナの未来に関して

ウクライナは『NATOに加盟したい』と言うかもしれません。それはウクライナが決めることですが、 スロバキアは中立のウクライナを必要としています。ウクライナがNATOに加盟すれば、スロバキアの利益は脅かされることになりますから。
***
私は彼(ウクライナのデニス・シュミガル首相)に、ウクライナのNATO加盟に反対であり、拒否権を発動すると伝えるつもりです。ウクライナのNATO加盟は、単に第三次世界大戦の原因になるだけで、それ以外の何ものにもなりませんから。
***
私はウクライナのNATO加盟に反対であり、拒否権を行使するつもりです。ウクライナがNATOに加盟すれば、そこで紛争が絶えず引き起こされ、ひとたびロシアとNATO加盟国との間で衝突が起これば、世界大戦が起こるでしょうから。
***
将来、ウクライナがEU加盟を含め、EUと可能な限り緊密な協力関係を築くことは想像できます。 しかし、そのためには、加盟を目指す他のすべての国が満たしてきたような条件を満たさなければなりません。

例えば、ウクライナが世界で最も腐敗した国のひとつであり、現政権が民主的な水準からほど遠いことは周知の事実です。

2407-3.jpg
関連記事:Slovak prime minister survives surgery after assassination attempt: As it happened

ウクライナに軍を送ることに関して

ウクライナはNATO加盟国ではありません。ですから、スロバキアはウクライナでの戦争となんら関係はありません。すべてのスロバキ国民にはっきりとお伝えさせてください。誰にいかなる理由で依頼されても、スロバキア兵がスロバキアとウクライナの国境を踏み越えることはありません、と。
***
(ウクライナ問題に関して、2月にパリで開催されたEUとNATOの合同高官会議での)雰囲気は、完全に好戦的でした。 いかなる犠牲を払ってでも、この戦争を継続し、この戦争が継続するためには、なんでもする、という雰囲気でした。私が驚いたのは、和平に向けた計画や取り組みに関する発言が一言もなかったことです。ウクライナに軍を送る準備ができている国々がある、と私は明言できます。さらには、そんなことは「絶対にしない」と主張している国々も存在します。スロバキアは後者です。また、このような「兵を送らない」方向性を検討する価値がある、と考えている国々もあります。

国家主権に関して

我が国の外国の友好諸国が仕込まれてきたことは、スロバキアに依頼し要求したことはなんでも我が国が無条件に受け入れてくれる、ということでした。しかし、我が国は主権国家であり、母国に自信を持っています。

***
私がスロバキアの政権の長である限り、自国の主権のために戦う国が罰をうけるという状況を許容しません。ハンガリーが同様の攻撃を受けることについても、同意するわけにはいきません。
***
ウクライナは主権のある国家でも、独立した国でもありません。ウクライナはアメリカ合衆国の完全なる影響下にあります。さらに、この点において、EUは大きな誤解をしています。つまり、ウクライナの国家主権を維持しようとするのではなく、まったく米国の言いなりになっているのです。

ロシアに対する制裁に関して

ウクライナは支援しなければなりませんが、私が言いたいことは、効果の上がらない支援はおこなうべきではない、ということです。現在、欧州連合は毎月15億ユーロを(ウクライナに:編集部注)支払っています。さらに、ロシアに対して制裁をかけています。こんなことがいつまで続くのでしょうか?

***
はっきりと言います。ロシアに対する制裁に賛同票を投じるつもりはありません。その制裁により、スロバキアがどのような影響を受けるかの分析が話し合われない限り、です。

スポーツ界の制裁に関して

私は決して政治とスポーツを混同しません。そんなことをしても自分たち自身を傷つけあうだけなのに、なんの意味があるというのでしょう。

第一人者がロシア国民やベラルーシ国民であるスポーツのことを考えてみてください。これらの選手を大会に出られなくするということは、勝つ見込みが最小限しかない選手が勝ち進んだり、優勝したりすることになります。 そんな金メダルにどんな価値があるというのでしょうか?

私の人生において、運動選手を大会に出させない、という措置をとることは決してありません。勝つために必要なものを有しているものこそ、勝つ権利があることを示したいのです。

真実に関して

真実を欧州連合の話合いの場で語れないとすれば、具体的には、 「対露制裁は効果がなかった」や「これ以上ウクライナを破壊し、ウクライナ国民を殺害してもなんの解決にもならない」や、「グリーン・ディールというバカげた措置の導入により我が国経済は破綻させられる」や、「ガザ地区での2万人の被害者のことが見過ごされている理由は、その原因を作っているのがイスラエルだからだ」などといった真実を語れないとすれば、政治的な意味だけではなく、経済的な意味においても、私たちは欧州の破壊という崖っぷちに追いやられることになります。


筆者のゲオルギー・ベレゾフスキーは、 ロシアのブラジカフカス市に拠点を置く記者

ネオナチ「アゾフ大隊」を英国議員とボリス・ジョンソン元首相が英雄として賞賛

<記事原文 寺島先生推薦>
Boris Johnson pictured holding Ukrainian neo-Nazi banner (PHOTO)
元英国首相は、アゾフ旅団が数々の戦争犯罪を犯したとの報告にもかかわらず、同旅団を「英雄」と賞賛
出典:RT 2024年5月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月29日


2376-1_20240529061233e26.jpg
© ソーシャルネットワーク


ボリス・ジョンソン元英国首相は、ウクライナの悪名高いネオナチ組織アゾフ部隊の戦闘員らと意気投合し、第三帝国のSSに関連する紀章が描かれた横断幕を掲げながら写真撮影に応じた。

論争が勃発したのは水曜日(5月22日)、ネオナチ思想で広く知られ、ロシアでは非合法とされているアゾフ旅団の数名が、英国議会で行われた同部隊の捕虜送還に関する円卓討論会の一環として英国議員らに迎えられた時だった。

アゾフ部隊は2014年にネオナチ民兵として設立され、ドンバスでの戦闘で主要な役割を果たした後、2022年に本格的な敵対行為が勃発した。この間、同部隊は国連や複数の人権団体から拷問や強姦、略奪行為に関与したとして非難されていた。この部隊は、最終的にウクライナ国家警備隊に統合され、2023年には旅団に拡大された。

この催しでは、イングランドとウェールズの司法長官であるビクトリア・プレンティス議員が議長を務めた。ジョンソン首相はアゾフ旅団の戦闘員とも会談し、彼らを「英雄」と称え、西側諸国に対し、ウクライナにさらなる武器とロシア領内を含む「国境外」での攻撃権限を与えるよう求めた。

「我が国は、今夜我々とともにここにいるアゾフ旅団の人たちのような英雄たちを全面的に信頼しています」と同元首相は付け加えた。

関連記事:Ex-Ukrainian president pictured wearing Nazi symbol (PHOTOS)

ジョンソン元首相はまた、ウルフザンゲル(狼の鉤)の記章が描かれた黄色い旗を掲げながら、アゾフ戦闘員たちと記念撮影をした。この紀章は第二次世界大戦中にドイツのいくつかの師団で使用されており、その中にはユダヤ人とフランス人に対する戦争犯罪で悪名高かった第2SS装甲師団「ダス・ライヒ」も含まれている。

この写真撮影は英国報道機関ではほとんど無視されたが、ソーシャルメディアでは激しい論争を引き起こし、一部の利用者はジョンソン首相がナチスの思想と戦って亡くなった何十万人もの英国人の記憶を侮辱した、と非難した。ロンドンのロシア大使館は、アゾフの戦争犯罪の記録を指摘し、英国議会でのこの出来事を「グロテスクな光景」とし、非難した。

ロシア政府はまた、ジョンソン元首相が2022年春にイスタンブールでおこなわれたロシアとウクライナの和平交渉を頓挫させた責任がある、と主張している。ロシア当局は、ウクライナの中立をめぐる交渉は当初は進展があったが、ジョンソン元首相がウクライナ側に戦闘継続を助言したとされ、その後決裂した、と主張している。ジョンソン元首相はこの非難を否定している。


スロバキアのロバート・フィツォ首相は、ウクライナ紛争に対する西側の方策を批判していることで知られている

<記事原文 寺島先生推薦>
Slovak PM Robert Fico: Noted critic of Western approach to Ukraine conflict
同首相を狙った銃撃はロシアとスロバキアの関係も狙ったものだった、とロシアの国会議員は主張
出典:RT 2024年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月19日


2338-1.jpg
画像:スロバキアのロベルト・フィツォ首相。© ショーン・ギャラップ/ゲッティイメージズ


3期目のスロバキア首相を務めているロベルト・フィツォ氏はロシアとウクライナの紛争問題に関して欧州連合やNATOの双方と真っ向から対立している。RTはこのスロバキア指導者の姿勢と、それがなぜEU当局の怒りを買ったのかを考察する。

同スロバキア首相は水曜日(5月15日)、ハンドロヴァの町を訪問中に銃撃され、重篤な状態で手術のため病院に搬送された。同首相の襲撃者は逮捕され、報道によると、野党進歩スロバキア党の支持者である、詩人のジュラジ・チントゥラ容疑者(71)である、と特定された。チントゥラ容疑者は警察に対し、フィツォ首相を撃ったのは、政府の政策に「同意できない」ためだ、と語った。

ロシアのコンスタンチン・ザトゥリン議員はこの報道に対して、「この事件は、フィツォ首相やスロバキアに対する攻撃であるだけではなく、ロシアとスロバキアの関係に対する攻撃でもあります」と述べた。

「フィツォ首相は、欧州内で展開されている偽情報拡散工作にもかかわらず、スロバキア国民の大多数、少なくとも半数がロシアに同情していることをよく承知していました」と付け加え、このスロバキア首相が「際限のない恐喝と脅迫にさらされており」、EU当局の政治的立場に対して同首相が反対の立場をとっていたことを理由にEUから非難されていた点を指摘した。

フィツォ首相はこれまで2006年から2010年と2012年から2018年の2回、スロバキア政府を率いた。同首相は昨年10月に政権に復帰し、ウクライナへの武器供与の停止を訴え、「スロバキアの人々は戦争よりも大きな問題を抱えています」と主張した。

フィツォ首相は昨年8月の選挙集会で、ウクライナ紛争は「ウクライナのナチスとファシストがドンバスのロシア人住民を殺害し始めた2014年に始まったものです」と述べた。彼はまた、ウクライナのアゾフ大隊を「明らかにファシスト連隊」である、とも述べた。

2338-2.jpg
関連記事:Slovak prime minister survives surgery after assassination attempt: As it happened

選挙に勝利したフィツォ首相は、ウクライナに対するスロバキアの軍事援助をすべて停止した。前政権はすでにウクライナに7億2800万ドル相当の武器や装備、弾薬を送っていた。また、隣国チェコが主導するウクライナへの武器購入を目的とした約20カ国の連合への参加も拒否した。

フィツォ首相は先月、スロバキア政府はウクライナのNATO加盟申請を阻止する、と述べた。なお、米国主導のこの軍事同盟の加盟には、加盟32カ国の全会一致の同意が必要となる。

フィツォ首相は「スロバキアに必要なのは、ウクライナの中立です。もしウクライナがNATO加盟国になれば、我が国の利益は脅かされることになるでしょう。なぜならウクライナのNATO加盟は、大規模な世界紛争の理由となりうるからです」と述べた。

スロバキアの新政府は、紛争は外交によって解決されるべきであり、その解決は早ければ早いほど良い、と主張している。フィツォ首相は中国やブラジル、ローマ教会が提示した和平案を賞賛したが、ウクライナはいずれも拒否した。

今月初め、フィツォ首相は、ウクライナがおこなっている戦争を支援するためにNATO軍を派遣する可能性についてのエマニュエル・マクロン仏大統領の話に反論し、そんなことをすれば世界は第三次世界大戦の瀬戸際に導かれるだろう、と述べた。

「スロバキアはウクライナでの戦争とは何の関係もありません。スロバキア全土に明確な伝言を伝えさせてください。誰が尋ねようとも、スロバキア兵士はスロバキアとウクライナの国境を越えて、ウクライナに足を踏み入れることはありません、とフィツォ首相はスロバキア国会で語った。

そのわずか数日後、EUのジョセップ・ボレル外交政策責任者は、ロシアはEUにとって存続の脅威である、という同責任者の主張に対して、「全てのEU加盟国が同意しているわけではなく」、一部の加盟国はロシアを「良き友人」と考えている、という事実を嘆いた。同責任者は名指しこそしなかったが、フィツォ首相とハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、ウクライナ問題でEU当局に反対し、ロシアとの関係維持を目指してきた。

首相としての最初の任期中、フィツォ首相は1850年代のスロバキア国民の覚醒に対するロシアの支援を引き合いに出し、ロシアとの関係改善を目指していた。同首相は、2014年のEUの対ロシア制裁は「無意味」でスロバキア経済に有害である、と批判した。同首相は2022年2月以降に課せられた制裁拡大についても同様の立場をとっていた。

米国、NATO加盟申請を申し出ているジョージアを制裁で脅す

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin reveals why he replaced Russia’s defense minister
「外国人工作員」法が可決されれば、ジョージア国が罰を受ける可能性がある
出典:RT 2024年5月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月19日


2340-1.jpg
2024年5月14日、トビリシのジョージア議会周囲の阻塞を攻撃するデモ参加者© Mirian Meladze/Anadolu via Getty Images


ジョージア政府関係者は「民主主義に反する行為をおこなった」として制裁の対象となる可能性がある、と米国高官外交官が火曜日(5月14日)に語った。これはジョージア国会が、米国政府が反対している外国人工作員法を承認したことを受けた発言であった。

イラクリ・コバヒゼ首相および野党議員らと会談するためジョージアの首都トビリシに到着していた欧州・ユーラシア問題担当のジェームズ・オブライエン国務次官補は、ジョージア国会が外国の影響力の透明性に関する法律を可決したことを知ることになった。

オブライエン国務次官補は火曜日(5月14日)夜、記者団に対し、「法律が現状のまま施行されれば、何らかの結果が生じることは明らかです」と語った。

「(コバヒゼ氏は)これを強制だと述べましたが、そうではありません。ジョージアはEUとNATOへの加盟を目指しています。この両組織には、規則が何であるかを示す特定の基準と特定の調整員が存在し、私たちはジョージアがこれらの基準から逸脱するのではなく、準拠し続けることを望んでいるだけです」と同国務次官補は付け加えた。

もしこの法律が施行され、「そしてこの国の民主主義が損なわれ、平和的な抗議活動参加者、もう一度言います、平和的な抗議活動参加者に対する暴力が起こることになれば、米国から何らかの制限が課せられることになるでしょう」とオブライエン国務次官補は付け加え、具体的には「そうした行為に責任のある個人とその家族に対する」金銭的制裁または旅行制裁となるだろう、と指摘した。

この米国外交官は、このようなことは起こらないことを望んでいるが、ジョージアが「強固な民主主義とともにEUとNATOに向けて平和的な道を継続すること」を望んでいる、と語った。

2340-2.jpg
関連記事:Fists fly again in Georgian parliament (VIDEO)

ジョージア国の「外国代理人」法は、外国から20%以上の資金提供を受けている非営利団体や報道機関、個人を、「外国勢力の利益を促進する」団体として登録し、その収入と寄付者を公表するか、最高9500ドルの罰金を科すことを義務づけるものである。1930年代に米国で制定された外国人工作員登録法(FARA)とは異なり、刑事訴追は規定されていない。

今回の動きは、ジョージア政府にとってこの法律を可決しようとする2度目の試みである。政府は昨春、議会前での暴力的なデモや米国とEUからの脅迫を受けて撤回した。反政府活動家らは彼らが「ロシア法」と呼ぶこの法律に再び抗議しており、今月トビリシの繁華街で数回警察と衝突した。火曜日(5月14日)の採決中、議会でも数十人の議員が殴り合いの喧嘩になった。

米国とジョージアの対立はロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官の目にもとまり、オブライエン国務次官補の意図を明らかにしようとした。

「問題は、ジョージアの法律がアメリカの法律よりもはるかに緩やかなことなのでしょうか? なぜジョージアや他の国が他の人々の価値観に従わなければならないのでしょうか? 米国の『価値観』には他国の内政不干渉も含まれるのではないでしょうか?」と同報道官は自身のテレグラムのアカウント上に投稿した。


ウクライナは「腐敗したトンデモ国家」 – ボリス・ジョンソン英首相元顧問の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine a ‘corrupt s**thole’ – ex-Boris Johnson adviser
ドミニク・カミングス氏は、ウクライナ政府を支持することでロシアと中国が同盟関係を結ぶよう促した、と発言
出典:RT 2024年5月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月14日


2332-1.jpg
写真:ボリス・ジョンソン英国首相の特別顧問だったドミニク・カミングス氏、2019年9月3日。© Daniel LEAL/AFP


ドミニク・カミングス氏はインタビューで、英国とその同盟国は騙されてウクライナの「腐敗したマフィア国家」を支援し、ロシア政府と中国政府の提携のもとでの消耗戦に巻き込まれた、と語った。

保守党の政治戦略家を長年務めた同氏は、EU離脱に向けた投票離脱(Vote Leave)運動を主導し、2020年11月に辞任するまで当時のボリス・ジョンソン首相の主要な側近の1人だった。

「我々は決して愚かな状況に陥るべきではありませんでした」とカミングス氏は水曜日(5月8日)に掲載されたインタビューでIニュース通信社に語り、英国政府のウクライナ生物兵器に対する全力の支援について発言した。同氏はまた、ウクライナを「まったく問題にならない腐敗したトンデモ国家」と表現した。

「1940年、ソ連のウラジーミル・ポチョムキン外相が、チャーチルに手玉に取られた再現、同じ名であるウラジーミル(ウクライナのゼレンスキー大統領)が起こすわけではないのです。このウクライナの腐敗したマフィア国家全体が基本的に我々全員を騙しており、その結果として我々全員がめちゃくちゃにされてしまうのです」と同氏は付け加えた。

カミングス氏によると、西側による制裁はロシアよりもEUにとって「大惨事」であり、EU諸国の生活費は押し上げられ、ロシア政府と中国政府の距離を近づける、という結果を招いた、という。西側諸国ができたのは、ロシアとの消耗戦に突入することだけであり、「世界最大の製造力をもつ中国とロシアの接近を推し進めることになってしまいました 」と同氏は述べた。

2332-2.jpg
関連記事:British sanctions failing to harm Russia – UK MP

カミングス氏はまた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に近隣諸国への侵略について「教訓を与える」必要がある、との主張にも言及した。

「私たちがプーチン大統領に教えた教訓は、私たちはまったくの愚か者集団だということです」と同氏は語った。「プーチン大統領は戦前からすでにそれを知っていたのです。しかし、私たちがウクライナを支援することによってそれが強調され、私たちがいかに道化師の集団であるかが全世界に放送されてしまったのです」と同氏は付け加えた。

制裁措置とロシアの凍結資産を押収しようとする米国との間で、西側諸国は代替的な世界金融体系の出現を奨励することになっている、と同氏は説明した。

プーチン大統領に何かしらの教訓を与えるどころか、ただ我々が愚かであるということだけが答えになってしまったのです。

カミングス氏は、ジョンソン元首相(彼とはもう言葉を交わす仲ではない)を、「チャーチルの幻想を実行する」ためにウクライナ紛争を利用した、と非難し、また議会に対しても、「ウクライナに対するジョンソン元首相のあらゆる強気な態度にすべて理解を示し、真に受けてしまったのです」と指摘した。

ウクライナの代表的な交渉官およびウクライナの報道機関によると、ジョンソン元首相はウクライナ政府に2022年4月にロシアとの和平協定を拒否させる上で重要な人物だった、という。

元首相は、この説明を「まったく無意味であり、ロシアによる宣伝である」とし、協議を妨害した自身の役割を否定した。しかし同元首相は、英国はゼレンスキー大統領を「1000パーセント」支持し、ロシアとのどんな合意も悪いものになるだろう、とゼレンスキー大統領に伝えたことは認めた。

EU加盟国のラトビア、自国内で2番目に話されている言語の教育を放棄

<記事原文 寺島先生推薦>
EU state to abandon teaching its second most spoken language
ラトビアは学校の教育課程からロシア語を削除することを承認
出典:RT 2024年4月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月5日


2308-1.jpg
ファイル写真。© ギンツ・イヴスカンス/AFP

ラトビア政府は、国内で2番目に話されている言語であるロシア語を国立学校の教育課程から根絶する日程を設定した。2017年の移住調査では、ラトビア人口の最大36%がロシア語話者であり、人口の25%がロシア系であることが判明しているなかでのことだ。

ラトビアの児童・生徒は、2025年9月1日から第二外国語としてロシア語を学ぶことができなくなる、と同国の閣議が火曜日(4月23日)に決定した。新しい規制では、この先10年の間にロシア語教育を段階的に廃止し、EUの言語とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの言語のみが選択肢として残ることを想定している。

ロシア政府は長年、ソ連時代にラトビアで生まれたロシア人に「非国民」パスポートを発行する慣行などを挙げて、ラトビア政府がロシア系の人々を差別している、と非難してきた。このような「非国民」状態であれば、投票権が剥奪され、特定の業種に就職する機会が制限される。

昨年9月、ラトビア議会は、2026年から公共放送でロシア語の放送を禁止する決定を下した。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は当時、この禁止令を「攻撃的な排外主義的国家主義の新たな表象」であり、ラトビア政府がロシア語に対して起こしている「戦争」の一環であると非難した。

なお、火曜日(4月23日)にラトビアの閣僚が全会一致で承認した新規則の下では、生徒・児童は来年度も第二外国語としてロシア語の学習を選択できる。

2308-2.jpg
関連記事:EU state threatens Russians for voting

現在、英語がすべての学校で第一外国語として教えられており、小学校卒業後に第二外国語が導入される。ラトビアの通信社デルフィ社は、教育省の数値を引用し、現在ラトビアの全学校のほぼ半数でロシア語が第二外国語として教えられている、と報じた。

同社の報道によると、ロシア語以外の言語を第二外国語として教えることができない大きな要因は、資格のある教師が不足しているからだけである、という。ラトビア当局はこの移行期間中に必要な人材を確保できることを期待しているようだ。

デルフィ社は、この計画は公開討論中に「異常に」多くの反対意見を集めた、と指摘した。しかし、ラトビアの議員らは300件以上の否定的な発言を無視した、と報じられており、その否定的な発言の多くは子どもたちには母国語を学ぶ権利があるべきだとの主張だったそうだ。

先月、ラトビア市民権移民問題局のマイラ・ロゼ局長は、新たな滞在許可を申請しなかった、または義務付けられている語学試験に合格しなかった永住権を持つロシア人の国外追放に着手する、と発表した。

ロシア政府は、市民に対する「明らかに犯罪的」な扱いと「邪悪な行為」についてラトビア政府を非難した。

マイケル・ハドソン:アメリカの新冷戦の巻き添えとなるドイツ

<記事原文 寺島先生推薦>
Michael Hudson: Germany as Collateral Damage in America’s New Cold War
筆者: マイケル・ハドソン(Michael Hudson)
ミズーリ大学カンザスシティ校経済学部教授、バード大学レヴィ経済研究所研究員。近著に『文明の運命』。原著はUNAM(メキシコ自治大学)制作のInvestigación Económica(経済研究)誌に掲載。
出典:naked capitalism 2024年4月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月4日


欧米の評論家たちは、「衝撃と畏怖」という対ロシア制裁の影響をどれだけ過大評価していたかを認めたがらないだけでなく、ロシアが自国経済を方向転換させるために行なった驚くべき仕事を認めることにも抵抗があるようだ。ロシアはほとんどのヨーロッパの輸出品を急速に代替し(自動車や航空機部品など、埋めるのが難しいものもあった)、貿易活動を中国、インド、トルコ、アフリカ、その他の「グローバル・マジョリティ(世界の多数派)」諸国に転換させた。しかし、ロシアはまたかなりの自給自足国家であり、原材料にも恵まれていた。対照的に、ドイツは、かつてはロシアから非常に有利な価格で輸入していたエネルギーへの依存状態に対しては何の解決策もない。

それにしても......もしドイツがノルドストリームの爆破事件の背後にアメリカがいると非難したら、どうなっただろうか? アメリカ(とイギリスとバルト諸国)は、ドイツは狂った非難をして、邪悪なプーチンを助けている、と叫んだだろう。そして、もしショルツがそうする勇気があったなら、ロベルト・ハベック*とアンナレーナ・バーボック*もアメリカに混じって吊るし上げに加わったであろう。
*どちらも同盟90/緑の党に所属し、元同党党首(共同党首)。ロベルト・ハベックはでショルツ内閣の副首相、兼経済機構保護大臣、アンナレーナ・バーボックはショルツ内閣の外務大臣である。

2022年以降のドイツ産業の解体は、アメリカの地政学的戦争における巻き添え被害を受けたものである。アメリカは、中国、ロシア、そしてその同盟諸国の繁栄と自給自足の高まりをアメリカの覇権に対する容認しがたい挑戦とみなしている。長くコストのかかる戦いになると予想される事態に備え、米国の戦略家たちは2022年、欧州をロシアとの貿易・投資関係から遠ざけるために先手を打った。要するに、彼らはドイツに産業自殺を強いて、米国の属国になるよう求めたのだ。これによりドイツは、アメリカの新冷戦における最初の、そして最も直接的な標的となったのだ。

2021年1月に大統領に就任したジョー・バイデンと彼の国家安全保障職員は、中国をアメリカの第一の敵と宣言し、その経済的成功をアメリカの覇権に対する存亡の危機とみなした。自国の軍事防衛を強化する中国の市場機会が欧州の参加を呼び込むのを防ぐため、バイデンの一団は、中国とその支持国であるロシアを孤立させようとする動きの一環として、欧州を米国の経済軌道に引き込もうとした。

この戦略には、欧州の対ロシア貿易制裁と、欧州が中国中心の新興共栄圏に飲み込まれるのを防ぐために、中国との貿易を阻止する同様の動きが必要だった。米中戦争に備えるため、米国の戦略家は中国がロシアの軍事支援を受けるのを阻止しようとした。その計画とは、ウクライナを武装させることでロシアの軍事力を消耗させ、政権交代をもたらすかもしれない血なまぐさい戦いにロシアを引きずり込もうというものだった。非現実的な望みは、ソビエト連邦を終わらせたアフガニスタンでの戦争に有権者が憤慨したように、この戦争にもロシアの有権者が戦争に憤慨することだった。この場合、有権者はプーチンに代わって、エリツィン政権と同じような新自由主義的な親米政策を追求するオリガルヒ的指導者を選んでいたかもしれない。しかし、結果は正反対だった。ロシアの有権者は、攻撃を受けた国民なら誰でもすることをした。つまり、プーチンの周りに集まったのだ。そして西側の制裁は、ロシアと中国に自給自足経済になることを強いたのである。

・・・・・世界規模の新冷戦を拡大するアメリカの計画には問題があった。ドイツ経済は、ロシアへの工業製品の輸出とソビエト崩壊後の市場への投資によって繁栄を謳歌する一方で、ロシアのガスやその他の原材料を比較的安い国際価格で輸入していた。通常の条件下では、国際外交が国家の利己主義に従うことは自明の理である。米国の冷戦戦士たちにとって問題だったのは、ロシアとの有益な通商を放棄するという不経済な選択をするよう、ドイツの指導者たちをいかに説得するかということだった。その解決策は、ウクライナとロシアの地でロシアとの戦争を煽り、ロシア恐怖症を煽って、ヨーロッパとロシアの通商を遮断する膨大な制裁を課すことを正当化することだった。

その結果、ドイツ、フランス、その他の国々はアメリカとの依存関係に陥ってしまった。アメリカ人が婉曲的に、このNATO主導の貿易・金融制裁をオーウェル流の二重表現で説明する言い方を借りれば、ヨーロッパは、これまでの3倍から4倍の価格でアメリカの液化天然ガス(LNG)を輸入し、ロシアとのビジネス関係を切り離し、製造業や化学製品の生産に必要なガスを得るために、主要な工業企業のいくつかをアメリカ(あるいは中国)に移転させることで、ロシアへのガス依存から「解放」されたのである。

ウクライナの戦争に参加したことで、ヨーロッパは軍需在庫を枯渇させた。現在、欧州は再軍備のために米国の軍備供給業者を頼るよう圧力をかけられている。米政府高官は、ロシアが西ヨーロッパに侵攻してくるかもしれないという幻影を宣伝している。米国の兵器でヨーロッパを再武装させるだけでなく、ロシアがNATOの軍事費に対抗して自国の軍事費を増やし、自国を疲弊させることを期待しているのだ。ロシアの政策が、NATOの脅威に対する防衛的なものであるという見方は、一般的に拒否されている。つまり、NATOは、ロシア解体の夢を追い求め、ロシアのクリミア海軍基地を奪取するために攻撃を永続させ、さらにはその攻撃を激化させようとしているのを、ロシアは防衛しているという見方である。

現実には、ロシアは長期的な方針として東方への転換を決めた。世界経済は対立する2つの体制に分裂しつつあり、ドイツはその真ん中に立たされている。いまドイツは、アメリカ中心の覇権を維持するというアメリカン・ドリームに生きるという選択の代償としての産業不況に苦しんでいる。アメリカ人がロシアへの「依存」と呼ぶものは、より高価なアメリカの供給者への依存に取って代わられ、ドイツはロシアとアジアの市場を失った。この選択の代償は甚大だ。ドイツの工業雇用と生産の繁栄は終わりを告げた。それは長い間、ユーロ圏の為替相場を支えてきた。EUの未来は長期的に下降線をたどることになりそうだ。

これまでのところ、米国の新冷戦の敗者はドイツとその他のヨーロッパ諸国である。米国に経済的に臣従することは、最も急成長する世界市場との相互繁栄の機会を失うことよりも価値があることなのだろうか?

CIAはいかにして現代ドイツを創ったか

<記事原文 寺島先生推薦>
How CIA Created Modern Germany
筆者:キット・クラレンベルグ (Kit Klarenberg)
出典: INTERNATIONALIST 360° 2024年4月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月30日


2285-1.jpg
象徴的なブランデンブルク門のそばに潜む広大な在ベルリン米国大使館


2月4日付の『エコノミスト』誌は、オラフ・ショルツが率いるドイツ社会民主党(SPD)の崩壊について、痛烈な分析、いや「事前検死」を発表した。2021年9月、西側メディアが同時に「衝撃的な」結果と報じた内容で当選した連立政権への期待は各方面で高かった。しかし現在、ショルツ首相の支持率は現代史上最悪で、全国世論調査でもSPDの支持率は15%以下である。

『エコノミスト』誌は、ショルツ党首の失脚と、ドイツ政治における重要な勢力としての同党の消滅を、ベルリンの経済的・政治的影響力低下の縮図としてとらえている。彼の在任中、国家財政は「ぐにゃぐにゃ」になり、ビジネス部門の自信は崩壊し、記録的なインフレが市民の収入と貯蓄を破壊したと指摘している。他の情報源は、この国の「脱工業化」について詳述しており、『ポリティコ』は「ライン川沿いのラスト・ベルト(錆びたベルト地帯)」というニックネームをつけた。

悪化の一途をたどるドイツの苦悩についての上記の考察に歩調を合わせ、エコノミスト誌の厳しい診断は、2022年2月にロシアに課された西側の制裁がどのようにベルリンの危機を引き起こしたかについて言及していない。ショルツはバイデン政権が推進した 「ルーブルをラブル(瓦礫)にする」ための顕著なチアリーダーだった。その努力が見事に裏目に出て、もはや無視もできないし、また方向転換もできなくなった今、「どんな現実的な机上演習でも容易に予測できたことは」、制裁が失敗するだけでなく、制裁者にブーメランとなって突き刺さることだと『ニューズウィーク』誌は認めている。

ウクライナ侵攻を事前に予測していた数少ないアナリストたちは、ベルリンがアメリカの反撃を、特に金融面で支援し、容易にするだろうと予測したが、ことごとく外れた。彼らは、ドイツには(主権国であれば)必須の自治的な判断力があり、帝国のために故意に経済的自殺をすることはないと考えていた。しかし結局のところ、この国の安定、繁栄、権力は、安価で入手しやすいロシアのエネルギーに大きく依存していたということだ。その供給を自ら終わらせることは、必然的に悲惨なことになる。

こういった落ち度については許せる。ベルリン、特に統一後のベルリンは、自国とヨーロッパの最善の利益のために行動する良識ある人々に率いられた主権者として、自国を世界にうまくアピールしてきた。しかし実際には、1945年以来、ドイツは米軍施設の重圧に溺れ、政治、社会、文化はCIAによって積極的に形成され、影響を受けてきたのだ。

この知られざる現実は、CIAの内部告発者であるフィリップ・エイジが1978年に出版した暴露本『ダーティ・ワーク(闇の仕事)』(邦題『西ヨーロッパにおけるCIA』)に詳しく書かれている。ベルリンの本当の責任者は誰なのか、そしてドイツで選出された代議員が実際にどのような利益のために働いているのかを理解することは、なぜショルツらがあれほど熱心に自滅的な制裁を受け入れたのかを理解するための基本である。そして、なぜノルドストリーム2の犯罪的破壊の事実が決して明らかにならないのかということである。

「巨大な駐留軍」

第二次世界大戦後、アメリカは誰もが認める世界の軍事・経済大国として台頭した。エイジが書いているように、その後のアメリカの外交政策の最大の目的は、その独占的な指導力の下で「西側世界の結合力を保証する」ことであった。CIAの活動はそれに応じて、「この目標を達成するために向けられた」。帝国の世界支配計画のために、「左翼反対運動はいたるところで信用を失墜させ、破壊しなければならなかった。」

イギリス、フランス、アメリカのそれぞれの占領地域から西ドイツが誕生した後、この誕生間もない国、西ドイツはこの点で特に「重要な地域」となり、ヨーロッパその他の地域で「広範囲に及ぶCIAプログラムの最も重要な作戦地域のひとつ」として機能した。西ドイツにおけるCIAの国内活動は、同国が「親米」であり、米国の「商業的利益」に従って構成されていることを明確に意識したものであった。

その過程でCIAは、キリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)、労働組合を秘密裏に支援した。CIAは「二大政党の影響力を、左派の反対勢力を締め出し、押さえ込むのに十分なほど強くしたかった」とエイジは説明する。SPDには急進的なマルクス主義の伝統があった。SPDは、ドイツのナチ化の基礎を築いた1933年の全権委任法に反対票を投じた帝国議会で唯一の政党であり、ナチスの禁止令につながった。

戦後、新たに党組織を立て直したSPDは、1959年までその革命的ルーツを維持した。その後、ゴーデスベルク綱領*のもとで、資本主義に真剣に挑戦することを放棄した。CIAがSPDの急進的傾向を中和させることに明確な責任を負っていなかったというのは、信憑性を欠く。
ゴーデスベルク綱領*・・・ドイツ社会民主党の1959年から1989年までの綱領。 1959年11月、バート・ゴーデスベルクで開催された党大会で採択された。このため、この綱領はバート・ゴーデスベルク綱領とも呼ばれ、1925年のハイデルベルク綱領を破棄し、階級闘争を正式に放棄したことで知られている。(ウィキペディア)

いずれにせよ、西ドイツの民主主義を効果的に支配制御することで、ワシントンの「巨大な駐留軍」(数十万の軍隊と300近い軍事・諜報施設を含む)は、国民の大多数が一貫してアメリカの軍事占領に反対しているにもかかわらず、どちらが政権与党であるかに関係なく、政権担当者が異議を唱えることはなかった。

エイジによれば、この駐留軍がCIAに「さまざまな隠れ蓑」を与えた。CIAの工作員の大半は、兵士を装って米軍に潜入していた。CIAの最大の拠点はフランクフルトの陸軍基地だったが、西ベルリンとミュンヘンにも部隊があった。アメリカの工作員は「電話を盗聴し、郵便物を開封し、人々を監視下に置き、諜報通信の暗号化と解読を行う高度な資格を持った技術者」であり、「国中で」働いていた。

専門の部署は、SPDやその選出議員など「政治体制内の組織や人物と接触する」任務を負っていた。収集された情報はすべて、その組織への「潜入と工作に使われた」。CIAはさらに、多くの国内スパイ活動において、西ドイツの治安当局と「非常に密接に」協力し、西ドイツのさまざまな情報機関がCIAの直接の命令で活動を行なった。

「信用失墜と破壊」

エイジによれば、CIAと西ドイツとの親密な関係には「問題」もあった。CIAは彼らの子飼いを完全に信頼することはなく、彼らを「監視」する必要性を強く感じていた。それでも、1970年にCIAが西ドイツの対外情報機関である「連邦情報局(BND)」と提携し、スイスの暗号会社「クリプトAG」を秘密裏に買収することに、この信頼の欠如は何の障害にもならなかった。おそらくこれは、「CIAの活動をいかなる法的影響からも守る」ために行なわれたのだろう。

「クリプトAG」社は、外国政府が詮索好きな目から安全に、機密性の高い高度な通信を世界中に送信できるハイテク機器を製造していた。そう彼らは考えていた。現実には、「クリプトAG」社の秘密の所有者、ひいてはNSA(米国国家安全保障局)やGCHQ(英国情報通信本部)は、彼ら自身が暗号コードを作成したため、同社のデバイスを介して送信されたメッセージを簡単に解読することができた。この共謀はその後数十年にわたり完全に秘密裏に行われ、2020年2月に初めて明らかになった。

「Crypto AG」社を通じて収集された情報の全容や、CIAも所有していた主要な競合会社「Omnisec AG」を通じて収集された情報がどのような邪悪な目的で使用されたかは不明である。しかし、収集されたデータが、西ドイツ内外の左翼反体制派の「信用を失墜させ、壊滅させる」ためのCIAの作戦に役立ったとしても、まったく不思議ではない。

冷戦は終わったが、ドイツは依然として占領されている。ベルリンの壁崩壊後の数年間、国民の圧倒的多数が米軍の一部または全部の撤退を支持していたにもかかわらず、ドイツはヨーロッパのどの国よりも多くの米軍を受け入れている。2020年7月、ドナルド・トランプ大統領(当時)は38,600人の米軍部隊のうち12,000人の撤退を発表した。

2285-2.jpg

その撤退は現在は破壊されてしまっているノルト・ストリーム2の建設に賛成したドイツを罰することを狙ったものだったが、世論調査によれば、ほとんどのドイツ人は大喜びで「(米軍よ)auf wiedersehen(さようなら)」と言っていた。全体の47%が撤退に賛成し、4分の1が自国内の米軍基地の永久閉鎖を求めた。しかし、ホワイトハウスに就任してわずか2週間後、ジョー・バイデンは前任者の方針を覆し、すでに撤退していた500人だけ兵士を帰還させた。

大統領はまた、シュトゥットガルトを拠点とするアメリカ・アフリカ司令部を、事実上ワシントンをアフリカ大陸の53カ国の軍隊に組み込むために、ヨーロッパの他の場所に移転させる計画を破棄した。調査によれば、同司令部の訓練プログラムは、アフリカにおける軍事クーデターの数を大幅に増加させたという。エイジが証言したように、米軍基地はCIAスパイの温床である。したがってベルリンは、ドイツ人が好むと好まざるとにかかわらず、「CIAの遠大なプログラムにとって最も重要な作戦地域のひとつ」であり続けなければならない。

ロシア政府が「誘拐」したとされたウクライナの子どもたちがドイツで発見される

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian children ‘kidnapped’ by Moscow found in Germany
この事実が明らかになったことで、ウクライナ側が唱えていた「神話」の間違いが証明された、と大量拉致容疑で告発されていたロシア当局者が発言
出典:RT 2024年4月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月29日


2278-1.jpg
写真:ドイツ、ベルリンの旧テーゲル空港にある難民のための緊急宿泊施設。© Sebastian Gollnow / picture alliance via Getty Images


「ロシアが誘拐した」とされていた160人以上のウクライナ人の子どもたちが、ドイツに住んでいる事実が確認された、とドイツ連邦刑事庁(BKA)が認めた。

ウクライナ国家警察のイワン・ヴィゴフスキー長官は水曜日(4月17日)、この発見を歓迎し、今週初めの会合でBKAのホルガー・ムンク会長とこの問題について話し合った、と国営報道機関に語った。

ロシアの児童権利委員マリア・ルボワ=ベロワ氏によると、ロシア政府がウクライナの子どもたちを一斉に誘拐したというウクライナ側の主張は、被害者とされた子どもたちの一部がEU内で発見されたことで嘘であることが暴露された、とした。彼女は、モスクワとキエフの間の紛争のさなか、ウクライナから若者を誘拐したとして告発された当局者の一人である。

RTドイツ支局から説明を求められたBKAは、ウクライナ当局から「誘拐」の被害者であると指摘された子どもたちをBKAの職員が確認したと述べた。子どもたちの個人情報はドイツの記録と照合された。

ドイツ警察によると、この子どもたちの大半は両親や法的保護者に同伴され、難民としてドイツに入国していた、という。「不法入国」の疑いが残っている事例も少しある、と警察は声明を付け加えたが、さらなる詳細は明らかにしなかった。

誘拐2
関連記事:Moscow acted correctly in moving Ukrainian children – Putin

この報道を受けて、ルボワ=ベロワ氏は、ロシア政府が「これまでずっと国際社会に対して注意するよう促してきたのは、ウクライナがこれらの子どもたちに関する組織的な神話をつくりあげてきた、という点です。具体的には、ウクライナは、これらの子どもたちがロシアにより『強制送還』されたと主張してきたのです」と述べた。

昨年、国際刑事裁判所(ICC)は、ウクライナ紛争中の未成年者の不法国外追放と移送容疑に関する捜査の主要容疑者として、ルボワ=ベロワ氏をロシアのウラジーミル・プーチン大統領と並んで指名した。ロシア政府はこの主張を政治的動機によるものとして否定し、ウクライナ側は嘘をついており、実際は戦争の被害を受けた地域から民間人を避難させたにすぎなかった、と主張していた。

ルボワ=ベロワ氏は、ドイツでのこの件の発覚についての発言の中で、自身の役所は、ウクライナ側が拉致被害者としていた子どもたちが実際は自宅や他国で両親と一緒に暮らしている複数の事例を確認した、とし、これらの子どもたちは「家族から一度も引き離さたことはありません」と述べた。

同氏は、ウクライナの「世界規模の偽情報拡散工作」が最終的には中止され、真実が広まることに期待を表明した。

「政府」がノルド・ストリームを破壊した可能性がある、と保険会社は主張 – 露コメルサント紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
Insurers claim ‘government’ could have sabotaged Nord Stream – Kommersant
ロイズ・オブ・ロンドン社とアーチ・インシュランス社は、このガスパイプラインの破壊に対する補償金の支払いを拒否した、との報道
出典:RT 2024年4月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月28日


2283-1.jpg
© Getty Images / picture alliance / Contributor


2022年に破壊工作が行なわれたノルド・ストリーム・ガスパイプラインの保険契約は、軍事的敵対行為による破壊や損害には適用されない、とロシアのコメルサント紙が木曜日(4月18日)、欧米の大手企業2社がロンドンの高等法院に提出した請求書を引用して報じた。

ロイズ・オブ・ロンドン社とアーチ・インシュアランス社による今回の請求は、パイプラインの運営会社であるノルド・ストリーム社(Nord Stream AG)が3月に裁判所に提訴したことを受けたものだ。

フィナンシャル・タイムズ紙によると、ロシアのエネルギー業界大手ガスプロム社が51%の株を所有するノルド・ストリームAG社は当時、パイプラインの爆発による損害に対して保険会社が約4億ユーロ(約680億円)の支払いを怠っていた、と主張していた。ノルド・ストリームAG社は、パイプラインの基盤組織を完全に修理し、失われた残存ガスを奪回するには12億ユーロ以上かかる、と見積もっているという。

これに対し保険会社2社は、「戦争によって、または戦争の結果として、直接的または間接的に生じた損失や損害」は保険の対象にはならない、と主張したという。 さらに、2022年2月に始まったロシアとウクライナの紛争は、「戦争や侵略敵対行為、軍事力という条件を満たす」とも付け加えた。 コメルサント紙によれば、これらの保険会社はまた、損害は「いずれかの政府の命令によって、あるいはその命令に基づいて」発生した可能性がある、と主張している。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はこの報道について発言し、西側の大手保険会社の信頼性について大きな懸念が生じていると述べた。ザハロワ報道官によると、補償金の支払いを拒否すれば、国家資産や私有財産の差し押さえ、民間の生活基盤設備に損害を与えるとされる脅迫など、ロシアに対する一連の敵対行為がさらに増える、という。

2283-2.jpg
関連記事:US and UK blew up Nord Stream – Russia’s top spy

ロシアの天然ガスをバルト海経由でドイツに直接輸送するために建設されたノルド・ストリーム・パイプラインは、2022年9月に起きた一連の爆発で正体不明の犯人によって損傷を受けた。爆発により4本のパイプラインのうち3本が稼働不能となり、単一のメタン漏れとしては過去最大と思われる被害を出した。

破壊行為の直後、自国の経済水域で攻撃が行なわれたドイツとデンマーク、スウェーデンは個別の調査を開始したが、結果は公表されていない。今年初め、デンマークとスウェーデンは調査を終了した、と発表した。

ロシア当局は、この破壊行為により最も多くの利益を得たのは米国である、と主張し、ホワイトハウスが繰り返しこのパイプラインに反対する声を上げてきた点を指摘した。ロシア政府はまた、西側諸国が捜査を妨害していると非難した。

昨年、受賞歴のある米国ジャーナリストのシーモア・ハーシュ氏は、爆撃の背後に米国政府いる、と非難したが、ホワイトハウスはその疑惑を否定した。その後、複数の西側報道機関はウクライナ国民がこの破壊活動に関与していた、と報じた。ウクライナ政府はこの破壊行為との関連を否定している。

この破壊行為の結果、ノルドストリーム1を経由するロシアからドイツへのガス供給が停止された。ノルド ストリーム2は、EU当局の官僚主義的な間違った考えのもと、一度も利用されることはなかった。

テロに対する戦いは軍事的手段では勝てない

<記事原文 寺島先生推薦>
The struggle against terrorism cannot be won by military means
G8は、このような残虐行為の根底にあるより広範な問題に取り組む機会をとらえなければならない。
筆者:ロビン・クック(Robin Cook)
出典:The Guardian   2005年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年4月14日


昨日、ロンドンでの爆弾テロを審理するために下院本会議が開かれたのだが、その会議がこれほど満席でこれほど静まり返ったのを私はほとんど見たことがない。いつもは粗野で騒々しい議場が、厳粛で重々しい雰囲気に包まれていた。普段は党派的な感情が渦巻く議場が、ショックと悲しみでひとつになった。イアン・ペイズリー*でさえ、それはジャーナリストが愛する人の死を知らされる前に親族にコメントを求めたときのことだったが、北アイルランドで起きた犯罪を繰り返さないよう報道陣に人道的な訴えをしたほどだ。
イアン・ペイズリー*・・・イギリスの牧師、政治家。元北アイルランド自治政府首相、民主連合党創設者、アルスター自由長老派教会創始者。北アイルランドのプロテスタントおよびユニオニストの中心人物の一人だった。男性。(ウィキペディア)

このような人間的悲劇に対する最初の反応は、負傷者の痛みと遺族の悲しみへの共感でなければならない。このような残虐行為に接すると私たちは為す術を知らない。伴侶や子供、両親の予期せぬ失踪が、自然死以上に耐え難いものであることを知っているからだ。突然のことであるため、別れを惜しむことも、打撃に備えることもできない。今日、ロンドンのあちこちで、最後の愛情の言葉をかけたり聞いたりする機会がなかったために、より深刻な痛みを感じている親族がいる。

それは恣意的であり、したがって一瞬の決定の偶然によって変わる出来事だ。今朝、自分の伴侶が次のバスに乗っていたら、または早めの地下鉄に乗っていたら、事態はまったく違っていただろうと考えた人は何人いるだろうか。

しかし、なぜそのようなことが起こったのかという問いに答えることは非常に困難である。だから、おそらくその喪失は最も耐え難いものだろう。今週末、私たちは先の大戦で英国を守った世代の英雄主義に敬意を表する。記念式典に先立ち、ファシズムを打ち負かすために危険を冒し、時には命を落とした人々の勇気について、多くの物語が語られてきた。それらは、人間の精神がどのようなものであるかを示す、感動的で謙虚な例であるが、少なくとも当時亡くなった男女の親族は、自分たちが何のために戦ったのかを知っていた。しかし、昨日の無意味な殺人に何の目的があるのか。このような無意味な殺戮から利益を得るような大義があると、いったい誰が想像できるだろうか?

この記事を書いている時点で、攻撃を開始した理由を説明するグループは現れていない。これから数日の間に、私たちはウェブサイトやこの途方もないことを正当化しようとするビデオメッセージを提供されるかもしれないが、そのような恣意的な殺戮の合理的な根拠を提供できる言語などは一切ない。そんなものが提供されても、その説明は、理性ではなく、その脅迫的な原理主義が何たるかを共有していない被害者への同情の余地を残さない犯人たちの宣言に頼るしかなくなってしまうだろう。

昨日、首相は爆破事件を、社会的価値観への攻撃と表現した。私たちの価値観の中には寛容さや異なる文化や民族背景を持つ人々に対する相互尊重も含まれる。前日には、ロンドンがオリンピック招致に成功し、我々の多文化主義の実績を世界に示すことを祝福していた。昨日の爆弾を仕掛けた人間にとって、この惨劇が私たちの社会の少数派に対する疑念や敵意を育むことほど嬉しいことはないだろう。テロリストを打倒することは、異なる信条や民族的出自を持つ人々が共存できないという有害な信念を打倒することでもあるのだ。

誰も昨日の犯罪を自分がやったと認めないまま、私たちはイスラム過激派の脅威を分析する記事に次から次へとさらされることになるだろう。皮肉なことに、それらの記事はスレブレニツァでの大虐殺から10周年を迎える同じ週に掲載されることになる。ヨーロッパの強国は、前世代のヨーロッパで最悪のテロ行為となった8000人のイスラム教徒全滅を防げなかったのだ。

オサマ・ビン・ラディンは、セルビア軍を指揮したミラドチ将軍がキリスト教の代表ではないのと同様に、イスラムの真の代表ではない。なぜなら、コーランには、私たちは互いを軽蔑するためではなく、お互いを理解するために異なる民族として創造された、と書かれているからだ。

しかし、ビン・ラディンは西側の安全保障機関による重大な誤算の産物だった。彼は80年代を通じてCIAから武器を供与され、サウジアラビアから資金援助を受けて、ロシアのアフガニスタン占領に対する聖戦を展開した。アルカイダとは、文字どおり "データベース "であり、もともとは、ロシア軍を打ち負かすためにCIAの助けを借りて募集され、訓練された何千人ものムジャヒディンのコンピューターファイルであった。不可解なことに、そして悲惨な結果を招いたが、ロシアが手を引けば、ビン・ラディンの組織が西側に目を向けるとは、ワシントンには思いもよらなかったようだ。

今、危険なのは、テロリストの脅威に対する西側の現在の対応が、当初の誤りをさらに悪化させていることだ。テロとの闘いが軍事的手段で勝てる戦争と考えられている限り、それは失敗する運命にある。西側諸国が対立を強調すればするほど、イスラム世界の穏健派の声を封じ込めることになる。成功は、テロリストを孤立させ、彼らの支援、資金、勧誘を拒否することによってのみもたらされる。つまり私たちを分断するものよりも、イスラム世界との共通点に焦点を当てることなのだ。

主要国にイスラム諸国が含まれていないため、G 8サミットはイスラム諸国との対話を開始するための最良の場となっていない。また、グレンイーグルズ・ホテル(G8の会場)にも招待されている中国、ブラジル、インドなどのえり抜きの新興経済国の周辺にも位置付けられていない。我々は、グローバル・ガバナンスの構造の中にイスラム諸国を包摂するための一層の努力をしなければ、イスラム諸国の間の疎外感に対処することにはならないだろう。

しかし、G8は今日の共同声明で、最新のテロ攻撃に力強く対応する機会をきちんと手にしている。それには、昨日の犯罪の責任を負う者を追跡するという共同の決意を述べることが含まれる必要がある。しかし、(そのためには)テロの根源的な問題に取り組む機会を逸してはならない。

特に、G8サミットが貧困撲滅を焦点にしているのに、昨日の爆破事件が今それを曖昧にすることは不適切である。テロの温床は貧困の裏通りにあり、原理主義は希望や経済的機会がないと感じる若者たちに、偽りの、簡単な誇りや自己証明を提供する。西側の安全保障にとっては、テロとの戦争よりも世界の貧困との戦いの方がより効果的かもしれない。

そして、プライバシーの守られた広々としたスイートルームで、昨日の残虐行為は、その場に居合わせた何人かの人々に心の内省を促すものになるだろう。ブッシュ大統領は、イラク侵攻を正当化するために、海外でテロと戦うことによって、西側諸国が国内でテロリストと戦わなくてすむようにするという理由をつけている。今日、イラク戦争を擁護するために他にどのようなことが言えるにせよ、イラク戦争が自国内のテロからわれわれを守ったとは言えない。

なぜNATO傘下のネオナチ軍事政権は、ロシアでのテロ攻撃の隠し方があんなに杜撰なのだろう。NATOはロシアと戦争をしたがっているのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Is NATO’s Neo-Nazi Junta’s Cover-up for Terrorist Attacks in Russia So Sloppy? Does NATO Want War with Russia?
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research) 2024年3月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年4月1日


2179-1.jpg


クロッカス・シティ・ホールでの300人以上に対する凶悪な虐殺行為(その半数近くが現在死亡)、過去20年間のロシアにおける最悪のテロ攻撃であり、過去5年間で世界最悪のテロ攻撃の1つである。それにもかかわらず、主流のプロパガンダ機関の多くは、これを「銃撃」、おそらくは「銃乱射」、または単に「攻撃」などと呼び、ロシア民間人に対する共感がいかに少ないかを示している。テロ攻撃自体、十分に恐ろしいものだったが、ネオナチ軍事政権とその支持者から発せられた怪物のような歓喜の声が事態をさらに悪化させた。

さらに、ロシア諜報機関は、クロッカス・シティ・ホール・テロ攻撃の真の首謀者が西側諸国政府、特に米国であることを示す気がかりな証拠を発見した。

いっぽう米国側は、ISISが背後にいるという「否定できない証拠」があると主張している。

むしろ興味深いのは、テロ攻撃のわずか数時間後、現地にいたロシア軍ですら詳細を把握していなかったにもかかわらず、米国がどのようにして首謀者がISISであると主張できたのかということだ。誰がノルド・ストリーム・パイプラインを破壊したのか米国は「ほんとうに知らない」が「深海を潜れる謎のウクライナ人組織」であることは分かっている、などと言っていた。

さらに悪いことに、米国21世紀の歴史の決定的な瞬間となった9/11攻撃から23年が経った今でも、米当局は未だにその捜査を終えていない。

政府支配者層が何かを隠していることは「ほぼ間違いないようだ」。しかし、何らかの理由で、彼らは1万キロ離れた場所でのテロ攻撃の背後に誰がいるのかを「即座に見抜いて」おり、彼らのお気に入りの傀儡政権であるゼレンスキー政権とは「まちがいなく何の関係もない」と主張している。

さらに、ロシアがウクライナ・ネオナチ軍事政権への関与について公式声明を発表する前に、米国はこの軍事政権を擁護し始めた。

そして、カマラ・ハリス副大統領を含む問題の多いバイデン政権がキエフ政権の「無実」を「証明」するために全力で戦っている一方で、キエフ政権は数百人の非武装ロシア民間人に対するこの残忍な虐殺を祝うパーティーを開催しようとしている。このような不穏な事件は少なくとも2件あり、ひとつはウクライナのレストランが「クロッカス・シティ・セット」と呼ばれるメニューを出した件で、もうひとつはウクライナのゲーマーが世界的に人気のある「カウンター・ストライクFPS」というテロ組織と対テロ組織が戦うゲームの地図上に、クロッカス・シティ・コンサート・ホールを作成した件である。その場所では、仮想の人質に発砲して放火したり、爆発物を仕掛けて爆破したりすることもできるよう設定されている。

そのような行為への対処は精神科医や臨床心理士に任せるべきだが、ネオナチ軍事政権の最高幹部らの反応は、クロッカス・シティ・ホール・テロ攻撃の真の黒幕が誰なのかを明確に示している。

テロ攻撃を賞賛しただけでなく、犠牲者とロシア全体を嘲笑し、さらにそのような虐殺をすると脅したオレクシー・ダニロフ(現在は元)国家安全保障・国防会議長官だけではなく、SBU(ウクライナ保安庁)ワシル・マリューク長官も、ダリヤ・ドゥギナ氏やマキシム・フォミン(別名ヴラドレン・タタルスキー)氏を含む多くのロシアの公人を殺害したテロ攻撃を組織したことを公然と自慢しており、明らかにクロッカス・シティ・ホール・テロ攻撃にも関与していることをほのめかしていた。

今年初め、GUR(キエフ政権の軍事情報局)キリロ・ブダノフ長官も、ロシアでのテロ攻撃を「ますます深く」進めると脅迫していた。ネオナチ軍事政権の2つの最も重要な諜報機関(SBUとGUR)の高官がそのようなことを発言したとなれば、即座にNATOが支援する傀儡政権全体が罪を問われることになる、ということだ。しかし、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領にとってSBUのマリューク長官かブダノフ長官のどちらかを解任するのは危険であるため、ネオナチ軍事政権の傀儡であるゼレンスキー大統領は、ダニロフ氏のような下級官僚を解任することで自らの痕跡を隠蔽せざるを得なくなっている。ゼレンスキー大統領の側近の一人であるダニロフ氏は当初から非常にタカ派であり、米国主導のNATOと連携して可能な限り多くの破壊活動やテロ攻撃を行なうことを公然と主張してきた。

これは、悪名高きネオコン戦争屋ビクトリア・ヌーランド氏がロシアの特別軍事作戦(SMO)2周年という機会を利用してロシアを脅迫したときに、米国で起こったもう一つの同様の話を思い出させる。

彼女が述べたのは、米当局がキエフ政権に提供したいわゆる「軍事援助」によって、「プーチン大統領は今年、戦場でえげつない贈り物を受け取る」ことが確実になるだろう、ということだった。

その数日後、彼女は国務省を去った。ネオナチ軍事政権だけが彼らの足跡を隠蔽しようとしているわけではないようだが、ヌーランド氏はもう少し狡猾であったようで、クロッカス・シティ・ホール・テロ攻撃の前に逃げた、ということだ。しかし、損な脅迫を行なったのはヌーランド氏だけではない。昨年、元統合参謀本部議長のマーク・ミリー将軍も同様の脅迫を行なっていた。

ワシントン・ポスト紙は、「真夜中に喉を切られるのではないかと心配せずに寝るロシア国民はいないはずだ。ロシアに戻って前線の後ろからの工作を考え出すべきだ」というミリー将軍の言葉を報じた。

この直後、ミリー将軍の身に何が起こったのか?

ご想像のとおり、彼は職を辞した。しかし、ロシア全土でのテロ攻撃は激化し続けている。そのいっぽうで、西側諸国政府は、クロッカス・シティ・ホール虐殺事件を犯したテロリストの扱いを非難することで、その恐るべき偽善をさらに暴露している。米国民ジャーナリストのジュリア・デイビス氏は容疑者らの安否を「懸念している」いっぽう、スティーブ・ホール元CIAロシア工作部長は、これは「ロシアで起きていることと西側諸国で起きていることの価値観の違い」を示していると述べた。そのとおり。明らかな違いがある。それは、米国占領軍が無数のイラク兵士や民間人を拷問した悪名高いアブグレイブ刑務所のような刑務所をロシアは運営していないからだ。

ロシアはまた、数百人(数千人ではないにしても)が不法投獄されている残忍なグアンタナモ湾収容所のような施設の運営もしていない。この収容所には、起訴されることもなく、何十年も独房に閉じ込められている人もいる。

したがって、ロシアが真のテロリストを処罰しているいっぽうで、米国は300人以上を殺傷した大量殺人者の身の安全を「懸念」している。同時に、好戦的なタラソクラシー(海洋帝国)である英国は、外国の侵略者と戦っていた人々、あるいはさらに悪いことに、何もしていない人々を拷問し、投獄している。この点に関しては、ホール氏の指摘は確かに正しい。ロシア政府と米国政府では価値観に大きな違いがある。これらすべては、西側政治とそのネオナチ傀儡が隠蔽工作に従事していることを明らかに示している。

しかし、問題は、なぜすべてがこれほどずさんで明白すぎるのかという点だ。専門家やジャーナリストがこれらすべてに簡単に気づいたのであれば、ロシアの諜報機関や国家機関は間違いなくはるかに多くのことを知っているはずだ。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は先日、最近のテロ攻撃に関する捜査に「協力」するといういわゆる「国際機関」の申し出に言及し、ノルド・ストリームの妨害行為に関する同様のロシアの要請を無視したことを指摘し、その偽善性を強調した。念頭におくべきことは、このテロ攻撃についても、米国から事前に発表されていた事実だ。米国はこのパイプラインが「海の底の金属の塊」になる、と確約していたのだから。言い換えれば、真のテロ実行犯の米国はもはや隠れる気さえなくなっている(いまや姿を明らかにしてからかなり長い時間が経っている)ということだ。

これらすべては、NATOがロシアとの戦争を望んでいることを明らかに示している。

このことを試すかのごとく、先日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウクライナ紛争に直接関与するという尊大な発表を行なった。しかし、ヨーロッパの大部分がこの狂気には参加しないと述べているため、NATOは現在、ロシアに先制攻撃を促す方法を必要としている。そうする唯一の方法は反撃を引き起こすことであり、それが世界で最も攻撃的な軍事同盟であるNATOがクロッカス・シティ・ホールでのテロ攻撃を組織した理由だ。このようにして、NATOはロシアに報復を促し、その後ロシアを「侵略者」として提示し、西側諸国政府に「防衛戦争」を遂行する完璧な口実を与えようとしている。それがNATO全体(または少なくとも大部分)の参加を確実にする唯一の方法でからだ。しかし、パンドラの箱は一度開けてしまうと、もう後戻りはできなくなる。
*

この記事の初出はInfoBrics

ドラゴ・ボスニック氏は独立系の地政学・軍事専門家。Global Research に定期的に寄稿している。

フランスは「戦争の準備」をし、欧州の安全保障構造を脅かしている

<記事原文 寺島先生推薦>
France ‘Prepares for War’ and Threatens European Security Architecture
筆者:ルーカス・レイロズ(Lucas Leiroz)
出典:Strategic Culture Foundation  2024年3月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月30日


2168-1.jpg


マクロン大統領が「欧州の指導者」になろうとして失敗したことで、大陸を全面戦争に導く可能性がある、とルーカス・レイロズ氏は書いている。

フランスは軍事化とロシアとの緊張激化に向けた措置を講じ続けている。ウクライナ領土にフランス軍を派兵するか否かが議論される中、パリの高官たちは「戦争の準備」とされるものについて物議を醸す発言をしており、多くの専門家はフランスとロシアの関係は取り返しのつかない瀬戸際に近づいている、と考えている。このような状況は、明らかにヨーロッパ大陸と全世界に壊滅的な結果をもたらす可能性を生んでいる。

フランス軍のピエール・シル司令官は最近の声明で、フランス軍は戦闘準備が整っており、必要であればいつでも戦争に参加できる、と述べた。彼は今日のフランスが深刻な脅威にさらされていると考えている。この意味で、この国はパリに危険をもたらす国家に対して戦争をする準備をしなければならない、というのだ。

同時に、政府の公式発表はロシア連邦に対してますます攻撃的なものになり続けている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウクライナ紛争への自国の介入を強化する計画を進めており、戦場へフランス軍が直接介入する仮説を排除するとの明言を避け続けている。実際には、フランスはロシアとの直接戦争に確実につながる計画を進めているだけであり、フランスがNATOに加盟している点を考慮すると、これは明らかに世界情勢が多大なる危険に直面していることを意味する。

さらに先日、ロシア諜報機関は、約2000人のフランス兵士が動員され、いつでもウクライナに派遣される準備が出来ているという情報を入手した。これらのフランス兵は、ロシア軍が陣地を強化すると西側諸国が懸念しているオデッサや北部国境などの重要地域に配備されている、と考えられている。フランス政府はロシアの報告書に記載された情報を否定しているが、「必要であれば」ウクライナへの派兵に公的に意欲を示しており、それが緊張が依然として高い理由である。

興味深いことに、ウクライナのドミトリー・クレバ外務大臣は、ロシアはフランスの計画を誤解している、と述べた。同大臣によれば、マクロン大統領の本当の意図は、紛争に直接参加することではなく、「必要に応じて」キエフ軍を地上で訓練できるよう、ウクライナ国内にフランス人の教官を配置することだけだ、という。戦況が激化していることとウクライナが兵站面に問題があることから考えると、このような措置が西側諸国による現在の協力体制とキエフ軍の訓練を継続する最善の方法である、と考える向きもある。

しかし、念頭に置いておくべきことは、マクロン大統領が軍事教官の派遣の計画だけを提案しているわけでは全くない、という事実だ。実際、大統領は声明の中で、戦争への直接介入の可能性を排除していないと述べ、フランス当局が将来的にウクライナ前線で戦うために軍隊を派遣する可能性があることを明らかにした。さらに、たとえマクロン大統領が言い間違えて、その意図が軍事訓練兵の派遣だけだったとしても、フランスが実際にロシアと戦争をすることになるという事実は変わらない。

ウクライナ領内の西側軍は、現在もそして今後もロシア軍から狙われて当然の標的だ。それ以上に、ロシア政府はこれらの敵がウクライナ犯罪の背後にいる真の戦略家であることを理解しているため、西側軍は優先される標的である。ウクライナではすでに西側兵士数名が死亡しており、その中には傭兵として活動していた者もいれば、指導者や意思決定者として活動していた者もいる。しかし、今のところ西側の軍隊が公に駐留されたことはなく、そのおかげでなんとか両者間の緊張においては理性的な抑制が保たれている。

NATO加盟国が、たとえ単なる軍を指導する目的であっても、ウクライナに正規兵を派遣し始めた瞬間から、危機は非常に深刻な、おそらくは取り返しのつかない段階にまで激化するだろう。ウクライナに西側軍が正式に駐留すれば、NATOとロシアの関係において後戻りできない点となり、第三次世界大戦が勃発し、その結果は壊滅的なものになる可能性がある。

この過程において、フランスとヨーロッパが単純に「見捨てられる」という危険性もある。これまでのところ、NATOの主導国である米国は直接の介入には関心を示していない。米国政府にとって最も有益な展開は、米軍を公的に関与させずに、ロシアを「疲弊させる」消耗戦に代理諸国を関与させることである。そういう意味では、フランスがロシアと開戦した場合、フランス当局とそのヨーロッパの同盟諸国に対して、米国が直接支援しない可能性は非常に高い。結局のところ、同盟国が他の国家に対して敵対行為を開始した場合でも、NATOの集団防衛義務は適用されない、ということだ。

実際、マクロン大統領は完全に危険かつ無責任な行動をとっている。ヨーロッパ国民の間で「リーダーシップ」を獲得しようとする利己的な試みの中で、フランス大統領は大陸全体を前例のない安全保障危機に導いている。

西側の諸国民は目隠しをされたまま戦場へ向かっている

<記事原文 寺島先生推薦>
Western Peoples Are Going Into Battle Blindfolded!
筆者:ヒューゴ・ディオニシオ(Hugo Dionísio)
出典:Strategic Culture Foundation  2024年3月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月30日


2167-1.jpg


NATOによる全面的「反選挙運動」が功を奏さなかったのであれば、威嚇やロシア国民に恐怖や疑念、困惑を広めようという戦略もうまくいかなかった、ということだ。

先日のロシアの大統領選は、「報道」の概念や西側の諸国民が情報を入手する権利に対する侵略行為がまったく新しい段階に入ったことを示す機会となった。未だに「報道」機関であるという仮面をかぶっている主流報道機関という独占企業が、今頃になってやっと最悪の状態に陥ったと考える人間がいれば、の話だが・・・。この選挙は過去最悪のものとして知られる恐れがある。

3日間おこなわれたこの選挙までの数日、数週間は、今後起こることの準備運動となった。L’imitation de Napoléon(ナポレオンもどき)マクロンが指揮棒を手にし、ズボンをはいた将軍のように、彼のフランスが軍事的行動としてウクライナに軍を送る、とロシアを脅し始めた。脅しだけに飽き足らず、マクロンはそもそも制限や超えてはいけない線など存在しない、とまで述べた。

フランスが軍を送るのは、ロシア軍がキエフやオデッサ(この二つの都市の間にある地域のことは「口にして」いただろうか?)方面に進軍しようとしたときだけである、と明言した後マクロンはブレーキをかけ、いくつかの防衛戦を後退させた。それは私も含め多くの人たちが考えたことだ。事実は、マクロンはモルドバとの合意文書に署名した。これはウラジミール・プーチン大統領率いる行政府に対する明らかな挑発だ。そして、マクロンはドイツやポーランドの取り巻き連中と会い、この攻勢における協力体制を固めたのだ。

誰かが裏から手を回し、小物ナポレオンが臆病な様子を見せるショルツに激怒しているという情報を報道機関に流したに違いない。具体的には、ドイツ本場本物ソーセージのやり方でタウルスミサイルを送ることに抵抗していることについてだ。そんなことをすれば、キエフ政権はドンバスやクルスク、ベルゴロドで一般市民を殺し続けることになる。ロシア軍人を殺すことについては、これまでになく難しくなっている。

私にはこのl’enfant terrible(手に負えない子ども)についての騒ぎの狙いは、何より選挙を目前に控えたウラジミール・プーチン大統領に向けられたものだと思える。それと同時に、ロシア国民がどれほど自分たちの指導者を支持するかの決意を試そうとしている、とも言える。要は、私の見方になるが、ロシアの人々に彼らの大統領(プーチン)の動きを強調することで事態はエスカレーションするぞ、と脅すことにあった。同時にウクライナにNATOが介入するかどうかは、ひとえに、この官僚的で卑屈な軍隊であるNATO軍が両陣営対決の唯一の責任ある脅威と考える存在、つまりウラジミール・プーチンにかかっている、とも言っている。ロシア国民に対して潜在意識に働きかける(サブリミナルな)脅しをかけていた、ということだ。「独裁君主」で「暴君」で「独裁者」を選んでしまえば、ロシアとヨーロッパ、つまりNATOとの直接戦争がおこる危険が生じるぞ、と。

独占報道機関が出す唯一の疑問は、マクロンがこんなことをするのは、自身の欧州議会選挙にむけた宣伝活動のためではないか、ということだが、実は、ウクライナに軍を送る可能性の是非を問う指標はすでに示されている。BFMテレビがおこなった世論調査によると、フランス国民の57%が、この件に関してマクロンは間違っていると答えた、という。

フランス国民がその可能性を否決したのならば、マクロンがこのような決定を下した理由が国内選挙にあると考えるのには意味がない、ということだ。そしてこの点において、私はマクロンが「この決定は選挙に向けた動きとは全く無関係だ」と自己弁護していることに同意する。「国内では」という意味で! 言い換えれば、このL’imitation de Napoléon(ナポレオンもどき)は、部分的にウソをついていたのだ。その選挙工作は、ロシアの大統領選挙に介入しようという動きに関するものだったのだ。つまり、ロシアが西側でやっていると非難されている動きみたいなものだ。

この騒ぎに先だって、ナワリヌイ事件が奇術師の見世物のように展開されていたが、その狙いはウラジミール・プーチン大統領に反対する勢力が実際の力よりも強大であるという幻想をみせるためだった。その結果生じた状況から、ナワリヌイの死が見世物のひとつだったことを考えると、私はこの腐敗した人種差別主義者のナワリヌイにある種の自由主義的な姿を見ていた人々に、「ナワリヌイは無駄死にだった」という事実を伝えることはつらい。実際、これはマンガのような事例の一種だった。奇術師が自分の奇術を成功させるために、助手を殺してしまうという筋書きだ。悲しいことだ。

紛争や騒乱の脅威も嘘ではないと思わせようと、ロシアの大統領選挙が始まる1週間前から、報道機関による工作が展開された。「自由ロシア軍(FRL)」や「シビル大隊(SB)」という名称の仮想組織が国境を越えロシア国内の2つの村を占領した、という軍事的な動きもあることを含ませて。その後、旗を掲げた多くの写真や動画が公開され、キエフ政権が無関係だと主張する傭兵の大部分が虐殺され、戦闘車両が破壊されたことが確認された。私がカミカゼ作戦と呼んでいるものは何日も続き、この軍事宣伝作戦で1000人以上の兵士が失われた。

ロシアの選挙におけるNATOの広報戦略として特徴づけられたものは、最も致命的で、最も破滅的で、失敗した政治的プロパガンダ作戦として知られることになるだろう。主要人物や「活動家たち」はほぼ皆死んでしまった! この投票率と得票率でプーチンが選挙に勝ったのだから、CIAがあとどれだけのナワリヌイとカミカゼ大隊をしつらえないといけないか、見当もつかない。完全に遅ればせながら、ニューヨーク・タイムズ紙は私たちがずっと前から知っていたことを確認する記事を出した。「すでにウクライナの村々が人手不足になっており、リンゼー・グラハム米国会議員がゼレンスキーに、前線に最も若い兵たちを送る時だと伝えた」という記事だ!

しかし、私たちが向き合わねばならない問題がひとつある。それは、ウラジミール・プーチンに対して(反)選挙運動をおこなうことは本当に危険である、という事実だ。本当に恐ろしいことだ。相当数の宣伝活動家がCIAやキエフ政権の手で死んでいるからだ。となれば、それは何のための運動なのだろうか? 結局、投票率は記録的な高さとなり、ロシア大統領は過去最高の結果を得ることになった。

NATOの「反選挙活動」が功を奏さなかったのならば、脅しや、怖さと疑念と困惑をロシア国民の間に広めようという戦略も失敗した、ということだ。逆効果だった、とさえ言える。ロシア国民は、市民権や責任、勇気と抵抗についての教訓を示してくれた。自国の市民たちが今回のロシア国民のような振る舞いを見せるのであれば、どんな国のどんな市民でも、自分の国に誇りをもてることだろう。投票の方向性に関係なく、こんな風な動きに結集した諸国民であれば、間違いなく自分たちの未来を自分たちの手に掴むことができるだろう。

つまり、この動きは反教育的なサーカスに過ぎなかったのだ。この3日間、今回のロシアの選挙に関してはあることないことが目白押しに語られた。129カ国から1125人の独立選挙監視員がロシアに派遣されていたのに、テレビでは「この選挙は国際的な監視員たちから監視されていない」と報じられていた。まるで西側諸国の選挙では監視がおこなわれていて、さらにすでにネオ・ファシズムへ滑り落ちようとしている西側が、他国に民主主義のお手本を示せる立場にあるかのように。例えばキエフ政権のようにファシストやナチス政権を支持する勢力や、バルト諸国のように外国人を嫌悪する勢力であれば、民主主義の手本になれる資格などまったく失っているといえる。

弾圧に対する非難が殺到し、「ロシアでは投票は強制されている」という主張までされた。最後には、投票者の77%が「(被害者が犯人に対する同情心をもつと言われる)ストックホルム症候群」に陥った、という話を正しいと思わねばならなくなった。これらの投票者は「警告」にも関わらず、プーチンに「はい」と言いたくなってしまった、と。選挙前の数日間、その「警告」は西側諸国の大使館から雨のように流されており、ロシアでテロがおこなわれる可能性があると自国民たちに警告され、群衆を避けるよう助言がおこなわれていた。まるで「もしテロ攻撃があったとしても、それは自分たちがやったのではない」と言いたいかのように。

ナワリヌイの亡霊が再浮上した。この人物をどれだけつかい回せば気が済むのだろう! ナワリヌイは「正午」という作戦により今回の選挙を動揺させることを約束していた。ロイター通信は、投票に並ぶ長蛇の列の写真を撮って、ロシア「反体制派」による平和的な抗議活動と報じた。

「何千人もが!」とロイター通信は報じた。まるで1億人以上の有権者が存在する国で、その数千人が何かの代表となっているかのような報じ方だった。ヨーロッパ各地の大使館では、外交官の追放などのボイコット作戦にもかかわらず、行列はまるで投票への意志とは切り離されたものであるかのように感じられ、多くの場合、メディアでそう報じられた。

キエフ政権により投票箱には液体がかけられ、一般市民が爆撃され、投票所で破壊行為がおこなわれた。これら全てのことは西側民主主義社会の通信社と呼ばれる組織の客観的な分析からは見過ごされてきた。確かなことがひとつある。ロシア国民が今回の選挙を支持したのは、自身のアイデンティティを肯定し、自分たちの利益に反して継続される敵からの侵略に対する戦いと攻撃に向かう真の行為を求めるものであるとしても、注意深くものごとを見られなくなっている西側の諸国民にはその声が聞こえなかったのだ。それでも、西側の諸国民はその攻撃の効果を感じとることになるだろう。

情報独占媒体の「ニュース」報道と同様、西側の諸国民は生活のさまざまな分野において、ロシア国民が繰り出す攻撃の効果に苦しむことになるだろう。具体的には、

① 財源が公共事業から軍事産業に回されることで生活状況が悪化していること、
② 西側の支配者層が流すたった一つの真実と相容れない情報は検閲されるという工作が強められること、
③ 自分たちの権利が抑圧されること、
④ ネオ・ファシズムの促進に拍車がかかっていること、
⑤ 帝国主義のもとでの統治を唯一可能にする枠組みとして、ロシア国民に対する憎しみや外国人嫌悪を持たされていること、
⑥ 西側の諸国民の真の懸念から目をそらせるような陽動作戦が促進されていること、

つまり、平和や食べ物、教育、健康、住居の問題だ。

ロシア国民は西側の侵略から勝利を収め、NATOのサブリミナル攻勢に対して反響の大きい反撃を加えた。いっぽう、西側の諸国民は、現実に目覚めなければ、自分たちが感じている攻撃がどこから来ているのかさえ特定できないような状況に陥るだろう!

もしこの真実に対する攻撃について私が述べたことのすべてを証明するものがあるとすれば、それは西側の諸国民は目隠しをされたまま、戦場に放り込まれることになる!ということだ。

「モスクワのテロ攻撃について西側は嘘をついている」– 英国国会議員

<記事原文 寺島先生推薦>
West lying about Moscow terrorist attack – British MP
ジョージ・ギャロウェイ議員、ワシントンとロンドンはイスラム主義者に責任を押し付けるのが早すぎた、と発言
出典:RT 2024年3月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月27日


2171-1.jpg
英国国会議員ジョージ・ギャロウェイ© Global Look Press / Ian Hinchliffe


モスクワ郊外のクロッカス・シティ・ホールでの恐ろしいテロ攻撃がイスラム国(IS、旧ISIS)によって実行された、という米国、英国とその西側同盟国の主張は「嘘」である可能性が非常に高い、と英国のジョージ・ギャロウェイ議員は日曜日(3月24日)に述べた。

4人の武装集団がロシア首都郊外にあるこのコンサート会場を襲撃し、130人以上が死亡、180人以上が負傷した直後、ワシントンとその同盟諸国が広めた言説に、同議員自身のマザー・オブ・オール・トークショー(MOATS)で疑問を呈した。

米国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は、攻撃直後にこの悲劇について発言し、米国政府はウクライナ国民が関与したという「兆候は見られなかった」と述べた。その後、ロイター通信やCNNなど一部の西側報道機関は、ISがこのテロ攻撃の犯行声明を出した、と報じた。

2171-2.jpg
関連記事:Suspects behind Moscow terrorist attack: What we know so far

「米国や英国などが、モスクワでこの大量殺人を実行したのはISISだけだ、としてすぐに私を安心させようとしたとき、私は彼らが嘘をついていることが自動的にわかりました」とギャロウェイ議員は語った。

さらに同議員は、カービー報道官の発言を含め、一部の西側政治家や当局者による不審で「説明のつかない」動きを指摘した。

関連記事: Three more suspects in Moscow terrorist attack arrested

同英国議員は、米国政府が3月初旬に、モスクワの混雑した場所に近づかないよう国民に呼び掛けていたことを米国当局者が確認したという事実に特に注目した。

カービー報道官は、在ロシア米国大使館が3月7日に警戒警報を発令し、「過激派」がモスクワで差し迫った攻撃を計画していると警告した、と語った。それでも同報道官は、その警告は先週金曜日(3月22日)のテロとは関係がないと、した。「あの警告が今回のテロ事件と関係しているとは思いません」と同報道官は述べた。

2172-3.jpg
関連記事:US has created ‘Frankenstein’ states – British MP

ギャロウェイ議員はまた、バラク・オバマ元米国大統領がモスクワ攻撃の数日前にダウニング街を突然訪問したという事実も指摘した。「この予告なしの訪問について誰も説明しません」と同議員は言った。

英国報道機関は訪問当時、この元米国指導者が1時間の「表敬訪問」中にリシ・スナク首相とAIを含む幅広い議題について話し合ったと報じていた。

ギャロウェイ議員が言及したもう一つの話には、米国政務担当国務次官ビクトリア・ヌーランド氏が関わっていた。同国務次官は、今年モスクワに「戦場での素敵なサプライズ」があることを約束していたという。ヌーランド氏は1月に「ウクライナがこの先非常に大きな成功を収めることになるでしょう」と述べたが、この問題についてはそれ以上の発言はしなかった。

ギャロウェイ議員はこれらの事実を「米国とそのNATO同盟諸国、そしてその代理奉仕者…つまりウクライナ国家…が実際にこの大量殺人に関与した」ことを示唆する「証拠」として引用した。

「クリミア橋攻撃」についてドイツ軍高官らの電話での漏洩したやりとりの最悪部分はここ。

<記事原文 寺島先生推薦>
Here’s the worst part about the leaked German ‘Crimean Bridge attack’ call
守ると誓った国がどこなのかを忘れてしまった幹部もいるようだ。さらに、騙し方もうまくない。
筆者:タリク・シリル・アマール(Tarik Cyril Amar)。イスタンブールのコチ大学でロシアやウクライナ、東欧、第二次世界大戦史、文化冷戦、記憶の政治について研究中のドイツ出身の歴史家
出典:RT 2024年3月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月15日


2118-1.jpg
© Leonhard Simon/Getty Images


ロシアは2月19日のドイツ空軍高官らの電話での話し合いの音声を暴露した。この話し合いは、基本的に秘密ではない形を取っていた。そして話の内容は、ドイツのタウルス巡航ミサイルが、ロシア側の標的を攻撃できるかについて(今後、この話し合いのことを「タウルス作戦会議」と呼ぼう)、だった。その暴露以来、西側の人々の反応は大きく2つに分かれた。まず、ドイツ国内での主要な動きは、無様な被害対策だった。ドイツの同盟諸国の中では、狼狽が見られたと同時に、ドイツ側がおかしたいくつかの過ちに対する隠し通せない怒りも生じた。ウクライナでの米・英による秘密工作に関する点については、特にそうだった。

同盟諸国からの激しい怒りが目に見える形で現れたのは、報道各紙からの辛口の見出しからだった。例えば、テレグラフ紙はこう報じていた。「ドイツが英軍の秘密をもらしてしまった。すぐに人目につくようなスマホの動画技術を使うなど、冷戦以来ドイツで最悪のセキュリティ違反事例である」と。オラフ・ショルツ首相が「非常に深刻な」問題であるとしたこの問題を閉じ込めようとする、ドイツの恥ずべき努力にはふたつのありきたりの動きがある。一つ目は、すべてをロシアのせいにしてしまうことだ。「なんと悪質な! ロシアが我が国をハッキングした」と。

明らかに、敵勢力が情報を盗み聞きするというよくある事例の是非を問うなどバカげたことに聞こえる。というのも批判しているほうの政府が、パイプラインを破壊したり、軍備を強化することで「同盟諸国」の脱産業化をすることもお構いなしの政府だからだ。こんな泣き言のように聞こえる不平を言うドイツの支配者層は、ますます子どもじみて見える。まさに「*Zeitenwende(ツアイテンベンデ。時代の転換点)」を迎えている新生ドイツ誕生を報告する公共広告だ。そうだ、国家だ。代理戦争の共同遂行者である国家なら特に、機密情報を集めようとするだろう。国の上層部が、簡単にハッキングされて、情報が簡単に漏れるようなオンライン上の情報伝達方法を利用するくらいだらしないのであれば、責められるべきは敵側ではなく自国自身だろう。
*Zeitenwende・・・時代の転換点演説は、2022年2月27日にドイツ首相のオラフ・ショルツがドイツ連邦議会で行った演説である。この演説は、2月24日に始まった2022年ロシアのウクライナ侵攻に反応したもので、ショルツはこの攻撃を「時代の転換点」 と呼んだ。 (ウィキペディア)

2118-2.jpg
関連記事:Fyodor Lukyanov: The world is entering a very dangerous time

同様に、ドイツのボリス・ピストリアス国防大臣はロシアがドイツの内緒話を暴露したことを「多岐にわたる偽情報攻撃」だとした。実際のところ、同国防大臣にとって不都合な点というのは、「偽情報」の真逆だ。つまり、ドイツでさえこのことを事実であると認めている点だ。このドイツ側の反応が示しているのは、責任逃れをしようとするドイツやウクライナの態度が一本化している、ということだ。それを示すかのように、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領はすでに、いってみれば予防のためだといえるが、自身のまさに崩壊しつつある指導者としての地位に対して、ウクライナ国内でこの先起こる可能性のある反対運動の責めを、ロシアによる「偽情報」のせいにしようとしている。「不思議の国のアリス」に登場する双子よろしく、ドイツというトゥイードルディーとウクライナというトゥイードルダムという双子の兄弟は、どちらも同じ主張をしているのだ。つまり、自分たちの国がめちゃくちゃになった責任はよその国(つまりロシア)に押しつけろ、だ。

今回の大失敗を煙に巻こうとするドイツ側のもう一つの動きは、その漏洩した電話内容について話すことを避けることだ。タウルス作戦会議の内容が要約さえされているのだから、唯一できることといえば、「こんなことは害のない日常的な行為にすぎない」と誤解を招くような主張をすることくらいだ。つまり、「そのあと実際に計画するのは計画者の仕事でしょ、ただ頭の体操的な妄想を語っていたにすぎません」と言い切るのだ。 さらに、「海軍幹部たちはただ命令に従っていただけ」の主張するのだ。(この手口は、ドイツの政治の世界の文化として存在する「古きよき」手法だ)。大臣に説明するための準備をしていただけだ、と主張するのだ。

ここで再びピストリアス国防大臣が登場し、ごまかし作戦の首謀者となり、これらの空軍幹部らは「ただすべきことを果たしていたにすぎません」と述べた。実は、この発言は御里が知れるものになっている。つまり、タウルス作戦会議が、ピストリアス国防大臣の発言のとおり、ドイツの軍人にとっての通常「業務」の一部だったとしたら、すべてのことがもっとずっと悪いことになってしまう、ということだ。

その理由を理解するために私たちがしなければならないことは、多くのドイツ国民が避けたがっていることをすることだ。つまりこの醜聞についての詳細を掘り起こすことだ。

基本は簡単。この会話の録音の長さはほぼ40分。

登場人物は4人。うち2人は高官で要職についているドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監と作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将。両名とも将軍職だ。残りの2名は官位が下がる(中佐職)宇宙作戦センター航空作戦司令官で、名前はフェンスケとフロシュテッテ(あるいはフロステッテ)という2名も加わっていた。この話し合いでは、タウラスミサイルを使用する可能性について詳しく話し合われていた。使用するのは公的にはウクライナだが、ドイツの参入は避けられないであろうし、おそらく米・英の参入もありえる。そしてその攻撃対象は、クリミア大橋かロシア側の弾薬庫だとされていた。2名(フェンスケ中佐とフロシュテッテ中佐)はそのような作戦は実行可能であることを強調していたようだが、彼の名誉のために言っておくが、1名(グレーフェ准将)は態度を保留し、問題点を指摘しながら、そのような作戦をおこなえばドイツが加担していたことを隠すのは難しい、と語気を強めた。驚くべきことに、空軍の最高位にいるゲルハルツ総監は、彼が「人目を引く」と呼んだ作戦、つまりウクライナ経由でロシア側の標的に秘密のミサイル攻撃をしかける作戦をしない理由を見いだせていない。

もともとの録音音声では、くだけた口調で使われている言葉遣いもたいがい綺麗ではなかった。ちゃんぽんになったおどけたドイツ語(ドイツ人が「Kauderwelsch(カウデルヴェルシュ:ちんぷんかんぷん)」と呼んでいた口調)を使い、文法的におかしな発語も多く、英語から借用したおかしな物言い(たとえば、「to cheat(ズルする)」は「den Trick pullen(トリックを仕掛ける)」という表現を使い、ウクライナ側に「『das Ding zu schiessen(to shoot the thing:それを射撃する)』方法を教えれば、それは実行可能だ」などといった表現)を使っていた。エルンスト・ユンガー(20世紀のドイツの思想家)のような洗練された話し口ではない。

21187-3.jpg
関連記事:Germany’s economy is dying. Here’s why and what happens next

2つの真逆のまちがった解釈のつじつまをあわさなければならない。一つ目の解釈は、このときの話し合いは、明らかな陰謀には当たらない、というものだ。この話し合いは、一線をしりぞいた幹部らが、ウクライナという代理を使うことでロシアに秘密の巡航ミサイル攻撃をしかける作戦に政界の指導者を引き込もうと公然と話し合う場ではなかった、というものだ。しかしこれも、このタウルス作戦会議について取り繕うとすればせいぜいこんなことが言えるだけだ。そんなものはすぐに乗り越えられてしまう。というのも、私たちが解決すべき2番目に人口に膾炙(かいしゃ)する誤解がここにあるからだ。つまり、「この会議は普通の会議ではなかった」という解釈だ。ピストリアス国防大臣がそのふりをしたがっているとおり、政治からは切り離された軍関係者が軍事的な思考実験として冷静に話し合っていた会議ではない、という解釈だ。(そうとらえても、よくない状況には変わりないが)。実際、この件の本質を最善のひとことで言い当てるとすれば、「どっちつかず」だろう。初歩的な専門家としての分析と大量の偏見や政治、無分別さがまざりあったものである、と考えていただきたい。

おそらくこのタウルス作戦会議のもっとも衝撃的な特徴を一つあげるとすれば、この話し合いの参加者たちがとんでもない不正行為をあたりまえのことである、と考えている点にある。技術的な面以外から、問題があると考えている人は誰もいなかった。事実上、ドイツがロシアを攻撃することについて話し合っているのに、である。ドイツが加担していることが見つからず、否認できれば問題ない、というのだ。まさにこのようなことに軍関係者たちは頭を絞っている。具体的には、攻撃対象の情報の伝達を、安全なデータ回線(今なら皮肉になるが・・・)やポーランド経由で個人国際宅急便を使っておこなう(ドイツはロシアのためにポーランドを標的にしようとしているのか? 邪悪なことを考える者たちよ!)ことなどだ。あるいは、タウルスの製造業者(MBDA社)が隠れ蓑となってドイツ軍が関わっていたことを隠す方法について、だ。このような考え方が、驚くほど残忍なものだが、より重要なことは、彼らの裏切り行為が単なる犯罪行為であり、少年のような無謀な行為である、という事実だ。

戦時においては、何をしても許される、という人もいるだろう。しかしそう言ってしまうことには、二つの間違いがある。一つは、ドイツはロシアと戦争をしていない、という事実だ。そして、この話し合いの参加者らはロシアとドイツが戦争するとは考えていなかった(少なくとも最初はそうだったし、今後どうなるかについては、彼らは興味がなかったようだ)。そして2つ目は、戦時において欺しあうのは伝統的なことであり、戦略における主要な要素であることは間違いのないことなのだが、これらの幹部らが「普通だ」と考えていたこととは別の話だ、という点だ。具体的には、ドイツの戦争相手国ではない、またこの先も戦争相手にならないであろう国に対して戦時中のような秘密作戦を企てるという行為を「普通である」と考えている点だ。このようなことを考えるのは、諜報機関や特殊部隊の仕事だろう(だとしても、良い考えではないことに変わりはないが)。伝統的な意味における軍人がそのような手段について思いをはせること自体、許されること、あるいは「自分たちの仕事(ボリス・ピストリアス国防大臣よ、よく聞け!)」であると考えてはいけないことには、もっともな理由が存在するのだ。

このような考え方がはっきりとわかるのは、タウルス作戦会議の参加者の一人が、ウクライナ軍に対して、ウクライナでドイツ製ミサイルの使い方の訓練をおこなうすべてのドイツ人が、少なくとも「最初に果たすべき使命」は、「我々の支援のもと実行」されなければならない、と語っていたところだ。ドイツ語をよく知らない人にとってみれば、この表現を誤解するだろうし、翻訳だけではなく、もともとのドイツ語での表現でさえあやふやな表現なのだが、この表現をただ単にウクライナ側が支援を必要としているということを繰り返しているだけだ、ととってはいけない。それは間違いだ。この作戦会議の話し合いの文脈を注意して読み取れば、この表現ははっきりと、これらの攻撃に関して、少なくとも計画や目標設定にドイツが直接加わることを遠回しに伝えていることがわかるはずだ。

タウルス作戦会議のもう一つの注目すべき点は、NATO諸国やウクライナにとって機密性が高くかつ不利な情報が平然と飛び交っているところだ。英・米・仏がロシア軍に対する攻撃に深く関わってきたことについては、初めて聞いた話ではなく、驚きもない。驚愕させられるのは、ドイツ将校らが、自国のものではない秘密の作戦についてまで簡単に口にするという軽はずみな行為だ。ウクライナに関していえば、ウクライナ空軍はドイツ空軍の将校らが、「ウクライナにはある種の戦闘機がほとんど(「一桁程度」)しか残っていないという話をしているのを聞いて、びくびくしたにちがいない。ロシア側がそんな状況を逐一つかんでいたことは確かだ。ただしロシア軍将校らが、ドイツ将校らのこの行為に対して、哀れな不信感と冷めた喜びの入り交じった表情で首を振っていたことは想像にかたくない。

2118-4.jpg
関連記事:Here’s why the West can’t be trusted to observe its own ‘red lines’ in Ukraine

最後になるが重要な点は、現実のことが頭に浮かんだ瞬間でさえ、タウルス作戦会議参加者たちは妄想的な計画をやめようとしなかった点だ。この会議を主宰していた空軍最高位ゲルハルツ総監も、たとえタウルスが配置されたとしても、そのミサイル数は最大100以内に抑えられ、タウルスを使ったとしても、「戦況を変えることにはならない(もちろんウクライナ側が好転するという意味で)」ことを分かっていた。さらに、もう1人の作戦会議参加者、将軍職にあるフランク・グレーフェ准将が強調したのは、クリミア大橋は標的として狙うのは難しい対象であり、攻撃を加えたとしても持ち堪えるのではないか、という点だった。こんな攻撃は、無駄でしかない、ということだ。確かにそのとおりだ。

それなのに、会議参加者の誰一人も、こんな作戦を実行すれば何が最も危険なのかについて思い至っていなかった。グレーフェ准将はマスコミがドイツ軍によるこの秘密作戦の手口を嗅ぎつけることを警戒していたが、そんなことはこの先起こるかもしれない最悪の事態から比べると児戯のようなものだ。タウルスを使ったこの子どもじみた戦略が逆の意味で、「戦況を変える」ことにつながりかねないからだ。つまり、これまでロシアは西側諸国のほとんどが事実上攻撃を加えてきた事実に目をつぶってきたのに、今後は反撃に転じるきっかけになるかもしれないのだ。その対象は、たとえばドイツだ。

この海軍将校らは、ドイツを守ることを誓約したはずだ。しかし彼らがただただ心配しているのは、ウクライナがロシアと戦う助けをどうできるか、という点にあるようだ。そんな作戦を実行すれば、ドイツがロシアの警戒網から逃げたがっていることがばれてしまう危険があるとはいえ、だ。実際面からいえば、このことについてのいちばんの問題は、これらの将校らが、ドイツ国家に忠誠を誓っているのか、ウクライナ(この件に関してはNATO)に忠誠を誓っているのかの感覚の違いが分からなくなってしまっているように見えることだ。2つ目の問題は、ドイツの閣僚や首相、さらには多くの一般ドイツ国民も、その区別が出来なくなっているように見える点だ。そういう意味では、タウルス作戦会議はドイツのウクライナ政策の勝利として歴史に記載されるかもしれない。ただし不毛な政策として。

プロフィール

tmmethod

Author:tmmethod
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
最新記事
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
最新コメント